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聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~ - (2021/05/05 (水) 19:02:43) のソース

*聖剣伝説 ~ファイナルファンタジー外伝~
【せいけんでんせつ ふぁいなるふぁんたじーがいでん】
|ジャンル|アクションRPG|CENTER:&image(http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4255&file=sd.jpg,height=200)[[高解像度で見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4255&file=sd.jpg]] [[裏を見る>http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4255&file=sdb.jpg]]|
|対応機種|ゲームボーイ|~|
|発売・開発元|スクウェア|~|
|発売日|1991年6月28日|~|
|定価|4,800円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|セーブデータ|2個(バッテリーバックアップ)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|聖剣伝説シリーズ第1作目&br;FF外伝の名の通りFFお馴染みのものが多数登場|~|
|>|>|CENTER:''[[聖剣伝説シリーズ]]''|
|>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
聖剣伝説シリーズの第1作。『ファイナルファンタジー(FF)』シリーズの外伝的作品としてリリースされた。~
「FF外伝」と名乗るだけあって、固有名詞にはポーションやエリクサー、ケアル、ファイア、フレアといったFFシリーズでお馴染みのものが多く使われている。チョコボや飛空艇も登場しており、グラフィックからも当時のFFシリーズの雰囲気が感じられる。~

伊藤賢治、石井浩一、北瀬佳範など、後のスクウェアの大作シリーズに関わるスタッフが参加している。

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&font(b,16){ストーリー}
>グランス公国の統治者シャドウナイトの打倒に失敗した主人公は奴隷剣士としてモンスターと戦わされる日々を過ごしていた。~
次々と仲間の奴隷戦士たちが戦いで倒れていく中で、主人公は「マナの樹」の危機と、それを救う「ジェマの騎士」ボガードの存在を知る。
> 
>隙を見て脱出には成功した主人公だったが、城の近くにある滝の見える崖の上で公国を統べるシャドウナイトと、~
その側近ジュリアスの密談を偶然盗み聞きしてしまい、気づかれて滝壷に落とされ気を失ってしまう。
> 
>目を覚ました主人公は見知らぬ土地をさまよい、モンスターに襲われている少女を助ける。~
力尽きた護衛に彼女を託され、2人はボガードの元を目指す。
>
>こうして、主人公は大きな運命の波に飲まれていく……。
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&font(b,16){キャラクター}

#region(味方サイド)
主人公とヒロインにはデフォルト名は無い。ゲーム前にプレイヤーが自由に名前を付ける事になる(最大4文字まで)。~
また、サブキャラの一部にはNPCとして仲間になる者もおり、通常攻撃などは勿論、「相談」コマンドで支援してくれたりヒントを聞ける。また、敵の攻撃を一切受け付けない仕様。

-ヒーロー(デフォルト名なし)
--本作の主人公。圧政を敷くシャドウナイトを打倒しようとしたが敗れてしまい、奴隷剣士としてモンスターと戦う見世物になる日々を送っていたが脱走を決意。
-ヒロイン(デフォルト名なし)
--モンスターに襲われているところをヒーロー(主人公)に救済される。不思議なペンダントを持っているが・・・
-ウイリー
--奴隷仲間。ジェマの騎士の事を主人公に話した後に息を引き取る。
-アマンダ
--奴隷仲間。後に再会する事になるが・・・
-レスター
--アマンダの弟。ジャドの街に住んでいる。音楽が上手い。デビアスにオウムにされる。
-ワッツ
--ドワーフ。ミスリル入手後にミスリル製の装備を売ってくれる。
-ボガード
--かつてはジェマの騎士として活躍していた老剣士。
-チョコボ
--タマゴから生まれた。主人公を乗せて走る!!ただし寒いところは大の苦手。
-ボンボヤジ
--機械の扱いが得意な発明家。後のシリーズでも常連となる髭オヤジ。
-旅の男
--旅の魔法使い。
-シーバ
--1000歳以上の聖都ウェンデルの大賢者。氷漬けにされた事もある。
-マーシー
--遺跡探索ロボット「マミー・シーカー」。ボンボヤジに作られた。戦闘サポートの他に遺跡内部の箇所を解読・解説してくれる。

