【まどうものがたり いっちょうめにばんちさんごう】
ジャンル | RPG | ![]() |
対応機種 | MSX2他、多機種で発売 | |
発売・開発元 | コンパイル | |
発売日 |
【MSX2】1990年6月15日 【PC-98】1991年11月23日 |
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定価 | 【MSX2/PC-98】9,800円(税別) | |
配信 |
プロジェクトEGG 【MSX2版】:2023年10月17日 【PC-98版】:2023年12月19日 |
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備考 |
【原作MSX2-DS版】1989年11月7日発売 【MSX2】2003・2008・2015年にWindowsへ限定復刻 【PC-98】2015年にWindowsへ限定復刻 |
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判定 | 良作 | |
魔導物語・ぷよぷよシリーズ関連作品リンク |
※このシリーズは様々な機種で移植・アレンジ・続編タイトルが作られているものの、その殆どは大幅な新システムを導入した作品は少なく、同じシステムで違うストーリーが展開されていく事が多い。
よって、本項目では(システムの異なる一部の作品を除き、)『1-2-3』関連のリメイクについても下の項目で紹介するものとする。
ウィザードリィ形式の3Dダンジョン型のロールプレイングゲーム。
元々はディスクマガジン(*1)『DiscStation #SP5 クリスマス特別号』(*2)に収録されたミニゲームの一つであり、好評につき新エピソードを追加して単品商品化したゲームである。
そのため、同シリーズはRPGでありながら、スケールの大きい展開ではなく、ミニマムなダンジョンRPGとしての印象が強く、
RPGでありながら気軽に遊ぶ事ができるシリーズとなっているのが特徴。
このタイトルから派生したパズルゲーム『ぷよぷよ』の成功により、同シリーズはコンパイルの看板タイトルとして地位を確立していく。
監督は『アレスタ』の脚本などを担当した米光一成氏。メインイラストレーターは氷樹むぅ氏が担当。(*3)
ここでは、原典として位置づけられているMSX2版『魔導物語1-2-3』のシナリオを記載する。
リメイク版でも概ね共通であるが、一部大幅にアレンジされているものがある。
主人公の女の子「アルル・ナジャ」はMSX2版当時は名前が無かったが(*4)、ここでは便宜上「アルル」として記載する。
将来、魔導師になる子供を育成する「魔導幼稚園」。今日は、その魔導幼稚園の卒園試験の日。
今年、この試験を受けられる優秀な生徒はたった一人だけであった。
それがプレイヤーの操作する、当時6歳のアルルである。卒園試験の内容は、魔導の塔の中で課題をこなし無事脱出すること。
クラスのお友達の声援を受けて、アルルはイリュージョンモンスターが待ち受ける塔に挑戦する。
(※原作にあたるDiscStation版に収録されていたのはこのエピソードのみである。)
エピソード1から10年後。アルルは16歳になり、立派な魔導師になるため、魔導学校「古代魔導スクール」への入学を目指す。
試験内容は乗り物などを使わず自分の魔導力だけで学校に辿り着くこと。そのため、アルルは学校に向けて旅をしていた。
ところが旅に出て3日後、道中で妖しい目つきをした魔導師のお兄さん「シェゾ・ウィグィィ」に出くわす。
魔導師の青年(アルル曰く、かっこいいけどヘンタイ)は、少女の秘められた才能に目をつけ、その魔力を奪い取ろうとスリープの魔法をかけてアルルをさらう。
気がつくと見知らぬ牢獄に幽閉されていたアルルは、「いろけ」で門番の魔物から鍵をだまし取り(*5)、脱出を試みる事に。
その途中で「ミイル・ホォルツオ・ベンジャミン」と名乗る魔物商人から彼の持つ伝説の魔法杖「ウラノス・スタッフ」の話を聞き、
