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アンシャントロマン ~Power of Dark Side~

【あんしゃんとろまん ぱわーおぶだーくさいど】

ジャンル ムービーライクRPG
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 日本システム
※開発には風雅システムも一部関与
発売日 1998年4月23日
定価 6,800円(税抜)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
(メモリーカード使用ブロック数:2)
判定 クソゲー
ポイント 全要素が満遍なく論外
PS初期にすら及ばないグラフィック
不親切なUI
戦略不要の戦闘
理不尽にぶっ飛んでいるストーリー
滑舌が悪く棒読みが大半の声優陣
(不)愉快な買い物時のボイス
キーのズレでBGMが台無しに


概要

『アマランス』で名を馳せたPCゲーム界の雄「風雅システム」が開発に一部関わり、前年1月31日発売の『ファイナルファンタジーVII』にインスパイアされ手掛けたとされ*1、超大作になるはずだったRPG。

だがその実態は、商業作品としても疑問符が浮かぶクオリティで、一企業のもとプロが開発したとは信じ難い物であった。
以下の通りほぼあらゆる要素が論外の出来で、評価点と言える点が無いに等しいRPGとして今も名を馳せる、知る人ぞ知る迷作である。

なお、『FF7』絡みの話題は、あくまで発売時期とゲームの作りや細かい要素からプレイヤー側が立てた推測に留まる。


ゲーム内容

プロローグ・ストーリー

+ 説明書2~4ページより引用

その世界には、様々な星があり、
いくつかの星にはそれぞれの人類が文明を築いていた……。
その星のひとつが、突如として大爆発を起こし、消滅する。
爆発の余波を受けた周囲の星々の文明も……崩壊。
それだけでなく、この爆発は更なる闇をも生み出してしまう。

……それは「暗黒の気」
この邪悪な気の力で、それまでは存在しなかった、
もうひとつの異質な世界が誕生してしまったのだ。

そして、この惨事から1000年余が過ぎた。
ようやく、かつての繁栄を取り戻しかけている、星の人々。
しかし、「暗黒の気を背景とした異質な世界」との衝突が始まろうとしていた。
……いや、すでにその兆候は現れていたのだ!


一つの星が爆発する。
爆発はその星系にある惑星とそこに生きるすべてを呑み込む…。
爆発の力はある星を襲う。
星は壊滅。闇を切り刻むかのような幾千もの流星。
その中に、異様な輝きを持つものがあった…。

そして1000年が経った。
ある王国の城の中、赤ん坊を抱えた王妃を、異形の生物が襲う。
赤ん坊はその生物に連れ去られてしまう。

その出来事から17年。
赤ん坊は山奥の鉱山の村でたくましく育っていた。
その名は「カイ」。

奇しくも平穏に思える世界は、しかし、
再び魔の力で漆黒の闇へと変貌しつつあった。
人間が妖獣化していく…。
そんな噂が日を追うごとに現実味を帯びてきていたのだ。

立つのは今…! カイは、ついに旅に出る。
この世に平和を、そして愛を取り戻すために。
美しい海と点在する島々。確かにこの世界にはまだ神が存在する…。
カイは、この世界を覆わんとする闇の元凶を見出せるのか?
そして、愛すべきものを全てを守ることができるのか?

メインキャラクター

(内容は説明書5~8ページからの引用)

  • カイ・オルフェアス
    • 主人公でパッケージに一番大きく描かれている青髪の青年。17歳。赤ん坊の頃に魔物にさらわれ、鉱山の村で奴隷として働かされていた。
      • ストーリー冒頭、奴隷が皆殺しにされると盗み聞いて奴隷たちを決起させ、多くの犠牲を払いつつ数名の仲間と共に自由を手に入れるところから彼の冒険ははじまる。
      • 温厚かつ親切な性格だが、正義感と責任感の強さから頑固な一面も持つ。また年齢相応の未成熟な振る舞いが周囲の困惑を誘う事も。
      • その生い立ちゆえ心の奥底では、容姿はおろか素性も安否も分からない両親に対して憎しみと恋慕思慕が入り混じった感情を抱き続けている。
  • ミシリア・アルマイヤー
    • ヒロインでパッケージ中央左に立つ青いスカートの少女。15歳。大人しそうな雰囲気だが芯の強い性格で、シナリオ上ではサブ主人公といった立ち位置である。
      • カイと同じく奴隷として働かされていたが、共に決起し自由の身となる。鉱山の村で親代わりであった老人ジョナサンから親戚の存在を聞かされ、彼らに会いに行く為に旅をしていたが、次第にカイとともに旅を続けたい気持ちが強くなる。
  • バーク・シュワルツ
    • パッケージ右端の体格の良い男で31歳。顔が怖く不器用だが、明るい性格の人情家でもある。
      • もともとは流浪の木こりで、流れ続けた末に鉱山の村で働かされることになる。「カイだけでこっそり逃げろ」と言われても応じず、逆に危険を承知で「みんな一緒に立ち向かって脱出しよう」と頼むカイの“無垢な心”に惹かれ、「面白そうじゃねえか!」といの一番で乗っかった。
    • 作中の旅においては、「分かりやすい」感情表現でリードしていく人物として存在感を見せる。
  • サリナ・ジェナトス
    • パッケージ中央右のピンク色の髪の女性剣士。20歳。父親の遺志を継いで、単独で魔物と戦い続けている。
      • 子供の頃から高い素質を持っていたため剣士としての教育を受け、女性らしさとは無縁の暮らしをしてきた。育ちゆえに負けん気が強く言葉遣いも荒い性格だが、ときおり女性らしい優しさも覗かせる。
  • ミーナ・エルノロア
    • エルフの隠れ里「エルフランド」の護衛隊長を務める女性剣士。怪物病の調査に励み魔物と戦い続けるカイ達との出会いに戸惑いを見せるが、最終的に古からのエルフの掟に反してカイ達に同行することを選ぶ。
      • 本編で明確な説明はないが、エルフは魔物と人間のハーフというとんでもない設定も同時に載せられている。
  • バロア・カイト
    • 世界を旅するにあたり、航海に必要な船乗りを求め港町を訪れた際に酒場で出会う、国一番の腕を自負する男。29歳。
      • 人を寄せ付けない雰囲気を漂わせ、初対面で「ガラが悪そう」と小声で漏らしたミシリアに、「はっきりモノを言えない奴は早死にする」とハードボイルドな台詞で即座に切り返すなど、くせ者ぶりが目立つ。
    • 王子という立場でありながら「(部下ではなく)自分たちの仲間になってほしい」と依頼するカイを気に入り、パーティーに加わって魔物の出没する海を航行する役目を買って出る。

戦闘システム

  • 味方全員の行動を指定したのち、QP(素早さ)の高い順を目安に敵味方が攻防を繰り返すターン制を採用。このシステムは『ドラゴンクエストシリーズ』を参考にしていると思われる。*2
    • 選択可能なコマンドは、「こうげき」「ぼうぎょ」「まほう」「アイテム」「逃げる」の5種類。魔法やアイテムを用いた回復は、通常攻撃より素早く発動する傾向あり。
      • 「逃げる」はパーティー全体ではなくメンバーごとに選択できる。離脱するまで防御もできず無防備にはなるが、コマンド選択したターン中に確定で離脱する。しかし逃走不可能なボス戦でも選択でき、隙を晒すだけのターンとなる。
    • コマンド選択中の待機画面は『VI』以前のFFシリーズのような、画面の左右に敵味方が並んで陣取るサイドビュー形式をとっているが、このタイミングでL1・R1ボタンを押せばカメラの位置を初期位置含め6種類の切り替え*3が可能だったり、いざ行動開始すると『FF7』のように敵味方の行動に合わせてカメラが動くといった、3D描画を活かした演出がなされる。

問題点

タイトル画面

  • 「アンシャント」という表記への違和感
    • パッケージ画像の通り、「古代の」などの意味を指す英単語「ancient」のことだが、「エンシェント」「エインシャント」などと表記する事が多い。
      + 「アンシャント」に関する補足およびフォロー 誤表記でないとするならば、英語の「ancient」と仏語の「ancien」(一般にアンシャンと表記される)を混同、というかごちゃまぜにした結果かもしれない。あえて採用したのなら、「聞きなれない語感を用いて購入者の興味を引く為」「発売予定欄の上部に持ってくる為」などの理由があげられるか。 なお、外国語の表記ゆれ・発音ゆれ自体はメジャーな単語でも決して珍しいものではなく、この「アンシャント」表記も相当にマイナーな読み方だが、本作の他にも採用した事物はわずかながら存在する*4
    • 本編では古代やロマンといった話はほぼなく、ゲーム内では主題の命名意図が分からない。ドラマCDのナレーションで言及されているが、カイ達の旅を指して「若き冒険者の果てしない物語、“アンシャントロマン”の1ページ」と、曖昧な表現に留まっている。
      • 尤も、オマージュ元と目されるシリーズのタイトルも、「FFと略せるならなんでも良い」と命名されたという話もある。本作のタイトル自体は奇妙なネーミングでもない以上、「タイトルが意味不明」と評するのは酷だろう。
  • 副題の「~Power of Dark Side~」も厳密には「The power of the dark side」とする方が自然である。
    • 「暗黒面の力」も本編で取り上げられないが、説明書のあらすじと合わせて考えれば「魔物の支配する次元」「ラスボス達が探す暗黒の気のカタマリ」等を指しているという推察は容易。ただ、後述するオープニングムービーのテロップを見ると、さらに別の事情があるのではと疑わせる。
  • 実の所、タイトル表記周りはそれなりにフォローが効く範囲だが、突き詰めると擁護が困難なのはタイトル画面の背景の方。
    • 背景には地球をベースとした世界地図(イギリスを中央に据えたタイプ)を使用している。
    • しかし、説明書のあらすじや本作のストーリーで、現実の地球とリンクする話や本作での宇宙に地球が存在するという設定は出て来ないうえ、プロローグやドラマCDの冒頭で「ここより遥かな時空」「いつの時ともどこの場所とも知れぬ遠い世界」と明言している以上、地球の地図を使う必然性がない。
    • 現実と一部だけ異なる地図を使用していることから、本作のために用意した地図に見える。だがその意図が読めず手抜きなチョイスとしか判断できない要素である。
  • このように、プレイヤーが真っ先に目にする部分からツッコミ所が噴出することは、本作の出来栄えを象徴しているとも言えよう。

