アンシャントロマン ~Power of Dark Side~

【あんしゃんとろまん ぱわーおぶだーくさいど】

ジャンル RPG
対応機種 プレイステーション
発売元 日本システム
開発元 風雅システム
発売日 1998年4月23日
定価 6,800円(税抜)
判定 クソゲー
ポイント 全要素が満遍なく論外なクオリティ
PS初期にすら及ばないグラフィック
素人が適当に作ったようなBGM
理不尽かつ不親切なUI
戦略不要に等しい戦闘
超展開でスカスカなストーリー
滑舌の悪い大半の声優陣
(不)愉快な買い物時のボイス


概要

『アマランス』で名を馳せたPCゲーム界の雄、風雅システムが、前年1997年1月31日発売の大ヒットRPG『ファイナルファンタジーVII』にインスパイアされ手掛けた…とされる、渾身の超大作…になる筈だったRPG。
なお、上記の『FF7』絡みの話題は、実際には制作者サイドからこの様なアナウンスがされた事実は見受けられず、あくまでゲームの作りや細かい要素からプレイヤー側が立てた予測である点は注意されたし。

蓋を開けてみればFF7どころか商業作品としても疑問符が浮かぶレベルの何かであり、それどころか一企業でプロが開発した「商品」とは信じ難い、香ばしいことこの上ない代物に仕上がってしまった。

とにかく以下の通りゲーム内のあらゆる要素が満遍なく論外の出来であり、評価点と言える点が無いに等しいRPGとして今でも悪い意味でその道の通に名を馳せる、知る人ぞ知る迷作である。

この項目ではそんな核地雷を紹介していくことにしよう。


プロローグ

(説明書2ページより引用)

その世界には、様々な星があり、
いくつかの星にはそれぞれの人類が文明を築いていた……。
その星のひとつが、突如として大爆発を起こし、消滅する。
爆発の余波を受けた周囲の星々の文明も……崩壊。
それだけでなく、この爆発は更なる闇をも生み出してしまう。

……それは「暗黒の気」
この邪悪な気の力で、それまでは存在しなかった、
もうひとつの異質な世界が誕生してしまったのだ。

そして、この惨事から1000年余が過ぎた。
ようやく、かつての繁栄を取り戻しかけている、星の人々。
しかし、「暗黒の気を背景とした異質な世界」との衝突が始まろうとしていた。
……いや、すでにその兆候は現れていたのだ!

ストーリー

(説明書3・4ページより引用)

一つの星が爆発する。
爆発はその星系にある惑星とそこに生きるすべてを呑み込む…。
爆発の力はある星を襲う。
星は壊滅。闇を切り刻むかのような幾千もの流星。
その中に、異様な輝きを持つものがあった…。

そして1000年が経った。
ある王国の城の中、赤ん坊を抱えた王妃を、異形の生物が襲う。
赤ん坊はその生物に連れ去られてしまう。

その出来事から17年。
赤ん坊は山奥の鉱山の村でたくましく育っていた。
その名は「カイ」。

奇しくも平穏に思える世界は、しかし、
再び魔の力で漆黒の闇へと変貌しつつあった。
人間が妖獣化していく…。
そんな噂が日を追うごとに現実味を帯びてきていたのだ。

立つのは今…! カイは、ついに旅に出る。
この世に平和を、そして愛を取り戻すために。
美しい海と点在する島々。確かにこの世界にはまだ神が存在する…。
カイは、この世界を覆わんとする闇の元凶を見出せるのか?
そして、愛すべきものを全てを守ることができるのか?


特徴

登場人物

(内容は説明書5~8ページからの引用がメイン)

  • カイ・オルフェアス
    • 主人公でパッケージの左側に一番大きく描かれている青髪の青年。17歳。赤ん坊の頃に魔物にさらわれ、鉱山の村で奴隷として働かされ続けていた。
      • ストーリー冒頭、奴隷が皆殺しにされる事を盗み聞いて奴隷たちを決起させ、多くの犠牲を払いつつ数名の仲間と共に自由を手に入れるところから彼の冒険ははじまる。
      • 温厚かつ親切な性格だが、正義感と責任感の強さから頑固な一面も見せる。また年齢相応に成長途中の未成熟な振る舞いが周囲の困惑を誘う事もある。
      • その生い立ちゆえ心の奥底では、容姿はおろか素性も安否も分からない両親に対して憎しみと恋慕思慕が入り混じった感情を抱き続けている。
  • ミシリア・アルマイヤー
    • ヒロインでパッケージ中央左に立つ青いスカートの少女。15歳。おとなしそうな雰囲気を見せるが芯の強い性格で、本作のシナリオ上ではサブ主人公といった立ち位置とのこと。
      • カイと同じく奴隷として働かされていたが、カイ達と共に決起を図り自由の身となる。鉱山の村で親代わりとなっていた老人ジョナサンから親戚の存在を聞かされ、彼らに会いに行く為に旅をしていたが、次第にカイとともに旅を続けたい気持ちが強くなっていく。
  • バーク・シュワルツ
    • パッケージ右端の体格の良いオッサンで31歳。顔が怖く不器用な性分だが、明るい性格の人情家でもある。
      • もともとは流浪の木こりで、流れ続けた末に鉱山の村で働かされることになる。だが「カイだけでこっそり逃げろ」と言われても応じず、逆に危険を承知で「みんな一緒に立ち向かって脱出しよう」と頼むカイの”無垢な心”に惹かれ、「面白そうじゃねえか!」といの一番で乗っかった。
      • 作中の旅においては、「分かりやすい」感情表現でリードしていく人物として存在感を見せる。
  • サリナ・ジェナトス
    • パッケージ中央右のピンク色の髪の女性剣士。20歳。父親の遺志を継いで、単独で魔物と戦い続けているという。
      • 子供の頃から高い素質を持っていたために剣士としての教育を受け、女性らしさとは無縁の暮らしをしてきた。育ちゆえに負けん気が強く言葉遣いも荒い性格だが、ときおり女性らしい優しさも覗かせる。
  • ミーナ・エルノロア
    • エルフの隠れ里「エルフランド」の護衛隊長を務める女性剣士。怪物病の調査に励み魔物と戦い続けるカイ達との出会いに戸惑いを見せるが、最終的に古からのエルフの掟に反してカイ達に同行することを選ぶ。
      • さりげなく、エルフは魔物と人間のハーフというとんでもない設定も同時に載せられてたりする。
  • バロア・カイト
    • 世界を旅するにあたり必要な船乗りを求め港町を訪れた際に出会う、国一番の腕を自負する男。29歳。
      • 昔から人を寄せ付けない雰囲気を漂わせ、初対面で「ガラが悪そう」と小声で漏らしたミシリアに、「はっきりモノを言えない奴は早死にする」と即座に切り返すなど、くせ者ぶりが目立つ性格。
      • だが、王子という立場でありながら「(部下ではなく)自分たちの仲間になってほしい」と依頼するカイを気に入り、パーティーに加わって魔物の出没する海を航行する役目を買って出る。

戦闘システム

  • 味方全員の行動を指定したのち、QP(素早さ)の高い順を目安に敵味方が攻防を繰り返すターン制を採用。通常攻撃のクリティカルを会心の一撃と説明書で表記するなど、『ドラゴンクエスト』シリーズのそれを参考にしていると思われる。
    • 選択可能なコマンドは、「こうげき」「ぼうぎょ」「まほう」「アイテム」「逃げる」の5種類。魔法やアイテムを用いた回復は、通常より素早く発動する傾向あり。
    • コマンド選択中の待機画面は『VI』以前のFFシリーズのような、画面の左右に敵味方が並んで陣取るサイドビュー形式をとっているが、このタイミングでL1・R1ボタンを押せばカメラの位置を初期位置含め6種類の切り替え*1が可能だったり、いざ行動開始すると『FF7』のように敵味方の行動に合わせてカメラが動くといった、3D描画を活かした演出を取り入れている。

問題点

タイトル画面

  • まず、英語を少しかじった人ならわかると思うが、タイトルの「アンシャント」から違和感が強い。
    • パッケージ画像にもある通り、「古代の」などの意味を指す英単語「ancient」のことだが、日本語では普通「エンシェント」「エインシャント」などと表記される単語である。
      • 発音記号の表記は[éinʃənt]で、冒頭の発音を日本語で表すなら「ア」ではなく前述の通り「エイ(エィ)」*2とするのが自然である。
+ 「アンシャント」に関する補足およびフォロー
  • 誤表記でないとするならば、英語の「ancient」と仏語の「ancien」(一般にアンシャンと表記される)を混同、というかごちゃまぜにした結果かもしれない。あえて採用したのなら、「聞きなれない語感を用いて購入者の興味を引く為」「発売予定欄の上部に持ってくる為」などの理由があげられるか。
  • なお、外国語の表記ゆれ・発音ゆれ自体はメジャーな英単語でも決して珍しいものではない。この「アンシャント」表記の場合も本作の他にも採用した事物はわずかながら存在*3しており、相当にマイナーな読み方だが間違った用法と断定は出来ない。
  • ちなみに本編では古代やロマンといった話は特に主題でなく、このタイトルをつけた意図はよく分からない。プロローグに出てきた「理不尽にも吹き飛んだ文明」なら当てはまらなくもないが、残念ながら物語の本筋に古代文明はほぼ絡まない。もっとも、オマージュ元と目されるシリーズのタイトルも、「FFと略せるならなんでも良い」といった経緯で命名されたという話もあるので、余程の奇妙なネーミングでもない以上はそこまで気にする要素ではないだろう。
  • 副題の「~Power of Dark Side~」も、「The power of the dark side」とする方が自然である。日本人向けのゲームとしては「the」の省略は珍しくなく語呂やデザインの問題なので細かいことではあるが。
    • 「暗黒面の力」も本編で特に取り上げられないが、説明書のあらすじと合わせて考えればラスボスの存在を指しているという推察は容易。ただ、後述するオープニングムービーのテロップを見ると、さらに別の事情があるのではと疑わせる。
  • また、本作のタイトル画面の背景には現実の地球をベースとした世界地図*4を使用しているのが分かる。なぜか北米大陸の形だけ明らかに現実と違うが。
    • しかし、説明書のあらすじを読んだり本作のストーリーを進めても、現実の地球とリンクする話や本作での宇宙に地球が存在するといった設定は全く出て来ないため、地球の地図を使う必然性がない。
    • 現実と一部だけ異なる地図を用意していることから、適当にありあわせの地図イラストをセットしたわけではなくわざわざ本作のために用意した地図に見えるが、そうなった設定上の意図が全く読めず、プレイヤーからすれば意味不明なチョイスとしか判断できない結果に終わっている。
  • このように、タイトル画面というプレイして誰もが真っ先に目にする部分からツッコミ所が噴出するという異常事態は、本作の出来栄えを象徴しているとも言えよう。

