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魔導物語1-2-3 - (2020/03/25 (水) 06:56:42) のソース

*魔導物語1-2-3
【まどうものがたり いっちょうめにばんちさんごう】
|ジャンル|RPG|&image(http://www26.atwiki.jp/gcmatome?cmd=upload&act=open&pageid=4343&file=mado123.jpg,width=160)|
|対応機種|MSX2他、多機種で発売|~|
|発売・開発元|コンパイル|~|
|発売日|【MSX2】1990年6月15日&br()【PC-98】1991年11月23日|~|
|定価|【MSX2/PC-98】9,800円(税別)|~|
|備考|【原作MSX2-DS版】1989年11月7日発売&br()【MSX2】2003・2008・2015年にWindowsへ限定復刻&br()【PC-98】2015年にWindowsへ限定復刻|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[魔導物語・ぷよぷよシリーズ関連作品リンク>魔導物語・ぷよぷよシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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※このシリーズは様々な機種で移植・アレンジ・続編タイトルが作られているものの、その殆どは大幅な新システムを導入した作品は少なく、同じシステムで違うストーリーが展開されていく事が多い。~
よって、本項目では(システムの異なる一部の作品を除き、)『1-2-3』関連のリメイクについても下の項目で紹介するものとする。

**概要
[[ウィザードリィ>Wizardryシリーズ]]形式の3Dダンジョン型のロールプレイングゲーム。~
元々はディスクマガジン((今で言う「DVD付き雑誌」の先祖。ただし文章記事も全てディスク内に収録されていた。))『DiscStation #SP5 クリスマス特別号』((本来は隔月刊だったが、2年目は合間に「スペシャル号」を出しており、「#SP」はスペシャル号を表す。3年目からは正規ナンバーの月刊化に伴いスペシャル号は無くなる。))に収録されたミニゲームの一つであり、好評につき新エピソードを追加して単品商品化したゲームである。~
そのため、同シリーズはRPGでありながら、スケールの大きい展開ではなく、ミニマムなダンジョンRPGとしての印象が強く、~
RPGでありながら気軽に遊ぶ事ができるシリーズとなっているのが特徴。~
このタイトルから派生したパズルゲーム『[[ぷよぷよ]]』の成功により、同シリーズはコンパイルの看板タイトルとして地位を確立していく。~
監督は『[[アレスタ>コンパイルSTGシリーズ]]』の脚本などを担当した米光一成氏。メインイラストレーターは氷樹むぅ氏が担当。((後に両名は初代元祖『ぷよぷよ』にも携わる。後のシリーズでお馴染みとなるイラストレーターの壱氏は、この頃はドッターの一人として参加している。)) 

**基本システム
-1フロアが8×8マスのマップを4方向に移動しながら探索していく3Dダンジョン探索型のRPG。主人公が移動する空間は最初から最後までダンジョンで占められており、買い物もダンジョン内で行う。出現する敵を倒したり、謎を解きながら脱出を目指す。
--オートマッピングシステムを採用し、いつでもマップを表示して位置を確認する事が可能。
-ファジー・パラメーターシステム
--シリーズの顔とも呼べるシステム。主人公の体力や魔力の増減、状態異常がHPやMPといった数値では表示されず、あいまいな言葉、表情、音楽で表現される。例えば体力が十分あるときは「げんきいっぱい」でグラフィックも笑顔だが、体力がわずかになると「もうすぐ、ばたんきゅ~」で苦しそうな顔をして表現される。
--このアバウトな表現が戦闘に緊張感を与えており、あとどれくらいで倒れるか・魔力がどれだけ使えるかなどを常に意識しながら戦闘を進める必要がある。
---PC-98版では、「痛っ! 視界が変色する」(=頭から大量出血)、「右腕に激痛」(=腕から大量出血)などと付けたされることもある。これらは体力の表現ではなく、進行性の状態異常。「よしよし!元気ぃ」というほど体力があっても「ん?あッ鼻血だ」などと付いていると、魔法やアイテムで回復するまでどんどん「鼻血とまらない」などと状態が悪化して、最後には体力0と同様に「ばたんきゅー」してしまう。
-戦闘システム
--主人公と敵との1対1の戦いになる。主人公か敵のどちらかが体力が無くなるまで戦闘を続けるのが基本。一部のアイテムを除き、基本的な攻撃手段は魔法のみであり、敵によって炎と氷(後シリーズには雷も追加)の二つの属性を使い分けて攻撃する。
--基本的な攻撃魔法は魔導力を消費しないが、大半の魔法は上級魔法ということで、使うと魔導力を消費する。また、敵ごとに弱点が設定されているので、炎と氷のどちらに弱いかを見抜くことが勝利への早道となる。
---弱点も単純な大ダメージだけではなく、状態異常になる、高確率で即死する、グラフィックが変化して弱体化する、など敵によって反応は様々。
--この他、アイテムの中には戦闘中で装備しておくと自動的に攻撃や補助を行ってくれる杖やキャラもいる。
---魔法杖は装備してると一定確率で特殊効果が出る。そのうち壊れてしまう消耗品。なお魔法杖もサンプリングボイスで喋る。
--戦闘に勝利した際の経験値もまた数値では表示されない。画面の外周にちりばめられた宝石が埋まっていくという形で経験値量を表している。この宝石を経験球と呼び、これらが全て埋まるとレベルが上がり、同時に体力と魔導力も全て回復する。得られる経験値は主人公と敵とのレベル差によって決まり、主人公のレベルが上がると弱い敵を倒しても経験値が段々少なくなってくる。
--エピソード3では同行しているカーバンクルに行動させることも可能。

**あらすじ
ここでは、原典として位置づけられている''MSX2版『魔導物語1-2-3』''のシナリオを記載する。~
リメイク版でも概ね共通であるが、一部大幅にアレンジされているものがある。~
主人公の女の子「''アルル・ナジャ''」はMSX2版当時は名前が無かったが((開発中はスタッフから「ラッコちゃん」と呼ばれていたとディスクステーションで語られている。))、ここでは便宜上「アルル」として記載する。
-''エピソード1''