パーティメンバーについて

本作ではメインキャラが6人、一時加入キャラが2人いる。

  • カイ・オルフェアス
    • 主人公である彼の生い立ちは、隠したいのか隠したくないのか判断に困る。
      • 詳細はストーリーの項に譲るが、ゲーム本編で王子という出自が明確に判明するまでの間、生い立ちを仄めかす描写は全くない。一方、OPテロップや説明書のあらすじ、前日譚たるドラマCDでも王子である事を公開しており、出自の扱い方の意図が掴めない。
    • 主人公ゆえストーリー中では皆を先導するが、性能も性格もパっとせず、リーダーシップを発揮する場面も殆ど無い。
      • 最初の村で決起仲間の老人ジョナサンは「英雄と呼べる人物たちと同様の、不可能を可能にする様な強い『気』を感じる」と評しており、才気ある人物を惹きつけるというキャラ付けもあり得るが、実際の性格と評価の落差が目立つ。
      • 戦闘ではバランス型タイプで攻撃力が低め。かつ、後述の通り専用最強武器の入手イベントを見逃しやすく、主人公なのにレギュラー落ちする可能性も高い。
      • これらの要素からイベント・戦闘共に主人公として先導するスペックがあるとは言いがたく、周りから信頼されているのが不自然に感じられる。
  • ミシリア・アルマイヤー
    • カイに想いを寄せており、過酷な冒険についていくのもカイと共に居たいため。
    • 振る舞いや性格に大きな問題はないが、詳細は後述するものの彼女がらみのイベントフラグとなりうる要素が、ことごとくスルーされがち。
    • 戦闘面では魔法使いポジションだが、後述の通り本作の魔法の仕様が酷いうえ、魔法絡みのステータスもほぼ意味を成していない。そのため魔法使いキャラ特有の打たれ弱さばかりが目立ち、本作の戦闘バランスの逆風を受けている。
  • バーク・シュワルツ
    • 屈強な体格と渋い外見で、見た目通り気さくで豪快だが、唐突に変なボケをかますなどキャラが掴めない人物。一方プレイヤーの不満を代弁したり、序盤ではたまに年長者らしくカイやミシリアを諭したりする場面もある。
    • パワーアタッカーで、ミシリアとは対極に物理攻撃優位の戦闘バランスの恩恵を最も享受しており、少しレベルを上げて装備を整えれば不動のエースとなる。
    • 戦闘では独擅場の頼もしさがあるが、それゆえ後述のキャラに合わない声質と棒読みが目に付く。ウデガナルゼー!アバレルゾー!
  • ミーナ・エルノロア
    • エルフの隠れ里の護衛隊長として入り口でカイたちの前に立ち塞がるが、見て分かるような状況でいきなり襲い掛かり、敵対してない種族であるファラを叩き斬っておいて「あなた達がピクシーの仲間だとは知らなかった」と言う。
    • 負傷させたファラの代わりに加入するが、後述する悪名高いエスカの実のくだり以外に目立った活躍はなく、戦闘面でも魔法戦士寄りの性能も弱いとは断言出来ないが、ミシリアに次いで低いHPをはじめステータス面でもファラとの差がありパっとしない。
    • また後述するが凄まじい棒読み。声優の実績や技量云々を知らない人でもわかる程である。感情が欠落しているという設定もないため、かなりの違和感を醸し出している。アナタガタガ、ピクシーノナカマダトハゾンジマセンデシタ
  • サリナ・ジェナトス
    • 姉御肌で気の強い性格らしいが、魔物に打ち負かされて負け惜しみを吐いたり、唐突にふざけたリアクションをしたり、一人称が「あたし」から「あたい」に変わったり、最もキャラが定まらない。
    • 気に入った武具に自分の姓を入れて名付けるという癖があり、隠し防具のちりとりに「ジェナトスちりとり」と名付けようとするという場面も。
    • 攻防のバランスがよく素早さはトップクラスという優れたキャラ性能で、戦闘ではバークに次いで活躍させやすい。
  • バロア・カイト
    • ストーリーを通しての描写に特筆すべきことはあまりないが、説明書の性格設定とゲーム内の言動との乖離が非常に目立つ。
      • 「ハードボイルドな台詞を吐き他者を寄せ付けない雰囲気を持つ」とあるが、「神の力」を行使する際に「あーらよっと!」と叫ぶ、ラスボスを倒して「世界中の女性からファンレターが届いて休む暇もなくなる」と自賛しだす、カイの婚約発表に「やりやがったなぁ!こんちくしょう!」と囃し立てる、クリティカル時や買い物時の催促関連の台詞(詳細は後述)など、劇中の言動の大半は陽気なお調子者といえる。
    • バークに次いでHPと物理攻撃力が高いため、最終的な編成ではバーク・サリナに続いて3人目の枠に入りやすい。
    • バークやミーナほどではないが、棒読み気味。録音機材の問題か、酒焼けしていると思えば納得も行くが声質自体もよろしくない。
  • ファラ・ミスチル
    • パッケージのロゴの上に描かれているキャラで、いわゆるピクシー。かつてはエルフと共に人間と共存していたが、増長した人間に迫害され姿を消した種族。
    • 本人はその悲劇的な一面を感じさせないほどに天真爛漫で、好奇心からカイたちについて来ては様々なキャラクターと積極的に交流する。そのためストーリーではムードメーカーとして、また戦闘ではステータスも高いエースとしてトップクラスの存在感を持つ。
    • しかし物語中盤にもならないうちに、ミーナに斬られて退場という不憫な扱い。
  • マクロード・エッシャー
    • レイクマウントの町にて出会う騎士団の隊長。真っ当な常識人だが、それゆえ個性も見せ場も無い。
      • 強いて特色を挙げるなら、買い物で何も買わなかった時の台詞。声を裏返して「な↑ぜだぁ~~~~~!?」と嘆く情けないもので、他の台詞と比べて明らかに浮いている。
    • 人物描写に癖はないものの、説明書の表記とは乖離が見られる。説明書ではカイ(達)にとって大きな影響を与えるような記述があるが、見せ場もなく直ぐパーティから外れフェードアウトする。エンディングムービーには登場するが、実質的な立ち位置は脇役である。

非戦闘時のビジュアル

フィールド上ではデフォルメされたポリゴンキャラが、戦闘では等身大のキャラが表示されるが、どちらも質が低い。こちらでは戦闘時以外をメインで記すが根本的な問題が多い。

町やダンジョンの移動画面

  • ゲーム画面は同年発売の『レガイア伝説』の方が近い(出来は雲泥の差だが)。
    • 移動画面はすべて1マップにつき1画面分の見下ろし画面。場所によっては広い範囲が画面のスクロールもなく無理矢理1画面分に収まっているため、キャラクター表示が小さくなり判別が困難となる。*5
      • 街の屋外マップでは建物の個性が薄く、掛かっている看板も判読不能。広範囲を1画面に収めているマップでは特に、どのような施設なのか外見では分からない。しかも店の種類は多い。
    • 上記の画面を見にくくする要素だけでなく、クオリティの低さが窺える場面もある。
      • 「木の幹に空いた穴からエルフの集落に向かう」というイベントは、黒い小さい扉のような半楕円を木のポリゴンの前に浮かべただけのもの。
      • ラスボスの居城の目の前には侵入者を阻む城壁と門があるが、城壁は簡単によじ登れそうな高さ。
      • 一方、屋内の家具や調度品などのオブジェクトは年代相応の出来である。ただ、隠者所有の書庫を「狭いほら穴の奥に本棚を一つ置いただけ」で済ませるなど奇妙な点もある。
    • システム面も絡む問題だが、建物の出入りや通路の移動といった場合の画面切り替えの判定が不安定で、入口に移動させても画面が切り替わらない事がある。こちらが入り口を探してキャラを動かしている間、扉や壁のない虚空へ向かって足踏みをし続ける光景が頻発する。
      • こうなると一度歩みを止めなければマップ移動は不可能で、一度動きを止めてから入口へ歩いて、やっと移動できる。
      • 敵とのエンカウントがあるマップでは、地形や入口で足踏みしている最中にもエンカウントが発生する

ダンジョンの内部構造

  • ダンジョンは、1画面かそれ以下の小さなマップが数層あるだけ。
    • ギミックはおろか、分岐すらほとんどない。宝箱のような探索動機になる配置物も少ない。
      • どこでもセーブできるが、ダンジョンはこのような規模かつフィールドはすぐ移動できるため、恩恵はほぼない。
    • 物語前半で訪れる廃城「旧ハインローグ城」の間取りが、玉座の間の奥の1エリアを除いてラストダンジョン「魔王の城」とほぼ同じ構造。部屋や通路の位置・大きさだけでなく各所にある装飾・家具まで同じで、魔王城の方が色調が暗くしてある以外の差が見当たらない。
      • あえて近似の構造にする説明や意図も窺えない。

マップ上のキャラグラ

  • 3~4頭身にデフォルメされたキャラが表示されるが、非常に低品質。
    • キャラの造りは、ポリゴンも顔のテクスチャも低品質で不細工。テクスチャは『10101』よりもひどい。
    • パッケージなどに描かれたイラストは当時の絵柄として標準的であるが、ゲーム内では似ても似つかない不細工な顔が表示され、ホラーような印象すら受ける。
      • イラストとグラフィックでは配色すら違うものも。酷いものは、イラストどころかフィールド上と戦闘中で配色が全く異なる。
    • 特に、ピクシーのファラの原画と作中の落差は大きい。設定上や初登場ムービーでは主人公の肩に乗れるくらい小さいが、マップでは明らかに大きくなっている。
      • 当時のポリゴン技術ではピクシーの小ささを表現出来なかっただろうが、もっと大きめの種族に設定するといった対応はできただろう。
    • パーティーメンバーに限らず、マップ上のNPCも壊滅的であるため、建物の中にいる普通の大きさのキャラでも「人のような何か」にしか見えない者もいる。
    • マップ上のキャラが様々な状況で見せるモーションは違和感が強い。
      • カイがNPCに話しかけると相槌と右腕を体操のように横へ広げる動作を交互にやったり、パーティメンバーが待機中常に首を左右に揺らしたり両手をバタつかせる、など。
      • 細かな動作が実現できなかったのか、ベッドから降りた際にはベッドの上から瞬間移動したような表現になっている。序盤にて樽を押して床の抜け道を見つけるという場面でも、「その場で足踏みしながら腕を前に出す→腕を下ろしたら樽ごと前方へ瞬間移動する」というモーションを繰り返している。
      • NPCのモーションは、複数人が同じタイミングで両手を横に広げる、パーティメンバーと同じリズムで手足を規則的に動かし続ける、カメラから見て斜め方向へ直線移動する時にガタガタと縦横に細かく方向転換しながら走るなど、不気味なものもある。

ワールドマップ

  • 『FF』や『DQ』とは違い双六のような表示で、行き先を決定ボタンで指定する。『RPGツクール3』をイメージすると分かりやすい。
    • 地図はのっぺりとした海と陸が描かれているだけ。地域ごとに山や湖、樹木等の描写はあるがPSとは思えぬ粗いドットなうえ、町やダンジョンは黄色い円のシンボルのみで、移動するまでどこなのか分からない。
      • フィールドマップ上の主人公はドット絵だが、SFC末期のRPGより粗い。
    • 線を伝ってマップ範囲外を指定すると一瞬で隣接マップに表示が切り替わるという仕様。スクロール、ズーム、視点移動などといった工夫はないUI。
      • 1マップあたり3か所前後の探索地点しか表示されない。作中で訪れる場所は多く、離れた場所に行くには画面を1つずつ切り替える必要がある。ワールドマップ全体を表示して目的の地域を指定する機能はない。
      • 以上のように移動が非常に不便なうえ、位置関係もつかめず世界地図の全体像がほとんど把握できず、ゆえにタイトル画面の地球地図と合っているのかも分からない。

戦闘時のビジュアル・演出

戦闘シーンもグラフィックを始め、演出やテンポなど様々な面で粗さが目立つ。

エンカウント演出

  • 戦闘開始時は、画面が暗転するだけ。
    • 暗転前に画面が一時停止して読み込み時間が発生し、暗転開始と同時に戦闘BGMへ切り替わるまでフリーズしたような挙動となる。停止時間も1秒と経たず動く事もあれば2秒以上画面が固まったままだったり安定しない。
    • エンカウント時にエフェクトを挟む作品でも、戦闘準備に時間がかかりエフェクトがかかりっぱなしになる事はあるが、本作はエフェクトがないぶん画面停止がいっそう悪目立ちしている。

戦闘時のグラフィック全般

  • 戦闘画面ではマップより違い頭身が上がっているが出来栄え自体は五十歩百歩で、先述の通り非戦闘時と戦闘中で配色が違うキャラもいる。キャラ以外に目を向けても評価点は見当たらない。
    • モーションは不自然でカクカク。当時の技術力やハードのスペック等を考慮しても低水準である。
    • ピクシーのファラはマップ画面の時よりサイズアップしており、ほぼ人間の子供ほど(目測でカイの3分の2程度)の身長になる
    • どの武器を装備してもキャラの武器グラフィックが変わらない
      • どのキャラも固有の武器を持った1種類のグラフィックしかない。同じ武器種はグラフィックも統一しているならまだしも、3Dゲームとしてはお粗末。
      • デザイン面でも、カイが持つ剣の刀身が緑色、バークの武器は刃の真ん中に謎のコの字形の突起が付属した斧と、意図不明のオリジナリティを見せている。
    • 攻撃エフェクトも、斬撃らしきエフェクトを0.5秒程度の間に何個も表示する1種のみ。
      • 全てのキャラは一度に一撃ずつ攻撃を繰り出す仕様なので、打撃系のキャラはもちろん斬撃を与えるタイプのキャラでも攻撃とエフェクトが合致しない。
    • 魔法のエフェクトもショボい。
      • エフェクトの見た目はテクスチャがバラバラに動くため、何の表現か掴みにくいものが多い。特に味方に使う補助魔法は後述の不便な仕様もあり、何をしているのか把握できない。
      • 効果音も、見た目とイメージ・タイミングのズレが目立つものが大半。例えば、風魔法ではオルガンの鍵盤を適当に長押しした様なSEが使われる。
    • 敵キャラの造形は種族ごとの特徴を捉えてはいるものの、ポリゴンの粗さが目立つ仕上がりゆえに「紙工作」に見えるものが多数
    • 戦闘背景は数種類であり、「森で戦っているのに平原のようなグラフィックが表示される」「異空間で戦っているのに城のグラフィックになる」等、移動マップとバトルフィールドが乖離する場面が多い。
      • 特にダンジョンの背景は酷く、ブロック塀・石畳など同じようなものしか無い。

ダメージ演出

  • 通常攻撃時に効果音をいちいち読み込むせいか、攻撃の瞬間に0.5秒ほど画面が硬直する。
    • 攻撃ごとに効果音が違うならまだ理解はできるが、敵味方・キャラクターや武器を問わず効果音は「ババババッ!」といった感じの1種類のみである。
    • この停止は通常攻撃SEだけでなく、会心の一撃のセリフorSE、戦闘不能時の飛翔音、魔法ごとに設定されたSEと、戦闘でBGM以外の音声が使われるたびに発生する。
  • 本作の通常攻撃で会心の一撃が発生した場合、発生演出として攻撃前にそれぞれ味方なら専用のセリフが、敵なら「ジャキーン!」といった感じの金属質な効果音が挟まれる。
    • だが肝心の攻撃そのもののヒット演出はSEも含めて通常時と変わらず、後述する伸びないダメージと相まって手痛い一撃を与えた(もらった)という実感は薄い
  • 戦闘不能になったキャラは、敵味方問わず「パヒュゥゥゥーーーーン…」という飛翔音とも爆発音ともつかない効果音とともに、回転しながらダメージ値と一緒に斜め上へ飛んでいく
    • レビュー動画では「味方戦闘不能時の倒れるモーションや、敵撃破時のエフェクトを作る手間・容量を節約するため」と推測されている。
      • 「変な効果音と共に吹っ飛んでいく」という撃破演出は『里見の謎』に通じるものがある。しかし、本作は3D描画で敵味方問わず使われており、そのシュールさは比較にならない。