パーティメンバーについて

本作ではメインキャラが6人、一時加入キャラが2人いる。

  • カイ・オルフェアス
    • 主人公である彼の生い立ちなのだが、隠したいのか隠したくないのか判断に困る。
      • 詳細は下記に譲るが、王子という出自が明確に判明するまでの間、生い立ちを仄めかす程度に抑えた描写は全くない。一方で、オープニングテロップや説明書のあらすじでは王子だと明記しているので、カイの出自の扱い方の意図が全く読めない。
    • 主人公という事でストーリー中では皆を先導する…のだが、プレイヤーからしたら性能的にも性格的にもパっとせず、リーダーシップを発揮する場面も殆ど無い。
      • 本人は目立たないが才気ある人物を惹きつける…というタイプのキャラクターだとも考えられるのだが、最初の村で決起仲間の老人ジョナサンから、「英雄と呼べる人物たちと同様の、不可能を可能にする様な強い「気」を感じる」などと大仰に評されているのに、蓋を開けてみれば本人はパッとしないタイプの人物だったというのも変な話である。
      • イベントムービーでは、時折ひょっとこの如く変顔を披露する文字通りのお笑い要員でもある
  • ミシリア・アルマイヤー
    • カイに仄かな想いを寄せているようで、過酷な冒険についていくのもカイと共に居たいが為。赤の他人に足手まとい呼ばわりされようがカイに親戚の家に預けられそうになってもその好意は変わらない。
    • 彼女自身のストーリー中の振る舞いや性格描写にそこまで問題があるわけではないが、彼女がらみのイベントフラグとなりうる要素がことごとくスルーされがちという悲しみを背負っている。
      • 序盤の旅の目的である町の長老を訪ねてミシリアの母(故人)が港町の若者と結婚していたという話を聞き、ファラ加入ムービーでもカイは「ミシリアの母親の故郷を探している」と明言している。それにも関わらずこの会話以降、港町を訪れようが誰もこの話題に触れず、エンディング含めてシナリオ展開からは故郷探しのこの字もなくなるという投げっぱなし。
      • 恋愛描写に関しても先細りで、カイの出自がわかると同時にちょっとした葛藤もはさまれるが、ミシリアの側から恋愛面でのアプローチがあるわけでもなく、ストーリー中でミシリアが告白などして両思いになったりもせず、エンディングムービーで唐突にカイの側から求婚してくる。
      • ミシリアは劇中でたびたび「カイを信じてる」と支える気満々の発言をしているものの、それが恋愛・結婚方面でも同様のスタンスだとカイが認識するとは限らない。カイのミシリアへの反応を見てもエンディングの求婚に直接つながるような描写が見当たらないため、カイとミシリアが結婚するという結果そのものが突飛に映る。身も蓋もない見方をすると「ヒロインが好意を寄せてて主人公も嫌がる素振りは見せてないから、2人は最後にくっつく」という、大抵の人がそう予想するだろう「お約束の展開」だからと描写を削ったようにも見えてしまう。
    • 戦闘面においては典型的な魔法使いポジションなのだが、本作の魔法の仕様はあまりにも酷すぎる(後述)うえに魔法絡みのステータスもほぼ意味を成していない。その結果魔法使いキャラ特有の打たれ弱さばかりが目立つなど本作の戦闘バランスの逆風をモロに受けており、色々と不憫なキャラクター。
  • バーク・シュワルツ
    • プロレスラーの如く屈強な体格と渋い外見で、普段は見た目通り気さくで豪快…なのだが、唐突に変なボケをかますところがあり悪い意味でキャラが掴めない(所謂キャラ崩壊)。一方、たびたびプレイヤーの不満を代弁してくれる場面もある。序盤のうちはたまに年長者らしくカイやミシリアを諭したりする事もあった。
    • 見た目通りのパワーアタッカーで、ミシリアとは対極に物理攻撃至上主義の如き本作のバランスの恩恵を最大限享受しており、序盤から終盤まで不動のエースとして君臨する。少しレベルを上げて装備を整えてやれば、もはや彼の独擅場と言ってもいいほどの頼もしさを見せる漢である。強いて欠点を挙げるとすれば、後述する今ひとつキャラに合っていない声質と棒読み具合だろうか。
  • ミーナ・エルノロア
    • エルフの隠れ里の護衛隊長として入り口でカイたちの前に立ち塞がるが、見て分かるような状況で問答無用で襲い掛かった挙句、仲間の種族であるフェアリーのファラを叩き斬っておいてぬけぬけと「あなた方がピクシーの仲間だとは存じませんでした」などと理解に苦しむ事を宣う。
    • 自分が負傷させたファラの代わりに仲間に加わる…が特にこれといった活躍はなく、実際の性能もどうにもパっとしない。こんな体たらくで何故ファラの代役に当てはめたのだろう?
    • また、後述するが凄まじい棒読み。声優の実績や技量云々に興味が無い人でも一聴しただけでわかる程である。特に感情が欠落しているという設定もないため違和感が凄まじい。
  • サリナ・ジェナトス
    • キャラ紹介の通り姉御肌で気の強い性格…らしいのだが、初登場時に典型的な負け惜しみをウジウジ吐いたり、唐突なタイミングでふざけてる様なリアクションをしたり、突然一人称が「あたし」から「あたい」に変わったりと、バーク以上にキャラが定まっていない。
    • とはいえ、攻防のバランスは良いうえ素早さはトップクラスという優れたキャラ性能を持つので、バークに次いでスタメンとして活躍させやすい。性格がブレやすいキャラほど戦闘で頼りになるというのも奇妙な法則である。
  • バロア・カイト
    • 上記の通り、カイに「魔物のいる海へ船を出してほしい」と頼まれるのが仲間になるきっかけだが、カイたちが船乗りを探すそもそもの理由は、ハインローグの大臣たちが船を建造させたのに乗り手がまだ見つからなかったため。
      魔物のいる海を航海したくないため承諾した船乗りいなかったのだろうが、パーティー加入の大元の理由が臣下の無計画ぶりというのも締まらない話である。
      • 大臣から声は掛かっていたが、カイ本人の話を聞いてから決めたいと態度を保留していた…位の理由付けがあった方がより自然な話の展開になっただろう。
      • だが、加入時の流れ以外ではあまり特筆すべき出来事や本人の特徴がなく、癖はないが影も薄い方である。
    • 最後に加入するメンバーなのだが、その割には何も装備していないせいで即戦力になれない。
    • 器用度(SK)というステータスが高めだが、後述の通り命中率という概念がない(攻撃が必中する)ので、そのステータスの恩恵がよく分からない。だがバークに次いでHPと物理攻撃力が高いため、最終的な編成ではバーク・サリナに続いて3人目の枠に入りやすい。
  • ファラ・ミスチル
    • パッケージのロゴの上に描かれているキャラで、いわゆるピクシー。かつてはエルフと共に人間と共存していたが、増長した人間に迫害された末に姿を消した種族らしい。
    • 本人はその悲劇的な一面を感じさせないほどに天真爛漫な少女で、好奇心からカイたちについて来ては様々なキャラクターと積極的に交流する。そのためストーリーではムードメーカーとして、また戦闘ではステータスも高いエースとしてトップクラスの存在感を持つ。
    • …のだが、ミーナに問答無用で斬られて負傷し、そのまま忘れ去られてフェードアウト…という、それまでの活躍ぶりを嘲るかの如く不憫な扱いを受けている。一時離脱キャラとしてもかなりいい加減過ぎる理由で、何のために登場させたのかが分からないレベル。
  • マクロード・エッシャー
    • レイクマウントの町にて出会う騎士団の隊長。
    • この作品では珍しく癖のない真っ当な常識人。逆にバロア以上に個性も見せ場も無いが…。

非戦闘時のグラフィック

フィールド上ではデフォルメされたポリゴンキャラが、戦闘では等身大のキャラが表示される。
…のだが、どちらも質が壊滅的に酷い。詳細は下に記すが質以前に根本的な問題まみれである。

  • ゲーム画面は『FF7』と言うよりは同年発売の『レガイア伝説』の方が近い(言うまでもなく出来は雲泥の差だが)。
  • 町やダンジョンはすべて、1マップにつき1画面分の見下ろし画面で表示され、一切スクロールなどはしない
    • 場所によっては広い範囲が無理矢理1画面分に収められている。このような時はキャラクターが豆粒のように小さくなり*5、どんなキャラなのかすら分からなくなる。
      • ポリゴンの出来も壊滅的であるため、建物の中にいる普通の大きさのキャラでさえ「人のようなカタチをした何か」にしか見えず、じっくり見ても性別すら分からないことがよくある。
    • 建物の個性が薄く、掛かっている看板も判読不能で、その建物がどのような施設なのか外見ではまず分からない。しかも店の種類は無駄に多い。
  • 建物の出入りや通路の移動といった場合の画面切り替えの判定が不安定で、入口に移動させても画面が切り替わらない事がある。こちらが入り口を探している間、キャラが壁に向かって延々と足踏みをし続けるという光景が度々発生する。
    • こうなると一度歩みを止めなければマップ移動は不可能で、一度動きを止めてから入口へ向けて歩いてやっと移動することが出来る。
    • 敵とのエンカウントがあるマップでは、障害物や入口で足踏みしている最中にもエンカウントが発生する
  • 「木の幹に空いた穴からエルフの集落に向かう」というイベントがあるが、黒い小さい扉のような半楕円を木のポリゴンの前にただ浮かべただけという、開いた口が塞がらなくなる代物。
  • マップ上では3~4頭身にデフォルメされたキャラが表示されるが、これもまた低品質でモーションも壊滅的。
    • 主人公を含むマップ上のキャラが様々な状況で見せるモーションは違和感の塊である。
      • カイがNPCに話しかけると相槌と右腕を体操のように横へ広げる動作を交互にやったり、パーティメンバーが待機中常に首をメトロノームのように左右に揺らしたり両手をバタつかせる、など。
    • 細かな動作が実現できなかったのか、ベッドから降りたと思われる際にはベッドの上から瞬間移動したかのような表現になっている。
    • NPCのモーションに至っては、新ハインローグ城の一部の兵士のように複数人が同じタイミングで両手を横に広げる、イベントに関係なくパーティメンバーと同じリズムで手足を規則的に動かし続ける、カメラから見て斜め方向の直線移動のはずなのにガタガタと縦横に細かく方向転換しながら走るなど不気味なものすらある。
  • キャラの造りは、ポリゴンも顔のテクスチャも非常に低品質で不細工。テクスチャは出来が悪いことで評判の『10101』よりもさらにひどい。
    • パッケージなどに描かれたイラストはまともで、当時の絵柄として至って標準的なものである。…が、実際のゲーム内ではこれとは全く似ても似つかない不細工な顔を見せつけられる。壊滅的なポリゴンに落書きのような顔が描かれているという有様で、ホラーようなの印象すら受ける。
      • イラストとグラフィックではキャラの服など、根本的に配色すら違うものも。酷いものだと、設定資料どころか本作中のフィールド上と戦闘中ですら配色が全く異なる始末。
    • 特に、マッチョなバーク、ピクシーのファラの原画と作中の見た目の落差は失笑もの。
      • バークはイラストでは筋肉質な腕をしているが、ゲーム内では藁人形や繋がったレンコンのような貧相な作り。
      • ファラは設定上や初登場ムービーでは主人公の肩に乗れるくらい小さいはずだが、マップでのそれは明らかに大きくなっている。
  • フィールドマップはすごろくのような表示形式で、行き先を決定ボタンで指定するタイプ。
    • しかし地図のデザインはのっぺりとした海と陸が描かれているだけ。地域ごとに山や湖、樹木等の描写はあるがPSとは思えぬ粗いドットなうえ、肝心の町やダンジョンはて黄色い円のシンボルのみと、駒に相当する主人公をそこに移動させるまでどこが何なのか全く分からない不親切ぶり。
      • フィールドマップ上の主人公はドット絵なのだが、SFC時代の一般的なRPGのキャラグラにも劣る粗い絵柄である。
    • 線を伝ってマップ範囲外を指定すると一瞬で隣接マップに表示が切り替わるという仕様。スクロール、ズーム、視点移動などといった視覚的な工夫は一切なく、時代遅れも甚だしい原始的なUI。
      • しかも1マップあたりに数箇所の探索地点しか表示されない。作中で訪れる場所がやたらと多いため、遠く離れた場所に行くにはいちいち画面を1つずつ切り替える必要があり、非常に面倒。ワールドマップ全体を表示して目的の地域を指定するなどという便利機能は当然のごとく付いていない。
      • こんな仕様なので移動が非常に不便なうえ、各地の位置関係もつかめず世界地図の全体像がほとんど把握できないばかりか、タイトル画面の地球地図と合っているのかすらも判断できない。

ダンジョン

  • ダンジョンは、1画面かそれ以下の小さなマップが数層あるだけのやっつけぶり。
    • 謎解きやトラップなどのギミックはおろか、分岐すらほとんどない。奥まった宝箱のような探索動機になる配置物すら少ない。
    • どこでもセーブできるが、ダンジョンはこのような体たらくかつフィールドは双六のように瞬間移動できるこのゲームにおいて、恩恵はほぼないといっていい。
  • オープニングムービーで破壊されたはずの旧ハインローグ城がなぜか原型をとどめているのは先述の通りだが、ここのゲーム中でのマップがラストダンジョン「魔王の城」とほぼ同じ構造
    • あえて近似の構造にするにあたっての説明や意図も伺えない為、プレイヤー側からすれば単なる手抜きにしか見えない。