秘宝「ルベルクラク」と伝説の杖を交換する交渉を結び、地下牢から脱出したアルルはライラの遺跡に眠る秘宝「ルベルクラク」を探す事になる。(*6)
ライラ遺跡の地下100階で、アルルは妖しい雰囲気を漂わせる男性と出会う。
彼は闇の貴公子「サタン」と名乗り、遺跡を攻略したアルルの実力と美しさを褒め称え、后にしようと強引に迫ってくる。
アルルがそれを拒否し「秘宝を取りに来ただけ」と告げると、サタンは一転して何故か激昂し襲いかかってきた。
+ | エンディングネタバレ |
エピソード2にてアルルはカーバンクルをお供に加え、再び旅を続けて3日後、今度は綺麗なお姉さん「ルルー」がアルルに難癖をつけてきた。
なんでも、カーバンクルはサタンとの婚約の印らしく、サタンとの結婚を夢見るルルーはアルルがサタンの婚約者になったのだと勘違いしたらしい。
アルルは「カーバンクルは単に付いてきただけ」「サタンは遺跡の地下でばたんきゅーしている」と弁明するが、ルルーは一切聞く耳を持たず、
ルルーに召喚された牛の魔人「ミノタウロス」に追いかけられたアルルはなんとか振り切るが、
いつの間にか、誰も脱出できた者は居ないという迷いの森へと入り込んでしまっていた…。
何とか迷いの森から脱出したものの氷属性に弱い敵ばかりだったため、アイスストームを使いすぎたアルルの手は霜焼けになっていた。
アルルは薬屋に向かうが材料不足から品切れと言われてしまう。アルルは材料のババウ岩を求めてモケモエの遺跡へと向かった。
…モケモエの遺跡の主はルルーだったよ!(ただしラスボスは配下のミノタウロスで、ルルーとは戦えない)
+ | エンディングネタバレ |
3Dダンジョン自体が遊び手を選ぶRPGなのだが、本作は個性豊かな魅力溢れるキャラや、独自制のあるシステムが好評を博しウィザードリィ系を敬遠していたゲームユーザーにも受け入れられる窓口の広いゲームとなった。
ほのぼのとした雰囲気とは裏腹に、戦闘モードや体力、魔力消費が激しく手軽に回復できないシビアな面が目立つものの、慣れればすぐにクリアーできるお手軽な内容の為に何度でも遊びたくなる良作である。
本作は、当時PCが余り普及していなかったこともあって、多数の家庭用機種で発売された派生作品の『ぷよぷよ』に比べると知名度は高くなく、逆にぷよぷよの新規ファンにとっては半ば伝説化しつつある状態である。
現在はコンパイルが倒産した事に加え、アーケード版ぷよぷよの関係で魔導キャラの権利関係が複雑化しており、新作や復刻版の機会に殆ど恵まれないシリーズであるが、ぷよぷよファンならずとも、3Dダンジョンの入門用として見ても、うってつけと言える一品である。
本シリーズはコンパイル社内のスタッフが作っているものが殆どであるが、ほぼ同時期に全く別のチームが作っているという事が頻繁だった為、
同じエピソードでありながら全く違うシナリオや作風になっているものが多い。
それはアルルを始めとした登場人物の性格も同じで、それぞれの作品で性格や価値観が違うことが多々ある。しかし、そういった曖昧な違いこそが魔導物語の良い所だと見るファンは多い。
コンパイルスタッフによって著されたムック本『魔導大全』でも、「魔導物語は、複数のパラレル・ストーリーがあるといえるでしょう」という旨が書かれている。
+ | 原点およびリメイク作品群紹介 |
『1-2-3』のリメイクではない同システム系統の魔導物語、システムの異なる魔導物語関連作については魔導物語・ぷよぷよシリーズの項目を参照。
+ | 分量がやや多いので折りたたみ |
*1 今で言う「DVD付き雑誌」の先祖。ただし文章記事も全てディスク内に収録されていた。
*2 本来は隔月刊だったが、2年目は合間に「スペシャル号」を出しており、「#SP」はスペシャル号を表す。3年目からは正規ナンバーの月刊化に伴いスペシャル号は無くなる。
*3 後に両名は初代元祖『ぷよぷよ』にも携わる。後のシリーズでお馴染みとなるイラストレーターの壱氏は、この頃はドッターの一人として参加している。
*4 開発中はスタッフから「ラッコちゃん」と呼ばれていたとディスクステーションで語られている。