その他戦闘中の演出

  • 行動選択中の待機画面は『Ⅵ』以前のFFシリーズのように画面左右に敵味方が陣取る構図となるが、ある程度背丈のある敵は初期のカメラアングルだと上半身がステータスウインドウに隠れてしまう
    • 行動選択後は敵味方にターンが来るのに合わせて自動的に視点を変えるのだが、味方と敵の間の地面へズームインするなど、明らかにおかしな視点に切り替わることがある。
  • ステータス異常にかかっても、体色や挙動はおろか文字やアイコン表示など、状態異常の有無が分かる情報がないので通常状態との区別が出来ない。
    • 「睡眠」「石化」などの状態異常で行動不能中のキャラもコマンド選択ができるという非常に不可解な仕様もあり、選択した行動を実行せずスキップしてしまうまで状態異常の有無を確かめる術がない。

イベント時の戦闘演出

  • 上記の通りマップ画面でのモーションは奇妙な代物ゆえ、イベントでの戦闘描写も稚拙である。
    • 最初の村で決起を仕掛けている間はマップ上で魔物と村人が戦う様子を見られるが、双方ともその場で両手をバタバタさせているだけで、命懸けの白兵戦には見えない。
    • 新ハインローグ城における兵士採用試験の一対一の戦闘も、一定距離を離れた箇所からお互い走り寄り、そのままぶつかった際に一瞬画面がホワイトアウトし、負けた方が倒れて勝敗が決まっているというもの。

ムービー

概要でも述べられているように、劇中のムービーのクオリティの低レベルさは群を抜いている。キャラクターの動きは固く表面に妙にテカリのあるソフビ人形めいた質感で、効果音も場面といまいち合致しなかったり音質自体が悪かったり、手放しで褒められる部分がない。

  • 中でもオープニングムービーは、CG自体の質の低さの他、展開も不可解、前後の整合性なく、そのうえホラーゲームのような場違いな演出といった具合。
    • 冒頭、太陽のような星が紫に変色し、そこから放たれた光が地球のような星に降り注ぎ唐突にその星の人類が滅亡、その光により「どこかの村が消し飛ぶ」シーンに、棒立ちのおっさんがそのまま木っ端微塵になるという奇妙な演出が挿入されている。
      + 閲覧注意?
    • 「破壊された物体が多数のポリゴン片になって飛び散る」表現はPS初期の手法で、本作の発売時期では時代遅れである。おっさんの3D造形自体が高品質でなく、間抜けた表情からも「グロテスク」よりは「シュール」ととれる描写なのが救いか。
      • このおっさんはオープニング以外登場しない名もなき一般人ながらも、カイの地味さも相まってゲームの顔とも言える存在として扱われ、巷では 「アンシャントおじさん」「理不尽にも吹き飛んだおっさん」 の愛称で人気を博している。
    • そして唐突な「1000年の時が過ぎ」の文字に続き、間髪を容れずに街と城(旧ハインローグ城)の破壊シーンに移行する
    • この破壊により辺りは荒野のように荒れ果て、城の残骸らしき瓦礫にまみれた荒れ地のシーンが表示されるが、後の展開は大きく矛盾する(後述)。
    • そして地球型の惑星を背景に、耳障りな破砕音が鳴りつつタイトルロゴが表示される。
      • タイトルロゴ自体はゲーム起動時に表示されるのと同じだが、ムービーに織り込んだせいかこちらの方がぼやけていて画質が低い。
      • ロゴ画面の背景では、地球型の星に隕石が複数個衝突している。サラッと描写され何も語られないが、隕石なら全生命絶滅レベルの天変地異で、城の破壊どころでは済まない。地表の爆発等は見られないので隕石ではなく「何かが着陸した」のかもしれないが、本編で触れられるわけでもないので結局分からずじまいである。
    • ロゴ画面は突如ブツ切りになり、またしても唐突に場面が切り替わって今度は城内のシーンだが、先ほどの破壊シーンで崩壊していたはずの城が、原形をとどめ何事もなかったかのような状態となって展開される。
      • 城内での一幕の後に城の崩壊があってムービー中では描写を前後させた…とも考えられるが、このあたりの出来事の説明はゲーム中でもないので、時系列を知る術はない。
    • 城内では王妃が魔物に襲われて赤ん坊を奪われる展開となるが、魔物がドアを突き破る際にドアがゴムのように伸び縮みする。シリアス要素を重視したであろう3DRPGでやられても違和感しかない。
      • 王妃が魔物に突き飛ばされ赤子を奪われても、終始微笑んでいるような表情のまま。一応泣いており頬を伝う涙が少し見えるのだが、表情との不一致は如何ともしがたい。
  • ゲーム本編中でも多くのムービーが流れるが、上記の通り完成度はどれも低い。さらに多くのゲーム内ムービーにはオープニングと異なりキャラクターボイスが付与されているが、後述の通り棒読みの酷さと滑舌の悪さのせいでむしろ雰囲気を壊す要素と化してしまっている。
    • 例をいくつか挙げると、「カイの表情で驚く顔のクオリティが特に低い」「カイを庇ってファラがミーナに斬られる場面が、ただ飛んできただけのファラを一方的に斬ったようにしか見えない」など。
    • ムービーが挿入される頻度は多く、特に重要とも思えないイベントでも挟まれるためテンポが悪い。
    • メニュー画面や戦闘時に表示される顔グラフィックは、このムービーのスクショの切り抜き。

文章・セリフ

  • やたらとひらがなが多く、中途半端に漢字と混ざっているため読みづらい。かと思えば読みづらそうな漢字の表記が据え置きな場面もあり基準が謎すぎる。
    • 前者は「ごりん終(ご臨終)」「出る(出来る)」、後者は「親戚(しんせき)」「廟(びょう)」などが一例。
      • 使用頻度の低い漢字をあえて使わないことで容量を節約するという手法は従来からあったが、容量の厳しい媒体を使用する時代の話で、記録メディア容量の制約が大きく緩和されたPSでは不可解な仕様である。
      • 『FF7』でも簡単な漢字が一部ひらがな表示になっている部分があったが、少なくとも一つの単語内で中途半端に漢字とひらがなに分けるようなことはなかった。
  • ムービー中には「○○父さん!○○父さん!」「△△母さん!」という、説明的な呼びかけがある。名前だけ呼ばれても人物像と関係性が把握しづらいという事情があるとしても、リアリティに欠ける不自然な台詞回しである。そもそも関係性が把握しづらいのは描写不足が原因であり、それを解決する手段としては短絡的である。
    • しかもこのセリフはボイス付き(しかも大体は棒読み)であるため、なまじ「声」というリアリティ要素が付加されることで、かえって強烈な違和感を与えている。
  • 買い物中、特定の物(消費アイテム・装備品・魔法問わず)にカーソルを合わせた際に「これ買ってくれよー」「これ欲しいなぁ」などとパーティーメンバー(誰の声かわかりにくい)が声付きで催促し、何も買わずにキャンセルすると「ケチ!」「テメェー!」などと罵倒される*6
    • その通りに買ったとしても喜ぶセリフが聞ける以外のメリットはない。催促される商品もランダムなので、それ自体にも全く意味はない。
    • その時点の所持金も考慮されておらず、資金的に買えないものを催促され罵られるという仕打ちも受ける。
    • しかも、このボイスはパーティーメンバー全員分(主人公のカイとスポット参加の2名含む)かつ、バリエーションも戦闘ボイスの倍の4つ(催促2つ、お礼と罵倒1つずつ)が用意されている。また、“主人公を含む”全キャラ分用意されている点を踏まえれば、メンバー達はプレイヤーに直接催促した上に罵倒を浴びせているという嬉しくないメタ仕様だと分かる。
    • キャラや買ったものの組み合わせにもよるが、催促・お礼の台詞に関しても違和感が否めない場合がある。例えば、資金面で無駄使いする余裕はゲーム中盤まで殆ど無いとはいえ(後述)、消費アイテムを買っても「大事にするね」と本末転倒気味のお礼を言うミシリア、同じく消費アイテムに対して「(まるで装備を新調するかのように)そろそろ新しくしてえなぁ」とねだるバークが分かりやすい。
      • 買い物時のボイスという概念も、既に『魔法陣グルグル2』というそれなりに知名度のある高評価の先例があるため、本作独自の要素としての機能もない。

アイテム

総じて、ユーザビリティが極端に低い

アイテムの種類や説明

  • メニューのアイテム一覧や装備画面でも消耗品の効果や装備の性能は表示されず、ショップの売買画面でも価格と装備品の装備可能者しかわからない。
    • 何の効果があるのか・どのステータスがどれくらい上昇するのかなどの情報は、シナリオ冒頭で回復アイテムの効果を説明されたり、一部の店員が話しかけた際の反応で商品について説明するケース以外で分からず、自分で買って使うなり装備するなりして、素のステータスとの差分から算出するなどの方法でしか効果を把握できない。
  • 「値段が高いほど性能が良い」という法則は守られてはいるが、用途の分からない品だらけなので、買って実際に使うまで効果を推測することすら難しい。
    • 例えば「ほしがき」「ぎゅうにゅう」がMP回復アイテムで、「おんせんたまご」「オムレツまん」がステータス上昇のアイテムである。この時期のゲームでこの説明不足はいただけない。
    • 装備品の場合、基本的に高価なものを買ったりストーリー中で手に入るものを持たせれば良いのでマシだが、(名前である程度推察が利くとはいえ)通常攻撃でHPが回復する武器をイベントボスがドロップしたり、どんな装備か全くわからない「たけぼうき」*7を渡されたりと、不親切さは目立つ。
  • 戦闘中にアイテムの残り個数を確認する方法がない。もともと何がいくつあって何個使ったかさえもいちいちメモや暗記するしかなく、非常に不便。

作品に馴染まない装備品

  • 「ももひき」「ブルマ」「セーラー服」「スクール水着」など世界観を無視した「かざり」(装飾品)が登場する
    • 近年のファンタジーRPGでも所謂ギャグ・お色気要素として類例自体は見られるが、大抵は「異文化の代物」「熱烈な愛好家がいて裏取引されている」などの説明をつけ、入手方法に特殊な条件があったり、入手個数も限定的など、特別扱いで世界観を壊さないよう配慮されているケースが多い。
    • 本作ではそのような説明は一切なく、序盤辺りから普通の街で普通に落ちていたり普通に売られていたりする。挙句ボス戦でドロップまでするので、ファンタジー世界に現代モノがねじ込まれた違和感しか無い。
    • 「かざり」装備枠は3つあり、スク水やももひきの三枚重ねが普通にできてしまう。さらにその上から防具類を装備できるので、その絵面を想像するとカオスである。

金策と商品価格のバランス

  • パーティーが最大6人と多く1人あたりの装備枠も豊富だが、序盤~中盤は特に装備品の値段が高すぎて所持金が全然足りない。装備枠の多さもあり人数分の装備を買いそろえるのに非常に手間がかかり、収支のバランスなど全く考えてないのではと疑わせる。
    • このゲームでは経験値稼ぎがあまり必要なく(もし必要になっても短時間で済む)、戦闘で得られる金額も基本的に経験値の数倍なので、その部分だけ見ればプレイヤーに優しい仕様といえる。だが逆に言えばレベルアップの労力(戦闘回数)に対して獲得金額が少なくなるので、「何回もレベルアップするのに装備はなかなか揃わない」といったパターンに陥りやすい。
    • 一方で終盤になると、獲得経験値の上昇とともに獲得金額が激増し、高価な商品も苦労せず買えてしまうようになる。

特定キャラの装備品


戦闘バランス

あらゆる面で大きな不備を抱える劣悪な仕様。

瞬殺するかされるかのシステム設計

  • レベルを上げて物理で殴れば勝てる。攻撃魔法はほぼ不要なバランス(後述)な点も含めて戦略性はほとんどない。
    • 基本的にこちらのレベルや装備が一定の水準以上であれば通常攻撃のみで瞬殺できるが、逆にこちらが少しでも水準より低いと一方的に殺される。
      • 歯が立たない敵とぶつかっても戦略を練る必要などなく、少しレベルを上げるだけで通常攻撃のダメージが爆発的に増えてすぐ瞬殺できるようになる。レベルはせいぜい数回も戦闘すれば上がる仕様で、特に序盤の経験値テーブルは非常に緩い。
      • 中ボスと思しき敵も例外ではなく、相手にもよるが多少育てればほんの2~3発の通常攻撃で簡単に勝ててしまう。シナリオ上タイマンで戦う中ボスも多いがそれすら同様。むしろ(単体で出現する)ボスの方が雑魚グループより楽に対処出来ることも多く、バランスは非常に悪い。
      • ラスボスはそれなりに戦える強さであるが、それでも進めていれば10ターンはかからない程度。レベルが少し高ければ2〜3ターン程度で討伐も可能
    • 敵味方共に会心の一撃を繰り出す事があるものの、通常攻撃を大きく上回るダメージを出せない仕様。
      • というのも発動時のダメージは「最大で通常ヒット時の1.5倍の数値」であり、防御力無視といった強力な効果もないので『DQ』シリーズの様な火力の伸びは起こり得ない。
      • おまけに攻め手だけでなく受け手のステータス値でもダメージ倍率が増減するので、会心の一撃が出ても通常ヒット時とほとんどダメージが変わらないという事例も発生する。
    • 他にもレベルアップに必要な経験値テーブルの一部が明らかにおかしかったり*8、レベル99までカンストさせたらカイだけ攻撃力が下がったり、ダメージ計算式が不可解だったりと、基本的なシステムの作り込みの甘さや論理法則の難解さが目立つ。
      • 有志の検証によると、 同じ敵の攻撃でも防御力が低い方が被ダメージが少ない など、謎の現象も起きている。同じ攻撃力でもレベルの上昇に比例して与ダメージが増加するという仕様は判明したが、それ以上の詳細は不明であった。
        その後2022年の解析(引用ツイート)で、新たに「受け手の最大HPの4分の1の値に、“攻撃・防御の比率”と“互いのレベル差から算出した倍率”を掛け合わせる」という物理ダメージ計算式が判明。つまり防御力が低いのにダメージ値が低くなったのは、HP上限の違いでダメージの基準値から変わるためである。