戦闘時の演出

戦闘シーンも例に漏れず、グラフィックは見にくく、演出もショボく、戦闘そのもののテンポも悪い。

  • エンカウント時にも特殊エフェクトは一切なく、無音で画面が暗転するだけ。
    • そのうえ暗転前に画面が一時停止して読み込み時間が発生し、暗転開始と同時に戦闘BGMへ切り替わるまでフリーズしたかのような挙動となる。その停止時間も1秒と経たず動く事もあれば2秒以上画面が固まったままだったりと安定しない。
    • エンカウント時にエフェクトを入れている作品でも、戦闘準備に時間がかかりその間エフェクトがかかりっぱなしになる事はあるが、本作はエフェクトによる誤魔化しが一切ないぶん画面停止がいっそう悪目立ちしている。
  • 戦闘背景はわずか数種類しかない。そのためか「森で戦っているはずが平原のようなグラフィックが表示される」「異空間で戦っているはずが城のグラフィックになる」等、移動マップとバトルフィールドが乖離する場面が非常に多い。
    • 特にダンジョンの背景は酷く、ブロック塀・石畳と言った同じようなものしか無い。
  • 戦闘時の味方キャラは、マップ画面とは違い頭身が上がっているが出来栄え自体は五十歩百歩で、先述の通り非戦闘時と戦闘中で配色が違ってくるキャラもいる。
    • モーションは非常に不自然でカクカク。当時の技術力やハードのスペック等を考慮してもかなり低水準である。
    • 先述したように、人間の肩に乗れるサイズのピクシー(妖精)であるはずのファラは、マップ画面でのサイズにも増して巨大化しており、戦闘中は人間サイズになっている。戦闘中のみ人間サイズとなるなどの説明は一切なく、他の技術的な拙さを見る限りピクシーのサイズにポリゴンを縮小する技術が無かったとしか解釈できない。
      • もっとも、設定に忠実なサイズ感で描かれていたらあまりにも小さ過ぎて視認性に問題があったためやむを得ない面はある(そもそもマップ上でのキャラ表示が小さ過ぎる事が問題なのではあるが)。
    • 何の武器を装備してもキャラの武器グラフィックが一切変わらない
      • どのキャラも固有の武器を持った1種類のグラフィックしか用意されていない。杖を持ったグラフィックのミシリアは、ナイフを装備していても画面上は杖で殴りかかる。
      • 「装備のカテゴリが同じなら武器グラが変わらない」ならまだしも、「何を装備しても武器グラが変わらない」というのは、3Dゲームとしてはあまりにもお粗末。違う武器に対応したグラフィックやモーションを実装出来ないなら、最初から武器を1キャラ1種に限定すべきだっただろう。
      • デザイン面でも、主人公カイの武器は刀身が緑色の剣、バークの武器は刃にトゲのような出っ張りが2つあって自分に刺さりそうな斧と、謎のオリジナリティが発揮されている。
    • 攻撃エフェクトも、敵味方・キャラ・武器種を問わず斬撃を思わせるエフェクトを重ねたような1種類のみなので、杖や拳で殴りかかるモーションの攻撃とは致命的に合わない。
      • もっと言えば、斬撃エフェクトは0.5秒程度の間に何個も表示される仕様。一撃を繰り出すだけなのに乱舞技の様な演出を採用しているという点から見れば、本作の攻撃エフェクトにマッチするキャラはいないと言っても良い。
    • 敵キャラも「紙工作」「折り紙」のようにしか見えないものが多数。コマンド選択中に視点を変えることも出来るがが、じっくり見たいという人はまずいないだろうという低品質さ。
  • 通常攻撃時に効果音をいちいち読み込むせいか、攻撃の瞬間に0.5秒ほど画面が硬直してしまう。
    • 百歩譲って、攻撃ごとに効果音が違うというならそうなる理由も理解はできる(そうであってもこの読み込み時間の長さはおかしいが)、本作は敵味方、キャラクターや武器を問わず効果音は1種類のみである。
      • おまけにこの効果音自体「ババババ!」といった感じでチープかつ耳障りなもの。
  • 戦闘不能になったキャラは、敵味方問わず「パヒュゥゥゥーーーー …ンドッ!」という飛翔音とも爆発音ともつかない効果音と共に、回転しながらダメージ数字ごと斜め上方に吹っ飛んでいく
    • あまりにシュールな演出でギャグとしか思えない。なおこの直前にも効果音を読み込む為か画面は硬直する。
      • この演出が採用された理由として本作のレビュー動画では、「味方戦闘不能時の倒れるモーションや、敵撃破時のエフェクトを作る手間・容量を節約するため」と予測を立てている。
    • 「変な効果音と共に吹っ飛んでいく」という撃破演出は『里見の謎』に通じるものがある。しかしあちらがデフォルメの入った2Dでまあ笑い飛ばせるレベルなのに対し、本作は3D画面で、敵味方問わず、大真面目にやっており、そのシュールさ加減は比較にならない。
  • 行動選択中の待機画面は『Ⅵ』以前のFFシリーズのように画面左右に敵味方が陣取る構図となるが、ある程度背丈のある敵は初期のカメラアングルだと上半身がステータスウインドウに隠れてしまう
    • 行動選択後は敵味方にターンが来るのに合わせて自動的に視点を変えるのだが、味方と敵の間の地面へズームインするなど、明らかにおかしな視点に切り替わることがある。
  • 本作の通常攻撃で会心の一撃が発生した場合、発生演出として攻撃前にそれぞれ味方なら専用のセリフが、敵なら「シャキーン」といった感じの金属質な効果音が挟まれる。
    • だが肝心の攻撃そのもののヒット演出はSEも含めて通常時と変わらず、後述する伸びないダメージと相まって手痛い一撃を与えた(もらった)という実感はかなり薄い
  • 魔法のエフェクトも総じてかなりショボく、魔法を使っているという爽快感を抱けない。
    • 見た目は、テクスチャがバラバラに動くような、何の表現なのか掴みにくいものが多い。
    • 効果音も、見た目とイメージもタイミングもズレているうえ、単独での出来もお察し。
  • ステータス異常にかかっても、体色やキャラの挙動はおろかステータスウィンドウでの文字やアイコンなど、状態異常の有無を確かめる表示がないので通常状態との区別が出来ない。
    • 「睡眠」「石化」などの行動不能系だろうと例外ではなく、次のターンに行動しないことでようやくステータス異常を疑うことができる有様。
  • エンカウント以外の戦闘描写も稚拙。
    • 最初の村で決起を起こすとマップ上で魔物と村人が戦う様子を見られるが、双方ともその場に留まってリズムよく両手をバタバタさせているだけで、生きるか死ぬかの白兵戦にはどうやっても見えない。
    • 新ハインローグ城における兵士採用試験の一対一の戦闘も、一定距離を離れた箇所からお互い走り寄り、そのままぶつかった際に一瞬画面がホワイトアウトし、負けた方が倒れて勝敗が決まっているというなんとも淡白なもの。
      • こんな見苦しいシーンにするくらいなら、対峙や接触と同時にエンカウントからの戦闘画面に突入させた方がまだマシである。

ムービー

概要でも述べられているように、劇中に挿入されるムービーのクオリティの低さは群を抜いている。CGを学びはじめた学生の練習用動画ファイルと言われた方がまだ辛うじて納得できるレベル

  • 中でも冒頭を飾るオープニングムービーは、CG自体の質の低さもさることながら、展開も不可解、前後の整合性も無視、そのうえホラーゲームと見間違うような場違いな演出…というカオスなもの。
    • 冒頭、太陽のような星が紫に変色し、そこから放たれた光が地球のような星に降り注ぎ…唐突にその星の人類が滅亡する
    • その一部の「どこかの村が破壊される」というシーンに、棒立ちのおっさんがそのまま木っ端微塵になるという、唐突かつ奇天烈きわまりない、RPGとして前代未聞の演出が挿入されている。
      + 閲覧注意?
    • 「破壊された物体が多数のポリゴン片になって飛び散る」という表現はPS初期の手法であり、本作の発売時期を考えると時代遅れである。幸い、おっさんの3D造形自体がそこまで高品質でなく、馬鹿にしたような間の抜けた表情も相まって「グロテスク」というよりは「シュール」なのが救い…だろうか。
    • そして唐突な「1000年の時が過ぎ」の文字に続き、間髪を容れずに街と城(旧ハインローグ城)の破壊シーンに移行する
      • この破壊シーンはそこまで見せられていた1000年前の文明滅亡シーンに酷似しており、まるで破壊現象が1000年間ずっと続いているようにすら見える。説明不足極まりない。
    • この破壊により辺りは荒野の如くむごい状態となり、城の残骸と思われる瓦礫にまみれた荒れ地のシーンが表示される(…のだが、後の展開は大きく矛盾する(後述)。
    • そして地球型の惑星を背景に、やはり唐突にタイトルロゴが表示される。ダラダラと続いた破壊描写の途中という、特に盛り上がっている訳でもない謎のタイミング。
      • タイトルロゴ自体はゲーム起動時に表示されるのと同じものだが、中途半端にムービーに織り込んでしまったせいかこちらの方がぼやけていて画質が低い。
      • ロゴ画面の背景では、地球型の星に超巨大隕石が複数個衝突している。当たり前のようにサラッと描写され何も語られないが、本当なら全生命絶滅レベルの天変地異であり、どう考えても城の破壊どころでは済まない。
    • ロゴ画面は突如ブツ切りになり、またしても唐突に場面が切り替わって今度は城内のシーン…なのだが、先ほどの破壊シーンで崩壊していたはずの城が、原形をとどめ何事もなかったかのような状態となって展開される。崩壊したのは城ではなく整合性だった。
    • 城内では王妃が魔物に襲われて赤ん坊を奪われる展開となるが、これも違和感が非常に大きい。
      • 魔物がドアを突き破る際にドアがゴムのように伸び縮みする。作風がギャグ寄りな2次元の漫画やアニメなら一般的な表現だが、一応シリアス要素を重視したであろう3DRPGでやられても違和感しかない。
      • 王妃が魔物に投げ飛ばされ赤子を奪われても、終始微笑んでいるような表情のまま。一応泣いている事になっており頬を伝う涙が少し見えるのだが、表情との不一致は如何ともしがたく、いっそ不気味ですらある。せめてアングルを工夫して王妃だけ顔を映らなくする等の誤魔化し方はあっただろう。
  • ゲーム本編中では多くのムービーが流れるが、完成度はどれも五十歩百歩。さらに多くのゲーム内ムービーにはオープニングムービーと異なりキャラクターボイスが付与されているが、後述の通り棒読みの酷さと滑舌の悪さのせいでむしろ雰囲気をぶち壊す要素と化してしまっている。
    • このムービーが挿入される頻度は妙に多く、特に重要とも思えないイベントでもしょっちゅう挟まれテンポが悪い。
    • メニュー画面や戦闘時に表示される顔グラフィックはどういうわけかこのムービーのスクショの切り抜き。公式イラストを表示するなどもっと良い表現はいくらでもあったはず。

文章・セリフ

  • 文章にやたらとひらがなが多く、しかも中途半端に漢字と混ざっているため読みづらい。
    • 「ごりん終(ご臨終)」「出る(出来る)」「物見山(物見遊山)」などと書いてあるかと思えば、「親戚(しんせき)」「廟(びょう)」は漢字で書いてあるなど基準が謎すぎる。
      • 使用頻度の低い漢字をあえて使わないことで容量を節約するという手法は従来からあったが、それはFCやSFC、GBといった容量の厳しい媒体を使用するハードの時代の話であり、記録メディア容量の制約が大きく緩和されたPSでは不可解な仕様と言わざるを得ない。
      • かの『FF7』でも簡単な漢字が一部ひらがな表示になっている部分があったが、少なくとも一つの単語内で中途半端に漢字とひらがなに分けるようなことはなかった。
  • 「○○父さん!○○父さん!」「△△母さん!」という、やたら説明的で不自然な呼びかけ。百歩譲って「名前だけ呼ばれても人物像と関係性が把握しづらい」という事情だとしてもリアリティをぶちこわすあんまりな台詞回しだし、そもそもそれは描写不足が原因である。
    • しかもこのセリフはボイス付き(しかも大体は棒読み)であり、なまじ「声」というリアリティ要素が付加されることで、かえって尋常でない違和感が浮き彫りとなっている。
  • 買い物時、特定のアイテムにカーソルを合わせた際に「これ買ってくれよー」「これ欲しいなぁ」などとパーティーメンバー(誰の声かわかりにくい)が声付きで催促し、何も買わずにキャンセルすると「ドケチ!」などと罵倒される
    • たとえその通りに買ってやったとしても喜ぶセリフが聞ける以外、何らメリットはない。催促される商品もランダムのようで、それ自体にも全く意味はない。
      • ちなみに催促したもの以外の商品を買った場合は何も言わない。
    • その時点の所持金も当然のように考慮されておらず、そもそも資金的に買えないものを催促され罵られるという理不尽な仕打ちも受ける。
    • しかも、このボイスがプレイヤーが操作出来る全キャラ(短期間参加のキャラ2名を含む)に用意されている上、バリエーションが戦闘ボイスの倍(4種類)もあるという誰得仕様。そして、"主人公のカイを含む"全キャラ分用意されているということは、パーティーメンバー達はプレイヤーに直接催促した上に罵倒を浴びせている事になる。
      • こんなプレイヤーをおちょくるだけのおねだり要素に無駄に拘るくらいなら、その前に本作が商品として欲しがられるために最低限やるべき所が山ほどあっただろうと突っ込まずにはいられない。また、買い物時のボイスという概念も、すでに『魔法陣グルグル2』というそれなりに知名度のある高評価の先例があるため、完全に本作独自の要素としても機能していない。

アイテム

  • 総じて、ユーザビリティが極端に低い
    • 仕様や装備の効果を確認する方法が殆どない。
      • 所持アイテム一覧画面でも効果は表示されず、ショップの画面でも価格と装備品の装備可能者くらいしかわからない。
      • 何の効果があるのか・どのステータスがどれくらい上昇するのかなどの情報は、シナリオ冒頭で回復アイテムの効果を説明されたり、一部の店員が話しかけた際の反応で商品について説明するといったケース以外で分からず、自分で買って使うなり装備するなりして、素のステータスとの差分から算出するなどの方法でしか効果を把握できない。
    • 一応、「値段が高いほど性能が良い」という最低限の法則は守られてはいるが、どれもこれもわけのわからない商品だらけの中、買って実際に使うまで効果を推測することすら難しい。
      • 制作者は「ほしがき」「ぎゅうにゅう」がMP回復アイテムで、「おんせんたまご」「オムレツまん」がステータス上昇のアイテムだと、初見で説明なくわかるプレイヤーがどれだけいると思ったのか。成長に良い完全栄養食の卵つながりで察しろとでも言うのか。この時期のゲームでこの説明不足はいただけない。
      • 装備品の場合、基本的に高価なものを買ったりストーリー中で手に入るものを持たせれば良いのでいくらかマシだが、(名前である程度推察が利くとはいえ)通常攻撃でHPが回復する武器をイベントボスがドロップするやら、パッと見でどんな装備か全くわからない「たけぼうき」*6を渡されるやらと、不親切さは終始目立つ。
    • 更に、戦闘中にアイテムの残り個数を確認する方法がない。もともと何がいくつあって何個使ったかさえもいちいちメモや暗記するしかなく、非常に不便。
  • 不便さもさることながら、世界観を無視した「ももひき」「ブルマ」「セーラー服」「スクール水着」など荒唐無稽な「かざり」(装飾品)が登場する
    • 近年のファンタジーRPGでも所謂ギャグ・お色気要素として類例自体は見られるが、大概「異文化の代物」「熱烈な愛好家がいて裏取引されている」など相応の説明をつけて登場し、入手方法に特殊な条件があったり、入手個数も限定的など、イロモノならではの特別扱いによって世界観の本筋を壊さないよう配慮されているケースが多い。
    • 一方、本作ではそのような説明は一切なく、序盤辺りから普通の街で普通に落ちていたり普通に売られていたりする。ファンタジー世界に現代モノがねじ込まれた違和感しか無い。ていうか装備がグラフィックに反映されないのにそれをやられても一体誰得なのか……仮に反映されるとしてもこんなグラフィックで見たい人がいるとは思えないが
    • しかもこの「かざり」は複数装備できるので、やろうと思えば「スク水三枚重ね」「ももひき三枚重ね」が普通にできてしまう。さらにその上からキャラクターは防具類を装備するわけで、他作品でも近い状況はありうることを考えてもあまりにもカオスである。

