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ノーモア★ヒーローズ3 - (2021/12/06 (月) 00:27:26) のソース

*ノーモア★ヒーローズ3
【のーもあひーろーずすりー】
|ジャンル|殺し屋アクションアドベンチャー|&amazon(B0922T4WR9)|
|対応機種|Nintendo Switch|~|
|発売元|マーベラス|~|
|開発元|グラスホッパー・マニファクチュア|~|
|発売日|2021年8月27日|~|
|定価(税抜)|6,800円|~|
|プレイ人数|1人|~|
|レーティング|BGCOLOR(crimson):''&font(#ffffff){CERO:Z(18才以上のみ対象)}''|~|
|判定|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|アクションゲームとして超パワーアップ&br;滅茶苦茶な物語も(悪い意味でも)超パワーアップ&br;『ノーモア★ヒーローズ』シリーズ完結編(現状)|~|
|>|>|CENTER:''[[ノーモア★ヒーローズシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
アバンギャルドな作風で世界的にコアなファンを持つゲームクリエイター・須田剛一の代表作『[[ノーモア★ヒーローズ]]』シリーズの最新作にして(現状の)完結作。~

『[[ノーモア★ヒーローズ2 デスパレート・ストラグル]]』までは全米最強の殺し屋ランキングに挑む…という内容だった。~
だが、本作はそこからスケールアップして地球侵略に訪れた宇宙人から地球を守るため、銀河系No1を目指しランキングに挑むというハチャメチャなストーリーになっている。

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**ストーリー

 全米No1の殺し屋:トラヴィス・タッチダウンは隠遁生活を終え故郷であるサンタデストロイへと帰還し自堕落な毎日を送っていた。
 
 そんなある日、銀河の彼方から突如として地球にやって来た極悪宇宙人であるFU。
 圧倒的な力を持つ彼は瞬く間に政府要人を殺し地上を焼き払い、配下の宇宙人たちと共に「地球征服」を宣言した。
 そして、FUは地球侵略の余興として銀河系スーパーヒーローランキング戦を開催する。
 
 トラヴィスは守るべき物のため、再びビーム・カタナを手に取りランキングに挑む。
 今ここに最強地球人VS最強宇宙人軍団による最終戦争が始まるのであった。

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**特徴
-前作『TSA』は見下ろし視点アクションゲームとなっていたが、本作は『1』『2』同様のTPS視点の3Dアクションゲームに戻った。
--操作デバイスこそWiiリモコンからJoy-Conになったが基本的な操作自体も『1』『2』に近い物になっており、トドメスラッシュやプロレス技時の体感操作も復活した。

-ゲームの流れとしては『2』よりも『1』に近い物になっており、トラヴィスを操作して街中を探索するフィールドマップが復活した。
--『2』ではランキング戦に挑むのが無料だったが、本作は『1』同様ランカーと戦うためには指定された額のお金を納めるように戻った。
--変更点として『1』『2』では各ランカーと戦う前に雑魚を切り伏せて進むアクションステージが存在したが、本作ではこれが廃され、マップの各所に雑魚・中ボスと戦える「指定試合」が存在し、指定された回数以上戦うとボス戦専用のマップに直接アクセスできるようになった。

-戦闘パートも上記の通り『1』『2』に近い物だが、ある程度変更点も存在する。
--ビーム・カタナの強化・交換要素がなくなり、ゲーム開始から同じものを使い続けるようになった。
--『TSA』のデススキルがこちらにも導入された。
---ただし「5個以上存在するチップの中から4つ選び使用する。チップはシナリオの進行の他マップの探索でも入手可」という仕様だった『TSA』とは違い、~
「シナリオの進行で順次解禁される全4種類のスキル。それ以上は種類は増えない」という仕様になった。
--新たに戦闘中に使える回復・バフ効果を持ったアイテムとしてSushiが追加された。
---Sushiは各マップ及びボス戦前に屋台で購入可能。携帯していつでも食べられる代わりに効果はそこそこのテイクアウトと強化幅が大きい代わりに次の一戦で効果が消滅するイートインが存在する。
---また、自宅地下のナオミ研究所でも出前を頼むことが可能。

-本筋と関係ない収集アイテムとして『1』はプロレスマスク、『2』は『ビザジェリ』グッズがあったが、本作ではデスマンカードとガチャポンフィギュアが存在する。
--デスマンカードは作中作のゲーム『デスマン』に登場するキャラが描かれているカードで、街のあちこちに落ちている物を拾って入手する。
---条件を満たすと『デスマン』も自宅でプレイ可能となる。
--ガチャポンは特定のサブイベントを攻略すると拠点であるモーテル内にあるガチャマシンが解禁され、過去作に登場した敵や名場面を再現したフィギュアが入手できる。