*5 アルルが幼児体型と言う設定は後付け。はっきりいって初期のアルルは幼児体型どころか8頭身の少女漫画の女子高生のような風貌でかなりのグラマーである。実際ぷよ通ではB86(推定Dカップ)だったのだが、SUN以降でW60のままB80(推定Bカップ)に減らされる羽目に。Bカップ(当時の日本人女性の平均)でも幼児体型扱いされるのは…欧米基準なのだろうか(なお2010年頃になると日本でもCが平均だとか)。ぶっちゃけルルー(B90のEカップ)と相対させる為のネタである。
*6 原作DS版のみ秘宝の名前が「カーバンクル」となっている。
*7 当時のサタンにとってアルルは「ライラ遺跡を攻略したのか。なら后にしてやっても良いぞ」⇒「ルベルクラクが欲しい?カーバンクルちゃんに手を出す気なら死ね」と言う扱いであり、アルルにベタ惚れなサタンは後付けである。
*8 原作DS版では展開が少し違い、宝石「カーバンクル」を取りに来たアルルに対し、生き物「カーバンクル」を奪いに来たと勘違いしたサタンが襲ってくるというものになっていた。
*9 カーバンクルにとっては「男より女の子の方が良い」だそうな。サタン可哀想すぎ。
*10 スタッフロールでの表記。後に広島のRCC中国放送のアナウンサーと判明した。
*11 瞬間移動は座標指定を間違えると「いしのなかにいる」によりキャラ消失。脱出魔法は所持品とゴールドをすべて没収される(パーティーに居ないキャラの分は無事)。
*12 なお、この区分についてはやや曖昧で時期によって正伝・外伝の分類が左右しており、PC-98版『1-2-3』が当初は含まれていたが後に含まれなくなったり、『A・R・S』が当初は外伝の予定だったが後にMSX2版『1-2-3』と並んで正式に正伝扱いとなったり、『はめきん』及び関連作品を含むか否かなどブレが存在した。
*13 MS-DOS時代には絶大なシェアを握っていたが、Windows時代にライバルの『Microsoft Excel』が台頭したことにより衰退した。
*14 そもそも「カーバンクルが居なくても問題ない戦闘バランス」なので元から戦力として期待されてはおらず「攻撃してくれたらラッキー」程度の扱いである。更に敵はカーバンクルには一切手を出さないので「足手まとい」と言う事もなかった。もし足手まといだったらどんなに可愛くても嫌われていただろう。そして後年の『聖魔導物語』の「くぅちゃん」は図らずもそれを証明してしまった…。
*15 そもそもリアル路線のRPGならPC-98の方がMSXより断然多いので、わざわざ本作をやる必要も無い。
*16 ただしMSXは本格パソコンとコンシューマーゲーム機の狭間の存在だった事もあり、そもそもの扱いが良くなかった。それこそMSXの主権者であるアスキー(と言ってもアスキーにとっては一時期黒歴史らしかったが)と、アスキー以上にMSXに熱心だった(アスキー撤退後もMSX専門誌を数年間発行していた)徳間書店以外の出版社は素でMSX2版の存在を知らなかった可能性も高い。
*17 ルルーは前作であるGG版IIの時点で、高所から落下しても服が多少汚れた程度で無傷といった、まるで超人のような描写がなされていた。
*18 セガが「ぷよまん」の商標を持っていないため、『ぷよぷよ通』のPS2版やスマホ移植版では漫才デモでぷよまんが出るシーンがただの饅頭に差し替えられていた。
*19 そもそもエピソード2・3では、サタンの后候補は優秀な魔導師である必要があると述べられている。
*20 これにより、ルルーは魔法がまともに使えないにも拘らず強引に魔導学校へ入学するという無茶な設定になってしまった。
*21 もっとも、『ぷよぷよ』の権利譲渡は経営破綻前であるが、経営破綻を決定づける原因となったことには違いはない。この時に、セガ発売でない『ぷよぷよ』はすべて絶版になっている。
*22 『アレスタ』シリーズの権利は、M2に移っている。
*23 ある意味セガのアレックスキッドとソニック・ザ・ヘッジホッグの関係と同じ。
*24 「春号が#SP1で夏号が#SP3?」と思うかもしれないが、#SP2は「初夏号」として発売された。
*25 『ZANAC』が1986年、『DS#SP号』でも1989年なのに対し、『星のカービィ』は1992年。