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ロックマンゼクス アドベント - (2020/08/09 (日) 16:26:40) のソース

*ロックマンゼクス アドベント
【ろっくまんぜくす あどべんと】
|ジャンル|アクション|&amazon(B000N5F19C)|
|対応機種|ニンテンドーDS|~|
|発売元|カプコン|~|
|開発元|インティ・クリエイツ|~|
|発売日|2007年7月12日|~|
|定価|5,040円|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''シリーズファンから不評''|~|
|ポイント|ガッカリすぎるシナリオ&br全体的に練り込み不足&brアクションとしては普通&br数々の無意味な新要素&br「私は…神だ!」|~|
|>|>|CENTER:''[[ロックマンシリーズリンク>ロックマンシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-『[[ロックマンゼロ]]』シリーズ終了後に発表された新タイトル、『[[ロックマンゼクス]]』シリーズ第二弾。
-前作から主人公は一新され、前作同様に主人公をグレイ(男)とアッシュ(女)から選択できる。今回は「モデルA」と呼ばれるライブメタルを使用し、セイバーは持たないもののショットやダッシュといった従来のアクションに加えて、''ボスキャラに変身しそのまま操作キャラとして扱う''能力を有している。
--前作の変身形態は見た目などが一部アレンジされており、上記の変身能力によって操作キャラとして使用可能になる。
-またステージ選択式だった従来のロックマンとは違い、『[[メトロイド]]』や昨今の『[[悪魔城ドラキュラ]]』を思わせる「''マップ探索''」を取り入れているのも特徴である。

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**問題点
***ゲーム・システム面
-マップ関連
--マップ探索ゲーなのにほぼ一本道なマップ構成。
---一応隠し部屋があったりするが、サブイベント用の部屋であることが多い。序盤で主人公が看護されていたベッドルームなど、本編ではほとんど出番もなくただの行き止まりとなる部屋がいくつか存在する。
--中盤のエリアはワープでないと行けず、ワープを行えるトランスサーバーも全てハンターキャンプにあるため、結局は''いつものステージ選択式となんら変わりない''仕様になる。
--前作の「マップがわかりにくい」という不満点は、マップの詳細情報を細かく表示し、それぞれに下記のワープポイントを配置することで解消している。~
ただし、前述のように''このゲームは一本道''。
--マップの各エリア毎にワープポイントが配置されており、Eクリスタル(以下EC。所謂お金)を消費して起動できるのだが、起動したワープポイントの情報をセーブするには前述のトランスサーバーまで戻る必要がある。トランスサーバーに一瞬で戻るようなシステムはなく、ワープポイントへの移動は一方通行。そしてトランスサーバーは大抵ボスの部屋の後ろにあり、セーブするためにステージを逆走するのは手間がかかる。~
よってアイテム回収用にしか使えず、折角ワープポイントを起動してもECの無駄使いになることが多い。
---このためやり直しが面倒くさい。高難易度のマニアモードだと何度もやり直しが必要となり得るが、肝心のマニアモードでは1つ起動するのに500ECと大金がかかるので気楽には使えない。
--ミッション形式ではなくなったため、ゲームオーバー後はトランスサーバーからやり直すしかない。

-エリアエクスパンションシステム
--活動拠点であるハンターキャンプを開拓し、拠点エリアを拡大する。住人が増えたり新たなアイテムが手に入るなどの恩恵が得られるという触れ込みだったが……。
--肝心のエリア拡大がかなり小規模で引っ越してくる住民も非常に少なく、大したイベントも発生しない。はっきり言ってかなり薄っぺらい新要素である。
---一応、貴重な「任意のタイミングで使用できる回復アイテム」が得られるというメリットはある。特にマニアモードでのプレイ時は拡大しておくのも悪くはない。

-2周目の要素や隠し要素の魅力に乏しい。
--条件を満たすと使えるようになる隠し変身が、人によってはかなりガッカリなものである。前作のものは強力かつ魅力的な仕様・性能であっただけに、余計にそう思える部分もある。
--また今作には隠しボスはいない。前作のような隠しボスがいることを期待したプレイヤーはガッカリしただろう。