-『1』『2』の国内版はレーティングをCOLOR(orange){''CERO:D''}(17歳以上対象)に抑える都合で「死んだ人間が黒い灰になって崩れ落ちる」という独特の規制表現がなされていたが、本作はCOLOR(red){''CERO:Z''}(18歳以上のみ対象)ソフトとして製作されたからか特に規制はなく、国内外双方のバージョンによる演出の違いはなくなった。
--10年前に比べると国内も規制はかなり緩くなっており((例えば残虐不謹慎ゲームで、2000年代の日本ではバカゲー化する事でなんとか発売できた『デストロイ オール ヒューマンズ!』もリメイク版は無規制で発売されている。))、前2作のSwitch移植版も国内ではCOLOR(red){''CERO:Z''}の無規制で発売されている。年月が経過した事による風潮の変化が大きいのだろう。
--過去作同様「字幕と(英語音声の)キャラが言ってることのニュアンスが若干異なる」こと自体はあるがストーリー自体には違いはない。

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**評価点
-アクション部分が大幅パワーアップ。
--ハードウェアの性能が上がったこともあって戦闘パートは常時60fpsでスピーディで滑らかな動作となっており、エフェクト・トラヴィスのモーションも視覚的にド派手な物になったため、爽快感アップ。
--過去作では充電時に毎回足を止めて自家発電する必要がありいちいち隙が出来ていたが、本作では微量であれば足を止めないままチャージできるようになった。
---また、プロレス技が成功すればカタナがフル充電されるようになり、これまで以上にプロレス技のメリットが大きくなると同時にうまく決め続けられれば途切れなくアクションを続けられる。
--『TSA』より引き続き採用されているデススキルだが、本作では4つに絞られ4種ともに汎用性が高く使いどころを選ばない物になった。また、グローブに装着するチップでさらなる強化も行える。
---前作のデススキルに存在した「4つしかセットできないにもかかわらず総数が多すぎる」「使える状況が限定的すぎるものがある」「発動時に潰されやすい」「リキャストタイムが長すぎる」という問題をいずれも解消している。
--これにより、「出が早い弱攻撃で削りつつ相手が動き出したらデススキルで吹き飛ばして強制ダウンさせ、ダメージの大きい強攻撃でダウン値を溜め敵が気絶したらブン投げてトドメを刺し電力を回復し次の相手へ…」と言った具合に各要素を生かしたアドリブ・コンボ性のあるアクションをノンストップでバンバン使っていけるため、非常にテンポがよく気持ちがいいアクションを楽しめるようになっている。

-後述の通りシナリオの流れに関してやや意見が分かれる部分はあるが、演出自体はピカイチ。
--体感操作を用いてプレイヤー自身が相手の息の根を止めるというゲームとシンクロした演出も健在。
---今回は上述の通り日本版も無規制になっており、過去作日本版にあった不自然なカットやゴア表現の別物化も無く、非常にスカっとする映像になっている。
--最後の敵を殺害した際には画面が赤黒く染まりCOLOR(RED){KILL}(ボス戦では○○(ボス名) COLOR(red){DEAD})と表示される演出が非常にクール。
--一方、敵が宇宙人という事で、血の色を''虹色''に変更する事も可能。
---前二作の無規制版は首チョンパや人体切断にドバドバ噴き出る血の雨と、オーバーな残虐演出を生身の人間相手にやっていたため、無規制版はきつ過ぎたという人や国内Wii版のコミカルな炭化演出に馴染んでいた人も安心(?)である。
--ボスごとに1エピソード仕立てとなっており、「いかにも」な特撮風なOPと80年代ロボアニメ的なEDが毎回必ず流れるようになっている。

-BGMは俳優兼ドラマーである金子ノブアキ氏がメインコンポーザーを務めており、新曲のみで70曲近く用意されており、いずれも好評。
--特に寿司屋ではやたらノリノリな曲「ITADAKIMASU」が流れ、耳に残る。