使い勝手が極端すぎる魔法

  • 魔法の多くはかなり独特なネーミングで占められているが、効果も攻撃・回復・状態変化など一通り揃っている。一応「アイスロック」や「アクア」など名称から効果を連想しやすいものも多少あり、入手方法も店で購入する以外にイベント入手もあるなど、ここだけ見ればRPGの魔法としての条件を満たしているのだが…。
    • まず第一にシステム自体が非常に不親切かつ粗雑であり、その時点で魔法を使う気が削がれる。
      • 店で買おうとしても、使おうとしても、アイテムと同様効果も必要MPも表示されない。たまに魔法屋などで、ごく一部について効果の説明をする台詞があるだけで、説明書で紹介されるのも4つのみとなる。
      • 味方・敵とも魔法を使った際に表示されるデータは、ダメージor回復数値のみ。魔法名やどのような魔法かさえ表示されず、何が起こっているのか初見ではほぼ分からない
      • MPの足りない魔法は暗転などではなく名前自体が表示されない。従って、買ったのにどこにも表示されないことが起こりうる。
  • 攻撃魔法は最初のうちは役立つが、通常攻撃の威力が著しく上がりテンポも魔法より速いので、すぐに使い所がなくなる。また乱数のない通常攻撃とは違い非常にダメージにムラがあり、同じ敵に同じ魔法をぶつけても倍近いダメージ差が出ることも。
    • 何より燃費が非常に悪い。色々な属性があるが、それぞれの相性を考えるくらいなら殴った方が早い。
    • 敵の魔法も火力こそあるが味方同様ダメージのムラが大きいうえ、下記の並び順が絡む仕様にあるバグで隊列2番目以降の味方が単体で出現した敵から受ける魔法ダメージが1になる事もある。
      • その一方でパーティー先頭のキャラはダメージ1バグの恩恵がないため、計算通りの威力をもらって一撃死することは時々ある(なお、即死系魔法の類は存在しない)。
    • 一応終盤でも通用する火力の全体攻撃魔法もあるが、そちらはさらに燃費の悪さの方が際立っており、魔術師系のキャラでさえMPの大半を持っていかれるほど。身近な作品で例えるなら、『DQ』シリーズのギガデイン一発でMPを100近く消費するような状況である。
  • 補助魔法は物理で殴った方が早い仕様に隠れて目立たないが、燃費の悪さ以上に効果が強力すぎるものがある。
    • 敵全体に睡眠効果を与える「ノクターン」は雑魚戦で先んじて無力化させられる。消費MPは80と多いが、物理ワンパンで雑魚を倒せないうちは敵の反撃を防ぐ保険として重宝する。
    • また、物理攻撃に強い敵と火力の高い敵が同時に現れた場合、バークを軸に据えた脳筋パーティーで戦った際に集中砲火で戦闘不能者が出る→こちらの火力と頭数が足りず押し切られる…といった結果にもなりうるので、味方全体の防御力を上げる「エヴリボルボ」も強力。
      こちらは物理ダメージを体感9割カットという驚異の軽減率を誇り、先制でこれを唱えるだけでも戦闘の安定性が大きく増す。
    • 極めつけは単体を石化させる効果を待つ「ケルパー」。自然治癒こそするが長時間行動不能に追いこめる魔法で、よりによってラスボスにすら効く。魔法攻撃を主軸にすれば物理ダメージが通らない低レベルプレイであっても、単体のボスは容易に完封できる。
  • 回復魔法は他系統の魔法より燃費は良いが、HP小回復(100)にMP7、中回復(250)にMP18などとやはりMP消費量は多い。ただしホイミ相当の魔法がないのはやや不便とはいえ、回復量とMPのバランスは『ドラゴンクエスト』シリーズのベホイミやベホイムに近く、この辺りまでなら使い出はある。さすがに全体回復&蘇生魔法*9でMP120は重すぎるが。
    • だが上記の蘇生魔法含め、強力な回復魔法もアイテムで代用できるものが多く、終盤は戦闘で稼げる金が激増するのでそれらを買いまくれるという有様。回復・蘇生アイテムより金を使わずにパーティーを回復出来るので、資金稼ぎの際はMP回復アイテムとの併用で重宝するが、装備・アイテムを充実させて以降は有用性がガタ落ちする。
  • 一度何らかの方法で入手したら、MPさえ足りていれば誰でも使用できる(一人一人持つ必要がない)ほか、店で売っているものが直後のイベントで入手できてしまうこともある。そのため魔法使用に対するキャラの個性や魔法ごとの存在感にも欠ける。
  • なお、本作では魔法攻撃力に相当するステータスにIQが存在するが、こちらも2022年の有志の解析によりIQは魔法威力の上昇に貢献していない…どころかIQとMG(魔法防御力)で役割が逆になっていることが判明。IQがトップのミシリアよりもMGが最も高いミーナの方が、魔法アタッカーとして優秀という結果となる。
    また、魔法ダメージ計算時のステータス値を参照するキャラが敵味方の並び順に左右されるという奇怪極まる仕様まであり、攻撃魔法の使用者や標的以外のキャラのステータスで計算が行われる事がある。
    • もっとも、どのみち物理の方が攻撃手段として優秀には違いないため、ミシリアは豊富なMP以外の利点に乏しく、魔法使いらしい打たれ弱さが目立つばかりという悲惨な状態になっている。

以上のように、攻撃・魔法ともにダメージを割り出す計算式が非常に分かりにくく、上記の魔法ダメージ1バグの存在も含めると仕様とバグの判別が困難なシステムなので、人力の検証でそれらを把握するのは不可能と言っても良いだろう。


ストーリー

全編を通して超展開と電波で構成されているような代物

場面、登場人物、背景設定のどこをとってもまともな説明や描写がされておらず、「比較的まとも」な場面の方が貴重なほど。感情移入するどころか、最低限の理解すらままならない
それでいてキャラ達は当たり前のように(程度はあるが)状況把握しており、ツーカーな会話や行動を繰り広げ、プレイヤーは置いてけぼりのままどんどん展開が進んでゆく。
突っ込みどころ云々以前に、真面目に考察する事自体馬鹿馬鹿しくなる次元にまで達しているとされる。

プロローグ

  • ゲームを開始するとムービーが始まり、まず最初にプロローグのテロップが現れるのだが、本作をプレイしてまず目にするこの文章からして既に突っ込み所が非常に多く、ヤバい空気を強烈に漂わせている。
+ プロローグ

ここより遥かな時空
永遠に続くと思われた
ある文明が
理不尽にも吹き飛んだ

幾年月も虚空をさまよった
いわれもなき憎悪が、
十七年前のあの日
ハインローグの地に
襲いかかった。

カイよ、
幼い時より全てを失いし
哀しき王子よ、
平和を、愛を、
そして自分自身を取り戻せ。

少年の冒険が、
今、始まる。

  • プロローグ前半(1000年の時が過ぎる前)の出来事については、ムービー内の字幕での説明がないばかりか、本編でもほとんど言及されない
    • 「永遠に続くと思われたが理不尽にも吹き飛んだ文明」とは一体どんなものだったのか、なぜ、何のせいで滅びたのか、17年前のエピソードおよび本編にどう関わっているのかなど、伏線めいたものは本編では殆ど触れられない。
    • ついでに、プロローグのワードに象徴されるような「愛」「自分探し」などといった展開も本編にはほとんどない。
  • あろうことか、主人公の出自をあっさりネタバレしている。その後の本編ではさも「衝撃の新事実」と言わんばかりの展開を見せるが、そんなことをされてもプレイヤーは白けるしかないだろう。
    • 似たようなプロローグを採用した作品として『DQ5』があるが、あちらは登場人物の身分や関係性をぼかして描くことで、むしろその後の展開への想像や意欲をかき立てるスパイスとして機能している。本作はそういった趣向などは特にない。
  • 挙句、オープニングのテロップで、プレイヤーの名前入力よりも先に「カイ」という名前が登場してしまっている
    • しかも名前入力はこのムービーを含むプロローグが終了した直後、操作画面が表示された途端に何の前振りもなく求められる。
    • キャラの名前入力時にデフォルトネームとして予め入力欄に表記されている事は他のRPGでも見られるが、ムービー内にデフォルト名を出しておいてその後に名前入力…というのは他の名前を付ける場合への配慮を著しく欠いている。
  • このテロップムービーは「宇宙を背景に、手前下から上奥へと流れる歴史語り」であり、某SF超大作映画シリーズのOPを彷彿とさせる。
    • 本編の内容に宇宙開発などの同シリーズらしさやSF要素は特にないが、説明書に記載のある「本編の舞台以外のいくつかの星にも文明が存在した」という異星文明要素、サブタイトルが「Power of Dark Side」と同シリーズの本筋ド直球であることを踏まえると、同シリーズからのインスピレーションが本作の開発コンセプトの一つだった可能性は否定できない。

ストーリー全体の構成

  • 序盤のあらすじは「カイたちが奴隷の身から決起し自由を手に入れ、かつてハインローグ城の召使いだった老人ジョナサンの遺言でミシリアゆかりの町の長老に会いに行く途中、荒廃した街で「怪物になる病気」の存在を知り、道中カイの出自が判明しつつ病気を根絶する手段を探す旅に出る」というものだが…
    • それ以降は病気に関する具体的な解決手段の1つも見つからずたらい回しにされ、そのうちにいつの間にか「試練」やら「神々の力を探す」のやらが主体となり、その過程で唐突に病気の元凶だというラスボスの名前と居場所を教えられ倒しに行くことになる。大筋として脈絡の乏しい超展開かつスカスカのストーリーである。
    • 各エピソードを見ても、目的を果たすために向かった地で空振りに終わり、次の目的地に向かうとダンジョンへ行くように言われ、また空振りに終わり、その次の…の繰り返し。収穫が無い分「お使い」にすらなっていない場面が非常に多い。
    • 一応世界中の隅々まで巡り、異世界らしき場所に訪れるなど冒険の規模そのものは壮大なはずなのだが、下記する問題点の数々のせいでスケールそのものは非常に閉塞的で、「ご近所物語」感が拭えない。
  • 序盤から行く先々で旅の目的がコロコロ変わり、何を目的にして動いているのかをプレイヤー側がひたすらに理解しにくい。
    • ただこの点はシナリオ最初の目的が、自分達を処刑しようとする魔物を決死の覚悟で退け生き延びる事だった以上、以降のカイたちの旅の目的が「ヒロインの母親の故郷を探すため」「怪物になる病を治すため」などハッキリ定まらないのは仕方がない面もある。
      だが、王子と判明した直後に旅を続けると大臣たちに宣言した際に「もともと特に目的のない旅だったけど、魔導師のマールに頼まれてるので怪物病を治す旅に出たい」と語るのはあまりに無神経。
    • 「もともと目的のない旅」と身も蓋も無い言い方はもちろん、自分たちからマールに怪物病の治療法を聞きに行ったのに、なぜか「マールに怪物病の根絶を頼まれた」という事にされている。勿論マールはそのような発言や素振りはしていない。そもそもカイ達に怪物病の存在を認知させマールに病気の研究成果を聞くよう依頼したのはブー=レイという人物であり、彼の存在に全く触れないのは不可解極まりない。
      • ブー=レイはカイ達が荒廃したルーンマルナの町で出会った体が魔物化した人間で、「怪物病が昔から存在する」「精神も魔物になったら魔物が支配する次元に消えるらしい」という話をしたのち自身も姿を消してしまう。「自分はもう手遅れだから、これ以上犠牲者が増えないようにしてほしい」と懇願する思いやりのある性格で、マールに怪物病について尋ねた時もブー=レイを助けられなかった事を悔いる描写がある。
        …と、マール以上にカイ達の旅の原動力となっている筈なのだが、マールと出会って以降彼の存在はメインストーリーから完全に省かれてしまう。*10
  • 中盤以降も行き先や旅の目的を定める話の流れに対してのツッコミ所は絶える事がない。その最たる例が後述する「神の力」を求め始めるまでの一連の展開だが、そこ以外でも各所に唐突な箇所が存在する。
    • 魔物が占拠する街を解放してから旧ハインローグ城へ行くまでの流れが「マクロードが大臣からもらった手紙に旧城の鍵が入っており、マクロードは『ついでに城を見てこい』という意図だと判断して旧城へ向かうよう提案してくる」というもの。
      手紙を送っておきながら具体的な指示を明記しない大臣の対応には疑問しかないし、結果だけ見ればついでで訪れた先でサリナの父親と再会&討伐という話になる。「街を占拠していた魔物の巣になってるかもしれないから見てこい」くらい手紙に書けなかったのだろうか。
    • 「神の力」をすべて集めて聖者に報告しつつラスボスを倒しに行くと宣言すると、唐突に「カイの父は魔物に操られてるかもしれないから、死者の魂と対面できる冥界で父に会えるか確認した方がよい」と進言され、冥界(実際には「冥界の門」と表現した方が正確)へ向かう事となる。
      大臣の手紙の件は状況から描写を補完すれば意図を汲むことは出来たが、こちらはこのタイミングで安否確認を提案する理由も含めて、ゲーム内の話だけでは本当に意味が分からない。確かに父親の姿はこの時点で影も形もないが、姿をくらましている理由の説明がないならば何らかの形で生きているとも考えられるはずである。にも拘わらず「父の魂と会えなかった=父は操られている」と聖者が断定するのはあまりにも突飛に映る。
    • 冥界で様々な人物の魂と再会した直後の旅の方針が、「行ける場所には(全部)行ってラスボスの本拠地を探す」「まだ行った事のない島を訪れてみる」という場当たり的すぎるもの。
      上記の例は曲がりなりにも行き先を決めて向かうという展開だったのだが、ここに来てまさかのぶん投げ。冥界の門を出て船に乗る際にバロアから、サブイベント発生地点を含めた行き先候補を説明されるので完全なノーヒントではないが、後述するイベントで「時間がない」と言いながら、今回は特に焦る様子も見せないのは違和感がある。
      ラスボス討伐につながる有力な情報を得る流れも「刺客として現れたミーナの同胞カーナを倒し、死の直前に洗脳が解けたカーナから話を聞く」というものなので、パーティーを無為に動かさず冥界でのイベントをこなした直後のタイミングでカーナに襲わせた方が、話のテンポは途切れなかったのではないか。