-ボスとして戦う事になるヴァンorエールが弱い。
--前作の主人公であるヴァンorエールとは中盤の終わり頃に遭遇し一度戦うことになるが…はっきり言ってかなり弱い。
--大半の攻撃が壁蹴りしていればほとんど回避出来てしまう為、初見でも対応しやすくあっさり勝てる相手となっている。
--また攻撃の中には''壁に張り付き、ずり落ちながら豆弾を連射する''というパターンがある。前作の主人公という立ち位置から、プレイヤー操作の挙動を再現した演出と思われるが、上記の弱さが目立つおかげで何とも情けなさを感じてしまう。
---一応、その後戦う中ボスを一撃で破壊してみせたり、終盤で敵の四天王を一人で足止めし、主人公を助けてくれるといったストーリー上の見せ場はある。またこれらの演出から、この時点では本気で戦っていなかったと取れなくもない。

-ラスボス(第二形態)が色んな意味でショボすぎる。
--とくに外見。ガレオン(よく見かける雑魚敵)の色違い扱いされる始末。
--その上かなり弱い。初見だと少し戸惑うところがあるが、一見避けにくい攻撃もヘリオスやクロノフォスなら楽に回避できてしまう。攻めに関しても、火力の高いモデルZX(ヴァンorエール)を使えば瞬殺可能。後述のシングルマッチ用に調整されたとしか思えない弱さ。
--防御シールドを解除してからダメージを与えていくという仕様上、ライフゲージが3本ではなく2本なのもラスボスらしくないと言われる。
--トドメとばかりにBGMの評判もよくなく、第一形態の方が評価が高い。
--こうした要素に後述のシナリオ面でのツッコミ所も加わり、登場時のアニメパートで発する「''神になったつもりではない。私は…神だ!!''」という台詞も迷言扱いされるほど。

***アクション面
本作の主人公はロックマン・モデルAに変身すると、モデルAの固有能力として本作最大の売りであるボスキャラへの変身、必殺技「ギガクラッシュ」といった能力が使えるようになるが、以下のように練りこみ不足な部分が多い。

-ライブメタルゲージ(以下LMゲージ。所謂武器エネルギー)満タン時に全ゲージを消費して放つ必殺技ギガクラッシュの使い勝手が悪い。
--攻撃は画面全体より少し広い範囲まで及ぶものの、ゲージ全消費の割に威力が低く、ボスに対して使ってもHPゲージが大して減らない。雑魚すら倒しきれないこともある。
---一応、低難易度のビギナーモードならばかなり頼れる威力となる。
--LMゲージは本作では時間経過で自然回復し、またアイテムを取得することによって上限を増やすことが可能だが、上限が増えてもギガクラッシュの威力は強化されない。単に再発動への回復時間が延びるだけである。
--LMゲージは全変身形態で共有なため、使いどころが難しい。強いて言えば、発動中の無敵時間を利用して回避困難な技をやり過ごすのに使えなくもないが、その点でも無敵時間が短めでゲージ全消費のリスクもあり、有用とは言い難い。
--また、隠し変身の入手条件の中に「''あるボスをギガクラッシュのダメージだけで倒す''」というものがある。達成のためには「ギガクラッシュ発動→LMゲージが溜まるまで逃げ続ける→再度発動…((ボスにほかの攻撃が当たると失敗となるため、ボスが呼び出す雑魚の処理にも気を使うことに。))」の作業となる上、前述の仕様上ゲージ上限を増加していると余計に時間がかかることになる。

-ボスに変身するシステムがあるが、基本的にクセの強いものが多く、ゲームを進めるだけならモデルAと各ロックマンモデルで事足りてしまう。
--中でもフォルスロイドの変身形態はほとんどギミックを動かすだけの存在でしかない。ギミックを動かすために一々変身しなければならず、特定の場所で「使わせられる感」が強くテンポが悪い。
---道中の攻略に活用したり、敵の弱点を突いたりといった事もできなくはないが、ダッシュ・壁蹴り・ハシゴの昇降ができない、特定の場所以外では動きが遅すぎるなど、どのフォルスロイドも移動性能に何かしらの問題点がある。さらに下記の攻撃面での難点も目立ち、とても使えたものではない。
--攻撃手段はメインとサブ、そしてチャージ攻撃が基本となるが、中にはメインとサブが共有・チャージ攻撃が一種類というものもいるなど、攻撃パターンに乏しい。敵対時に発揮していた能力や大技がほとんど活用できないという変身形態もある。
---ギターとそれによる超音波能力を持ちながら操作キャラとしては実質的に物理攻撃しかできず、滞空能力も他ボスの飛行能力と被り気味なコンドロックなど、個性を活かしきれていない例もあるほど。
--大型フォルスロイドであるバイフロスト・ザ・クロコロイドは、その巨体とノロさのせいで使いどころはほぼない。壁蹴りやハシゴの昇降が出来ないのは勿論、''なんと扉をくぐることすらできない。''固有能力として特定のブロックを破壊できる点と、隠しエリアに入るために必要な箇所はあるが、それ以外にあえて使うような場所はないと言っていい。
---上記の理由で「好きなボスに変身して好きなように戦う」という事は難しい。一応、フォルスロイドへの変身だけでクリアする猛者もいるようだが……。