#endregion
#region(敵サイド)
-シャドウナイト
--グランス公国を支配するグランス城の主。領主であった父親を殺したと噂される残忍な人物。自分の娯楽のために奴隷を戦わせている。マナの力を欲している。
-ジュリアス
--シャドウナイトの部下である魔道士。あらゆる策を講じて来る。
-デビアス
--ジャドの街を支配している。卑劣かつ卑怯な性格だが、シャドウナイトに対する忠誠は最後まで本物だった。
#endregion

#region(モンスター系)
-ゴブリンやウェアウルフといったFFシリーズの定番から、ラビ、マイコニド、グレムリン、シャドウゼロ、アイスパイ、ソード系など本作独自の個性的なデザインのザコ敵が豊富におり、一部はシリーズの定番となる。
--バネクジャコは次回からお助けキャラになる。LOMではまた敵となるが。
--なお、ボスを除けばゲーム内でモンスターの名前は見られない。
-ボスキャラクターもバンパイア、マンティスアント、フルメタルハガーなど次作以降も登場するものも含め種類豊富にいる。
#endregion

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**特徴
-ジャンルとしては見下ろし型画面の2DARPGとなっており、言うまでもなく『[[ゼルダの伝説]]』に近いものとなっている。
--これはディレクターを務めた石井氏が同作のファンであったことと、石井氏がそれまで携わっていた『ファイナルファンタジー』シリーズとの差別化を求められた故にこのような仕様になったとのこと。
--画面から別画面への移動方式、パズル的要素なども『ゼルダ』を連想させるが、同作との違いとして一般的なRPGと同じレベル・経験値制を採用していることがあげられる。
---レベルアップ時には4つのジョブタイプを選択し、任意の能力を伸ばすことができる。

-フィールドとダンジョンの概念があり、どちらにも様々な仕掛けが配置されており、武器の特性や魔法、NPCによるヒント等を利用して突破していくことになる。
--ダンジョン内にはところどころ鍵がかかった部屋がある。鍵は各地にあるショップであらかじめ購入するかモンスターを倒して入手する。
---また、ダンジョンにはマトック((つるはしの一種。『ドルアーガの塔』や『ドラゴンスレイヤー』シリーズなどのレトロゲーではこちらの表記が採用されていたので、その影響と思われる。))で壁を壊すことで発見できる隠し通路や、壷を壊して発見できる階段等も存在する。
---普通には開かない扉もあり、開くためには敵を全滅させたり、スイッチを押したりとひと工夫する必要がある。

-セーブはイベント中でなければいつでも任意のタイミングで可能。
--電池の残りが気になる携帯機としてはありがたく、ボス戦直前にもセーブできるためやり直しがききやすい。もっとも後述の通りこれが仇になるケースもあるが。

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**評価点
-冒険しがいのあるフィールドとダンジョン
--フィールドは縦横16×16エリア用意されており、これに加え各地のダンジョンもあるのでGBということを考慮したなら十分広い。
---ちなみにこれは奇しくも翌年発売された本家『[[夢をみる島>ゼルダの伝説 夢をみる島]]』と同じ広さとなっている。
--ダンジョンの謎解きは多くは直感的に解けるようになっており、マトックを利用できる壁は叩けば判別可能な他、重要な通路はいかにも気になるようにオブジェクトが配置されていたり、勝手に動く床に阻まれ簡単に入りにくいようになっている。
---また鍵がなくなって詰まりそうになるダンジョンでも、必ず鍵を持ったモンスターが存在するためハマりにくいというプレーヤーのことを考えた親切な仕様になっている(ただし一部ハマってしまうダンジョンがある。後述)。
--ダンジョン内部はオートマッピングされるのでメモを取らなくても迷いにくいという手軽に遊びたい携帯機ということを考慮したユーザーフレンドリィな機能もついている。ただし当時の技術上の制約で電源を切ると消えてしまう。

-ストーリー
--GB音源の音楽とマッチした切ないストーリーが携帯ゲームの姿を借りてやって来た。その完成度の高さと素晴らしさも忘れてはいけない。ファンの間では初代にして至高の出来とも言われるほど。
--各キャラクターの個性がしっかりと立っており、音楽やグラフィックを織り交ぜながらもヒーローは新たな出会いや悲しい別れを繰り返し心身ともに強くなっていく姿は、その都度プレイヤーの心を打つ素晴らしい出来になっている。
---中盤に主人公がある「決断」をする場面においてはプレーヤー自身が操作して直接手を下すというゲームという媒体を生かしたシナリオ展開となっており、GBという制約の多いハードながらもそれをものともしなかった印象的なイベントとして挙げられやすい。
---FFシリーズおなじみのチョコボは、本作では主人公と密接に関わり、物語の途中で自暴自棄になった主人公を立ち直らせるきっかけを作ったりと、名脇役でもあった。
---エンディングについても有名だが、こちらについては賛否両論点を参照して欲しい。