戦闘面でのバランス

端的に言えば何もかも劣悪

瞬殺するかされるかのシステム設計

  • ごく簡単にまとめるとレベルを上げて物理で殴ればいい。魔法はほぼ不要なバランス(後述)な点も含めて戦略性はほとんどない。
    • 基本的にこちらのレベルや装備が一定の水準以上であればほぼ例外なく通常攻撃のみで瞬殺できてしまうが、逆にこちらが少しでも水準より低いとどう足掻いても一方的にハメ殺される。
      • 全く歯が立たない敵でも戦略を練る暇があるなら、少しレベルを上げれば通常攻撃のダメージが爆発的に増えてすぐ瞬殺できるようになる。レベルはせいぜい5回も戦闘すれば上がる仕様で、特に序盤の経験値テーブルは非常に緩い。
      • 中ボスと思しき敵も例外ではなく、多少育てればほんの2~3発の通常攻撃で簡単に勝ててしまう。シナリオ上タイマンで戦う中ボスも多いがそれすら同様。のっけからバランス調整を放棄し、どんぶり計算でパラメータを設定したとしか考えられないバランス。
      • ラスボスはそれなりに戦える強さであり他の敵よりマシだが、それでも適当に進めていれば10ターンはまずかからない程度。レベルが少し高ければ2ターン程度で完封しうる。
    • 敵味方共に会心の一撃を繰り出す事があるものの、通常攻撃を大きく上回るダメージを出せない仕様。
      • というのも発動時のダメージは「最大で通常ヒット時の1.5倍の数値」であり、防御力無視といった強力な効果もないので『DQ』シリーズの様な火力の伸びは起こり得ない。
      • おまけに攻め手だけでなく受け手のステータス値でもダメージ倍率が増減するので、会心の一撃が出ても通常ヒット時とダメージが変わらないという事例も発生する。
    • 他にもLVUPに必要な経験値テーブルの一部が明らかにおかしかったり*7、ダメージ計算式が不可解だったりと、基本的なシステムの作り込みの甘さや論理法則の難解さが目立つ。
      • 有志の検証によると、 同じ敵の攻撃でも防御力が低い方が被ダメージが少ない など、謎の現象も起きている。同じ攻撃力でもレベルの上昇に比例して与ダメージが増加するという仕様が見つかってはいるが、ステータスの数値と実際のダメージ数値が一致しないせいで、本作のダメージ計算式を割り出すことは至難の業と化している。

使い勝手が最悪な魔法

  • 魔法の多くはかなり独特なネーミングで占められているが、一応「アイスロック」や「アクア」など名称から効果を連想しやすいものも少なくはなく、効果も攻撃・回復・状態変化など一通り揃っている。入手方法も店で購入する以外にイベント入手もあるなど、ここだけ見ればRPGの魔法としての条件を満たしているのだが…。
    • まず第一にシステム自体が非常に不親切かつ粗雑であり、その時点で魔法を使う気が削がれる。
      • 店で買おうとしても、使おうとしても、アイテムと同様効果も必要MPも表示されない。しかも説明書にも記述なし。たまに魔法屋などで、ごく一部について効果の説明をする台詞があるだけ。にもかかわらず本作の魔法は「ヘカル」「ヴァルガ」など、名前で効果を推察できないものが半数以上を占めている。
      • 味方・敵とも魔法を使った際に表示されるデータは、ダメージor回復数値のみ。魔法名やどのような魔法かさえ表示されず、何をしているのかされているのか分からない
      • MPの足りない魔法は暗転などではなく名前自体が表示されない。従って、買ったのにどこにも表示されないことが起こりうる。
    • 一度何らかの方法で入手したら、MPさえ足りていれば誰でも使用できる(一人一人持つ必要がない)ほか、店で売っているものが直後のイベントで入手できてしまうこともある。そのため魔法使用に対するキャラの個性や魔法ごとの存在感にも欠ける。
    • 攻撃魔法は最初のうちは役立つが、通常攻撃の威力が著しく上がるのですぐに役に立たなくなる。
      • 何より、燃費が非常に悪い。やたらにいろいろな属性があるが、それぞれの相性を考えるくらいなら殴った方が早い。
      • ただし、敵の種類によっては魔法の威力が高く設定されているほか、魔法にもクリティカルの判定がある。そのため味方のそれとは違い、敵の攻撃魔法で一撃死することは時々ある(なお、即死系と言われる魔法は存在しない)。
    • 一応終盤でも通用する全体攻撃魔法もあるが、威力の高さがかすむほど燃費の悪さが際立っており、魔術師系のキャラでさえMPの大半を持っていかれるほど。身近な作品で例えるなら、ドラゴンクエストシリーズのギガデインの呪文一発でMPを100近く消費するような状況である。
      • ラスト近くだと、MP回復アイテムを大量に買えるくらいの金は手に入るので、MP回復は容易ではあるが、そんな手間をかけるくらいなら殴った方が(ry
    • すぐ戦闘が終わるので、大体の補助魔法はあっても意味がない。そんな暇があるなら殴った方が(ry また、使っても何が起こったのか判らない。
      • 一応、敵全体に睡眠効果を与える「ノクターン」はまだ実用性があるのだが、MP80とやはり燃費が悪い。
      • また、物理攻撃に強い敵と火力の高い敵が同時に現れた場合、バークを軸に据えた脳筋パーティーで戦った際に集中砲火で戦闘不能者が出る→こちらの火力と頭数が足りず押し切られる…といった結果にもなりうるので、味方全体の防御力(魔防力)を上げる「エヴリボルボ(マカガ)」も強力。だがやはり燃費が(ry
    • 回復魔法はこれらよりはマシであるが、HP小回復(100)にMP7、中回復(250)にMP18などとやはりMP消費量は多い。ただしホイミ相当の魔法がないのはやや不便とはいえ、回復量とMPのバランスは『ドラゴンクエスト』シリーズのベホイミやベホイムに近く、この辺りまでなら使い出はある。さすがに全体回復&蘇生魔法*8でMP120は重すぎるが。
      • だが上記の蘇生魔法含め、強力な回復魔法もアイテムで代用できるものが多く、終盤はあまりに金が入るので、それらを買いまくれるという有様。最終的には魔法そのものがお払い箱となる。
    • なお、本作では魔法攻撃力に相当するステータスにIQが存在するが、有志の検証によるとIQは魔法威力の上昇に貢献していないことが判明している。魔法アタッカー寄りのステータスを持つミシリアよりも、物理アタッカー寄りのステータスでIQの低いバークの方が魔法ダメージが大きかったという悲惨な検証結果も出ている。
      • 結果的にミシリアはMPが少し高い以外に利点は一切なく、魔法アタッカーらしい軟弱な体力が足を引っ張るだけという目も当てられない状態になっている。

経験値とお金のバランス

  • パーティーが最大6人と多く1人あたりの装備枠も豊富だが、序盤~中盤は特に装備品の値段が高すぎて所持金が全然足りない。装備枠の多さもあり人数分の装備を買いそろえるのに非常に手間がかかり、収支のバランスなど全く考えてないのではと疑わせる。
    • このゲームでは経験値稼ぎがあまり必要なく(もし必要になっても短時間で済む)、戦闘で得られる金額も基本的に経験値の数倍なので、その部分だけ見ればプレイヤーに優しい仕様といえる。だが逆に言えばレベルアップの労力(戦闘回数)に対して獲得金額が少なくなるので、「何回もレベルアップするのに装備はなかなか揃わない」といったパターンに陥りやすい。
    • 一方で最終盤になると、上述のように異常なくらいに金が入るので、高価な商品も苦労せず買えてしまうようになる。

ストーリー

全編を通して超展開と電波で構成されているような代物
場面、登場人物、背景設定のどこをとってもまともな説明や描写がされておらず、「比較的まとも」な場面の方が貴重なほど。感情移入するどころか、最低限の理解すらままならない
それでいてキャラ達は当たり前のように(程度はあるが)状況把握しており、ツーカーな会話や行動を繰り広げ、プレイヤーは置いてけぼりのままどんどん展開が進んでゆく。
突っ込みどころ云々以前に、真面目に考察する事自体馬鹿馬鹿しくなる次元にまで達している。

  • ゲームを開始するとムービーが始まり、まず最初にプロローグのテロップが現れるのだが、プレイヤーが本作でまず目にするこの文章からして既に突っ込み所の嵐であり、ヤバい空気を強烈に漂わせている。
+ プロローグ