-クロノフォス・ザ・トリデンロイドに変身中のチャージ攻撃「タイムボム(一定時間、自分以外の動きを遅くする)」がバランスブレイカーといえるほど強い。
--クロノフォスは地上では一切移動・攻撃ができないが、地上でもタイムボムの発動は可能。しかも''他のキャラに変身しても効果が持続する上にボスにも有効''なため、モデルZXのような高火力のキャラに変身してしまえば大抵のボスは特にダメージを受けることも無くあっという間に倒せてしまう。
---なお、前述のラスボスは条件次第でタイムボムを無効化する技を放ってくる。%%流石は神というべきか%%
--また固有能力として上からの攻撃を防御できる甲羅を背負っており、この能力も地上で有効なため、安全にチャージしやすい。
--ただし、クロノフォス自体は水中以外だとタイムボム以外なんの行動も取れず、攻撃パターンもタイムボムを含めて2種類しかないと、単体の操作キャラとして見るとかなり貧相な仕様となっている。

-ロックマンモデルにもクセの強いものが多く、使い勝手に差がある。
--基本形態とはいえモデルAの汎用性が高い。モデルZXほどの火力こそないが、共通のサブ攻撃であるホーミングショットはたくさんロックすればするほど威力が増すなど扱いやすく、チャージショットは反射機能により使い勝手のいいアッシュ版・反射はしないが威力が少し高く判定も大きくなっているグレイ版とどちらも優秀であり、戦闘だけならこれ一本で大体は事足りてしまう。
---ちなみにデザイン上は2丁拳銃を所持しているが、2丁を攻撃に用いるのは上記のギガクラッシュと一部のアニメパート内のみと、こちらも微妙に個性を活かしきれていなかったりする。
--モデルZX(ヴァンorエール)は前述のようにボスとしてはパッとしない一方で、プレイヤー操作となると異様な攻撃力を発揮できる。
---その理由として、ローリングスラッシュ(空中回転斬り)のダメージ効率が上がった点が挙げられる。威力は前作と変わっていないのだが、前述のタイムボムやボスのアルゴリズムとの相性が良く、多段ヒットと追撃が格段に狙いやすくなっている。O.I.Sの削除によって他モデルの火力が下がり、相対的に強くなったという点もあるが。
---無論万能というわけではなく、下画面の情報表示機能がない、ギミック解除に活用できないといった欠点はある。とはいえ、理由がなければボス戦ではほとんどこれ一択で済むレベルである。
--前作のモデルFX・モデルHXに相当するアトラス・ヘリオスは、O.I.Sの削除はあるがそれぞれに相応の強みがあり、十分な使い勝手を維持している。
---しかし、前作のモデルLX・モデルPXがベースとなっているテティス・シャルナクは、相変わらず他モデルに使い勝手で劣る。前作より改善された点はあるのだが、攻撃パターンの少なさや、O.I.Sの削除による火力低下とモデルPXのシャドウダッシュの消滅が響き、格差が残ったままである。
--前作と比べ、外見の違和感を指摘されることもある。例えばモデルPを使用するシャルナクは、忍者というよりもはや妖怪である。

-バランス調整が不安定な最終面の構成。
--それまでの面と比べて、人によっては難易度がかなり上がるステージ構成となっている。
#region(具体的には……)
おびただしく配置された、ロックマンシリーズではおなじみの触れると即死するトゲ。~
破壊可能かつ一定時間で復活し、挟まれるとエキスパートモード(中難易度)以上では即死する細胞のようなブロック。~
こういった即死ギミックが大量に配置されており、このような形で雑に難易度を調整するところが『[[ロックマンX6]]』に近いと言われることも。
#endregion

