朧村正
【おぼろむらまさ】
ジャンル
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絢爛絵巻和風アクションRPG
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対応機種
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Wii
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メディア
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12cm光ディスク 1枚
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発売元
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マーベラスエンターテイメント
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開発元
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ヴァニラウェア
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発売日
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2009年4月9日
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定価
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7,140円(税込)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1ブロック使用(最大5ファイル保存可) SDメモリーカードへのコピー可
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周辺機器
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ヌンチャク クラシックコントローラ/同PRO ゲームキューブコントローラ
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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廉価版
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みんなのおすすめセレクション 2010年2月25日/2,800円(税込)
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配信
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【WiiU】2015年8月19日/2,700円(税8%込)
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判定
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良作
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概要
江戸時代(元禄)を舞台にした横スクロール型のアクションRPG。シンプルな操作で華麗なアクションを披露し、日本的な色彩を取り入れたグラフィックが特徴。
ストーリー
以下の2つのシナリオで構成されている。
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『百姫伝』
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主人公は美濃国鳴神藩の姫・百姫。しかしある事故により大悪党・飯綱陣九朗の魂に体を乗っ取られ、妖刀を振るう悪の剣豪となってしまった。劇中では陣九朗の改心と百姫の人生の決意が語られる。
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『鬼助伝』
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主人公は記憶を失った忍者・鬼助。何故か携えていた妖刀を、身に覚えの無い剣術をもって振るい戦っていく。劇中では鬼助の身分違いの恋と復讐が語られる。
評価点
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真っ先に目に入るのがヴァニラウェアの本領発揮とも言えるグラフィックの美しさである。日本画の色彩を取り入れた、懐かしさと新鮮味を合わせ持った美しい風景。その中を昔話のイラストのようなデザインのキャラクターがなめらかなアニメーションで動くさまはつい見とれてしまうほど。風景や敵グラフィックには日本の名画オマージュなどが各所にちりばめられ、見る者を飽きさせない。
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特に凝っているのが食事の場面である。ふっくらと炊きあがったご飯。立ち上る湯気。もちもちとした団子。香ばしい色に焼きあがった魚。見ているだけで食欲をそそり、一口ごとに無くなっていくアニメーションは並大抵のグルメ番組を凌駕した食欲を刺激する食事映像と言っても過言ではない。急ぎたい人には早送りも可能な親切設計である。
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音楽は和風を基本として美しい曲から激しい曲まで非常に高いクオリティのものが揃っている。ヴァニラウェア作品の多くを担当するベイシスケイプが本作でも作曲。
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道中のBGMは各曲穏やかなものと激しいもの2つのバージョンが用意されており、敵との遭遇でそれが自然な形で切り替わるようになっている。
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システム面では、ボタン一つで攻撃とコンボ・防御ができる簡潔さと、画面上の敵を一度に攻撃する居合斬りで見られる爽快さを兼ね備える。防御や奥義の使用で刀の霊力を消費し、霊力がなくなると折れる。そのため装備した3つの刀を切り替え使い分けながら戦うテクニックも要求されアクション性を高めている。
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低難度の「無双」と高難度の「修羅」の切り替えがほぼ自由にできる。また難易度の違いによる隠し要素などはないため、好きな方を選択できる。
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無双モードではボタン連打で次々と敵をなぎ倒せるアクションゲーが苦手なプレイヤーにも優しいつくり。反面、修羅モードではあらゆる要素を駆使しなければ勝ち進めない。
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条件を満たすとさらに高い難度の「死狂」が選べるが、体力1のままで進む、まさに決死のモードである。
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エンディングの分岐があり、ある程度やりこまなければ真のエンディングに到達できない。
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シナリオの終わり方は独特の展開のものが多く、やや後味が悪いものも。どのエンディングも救いが無いという訳でもないのだが、分かりやすい勧善懲悪やスタンダードなハッピーエンドは少ない。言い換えれば深みのあるシナリオとも言えるが、可愛らしい・親しみやすいキャラクターでも容赦なく過酷な運命に翻弄される事も多く、ある意味でヴァニラウェアらしい展開。Vita版の各DLCのシナリオも同様かそれ以上に過酷なものもあり、中には真エンドのほうがシビアな展開であることも。
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バグが非常に少ない。