ここより遥かな時空
永遠に続くと思われた
ある文明が
理不尽にも吹き飛んだ

幾年月も虚空をさまよった
いわれもなき憎悪が、
十七年前のあの日
ハインローグの地に
襲いかかった。

カイよ、
幼い時より全てを失いし
哀しき王子よ、
平和を、愛を、
そして自分自身を取り戻せ。

少年の冒険が、
今、始まる。

  • プロローグ前半(1000年の時が過ぎる前)の出来事については、ムービー内の字幕での説明がないばかりか、本編でもほとんど言及されない。プレイを終えても演出の意図が理解できず、ただただ謎の文言となっている。
    • 「永遠に続くと思われたが理不尽にも吹き飛んだ文明」とは一体どんなものだったのか、なぜ、何のせいで滅びたのか、17年前のエピソードおよび本編にどう関わっているのかなど、伏線めいたものは本編では殆ど触れられない。何故作ったのか。
    • ついでに、プロローグのワードに象徴されるような「愛」「自分探し」などといった展開も本編にはほとんどない。
  • あろうことか、主人公の出自をあっさりネタバレしている。その後の本編ではさも「衝撃の新事実」と言わんばかりの展開を見せるため、プレイヤーは白けるしかない。
    • 似たようなプロローグを採用した作品としてDQ5があるが、あちらは登場人物の身分や関係性をぼかして描くことで、むしろその後の展開への想像や意欲をかき立てるスパイスとして機能している。本作はそういった趣向などは特に無い為、単なる興ざめにしかなっていない。
  • 挙句、オープニングのテロップで、プレイヤーの名前入力よりも先に「カイ」という名前が登場してしまっている
    • しかも名前入力はこのムービーを含むプロローグが終了した直後、ストーリー内で唐突に何の前振りもなく求められる。
    • キャラの名前入力時にデフォルトネームとして予め入力欄に表記されている事は他のRPGでも見られるが、ムービー内にデフォルト名を出しておいてその後に名前入力…というのは他の名前を付ける場合への配慮を著しく欠いている。
  • このテロップムービーは「宇宙を背景に、手前下から上奥へと流れる歴史語り」であり、某SF超大作映画シリーズを強く意識しただろうことがうかがえる。
    • 本編の内容に宇宙開発などの同シリーズらしさやSF要素は特にないが、説明書に記載のある「本編の舞台以外のいくつかの星にも文明が存在した」という申し訳程度の異星文明要素、サブタイトルが「Power of Dark Side」と同シリーズの本筋ド直球であることを踏まえると、同シリーズからのインスピレーションが本作の開発コンセプトの一つだった可能性は否定できない。引き合いに出すのもはばかられるが…。
  • 序盤のあらすじは「カイたちが奴隷の身から決起し自由を手に入れ、かつてハインローグ城の召使いだった老人ジョナサンの遺言でミシリアゆかりの町の長老に会いに行く途中、荒廃した街で「怪物になる病気」の存在を知り、道中カイの出自が判明しつつ病気を解決する手段を探す旅に出る」というものだが…
  • それ以降は病気に関する具体的な解決手段の1つも見つからずたらい回しにされ、そのうちにいつの間にか「試練」やら「神々の力を探す」のやらが主体となり、その過程で唐突に病気の元凶だというラスボスの名前と居場所を教えられ倒しに行くことになる。大筋としてこれらに付け足すことも見当たらない、脈絡の乏しい超展開かつスカスカのストーリーである。
    • 各エピソードを見ても、目的を果たすために向かった地で空振りに終わり、次の目的地に向かうとダンジョンへ行くように言われ、また空振りに終わり、その次の…の繰り返し。収穫が無い分「お使い」にすらなっていない。
    • また、シナリオ最初の目的が決死の覚悟で魔物を退け生き延びる事だった以上、以降のカイたちの旅の目的が「ヒロインの母親の故郷を探している」「怪物になる病を治すため」などいまいちハッキリしないのは仕方がない面もある。だが、王子と判明した直後に旅を続けると大臣たちに宣言した際に「もともと特に目的のない旅だったけど、魔導師のマールに頼まれてるので怪物病を治す旅に出たい」と語るのはあまりに無神経。
      • 「もともと目的のない旅」と身も蓋も無さすぎる言い方はもちろん、自分たちからマールに怪物病の治療法を聞きに行ったのに、なぜか「マールに怪物病の根絶を頼まれた」という事にされている。そもそもカイ達に怪物病の存在を認知させマールに病気の研究成果を聞くよう依頼したのはブー=レイであり、彼の存在に全く触れないのは不可解極まりない*9
    • 一応世界中の隅々まで巡り、異世界らしき場所に訪れるなど冒険の規模そのものは壮大なはずなのだが、下記する問題点の数々のせいでスケールそのものは非常に閉塞的で、上っ面の範囲だけが広い「ご近所物語」感が拭えない。
  • シナリオの要所要所に目を向けてもツッコミどころが絶え間なく噴出する。
    • 当初奴隷の状態から始まる主人公の出自が「判明」するのは、ハインローグ城でペンダントを落としたことがきっかけとなるが、まずペンダントを昔から大切に持っているなどという設定や描写自体が、それまでに一切登場しない
      • 主人公の出自が「判明」する際の流れも、彼が王家ゆかりのペンダントを持っていたことを知った大臣が、主人公から聞き出した「赤ん坊の自分が怪物にさらわれる夢」の詳細を決定的証拠として王子と認める、というお粗末なもの。ペンダントもそうだが、増して「見た夢の内容」という幾らでも捏造できる話を疑いもなく聞き入れ一国の王子である証明とするのはあまりにも無責任である。
      • フォローしておくと、夢の話などを証拠として扱う展開そのものは少なくない。しかし大抵は「外部の人間が知り得ない、偶然やウソなら言えるはずのない専門用語や固有名詞が混ざっていた」「当人と酷似している身体的特徴などがあり、夢の話を聞いたゆかりのある人物が感づいた」など他の絶対的な証拠を前提とした上での展開である。
      • かたやカイが語った内容は非常にありきたりかつ曖昧な表現ばかりで、物的証拠として扱われたペンダントもやろうと思えば窃盗や偽造などで捏造できうる以上信頼性は薄い。カイ自身も現実か空想か分からないと前置きしたうえで促されるままに話し、簡単に王子と判断する大臣に驚いているのだが、普通に考えればこの程度の根拠で王子か否かを独断で決めるのは不可解にもほどがある。
  • ストーリーの流れで、魔術師や学者、隠者といった立場の人物を尋ねることになるのだが、その一部が偏屈を通り越して不愉快な言動をとる。主人公達との和解の描写も乏しく、カタルシスを欠いている。
    • マール:野盗に襲われた際の怪我で診療所で寝込んでいて、いちいち癪に触る態度で応対する。また下記する怪物になる病について「治せる訳がない」とのたまい*10、「ハインローグ城に入る際は聖者に自分の名前を出せば無碍にされない」と助言してくれるのだが、実際城門で門番に彼の名を出しても「そんな奴は知らん」と門前払いされてしまう。
      実際には城内に居る聖者しか彼のことを知らなかった(しかも聖者の反応からあまり深い関係ではないと思われる)。先ず城に入らねばならないのにこれでは全く意味がない。城門で聖者に取り次ぎを頼む素振りも見せない主人公たちも大概だが。
      • また、初対面時にミシリアを足手まとい呼ばわりする。当初は不当な言いがかりor彼女が大成するフラグと思うかもしれないが、上述するステータスの貧弱さなどから本当に足手まといにしかならず、下記するシナリオ上での扱いの微妙さもあって、見事なまでに的中してしまっている。
      • だが、初対面の流れは「絶対安静の身の筈なのに(あろうことか医者の判断で)気付け薬で強引に覚醒させられ主人公たちと面会させられる」という異常としか言えないものであり*11、この場面に限っては完全に被害者である。とはいえ、ケガは比較的軽傷なのに数日経っても意識が戻らない容体であり、主人公たちが訪れなくとも元々気付け薬を使う予定だったので、医者の判断に関してはそこまで責められるものではない。
      • 病気について研究した上で「自分の手に負えない」と正直に話してくれたり、餞別にいくつか魔法をくれたり、終盤ではとあるダンジョンの結界を破るアイテムを渡してくれるので、口が悪いだけで何だかんだ面倒見は良いのかもしれない。少なくともレイヨンよりは筋を通してはいる。傷は深くないが「歳のせい」と本人が漏らすように、終盤でも寝込んだままなのが気になるところだが…。
    • レイヨン:ハインローグ城に「魔物の病が広まっている」と報告した人物で、主人公たちが詳細を聞くために彼の家を訪れる。だが完全に喧嘩を売っているとしか思えない高圧的態度で人の神経を繰り返し逆撫でする上、病については調査する気すら無いとまさかの職務放棄。挙句「エルフなら何か知っているかもしれない。見た目は人間だが怪物のようなものだからな」と平然と差別発言までしでかす始末。~であり、単にプレイヤーに不快な思いをさせ主人公達をたらいまわしにする要員にしかなっていない。
    • レイヨンに関して補足しておくと、終盤近くのとある街で助けた少年がこの男の親戚の子供であり、迂余曲折を経て身寄りのなくなった少年をレイヨンに預けることになる。この時に相変わらず口は悪いものの感謝の意を示し、主人公らに助けてくれたお礼としてアイテムをくれるので、この対応だけなら「他人には傲岸不遜だが身内にだけは心を開く」としてまだ理解できないこともないのだが、「実はいい人」といった一面は少年の証言(言いかけた途中でレイヨンに止められるため、詳細は不明)によるものだけなので、やはり唐突感が否めない。
  • 一部キャラのストーリー上の扱いもずさん。
    • ヒロインである筈のミシリアは上述の通り足手まとい宣言されてしまうのだが、ストーリーでもこれといった戦闘能力も無いのに強情張って主人公たちに無理やり同行しており、彼女を親戚の家に預けようとする展開まであるなど、(少なくとも主人公であるカイからは)戦力的にまったく期待されていないという有様。「過酷な冒険に一般人同然の彼女を巻き込む訳にはいかない」という主人公の判断は決して間違ってはいないし、彼も彼女のことを蔑ろにしている訳ではないので流れとしての問題はないのだが、その後彼女が急成長を遂げるなどの挽回は特に無く、マールの忠告を覆すような展開は用意されないままエンディングを迎えてしまう。
      • 一応シナリオの途中で彼女も「神の力」を手に入れ、何度かそれを使うイベントがあるのだが、それは他のキャラクターも同様であり、彼女自身へのフォローとしての役割はあまり果たせていない。
      • また、途中まで主人公への好意や葛藤などヒロイン定番の要素も見せるが、上記の通りいつの間にかそれも無くなってしまい、エンディングでの展開に唐突感が残ってしまう。
    • 序盤で仲間になるピクシーのファラは、ステータスの高さや(作中メンバーの中では)そこそこな声優の演技、人間から迫害されていたという種族としての過去、天真爛漫な性格などで一際存在感を醸し出すが、前述の通りミーナに叩き斬られたことを境に離脱してからは再加入などはせず、ストーリーでもラスボス戦まで忘れ去られるという投げっぱなしな扱い。
      • 代理で加入するミーナが実力的にも性格的にも演技力的にも今一つであることも、喪失感を助長している。
  • 他にも、今まで一文字たりとも出てこなかったばかりか、それを匂わせる描写すら無かった新設定を当然のように喋り出し、他キャラもそれが今まで十分取り沙汰されていたかのように会話を広げるという、プレイヤーの存在を全く考えていない後付けのような展開も全編通して当たり前のように出てくる。
    • 一例を挙げると、旧ハインローグ城で戦うサリナの父親であるブロアがハインローグの兵士長である事、魔物に操られて国を裏切った事や、サリナが新ハインローグ城に住んでいた事が、ハインローグ大臣との会話で唐突に語られるのだが、プレイヤーはこれらの情報を、全て大臣とのこの後日談の会話の中で初めて知らされるのである
      しかも前者の台詞は、大臣ではなく仲間の1人であるバークが唐突に「サリナの父親は兵士長だったんだろ?」と、あたかも以前から知っていたかのようにさらっと言い放つ。何故少し前までハインローグとの縁すら無かったお前が知っている?
      + ネタバレ
      • なお、作中でのブロアの出番は、旧ハインローグ城の王の間でパーティを待ち構えており主人公達に襲い掛かるが敗北、直後のムービーで唐突にサリナが彼を父さんと呼びかけ、ブロアが「我が娘よ…」と応えてそのまま絶命…以上。そもそもそれ以前にサリナの父親について語られる描写すら無いので、初見では感慨を抱くどころか、そもそも何が起きたのかを理解することすら難しい電波ムービーである(初見では、それまで戦っていたボスがいきなり操られていた人間だったことが分かったかと思えば、サリナが「父さん」とその人物のことを呼び、そして次の瞬間にはあっさりと死ぬという唐突すぎる展開である)。
      • 彼の仔細についてはドラマCDでしか語られないが、それでもまだ本編とつなげると突飛な部分が残っている。
  • ミーナと縁があると思われるカーナという人物が敵として現れる展開もあるが、これまたサリナとブロアのやり取り並みの唐突な展開。しかもこちらは同族のエルフだという事以外に、具体的にどういう関係だったのかさえよく分からないまま終わる。
  • 終盤のムービーにおいて、各キャラクターの回想シーンとそれに関連すると思われる人物達の描写が出て来るが、そのほとんどが誰で各キャラとどういう関係なのかは碌な説明がない。
  • シナリオの進行も主人公達のちょっとした思いつきや、唐突なお使いやほぼ説明無しの超展開によるものが殆ど。先を見据えて計画を練っている様子もなく、とりえあず目先の情報に飛びつくだけ。アポ無しの街歩き系の番組ですらまだ筋道を立てて行動している。
    • 「海に魔物が出ているので船が出せない」状況で船を出してくれる船乗りの仲間が居るのだが、普通に上記のマップで次の目的地に移動出来るようになるだけという驚きの肩透かし。この一連のイベントに於いて船上での一幕や強制戦闘の類は一切ない。海の魔物はどこへ消えたのだろうか...
    • とある場所で17年前に死亡した主人公の母親の遺体を発見するのだが、17年間も放置されていたのに白骨化どころか腐敗している様子すら無い。そもそも、この母親はOPムービーにも登場していた王妃なのだが、殺されたような描写は特になかった。ドラマCDでは病で死去したと語られており、むしろ現場で死亡している事への不可解さを増している。
      • その際の主人公の独白は要約すると、「今まで母親を憎んできた自分が情けない」というものだが、そこまでのストーリーでは主人公はそもそも両親についての記憶がない様子で、「母親を憎んでいた」などという描写は当然ながら全く見られないため、唐突すぎる上にただの電波な言動にしかプレーヤーには映らない*12。挙げ句の果てには息子である自分が率先して弔うべきところで、「後で大臣に頼んで弔って貰うから」などとのたまう始末である。母親への情があるのかないのかさっぱりである。
    • 終盤では物理法則をかなぐり捨てた提案を行い、それに全員何ら疑問も持たず実行するという滑稽な流れが見られる。
      + ネタバレ
    • 終盤、「神の力」の試練があるダンジョンにたどり着くために、その手前にある川の水をせき止めている堰を破壊しなければならず、それによって下流にある廃墟が洪水に晒されてしまう事を知る。その廃墟にはラスボスの側近によって何人もの人間が幽閉されており、主人公たちは事前に彼らを避難させようとする。しかし動けない老人が居る為に迅速な避難が不可能である事が分かり、バロアにあまり時間が無いと急かされ行き詰る主人公だが、その時ミーナが「口に含めば水の中でも呼吸が出来る実を人質に食べさせれば、堰を壊しても大丈夫」という衝撃的な提案をするのである。
      • 唐突に出てくる木の実のご都合主義感は言うまでもないが、仮にそれで呼吸が解決したとしても、洪水に呑まれれば圧倒的な水圧や漂流物への激突による二次災害で普通に死に至る。お調子者キャラの冗談であっても白い目で咎められるほどの馬鹿げた提案なのだが、主人公達はこれを助け舟の如く受け取り、人質に相談することもなく実行する。
      • そしてその提案以降、パーティ全員が「人質を洪水に巻き込む」前提なのがこれまた常軌を逸している*13。普通に考えれば、多少時間をかけてでもパーティ総出で人質の避難を率先するべきだし、そもそも主人公達が木の実を食べて堰を通過すれば*14誰も巻き込むこと無くスムーズにダンジョンに到達出来るのだが…。
      • 「木の実1つで10~20人分になる」というこれまたご都合主義感溢れる台詞があるので、設定上は数十人規模の人質がいるのかもしれない…が、グラフィック上はたったの5人しかおらず「木の実に頼らざるを得ない状況」が全く伝わってこない。
      • 主人公に時間が無いと急かす理由は「神の力を早く集めなければならない」「こうしている間にも魔物に町が襲われるかもしれない」というものなのだが、どちらも人質の人命を軽視した策をとらざるを得ない程逼迫した事情ではない。前者に至っては主人公たちの勝手な目的で、寧ろ何より後回しにするべき事柄である。
      • そしてわざわざその実を取りに向かうのだが、そんな暇があるなら人質を避難させるべきなのは言うまでも無い。
    • そして、人質への説明もおざなりに*15木の実を与えて放置し、主人公たちは堰を破壊してダンジョンを開放する。廃墟は人質ごと洪水に呑まれた…のだが、破壊された様子どころか変化自体が全くない。人質曰く木の実のお陰で助かった事は分かるが、とても洪水に晒されたとは思えない健在ぶりである。しかも洪水を起こしたのが主人公達だとは知らない人質達は、「あんた達のおかげで助かった、ありがとう」と実は洪水を起こした張本人である主人公達に礼を言うという、ある種胸糞ですらある展開になる…ここまで来ると真面目に考察する事自体馬鹿馬鹿しくなり、なあなあで受け流しさっさと次に進めたくなる事請け合いである。
      • つまるところ、製作陣は流体力学の日常生活レベルの知識も、シナリオ展開に対する必要最低限の発想力も持ち合わせていなかったのだろう。洪水に人間を巻き込むという行為がどれほど恐ろしい行為なのかが分かっていれば、このようなトチ狂った流れには出来ない筈である。流れそのものも「敵の幹部たちが、人質を避難させようとして満足に動けない主人公たちを人質ごと一網打尽にするべく急襲する」など、それほど複雑に考えずとも幾らでも活かしようがあった筈。
    • なお、堰を破壊するムービーにもツッコミ所が存在する。バロアが神の力を使い、せき止められた川の水から水龍を召喚して堰を破壊するのだが、彼がいるのがよりにもよって堰の真下。言うまでもなく洪水に真っ先に晒されるポジションなのだが、当然の様に無傷である。水を操って水流から身を守ったという解釈も出来るが、その場合神の力を攻撃以外の用途にも使えるはずなので、「堰を破壊などせずその神の力で堰の水を移動させるなり、水の上を移動するなりすれば良いのでは?」とツッコみたくなる。
    • ほかの作品でもダークヒーロー的キャラや冷徹な性格傾向のキャラが人命軽視の提案や作戦をとることはあるが、それらは非情な作戦として見なされ、実行される場合も「他の最善策が封じられやむを得ない状況であり、躊躇いつつ」展開されることが大半である。一方、本作の場合はあたかも「被害を最小限に抑えた上で目的を果たせる最善策」と言わんばかりの扱いな為、狂気的なご都合展開にしか見えない。
    • 他にも、カイが「関所の壁をよじ登って越える」という軽率な提案をしれっと出したりもする。
      • 本作の関所は他国との国境にて関税・検閲する要所というよりは「魔物の被害から人里を守る砦」に近く、国際問題になるといった懸念はあまりない。だが関所の奥に用があるとはいえ魔物を食い止めるための防衛線となる重要施設にいきなり不法侵入しようとするのは、王子という立場も合わせて考えれば手段が飛躍しすぎである。
      • 他作品でもこのような提案がなされるケースはあるが、それはあくまで『万策尽きた状況での最後の手段』としてである。一方こちらはバークが入り口を開けようとして「裏側から鍵がかけられてて開かない」と言った直後に、カイが「城壁を登ろう」とまさかの即決
        • パーティーで方策を考えるような描写もなく本当に軽いノリでこんな提案をしており、バークからは「本気か?」と半ば呆れられる始末である。
      • こちらはその矢先に「隊長」というケンタウロス風のボスが唐突に出現し、倒してみると例の如く何者なのかすらよく分からないまま、「関所の先にある堰を壊さなければダンジョンに行けない。さぁ堰を壊すがいい」と意味深な言葉を残し死亡。カイの「嫌な感じがする」という理由で上記の村に向かう事になる為、未遂に終わっている。
  • 「神の力」によって得られる強力な武器の成り立ち、その『神々』について、禁呪が隠されているバーシスの廃墟*16等、シナリオ的に意味深な舞台や設定が多く出てくるが、これらの真相を掘り下げる展開等は一切用意されていない。大体が該当イベントでぽっと出てそれで終了。他イベントで繋がりが伺えるような描写も殆ど無い。
    • シナリオ上訪れる場所は非常に多いが、町や村はイベントが希薄すぎて、ダンジョンは先述のような有様な為、非常に印象に残りづらい。

