【あんしゃんとろまん ぱわーおぶだーくさいど】
ジャンル | RPG | |
対応機種 | プレイステーション | |
発売元 | 日本システム | |
開発元 | 風雅システム | |
発売日 | 1998年4月23日 | |
定価 | 6,800円(税抜) | |
判定 | クソゲー | |
ポイント |
全要素が満遍なく論外なクオリティ PS初期にすら及ばないグラフィック 素人が適当に作ったようなBGM 理不尽かつ不親切なUI 戦略不要に等しい戦闘 超展開でスカスカなストーリー 滑舌の悪い大半の声優陣 (不)愉快な買い物時のボイス |
『アマランス』で名を馳せたPCゲーム界の雄、風雅システムが、前年1997年1月31日発売の大ヒットRPG『ファイナルファンタジーVII』にインスパイアされ手掛けた…とされる、渾身の超大作…になる筈だったRPG。
なお、上記の『FF7』絡みの話題は、実際には制作者サイドからこの様なアナウンスがされた事実は見受けられず、あくまでゲームの作りや細かい要素からプレイヤー側が立てた予測である点は注意されたし。
蓋を開けてみればFF7どころか商業作品としても疑問符が浮かぶレベルの何かであり、それどころか一企業でプロが開発した「商品」とは信じ難い、香ばしいことこの上ない代物に仕上がってしまった。
とにかく以下の通りゲーム内のあらゆる要素が満遍なく論外の出来であり、評価点と言える点が無いに等しいRPGとして今でも悪い意味でその道の通に名を馳せる、知る人ぞ知る迷作である。
この項目ではそんな核地雷を紹介していくことにしよう。
(説明書2ページより引用)
その世界には、様々な星があり、
いくつかの星にはそれぞれの人類が文明を築いていた……。
その星のひとつが、突如として大爆発を起こし、消滅する。
爆発の余波を受けた周囲の星々の文明も……崩壊。
それだけでなく、この爆発は更なる闇をも生み出してしまう。
……それは「暗黒の気」。
この邪悪な気の力で、それまでは存在しなかった、
もうひとつの異質な世界が誕生してしまったのだ。
そして、この惨事から1000年余が過ぎた。
ようやく、かつての繁栄を取り戻しかけている、星の人々。
しかし、「暗黒の気を背景とした異質な世界」との衝突が始まろうとしていた。
……いや、すでにその兆候は現れていたのだ!
(説明書3・4ページより引用)
一つの星が爆発する。
爆発はその星系にある惑星とそこに生きるすべてを呑み込む…。
爆発の力はある星を襲う。
星は壊滅。闇を切り刻むかのような幾千もの流星。
その中に、異様な輝きを持つものがあった…。
そして1000年が経った。
ある王国の城の中、赤ん坊を抱えた王妃を、異形の生物が襲う。
赤ん坊はその生物に連れ去られてしまう。
その出来事から17年。
赤ん坊は山奥の鉱山の村でたくましく育っていた。
その名は「カイ」。
奇しくも平穏に思える世界は、しかし、
再び魔の力で漆黒の闇へと変貌しつつあった。
人間が妖獣化していく…。
そんな噂が日を追うごとに現実味を帯びてきていたのだ。
立つのは今…! カイは、ついに旅に出る。
この世に平和を、そして愛を取り戻すために。
美しい海と点在する島々。確かにこの世界にはまだ神が存在する…。
カイは、この世界を覆わんとする闇の元凶を見出せるのか?
そして、愛すべきものを全てを守ることができるのか?