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本作をクリアまで通してやっても、多くの奥義やボスがある割にバグと思わしきものはほとんどない。きちんとデバッグをしたのだろう事が窺える。
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研究や解析によって解明されたものも多いが、進行に困るものはほとんどなく、普通にプレイしている分にはまず起こらない。
問題点
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内容の短さは大きな難点である。ただラスボスを倒すだけなら、各ストーリーとも5時間、計10時間程度で終わる。セーブポイントも頻繁にあるので、ともすればあっと言う間に終わったと思うプレイヤーもいるだろう。
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話の始まりが説明不足と感じる部分もある。これは容量不足で内容を一部カットした事に由来する。ただ、進めていけば理解できる範囲でもある。同じくボスもあと4体登場する予定だった。なお、片方で出なかったボスはクリア後に戦える。
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操作が簡単ではあるが、その代わり戦闘中は常にAボタンを叩き続ける事になる。ボス戦は10分以上も連打を続けるので手が非常に疲れる。連射機能のないFC初期のシューティングゲームのようである。
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しかし連打のみのゴリ押しが通るのは「無双」までであり、「修羅」「死狂」あたりになると連打だけでは勝てず、きちんとパターンを読み、刀の操作に熟知することが必要となる。
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各刀に用意された特殊技である奥義は性能差が激しい。霊力のコストパフォーマンスがいい割に高い攻撃能力と長い無敵時間があるものもあれば、大した効果の期待できないものまで様々。
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「死狂」では奥義を使った時の無敵時間が重要になるため必然的に使う刀が限られてくる。
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大きく霊力を消費する奥義は、刀の霊力をいかに消費せずに戦うかが肝となっているシステムにそぐわない。
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ただし慣れれば「死狂」であっても、奥義を使わずとも攻略は十分可能。
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一応、クリア後に霊力が使い放題になる装備品の入手は可能。これを使えばどんな奥義も使い放題。
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居合いは装備変更に伴うため戦闘中にポーズを掛けて発動するような形になり、少しテンポが悪い。
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交通の便が悪い。基本的に移動は徒歩。
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ショートカット機能であるカゴ屋もあるが、数が少なくわき道に設置されており、さらに一方通行のうえに行きたいところに行けないので使い勝手はいまいち。
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ワープ用アイテムもあるが、ワープ先が「最後に立ち寄ったセーブポイント」なので思った場所に飛ぶためには使用前に状況を整えておく必要があり、こちらもあまり使い勝手は良くない。
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「立ち寄った事のあるセーブポイントのいずれか」であればまだ違っただろうが…。
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クリア済みのダンジョンもやっぱり基本的に徒歩。帰りは上記のワープ用アイテムがあるため楽だが、行きに関してはレベルや装備が強くなってしまうと単調さが強くなる。
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戦闘を回避するアイテムがあるが、所持数が10個と少なく売ってる店も限られている。
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キャラの画風とは裏腹の本格的時代劇であるが、一部の出演声優が時代口調のセリフになれていない節が感じられるシーンも。
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とはいえ声優によっては世界観にマッチした演技、声色であり、本作に欠かすことのできない要素として評価される。
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どうしても気になるというのなら、設定で音声をOFFに可能。
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料理の見た目はいいのだが、動きがオーバーすぎるという声も。
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大写しになった料理が欠けていく演出は、確かに美味そうな料理としてクオリティの高い演出なのだが、キャラが美味しそうに食べる過去作の食事演出の方が好みだったという声もある。
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ゼリー状でもない料理が無駄にプルプルしてたりすることも。
総評
手軽で簡単な操作性と本格的なやり込み要素を合わせ持ち、アクションが苦手な人も得意な人もやりやすく手応えを感じるバランスを持つ。
ヴァニラウェアによる「和」の表現や、だれもが心を奪われる美しいグラフィックは特筆すべき長所である。
「みんなのニンテンドーチャンネル」のアンケートで2番目に高い評価であるゴールドを獲得し、廉価版である「みんなのおすすめセレクション」第一弾に選ばれている、出来についてはお墨付きと言えるだろう。
ただし、夜中にプレイするのはお勧めできない。主に食欲的な意味で。
余談
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2015年8月19日にWiiU向けのダウンロード販売が開始された。
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Wii版そのままの移植なので、PSV版の追加要素は含まれていない。
朧村正(PSV版)
(データはオリジナル版との違いのみ記載)
対応機種
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プレイステーション・ヴィータ
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発売日
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2013年3月28日
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定価
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4,980円(税込)
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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廉価版
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PlayStation Vita the Best:2014年3月6日 パッケージ:3,570円 / DL:3,000円(各税5%込) DLCコード入り:2015年3月19日/4,860円(税8%込)