***シナリオ・設定面
ハンター、レギオンズ、三賢人、本作の根幹を構成するこれらの重要要素すべてが後付けであり、
こうしたあからさまな「後付け設定」で構成された本編とこれにより発生する数々の矛盾点が目立つ。~
そうした要素を除いても、全体的に粗やツッコミ所が多めである。

-前作絡みの問題点
--前作のラストで「モデルVは破壊された」ことをアピールしておきながら「''実はモデルVはたくさんあったのだ''」という展開。~
前作の功績すら否定する有様。
--前作ではサイバーエルフは使用こそできないが設定上は存在しており物語にも関わっていたのに、今作では一切登場せず、存在自体が完全に忘れられていると言っていい扱いに。
---一応、テティスに変身時の下画面にそれらしい表示はあるが、前作のモデルLXの機能を引き継いだだけでありストーリー上で言及されることもない。
--一部のステージは前作に登場したステージと同一であるという設定があるが、ほとんどが原型を留めておらず同一の場所である必要性がない。
---そのうちの一つで重要な施設とされるコントロールセンターは、前作のラストステージであるセルパン・カンパニーの本社ビルと同一なのだが、前作で大爆発を起こしたので''現在は当然廃墟''。特にキレイに整備されているわけでも無く、今にも倒壊しそうな廃ビルをそのまま流用というツッコミ所の多い設定である。
--ヴァンorエールが三賢人を知らなかった。一応世界の最高権力者なのだが……。
---しかも三賢人のいるレギオンズ本部は前作と同じ街にある設定。
--ヴァンorエールとプロメテ&パンドラは前作において深い因縁があるのだが、今回のストーリー中両者は''全く出会わない''。下記の主人公変更の影響をモロに受けた結果であろう。
--前作のストーリーに関わっていた「主人公側」の登場人物がヴァンorエールだけで、プレリーや四天王モデル等は揃って声なしどころか顔も見せない。
---前作のライブメタルはモデルZとX以外は何の説明もなしに奪われており、意識を消されたまま敵に使われているという設定になっている。
#region(ネタバレ)
モデルZはエンディングで行方不明になる。体を張って敵の四天王を足止めした結果なのだが、当の四天王は下記の隠しEDで何事もなかったかのようにケロっと出てくる。一応、4人共黒幕に洗脳されているかのような描写はあるが……。
#endregion
---一応、前作のストーリーに関わらない登場人物はそこそこ続投している。

-グレイとアッシュはそれぞれ排他的な存在であり、作中で二人が会うことはもちろん、設定として共存していることもない。
--一方でアッシュ編終盤にて、グレイ編で彼が封印されていた謎の研究所に入ると「誰かが戦った跡がある」という旨の発言が出てくる。~
しかし、そもそもアッシュがロックマンに変身できる以上グレイの存在が成り立たない等の矛盾が多数存在する上、以降も特に触れられないため、この点は結局謎のままで終わってしまう。
//-''序盤でいきなり自ら正体をあらわす黒幕''。