将来、魔導師になる子供を育成する「魔導幼稚園」。今日は、その魔導幼稚園の卒園試験の日。~
今年、この試験を受けられる優秀な生徒はたった一人だけであった。~
それがプレイヤーの操作する、当時6歳のアルルである。卒園試験の内容は、魔導の塔の中で課題をこなし無事脱出すること。~
クラスのお友達の声援を受けて、アルルはイリュージョンモンスターが待ち受ける塔に挑戦する。

-''エピソード2''

(※原作にあたるDiscStation版に収録されていたのはこのエピソードのみである。)~
エピソード1から''10年後''。アルルは16歳になり、立派な魔導師になるため、魔導学校「古代魔導スクール」への入学を目指す。~
試験内容は乗り物などを使わず自分の魔導力だけで学校に辿り着くこと。そのため、アルルは学校に向けて旅をしていた。~
ところが旅に出て3日後、道中で妖しい目つきをした魔導師のお兄さん「シェゾ・ウィグィィ」に出くわす。~
魔導師の青年(アルル曰く、かっこいいけどヘンタイ)は、少女の秘められた才能に目をつけ、その魔力を奪い取ろうとスリープの魔法をかけてアルルをさらう。~
気がつくと見知らぬ牢獄に幽閉されていたアルルは、「いろけ」で門番の魔物から鍵をだまし取り((アルルが幼児体型と言う設定は後付け。はっきりいって初期のアルルは幼児体型どころか、かなりのグラマーである。実際ぷよ通ではB86(推定Dカップ)だったのだが、SUN以降でW60のままB80(推定Bカップ)に減らされる羽目に。Bカップ(当時の日本人女性の平均)でも幼児体型扱いされるのは…欧米基準なのだろうか(なお2010年頃になると日本でもCが平均だとか)。ぶっちゃけルルー(B90のEカップ)と相対させる為のネタである。))、脱出を試みる事に。~

その途中で「ミイル・ホォルツオ・ベンジャミン」と名乗る魔物商人から彼の持つ伝説の魔法杖「ウラノス・スタッフ」の話を聞き、~
秘宝「ルベルクラク」と伝説の杖を交換する交渉を結び、地下牢から脱出したアルルはライラの遺跡に眠る秘宝「ルベルクラク」を探す事になる。((原作DS版のみ秘宝の名前が「カーバンクル」となっている。))

ライラ遺跡の地下100階で、アルルは妖しい雰囲気を漂わせる男性と出会う。~
彼は闇の貴公子「サタン」と名乗り、遺跡を攻略したアルルの実力と美しさを褒め称え、后にしようと強引に迫ってくる。~
アルルがそれを拒否し「秘宝を取りに来ただけ」と告げると、サタンは一転して何故か激昂し襲いかかってきた。

#region(エンディングネタバレ)
なんとかサタンを倒したアルルは、部屋の隅で怯える不思議な生き物「カーバンクル」を発見する。~
実は秘宝「ルベルクラク」とはカーバンクルの額に生えている紅い宝石の事だった。~
カーバンクルは額の宝石を奪われると死んでしまうため、カーバンクルを溺愛する飼い主のサタンは、~
アルルがカーバンクルの命を奪いに来たものと思い込んで怒り狂っていたのであった。((当時のサタンにとってアルルは「ライラ遺跡を攻略したのか。なら后にしてやっても良いぞ」⇒「ルベルクラクが欲しい?カーバンクルちゃんに手を出す気なら死ね」と言う扱いであり、アルルにベタ惚れなサタンは後付けである。))((原作DS版では展開が少し違い、宝石「カーバンクル」を取りに来たアルルに対し、生き物「カーバンクル」を奪いに来たと勘違いしたサタンが襲ってくるというものになっていた。))~
怯えるカーバンクルを見たアルルは宝石の入手を諦め、カーバンクルは敵意の無い様子のアルルを見て安心し、彼女と共に付いていくことになった。~
こうしてカーバンクルと友達になったアルルは((カーバンクルにとっては「男より女の子の方が良い」だそうな。サタン可哀想すぎ。))、古代魔導スクールへの旅を再開する。
#endregion

-''エピソード3''

エピソード2にてアルルはカーバンクルをお供に加え、再び旅を続けて''3日後''、今度は綺麗なお姉さん「ルルー」がアルルに難癖をつけてきた。~
なんでも、カーバンクルはサタンとの婚約の印らしく、サタンとの結婚を夢見るルルーはアルルがサタンの婚約者になったのだと勘違いしたらしい。~
アルルは「カーバンクルは単に付いてきただけ」「サタンは遺跡の地下でばたんきゅーしている」と弁明するが、ルルーは一切聞く耳を持たず、~
ルルーに召喚された牛の魔人「ミノタウロス」に追いかけられたアルルはなんとか振り切るが、~
いつの間にか、誰も脱出できた者は居ないという迷いの森へと入り込んでしまっていた…。

何とか迷いの森から脱出したものの氷属性に弱い敵ばかりだったため、アイスストームを使いすぎたアルルの手は霜焼けになっていた。~
アルルは薬屋に向かうが材料不足から品切れと言われてしまう。アルルは材料のババウ岩を求めてモケモエの遺跡へと向かった。~
…モケモエの遺跡の主はルルーだったよ!(ただしラスボスは配下のミノタウロスで、ルルーとは戦えない)

#region(エンディングネタバレ)
遺跡の地下迷宮は元々ルルーの住処だったが、街の人達が勝手に荒らそうとしたため、彼女は魔物を解き放って抵抗していたらしい。~
しかし、アルルが「ババウ岩が手に入らなくなって街の人達が困っている」「ババウ岩を1つ分けて欲しい」と告げると、~
ルルーはそれをあっさりと承諾したが、代わりにアルルに対して一つの条件を突きつける。~
なんとルルーはライラの遺跡の地下迷宮まで確認に行ったらしく、そこで眠りについていたサタンから、~
「私は偉大な魔導師と結婚するのだ」と告げられたらしい。~
そこでルルーはアルルと同じく魔導学校へ行くことに決め、道を知らないためアルルに対してババウ岩と引き換えに同行を強要。~
こうして、アルルとカーバンクルにルルーとミノタウロスを加えた2人と2匹の一行は、再び古代魔導スクールへの旅路へ出発するのであった……。
#endregion