-過去作のミニゲームの中にはただの連打ゲーやタイミングよくボタンを押すだけ…と言うものがあったが、そうした単純すぎる物は廃されいずれも普通に遊べるものとなった。

-その他過去作からの改善点
--『1』ではパラメーターをアップする施設とナオミ研究所がモーテルを挟んで街の正反対に位置していたため行き来するのが面倒だったが、今作では(デスグローブのチップの作成やSushiの注文など本作の新要素も含めて)モーテルの地下に集約されてる。
--『1』ではかなり意図的に稼ぎプレイをしないと後半のランキング戦に挑めなかったが、今回は指定試合やサブイベントをクリアしていれば普通に払える程度の金額になった。
--『2』ではフィールドもエントリー料もバッサリカットしたため、テンポと引き換えにボリュームを犠牲にしていたが、このように『1』の要素を改善しつつ復活させ、『1』と『2』を折衷したいいとこどりな作りになっている。
--クリアできない際の救済措置であるリトライルーレットとSushiが導入され、初心者でも詰みにくくなった。

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**おバカな点
-そもそもこれまで一応は人間同士(もっとも主人公のトラヴィスを含め奇人変人超人まみれの「なんでもあり」だったが…。)で戦っていたのだが、いきなり本作では宇宙人対地球人の大決戦になるという%%[[どこかのギャングチーム>Saints Rowシリーズ]]ばりの%%ムチャクチャっぷり。
--キャッチコピーは「''宇宙まるごと大決戦''」。最早、殺し屋の領分など霞んで見えすらしないほど遠くに飛び出している。%%と言うか、『[[ドラゴンボール>ドラゴンボールシリーズ]]』にそんなタイトルの映画がありませんでしたっけ?%%

-旧作のダークサイドモードではトラヴィスがスー◯ーサ◯ヤ人や本物の虎に変わっていたが、本作のフルアーマーモードではどっからどうみても''ロボット''にHenshinできるようになった。
--強化形態であるフルグリーンモードの初解禁時はなんだか[[T字の物が飛び出して>機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]][[青緑色に変わる>機動戦士ガンダムUC]]という何かを連想さざるを得ないような展開となっている。

-デスグローブの強化チップの名前が前作は機動戦士染みたネーミングだったが今回は「タロウ」「ティガ」「ゼロ」…などこれまだ[[どこかで聞いたことあるようなもの>ウルトラマンシリーズ]]になっている。
--元々本作は2020年発売予定で延期したのだが、故に発売ギリギリまで調整できたのか「トリガー」まであったりする。

-ボスマップの奇抜な演出も(後述のような賛否両論点のあるボスもあるにはあるが)引き続き好評。
--宇宙空間戦・アイドルのステージ・椅子取りゲーム・ホラーゲーム調…などまさになんでもあり。また、ゲームルール自体が変わってしまいノーモア「らしい」解決法で突破する3位戦などは特に評価が高い。
--詳細は伏せるが、終盤~ラストバトルの展開はまさにやりたい放題と言ったもの。任天堂ハードで発売され、そして本シリーズが任天堂ハード発祥であることを最大限生かした演出と言える((任天堂のクリーンなイメージが特に強かった頃、須田氏は任天堂ハードにパンクな作品を提供する事に使命感を見せていた。本シリーズや『killer7』はその表れでもあった。))。

-トラヴィスの愛猫・ジーンは本作で突然シブい男性ボイスでしゃべるという設定が追加された((厳密にはジーンが人語を話すこと自体は前作『TSA』で明らかになっていたが、オスとメスの判断のつかない見た目やジーンの名前がトラヴィスの妹の名前に由来するため雌ないしかわいい声と思われていた。))が後付け感をさっぱり感じないほど非常にハマっている。
--初めて出会った雑魚敵には児童誌風にトラヴィスとジーンが解説するという手の込んだカットが入る。

-いわゆるサブクエが前作のボスの一人であるドッペルゲンガーに会う、ジーンの子供を探す、デスマンカードを拾う、辺りはいいとしてラーメンの具材になるサソリを探す、宇宙人の抜け殻(どう見てもモアイ)を拳一つで破壊するという珍妙な物も。
--ミニゲームも戦車に乗って怪獣を迎撃したりハイウェイを走る車をバイクとカタナでぶちのめしたりと全体的にバカゲーテイスト満載な仕上がり。