シナリオ要所要所のツッコミ所

  • 当初奴隷の状態から始まるカイの出自が「判明」するのは、新ハインローグ城で落としたペンダントを大臣が拾う事がきっかけなのだが、まずペンダントを昔から大切に持っているなどという設定や描写自体が、それまでに一切登場しない
    ドラマCDでは、赤子のカイの首にペンダントを添えていると明言されており設定自体は存在していた様だが、説明書表紙やディスク表面イラストでのカイの首元を含めゲーム本編や付属品の描写だけでは、出自判明より前にペンダントをすでに持っていたと確認出来る箇所が皆無なので非常にまぎらわしい。
    • カイの出自が「判明」する際の流れも、彼が王家ゆかりのペンダントを持っていたことを知った大臣が、本人から聞き出した「赤ん坊の自分が怪物にさらわれる夢」の詳細を決定的証拠として王子と認める、というお粗末なもの。ペンダントもそうだが、ましてや「見た夢の内容」という幾らでも捏造できる話を疑いもなく聞き入れ一国の王子である証明とするのはあまりにも無責任である。
      • フォローしておくと、夢の話などを証拠として扱う展開そのものは少なくない。しかし大抵は「外部の人間が知り得ない、偶然やウソなら言えるはずのない専門用語や固有名詞が混ざっていた」「当人と酷似している身体的特徴などがあり、夢の話を聞いたゆかりのある人物が感づいた」など他の絶対的な証拠を前提とした上での展開である。
      • かたやカイが語った内容は非常にありきたりかつ曖昧な表現ばかりで、物的証拠として扱われたペンダントもやろうと思えば窃盗や偽造などで捏造できうる以上信頼性は薄い。カイ自身も「現実か空想か分からない」と前置きしたうえで促されるままに話し、簡単に王子と判断する大臣に驚いているのだが、普通ならこの程度の根拠で王子だと独断で認知するのは強引すぎる。
  • 旧ハインローグ城を訪れた際、17年前に死亡したカイの母親の遺体を発見するのだが、モブと思われるキャラグラを流用したせいで、17年間も放置されていたのに白骨化どころか腐敗している様子すら無いという絵面になっている。
    それ以前に、OPムービーでは赤子を奪われても殺されたような描写は特になく、ドラマCDでも「出産を境に病気にかかり、夫子同時にさらわれたショックで病状が悪化し死去した」と語られており、そもそも現場で死亡し放置されている状況が非常に不可解に映る。
    • その際のカイの独白は要約すると「今まで母親を憎んできた自分が情けない」というもの。だが、カイ自身に両親についての記憶がないのは当然として、説明書のキャラ紹介以外に「両親を憎んでいた」という描写が全く見られないため、唐突すぎる上にただの電波な言動にしかプレーヤーには映らない*11
      挙げ句の果てには息子である自分が率先して弔うべきところで、「後で大臣に頼んで弔って貰うから」などとのたまう始末。母親への情があるのかないのかさっぱりである。
  • 「海に魔物が出ているので船が出せない」状況でバロアを仲間にして航海出来るようになるのだが、普通に上記のマップで次の目的地に移動出来るようになるだけという肩透かし。この一連のイベントに於いて船上での一幕や強制戦闘の類は一切なく、ワールドマップはすごろく仕様なので屋外エンカウントも皆無。海の魔物はどこへ消えたのだろうか…。
    • 船上あるいは船の全景を用いた背景やマップCGがないなら容量節約のためとも考えられるが、「神の力」集めの中で船の全景が映ったCGで会話イベントが挟まれている場面があるので、やろうと思えばバロア加入直後にも海上のイベントを入れる余地はあったはずである。
  • ストーリー後半では仲間が物理法則を無視した提案を行い、それにパーティー全員何ら疑問も持たず実行するという悪名高いイベントが存在する。
    + イベント詳細(長いので格納) 終盤、「神の力」の試練があるダンジョンにたどり着くために、その手前にある川の水をせき止めている堰を破壊しなければならず、それによって下流にある廃墟が洪水に晒されてしまう事を知る。その廃墟にはラスボスの側近によって何人もの人間が幽閉されており、カイたちは事前に彼らを避難させようとする。
    しかし自力で動けない老人もいて迅速な避難が不可能だと分かり、バロアにあまり時間が無いと急かされ行き詰るカイだが、その時ミーナが「口に含めば水の中でも呼吸が出来る『エスカの実』を人質に食べさせれば、堰を壊しても大丈夫」という衝撃的な提案をするのである。
    • 唐突に出てくる木の実のご都合主義感は言うまでもないが、呼吸の問題以前の話として、洪水に呑まれれば圧倒的な水圧や漂流物への激突による二次災害で普通に死に至る。お調子者キャラの冗談であっても白眼視されるレベルの提案なのだが、カイ達はこれに助け舟の如くすがり、人質に相談することもなく実行する。
    • そしてその提案以降、パーティ全員の思考が「人質を洪水に巻き込む」前提なのがこれまた常軌を逸している。ミシリアは「本当はちゃんと避難させたかった」と語るが、普通に考えればパーティ総出で人質の避難を率先するべきであるし、そもそもカイ達が木の実を食べて堰を通過すれば*12誰も巻き込むこと無くスムーズに通過できるはずである。
      • 「木の実1つで10~20人分になる」というこれまたご都合主義感溢れる台詞があるので、設定上は数十人規模の人質がいるのかもしれない…が、グラフィック上はたったの5人しかおらず「木の実に頼らざるを得ない状況」が全く伝わってこない。
      • バロアがカイに時間が無いと急かす理由は「こうしている間にも魔物の被害は増える一方」「神の力を早く集めなければならない」というものだが、その理屈だと尚の事目の前の魔物の被害者たる人質救助に尽力すべきだし、後者に至っては主人公たちの勝手な目的で、人命との天秤にかける事自体がおこがましく映る。
        そもそも、その実を取りにわざわざ距離が離れたエスカの木に向かう時間・労力的余裕があるなら人質の避難だって十分可能な筈である。
    • 最終的に人質への説明もおざなりに*13木の実を与えて放置し、カイたちは堰を破壊してダンジョンを開放する。廃墟は人質ごと洪水に呑まれた…のだが、破壊された様子どころか変化自体が全くない。人質の台詞からエスカの実のお陰で助かったようだが、とても洪水に晒されたとは思えない健在ぶりである。
      しかも洪水を起こしたのがカイ達だとは知らされていない人質達は、「あんた達のおかげで助かった、ありがとう」と自分らを洪水に巻き込んで危険に晒した張本人達に礼を言うという、ある種胸糞ですらある結末を見せる。
      …ここまで来ると真面目に考察する事自体馬鹿馬鹿しくなり、熟考せず早く次に進めたくなる事請け合いである。
      • 作中では呼吸の問題ばかり気にしていたので、おそらく製作陣は「密室内の水位が増して空気がなくなっていく」という状況を想定していたと思われるが、実際は遥か上流から一気に押し寄せる鉄砲水レベルの洪水であり、この無茶苦茶な構成では災害への一般常識レベルの知識も、シナリオ展開に対する必要最低限の発想力も持ち合わせていなかったのではと疑われても仕方がない。
        集落を飲み込む洪水の破壊力がどれほど恐ろしいものかを分かっていれば、このようなトチ狂った流れには出来ない筈である。展開そのものも「人質の避難を試みて満足に動けない所を、敵の幹部たちが人質ごと一網打尽にするべく急襲する」など、それほど複雑に考えずとも幾らでも活かしようがあった筈。
      • ほかの作品でもダークヒーロー的キャラや冷徹な性格傾向のキャラが人命軽視の提案や作戦をとることはあるが、当然それらは非情な作戦として見なされ、実行される場合も「他の最善策が封じられやむを得ない状況であり、断腸の想いで」展開されることが大半である。
        一方、本作の場合はあたかも「被害を最小限に抑えた上で目的も果たせる最善策」と言わんばかりの扱いな為、狂気的なご都合展開にしか見えない。
    • なお、堰を破壊するムービーにもツッコミ所が存在する。バロアが神の力を使ってせき止められた川の水から水龍を召喚して堰を破壊するのだが、彼がいるのがよりにもよって堰の真下。言うまでもなく洪水に真っ先に呑まれるポジションなのだが、当然の様に無傷である。
      • 水を操って水流から身を守ったという解釈も出来るが、その場合神の力を攻撃以外の用途にも使えるはずなので、「堰を破壊などせずその神の力で堰の水を移動させるなり、水の上を移動するなりすれば良いのでは?」とツッコみたくなる。
  • 他にも、カイが「関所の壁をよじ登って越える」という軽率な提案をしれっと出したりもする。
    • 本作の関所は他国との国境にて関税・検閲する要所というよりは「魔物の被害から人里を守る砦」に近く、国際問題になるといった懸念はあまりない。だが関所の奥に用があるとはいえ、対魔物の防衛線である重要施設にいきなり不法侵入しようとするのは、王子という立場も合わせて考えれば手段が飛躍しすぎである。
    • 他作品でもこのような提案がなされるケースはあるが、それはあくまで『万策尽きた状況での最後の手段』としてである。一方こちらはバークが入り口を開けようとして「裏側から鍵がかけられてて開かない」と言った直後に、カイが「城壁を登ろう」とまさかの即決
      • パーティーで方策を考えたりもせず本当に軽いノリでこんな提案をしており、バークからは「本気か?」と半ば呆れられる始末である。
    • こちらはその矢先に「隊長」というケンタウロス風のボスが唐突に出現し、倒してみると例の如く何者なのかすらよく分からないまま、「関所の先にある堰を壊さなければダンジョンに行けない。さぁ堰を壊すがいい」と意味深な言葉を残し死亡。カイの「嫌な感じがする」という理由で上記の村に向かう事になる為、未遂に終わっている。

ツーカーで飛び出したり置き去りにされる設定群

  • 上記のカイのペンダントも含まれるが、今まで一文字たりとも出てこなかったばかりか、それを匂わせる描写すら無かった新設定が当然の様に登場し、他キャラもそれが今まで十分取り沙汰されていたかのよう振舞うという、プレイヤーの存在を全く考えていない後付けのような展開も全編通して当たり前のように出てくる。
    • 一例を挙げると、旧ハインローグ城で戦うサリナの父親であるブロアがハインローグの兵士長だった事、魔物に操られて国を裏切った事や、サリナが新ハインローグ城に住んでいた事が、ハインローグ大臣との会話で唐突に語られるのだが、プレイヤーはこれらの情報を、全て大臣とのこの後日談の会話の中で初めて知らされるのである
      • しかもブロアの役職のくだりは大臣ではなく、少し前までハインローグとの縁などなかったバークが唐突に「サリナの父親は兵士長だったんだろ?」と、あたかも以前から知っていたかのようにさらっと言い放つ。
      • なお、作中でのブロアの出番は、旧ハインローグ城の玉座の間でパーティを待ち構えており主人公達に襲い掛かるが敗北、直後のムービーで唐突にサリナが彼を父さんと呼びかけ、ブロアが「我が娘よ…」と応えてそのまま絶命…以上。そもそもそれ以前にサリナの父親について語られる描写すら無いので、初見では感慨を抱くどころか、そもそも何が起きたのかを理解することすら難しい電波ムービーである。
        初見プレイヤーにとっては、「倒したボスがいきなり操られていた人間だったと判明したかと思えば、サリナがいきなりその人物を父さんと呼び、肝心の父親はその場であっさりと息絶える」という唐突な内容のムービーを見せられる事となる。
    • ミーナと縁があるであろうカーナというエルフが敵として現れる展開もあるが、これまたサリナとブロアのやり取り並みの唐突な展開。しかもこちらは同族だという事以外に、具体的にどういう関係だったのかさえよく分からないまま終わる。
  • 一方で、意味深に出てきていながら特に深く触れることなく置き去りにされる設定も目立つ。
    • 「神の力」によって得られる強力な武器の成り立ちやその「神々」について、禁呪が隠されているバーシスの廃墟*14など、シナリオ的に意味深な舞台や設定が多く出てくるが、これらの真相を掘り下げる展開等は一切用意されていない。大体が該当イベントでぽっと出てそれで終了。他イベントで繋がりが窺えるような描写も殆ど無い。
    • シナリオ上訪れる場所は非常に多いが、町や村はイベントが希薄すぎて、ダンジョンは先述のような有様な為、非常に印象に残りづらい。