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判定
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良作
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概要(PSV)
朧村正のPSVへの移植版。海外版のワープやDLCも追加されている。
DLC第1弾は、発売から半年以上たった11月配信。神谷氏によると、新作『ドラゴンズクラウン』の影響があった模様。
特徴(PSV)
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『元禄怪奇譚』シリーズとして本編とは独立した外伝シナリオがプレイ可能で、全四編配信済み。値段はそれぞれ500円。
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シナリオ自体はチュートリアルを含めて大ボス3体で、本編の2章分と少ないが(値段を考慮すれば充分ではある)追加ボスや新システムが導入される上、新規BGMと本編同様マルチエンディングまであるという非常に気合の入った内容であり、どのシナリオも概ね良好に受け入れられている。「これで一つのゲームとして遊べるクオリティ」「もっと値段を取っても良い内容」といった声も多く聞かれる。
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いずれも本編の妖刀を、それぞれ主役の特徴に合わせた3パターンの攻撃方法に置き換えている。攻撃パターン3種の変更は出来ないが、本編の妖刀鍛錬システムを使って能力の強化が出来る。
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また全編共通で、各話最初の大ボス戦=チュートリアルになっている。が、このチュートリアルの難易度が非常に高い。難易度を『修羅』にして挑もうものなら、長い時間をこのチュートリアルで費やす事になる。達成感も一塩だが、人によってはかなりキツい。中でも操作に慣れの必要な『大根義民一揆』はいきなり集団戦からとなり、特に難しかったという声が聞かれる。
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以下のDLCで明かされる設定はそれぞれ本編の前日談もしくは後日談となっており、それぞれの内容が本編で発生した出来事の遠因の一つとなっていたり、これがあのエンディングに繋がるのか!とファンの想像を膨らませる物になっている。(ただし本編の分を含めて各種エンディングはパラレルワールドとして扱われているので、内容が繋がらない物もある。)
DLC『元禄怪奇譚』
『津奈缶猫魔稿(つなかまねこまたぞうし)』・通称『化猫』
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お留守居役の家老の妬みで謀殺された姉弟とその父の恨みを晴らす為、飼い猫の三毛は化け猫となって姉・お恋の姿で恨みを晴らす…。
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変化という形で攻撃手段を変更出来、素早い動きで遠距離からの攻撃も可能な三毛モード、鋭い爪を駆使して戦うお恋モード、そして一定時間無敵になり強力な攻撃を浴びせられる化け猫モードの3種類。
『大根義民一揆(おおねぎみんいっき)』・通称『一揆』
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度重なる飢饉に対し重税が重なり、不満の爆発した農民達を鎮め、被害を最小にする為に権兵衛とその仲間が陳情へと江戸へ向かうが…。
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攻撃手段は農具で、大振りながら強力な一撃が可能な鍬、素早い攻撃の竹槍、霊力を消費しながら投げつける事が出来る鎌の3種類。
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主人公権兵衛は普段は争いの中に身を置くことのない農民である為、どの攻撃法にもややクセ、スキのある動きが多く、アクションとしての難易度は高めである。貧困に喘いでるという設定を反映しているのか道中では録に金が手に入らないという特徴があり、一度の戦闘で一文二文はザラ。
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権兵衛の女房・お妙が幽霊となってサポートキャラとして立ち回ってくれるという設定にする事で、一般人の権兵衛が霊力を消費する・二段ジャンプという操作が自然になる演出になっている。
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また、本編の居合いの全体攻撃では、同じ一揆仲間を最大2人まで呼び出す事が出来る。この2人は、攻撃を受けるまで権兵衛と共に攻撃してくれる為、上手い立ち回りが必要となる。
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状況は異なるが、『一揆』という設定や主人公の名前やその人数……と、どうみてもあのゲームを彷彿とさせる。
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と言うより、配信時に公式Twitterで「いっき」スタート画面風の宣伝画像を載せたところを見るに確信犯である。さらにPVでは「まんが日本昔ばなし」までオマージュしている。
『七夜祟妖魔忍伝(ななやたたりようまにんでん)』・通称『白蛇』
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抜け忍嵐丸が刺客との戦いの中古びた社に祭られていた神鏡を壊してしまい、社の主である白蛇の化身が夢枕に立ち、七夜で死ぬ神罰を言い渡すが…。
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本編の主人公で、同じく抜け忍ながら刀を用いた立ち回りをする鬼助とは違い、素早く遠隔攻撃も可能な苦無、攻撃範囲が広く集団戦に強い鎖鎌、ゲージ消費は激しいが高威力の爆雷の3種類の攻撃方法と、いかにも忍者らしい戦闘スタイルを持つ。
また、こちらも刀がないことを除けば、かの名作忍者ゲーを明らかにオマージュしている。
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また、空中で必殺技を使用する事で白蛇の化身の力を借りることが出来る。ゲージ消費は大きいが、援護射撃や壁代わりにもなってくれる存在。
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PVの一部には白土三平の漫画「カムイ外伝」(こちらも抜け忍が主人公の作品)を彷彿とさせる漫画的な演出がある。
『角隠女地獄(つのかくしおんなじごく)』・通称『鬼娘』
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無類の女好きで放蕩者の清吉がひょんな事から小さな鬼娘に好きあった仲と勘違いされる。鬼娘に振り回される清吉は何とか逃げ出そうとするが…。
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操作キャラは鬼娘である羅邪鬼。携えた打ち出の小槌で攻撃モードを切り替えられ、鉞による連続攻撃を繰り出せる子供、金棒での長いリーチを持つ大人、時間制限はあるが無敵で一方的にラッシュ攻撃の出来る大鬼の3種類。
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これまでのDLCと比べるとギャグ・コメディテイストの強い作品である。本編や他DLCと比較してもストーリーの後味も良い方である。
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本編中も「女好きと鬼娘」関連か、「うる星やつら」作者高橋留美子恒例の「両手の中指と薬指を曲げたポーズ」などのパロディが見られるシーンがある。
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余談だが、遊郭表現がCERO審査で通らず、公開が延期になった経緯がある。
最終更新:2023年02月16日 16:36