**特徴
-タイトルの「物語」に嘘偽りのない、一人称視点で語られるメッセージの数々
--このシリーズでは、冒険中に出くわした出来事や戦闘中の様子、与えた攻撃や受けたダメージ量、残りの体力表示なども、全て主人公が語るように表示されるため、ゲーム全体が小説を読んでいるかのような感覚でプレイ出来る。
--主人公の少女、アルル・ナジャを中心とし、それらを取り巻く登場人物とのくだらなくも微笑ましい、かけあい漫才とも呼べる独特の会話がとても楽しく、ゲームクリアまで楽しめる。
-可愛らしいSDキャラが織り成す親しみやすい作品イメージ(PC-98版以外)
--ゲーム内のキャラデザインは基本的にリアル頭身とSDサイズの両方が状況に合わせてによって使い分けられているが、特に戦闘モードではSDサイズで表示される事が多く、戦いでありながら殺伐としたイメージが殆どなく、気楽に戦闘を楽しめる。
--雑魚モンスターは可愛らしくデフォルメされたモンスターが多い。世界中の伝承から引用したモンスターが多いが、その多くはコミカルなアレンジを施されている。
---ただしPC-98版においては、コミカル要素も多いが、リアルだったりグロテスクだったりする敵グラフィックや戦闘メッセージも多く、ブラックユーモアっぽいところもあった。~
『テクノポリス』でコラムコーナーを持っていた矢野健太郎氏も「リアルなスケルトンが湯のみじゃなく剣を持って『おちゃー!』と言ってもなんか違う」とその点だけは不満点として指摘していた。
--戦闘中の行動も攻撃だけでなく、例えば「らっきょう」を渡して許しを求めてきたり、嘘泣きをはじめてみたり、他のモンスターが突然乱入して、先に現れたモンスターを突然食べてしまったりと、攻撃と関係のない行動がバラエティ豊かである。
---特に、相手の「の~みそをぷ~にする」ブレインダムドを使うと、敵の攻撃メッセージが呂律の回らないものに変化する。このような本来のゲーム的な性能とは違う部分で演出が変化する部分も、実に多い。
--また、どう見ても子供がコスプレしているだけとしか思えない女の子型のモンスター(ドラコケンタウロス、ウィッチなど)も人気が高い。
--こういった要素がとても楽しく、戦闘中はまるで園児達の演芸会を見ているかのような微笑ましい気分になれる。
-ゲームプレイを賑やかにしてくれる「マジカルボイス」システム
--当時のMSX2ではまだまだ珍しい技術だったサンプリングボイスを導入しており、魔法発動や戦闘中は敵も主人公もよく喋るためとても賑やかである。
---ちなみにPCM音源の無いMSX2では、PSG 3音を使いボイスを再生している。そのため、ボイス再生中はBGMが止まってしまうのだが…。(PC-98でも同様)
---なお声のほとんどが社員によるものであり、中には「社長のお母さん」なんてのも。プロといえるのは「某局アナウンサー((スタッフロールでの表記。後に広島のRCC中国放送のアナウンサーと判明した。))」3人だけである。尤も当時のサンプリング技術ではあまり気にならなかったが。
--これらSDキャラのイメージやサンプリングボイスなどの特徴は、後の『[[ぷよぷよ]]』にも引き継がれる事となる。
-程よい難易度と入り込み易い構成で仕上がっているダンジョン
--特徴的なファジー・パラメータシステムも解りやすい言葉と表情で表示され、すぐに把握出来るようになるため、そこまでシビアなシステムでもない。
--ダンジョンはただ単に迷路を突破するだけの複雑怪奇なものではなく、仕掛けを解いて行くパズル形式のダンジョンである場合が多い。
--仕掛けの難易度はそこまで高くなく、マップも広くない。オートマッピング形式なのでマップを埋めるのが楽しくなっている。
--階段の位置などは上下のフロアと座標位置が一致しているのが恒例で、中には同じ座標軸で別の階層に移動する魔法「ワープ」を活用しなければマップを埋められない部屋も存在し、そこには貴重なアイテムが隠されているなど、作り手のセンスの良さが光る。

**難点
-オートマッピング形式であるものの、何故か肝心な「階段」のアイコンが表示されないという不親切な部分がある。
--と言うか床と壁と扉以外の表示は無い。尤もMSX2版発売当時はオートマッピング自体珍しい時代だったが。
-魔法は予想以上に大量に魔力を消費するものが多く、体力回復の「ヒーリング」でさえ序盤では半分近く消費する。その為、ゲーム中は魔力のジリ貧になりやすい。
--本作の戦闘のキモは、攻撃力を高める「ダイアキュート」をいかにして倍掛けできるかがカギなのだが、敵の攻撃力が大きいため「数ターン身を削って撃つ」が基本になる事も多い。それ故に体力もジリ貧になりやすい。
--「スリープ」や「ブレインダムド」等の間接攻撃魔法は、かかっても1ターンで切れる事も多いなど、信用度が低くあまり活用する機会がない。ダイアキュートと組み合わせる事で持続ターンが上がるのだが、魔力消費も多く逆に苦戦する羽目になる事が多い。
---一方、敵の動きをしばらく止める消費アイテムがあり、特に貴重でもないため便利すぎる、というバランス崩壊要素もある。
--最強魔法である「ジュゲム」は高度すぎて失敗する事がある、という設定なのだが、失敗の確率の方が多く、また弱点設定になっていない敵も多い為やはり信用度が低すぎる。
-手軽に元の場所へと瞬時に移動する手段に欠けるため、お店の部屋に戻りたい時などは徒歩で移動せざるを得ない為、「戻り」の部分においてはかなり面倒。
--瞬間移動アイテムは非消費アイテムの「どんぱうんぱ」があるが、予め「どんぱ」を設置した地点一箇所に片道で戻れるだけ(使用するとどんぱうんぱに戻る)なので、往復したければ帰りの片道は徒歩になってしまう。
---1つ上の階に移動する「ワープ」の魔法もあるので、上下のマップ構造を見比べて近道を考えることは可能。
---これも時代を考えれば普通ではあった。例を挙げるとウィザードリィは高レベル呪文なうえかなり高いリスク((瞬間移動は座標指定を間違えると「いしのなかにいる」によりキャラ消失。脱出魔法は所持品とゴールドをすべて没収される(パーティーに居ないキャラの分は無事)。))がある、ドラゴンクエストは最初の街にしか移動できない、等。