不愉快な有識者

  • ストーリーの流れで、魔術師や学者、隠者といった立場の人物を尋ねることになる。だがその一部が不愉快な言動をとり、カイ達との和解の描写も乏しくカタルシスを欠いている。
    • マール:野盗に襲われた際の怪我によりサナトリの村の診療所で寝込んでいて、いちいち癪に触る態度で応対する。また怪物病について「人智を超えた、何か外からの力が働いている」という見解も挟みつつ「治せる訳がない」と言い、「ハインローグ城に入る際は聖者に自分の名前を出せば無碍にされない」と助言してくれるのだが、城門で門番に彼の名を出しても「そんな奴は知らん」と門前払いされてしまう。
      実際には城内に居る聖者しか彼のことを知らなかった(しかも聖者の反応からあまり深い関係ではないと思われる)。先ず城に入らねばならないのにこれでは全く意味がない。
      • また、初対面時にミシリアを足手まとい呼ばわりする。当初は不当な言いがかりor彼女が大成するフラグと思うかもしれないが、上述するステータスの貧弱さなどから本当に足手まといにしかならず、下記するシナリオ上での扱いの微妙さもあって、見事に的中してしまっている。
    • ただし病気について研究した上で「自分の手に負えない」と正直に話してくれたり、餞別にいくつか魔法をくれたり、終盤ではサナトリ村にある神殿の結界を破るアイテムを渡してくれるので、少なくともレイヨンよりは筋を通してはおり、口が悪いだけで何だかんだ面倒見は良いのかもしれない。傷は深くないが「歳のせい」と本人が漏らすように、終盤でも寝込んだままなのが心配になるが…。
    • レイヨン:ハインローグ城に「魔物の病が広まっている」と報告した人物で、カイたちが詳細を聞くために彼の家を訪れる。だが完全に喧嘩を売っているとしか思えない高圧的態度で人の神経を繰り返し逆撫でする上、病については調査する気すら無いとまさかの職務放棄。
      挙句「エルフなら何か知っているかもしれない。見た目は人間だが怪物のようなものだからな」と平然と差別発言までしでかす始末であり、単にプレイヤーに不快な思いをさせた挙句たらい回しにする要員にしかなっていない。
      • レイヨンに関して補足しておくと、終盤近くのとある街で助けた少年がこの男の親戚の子供であり、迂余曲折を経て身寄りのなくなった少年をレイヨンに預けることになる。この時に相変わらず口は悪いものの感謝の意を示し、カイたちに助けてくれたお礼としてアイテムをくれる。
        この対応だけ見れば「他人には傲岸不遜だが身内にだけは心を開く」としてまだ理解できないこともないのだが、「実はいい人」といった一面は少年の証言(言いかけた途中でレイヨンに止められるため、詳細は不明)によるものだけなので、やはり唐突感が否めない。

杜撰な扱いのパーティーメンバー

  • ヒロインである筈のミシリアは上述の通り足手まとい宣告されてしまうのだが、ストーリーでもこれといった戦闘能力も無いのに強情張って主人公たちに無理やり同行しており、彼女を親戚の家に預けようとする展開まであるなど、(少なくともカイからは)ほとんど戦力と見られていないという有様。
    • 「過酷な冒険に一般人同然の彼女を巻き込めない」というカイの判断は決して間違ってないし、彼も彼女のことを蔑ろにしてはいないので流れとしての問題はないのだが、その後彼女が急成長を遂げるなどの挽回は特に無く、マールの忠告を覆すような展開は用意されないままエンディングを迎えてしまう。
      • 一応シナリオの途中で彼女も「神の力」を手に入れ、何度かそれを使うイベントがある。だがそれは他のキャラクターも同様であり、彼女自身へのフォローとしての役割はあまり果たせていない。
    • また、物語序盤では母の故郷探しを旅の目的とし、途中まで主人公への好意や葛藤などヒロイン定番の展開も見せるが、上記の通りいつの間にかそれらの掘り下げ要素も無くなってしまう。
      • 序盤の旅の目的である町の長老を訪ねた際にミシリアの母(故人)が港町の若者と結婚していたという話を聞き、ファラ加入ムービーでもカイは「ミシリアの母親の故郷を探している」と明言している。それにも拘わらずこの会話以降、港町を訪れようが誰もこの話題に触れず、終盤の冥界の門で両親の魂と再会はしても故郷探しはEDまで一切しないという投げっぱなし。
      • 恋愛描写に関しても先細りで、カイにくっつくファラに嫉妬をしているそぶりを見せたりカイの出自が判明した際にちょっとした葛藤もはさまれるが、ミシリアの側から恋愛面でのアプローチがあるわけでもなく、ストーリー中でミシリアが告白などして両思いになったりもせず、エンディングムービーで唐突にカイの側から求婚してくる。
      • ミシリアは劇中でたびたび「カイを信じてる」と支える気満々の発言をしているものの、それが恋愛感情込みの姿勢だとカイが認識するとは限らない。カイのミシリアへの反応を見てもエンディングの求婚に直接つながるような描写が見当たらないため、2人が結婚するという結果そのものが唐突に見える。
        身も蓋もない言い方をすれば「主人公とヒロインは最後にくっつく」という、大抵の人がそう予想するだろう「お約束の展開」だからと描写を削ったようにも見えてしまう。
  • 序盤で仲間になるピクシーのファラは、ステータスの高さや(作中メンバーの中では)そこそこな声優の演技、人間から迫害されていたという種族としての過去、天真爛漫な性格などで一際存在感を醸し出すが、前述の通りミーナに叩き斬られたことを境に離脱してからは再加入などはせず、ストーリーでもラスボス戦まで忘れ去られるという投げっぱなしな扱い。
    • 代理で加入するミーナが実力的にもキャラ的にも今一つであることも、喪失感を助長している。

「神の力」の扱い

  • ゲームが後半に差し掛かるとカイたちは前述の「神の力」を集めようとする…のだが、特にそれを求めなければならない程切迫した状況だという描写もほとんど無い(後述)ので、「神の力」を求める必然性が乏しい。見ようによっては「神の力に振り回されている」ようにも見える。
    • そもそも「神の力」を求めるきっかけは、新ハインローグ城の聖者から「これからの旅の事を考えて強力な装備を持つべき」と王国に代々伝わる武具が封印された島の事を教えられるが、島にある門の中に入ると謎の声に「神の力」が必要だと言われ追い返される…という流れである。
    • 少なくとも上記の描写を見る限り、この時点のカイたちにとって「神の力」は病気根絶の手掛かりやラスボス打倒のキーアイテムといった位置付けではなく、ただ「冒険を有利に進められる強い武具を手に入れる為の鍵」程度の存在でしかない。
      本来なら怪物病の解決そっちのけで執着するような代物ではないはずだが、カイ達はいつの間にかそれを集める事を第一に行動しはじめ、手段が旅の目的に置き換わり更にトンチンカンな状況に陥るのである。
      • にもかかわらず、「神の力」と封印された武具を集めてから聖者と会話すると、「(全ての神の力を手に入れられて)それはようございましたな」と、まるで初めから「神の力」を手に入れるよう助言していたかのように振る舞う。当初の目的かつ実際に戦闘で役立つ武具の扱いがなんとも哀れである。
    • そんなカイ達に「神の力」の所在を問われ、逆に「神の力を手に入れてどうするのか」と問い返し、答えられない一行に「過ぎたる力は害になるだけ」と諭す隠者の台詞が、このテのポジションとしては珍しいぐうの音も出ない正論となっている
      だがそれに対してサリナとバロアは「これだから頭の硬い奴は…」と一方的に呆れて反論すらせずにその場を立ち去った上、ミシリアの「強い心があれば力には振り回されない」「万一カイが力に呑まれたら自分が命をかけても止める」という根拠も無く論点もズレまくりな説得をされた挙句、彼らをあっさりと認めてしまうのだが…。なお、カイたちは結局最後まで隠者の質問に真正面から答えていない。
      • 寧ろ頭が弱い硬いのは、「神の力」がどういうものかはおろか、何故それを使おうとしているのかというビジョンすら無いままひたすら固執し続けるカイ達の方である。そもそも「王家に伝わる強力な武具を得るため」というのが動機だが、何故それを話そうとしないのか。
      • 仮にカイたちと隠者との間で熱い論争でも繰り広げられていたら、それはそれで悪くない展開になっただろうが、残念ながら隠者は彼らの全く通じていない論にあっさり屈している。…フリをして、会話が成立しないと見て諦めただけかも知れないが。
    • 隠者の次に会う、「神の力を手に入れてどうするつもりだ?」と尋ねる人物に対して、カイの返答は「今のこの世界をどうにかしたいんだ」。旅の主目的に対しての動機として答えるには、極めて漠然とした内容である。
      • そもそも作中の描写の限りでは、世界がどうにかしなければならないほどの危機的状況に陥っているという実感が薄い。序盤で訪れる関所がすでに魔物に攻め落とされた後だったり、サナトリの村では郊外(村のマップ内)でエンカウントしたり、複数の町が魔物に占拠されたりなど、人間の勢力圏に魔物が食い込んでる場面はそれなりにある。
        だが描写のチープさの方が目立って没入しがたく、危機的状況を表現しやすいはずの怪物病もこの頃には話題にも上がらないので、なおのこと危機的描写の薄さが際立つ。
    • そして、「神の力」をもらえる神殿のひとつでラスボスの説明がされるので、ここでようやく「神の力」がラスボスにも何らかの形で絡むのかと思えば、上記の通り掘り下げるイベントもなければラスボス一味が「神の力」に言及する事もない。
      武具が封印された島を敵幹部が訪れるも門が開きすらしなかった…というイベントや、特定の神の力を手にする際に別の神の力を行使するという展開もあるにはあるが、大層な名前のわりにごく一部のイベントと武器入手のフラグという機能しかない、完全に見掛け倒しな設定である。
      • 序盤でマールが「人知を超えた存在により怪物病は発生している」と話しているのでそこを起点として掘り下げるなり、操られていたサリナの父ブロアにラスボスの手がかりを喋らせるなど、まずはラスボスの存在へ迫ってから「神の力」を求めるストーリー展開にしておけば、このような雑な扱いにはならなかったはずである。ドラマCDではブロアとラスボスの間にある、決して浅からぬ関係が描かれているので猶更である。
  • なお、聖者からの元々の助言の通り「神の力」を得たキャラには、かつて追い返された洞窟にて夫々それにまつわる最強の専用武器が与えられるのだが、何故かカイの分だけもらえない。主人公のみ強い専用武器が与えられる作品こそ数多くあるが、逆に主人公のみ専用武器が存在しないゲームというのも珍しい。
    • 後に明らかになった情報によると、期間限定で入手できる「ドラゴンソード」を持っていれば、それが強化武器になるとのこと。ドラゴンクエストシリーズにも最初は弱いが後に最強クラスの武器となる例はあるが、それと違い本作は その武器の入手方法が完全任意で存在を示唆する要素が少なすぎる*15のが大きな問題。
      • 実質的にカイの隠し武器に等しい剣が、仲間がシナリオ中でちょっと寄り道すれば必ず貰える武器と同列である点もチグハグさを際立たせており、普通にプレイしているとカイだけ専用武器がないも同然の扱いになる。
    • ちなみに旧ハインローグ城のイベントでカイ専用の鎧も手に入るが、その性能は市販品未満。最強の専用鎧は別に手に入るとはいえとことん主人公(笑)である。

「怪物になる病気」の雑な扱い

  • 最序盤に実際に罹患し肉体が変異した人物を登場させたり、ハインローグ城下町で発症・人のまま凶暴化して住民に襲い掛かるという場面が挟まるなど、怪物病に対し旅の目的としては十分な存在感を持たせることは出来ていた。
    • だが有識者やエルフに助言を求めても手掛かりすらつかめないだけならまだしも、中盤に差し掛かり「神の力」を求める辺りになると病気の事など最初からなかったかのように話が進むのは異様。その「神の力」集めの途中で唐突に「ラスボスが起こした」と説明され、そのままラスボス討伐に纏められてしまう
    • ではシナリオの最終目的にまとめられたから話題に上がる頻度が増えるのかと思えば、それ以降は殆ど出てこないまま話が進み、最後まで説明されることなく放り投げられる。エンディングになってもその後の病気の顛末すらも語られない。