(内容は説明書5~8ページからの引用がメイン)
+ | 「アンシャント」に関する補足およびフォロー |
本作ではメインキャラが6人、一時加入キャラが2人いる。
フィールド上ではデフォルメされたポリゴンキャラが、戦闘では等身大のキャラが表示される。
…のだが、どちらも質が壊滅的に酷い。詳細は下に記すが質以前に根本的な問題まみれである。
ダンジョン
戦闘シーンも例に漏れず、グラフィックは見にくく、演出もショボく、戦闘そのもののテンポも悪い。
概要でも述べられているように、劇中に挿入されるムービーのクオリティの低さは群を抜いている。CGを学びはじめた学生の練習用動画ファイルと言われた方がまだ辛うじて納得できるレベル。
+ | 閲覧注意? |
端的に言えば何もかも劣悪。
瞬殺するかされるかのシステム設計
使い勝手が最悪な魔法
経験値とお金のバランス
全編を通して超展開と電波で構成されているような代物。
場面、登場人物、背景設定のどこをとってもまともな説明や描写がされておらず、「比較的まとも」な場面の方が貴重なほど。感情移入するどころか、最低限の理解すらままならない。
それでいてキャラ達は当たり前のように(程度はあるが)状況把握しており、ツーカーな会話や行動を繰り広げ、プレイヤーは置いてけぼりのままどんどん展開が進んでゆく。
突っ込みどころ云々以前に、真面目に考察する事自体馬鹿馬鹿しくなる次元にまで達している。
+ | プロローグ |
+ | ネタバレ |
+ | ネタバレ |
「神の力」の扱い
唐突に出たラスボス
滑りきったバカ要素
脱力もののエンディング
+ | 大まかな構成・内容。多少ネタバレ。 |
よく「音楽だけはまとも」「(特定の)曲だけは良い」など「クソゲー最後の砦」として機能する事の多い音楽であるが、本作はご丁寧にBGMのクオリティも崩壊している。比較的まともに聴けるのは一部の街中の曲くらいだが、それすらも音質の悪さが足を引っ張っているので、評価点に特筆すべき事項では断じてない。 また、音楽以外に目を向けても効果音や声の演技にまで突っ込み所が多く、総合して本作の"音"に関連する要素は半ば壊滅状態と言ってもよい。
音楽
選曲
効果音
ボイス
一応完成こそしてはいる
一部声優の演技面
イラスト面
今作が発売された年には『スターオーシャン セカンドストーリー』や『ゼノギアス』と言った傑作RPGが続々発売され、多くの人を魅了していったその裏で、このような背伸びをし過ぎて空回りしたクソゲーも多く出回っていたが、その中でも今作の完成度の低さは群を抜いている。
繰り返すが、本作はRPGはおろか、あらゆるゲーム作品の中で見ても突出した長所を見いだせず、それどころかまともな点と言える評価点すらも皆無に等しい。RPGとしてのストーリー性や戦闘バランスはことごとく壊滅、基本的なUIや操作性も劣悪、聞くに堪えないBGMに意味不明なビジュアル…をはじめ、どう贔屓目に見ても商品としての水準に達していないと断ずる出来栄えである。「出来そのものは劣悪でも、他の作品には無い斬新な試みや独自のシステム、制作側がプレーヤーに伝えようとしたテーマ性等、部分的には一定の評価を得ている」クソゲーも多いが、本作にはそういった要素が皆無である。
当Wikiで評価点が皆無に近いとみなされているゲームは他にも存在するが、本作にはそれらと一線を画す特筆点がある。
それは評価をどん底まで落としている理由が、「作品全体に渡るパクリ疑惑」や「超弩級の原作レイプ」等といったプレイヤーの反感を買う背後事情や、ゲームプレイそのものを阻む重篤なバグといった飛び道具に起因せず、純粋な技術力の低さに起因する「作品としての完成度自体の低さ」に作品のクソさが集約されているという点である。
からめ手に頼らず圧倒的なパワーで押し切るいわゆる「ストロングスタイル」と言えるため、そう言った点ではある意味マシ…という見方も一応は出来なくもないかもしれない。
しかし内容のクオリティ以前にゲームとしての知名度自体がかなり低く、クソゲー愛好家にとっては非常に魅力的…否香ばしいとも言う内容に反して、『里見の謎』『黄昏のオード』といった有名なクソRPGの影に隠れがちで、近年動画投稿サイトで再発見されるまでは知る人ぞ知るクソゲーとして君臨し続けていた。ただし、本作は上記の通りネタにできるタイプの振り切ったクソ要素は乏しく、「黄昏のオード」のようにバカゲーとしてある種の愛せるような要素も皆無に近いため、クソゲーハンターですらなかなか二の足を踏むような有り様になっているらしい。
現在の動向
各種イベントでの展示
体験版
ソフトウェアカタログ
今作ではなんと本編発売1ヶ月前にサウンドトラックとドラマCDが発売されている。一見ゲーム自体の評価を鑑みれば、誰得なメディアミックスにも見えるが、ゲーム本編と比べれば断然出来の良いものとなっており、単体でも楽しめる完成度となっている。
サウンドトラック
ドラマCD
+ | 国王ルイスの所業の詳細(折り畳み) |
+ | 体験版。木っ端微塵シーンに注意 |
+ | 製品版。アンシャントロマンのイベント集。サムネが木っ端微塵シーンなので注意 |
*1 味方と敵のちょうど中間が画面中心に来るのを維持しつつ、「初期位置」「初期位置より上から見下ろす位置」「味方を右後ろから映す位置(2種)」「敵を左後ろから映す位置(2種)」のアングルへカメラ位置が一瞬で切り替わっていく。
*2 二重母音と呼ばれる発音方法で、「エ」から「イ」へ滑らかに変化させて「イ」をぼかす。正確に言うなら「エ」も日本語の場合よりも舌を緊張させて発音するのが正しい。