-ゲームシステム
--機種の制約を感じながらも、様々な武器で敵を倒していく爽快感がしっかり作り込まれている。
--次回作以降と比べるとアクション要素が強い。((ただしこの点に関しては当時の技術の限界もあり、後述する問題点もはらんでいる。))
---全ての攻撃は位置取りで避けられるし、飛び道具ならばこちらの攻撃で打ち消すことが可能。
---アクションで対処できない攻撃や、逆にアクションが命中したのに確率で回避されたりするような仕様は無い。
--画面下にゲージがあり、何も攻撃しない状態で徐々に溜まっていく。ゲージを最大まで溜めた状態で武器を振るとそれに応じた特殊攻撃を繰り出せる。攻撃力が上がるのは勿論、更に後述する効果もある。また、魔法の場合は威力が上がる。
---最初は溜まるスピードがものすごく遅いが、「精神」のステータスが上がるにつれ早くなり、利用価値も高まっていく。
--レベル制とポイントの割り振りで自分のプレイスタイルに合わせたキャラを育成できる。普通にプレイしていればちょうどほどよい適正レベルになるよう習得経験値のバランスも良好。
---システムの似てる『ゼルダ』はレベル制を採用していないためハートとアイテムの揃った後半の方が簡単になりがちな傾向にあるのだが、本作は雑魚とも戦っていないとボス戦で苦戦すると共に、あえて低レベルクリアを狙う遊びの幅も用意しており、同ジャンルの先人であった『ゼルダ』とうまく差別化できていると言える。
--剣は扱いやすく特殊攻撃が2つある、オノは振りは少し遅いが当たり判定が少し広めで木を切り倒せる、フレイルはリーチが長く杭に引っ掛けて移動にも使えるなど、武器の種類と性能も様々。
--魔法のひとつ「ブリザド」は、本作は単なる攻撃ではなく当てた敵を雪ダルマにする。また、その雪ダルマをスイッチに乗せるという仕掛けもある。
--仲間キャラは当たり判定が無いので完全無敵、エリアを移動すると自動的についてくるので邪魔になることはない。
---キャラごとに決められた攻撃方法で主人公をサポートしてくれる。
---攻撃を行わないキャラでも「相談」コマンドにより、ヒロインであれば体力を徐々に回復したり、チョコボであれば主人公を乗せて無敵状態で高速移動するなどの特技を使える。

-音楽
--伊藤賢治氏が作曲した多数の名曲はGB音源でありながらもとても根強い人気を誇る。
--特にタイトル画面で流れるメロディアスで穏やかな「Rising Sun」はその曲調と本編のとある場面で流れる演出も相まって人気が高い。勇ましいフレーズが耳に残る後半フィールド曲「聖剣を求めて」も伊藤氏の最初期の代表曲として扱われる名曲。


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**賛否両論点
//当時のスペックやプレイヤー層を考慮すると難点というほどでは無いと思ったので分離
-''衝撃的で切ない結末''

#region(ネタバレ注意)
-艱難辛苦を経て、攫われたヒロインと再会し、彼女と共にラスボスを倒した主人公。しかしマナの木は失われてしまった。そこに現れるヒロインの母の霊。彼女が先代のマナの木であったのだ。マナの一族最後の生き残りであったヒロインにマナの木になるという使命を告げる母。そしてヒロインは自らの意思でマナの木になる事を決意し、主人公に別れを告げる。主人公はジェマの騎士として新たに生まれたマナの木を見守っていくことになるのであった。
--子供向けの作品が多かったGBでは(任天堂ハードにおいては過去に『アスピック』、『[[銀河の三人]]』などがある)異例のバッドエンドとも取れる切ないラストは、多くのプレイヤーに衝撃を与え、涙腺を絞った。一方で、特に年少のプレイヤーからは「ラスボスを倒したのにこんな結末なんてふざけんな」と憤る声もあった。ただ、伏線は事前にきっちりと張られており、物語的な整合性に問題があるという訳ではない。
-後のリメイク『[[新約 聖剣伝説]]』でもこの結末は踏襲されたものの、設定の改変からこの結末に至る整合性が損なわれる結果となってしまっている。
#endregion