唐突に出たラスボス

  • 本作のラスボスである「ギゼフィル」であるが、その存在が明かされるまでの流れもポッと出に近い。存在を匂わせる描写や情報も、最初の奴隷村での敵幹部よりも上の「魔王様」の存在が分かる会話や、「怪物病は人知を超えた存在によるもの」というマールの大雑把な見解くらいしかなく、唐突にその存在と名前が明かされる為それっぽさが全くと言っていいほどない。
    • 他のRPGでも直接対決する前にようやく存在が明かされるラスボスはちらほら居るのだが、大抵はストーリーの中で暗躍が見え隠れしていたり町の住民の会話や作中の雰囲気から存在が見えてきたりラスボス本人が自身の打倒を防ぐため手下を矢面に立たせ身を隠している…等、伏線で存在が匂わされるのに対し、本作の場合その節もほぼ見当たらない。
    • カイたちとの会話を見る限り最終目的はシンプルに「世界征服」と思われるのだが、そのための行動がどんな結果を求めてのものなのか不明瞭。暗黒の気のカタマリ(原文ママ)を採掘させたり、封印の島に派遣したり、古代魔法を探索させるなど、配下の幹部に様々な任務を与えている描写はある。
      だがそれらの指示の目的等がよく分からないまま話が進んだりカイ達に妨害され、敵幹部たちもラストダンジョン手前で撃破されてしまうため、何をさせたかったのかがイマイチ理解できず、プレイヤーからすればキャラ描写の薄さが目立ってラスボスである必然性も感じ取れない。
      加えて上述の通り数ターンで倒せるし石化も効く有様なので、戦闘面でもラスボスとしての威厳を欠く。
      • プロローグで語られた「永遠に続くと思われた文明」を理不尽にも吹き飛ばした張本人なのか、あるいは「十七年前にハインローグを襲ったいわれもなき憎悪」と関係がある存在なのか、なども本編を最後までプレイしても不明のまま。
    • ギゼフィルのいる城は城壁で守られており、門を開けるには 城壁の外にある 開閉装置が置かれた2つの塔を目指さなければならないという謎の仕組みになっている。
      • 一応塔には幹部が番人として居るが、侵入を防ぐための門を開ける装置を城壁より外に設置する意味はない。他作品のように結界を張っている、というものであればまだ理解はできるのだが。
    • また、ラストバトル前哨戦時に主人公達と信念をぶつけ合うと言う本来なら熱いであろうシーンも、主人公側全員の発言が殆ど論点がズレており、会話が成立しているようでしていない。
      • 具体的な流れを言うと、ギゼフィルの主張は「人間が自分を倒したら、人間たちの好き勝手に出来る世界を作り平和と称する」「現に人間はエルフやピクシーを迫害したうえに、迫害した事実を抹消している」「自分を倒しても世界にとっては何も変わらない、全生物の王が自分か人間かの違いだけ」と言うもの。
        それに対し仲間の発言は要約すると「お前に俺たちの何が分かる?」「カイはギゼフィルのようなセコい真似はしない」「カイはみんなに迷惑かけたくない」「(ギゼフィルは)王の資質を何も理解していない」「(ギゼフィルには)人を信じる心がない」と言った感じである。
      • まずギゼフィルは「お前らが勝っても人間が支配者になるだけだろう」と人類全体の話をしているのに、主人公側はカイが王に相応しいか否かと言う話にいつの間にか論点をすり替えて、カイとギゼフィルを比較してギゼフィルを非難している。
        ただこの点はいくらか譲歩して考えれば、「ギゼフィルが支配する魔物の世界か、(未来の国王である)カイが統治する人間の世界か」という比較に持っていき、「人間が支配するのは確かだが、その人間の王がカイだからこそ過去の人間の支配やギゼフィルが支配する世界よりも良いものになる」と切り返している…という解釈は十分に可能である。
      • ただしこの場面での一番の問題は、その主張をぶつける肝心の各キャラ達1人1人の台詞自体が、前後で互いの話の流れが繋がっていない点にある。挙句ギゼフィルも1人ずつ相手の言い分に反論することはせず、最後に話したミシリアの言い分にしか答えない。
      • なお、肝心のカイはギゼフィルの発言に動揺するばかりで、主人公としての威勢や風格を見せることは無く、仲間の発言の後に「行くぞ!」と言うのみと、最後まで主体性に欠けるのであった。

滑りきったバカ要素

  • バカ要素とも取れるようなそうでもないような、よく解らない奇抜な演出が多数盛り込まれている。
    • 先述したような、『摩訶摩訶』を彷彿させるトンデモアイテムや買い物時のキャラボイスもその一環だと思われる。
    • イベントでも、プレイヤーキャラが唐突にふざけだしておちゃらけたやり取りを始める展開が多数。
      • 例えば、ボスを倒して得た剣を姉御肌のサリナが手にした際、剣が急に輝いたのに対し「きゃ。♡」と驚いてみたりするなど。男勝りだが女性らしい一面もあるという描写のつもりなのだろうが、わざわざこのタイミングに捻じ込む必要性があったのか疑問である。
    • 店員の名前や挙動が色々おかしい*16など明らかにネタとして混ぜ込んだだろう要素もある一方、神殿などの建物が奇抜な外見*17、塔の聖者達が上半身裸(大聖者に至ってはパンツ一丁)で戦ったり…と、ネタのつもりだったのか奇をてらったマジのつもりだったのか判断に困る要素も多い。
    • これらのバカ演出は作品に溶け込めておらず、ネタにせよマジにせよ悉くスベっているとしか言いようがないため、残念ながら本作を「バカゲー」として評価する声はほぼない。

脱力もののエンディング

+ 大まかな構成・内容。多少ネタバレ。

構成は、あまり長くないエピローグ的なムービー→スタッフロール→短いムービー。

  • 内容はカイが王に、ミシリアが王妃になって他のメンバーが祝福するものと、スタッフロール後には他のメンバー同士がカップリングを組んでその後の日々を過ごしている…と思われるものの2つ。特にスタッフロール後の方は音声や字幕による説明も一切なく夫々淡々と流れるのみという寂しいもの。
    • 「世界が平和になって皆が歓喜している」といった、ギゼフィルを倒した結果もたらされる影響の最低限の描写も「ハインローグ城のテラスで、広場に集まった兵士や民から祝福される」くらいしかなく、世界を救ったという実感を与える描写が乏しい。怪物病に至っては前述のとおりほぼ触れられないので、「魔物になりかけた人が元に戻る」なんて描写もない。
    • その後のスタッフロールは真っ暗な背景に文字が表示されるシンプルなもので、BGMはエルフの隠れ里「エルフランド」の曲の使い回し。曲自体、エンディングに合っていない上に質も低い。
    • 最後のムービーに至っては、スタッフロールの中で表示させれば済むような極小ボリュームで、明らかな水増し感が否めない。確かにスタッフロール後にエピローグを映す演出は他作品でも見受けられるが、本作の場合は酷いムービーと淡々とした演出により、とても余韻に浸る事などできない。
      • さらに、その中のカップリングを組んだうちの一組であるバロアとファラのペアは本編中で全く接点が無い。ペアになるような描写どころか、まともな会話すらしていないのにカップリングされている*18
  • スタッフロールにおけるキャストの紹介順も不自然で、1ページ目に上から「カイ、ミシリア、ファラ、サリナ」が紹介され、2ページ目に上から「ミーナ、バロア、マクロード、バーク」が紹介される。そして、ミーナとバロアとの間にはなぜか1行空白が入っている。
    • 最初に紹介された4人の中にスポット参戦のファラがいるのは、余談で触れるオーディションの結果だからと分かるが、最初期からいるバークが末尾にいる理由は不明。
      謎の空行から先のバロア〜バークの3人に共通点は見受けられず、全体を見てもメインキャラとサブキャラを分けたり、キャラ・担当声優ごとに五十音順で並べているわけでもない。

…と、このように全編満遍なく創作の基礎レベルの問題まみれで、シナリオとしての最低限の体裁すらまともに保てていない。ここまで支離滅裂なシナリオは、シナリオ面でクソゲー判定を受けている作品ですらそうそうお目にかかれない。

  • 全体的に「作中の設定・描写などの管理そのものがされていない故の食い違い」が多い傾向にある。通常、長編RPGのシナリオを制作する際は世界観や設定、人物相関図などを設定資料として個別に作成し、シナリオを書き進めるのと平行してシナリオの流れなどが一目で確認できるフローチャートを記録し、少なくともシナリオ担当全員&監督、場合によっては作曲や各処理担当も交えて幾度も進行会議を繰り返しながら築き上げていくものである。
  • しかし、本作では「少し前の出来事を忘れたかの如く支離滅裂なキャラの発言・行動の数々」「唐突に出てきてそれ以降扱われない設定群」「全体的な統一感の無さ」など、それらの擦り合わせを碌に行わずその場の勢い・思いつき・記憶力だけで一筆書きの如く書き殴りでもしない限り起こり得ない現象の数々が、当たり前のように頻発している。ダンジョン解放の流れといい、まともな環境でシナリオ制作が行われたとは思えない
  • ちなみに、シナリオライターの名前はスタッフロールに載っていない。シナリオ専属のライターが居らず、他のスタッフ達が合間合間で作り上げたのだろうか?だとしても少しはおかしいと思いそうなものだが…。
    • なお、説明書にはなぜかプロローグとストーリーに分けた上で本作のあらすじが掲載されているが、プロローグムービーでの1000年前の惨事についてのより詳細な情報や、ギゼフィルの正体を考察する上で必要な記述が盛り込まれている。ゲーム内では唐突過ぎるOPムービーやぽっと出感が半端じゃないギゼフィルだが、このようにシナリオの理解に必須な要素をゲーム外の付属品にぶん投げている点も、シナリオの体裁が崩れている一因といえるだろうか。

音響面

よく「音楽だけはまとも」「(特定の)曲だけは良い」など「クソゲー最後の砦」として機能する事の多い音楽であるが、本作はご丁寧にBGMのクオリティも崩壊している。比較的まともに聴ける曲もないわけではないが、それすらも音質の悪さが足を引っ張っているので、評価点に特筆すべき事項では断じてない。
また、音楽以外に目を向けても効果音や声の演技にまで突っ込み所が多く、総合して本作の“音”に関連する要素は半ば壊滅状態と言ってもよい。

音楽

  • この惨状の原因は大きく分けて「譜面自体のクオリティの低さや奇抜さ」「キー*19の設定ミスと思われる事象」「音源の低音質さ」の3つにある。
    • 下記の通り悪い意味でバリエーション豊かなラインナップを誇り、音質自体の悪さも相まって無音でプレイした方がマシという状況も少なくない。
  1. デタラメに音を並べただけとすら思わせる、譜面が前衛的で奇抜すぎるBGM(例:序盤の攻め落とされた関所、ギゼフィルが待ち受ける異空間など)
  2. 主旋律自体はおかしくないが、対旋律(主旋律とのハモり)や和音(伴奏)など他のパートの音程が全く噛み合わず不協和音となり、傾聴すればするほど違和感に苛まれる曲(例:サナトリの村、ワールドマップ)
  3. 上記2つの様な譜面の問題点こそないが、音質が悪くやかましいなど音源の問題で聞き苦しい曲(例:通常戦闘曲2種類)
  • 楽曲としてのクオリティが低すぎるにものついては擁護のしようがないが、「音程がずれている曲」については、有志の検証により 「1曲の中で、各パートごとの譜面自体はまともだが、パートごとにキーがバラバラになっていると思われる曲」が複数存在する 事、つまり一部の曲において「曲自体は適切に作られながら、ゲームに落とし込む際に何らかの手違いがあり表現が崩壊した」可能性が指摘されている。(参考)
    • 実際、先述したサナトリの村の曲などはサウンドトラックでは各パートのキーが統一された状態で収録されており、音源の質が向上していることも相まってゲーム版よりだいぶまともに聴けるようになっている。
      譜面が奇抜すぎる曲の場合も、純粋にクオリティが上がったといえるものや、ゲーム版では明らかに聞こえないパートが主旋律として聞こえる(=実質的にゲーム版では主旋律抜きで流れていた)ものがある。
      • ただし、エンディングのスタッフロールでは作曲者のほかに編曲者として1名別のスタッフが担当していたり、説明書末尾のスタッフ一覧には作曲・編曲の2人だけでなくロシア語圏の出身と思われる3人目のスタッフの名が記載されているなど、本作の楽曲制作体制には不明瞭な点が少なくない。
  • なお、イベントムービー中では音質こそやや悪いものの、サントラ版準拠のBGMが使用されており、音程崩壊の類もなくここで聞く分には十分安定したクオリティではある。ただしムービー依存である以上いつでも、そして曲の最後まで聞ける訳ではなく、低クオリティの声や効果音も同時に流れるので曲に集中出来ない方が多いなど、純粋な評価点として挙げるのは難しい仕上がりである。

選曲

  • BGMの品質に加え、選曲についても問題がある。
    • スタッフロールBGMが上記の通りエルフの里の使い回しであるなど、シンプルに選曲自体に疑問を禁じ得ないミスチョイスも多い。
      • ボス戦用のBGMはあるのだが基本的に物語後半からでないと使用されず、前半のボスで使われるのは余程の重要局面(例:旧ハインローグ城での剣士戦)くらいである。だが、この戦闘BGMは通常戦闘のそれを聴いていた方がマシと言えるレベルのカオス譜面なので、使用場面が今以上に増えていたらプレイヤーの負担は相当なものだっただろう。
      • スタッフロール専用のBGM自体は制作済みで、サウンドトラックで未使用曲として収録されている。曲自体もかなり高いクオリティで、何故こちらを使用しなかったのか疑問である。
    • ダンジョンやマップごとに設定されたBGMは、イベントシーン中や物語の進行によって一切変更されない。
      • 魔物に占領されている町が解放されて正常に機能するようになっても不気味なBGMが変わらなかったり、とある兵士の遺族に遺品を渡すシリアスなシーンでリズミカルな街のBGMが流れ続けたりと散々。
    • 一方で、同じダンジョンでもスタート地点の港、道中の道、ダンジョンの正面入り口などでBGMが変わるといった、同じマップ内の画面が切り替わるエリアごとに異なるBGMが設定されている場面もあるにはある。
  • ちなみにサリナ関連のムービーで流れるBGMのイントロが、とあるゲームのラスボスBGMに酷似しているとネタにされることも。