*3 確認できたのは、イタリアのローマにあるホテル「アンシャント ロマンス」、1999年発売のピアノ演奏CD「京 アンシャント・シティ」、1985年生まれの競走馬「アンシャント リニージ」など。同イニシャルの発音が同じ「アンシェント」も含めれば、ダライアス外伝のボスキャラ「アンシェントドーザー」や長野県のホテル「アンシェントホテル浅間軽井沢」も該当する。
*4 日本人には見慣れないイギリスを中央に据えたタイプであり、タイトルに半分隠れて見え辛いがアフリカ大陸や南米大陸が画面中心に見えるほか、画面右にはオーストラリアとニュージーランドが丸ごと映っている。
*5 『MOTHER2』の地底大陸のようなフィールド表示、と言ったら分かりやすいか。しかし、あれは広大なフィールドと巨大な敵シンボルを表現する為の演出手法だが。
*6 作中での性能は、物理攻撃力の高い女性専用武器。
*7 バークのみ、レベル35から36に上がる際の必要経験値が数百程度になってしまっている。それ以降は特に問題ないペースでレベルアップするので、本来全く無関係な経験値量にレベルアップの判定を入れてしまったと思われる。
*8 HP300回復か、戦闘不能者をHP300で復帰。戦闘不能者にも効く全体回復魔法とも言える。
*9 荒廃したルーンマルナの町で体が魔物化した状態でカイたちの前に現れ、「怪物病が昔から存在する」「精神も魔物になったら魔物が支配する次元に消えるらしい」という話をしたのち自身も消えてしまう。「自分はもう手遅れだから、これ以上犠牲者が増えないようにしてほしい」と懇願する思いやりに満ちた性格で、マールに怪物病について尋ねた時もブー=レイを助けられなかった事を悔いる描写がある。…と、マール以上にカイ達の旅の原動力となっている筈なのだが、以降彼の存在は完全スルーである。
*10 一応、「人智を超えた、何か外からの力が働いている」という見解は示す
*11 ちなみにその気付け薬の入手も「医者が特に診療所を離れられない理由もないのに、患者の関係者でもない初対面の主人公らに買いに行かせる」という流れであり、医者に関しても非常識であると言わざるを得ない。
*12 自分は母親に捨てられたと思い込んで憎んでいたそうだが、そもそも魔物に誘拐されたと知っているのならば母親を恨むのは不自然である。「母の差し金で魔物に誘拐された」という解釈なら通じるが、そう解釈していたのなら自分の生い立ちを語る場面でそう話していたはずである。また、ドラマCDでの設定を踏まえると、寧ろ恨むべきなのは父親の方である。
*13 一応ヒロインが「本当はちゃんと避難させたかった」と語るが、悩むまでもなく絶対に避難させるべきである。
*14 ダムの様に川の水を溜め込んでいる状態なので、わざわざ堰を破壊などしなくても呼吸の問題をクリアすれば突破は可能と思われる。
*15 「大量の水が押し寄せてくるから、この木の実を食べろ」で済ませており、「自分達が堰を壊すこと」「そうしなければならない理由」については言及なし。
*16 1000年前理不尽にも吹き飛んだ文明。普通こう言うのは「遺跡」と言うのだが…。
*17 ドラゴンソードが手に入るサナトリ村を訪れた際、屋外の女剣士に話しかけると「この村にはすごい剣がある」という情報が聞けるくらい。
*18 上記のセーラー服やブルマを売る店(というより個人)の名前が「あぶないおやじ」だったり、イベントで訪れる薬屋の店主が昼間から泥酔していて本来有料の薬を無料で押し付けたり。
*19 例えば「精神の塔」なる建物はピラミッドの頂点にもう1つピラミッドが傾いて建てられているという奇抜な構造。崩れないのが不思議なうえにそもそもどうやってそこまで行けるのか想像できない。しかも建物の中は円形の部屋であり、もはや外見と中身すらも一致していない。
*20 ファラはバロア加入前に離脱するため、ラストバトルに駆け付けた時がバロアとの初対面である。しかも、離脱前は主人公にべた惚れだった
*21 演奏に用いる音調、大雑把に言えば「パート全体の音程」というべきもの。
*22 念の為フォローすると、CRAZYBUSの様に完全ランダムで音色が出力されている訳ではなく、一定の方向性を持って作られているのは確かである。関所BGMは全体通して不安感を煽る様な暗い曲調であり、よくツッコまれるピアノ高速連弾はその雰囲気をさらに強調する構成であることは間違いない。異空間BGMの場合も短くループするゆっくりとしたメロディに様々な楽器の音源を散らしており、一応は前衛音楽と受け取れるレベルに収まっている。
*23 主旋律と同じリズムや音の長さかつ異なる音程で構成される、いわゆる「ハモり」のパート。
*24 後に『遥かなる時空の中で』など数々の作品に出演。『デジモンアドベンチャー02』においてはレギュラー役を獲得し、可愛らしい声とイケメン男性声と全く異なる2つの声質を使い分けた巧みな演技を披露している。また、声優業以前から俳優としても活動しており、更にシンガーソングライターとして作詞作曲も手掛けるなど幅広く活躍している。
*25 後に『東京ミュウミュウ』『LORD of VERMILION』などに主演、ユニット活動や多くのイベント、番組ナレーションでも活躍する人気声優に大成した。
*26 『電車でGO!』の鉄ちゃんなど。後に『ゆめりあ』『グリーングリーン』などにも出演。
*27 より正確を期すなら、ドラマCDの方がさらに1ヶ月前に発売されている。