-敵の動きがいい加減
--本作のザコ敵は敵ごとに動きの個性はあるとはいえ、大半はランダムに動くだけで飛び道具を持っていればそれを主人公に向けて放ってくるという程度である。ボスも決められた動きで行ったり来たりするだけである。
---初期配置も決まっておらずスクロールごとにランダムに変わる。すなわちプレイを考えた上で練られてはいない。狭い通路の中に配置されることも多く、回避は難しく、とにかく見つけ次第倒すということになりがち。
---つまりゲームデザインとしてダメージを受けようが大量の敵をとにかくなぎ倒して進むという「攻撃」に重点が置かれており、「回避」を中心としたテクニックは重要視されていない。よって全編にわたりごり押し気味になってしまうため"アクション"RPGとしてのテクニカルな側面は弱い。アクション"RPG"であるがゆえに経験値のために多くの敵を倒す必要もあったとも言える。ファイナルファンタジーシリーズ自体がアクションゲームではないため、プレイヤー層を考慮した面もあると考えられる。
---さらには敵によっては障害物をすり抜けてきたり、画面外に行くほどの大ジャンプで回避や攻撃がしにくかったりすることもある。たまにそういう敵がでるというならまだしも頻繁に出現する。また、戦闘中は画面のチラつきが発生しやすくあちこちワープするタイプの敵の動きがかなり読みにくい。突然目の前にワープしてきて理不尽にダメージを食らうことがある。
--もっともこれらはGB初期作故に技術的限界から来ている面もあるため、一概にゲーム性を損なうレベルの問題点とは言い切れない。むしろテクニックや演出に力を入れようとしてテンポが悪くなった次作以降と比べると敵をなぎ倒していく爽快さにおいて本作の長所があるとも言える。

-武器「ブラッドソード」がバランスブレイカー
--ブラッドソードとは、敵に与えたダメージの一部を吸収して自分のHPを回復することができる特殊効果を持つ。本作のみならず、FFシリーズでもよく登場する武器である。
--FFシリーズにおいては、命中率や回復量が低かったりアンデッドに対して攻撃すると逆にダメージを受けてしまうなどのデメリットを付加することでバランスをとっているが、本作では敵の体力に関係なく与ダメージの1/4を吸収する。本作には命中率の概念も存在しないため、敵に攻撃するデメリットが極めて少ない。
---本作ではモンスターごとに武器の相性があり、その武器に耐性を持つモンスターに対してはダメージを与えることができない。ブラッドソードもアンデッドを含む多くのモンスターが耐性を持っており、ダンジョンを進む上では使いにくい、という面ではバランスをとられているが、アクションRPGである以上閉じ込められる場所でない限り避けて進めばいいだけのことである。
---このHP吸収の特性を見越して入手前からレベルアップ時に力重視の成長を行うと、一気にヌルゲーと化す。
--さらにこの武器、入手できるタイミング以後のCOLOR(red){''全ボスに対して攻撃が有効''}である。これによりボス戦が完全にバランス崩壊を起こしている。
---回復の手間が省けて死のリスクが非常に少なくなるという点から、少数意見であるが最終武器の聖剣エクスカリバーよりも強いのでは、とまで言われることも。
--とはいえ本作では隠しアイテム的な扱いであり、ノーヒントでは入手しそびれたプレイヤーも多いと思われる。また、力に特化した育成をしていなければ戦闘が長引いてかえって危険になる場合も多い。
--HP吸収はモンスター以外に対しても有効。空になった宝箱や、さらに''街の住民を斬りつけてもしっかりとHPが回復する''。そもそも、どんな武器だろうと''街の住民に攻撃できること自体が問題''だが。
---本作では住民に接触すると話しかけてしまう仕様のため押すことはできないので、おそらく「狭い通路で邪魔な住民を弾き飛ばすため」の仕様だと思われるが、現在の目から見るとさすがに奇異に見える。モンスターは押せるのに・・・
---実は住民にもHPが設定されており、時間はかかるが攻撃し続けるとモンスターと同じように&bold(){破裂して消滅する}(画面を切り替えれば復活するが)
--余談になるが、攻略本には「ブラッディソード」と明記されているが、本家FFでも「ブラッドソード」であることを鑑みるとおそらくは誤植であると思われる。
---ちなみにFF11ではブラッドソードだけでなく、ブラッディソードという騎士剣も登場する。
//--余談になるが、攻略本には「ブラッディソード」と明記されている。文字数の制限から止む無く変更されたのか、単なる誤植(シリーズでは「ブラッドソード」で統一)かは不明。
//2以降ならともかくFF外伝である本作でそんなところで文字数制限も考えないようなオリジナリティを出すはずがない。
//他にも間違いを多数犯している出版社なら本来の「ブラッディ」という表記を知っていたと考える方が不自然。
//↑聖剣伝説の攻略本と同じ出版社&同じ編集プロダクション(エーワンオフィス)で出た攻略本の事例で言うと、FF1・2の攻略本では変更予定だったけど実際は変更されなかったモンスターの名前(後の移植版ではその通りに改名された)が掲載されてるし、FF3の攻略本はプログラムミスで実際には出現しない敵が掲載されてるし、ゲームと攻略本に齟齬がある場合はメーカー提供資料をそのまま使用してるために起きてるケースも普通にある。