-シナリオの真相部分が残念
#region(グレイ(男主人公)編ネタバレ)
グレイは過去の記憶がなく、初登場の時点で謎の研究所のカプセルから現れるなど意味有りげな背景を持つキャラである。~
そしてラスボス戦前の会話でようやくわかる真相は''「グレイ(の肉体)はラスボスに万が一の事があった際のスペアボディ」''だったというもの。下記の経緯もあり、グレイ本人は大して驚いていない。
-シナリオ上でエールに諭され、「自分の正体を知るための戦い」ではなく途中から「皆を守るための戦い」へと目的がシフトしているので、絶望や驚嘆といった展開も過度にやりすぎるとおかしくはあるのだが、あんまりな真相である。
-この設定へのツッコミ所も多く、「究極のロックマン」だの「神」だの自負しておきながら、想像上でしかない何者かに倒される事を想定してどうするのか。それに、''スペアボディであるのに何故外見が少年なのか。そして明らかに自分でない人格がプログラムされているのは何故だ''。
--一応考察すると、ソックリなスペアボディかつ人格だと蘇った理由が簡単にバレてしまう、更にそのスペアに取って代わられる可能性があるのでそれを恐れてカモフラージュの為に外見を変え、万一の機能停止に陥る事態に備えてある程度自立活動ができるように別人格のプログラムを入れたのだと思われるが……ますます小物じみて見える。
-敵もモデルAも「真相を知ったら絶望する」だのなんだの言って散々引っ張っていたのに、上記のようにプレイヤー目線でも拍子抜けな展開となってしまっている。
#endregion
#region(アッシュ(女主人公)編ネタバレ)
アッシュは「過去にイレギュラー襲撃から生き延びた孤児」という経緯はあったのだが、同じくラスボス戦前まで引っ張られた彼女の真相は''「実はラスボスの遠い子孫だった」''というもの。やはりアッシュ本人も大して驚いてはいない。
//---ただ、自分を「神」だと自負し変身アイテム作るなど色々イタイ行動をやらかしていた人物が先祖だったというのはある意味絶望しそうである……がそれならグレイの方がもっと絶望的だろう。
-一応、ライブメタルを用いた変身(ロックオン)にはラスボスの組み込んだデータが必要にもかかわらず、アッシュはラスボスの干渉を一切受けず自身の血のつながりだけでロックオンでき、しかもイレギュラーの襲撃からも生存できたという事実は[[ドラゴンクエストシリーズ]]の勇者に代表される特別な設定ではある。無理に謎をラストまで引っ張らず、別方向で物語を構成すればまた違った評価となったかもしれない。
--そもそも前作では、ヴァンとエールでストーリーと各ライブメタルおよびモデルVの設定が微妙に異なっていたにもかかわらず、今回はエールのストーリーをベースに作られているため、ヴァンが登場するアッシュのルートも同じストーリーとなっている時点で割を食っていたりする。
#endregion
#region(ちなみに、モデルAは)
ヴァンorエール戦後に全ての記憶を取り戻したモデルAは、上記のトンデモ展開のことも全て知り''驚きのあまり思わず口を閉ざしてしまう''が、最終的に主人公らの説得によってそれまで通りの仲間でいることを選んでいる。~
もちろん、プレイヤー目線ではそんなに口を噤むほど重大な事実でもなかったのだが……。
#endregion

-さらに、誰もが"アイツ"だと思っていたモデルAの正体は……。
#region(ネタバレ)
モデルA(アルバート)、つまりラスボスの劣化コピーみたいなもので、『X』シリーズのアクセルではないのである。一応スタッフは「アルバートはアクセルを参考にして作ったんじゃないかな」と曖昧な発言で期待を煽っていたが……。
--しかし発売後の2010年に「パラレルワールド設定」が公式設定となった為、''『[[ロックマンX7>ロックマンX7]]』以降の物語はこの世界では存在していない''。つまりアクセルというレプリロイドも存在していなかったことになる。
-スタッフ側としてはミスリードからの意外性を狙いたかったのかも知れないが、ファンとしては純粋なファンサービスかと思っていたところでのコレであり、結果としてガッカリなオチになってしまった。
--これに限らず、シナリオの不出来もあって、中途半端なファンサービスに終わってしまっている要素もいくつか目立つ。
//---「黒幕が誰か」も、これまでのロックマンシリーズのキャラクターのフルネームを覚えているプレイヤーなら、そいつの初登場時点でいきなり何となく予想が付いてしまう。過去作へのオマージュにしても、シナリオ的にそれはどうなのかと言う話である。
//マスタートーマスのこともあるからこれは一概には言えないんじゃないかな
#endregion

-エンディングでの演出について。
--挿入歌((普通に考えればエンディングテーマだが、序盤にも使われた為か挿入歌とされている。))「未来へ続く風」に乗せてスタッフロールが流れる。~
容量等の問題でイントロしか導入できなかった『ゼロ4』や、そもそも主題歌が無い前作と違い、DSにもかかわらず((PSPならボーカル付の主題歌が入っているゲームは相当数あるが、DSでは非常に珍しい。))まるでTVサイズのようにまるまるワンコーラス入れたところは評価に値する。~
……が、スタッフロールの途中で曲は止まり、ラスボスのテーマ曲が流れ始め、スタッフロールの最後までずっと続く。この曲は敵サイドを象徴する暗い曲で、あまりにエンディングには似つかわしくない。~
この演出はマニアモードクリア時の隠しEDの伏線であるのだが、隠しEDを見られない初回クリア時にも流れるので、初回クリア時はさぞ首をかしげることになっただろう。
---黒幕との決着は次作以降に持ち越された形であるため、本作をクリアしても単に後味が悪いだけである。