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**賛否両論点
-作風の変化
--『TSA』を挟んだとは言えナンバリングとしては10年以上空いたことによる世相の変化や須田氏を始めとした開発スタッフが年齢を重ねたことによる思想の変化もあるのか、過去作とはやや作風が異なる印象を受ける箇所がある。
--旧作は敵も同じ穴の狢且つ主人公側に「仇討ち」などの目的があっても、結局は「自らのエゴで同じ人間を殺して回る」内容で、その中で殺し合いの虚しさや無情さ、それでも戦い続ける事しか出来ない者達の悲哀を描いたハードボイルドな内容だったのだが、今作は「正義のヒーローが宇宙人から地球を守る」という創作物として正統派の世界観になっている。
---そのため、旧作と同じテイストを求めていたファンからはやや不評を買う結果となった。%%この点も[[某ギャングチームの第4作>Saints Row IV]]と似ている。%%
---逆に言えば後ろ暗さでバカ騒ぎに水を差される事が無く、気兼ね無しにおバカでド派手な戦いを楽しめるという事でもある。
--一部の「やりすぎ」なメタギャグ
---メタギャグ自体は過去作でもやっているのだが、本作はある場面で特定の製作スタッフの個人名を名指するというギャグがあり、プレイヤー置いてきぼりの内輪ネタ感も感じなくはない。
--ディープなパロネタが増えた。
---「三池監督作品」「プロレス」「ロボアニメ」「特撮」のどれかをある程度知らないとやや面白みが感じられないかもしれない。逆に言うと全部知っている人にはとにかく刺さりまくるギャグとなっているが。
---バナー広告からして「[[最後の一撃は、''えげつない''。>ワンダと巨像]]」なんてものも([[参考>https://twitter.com/suda_51/status/1435026399341940738]])。…正にえげつない。
--下ネタやB級映画的なセクシー要素も減少傾向にある。
---もっとも作中のトラヴィスが%%脱童貞して%%歳を重ねたため、あまりそうしたものにセンシティブに食いつくギャグが笑えるかと言うと意見が割れるかもしれないが。
--トラヴィスがハマっていた作中作である『ビザジェリ』ネタもほぼなくなった。前作ではわざわざ専用ムービーを作る力の入れようだったのだが…。

-『2』及び前作に存在したトラヴィス以外のプレイアブルキャラがなくなった。
--もっともこれに関しては『2』では問題点にもなっていた(詳しくは『2』の記事参照)ため、トラヴィス一人に絞ってゲーム性を高めたこと自体も悪いわけではない。そのトラヴィスも宇宙戦や各種ミニゲームなど操作感が変わるパートがあるため飽きの来ないゲームデザインにはなっている。

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**問題点
-勢い重視なストーリーの流れ
--度重なる乱入者展開
---これまでもランキング戦の対戦相手が直前に変更されるというネタはあったのだが、本作ではこの手のネタを乱発しすぎており逆に意外性がなくなっている。
---また、前作までの乱入はそれ自体が一発ギャグや後の伏線にうまく生きていたのに対し、本作はプレーヤーの意表をつくことを重視しすぎた結果「とりあえずとっかわる」という投げやりな感じになっているのもマイナス点。
---一応、本作も7位戦に限りはこうしたものがうまくいっていると言える。
--詳細は伏せるが、ランキング3位撃破後~1位に挑戦するまでの展開はシリーズを通して遊んでいても極めて難解な展開になっており、こうした難解なシナリオに自重せずにギャグが混じるため完全に理解が追いつかない展開になっている。
--ひたすら難解な『[[シルバー事件]]』『killer7』などは元より、ギャグと超展開の大洪水で終盤は完全にプレイヤー置いてきぼりの『月極蘭子のいちばん長い日((全10ステージ中、ステージ8まではムチャクチャながらも判りやすいアクションギャグなのだが、それ以降は最低限の説明すら無く、理解させる事を完全に放棄したクリエイターの感性だけで突っ走る展開となっている。))』のように、理解するのではなく「感じる」展開を持って来るのは須田作品では珍しくないが、本シリーズは比較的分かり易い作りだったため、初代からのシリーズファンだからという安心は通用しない。
--海外インタビューによると、当初ゲーム内に盛り込む予定だったムービーシーンを一時間近く削除及び改変してしまったとのことである。
---ただし同インタビューにおける須田氏曰く「製品版の形も一つの完成形」とのことでストーリーの細かな解説を盛り込めなくて意味不明になったというわけでなく、意図的に整合性よりも観客の予想を裏切る展開を取ったと言える。
---もっとも製品版を見る限りそれがあまり良い選択だったとは言いにくいが…。

-侵入不可マップの広さ
--マップ画面を開くと全フィールドマップの半分近くが侵入不可エリアとなっており、シナリオが進むといずれ解禁されるのだろう…と思ってプレイするかもしれないが、結論から言ってしまうとこのエリアには立ち入ることはできない。
---マップ上はなんらかの施設や地形、移動可能な道に繋がる道路がしっかりと描かれており、「当初は使う構想だったが没になってしまった」感がありありと出ている。
--最終マップのデーモンタワーは特にこのあおりを受けたのか、通路で雑魚を蹴散らしたら即ラスボス戦というもはやマップとして用意する必要があったのか疑いたくなるぐらい簡素なものとなっている。