-ゲーム全編通して謎解き要素は少し考えれば分かるようになっているのだが、砂漠地帯での謎解きはヒントが抽象的でやや分かりにくく、当時のプレイヤーは低年齢層を中心に詰まってしまう子供も少なくなかった。
#region(ネタバレ注意)
--あるモンスターが落とすキバを渡すことで町民からヒントが貰えるのだが、「&bold(){やしのき・・ 8のじ・・ この2つがキーワードだよ}(原文ママ)」としか言われず、なにぶんネットが普及していない時代なだけに途方に暮れたプレイヤーもいた。
---これは砂漠のある場所のオアシス地帯にヤシの木が二本突っ立ってるポイントがあり、「そのヤシの木の周りを8の字状に歩けばダンジョンの入り口が出現する」のだが、ヒントではヤシの木が二本あるという部分は教えてもらえないため少々気づきにくい。
--しかも砂漠にはいずれも意図的に作られたハズレポイントと思われるヤシの木が生えてるオアシスがもう2か所あり、よりプレイヤーを混乱させる作りになっている。
--加えて言うと町の横には針葉樹が二本並んだ一見意味深な崖があり、こちらも混乱の元になっている。
---実は、正解のヤシの木の間を通ろうとすると微妙に歩行速度が遅くなるという仕様があり、この崖の上の針葉樹は正解のヤシの木と同じ配置になっているため、移動速度が落ちないことがプレーヤーへのヒントとなっているのだが、なにぶん針葉樹が二本生えたエリアには他に敵もNPCもいないため何かあるのかと勘違いして勝手に深読みしてしまいドツボにハマるプレーヤーも存在した。
--ちなみに町民に渡すキバ自体もどの敵が落とすかは明言されないのでこの時点でも一旦冒険がストップしてしまう可能性がある。もっともこちらは片っ端から殺して回ればそのうちドロップするとは思われるが。
#endregion

-ダンジョンで特定の敵を利用して先に進む場面があるのだが、パズルを解くのに失敗し誤って全滅させたた場合、画面を切り替えてもすぐには復活しないため4、5エリア程度前まで戻ってからまた来ないとリスポーンしない。
--このため一発成功出来ないとテンポが悪くなりストレスが溜まる。
--と言ってもすぐにリスポーンすると今度は誤って隣の部屋に入った場合にまた戦う羽目になったり回復ポイントが隣にある部屋を利用することで容易に稼ぎプレイが出来るのでこうした仕様になるのもやむをえない事情があるが。