-『ZX』の続編な割には、主人公が変わったこともあり、前作の伏線がほんの一部しか解消されない。
--[[シナリオ担当のスタッフインタビュー>http://www.capcom-fc.com/rockman_zx/2007/05/vol2.html]]によると、プロデューサー(インティ・クリエイツの社長である會澤氏)の鶴の一声で新たな主人公の登場が決定したとの事。この主人公交代が原因で当初想定していたアイデアが使えなくなり、一から考えざるを得なくなったらしい。

***その他

-グレイ編でのエールの変身アニメパートが、妙に長すぎて違和感しか感じない。
--その所要時間約1分半。ちなみにアッシュ編で流れるヴァンの変身アニメは約1分で、両主人公の初変身アニメは40~50秒ほど。これらの変身アニメと比較しても「引き伸ばしすぎでは?」と思える長さである。

-ミニゲームの問題点
--本編で条件を満たすと、前作で好評だった落ち物パズルゲーム「エナジーコンバーター」をプレイする事ができるが……。
---ミニゲームとしての完成度は前作を踏襲しているので悪くは無いのだが、このミニゲームはまさかの''通信対戦専用''という特殊過ぎる仕様であり、ぼっちプレイヤーではミニゲームに触れる事''すら''出来ない有様。~
対戦に特化するとしても、一人用モードくらいは用意すべきだろう。
--本編に登場したボスキャラ達と再戦できるゲームが二つあり、一つはエキスパートモードの中難易度仕様で連戦する「サバイバルロード」、もう一つはマニアモードの高難易度仕様でボスを選択して戦う「シングルマッチ」である。
---このミニゲームの最大の問題点として''エキスパート仕様でのシングルマッチが無い''。~
その上シングルマッチはサバイバルロードをクリアしなければ出現しないので、ほぼ全てのボスに対応できなければ個別戦ができないという謎仕様。普通は逆ではないだろうか?
//---そもそも、ボスラッシュなのにミニゲームを名乗っているのはおかしい。せめてクリア後のおまけモードとして別途追加すれば良かったのでは?
--「ロックマンa(アンティーク)」という、ファミコン風のグラフィックとゲームシステム、8bitで前作のBGMをアレンジした曲を使用したミニゲームがあり、これ自体の完成度は高いのだが意図的なのかBGMに1ヶ所''盛大に外している音がある''為、違和感がすさまじい。
---なお、各ステージに登場するボスは全て''本編のラスボス''。最終面では『[[ロックマン7>ロックマン7 宿命の対決!]]』の最終ボスと同じ攻撃を仕掛けてくるが、「サーチ弾を撃った後にワープする」「サーチ弾→地を走る電撃のパターンがない」「無敵時間がない」といった相違点がある。
--残りのミニゲームは本編に登場したキャラクターを使用したクイズ形式の「クイズアドベント」だが、普通過ぎる出来や他のミニゲームが非常に個性的な点からか影が薄い。

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**評価点・前作からの改善点
-セーブが3つから『ゼロ』シリーズに並ぶ5つに増えた。

-下画面をタッチするだけで変身することもできるようになり、変身する際のテンポは良くなった。
--この要素はインティ・クリエイツが後に製作した『[[蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪]]』にも引き継がれている。

-前作では変身を解かないとNPCに話しかけてもまともに対応してもらえないことが多かったが、今作では変身していても普通に会話ができるようになった。
--ボスキャラに変身中に話しかけようとすると自動でモデルAに戻るなど、前作での会話の煩わしさは解消されている。

-前作ではアイテム取得でしか回復しなかったLMゲージだが、本作では前述のように時間経過でも回復するようになった。
--途中回復が困難なボス戦でも、ゲージを利用した行動を多用して立ち回りやすくなっている。