**総評
3Dダンジョン自体が遊び手を選ぶRPGなのだが、本作は個性豊かな魅力溢れるキャラや、独自制のあるシステムが好評を博しウィザードリィ系を敬遠していたゲームユーザーにも受け入れられる窓口の広いゲームとなった。~
ほのぼのとした雰囲気とは裏腹に、戦闘モードや体力、魔力消費が激しく手軽に回復できないシビアな面が目立つものの、慣れればすぐにクリアーできるお手軽な内容の為に何度でも遊びたくなる良作である。~
本作は、当時PCが余り普及していなかったこともあって、多数の家庭用機種で発売された派生作品の『ぷよぷよ』に比べると知名度は高くなく、逆にぷよぷよの新規ファンにとっては半ば伝説化しつつある状態である。~
現在はコンパイルが倒産した事に加え、アーケード版ぷよぷよの関係で魔導キャラの権利関係が複雑化しており、新作や復刻版の機会に殆ど恵まれないシリーズであるが、ぷよぷよファンならずとも、3Dダンジョンの入門用として見ても、うってつけと言える一品である。


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**『1-2-3』系統のリメイク作品群
本シリーズはコンパイル社内のスタッフが作っているものが殆どであるが、ほぼ同時期に全く別のチームが作っているという事が頻繁だった為、~
同じエピソードでありながら全く違うシナリオや作風になっているものが多い。~
それはアルルを始めとした登場人物の性格も同じで、それぞれの作品で性格や価値観が違うことが多々ある。しかし、そういった曖昧な違いこそが魔導物語の良い所だと見るファンは多い。~
コンパイルスタッフによって著されたムック本『魔導大全』でも、「魔導物語は、複数のパラレル・ストーリーがあるといえるでしょう」という旨が書かれている。

#region(リメイク作品群紹介)
以下は『1-2-3』系統のリメイク作品群である。~
大まかなストーリー自体は概ね共通しているが、マップや各種イベント、システム等は各機種でそれぞれ独自のものになっている。~
アルルの幼年期時代を描いたエピソード1は実際には初作ではないのだが、シリーズ1作目扱いとして同作のみ多数の機種でリメイクされている。

-&b(){魔導物語 EPISODE II CARBUNCLE}【まどうものがたり えぴそーどつー かーばんくる】(MSX2 / 1989年11月7日、移植:Windows)
--シリーズの原点にあたる作品。同社のディスクマガジン「ディスクステーション・クリスマス特集号」に収録された初タイトルで、位置づけとしてはプロトタイプに近い。
--物語の内容は、次に発売される『魔導物語1-2-3』のエピソード2の原型にあたる。まだ主人公の少女や、少女をさらう魔導師に正式な名前が無かった時期である。
--マップが16x16マスとシリーズ最大の広さで、オートマッピング機能がない、主人公の方向を指し示す手段が無いなど、不親切な部分が目立ち、難易度を高くしてしまっている。
--数量限定復刻された『魔導物語1-2-3 MSX2版 for Windows』(2008年)や『魔導物語 きゅ~きょく大全 1-2-3&A・R・S』(2015年)に、「原作版」として同時収録された。
--第一作であるはずの本作がいきなり「エピソードII」を名乗っているのは、映画『[[スター・ウォーズシリーズ]]』(初作がエピソード4(全9エピソード中の第2部第1話))を意識したネタだとの事。
---ただしゲーム中のタイトル表記は単に『魔導物語』のみであり、あくまでも説明書で掲載された設定上のサブタイトルである。当時「1」や「3」は当然存在しなかったため、本作が「2」であるということも特に意識されることはなかった。