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**問題点
-装備・アイテム関連
--武器、アイテム、魔法の切り替えが少々面倒。仕掛けや特定の武器が全く通用しない敵も多く、ウィンドウを開く頻度も高い。
---『[[次回作>聖剣伝説2]]』らはアイテムの使用や武器の切り替えがテンポよく行える「リングコマンド」が実装され、シリーズの定番として定着した。
---反面、一度セットすればワンボタンで連続使用できる本作の仕様のほうが効率的な場面もある。
--移動に必要な一部の武器は手放すことが出来ない。たとえ同系統のより強力な武器を手に入れた後でも、最下級の武器は処分不可能のままである。
---こちらも次回作では系統ごとに1つの武器を強化していく形となった。
--本作の盾はそれ自体に防御力はなく、正面から敵の飛び道具などを防ぐ役割がある。種類によって防げる攻撃が変わるが性能差がわかりにくく、高価格品が上位互換とも限らない。
---最強の盾である「イージスの盾」は全種類の攻撃を防ぐことができ、一部の火や氷が防げない前段階の盾と比べて強力なのだが入手できるラストダンジョンにはその攻撃を使うものがおらず無意味である。

-どこでもセーブ
--便利ではあるのだが、これが危険と隣合わせだったりもする。例としてボス戦中にセーブして再開すると戦闘開始からやり直しになるので、ボスの出現位置でセーブするとロード→即死という事もありうる。
--HPが低い状態で毒になり、回復手段がない状態でセーブしてしまうと完全に詰む。
--こうしたこともあってか次回作では宿屋やセーブポイントなどでのみセーブ出来る仕様になった。
---一応本作はボス直前でセーブして簡単にやり直したり急用が出来てた際にすぐに画面から離れるので一長一短ではあるが、あちらは腰を据えて遊ぶ据え置き機故にそのような仕様になっていると言える。

-宝箱に関する問題点
--敵を倒して宝箱が出てきたときに持ち物がいっぱいで中身を入手できないと、障害物としてそこに残り、場合によっては進路を塞がれてしまう。
--アイテムを一つ使って欄を空ければいいのだがけっこう頻繁に起こるのでテンポが悪くなる。
--この仕様を利用したラストダンジョンでの最強装備入手法も存在する。

-カギの仕様に関する問題点
--鍵が掛かった扉には「カギ」(店でも買えるアイテム)が必要になる。カギには使用回数があり、ひとつ4回使うと無くなる。一部の場所でカギが不足するとハマってしまう。そのためいくつか常備する必要に迫られる。
--カギが足りないとハマる場所はグランス城。これからシャドウナイトと対決するという中盤の山場である。
---もちろんこの状態でセーブしてしまうと最初からやり直すしかない。
---携帯アプリ版ではカギを落とす敵の種類の増加で問題修正された。
--海底火山でもカギが無くなってしまうとハマってしまうポイントがあるが、ボスを倒せば出口までワープでき、その後に再度このダンジョンに訪れることもまず無いため、問題になることはほぼ無い。
--他の場所では不足してもハマりこそしないが、先に進めないため店に戻って買うもしくはザコ敵を狩って入手するはめになる。
---岩や壊せる壁などを破壊するアイテム「マトック」も無くなると先に進めなくなり戻って用意し直さないといけない点は同様。ただしこちらはゲーム中盤で破壊効果を持つ武器「モーニングスター」を入手すれば以降は必要なくなる。

-ラストダンジョンに一度入ってしまうと引き返すことはできなくなる。
--一応回復できるところはあるし、カギ・エリクサーといった必要な消耗品は敵から調達することができるので普通に進めていればそれで詰まることはない。
--しかしやたらタフな敵が多く、経験値効率からいえばその前の「ダイムの塔」でNPCにMPを回復してもらいながらレベルを上げておいた方がいい。
--さらにエリクサーが無限増殖できるポイントも利用できなくなるため先に進む前にちゃんと準備をしていったほうがいい。

-バグ関連
//--以後の聖剣伝説シリーズにも言えることだが、本作もバグが多い。
//プレイヤーに有用なものと通常プレイではまずおこらないバグで「多い」というのは酷。
--数値のオーバーフロー関係で特殊な障害物を破壊できなくなったり、レベル99よりもレベルを上げてしまうと永遠にレベルアップし続けるなどゲーム進行に影響が出るバグも存在するが、普通に攻略する上ではまずそこまでレベルを上げることはないので通常問題はない。
--稀なケースだが、画面スクロール時に条件次第で別の場所にワープしてしまう事がある。場所によってはワープ先から戻れなくなる場合もある。
//沼地→雪原は偶然発生した人も多いと思う
--スクロールし続ければ毒のダメージを受けないなど、うまくつかえばプレイヤーに有用なバグもある。
//チョコボで毒を受けないのは仕様だと思うのだが
--モーグリ状態を治癒するという設定の「モグラのひげ」というアイテムがあるが、モーグリ状態ではアイテムが使えないので何の役にも立たない無意味なアイテムと化している。
---携帯アプリ版以降は修正され、モーグリ状態から使えるようになった。