-ステージの場所が分かりやすくなったため、道に迷い辛くなった。
--ただし、探索要素が薄まったため、完全に良いとはいえない部分である。

-ボスとステージの数が前作より増えた。
--ミッション数自体は前作と同じ(というより『ゼロ』シリーズから変わらず)16なのだが、前作ではボスがいないどころかキャラとの会話だけで終わるミッションが存在した為、純粋にアクションステージ数は増えたと言える。

-前作ではボスの弱点部位を突くとデメリットが発生したが、今作ではデメリットがほぼなくなった。
--前作では高得点のために「(やたら大きい)弱点部位以外にのみ攻撃を当てる」ことを強いられていたが、仕様変更によりストレスなくボス戦に臨めるようになっている。
--もっとも、弱点部位そのものが小さくなっているので弱点を突き放題かというとそうでもない。この辺りはバランス調整の結果といえる。
---ただし、隠し変身の入手条件の中には前作の様に「弱点部位以外にのみ攻撃を当てて撃破」する物も存在する。

-前作のボスラッシュではボスを撃破しても回復アイテムが出現しなかったが、本作では回復アイテムが出現する仕様になった。
--これに関しては、『[[ロックマン ロックマン]]』と前作の2作で見られた難のある仕様を従来の仕様に戻した形となっている。

-主人公二人は男女でモデル系のボスの行動と、生身及びモデルAのノーマルショット、さらに各モデルのチャージショットや一部の技が異なるなど、ストーリー以外のゲーム内容に明確な差が付けられている。
--前作ではストーリー以外に違いがなかった。

-『ゼロ』シリーズ及び前作での『ZX』ではセイバーで敵を倒すと真っ二つになる演出が存在していたが、今作はそれに加えてチャージショットで倒した時にも「敵に風穴が開く」という特殊演出が付くようになった。

-隠し要素や小ネタが充実した。
--前述したボスと再戦できるミニゲームや、レトロな雰囲気のロックマンαなど、隠し要素は前作より増加している。
---ストーリー内では一度しか戦えない一部ボスとも再戦できる上、各変身形態も自由に使えるので、前述のバイフロストを%%ゴリ押しで%%活躍させる縛りプレイといったものも可能である。
--あるエリアにはコンテナが置いてあるのだが、一部の中身がDS本体の時計の月によって変化するという凝った仕様もある。
--小ネタはロックマンシリーズ関係の物が多いが、[[ガンダム>ガンダムシリーズ]]や[[仮面ライダー>仮面ライダーシリーズ]]関係の小ネタもちらほら見られる。
---ストーリーに登場するレポートナンバーが各ガンダム作品の年代表記であったり、ディアバーンの「メテオキック」が[[クリムゾンスマッシュ>仮面ライダー555]]を意識した見た目であったりする。
//仮面ライダー関係の小ネタは前作でも存在している。恐らく「ZX」と「仮面ライダーZX(ゼクロス)」を引っかけているのかも。

-キャラ作りはしっかりしている。
--テンションの高いロッケンローなコンドロック、''男を見ると異常に興奮するオジ様''ローズパーク(ちなみにモチーフは''薔薇''である%%アッー!%%)、御嬢カイゼミーネ、独特な口調のヘリオス(『ヘリオス語』でググろう!)等。
--コンドロックは文字通り「''ロックな''(疑似)''ロックマン''」だったり、テスラットは「[[黄色い電気ネズミ>ポケットモンスターシリーズ]]で、[[転がりによるダッシュ>ソニックシリーズ]]を行う」など、設定面でもユニークな要素が多い。
--戦闘のアルゴリズムも今までにない物ばかりで、新鮮味があり戦闘そのものはそこそこ楽しめる。

-前述のように新キャラクターばかりであるが、声優陣は実力派が揃っており、上記の濃いキャラクター性を存分に演出している。
--変身中はそれぞれのキャラにボイスも変わるため、特にアッシュで男性型ボスに変身した状態でダメージを受けると愉快なことになる。%%野島健児やら谷山紀章やら銀河万丈やらの声で鳴いてくれます%%

-一部の曲に上述したような難点はあるが、BGMそのものはおおむね高評価である。~
公式のリマスターサウンドトラックでは、前述のラスボス戦BGMも聴き応えのある出来に仕上がっている。