-&b(){魔導物語1-2-3}【まどうものがたり いっちょうめにばんちさんごう】(MSX2 / 1990年6月15日、移植:Windows)
--上記の原作版を「エピソード2」として改めて作り直し、さらに前後に新エピソード「1」「3」を追加して、MSX2で単品発売されたタイトル。「2」もベタ移植ではなく、グラフィックやシステムが刷新されている。
---『魔導物語1-2-3』のエピソードは複数機種でアレンジ移植されたが、旧コンパイルの公式媒体では本作''MSX2版『1-2-3』を正伝''と位置づけるものとする見解が多い。((なお、この区分についてはやや曖昧で時期によって正伝・外伝の分類が左右しており、PC-98版『1-2-3』が当初は含まれていたが後に含まれなくなったり、『A・R・S』が当初は外伝の予定だったが後にMSX2版『1-2-3』と並んで正式に正伝扱いとなったり、『はめきん』及び関連作品を含むか否かなどブレが存在した。))
---本気かネタかは不明だが「いっちょうめ~」と言う読みは当時有名だった表計算ソフト『Lotus 1-2-3』((MS-DOS時代には絶大なシェアを握っていたが、Windows時代にライバルの『Microsoft Excel』が台頭したことにより衰退した。))のロータス社に訴えられない為の対策なんだとか。
--オートマッピングが採用され、遊びやすくなった。
--この作品からマップは8x8マスになり、気軽に攻略出来るようになった。これは以後のシリーズの基準となる。
--カーバンクルが仲間になるエピソード3のみ、カーバンクルが地図を描いてくれたり、時々一緒に攻撃してくれたりしてくれる。はっきり言って戦力外なのだが、これもキャラへの愛着に一役かっている((そもそも「カーバンクルが居なくても問題ない戦闘バランス」なので元から戦力として期待されてはおらず「攻撃してくれたらラッキー」程度の扱いである。更に敵はカーバンクルには一切手を出さないので「足手まとい」と言う事もなかった。もし足手まといだったらどんなに可愛くても嫌われていただろう。そして後年の『聖魔導物語』の「くぅちゃん」は図らずもそれを証明してしまった…。))。
--3つのエピソードは、物語的には続き物になっているが、ゲームとしては各エピソードが別のフロッピーディスクを使う「別ゲーム扱い」の為、主人公のレベルなどは継続されず独自にセーブする事になっている。
---ただし、続き物という形の為、エピソード1での主人公はゲーム中で魔法を覚えていくが、成長後の話となる2と3では最初から全ての魔法が使える状態でスタートする。
---1話→2話、2話→3話へのデータコンバートを行うことができ、これによって多少強化された状態で開始することができる。ただし前データの強さをそのまま引き継ぐという訳ではなく、レベル自体は初期値になるが新規作成時よりはほんの少しだけ強くなる程度のボーナス強化である。
--2003年に『MSXマガジン永久保存版2』にてWindows用エミュレータと共に復刻収録された。ただし、収録エミュレータがVista以降には対応していないため、現在では『MSXマガジン永久保存版3』のMSXPLAYer最終版を用意した上で一工夫する必要がある。
--その後、2008年に『魔導物語1-2-3 MSX2版 for Windows』として2000本限定で復刻された。こちらはVista以降にも対応している。
--そして2015年には『魔導物語 きゅ~きょく大全 1-2-3&A・R・S』として期間限定で復刻された。こちらはPC-98版と『A・R・S』も同時収録し、パッケージや当時の内容物もほぼ再現されるなどコレクションアイテムとしても充実している。
---当初から期間限定復刻と銘打っており、在庫完売のため2016年9月30日をもって販売終了。 

-&b(){魔導物語1-2-3}【まどうものがたり いっちょうめにばんちさんごう】(PC-98 / 1991年11月23日、移植:Windows)
--PC-98へと移植されたタイトル。ここではじめて、主人公の少女が雑誌等で紹介する際に名無しでは困るということで「アルル・ナジャ」という名称がつけられた。本作で一新されたアルルの衣装は後のシリーズの基本となった。
---ちなみにそれ以前の開発内での呼び名は「らっこ」ちゃんだったそうな。外での呼び名はそのまま「魔導の女の子」。
--基本的に大部分がMSX2版と変わらないが、このPC-98版では、全てのグラフィックがリアル頭身&グロテスクなリアリティモンスターと変化しており、異様な雰囲気をかもし出している(ただしMSX2版でもデモシーンはリアル頭身であり、パッケージ通りな姿のミノタウロスも登場している。%%ミィル(商人モンスター)は素でSDらしいが%%)。
---"死亡"や"血"の描写も多く、またテキストの記述もそれに合わせたものに書き換えられており、この独特の作風は今でもファンの間で語り草となっている。
---特にPC-98版の特徴として挙げられやすいのはシェゾの結末の変更で、MSX2版では単にばたんきゅーだったものが、PC-98版では頸動脈から血を流したあげく切断された首が転がり落ち、その後も生首だけになって襲いかかってくるという非常にグロテクスな描写になっている。さらにそれを倒した直後には肉塊の化け物のようなホムンクルスの実験体が襲ってくるという三段構え。
---もっともストーリー展開自体はMSX2版をそのままなぞっており、リアル&グロ要素を除けばギャグ的な要素も多く仕込まれている。通称「グロ魔導」と呼称される事が多いがそれは見た目上の話で、中身自体のノリはMSX2版からそれほど変わっていない(むしろギャップを狙ったとも考えられる)。
---製作者の米光氏曰く、当時のPC-98は大人のユーザーが多いと思っており、それに合わせて精一杯アダルトな感じのリアル絵にした、との事。しかしPC-98ユーザーだろうと本作の移植を希望していたのは可愛いキャラ達を期待していた人達なわけで((そもそもリアル路線のRPGならPC-98の方がMSXより断然多いので、わざわざ本作をやる必要も無い。))、イメージに合わないという苦情の手紙が多数届いたこともあり、結局PC-98の次作『A・R・S』ではデフォルメ路線に戻された。
--マップ自体や出現モンスターもMSX2版から変化しており、同じ攻略は通用しない。また、エピソード1はラスボスも変更されている。
--アイテム「渾天石(こんてんせき)」が初登場。これを入手すると画面中央に石が表示され、プレイヤーの向いている方角が常に示されるようになるため、攻略がやり易くなった。
---このシステムは後のシリーズでも「方向石」などの名称で採用され、魔導物語シリーズの定番となる。
--後にブームとなるアーケード版『ぷよぷよ』の前年に発売されたため、当時はこの作品が「ぷよぷよの原作」として紹介されることが多く((ただしMSXは本格パソコンとコンシューマーゲーム機の狭間の存在だった事もあり、そもそもの扱いが良くなかった。それこそMSXの主権者であるアスキー(と言ってもアスキーにとっては一時期黒歴史らしかったが)と、アスキー以上にMSXに熱心だった(アスキー撤退後もMSX専門誌を数年間発行していた)徳間書店以外の出版社は素でMSX2版の存在を知らなかった可能性も高い。))、これにより一部で「ぷよぷよの原作はリアル画風だった」という誤解も招いてしまった(前述の通り、ぷよぷよのデフォルメ画風は元々原作のMSX2版に近いものである)。
--上記のように、2015年に『魔導物語 きゅ~きょく大全 1-2-3&A・R・S』として上記MSX2版と共に限定復刻された。
&image2(Madou123_MSXPC98.PNG,width=680,center)
#center(){『きゅ~きょく大全』よりMSX2版とPC-98版のスケルトンT戦を比較。PC-98版は今では考えられないデザインである。}
---と言うかPC-98版以外は「スケルトン''T''」の名の通り(好物の)「Tea:お茶」を手にしているのだが、PC-98版だと剣と盾を持った単なる骸骨剣士である。どういう理由で「T」なのだろうか?(公式には不明だが、一説として「Trooper:兵士」の略と解釈されることもある)
--フレーバーテキストの充実や回復アイテムがカレーになる等、今後の作品の基礎となる要素が出揃ったバージョン。
--シリーズの骨子である1-2-3を遊ぶなら、MSX2版かPC98版のどちらかをやっておけば間違いない。ただし復刻版が正規販売終了した今となってはWindows移植版も高値の傾向にある。