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**総評
シンプルながら完成度の高いシステム・印象的なBGM・切なく、そして儚いストーリーは多くのユーザーの心に感動を刻み付けたGB屈指の名作。~
ゲーム性とストーリー性を両立できていた本作は20年以上経った現在でもシリーズ最高傑作だと評するファンは多い。

ただ、敵の思考ルーチンに関しては難があり、アクション性は優れているとはいえず、テクニックで乗り切るようなことはしづらく、ゴリ押しが通用してしまうという問題点もあった。~
操作性の良さや工夫されたギミックなど非常に魅力的な要素を持ちながらもアクション面に関しては当時の技術や容量の限界も垣間見れる作品ではあった。~

とはいえそうした部分も(賛否はあるだろうが)レベルを上げた時の爽快感にも繋がってはおり、GBのメインの客層であった少年少女層には「頑張ればクリアできる」ほどよい調整だったと言える。~
欠点もあれど、GB及び当時のスクウェアを語る上では忘れてはいけない一作だろう。
//スマホ版に関しては「GB版の総評」に入れるべきでないので移動
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**リメイク版(参考記述)
以下、GB版原作を「オリジナル」と表記する。

&font(b,16){GBA版(新約)}
-2003年8月29日にGBAで『[[新約 聖剣伝説]]』として内容を大きく変更してリメイクされる。
--だが、シナリオ・システムがオリジナルから大幅に改変・改悪させられているため原作ファンを中心として不興を買った。詳細は別項参照。
--同作のみタイトルから「ファイナルファンタジー外伝」が外されている。
--同作の発売後、「新約」と混同しないよう明確に区別するため、ファンからはオリジナルが「&bold(){旧約(聖剣)}」という俗称で呼ばれることもある。

&font(b,16){携帯アプリ版(カラーリメイク)}
-GBA版新約への批判もあってか、2006年8月16日に携帯アプリとしてオリジナルほぼそのままの内容でカラーリメイクされた。
--色がついたり漢字使用など細かい変更点はあるが、基本的にオリジナルに忠実な移植であり、さらに新武器の追加や原作のバグが修正されているなど、こちらの評判は中々良好である。
--石井氏はオリジナルそのままの内容なら色もモノクロのままにしたいとカラー化に否定的だったが、モバイル事業部部長の熱意に圧されて許可したとのこと。

&font(b,16){PS Vita・スマートフォン版(3Dリメイク)}
#region(公式トレイラー)
&youtube(https://www.youtube.com/watch?v=lcmIZ5IVRgM)
#endregion
-2016年2月4日にさらにグラフィックを3D化したリメイク版がプレイステーション・ヴィータと各種スマートフォンにて配信・販売されている。
-スマートデバイス向けアプリ『聖剣伝説Rise of Mana』をベースに作られており、2Dであるオリジナルをそのまま3Dにしたような見た目となっている。
--より細かく解説すると、斜め見下ろし視点で立体感を出しており、斜め移動も可能になり間合いの感覚が変化した。
--『新約』同様に他の聖剣シリーズのようなリングコマンドが導入されたが、こちらは同作とは違い元々のゲーム性を損なってはおらず好評。
--再現性はかなり気を遣われており、街の人に攻撃できる等の要素も削られておらずオリジナルそのまま。GBのゲームを忠実に3D化したため見た目のシュールさは増している。
--このためグラフィックが進化した「移植」と言ってもいいくらいだが、それだけオリジナルの完成度が高かった証拠である。技術の進歩によりアクション面の問題点も改良されている。
---ただし当然ながら、平面見下ろし2Dであったオリジナルと比較した点での3D化による視覚上の違和感は少なからず存在する。地形も(意図的ではあるのだろうが)四角い。