「神の力」の扱い

  • ゲームが後半に差し掛かると主人公たちは前述の「神の力」を集めようとする……のだが、特にそれを求めなければならない程切迫した状況だという描写もほとんど無い(後述)ので、「神の力」を求める必然性が乏しい。見ようによっては「神の力に主人公達が振り回されている」ようにも見える。
    • そもそも「神の力」を求めるきっかけは、新ハインローグ城の聖者から「これからの旅の事を考えて強力な装備を持つべき」と王国に代々伝わる武具が封印された島の事を教えられるが、島にある門の中に入ると謎の声に「神の力」が必要だと言われ追い返される…という流れである。
    • 少なくとも上記の描写を見る限り、主人公たちにとって「神の力」は病気根絶の手掛かりやラスボス打倒のキーアイテムといった位置付けではなく、ただ「冒険を有利に進められる強い武具を手に入れる為の鍵」程度の存在でしかない。怪物病の解決そっちのけで執着するような代物ではないはずなのだが、主人公達はいつの間にかそれを集める事を第一に行動しはじめ、手段が旅の目的と化し更にトンチンカンな状況に陥るのである。
    • にもかかわらず、「神の力」と封印された武具を集めてから聖者と会話すると、「(全ての神の力を手に入れられて)それはようございましたな」と、まるで初めから「神の力」を手に入れるよう助言していたかのように振る舞う。当初の目的かつ実際に戦闘で役立つ武具の扱いがなんとも哀れである。
    • そんな主人公達に「神の力」の所在を問われ、逆に「神の力を手に入れてどうするのか」と問い返し、答えられない姿に「過ぎたる力は害になるだけ」と諭す隠者の台詞が、このテのポジションとしては珍しいぐうの音も出ない正論となっている。だがそれに対してサリナとバロアは「これだから頭の硬い奴は…」と吐き捨ててまともな反論すらせずにその場を立ち去った上、ミシリアの「強い心があれば力には振り回されない」「万一カイが力に呑まれたら自分が命をかけても止める」という根拠も無く論点もズレまくりな説得をされた挙句、彼らをあっさりと認めてしまうのだが…。なお、主人公たちは結局最後まで隠者の質問に真正面から答える事は無かった。
      • 寧ろ頭が弱い硬いのは、「神の力」がどういうものかはおろか、何故それを使おうとしているのかというビジョンすら無いままひたすら固執し続ける主人公達の方である。そもそも「王家に伝わる強力な武具を得るために神の力が必要」というのが動機だが、何故それを話すことを頑なに嫌がるのかが全く分からない。
      • 百歩譲って、主人公たちと隠者との熱い論争でも繰り広げられていたら多少はマシに思えただろうが、残念ながら隠者はあっさり主人公たちの全く通じていない論に屈している。…フリをして、会話が成立しないと見て諦めただけかも知れないが。
    • 隠者の次に会う、「神の力を手に入れてどうするつもりだ?」と尋ねる人物に対して、主人公の返答は「今のこの世界をどうにかしたいんだ」。つまりそんな極めて漠然とした動機だけで旅を続けているそのノリを答えとして集約した訳である。
      • そもそも作中の描写の限りでは、世界がどうにかしなければならないほどの危機的状況に陥っているという実感が薄い。序盤で訪れる関所がすでに魔物に攻め落とされた後だったり、サナトリの村では郊外(村のマップ内)でエンカウントがあったり、複数の町が魔物に占拠されたりと、、件の病気もこの頃にはまるで触れられなくなっており、第一「神の力」と病気の根絶にはそもそも何の因果関係もない。
    • そして、「神の力」をもらえる神殿のひとつでラスボスの説明がされるので、ここでようやく「神の力」がラスボスにも何らかの形で絡むのかと思えば、上記の通り掘り下げるイベントもなければラスボス一味が「神の力」に言及する事もない。武具が封印された島をラスボスの配下が訪れるも門が開きすらしなかった…というイベントや、特定の神の力を手にする際に別の神の力を行使するという展開もあるにはあるが、大層な名前のわりにごく一部のイベントと武器入手のフラグという機能しかない、完全に見掛け倒しな設定である。
      • 序盤でマールが「人知を超えた存在により怪物病は発生している」と話しているのでそこを起点として掘り下げるなり、操られていたサリナの父ブロアにラスボスの手がかりを喋らせるなど、まずはラスボスの存在へ迫ってから「神の力」を求めるストーリー展開にしておけば、このような雑な扱いにはならなかったはずである。ドラマCDではブロアがラスボスと決して浅からぬ関係を持っている事が描かれているので猶更である。
    • なお、聖者からの掌返しをされる前の元々の助言の通り「神の力」を得たキャラには、かつて追い返された洞窟にて夫々それにまつわる強力な専用装備が与えられるのだが、何故かカイにだけは無い。主人公のみ強い専用武器が与えられる作品こそ数多くあるが、逆に主人公のみ専用装備がなく仲間にだけ用意されているゲームと言うのも珍しい。
      • 後に明らかになった情報によると、期間限定で入手できる「ドラゴンソード」を持っていれば、それが強化武器になるとのこと。ドラゴンクエストシリーズにも最初は弱いが後に最強クラスの武器となる例はあるが、それと違い本作は その武器の入手方法が完全任意で存在を示唆する要素が少なすぎる*17のが大きな問題。
      • 実質的にカイの隠し武器に等しい剣が、仲間がシナリオ中で必ず貰える武器と同列である点もチグハグさを際立たせており、普通にプレイしているとカイだけ専用装備がないのと同然の扱いになる。
      • ちなみに旧ハインローグ城のイベントでカイ専用の鎧も手に入るが、その性能は 市販品未満 。最強の専用鎧は別に手に入るとはいえとことん主人公(笑)である。
  • 中盤までの主目的であった「怪物になる病気」の根絶については解決の兆しすら見せないまま、後半になって唐突に「ラスボスが起こした」と説明され、そのままラスボス討伐に纏められてしまう
    • それ以降は病気の「び」の字すら殆ど出てこないまま話が進み、最後まで説明されることなく放り投げられる。エンディングになってもその後の病気の顛末すらも語られない。

唐突に出たラスボス

  • 本作のラスボスである「ギゼフィル」であるが、の存在が明かされるまでの流れもポッと出に近い。存在を匂わせる描写や情報も、最初の奴隷村での敵幹部よりも上の「魔王様」の存在が分かる会話や、「怪物病は人知を超えた存在によるもの」というマールの大雑把な見解くらいしかなく、唐突にその存在と名前が明かされる為それっぽさが全くと言っていいほどない。
    • 他のRPGでも直接対決する前にようやく存在が明かされるラスボスはちらほら居るのだが、大抵はストーリーの中で暗躍が見え隠れしていたり町の住民の会話や作中の雰囲気から存在が見えてきたりラスボス本人が自身の打倒を防ぐため手下を矢面に立たせ身を隠している…等、伏線で存在が匂わされるのに対し、本作の場合その節もほぼ見当たらない。
    • カイたちとの会話を見る限り最終目的はシンプルに「世界征服」と思われるのだが、そのための行動がどんな結果を求めてのものなのかよく分からない。暗黒の気のカタマリ(原文ママ)を採掘させたり、封印の島に派遣したり、古代魔法を探索させるなど、配下の幹部に様々な任務を与えている描写はある。だがそれらの指示の目的等がよく分からないまま敵幹部も次々と退場するので、何をさせたかったのかがイマイチ理解できず、プレイヤーからすればキャラ描写の薄さが目立ってラスボスである必然性も感じ取れない。加えて上述したように数ターンであっさり倒れるという有様なので、戦闘面でもラスボスとしての威厳を欠く。
      • プロローグで語られた「永遠に続くと思われた文明」を理不尽にも吹き飛ばした張本人なのか、あるいは「十七年前にハインローグを襲ったいわれもなき憎悪」と関係がある存在なのか、なども本編を最後までプレイしても不明のまま。
    • ギゼフィルのいる城は城壁で守られており、門を開けるには 城壁の外にある 開閉装置が置かれた2つの塔を目指さなければならないという謎の仕組みになっている。
      • 一応塔には幹部が番人として居るが、侵入を防ぐための門を開ける装置を城壁より外に設置する意味はない。他作品のように結界を張っている、というものであればまだ理解はできるのだが(挙句、城壁自体その気になればいくらでもよじ登れそうな貧弱なものである)。
    • また、ラストバトル前哨戦時に主人公達と信念をぶつけ合うと言う本来なら熱いであろうシーンも、主人公側全員の発言が殆ど論点がズレており、会話が成立しているようでしていない。
      • 具体的な流れを言うと、ギゼフィルの主張は「人間が自分を倒したら、人間たちの好き勝手に出来る世界を作り平和と称する」「現に人間はエルフやピクシーを迫害したうえに、迫害した事実を抹消している」「自分を倒しても世界にとっては何も変わらない、全生物の王が自分か人間かの違いだけ」と言うもの。それに対し仲間の発言は要約すると「お前に俺たちの何が分かる?」「カイはラスボスのようなセコい真似はしない」「カイはみんなに迷惑かけたくない」「(ギゼフィルは)王の資質を何も理解していない」「(ギゼフィルには)人を信じる心がない」と言った感じである。
      • まずギゼフィルは「お前らが勝っても人間が支配者になるだけだろう」と人類全体の話をしているのに、主人公側はカイが王に相応しいか否かと言う話にいつの間にか論点をすり替えて、カイとギゼフィルを比較してギゼフィルを非難している。ただこの点はいくらか譲歩して考えれば、「ギゼフィルが支配する魔物の世界か、(未来の国王である)カイが統治する人間の世界か」という比較に持っていき、「人間が支配するのは確かだが、その人間の王がカイだからこそ過去の人間の支配やギゼフィルが支配する世界よりも良いものになる」と切り返している…という解釈は十分に可能である。
      • ただし、そういった解釈が可能だとしても問題なのは、その主張をぶつける肝心の各キャラ達1人1人の台詞自体が、前後で互いの話の流れが繋がっておらず、その悉くが滑っている。挙句ギゼフィルも1人ずつ相手の言い分に反論することはせず、最後に話したミシリアの言い分にのみ反論する始末。
      • なお、肝心のカイはギゼフィルの発言に動揺するばかりで、主人公として飾り立てられたなりの威勢や風格を見せることは無く、仲間の発言の後に「行くぞ!」と言うのみと、最後まで主体性に欠けるのであった。

滑りきったバカ要素

  • バカ要素とも取れるようなそうでもないような、よく解らない奇抜な演出が多数盛り込まれている。
    • 先述したような、『摩訶摩訶』を彷彿させるトンデモアイテムや買い物時のキャラボイスもその一環だと思われる。
    • イベントでも、プレイヤーキャラが唐突にふざけだしておちゃらけたやり取りを始める展開が多数。
      • 例えば、ボスを倒して得た剣を姉御肌のサリナが手にした際、剣が急に輝いたのに対し「きゃ。♡」と驚いてみたりするなど。男勝りだけど女性らしい一面もあるという描写のつもりなのだろうが、描写をするタイミングとしては疑問しかないうえ、リアクションそのものもわざわざハートマークを付ける所が薄ら寒い。
      • その他にも、おバカ会話は普通なら気にしないであろう些細な要素を律儀に取り上げてクドクド語り合うようなしつこいものが多く、キレが全くない。
    • 店員の名前や挙動が色々おかしい*18など明らかにネタとして混ぜ込んだだろう要素もある一方、神殿などの建物が奇抜な外見*19、塔の聖者達が上半身裸(大聖者に至ってはパンツ一丁)で戦ったり…と、狙い澄ましたネタのつもりだったのか、前衛芸術的に奇をてらったマジのつもりだったのか、判断がつきにくい要素も多い。
    • これらは作品内容の薄さを水増しするための要素としか思えないが、ネタにせよマジにせよ悉くスベっているとしか言いようがない
    • バカ演出は作品に全く溶け込んでおらず、残念ながら本作を「バカゲー」として評価する声はほぼない。