-&b(){魔導物語I~3つの魔導球~}【まどうものがたり わん みっつのまどうきゅう】(GG / 1993年12月3日、移植:携帯電話アプリ・Windows)
--初の家庭用移植タイトル。物語は1-2-3のエピソード1のみをアレンジして単品タイトル化したものである。
---ぷよぷよがヒットした後のリリースだった為、この作品以後、魔導物語はぷよぷよで確立されたキャラのイメージが色濃くなっていく。
---元々が小規模なスケールの物語であるため、携帯機であるゲームギアのゲーム性とマッチした良移植。
--マップのサイズは8×8のままであるが、やはり一新されている。一部、旧作のマップを知っている人を狙ったような引っ掛けトラップもある。
--ぷよぷよの人気を受け、モンスターの絵柄はMSX2版のような可愛くデフォルメされたものに戻った。また、モンスターの名称は7文字制限のため一部簡略化。
--PC-98版の「渾天石」に相当する「方向石(ほうこうせき)」が登場。GG版では入手するとプレイヤーの方向がそのものズバリ「東西南北」の漢字表示で表されるようになるため、非常に分かりやすい。
--コマンド表示が文字ではなく絵で示すアイコン形式になった(例として「ファイヤー」が炎の絵など)。これも後のシリーズで採用されるようになる。
--本作ではオリジナルキャラとして、アルルと共に試験に挑む「カミュ」という少年が登場。今作のアルルのライバル的な役回りとなる。
---もたもたしているとカミュに先を越されてしまったり、展開によってはカミュを助けたり助けられることもある。彼の正体はエンディングで明らかになる。
--2008~9年にセガから携帯電話アプリ(ガラケー用)として移植。携帯電話版では難易度の低下や、マップを表示したままで移動できるなど遊びやすくなっている。マップのスムーズなスクロール機能や、出会った魔物を見られる「魔物図鑑」などの新要素も追加されている。
---ただし携帯電話版は後述のII・IIIも含め、容量の都合でボイスはアルルのみになり、一部のBGMも削減・差し替えされている。IのミニゾンビやIIIのちょっぷんなども表現規制の関係で一部修正が加えられている。
---残念ながらスマートフォンには未対応で、原作GG版もバーチャルコンソール等では配信されていない。そのため、現在では既にガラケーを継続契約している人向けである。
--後に2018年9月28日にD4エンタープライスよりWindows用『魔導物語 きゅ~きょく大全 よ~ん GG I-II-III&A』としてゲームギア版『I』『II』『III』、そして初移植となる『A』が期間限定で復刻された。パッケージや当時のマニュアルがほぼ再現され、GG版4作品のサントラも付属するなどコレクションアイテムとしても充実している。
---こちらはゲームギア版そのままの復刻のため、携帯電話アプリ版独自の追加・変更要素は反映されていない。
---当初から期間限定復刻と銘打っており、在庫完売のため2019年6月1日をもって販売終了。 

-&b(){魔導物語II~アルル16才~}【まどうものがたり つー あるるじゅうろくさい】(GG / 1994年5月20日、移植:携帯電話アプリ・Windows)
--先のGG版魔導物語Iの続編で、物語は1-2-3のエピソード2をアレンジ。
--ストーリーの内容、キャラの性格共にぷよぷよから導入された要素が反映されている。
---原作では序盤のやられ役のみだったシェゾが、本作ではその後も遺跡まで追いかけて何度も再挑戦してくる他、言葉も「お前の全てが欲しい」などややおかしくなっている。
---原作では存在がほのめかされていただけだったルルーが(本作ではやはり手紙や声のみだが)先行してほぼ同時に迷宮探索しており、ライバル(アルル)の存在を認識して真っ向から潰すため積極的に罠を仕掛けまくっている。さらに、途中では(アルルはその場に居合わせないものの)ルルーとシェゾの邂逅まである。
---さらにはラスボス戦までシェゾが現れ、究極の選択になる(とある選択肢を選ぶとゲームオーバー)。
--GG版の中では雑魚敵の強さが最も強く、雑魚戦は苦戦を強いられる事が多い。
--こちらも携帯電話アプリ版では敵が弱くなり、壁フロアは壊した壁が復活しないなど、難易度がやや下がっている。