-BGMは新たにアレンジされているが、オリジナルのものに切り替えることも可能。

-問題点としては追加されたトロフィー関連が挙げられる。
--「ルク長者」は累計所持金10万ルクを達成するという条件なのだが、最大65535ルクまでしか持てないのはそのままであるため、達成するには店でルクを消費した上で再び稼ぐ必要がある。
---ただし、「○○コレクター」系のアイテム収集トロフィーを達成するために店の利用が必須となるため、そこまで意識をしなくても良い。
--「ジェマの騎士」はレベル99を達成することが条件だが、原作と何も変わっていないためラストダンジョンでひたすらレベル上げに時間がかかるのみ。
--「○○マスター」系は各パラメータ99を達成が条件だが、ALL99にしようとすると上記のレベル99上げ作業に加え、レベルアップ時の育成が戦士タイプ(体力+1/ちから+2/賢さ+0/精神+1)と魔導士タイプ(体力+1/ちから+0/賢さ+2/精神+1)を順番に繰り返すのみで固定されてしまう。

-とはいえ、総合的にはオリジナル版がかかえていた多くの問題点が解消した現代のプレイに耐えうる完成版と言える。
--なお、Vita/スマホ版の告知の際には、上述の『新約』への不評のせいかTwitterにてリメイク版の小山田Pから''「これはしんやくではない」''とわざわざ告知されていた。([[参考>http://twitter.com/riseofmana_pr/status/644184334082146304]])


&font(b,16){ニンテンドースイッチ版(コレクション)}
-2017年6月1日に''『[[聖剣伝説コレクション]]』''として『[[聖剣伝説2]]』&『[[聖剣伝説3]]』とともにセット移植。移植担当は有限会社M2。
-上記リメイク群とは違い、基本的にオリジナルであるゲームボーイ版そのままのベタ移植…というよりはM2お得意のフルエミュレーション+α。
--どこでもセーブが可能な「クイックセーブ機能」、ゲーム内のBGMを実機音源で聴くことができる「ミュージックモード」も搭載。
--画面の大小を切り替えられる他、本作のみ色調を3種類から選択できる。単純なモノクロにした「デフォルトモード」、スーパーゲームボーイ準拠の配色の「スーパーゲームボーイモード」、初代ゲームボーイの液晶を再現した「GAMEBOYモード」の3種類を用意。
--本作はVCでは配信されなかったので、26年を経て初めてオリジナル版そのものがGB以外で遊べるようになった。

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**余談
-1986年当時、スクウェアに4つの開発班が存在しており、田中弘道氏の班がビッツラボラトリー((『キングスナイト』やFC版『テグザー』を手がけた。))と開発していた3Dダンジョンのリアルタイムアクション版ウィザードリィのようなコンセプトのゲームのタイトルが『聖剣伝説』だったが開発中止になった。([[参考1>https://www.4gamer.net/games/317/G031793/20170216084/]] [[2>https://ent.smt.docomo.ne.jp/article/1496223]])
--その後『聖剣伝説』というタイトルは青木和彦氏の班が開発していたゲームに使われることになった。この『聖剣伝説』は全5部作シリーズの予定で、スクウェアがDOGブランドでファミコンディスクシステム用ソフトとして1987年4月下旬に発売を予定していた1作目が『聖剣伝説 THE EMERGENCE OF EXCALIBUR』である。それは結局発売中止となってしまっている。
---この頃、坂口博信氏の班が開発していたのが『[[ファイナルファンタジー]]』(1987年12月18日発売)。
--そして後に、FFの外伝として『聖剣伝説』の商標が再利用されたのが本作である。
---その後『聖剣伝説』は、紆余曲折を経て田中弘道氏をプロデューサーとするシリーズ作品になっていくという数奇な運命を辿っている。

-アメリカではオリジナル版は『&i{Final Fantasy Adventure}』、ヨーロッパでは『&i{Mystic Quest}』の名で発売されていた。
--これはアメリカ、日本での『[[ミスティッククエスト>ファイナルファンタジーUSA ミスティッククエスト]]』とは別物である。
--なお、『新約』は欧米共に『Sword of Mana』に改題されて発売されたが、Vita/スマホ版は『Adventures of Mana』へと実質2度も改題されており、最終的に海外では明確にFFシリーズ扱いではなくなっている。

-''開発当初は「テニスゲーム」として企画されていた''という逸話がある。

-シナリオを書いたのは、後のスクエニに大きく関わることになる北瀬佳範氏。
--北瀬氏は『スターウォーズ』が自分の原点と語るスターウォーズフリークで、本作にもスターウォーズのオマージュ要素が散りばめられている。