「イーハトーヴォ物語」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

イーハトーヴォ物語 - (2014/02/19 (水) 00:13:03) のソース

*イーハトーヴォ物語
【いーはとーヴぉものがたり】
|ジャンル|RPG|&image(miyazawa_front.jpg,width=100)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|発売元|ヘクト|~|
|発売日|1993年3月5日|~|
|定価|9,700円|~|
|ポイント|宮沢賢治ワールドでの漫遊記|~|

**概要
-作家『宮沢賢治』の童話作品を一まとめにした世界観を持つゲーム。タイトルのイーハトーヴォとは宮沢賢治が作った岩手を指す造語である。
--とは言う物の、舞台となる世界は別に岩手ではなく、幻想郷イーハトーヴォである。
-プレイヤーである「私」は、宮沢賢治先生に会うべく彼の残した手帳を探し求めてイーハトーヴォを巡ることになる。
--全9章仕立てになっており、各章は「貝の火」・「グスコーブドリの伝記」といった宮沢賢治の短編童話に沿ったシナリオで構成されている。

**特徴
-概要の時点で異質感に溢れているが、このゲームはRPGと言うジャンル名ながらも戦闘や買物と言ったシステムが一切無い。
--勿論主人公のステータス成長と言った要素も無い。プレイヤーが行なうのは移動とキャラクターとの会話である。
--そんなわけでRPG的に言うならば「○○をやってきてくれ」「○○だったらいいのに」と言うのをこなしてシナリオを進めるだけのお使いゲーである。
--本来ならADVに分類されるべき作品。類似のコンセプトのゲームとして『King's Quest』などがあり、北米ではADVの一形態として認識されている。日本でも『オールド・ヴィレッジ・ストーリー』等があるが、この形態を持つADVは少数に留まった。この認知度の低さが、本作をRPGというジャンルと称した理由の一つとなったのだろう。
-宮沢賢治童話の雰囲気は至極丁寧に表現されている。
--イーハトーヴォに登場する主要なキャラは、主人公の「私」と賢治先生を除く全員が童話の登場人物である。原作の数が多いためオールスターとまではいえないものの、有名なキャラクターは粗方登場している。
--各キャラは原作の性格に沿った再現がされていて、雰囲気をぶち壊すようなことはない。
--各章の話は若干のクロスオーバー要素を含むものの、基本的には大元の童話の流れに沿っている。良くいえば原作再現、悪く言えば教科書通りと言った出来栄え。
---ただし、童話の内容や宮沢賢治の生涯に関する知識があることを前提とした作りになっているので、原作を知らない人には意味不明この上ない。
--羅須地人協会((宮沢賢治の私塾であり、実在した建物))やイーハトーヴォ農学校、カイロ団長の店、猫の事務所といった建物が、違和感なく一つの世界にまとまっている。
-グラフィックとBGMの出来は素晴らしい。派手さは一切ないが、宮沢賢治の世界を見事に演出している。
--本作のエンディング演出はSFCソフト全体でみても秀逸なもので、一見の価値あり。
--多和田吏氏によるBGMは特に評価が高い。中でもメインテーマであるイーハトーヴォ賛歌はヒーリングミュージックCDや、オーケストラによるゲーム音楽コンサート5にて、ドラクエやクロノトリガー等のメジャー作品に並んで収録される程。
--ドのつくマイナーゲームであるにも関わらず、発売から9年たった2002年にサウンドトラックが復刻されると言うのも稀有な例である。

**総評
 一つのゲームとしてみれば、戦闘や成長と言った概念から外れた、雰囲気を楽しむRPGである。むしろその実態はADVそのもの。だが、大した謎解きもなく、お使いばかりのゲーム性と一見さんお断りのシナリオは万人向けとは言い難い。~
 宮沢賢治と彼の作品が好きなファン向けのゲームであるといえる。ただそのファンにとっては、十分満足できるものだ。