-&b(){魔導物語III~究極女王様~}【まどうものがたり すりー きゅうきょくじょうおうさま】(GG / 1994年12月30日、移植:携帯電話アプリ・Windows)
--GG版魔導物語I、IIの続編で、1-2-3のエピソード3をベースとして作られた作品。
--先のGG版I・IIのストーリーがオリジナル要素こそあれほぼ原作準拠だったのに対し、~
本作IIIではOPとEDを除いて''物語の中身が別物''と言えるほど原型を留めず大きく変更されており、「やりすぎ」との声も一部で上がっている。
---原作では迷いの森を抜けてルルーの居る遺跡へと進むが、本作ではルルーの仕掛けた落とし穴からカエル王の治める迷宮に落ち、そこを脱出した後にルルーの屋敷へ乗り込む展開。進むダンジョン自体が完全に別物のため、当然ながら起こるイベントも全く異なる。『III』と名乗ってこそいるが、ほぼ新作と言って良い(一応、ラストシーンだけは原作の流れに沿ってはいるが)。
---原作のシリアスな雰囲気は薄れ、ドタバタギャグ気味な展開になっており、シュールな表現も多い。コミカルというよりも、スラップスティック気味であり、良くも悪くも好みが分かれる作風。
---因みにミノタウロスはルルーにオシオキされて屋敷の外にぶっ飛ばされてしまうため、原作と違い''ルルーがラスボス''となっている。このルルーは後期設定を反映して魔法を一切使えない普通の人間のはずなのだが、女王様っぽくムチで攻撃してきたり、クロスさせた腕からルルービームを出したり、さらにはわんだふりゃ魔導砲までも跳ね返してしまい大して効かないなど、とんでもない能力を持つ((ルルーは前作であるGG版IIの時点で、高所から落下しても服が多少汚れた程度で無傷といった、まるで超人のような描写がなされていた。))。
---GG版I・IIのスタッフが後述のメガドライブ版Iを手がけることになったため、本作では開発チームが変わってしまったのが原因らしい。イラスト担当者もねこにゃん氏に代わっているため、GG魔導シリーズだけ見ても前作から雰囲気がかなり変わっている。
--IIで雑魚敵が強すぎた反省なのか、今度は雑魚敵が大幅すぎるほどに弱体化。GG版で最も雑魚戦が楽になっている。
--携帯電話アプリ版では敵のエンカウント方式がランダムに変更されたため、敵の位置を察知できる「ひかるツクシ」というアイテムが削除され、該当の宝箱は中身が変更されている。

-&b(){[[魔導物語 はなまる大幼稚園児]]}【まどうものがたり はなまるだいようちえんじ】(SFC / 1996年1月12日、移植:Windows)
--通称『はなまる』。当時の徳間書店「ファミリーコンピュータマガジン」と協力提携して作られた作品。
--この作品のストーリーは1-2-3のエピソード1の''前日談''をメインとしており、2Dマップを採用してゲームシステムが大幅に違うものになっている。
--''詳しくは『[[魔導物語 はなまる大幼稚園児]]』を参照。''
--2017年8月10日には『魔導物語 きゅ~きょく大全 SUN -SFC&DS- with LADY-BONO!』として限定復刻された。こちらは『キキーモラのおそうじ大作戦』や『わんだふりゃ魔導ランド』などかつてDiscStationに収録されていた魔導系ゲームと、おまけで『LADY-BONO!』全話も一緒に再録されている。
---当初から期間限定復刻と銘打っており、在庫完売のため2018年10月15日をもって販売終了。 

-&b(){魔導物語I}【まどうものがたり わん】(MD / 1996年3月22日、移植:Windows)
--メガドライブ最後に発売された魔導物語。
--1-2-3のエピソード1が原作ではあるが、どちらかというとGG版Iをベースにしてさらにリメイクした内容となっている。
--ゲーム自体は従来の3Dダンジョンではあるが、戦闘モードを横視点のものに変更し、アニメーションを採用するなど独自要素が目立つ。
--なんと魔法攻撃に「格闘ゲーム風のコマンド入力(レバー入力+ボタン)」のシステムを採用。ゲーム中はパッドの方向キーを常にいじる羽目になる。
--新アイテムにアミーゴカプセルが登場。これはモンスターを仲間にして戦わせることが出来るポケモンのようなシステム。
--GG版オリジナルキャラ「カミュ」の位置付けがアルルを見守る年上の先輩に変更されるなど、更なるシナリオ変更により、やはり他機種の同エピソードとは違う、独自の内容になっている。
--本作の特徴として、他機種のように試験内容が単純に塔から脱出すればいいというものではなく、塔の中での行動が採点されていき、合格点を超えないと塔を脱出しても不合格になってしまうというマルチエンディング要素がある。
--2016年5月20日には『魔導物語 きゅ~きょく大全 通 -MD&DS-』として限定復刻された。こちらは『魔導物語 道草異聞』や『大魔導戦略物語』などかつてDiscStationに収録されていた魔導系ゲームも一緒に再録されている。
---当初から期間限定復刻と銘打っており、在庫完売のため2017年5月22日をもって販売終了。 
--2019年9月19日発売の[[メガドライブミニ>復刻版ミニゲーム機収録タイトルリンク#id_314bab6c]]に収録され、再び復刻が叶った。
---幼稚園児のアルルが酒を飲むのは流石にまずいと判断されたのか、酒系アイテムは名称のみ「ももも酒」→「ももも''水''」のように置き換えられている。また、ジョッキに注がれて泡が出ているグラフィックのちゃんぽん酒は「3色サイダー」となった。ご丁寧に[[公式サイトの取扱説明書>https://sega.jp/mdmini/manual/pdf/m_jp_mado-monogatari-1.pdf]]も該当箇所の説明文が差し替わっている。

-&b(){魔導物語I 炎の卒園児}【まどうものがたり わん ほのおのそつえんじ】(PCE / 1996年12月13日)
--PCエンジンのかなり晩期に発売された魔導物語。アーケードカード専用CD-ROM。
--ゲーム内容は1-2-3のエピソード1をベースにし、やはり独自のストーリーを展開している。
--このゲームのみNECアベニューが発売しており、純粋なコンパイル製ではない。開発はGoo!というメーカー。
--最大の特徴はCD-ROMにより声優付きになったこと。担当声優は『ぷよぷよCD通』でも声を当てた三石琴乃氏や千葉繁氏など非常に豪華。
--当時の徳間書店の雑誌「PCエンジンFAN」の読者公募によってモンスターデザインを募集する企画があり、採用された本作限定のオリジナルモンスターが多数登場している。
--CD-ROM²専用ゲームだった為、アニメーションデモに力を入れられているなど、PCEらしさが良く出ている作風である。
--PCエンジンという媒体や他社から発売されたこともあってか、現状では一連のWindows版『きゅ~きょく大全』シリーズで唯一復刻されていないエピソード1となっている。

#endregion

『1-2-3』のリメイクではない同システム系統の魔導物語、システムの異なる魔導物語関連作については[[魔導物語・ぷよぷよシリーズ]]の項目を参照。

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**余談
#region(分量がやや多いので折りたたみ)