脱力もののエンディング

+ 大まかな構成・内容。多少ネタバレ。

構成は、あまり長くないエピローグ的なムービー→スタッフロール→短いムービー。

  • 内容はカイが王に、ミシリアが王妃になって他のメンバーが祝福するものと、スタッフロール後には他のメンバー同士がカップリングを組んでその後の日々を過ごしている…と思われるものの2つ。特にスタッフロール後の方は音声や字幕による説明も一切なく夫々淡々と流れるのみという、無いよりかはマシとしか言えない寂しいもの。
    • 「世界が平和になって皆が歓喜している」といった、ギゼフィルを倒した結果もたらされる影響の最低限の描写も「ハインローグ城のテラスで、広場に集まった兵士や民から祝福される」くらいしかなく、世界を救ったという実感を得るのは非常に難しい。怪物病に至っては前述のとおり全く触れられないので、「魔物になりかけた人が元に戻る」なんて描写も存在しない。
    • その後のスタッフロールは真っ暗な背景に文字が表示されるシンプルなもので、BGMはエルフの隠れ里「エルフランド」の曲の使い回し。曲自体、エンディングに合っていない上に質も低い。
    • 最後のムービーに至っては、スタッフロールの中で表示させれば済むような極小ボリュームと、明らかな水増し感が否めない。最後のその一瞬まで、その香ばしさは衰えることは無い。
      • 確かにスタッフロール後にエピローグを映す演出は他のゲームでも見受けられるが、本作の場合は酷いムービーと淡々とした演出により、とても余韻に浸る事などできない。
      • さらに、その中のカップリングを組んだうちの一組であるバロアとファラのペアは本編中で全く接点が無い。ペアになるような描写どころか、まともな会話すらしていないのにもかかわらずカップリングされている*20
  • …と、このように全編満遍なく創作の基礎レベルの問題まみれで、シナリオとしての最低限の体裁すらまともに保てていない。ここまで支離滅裂なシナリオは、シナリオ面でクソゲー判定を受けている作品ですらそうそうお目にかかれない。
    • 全体的に「作中の設定・描写などの管理そのものがされていない故の食い違い」が多い傾向にある。通常、長編RPGのシナリオを制作する際は世界観や設定、人物相関図などを設定資料として個別に作成し、シナリオを書き進めるのと平行してシナリオの流れなどが一目で確認できるフローチャートを記録し、少なくともシナリオ担当のスタッフ全員&監督で幾度もそれを確認・議論し合う会議を繰り返しながら築き上げていくものである。
    • しかし、本作では「少し前の出来事を忘れたかの如く支離滅裂なキャラの発言・行動の数々」「唐突に出てきてそれ以降扱われない設定群」「全体的な統一感の無さ」など、それらの擦り合わせを碌に行わずその場の勢い・思いつき・記憶力だけで一筆書きの如く書き殴りでもしない限り起こり得ない現象の数々が、当たり前のように頻発している。ダンジョン解放の流れといい、まともな環境でシナリオ制作が行われたとは思えない
    • ちなみに、シナリオライターの名前はスタッフロールに載っていない。シナリオ専属のライターが居らず、他のスタッフ達が合間合間で作り上げたのだろうか?だとしても少しはおかしいと思いそうなものだが…。
  • なお、説明書にはなぜかプロローグとストーリーに分けた上で本作のあらすじが掲載されているが、プロローグムービーでの1000年前の惨事についてのより詳細な情報や、ギゼフィルの正体を考察する上で必要な記述が盛り込まれている。ゲーム内では唐突過ぎるOPムービーやぽっと出感が半端じゃないギゼフィルだが、このようにシナリオの理解に必須な要素をゲーム内ではなく説明書へのみぶん投げている点も、シナリオの体裁が崩れている一因といえるだろうか。
    • 説明書以外ではドラマCDも、本作のストーリー・世界観を把握する上で必須といえるだが、実のところドラマCDの方がゲームより1ヶ月早く発売されている。ストーリー展開と商品発売順をリンクさせる意欲的な試みとも取れるが、悪い見方をすればドラマCDの購入&視聴をスムーズなゲームプレイの必須条件として商品展開したようにも見えてしまう。

音響面

よく「音楽だけはまとも」「(特定の)曲だけは良い」など「クソゲー最後の砦」として機能する事の多い音楽であるが、本作はご丁寧にBGMのクオリティも崩壊している。比較的まともに聴けるのは一部の街中の曲くらいだが、それすらも音質の悪さが足を引っ張っているので、評価点に特筆すべき事項では断じてない。 また、音楽以外に目を向けても効果音や声の演技にまで突っ込み所が多く、総合して本作の"音"に関連する要素は半ば壊滅状態と言ってもよい。

音楽

  • この惨状の原因は大きく分けて「譜面自体のクオリティの低さや奇抜さ」「音源の低音質さ」「キー*21の設定ミスと思われる事象」の3つにある。
    • 下記の通り悪い意味でバリエーション豊かなラインナップを誇り、音質自体の悪さも相まって無音でプレイした方がマシという状況も少なくない。
  1. そもそもデタラメに音を並べたとしか思えないような、ほとんど楽曲の体をなしていないBGM(例:序盤の関所、ギゼフィルが待ち受ける異空間など)*22
  2. 楽曲としては成立しているが、音質が悪くやかましいなど音源の問題で聞き苦しい曲(例:通常戦闘曲2種類)
  3. 主旋律自体はおかしくないが、対旋律*23や和音(伴奏)など他のパートの音程が全く噛み合っておらず、激しい不協和音となり傾聴すればするほど違和感に苛まれる曲(例:サナトリの村、ワールドマップ)
  • 譜面自体の品質が低い曲については擁護のしようがないが、最後の「音程がずれている曲」については、有志の検証により 「1曲の中で、各パートごとの譜面自体はまともだが、パートごとにキーがバラバラになっていると思われる曲」が複数存在する 事、つまり一部の曲において「曲自体は適切に作られながら、ゲームに落とし込む際に何らかの手違いがあり表現が崩壊した」可能性が指摘されている。(参考)
    • 実際、先述したサナトリの村の曲などはサウンドトラックでは各パートのキーが統一された状態で収録されており、音源の質が向上していることも相まってゲーム版よりだいぶまともに聴けるようになっている。
    • まともな曲を書ける作曲者が、このような致命的な音程ミスに気づかないことはまずありえない。ゲーム版音源を発売前に作曲者に一度も聞かせなかったという、通常ではありえない制作体制だったのではと疑わせる。
      無論、音源をゲームに落とし込む際に発生した不具合がどうしても直せず、作曲者もそのクオリティで了承せざるを得なかったという可能性もあるが、どちらにしても作曲者からすれば忸怩たる思いだっただろう。

選曲

  • BGMの品質に加え、選曲についても問題がある。
    • スタッフロールBGMが上記の通りエルフの里の使い回しであるなど、シンプルに選曲自体に疑問を禁じ得ないミスチョイスも多い。
      • ボス戦用のBGMはあるのだが基本的に物語後半からでないと使用されず、前半のボスで使われるのは余程の重要局面(例:旧ハインローグ城での剣士戦)くらいである。だが、この戦闘BGMは通常戦闘のそれを聴いていた方がマシと言えるレベルのカオス譜面なので、使用場面が今以上に増えていたらプレイヤーの負担は相当なものだっただろう。
    • ダンジョンやマップごとに設定されたBGMは、イベントシーン中や物語の進行によって一切変更されない。
      • 魔物に占領されている町が解放されて正常に機能するようになっても不気味なBGMが変わらなかったり、とある兵士の遺族に遺品を渡すシリアスなシーンでリズミカルな街のBGMが流れ続けたりと散々。
    • 一方で、同じダンジョンでもスタート地点の港、道中の道、ダンジョンの正面入り口などでBGMが変わるといった、同じマップ内の画面が切り替わるエリアごとに異なるBGMが設定されている場面もあるにはある。

効果音

  • 効果音については、戦闘やムービーでは低クオリティな音がやたらと鳴るが、非戦闘時は音が鳴ってしかるべき場面もほぼ無音という悲惨な状況。
    • 戦闘時の効果音は、攻撃ヒット時、撃破され吹っ飛ぶ時、魔法発動時など様々なタイミングで使われるものはどれも音質が悪いうえBGMよりも音量が大きく、やかましいばかり。これに加えて前述した読み込み時間も挟まる劣悪な仕様である。
    • オープニングをはじめとするムービーの効果音も低品質。
      • 特に「バロアが巨大な堰を破壊する際の効果音」は木材が崩れ落ちる様なくぐもった音質の破壊音であり、唐突に挟まる花瓶か皿を割ったような効果音も相まって巨大な石造りの建造物が崩壊したとは思えず失笑モノ。
    • 逆に戦闘やムービー以外のマップ画面やメニュー画面では、どんな古いRPGでも多少は音が鳴るだろうという状況すら効果音はほぼ鳴らない。
      • カーソル操作が無音なのは当然のこと、宿に泊まった時、扉をこじ開けた時、HPを回復した時なども例外ではない
      • あまつさえ「ぴと(バークが杖に触れた音)」「ぼこ(バークが杖を殴った音)」(※かぎかっこ内原文ママ)と、カッコによる補足付きの雑なオノマトペで済ませている場面すらあり、ただひたすらに見苦しい。

ボイス

  • 声優の演技も全体的に拙く、お世辞にも上手いとは言えない。
    • 一部のパーティーメンバーを除いて殆どが無名、または新人声優で棒読み。そのため、本作はクソゲーのお約束の一つである「声優陣は豪華」すら当てはまらない。
    • よく槍玉に挙がるのが序盤から行動を共にするバークで、『声の質は悪く明らかにキャラと合っていない・滑舌が悪い・棒読み』と3拍子揃っている。クリティカル時の台詞の一つ「腕が鳴るぜ!」は「屁が鳴るぜ」にしか聞こえない。
      • イベントムービーで喋る時は声質とキャラとのミスマッチ加減が光り、腕っ節が強くノリも軽めの兄貴分というよりはマイペースな裸の大将の様な印象を抱かせる口調である。
    • そのバークすら凌駕する存在としてミーナが控えており、劇中での棒読みのひどさは演技力を問う以前の凄まじさを誇る。機械音声かと疑うほど全く感情を感じられず、あえてそういう演技指導がかかっているのではと思える程。
      • 念のため補足するが、ミーナが何らかの理由で感情を喪失したとか、エルフは元来感情が無い種族であるという設定は作中には無い。実際にファラや他のエルフ達は感情を持っており、ミーナ本人も要所要所でボケをかましたりしているのが何よりの証左である(面白いかどうかは別の話だが)。

その他

  • この出来でありながらディスク2枚組なのだが、ゲーム中にディスクを切り替えることができない。
    • 要するに、ディスク変更の指示が出た際は一旦セーブしてからリセットして電源を入れ直し、ディスク2を入れ直さなければならないのである。
    • さほど面倒なわけではないが、配慮不足もはなはだしい。
  • 目的地以外の場所で発生するサブイベントや、アイテムや魔法が手に入る会話イベントなど寄り道要素はなくもないが、闘技場やカジノといった定番かつ規模の大きいやりこみ要素はない割になぜか2ブロックも消費する。やり込み要素が充実したFF7ですら1ブロックで済むのにも関わらず、である。
    • それだけでなく、セーブデータはメモリカード1枚につき1つしか保存できない。期間限定のサブイベントもあるのに、間違って上書きしたらやり直しが利かないあまりにも不便な仕様となっている。

評価点

一応完成こそしてはいる

  • 調整不足や処理落ちを思わせる要素こそ多々あれど、ゲーム進行を妨げるような致命的なバグはない。
    • ある意味当然のこと…というか評価するうえでの大前提でしかないのに、本作ではあたかも評価点のよう見えてしまう。…が、その実、バグの原因となるような複雑な仕様や手の込んだ演出が一切ないと言った方が正しいのかもしれない。
      • とはいえ、開発の風雅システムにとっては「コンシューマー&3Dゲーム初参入」「スクウェアとは比べるまでもない技術力&人材不足」「FF7発売から1年ちょっとしかない開発期間」という三重苦のなか、一つのゲームとして一通り問題なく動作するレベルに仕上げた点は素直に評価すべきだろう。
    • ただ、なまじバグが少ないせいでバグゲーとしての地位を確立できず、結果的に長い間注目されず動画等のネタに頻用され日の目を見ることがなかったのが本作にとって良かったのか、とも考えてしまうが。

一部声優の演技面

  • 棒読みまみれの中に埋もれがちだが、一部の声優の演技はそこそこ。
    • 中でもカイ役の高橋直純氏*24や、サリナ役の中島沙樹氏*25は後に大成するだけあり、新人時代と考えれば酷くは無い。またミシリア役の中山真奈美氏(現:中山さら)*26は発売当時で本作唯一と言ってもいいプロ声優なので言わずもがな。
    • ちなみに、中島沙樹氏の声優デビュー作はTVアニメ『快傑蒸気探偵団』とされているが、このアニメの放送より本作の方が半年早く発売されている。年齢と声優養成所に在籍していた期間を考慮すると声優デビュー前の収録作品ということになりそうだが、商業作品への参加という意味では本作が最初の作品*27と言えるだろう。

イラスト面

  • グラフィックの項目でも述べたが、パッケージのイラストは時代を考えると至って標準的である。
    • キャラクターデザイン担当の楓牙氏は当時風雅システムに在籍していた人物である。現在でも成人向け漫画家として現役活動中だけあり、本作でもそれなりに味は出している。女性キャラもイラストであればなかなか可愛らしい。
      無理に3Dに拘らずドット絵やイラスト等を用いてこれを活かせていれば、また違った評価につながったかもしれないと悔やまれる。