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**総評
前作よりも探索要素を強調したような宣伝をしていたにもかかわらず、実際には探索要素などほとんどない。~
長く続いているシリーズだけあってアクションゲームとしての基礎の部分は出来ているのだが、ステージは足止めを食いやすい構成でテンポが悪く、少なからずプレイヤーのストレスに繋がりやすい。~
加えてシナリオ、設定は全体的に粗が目立つなど微妙な要素が目立ち、評判は否よりとなってしまった。~
ゲーム内に散らばる小ネタや隠し要素などはロックマン好きならニヤリとするほどの愛に溢れているのだが、肝心のゲーム部分やシナリオが練り込み不足であったのが惜しいところ。~
とはいえ前作と比較して快適になった仕様も多く、もとより基本システムは完成されているので、シリーズ初プレイなら相応に楽しめる一作、とも言えるだろう。
//-前作は基本的にセイバーとバスターで戦う『ゼロ』シリーズに近いものだったが、今作はバスターとロックオンレーザーのため『Xシリーズ』に近いものである。そのためゼロシリーズを好んだ人とは路線が違った。
//-前作と今作どちらが好きかは好みが分かれるが、どっちもロックマンゼロシリーズに及ばないというのが大方の意見。
//--足止めをされる場面も多く、スピード感が損なわれている点もゼロシリーズに劣っている部分である。
//-アクションゲームとしてはデキはいいが、ロックマンゼロシリーズにあった尖った感じがなく、前作よりも難易度が落ちる。

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**その他
//-公式サイトがバグ(?)により表示されないことが頻繁に起こる。
-シナリオ担当の矢部誠氏は、『ゼロ』シリーズの方でも一部シナリオを手掛けていてそちらは比較的好評であったが、本作のクオリティは「本当に『ゼロ』のシナリオを手がけた人と同一人物?」と思われるくらい粗い。『ZX』に入ってからキャラデザやアニメパートの作画監督もするようになったのだが、仕事の掛け持ちの影響がクオリティに響いているようにしか見えない。二足のワラジを履き損ねたのだろうか((もともと『ゼロ』シリーズの時から背景グラフィックとの二足のワラジではあるのだが。))。
--多くの仕事を抱えた状態で、前述の急な主人公変更に合わせてシナリオを作り直さなければならなかった、という点では同情の余地が無いでもないが。
--ちなみに肩書きも『ZX』以降イラストレーターに変わっている。

-海外版は文章のローカライズに加えてインティ製ロックマンシリーズで初めて現地声優によるボイスの吹き替えが行われたが、続編が潰れた事や以降のインティ製シリーズ作品がファミコン風だったりカップリング作品である関係で、結局本作限りで終わってしまった。

-上記の隠しENDで続編を露骨に匂わせる終わり方を迎えるが、発売から''10年以上''経過するも続編に関しては音沙汰なしである。
--また、以降のロックマンシリーズ作品における主人公集合イラストでもグレイ&アッシュは描かれておらず、スマホゲーム『ロックマンXover』のカード等の端役出演程度に留まっている。
--その後インティ・クリエイツは『[[ロックマン9>ロックマン9 野望の復活!!]]』及び『[[ロックマン10>ロックマン10 宇宙からの脅威!!]]』を製作している。
---ちなみにこの2作はFC風のグラフィックや操作感を再現した作品で、その件に関しては賛否両論あるもののゲームとしての評価は上々。『ゼロ』シリーズでの実績や、今作のミニゲーム『ロックマンa』でのFC風の再現技術が活かされた結果とも言えるだろう。
--2010年6月10日には『ゼロ』シリーズをまとめて移植した『[[ロックマンゼロCOLLECTION]]』が発売されたものの、後述の移植作まで『ZX』シリーズの展開は長らく途絶えていた。
---なお、インティ・クリエイツはこの『ゼロコレ』を以てカプコンから離れ、『Mighty No. 9』の開発に携わったり、独自のIP『[[ガンヴォルト>蒼き雷霆 ガンヴォルト]]』シリーズを立ち上げている。

-2020年2月27日にSwich/PS4/One/Steamにて『[[ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション]]』が発売され、本シリーズのファンからも驚きと歓喜をもって迎えられた。~
『ゼロ』シリーズ4作と本作含む『ZX』シリーズ2作を収録した移植作で、新システムなどの詳細は該当項目を参照。