-本作から派生したパズルゲームである初代『[[ぷよぷよ]]』のアーケード版以降は本作『1-2-3』からの敵キャラクターが多数登場している上、漫才デモもエピソード3より後をイメージして描かれているため、既に顔見知りになっているキャラクターが居たり、「あんた、まだそんなことやってんの!?」「やっぱりあんたが仕掛けた罠だったのね!」など会話にもそれを意識した内容がちらほら見られる。
--しかし当時『ぷよぷよ』では明確な時系列は設定されておらず、同作が莫大な人気を得てオリジナルである『魔導物語』よりも有名になってしまったことから、次第に『ぷよぷよ』シリーズの世界観は独自の展開を見せていくことになり、本家『魔導物語』シリーズの方もそちらに引き摺られて多大な影響を受けていくことになった。
---『ぷよぷよ』の権利がセガに移ってセガ開発になってからは更に顕著になり、『[[ぷよぷよフィーバー]]』以降は世界観すらも『魔導物語』の舞台とは別の異世界に移っているため、当然ながら『魔導物語』とは全く関係のない新たなキャラクターも多数登場している。後述する権利関係の分断もあるため、それらのキャラクターが『魔導物語』にフィードバックされることはおそらく今後もないであろうが…

-当初、『魔導物語』と『ぷよぷよ』の最初の企画・製作者である猫庭王米光こと米光一成氏の構想では、初作として発表された『EPISODE II』を皮切りに、それこそ『スターウォーズ』のような9部作構成を予定していた模様。
--本作『1-2-3』の後は『4-5-6』『7-8-9』と続いていくことを想定していたようで、さらに時系列の円環構造で''主要キャラクターのうち何名かが同一人物だったり親子だったり''という関係が明かされる予定だったようだ。さらに胎児のアルルが産道から生まれてくる話として『EPISODE 0』も考えてあったらしい。
--ところが、米光氏はPC98版『魔導物語1-2-3』とMSX2版『ぷよぷよ』を最後に残念ながらコンパイルを退社。そのため上記の設定はあくまでも初期設定に留まり、その後この構想に囚われない形の後続としてアーケード版『ぷよぷよ』やアルル達の過去を描いた『[[魔導物語A・R・S]]』が登場し、さらに『ぷよぷよ』シリーズの大ヒットに伴って魔導関連のゲームが次々と制作されることになったため、コンパイルの他のスタッフが作品毎に独自の設定を盛り込んでいくようになっていった。これによりシリーズ全体が徐々にライトな方向へシフトしていったため、初期構想と現在知られる魔導シリーズの世界観にはズレが生じている。
---例としてルルーは初期構想では魔導師の予定であり、現にエピソード3のプロローグでは「召喚魔法でミノタウロスを呼んでいた」が((そもそもエピソード2・3では、サタンの后候補は優秀な魔導師である必要があると述べられている。))、『ARS』以降は魔法をほとんど使えない格闘女王((これにより、ルルーは魔法がまともに使えないにも拘らず強引に魔導学校へ入学するという無茶な設定になってしまった。))、などの違いがある。
--幻となった『魔導物語0』の草案書については後に『ディスクステーションRe#02』の特典として復刻収録されている。

-小説版が2シリーズ存在するが、どちらもゲーム本編の内容とは異なるオリジナル色の強い内容となっている。
--角川書店から発売された山本剛によるもの(通称:角川魔導、山本魔導)と、ファミ通文庫から発売された織田健司によるもの(通称:真魔導、織田魔導)。両作のストーリーに繋がりは全く無く、後者はセガサターン版の没設定がベースになっている。
---ただし、小説版初出の設定から後にゲーム本編で正式に取り入れられたものも一部存在する。

-後にコンパイルが経営破綻したことにより、『ぷよぷよ』の作品権利と一度でも登場したキャラクターの著作権はセガに((もっとも、『ぷよぷよ』の権利譲渡は経営破綻前であるが、経営破綻を決定づける原因となったことには違いはない。この時に、セガ発売でない『ぷよぷよ』はすべて絶版になっている。))、『魔導物語』自体の権利とその他のキャラクターはアイキを経てD4エンタープライズに移り、さらに『魔導物語』の新作を作れる営業権はコンパイルハートに渡っているという、非常に複雑な権利関係になっている。
--このため、アルル達が登場する『魔導物語』の旧作を移植・リメイクするためには両社の協力が必須となっている。

-本作のマスコットだったカーバンクルは本作及び『ぷよぷよ』での人気から、コンパイル社のマスコットの地位を「ランダー」から奪い取ってしまった((ある意味セガのアレックスキッドとソニック・ザ・ヘッジホッグの関係と同じ。))。
--ランダーとは青い球体に足が生えた様な姿のマスコットキャラ。同社『[[ZANAC]]』『魔王ゴルベリアス』、FCでは『ガーディック外伝』等に隠しキャラとして出演している他、『ディスクステーション#SP1春号』には『ランダーの冒険』、『#SP3夏号((「春号が#SP1で夏号が#SP3?」と思うかもしれないが、#SP2は「初夏号」として発売された。))』には『II』が掲載され、『III』は単体製品として発売されている(IIIでは「伝説の(過去の)勇者」扱いで主役ではないが)。なおランダーの冒険シリーズでのランダーは武器を装備する関係からか腕も生えている。%%ぶっちゃけ白目がある以外は青い[[カービィ>星のカービィ]]。尤もランダーの方がカービィより先輩だが((『ZANAC』が1986年、『DS#SP号』でも1989年なのに対し、『星のカービィ』は1992年。))。%%
--『[[ぷよぷよ通]]』当時のインタビューでは、開発中に隠しキャラとしてランダーが登場候補に挙げられていたこともあったが、「あまりかけはなれたキャラは入れず、本来のキャラの別バージョンを入れよう」ということで最終的にはマスクドサタンになり、ランダーのぷよぷよシリーズへの登場は実現しなかった。%%そもそもMSXユーザー以外には「誰こいつ?」状態だろうし。%%

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