-前作までのあらすじやキャラ解説が全くなく、知っている前提で進む。
--公式の発売前PVでは「過去作を遊んでなくてもノープロブレム」と言ってるが、はっきり言って大嘘である。
--単純に『1』『2』だけでなく外伝作である『TSA』を(DLC編込みで)やっていないと分からないポイントがある。
#region(ネタバレ注意)
--『TSA』から続いている話がいくつかあるのだが、「『TSA』でせっかく復活したバットガールは序盤で戦意喪失してしまい長期離脱する」「あるボスは『TSA』に登場したキャラの関係者だったのが前触れなしに発覚して結局見逃す」「ラスボスは『TSA』で初登場したキャラと因縁がある人物だが、敵がその件について一言漏らしたことでトラヴィスが因縁があったことをようやく思い出す」という作品間のリンクのさせ方としても微妙な点がある。
---連続したドラマとして描きたいのであれば改めて本作でもっとこれらのエピソードを掘り下げるべきだし、逆に『3』から入る人を考慮するならばこれまでの話と無関係にするかのどちらかに吹っ切った方がよかっただろう。
#endregion
--人物以外にも『ビザジェリ』に触れたり『2』に登場したグラストンベリーの話が急に出てきたりするのだが前作までをプレイしていないと全く分からない。
--『2』でも「説明してたら長くなる」「長いと嫌われる」などという理由で説明を放棄していたが、旧作から時が流れた(一応の)完結編でもそのスタイルは変わらなかったようだ。
--ガチャポンのフィギュアに解説文を載せるなどやり方はあったと思うが…。
--ただし過去三作を遊んでいても置いてけぼりにされるポイントがあるため、やっていても分からない点があるという部分ではやろうがやらまいが一緒ではあるが。

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**総評
アクション部分に関しては『ノーモア★ヒーローズ』以外の過去の須田ゲー含め上位の出来で、独創的なデザインやユニークなカットシーンに関しても相変わらずの尖りぶりである。~

その一方で、殺しのエゴと業を描いた旧作と打って変わってタイトルの通りのヒーローものへと変化した事は、同じ雰囲気を求めていたファンからは不満の声もある。~
また、正統派になった割にはストーリーは一般的な商業作品に求められる整合性を完全に放棄してしまっており、クリエイターの感性のみに任せた結果が良い方にも悪い方にも作用している。~

ただし、あくまで(過去作からのという意味と本作内でのという両方の意味で)線と点が繋がってないことが問題というだけで、点に注目して見るならば十二分に見どころはある作品と言える。

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**余談
-本作の敵サイドの登場人物にデーモン・リカテロというキャラが存在するのだが、このネーミングに関してある疑惑が存在する。
--というのも、「リカテロ」という性は現在のUnity Technologies社CEOジョン・リカテロ氏と同じであり、本作がUnityの対抗馬であるUnreal Engineを用いて製作されているためUEのライバルであるユニティの社長からとったネタではないかという意見。と、ここまでなら単なるひねったネーミングの域なのだが…。
--実はジョン・リカテロ氏はUnity Technologies社に努める前にEAのCEOを担当していたのだが、同時期に須田氏たちはEAがパブリッシングを務めた『Shadows of the DAMNED』を製作していた。
--だが、同作はEA側から様々な横やりが入った結果須田氏(及び共同開発にあたっていた三上氏)の当初のビジョンとは大きく異なる結果となってしまったことで有名であり、本作で敵キャラにリカテロと名付けたのは須田氏なりの意趣返しではないかという指摘がある。
---もちろん、公式で明言されていない以上単なる偶然の一致という可能性もないわけではないが、意味深なネーミングと言えよう。

-須田氏曰く本作が『ノーモア★ヒーローズ』シリーズ最終作になる…とのことだが、この主張は二転三転しており作中でも次回作を匂わすギャグがあったりとはっきりしない。
--雑誌のNintendo DREAMにて行われたインタビューによると「''続編の案はあるが、新規IPの計画を3本抱えているためすぐには取り掛かれない''」とのことで、可能性が0ではないがすぐに出ることもないというのが実情と思われる。
---もっとも、上記の発言を見れば須田氏が現在も精力的にゲーム制作に取り組んでいるのは明白であり、いずれ『ノーモア★ヒーローズ』の新作が開発される可能性は充分にあり得るだろう。