総評

今作が発売された年には『スターオーシャン セカンドストーリー』や『ゼノギアス』と言った傑作RPGが続々発売され、多くの人を魅了していったその裏で、このような背伸びをし過ぎて空回りしたクソゲーも多く出回っていたが、その中でも今作の完成度の低さは群を抜いている。

繰り返すが、本作はRPGはおろか、あらゆるゲーム作品の中で見ても突出した長所を見いだせず、それどころかまともな点と言える評価点すらも皆無に等しい。RPGとしてのストーリー性や戦闘バランスはことごとく壊滅、基本的なUIや操作性も劣悪、聞くに堪えないBGMに意味不明なビジュアル…をはじめ、どう贔屓目に見ても商品としての水準に達していないと断ずる出来栄えである。「出来そのものは劣悪でも、他の作品には無い斬新な試みや独自のシステム、制作側がプレーヤーに伝えようとしたテーマ性等、部分的には一定の評価を得ている」クソゲーも多いが、本作にはそういった要素が皆無である。

当Wikiで評価点が皆無に近いとみなされているゲームは他にも存在するが、本作にはそれらと一線を画す特筆点がある。
それは評価をどん底まで落としている理由が、「作品全体に渡るパクリ疑惑」や「超弩級の原作レイプ」等といったプレイヤーの反感を買う背後事情や、ゲームプレイそのものを阻む重篤なバグといった飛び道具に起因せず、純粋な技術力の低さに起因する「作品としての完成度自体の低さ」に作品のクソさが集約されているという点である。
からめ手に頼らず圧倒的なパワーで押し切るいわゆる「ストロングスタイル」と言えるため、そう言った点ではある意味マシ…という見方も一応は出来なくもないかもしれない。

しかし内容のクオリティ以前にゲームとしての知名度自体がかなり低く、クソゲー愛好家にとっては非常に魅力的…否香ばしいとも言う内容に反して、『里見の謎』『黄昏のオード』といった有名なクソRPGの影に隠れがちで、近年動画投稿サイトで再発見されるまでは知る人ぞ知るクソゲーとして君臨し続けていた。ただし、本作は上記の通りネタにできるタイプの振り切ったクソ要素は乏しく、「黄昏のオード」のようにバカゲーとしてある種の愛せるような要素も皆無に近いため、クソゲーハンターですらなかなか二の足を踏むような有り様になっているらしい。


余談

現在の動向

  • こんな出来だが…否だからこそ、クソゲーハンターに目をつけられた為か2021年現在、かなりのプレミアが付いている。特にAmazonのマーケットプレイスや中古通販ショップでは、それまでは1円+送料がザラであったのだが、今ではなんと万単位で取引されているほどに。こんなゲームにそんな金額を出すくらいなら他の作品に回した方がよっぽど有意義であるが。しかし、このような無駄なプレミア価格がついたせいで、クソゲーハンターですら二の足を踏まざるを得ない要因が増えてしまった。

各種イベントでの展示

体験版

  • 別のイベントでは体験版も配布された。最序盤の決起イベント終了までが収録されており、敵との戦闘も出来るがシステムや演出では製品版との違いも散見される。
    • まず戦闘開始時にはパーティーメンバーの2Dイラストとボイスのカットインが存在していた。テンポの悪さは否めないが、質の良いイラストという数少ない長所をなぜ製品化の際に潰したのか。
    • また、戦闘コマンドには製品版にはなかった「へんしん」の文字が見られる。不採用の理由が戦闘バランスの問題か変身グラフィックが用意出来なかったためかは不明だが、もし実装されていたら神の力の作中の扱いもマシだった事だろう。
    • 一方でパーティーの3Dグラフィックはマップ移動時と同じ4頭身デフォルメキャラであり、攻撃動作も敵味方問わず高速で突っ込んで斬りかかりそのまま世界一周して戻ってくるというかなりシュールなもの。単体でのクオリティは低いとはいえ、製品版の戦闘グラフィックが(体験版と比べれば)しっかり改善された物だったことが分かる。

ソフトウェアカタログ


サントラとドラマCD

今作ではなんと本編発売1ヶ月前にサウンドトラックドラマCDが発売されている。一見ゲーム自体の評価を鑑みれば、誰得なメディアミックスにも見えるが、ゲーム本編と比べれば断然出来の良いものとなっており、単体でも楽しめる完成度となっている。

サウンドトラック

  • 先述の通り、サントラ版の音源はゲーム中に比べてある程度マシなものになっているどころか、一部は最早別曲と疑うものもある。これについては、ゲーム側が風評被害を与えてしまったとも言える。

ドラマCD

  • ドラマCDは所謂本編までの前日談なのだが、シナリオ構成は細かな矛盾や説明不足な箇所こそあれどゲームでの無法地帯ぶりに比べれば十分整っており、ほぼ説明されていなかったラスボスや一部のキャラクター・出来事についてもある程度だが語られている。
    • 声優の演技面も、上記の評価点で挙げられた声優のみが出演しているのもあるため、少なくともゲーム本編よりはレベルが高い。単体の作品としては及第点な完成度で、ゲーム本編の理解を深めたければほぼ必聴の一枚となっている。何故このクオリティでゲーム本編も製作出来なかったのか、疑問が尽きない。
    • またこのドラマCDによって、本編の危機の元凶・エルフやピクシーと人間の対立はカイの父親ルイスの所業であった事も明かされる。ルイスはハインローグの国王であり、国の発展を憂う心こそあったがどうにも意思脆弱で流されやすく、様々な愚行に手を染めてしまった人物。己の行いに対し葛藤している素振りこそ見せるものの結果的には終始自己保身に走ってばかりで、同情しがたい人物である。
      + 国王ルイスの所業の詳細(折り畳み) 国難の中国を平定させる力を欲するまでは良かったが、ブロアに紹介されたラスボスのアジトに赴きラスボスの雰囲気に呑まれて「力を与えるがいずれ汝の一番大切なものをもらい受ける」という契約をしてしまい、その影響で増長し過剰な軍事・産業改革を行い国民を疲弊させ、周囲の自然を破壊してエルフやピクシーを追い出し自分たちは毎晩晩餐会を開くなど腐敗ぶりを見せる。ラスボスに操られたと思われるブロアの反逆を受けて改心したかに見えたが、「自分の子供に殺される」という隠者の予言を恐れて赤子のカイを殺すべくゴブリンと取引して彼を誘拐させる手引きをし、カイの命名式にラスボスを呼ばなかった為式場に押し入ったラスボスに「契りを反故にした」「汝は己が一番大切なようだから汝自身をもらってゆく」とラスボスに連れ去られてしまっている。しかもファラに阻止されたものの赤子であるカイを窓から落とそうとまでしているシーンまで。
    • 中には、本編では20歳とされていたサリナが、カイと同い年の17歳とされていたり、絶対悪として扱われ「魔王」としか呼ばれていなかったラスボスが主人公たちがゲームで尋ねる「神」の一柱であるとされていたり、主人公の母親がゲームでは青髪なのに対し「金髪」と明言されていることをはじめ、ゲーム本編との矛盾が生じてしまっている。その割にカイとルイスの親子は「主体性の無さ」を共有できていると言う。
      • 原作ゲームとメディアミックスとの設定の食い違いはよくある事…なのだが、本作の場合原作となるゲーム発売より前にリリースされている為、それより先に完成しているであろう原作設定に準拠していない箇所があるというのは聊か不可解な話である。

参考動画

+ 体験版。木っ端微塵シーンに注意
+ 製品版。アンシャントロマンのイベント集。サムネが木っ端微塵シーンなので注意

参考資料

最終更新:2021年04月18日 18:48
添付ファイル

*1 味方と敵のちょうど中間が画面中心に来るのを維持しつつ、「初期位置」「初期位置より上から見下ろす位置」「味方を右後ろから映す位置(2種)」「敵を左後ろから映す位置(2種)」のアングルへカメラ位置が一瞬で切り替わっていく。

*2 二重母音と呼ばれる発音方法で、「エ」から「イ」へ滑らかに変化させて「イ」をぼかす。正確に言うなら「エ」も日本語の場合よりも舌を緊張させて発音するのが正しい。

*3 確認できたのは、イタリアのローマにあるホテル「アンシャント ロマンス」、1999年発売のピアノ演奏CD「京 アンシャント・シティ」、1985年生まれの競走馬「アンシャント リニージ」など。同イニシャルの発音が同じ「アンシェント」も含めれば、ダライアス外伝のボスキャラ「アンシェントドーザー」や長野県のホテル「アンシェントホテル浅間軽井沢」も該当する。

*4 日本人には見慣れないイギリスを中央に据えたタイプであり、タイトルに半分隠れて見え辛いがアフリカ大陸や南米大陸が画面中心に見えるほか、画面右にはオーストラリアとニュージーランドが丸ごと映っている。

*5 『MOTHER2』の地底大陸のようなフィールド表示、と言ったら分かりやすいか。しかし、あれは広大なフィールドと巨大な敵シンボルを表現する為の演出手法だが。

*6 作中での性能は、物理攻撃力の高い女性専用武器。

*7 バークのみ、レベル35から36に上がる際の必要経験値が数百程度になってしまっている。それ以降は特に問題ないペースでレベルアップするので、本来全く無関係な経験値量にレベルアップの判定を入れてしまったと思われる。

*8 HP300回復か、戦闘不能者をHP300で復帰。戦闘不能者にも効く全体回復魔法とも言える。

*9 荒廃したルーンマルナの町で体が魔物化した状態でカイたちの前に現れ、「怪物病が昔から存在する」「精神も魔物になったら魔物が支配する次元に消えるらしい」という話をしたのち自身も消えてしまう。「自分はもう手遅れだから、これ以上犠牲者が増えないようにしてほしい」と懇願する思いやりに満ちた性格で、マールに怪物病について尋ねた時もブー=レイを助けられなかった事を悔いる描写がある。…と、マール以上にカイ達の旅の原動力となっている筈なのだが、以降彼の存在は完全スルーである。

*10 一応、「人智を超えた、何か外からの力が働いている」という見解は示す

*11 ちなみにその気付け薬の入手も「医者が特に診療所を離れられない理由もないのに、患者の関係者でもない初対面の主人公らに買いに行かせる」という流れであり、医者に関しても非常識であると言わざるを得ない。

*12 自分は母親に捨てられたと思い込んで憎んでいたそうだが、そもそも魔物に誘拐されたと知っているのならば母親を恨むのは不自然である。「母の差し金で魔物に誘拐された」という解釈なら通じるが、そう解釈していたのなら自分の生い立ちを語る場面でそう話していたはずである。また、ドラマCDでの設定を踏まえると、寧ろ恨むべきなのは父親の方である。

*13 一応ヒロインが「本当はちゃんと避難させたかった」と語るが、悩むまでもなく絶対に避難させるべきである。

*14 ダムの様に川の水を溜め込んでいる状態なので、わざわざ堰を破壊などしなくても呼吸の問題をクリアすれば突破は可能と思われる。

*15 「大量の水が押し寄せてくるから、この木の実を食べろ」で済ませており、「自分達が堰を壊すこと」「そうしなければならない理由」については言及なし。

*16 1000年前理不尽にも吹き飛んだ文明。普通こう言うのは「遺跡」と言うのだが…。

*17 ドラゴンソードが手に入るサナトリ村を訪れた際、屋外の女剣士に話しかけると「この村にはすごい剣がある」という情報が聞けるくらい。

*18 上記のセーラー服やブルマを売る店(というより個人)の名前が「あぶないおやじ」だったり、イベントで訪れる薬屋の店主が昼間から泥酔していて本来有料の薬を無料で押し付けたり。

*19 例えば「精神の塔」なる建物はピラミッドの頂点にもう1つピラミッドが傾いて建てられているという奇抜な構造。崩れないのが不思議なうえにそもそもどうやってそこまで行けるのか想像できない。しかも建物の中は円形の部屋であり、もはや外見と中身すらも一致していない。

*20 ファラはバロア加入前に離脱するため、ラストバトルに駆け付けた時がバロアとの初対面である。しかも、離脱前は主人公にべた惚れだった

*21 演奏に用いる音調、大雑把に言えば「パート全体の音程」というべきもの。

*22 念の為フォローすると、CRAZYBUSの様に完全ランダムで音色が出力されている訳ではなく、一定の方向性を持って作られているのは確かである。関所BGMは全体通して不安感を煽る様な暗い曲調であり、よくツッコまれるピアノ高速連弾はその雰囲気をさらに強調する構成であることは間違いない。異空間BGMの場合も短くループするゆっくりとしたメロディに様々な楽器の音源を散らしており、一応は前衛音楽と受け取れるレベルに収まっている。

*23 主旋律と同じリズムや音の長さかつ異なる音程で構成される、いわゆる「ハモり」のパート。

*24 後に『遥かなる時空の中で』など数々の作品に出演。『デジモンアドベンチャー02』においてはレギュラー役を獲得し、可愛らしい声とイケメン男性声と全く異なる2つの声質を使い分けた巧みな演技を披露している。また、声優業以前から俳優としても活動しており、更にシンガーソングライターとして作詞作曲も手掛けるなど幅広く活躍している。

*25 後に『東京ミュウミュウ』『LORD of VERMILION』などに主演、ユニット活動や多くのイベント、番組ナレーションでも活躍する人気声優に大成した。

*26 『電車でGO!』の鉄ちゃんなど。後に『ゆめりあ』『グリーングリーン』などにも出演。

*27 より正確を期すなら、ドラマCDの方がさらに1ヶ月前に発売されている。