効果音

  • 戦闘時の効果音は、攻撃ヒット時、撃破され吹っ飛ぶ時、魔法発動時など様々なタイミングで使われるものの、どれも音質が悪い上BGMよりも音量が大きく騒がしい。これに加えて前述した読み込み時間も挟まる劣悪な仕様である。
  • オープニングをはじめとするムービーの効果音も低品質。
    • 特に巨大な堰が崩壊する場面では、室内で木材を崩した様なくぐもった音に続いて陶器類を割ったような音が鳴る。とても巨大な石造りの建造物が崩壊したとは思えず失笑モノ。
      • なおムービー用の効果音を別に用意できなかった為か、ミーナがファラを辻斬りした時のSEは戦闘中の攻撃時のそれと同じ*20である。
  • 逆に戦闘やムービー以外のマップ画面やメニュー画面では、どんな古いRPGでも多少は効果音があるだろうという状況すらほぼ使われない。
    • カーソル操作が無音なのは当然のこと、扉をこじ開けた時、杖を地面に刺した時、メニュー画面でHPを回復した時なども例外ではない
    • あまつさえ「ぴと(バークが杖に触れた音)」「ぼこ(バークが杖を殴った音)」(原文ママ)と、カッコによる補足付きの雑なオノマトペで済ませている場面すらあり、ただひたすらに見苦しい。

ボイス

  • 声優の演技も全体的に拙く、お世辞にも上手いとは言えない。
    • 一部のパーティーメンバーを除いて殆どが無名、または新人声優で棒読み。そのため、本作はクソゲーのお約束の一つである「声優陣は豪華」すら当てはまらない。
    • よく槍玉に挙がるのが最初から行動を共にするバークで、『声の質は悪く明らかにキャラと合っていない・滑舌が悪い・棒読み』と3拍子揃っている。クリティカル時の台詞の一つ「腕が鳴るぜ!」は「屁が鳴るぜ」と間違えられる事もしばしば。
      • ムービー内で喋る時は声質とキャラとのミスマッチ加減が光り、その口調は腕っ節が強くノリも軽めの兄貴分というよりは、マイペースな裸の大将の様な印象を抱かせる。
    • そのバークすら凌駕する存在としてミーナが控えており、劇中での棒読みのひどさは演技力を問う以前の凄まじさを誇る。機械音声かと疑うほど全く感情を感じられず、あえてそういう演技指導があったのではと思える程。
      • 念のため補足するが、ミーナが何らかの理由で感情を喪失したとか、エルフは元来感情が無い種族であるという設定は作中には無い。実際に他のエルフ達は感情を持っており、ミーナ本人も感情の起伏が少ないながら要所要所でボケやツッコミをかましているのが、何よりの証左である。

その他

  • ディスク切り替え時の仕様
    • この出来でありながらディスク2枚組なのだが、PS本体の電源を落とさずにディスクを切り替えることができない。
      • 要するに、ディスク変更の指示が出た際は一旦セーブしてからリセットして電源を入れ直し、ディスク2を入れ直さなければならないのである。
      • さほど面倒ではないが、配慮不足であることは否めない。
  • セーブデータ関連
    • 目的地以外の場所で発生するサブイベントや、アイテムや魔法が手に入る会話イベントなど寄り道要素はなくもないが、闘技場やカジノといった定番かつ規模の大きいやりこみ要素はない割になぜか2ブロックも消費する。やり込み要素が充実したFF7ですら1ブロックで済むのにも拘らず、である。
    • それだけでなく、セーブデータはメモリカード1枚につき1つしか保存できない。期間限定のサブイベントもあるのに、間違って上書きしたらやり直しが利かないあまりにも不便な仕様となっている。
  • オプション未実装
    • 音響面の項目でも触れたとおり、本作は音のクオリティだけでなく音量バランスにも難があるが、プレイヤー側にそれらを調整する手段は全くない。

評価点

一応ゲームとしては成立している

  • 調整不足や処理落ちを思わせる要素こそ多々あれど、フリーズバグなどのクリアまでのゲーム進行を妨げるような致命的なバグはない。
    • ある意味当然のこと…というか評価するうえでの大前提でしかないのに、本作ではあたかも評価点のように見えてしまう。
      • だがその実、魔法ダメージ計算でIQとMGを取り違えたり、敵の出現数により味方の魔法被ダメージが1になったり、所持アイテムの種類を特定の数にすると末尾のアイテムが無限に使えるようになるなど、プレイヤーからは分かりにくいだけで想定外の結果を出す設定ミスやバグの類は決して少なくないと言った方が正しい。
    • ただ、なまじ目立つバグが少ないせいでバグゲーとしての地位を確立できず、結果的に長い間注目されず動画等のネタに頻用され日の目を見ることがなかったのが本作にとって良かったのか、とも考えてしまうが。
  • ソースコード盗用などの不法行為や倫理違反が無かったことも、評価点といえるのかもしれない。

戦闘面

  • 攻撃が必ず当たる
    • RPGにはありがちなミスの概念が無く、魔法だろうが物理だろうが必中する。
      • その弊害で敵からの攻撃も必中となるが、ちゃんとレベルを上げておけば大きな問題ではない。
  • 経験値が控えメンバーにも満額で入る
    • 本作では神とのタイマンやミーナとカーナの一騎討ちなど、1人でボスと戦う場面が少なくない。戦闘パーティを変えずにプレイを進めていても、レベルの心配をしなくて良いのは嬉しい仕様である。
      • 逆に勝利時に戦闘不能だったメンバーには、経験値が全く入らないので注意。とはいえ、頻繁にメンバーが倒されるのなら戦う場所を変えてレベル上げすれば良いので、育成に支障が出る事はないだろう。

探索時のアシスト要素

  • 街やダンジョンの棚や木箱といったオブジェクトに不可視のアイテムが仕込まれており、該当箇所を調べれば入手できるというRPGでもお馴染みのアイテム探索要素がある。
    本作の場合、上記のアイテム探索を含めた「オブジェクトを調べる」という行為の際、決定ボタンを押す必要がない。移動して接触すれば調べた扱いとなり、勝手にアイテムを見つけたり仕掛けを調べたりしてくれる。地味な仕様ながら、なにかありげな場所をくまなく調べる際の煩雑さが軽減されるのはありがたい。

一部声優の演技面

  • 棒読みまみれの中に埋もれがちだが、後述するオーディションで決定した声優陣の演技は決して悪くない。
    • 中でもカイ役の高橋直純氏*21や、サリナ役の中島沙樹氏*22は後に大成するだけあり、新人時代と考えれば悪くはない。またミシリア役の中山真奈美氏(現:中山さら)*23は発売当時で本作唯一と言ってもいいプロ声優なので言わずもがな。
      • ちなみに、中島沙樹氏の声優デビュー作はTVアニメ『快傑蒸気探偵団』とされているが、このアニメの放送より半年早く本作が発売されている。年齢と声優養成所に在籍していた期間を考慮するとプロデビュー前の収録作品ということになりそうだが、商業作品への参加という意味では本作(より正確には1ケ月前のドラマCD)が最初の作品と言えるだろう。

イラスト面

  • グラフィックの項目でも述べたが、パッケージのイラストは時代を考えると至って標準的である。
    • キャライラストを手掛けた楓牙氏は、当時「大田恵伸」名義で風雅システムに在籍していた人物であり、Windows版初代アマランスのキャラデザも担当している。
      衣装デザインという点では1998年の発売時点ではやや古臭さを感じるものではある*24が、それなりに味はでている。
    • 現在でも成人向け漫画家として現役活動中だけあって、女性キャラもイラストであればなかなか可愛らしいので、無理に3Dに拘らずドット絵やイラスト等を活用していれば評価はまた違ったのではと悔やまれる。
      だが後述するオーディションの文面や、紹介記事に登場人物を載せる際に3Dモデルを多用していた点を踏まえると、当初は3Dグラフィックのみで完成させようとしており、イラストは後付けで描かれたものという可能性も否定できない。

総評

今作が発売された年には『スターオーシャン セカンドストーリー』や『ゼノギアス』と言った傑作RPGが続々発売され、多くの人を魅了していったその裏で、このような背伸びをし過ぎて空回りしたクソゲーも多く出回っていたが、その中でも今作の完成度の低さは群を抜いている。

繰り返すが、本作はRPGはおろか、あらゆるゲーム作品の中で見ても突出した長所を見いだせず、それどころか些末な加点はあれどまともな点と言える評価点すらも皆無に等しい。RPGとしてのストーリー性や戦闘バランスはことごとく 理不尽に吹き飛んでおり 、基本的なUIや操作性も劣悪、聞くに堪えないBGMに意味不明なビジュアル…をはじめ、どう贔屓目に見ても商品としての水準に達していないと断ずる出来栄えである。
「出来そのものは劣悪でも、他の作品には無い斬新な試みや独自のシステム、制作側がプレーヤーに伝えようとしたテーマ性等、部分的には一定の評価を得ている」作品も多いが、本作にはそういった要素も皆無である。

当Wikiで評価点が皆無に近いとみなされているゲームは他にも存在するが、本作にはそれらと一線を画す特筆点がある。
それは評価をどん底まで落としている理由が、「作品全体に渡るパクリ疑惑」や「超弩級の原作レイプ」等といったプレイヤーの反感を買う背後事情や、ゲームプレイそのものを阻む重篤なバグといった飛び道具に起因せず、純粋な「作品としての完成度自体の低さ」に作品のクソさが集約されているという点である。
からめ手に頼らず圧倒的なパワーで押し切るいわゆる「ストロングスタイル」と言えるため、その点ではある意味マシ…という見方も一応は出来なくもないかもしれない。

しかし内容のクオリティ以前にゲームとしての知名度自体がかなり低く、クソゲー愛好家にとっては非常に魅力的…否香ばしいとも言う内容に反して、『里見の謎』『黄昏のオード』といった有名なクソRPGの影に隠れがちで、近年動画投稿サイトで再発見されるまでは知る人ぞ知るクソゲーとして君臨し続けていた。
ただし、本作は上記の通りネタにできるタイプの振り切ったクソ要素は乏しく、「黄昏のオード」のようにバカゲーとしてある種の愛せるような要素も皆無に近いため、クソゲーハンターですらなかなか二の足を踏むような有り様になっているらしい。


余談

発売前後の動向

声優グランプリなどとの協力体制

  • 本作の開発にあたり、声優情報誌「声優グランプリ」は出演声優オーディションの開催を始め、本作の紹介記事や合格声優の発表・グラビア掲載など様々な支援や広告を実施していた。
    • オーディションは雑誌単独の募集かつ、一次審査は記事掲載から97年5月末までの3週間と短い期間の募集だったが、カイ・ミシリア・ファラの3枠に対して990通もの応募が届いたとの事。
      19人にまで絞り込んでからの最終審査で出演声優が決定したが、特筆すべきはファラ役で合格した森本まり子氏が当時高校2年生だった事と、演技を気に入った日本システムのプロデューサーが中島沙樹氏を特別賞としてサリナ役に決定した事だろう。
    • しかしながら、合格発表直後ならともかく発売ひと月前の本作紹介記事においても、合格した4人以外の声優名がまったく載らなかったのは、声優情報誌での掲載という点から見れば異様に映る。
      ドラマCD収録現場の取材記事では、4人以外の参加声優を普通に紹介しているのでなおのこと差が目立つ。
  • また、本作は公式サイトが作られており、大手広告代理店が運営する広告サイト「インターギンザG7」の中で情報発信していた。(アーカイブは下記)
    • 広告サイトでの公式サイト紹介文や上記オーディションの一次審査の文面を見る限り、本作は「日本システムによる自社開発RPG」という立ち位置だったことが窺える。

各種イベントでの展示

体験版

  • 当時のイベント「プレイステーションクラブフェスティバル97〜98」では体験版も配布された。最序盤の決起イベント終了までが収録されており、敵との戦闘も出来るがシステムや演出では製品版との違いも多い。
    • まず戦闘開始時にはパーティーメンバーの2Dイラストとボイスのカットインが存在していた。テンポの悪さは否めないが、質の良いイラストという数少ない長所をなぜ製品化の際に潰したのか。
      • なお、製品版でボイスが使われていたクリティカル演出では、喋らない代わりに上記のイラストカットインとクリティカル発動SE(敵側と同じもの)が差し込まれる。
    • また、戦闘コマンドには製品版にはなかった「へんしん」の文字が見られる。不採用の理由が戦闘バランスの問題か変身グラフィックが用意出来なかったためかは不明だが、もし実装されていたら神の力の作中の扱いもマシだった事だろう。
      • ほかにも通常攻撃のエフェクトと効果音が斬撃と打撃の2種類用意されている、撃破時の吹き飛びが(カメラから見て)斜め上ではなくカメラに突っ込む様な迫力ある演出になっているなど、明らかに体験版仕様の演出の方がクオリティが高い。
    • 一方でパーティーの3Dグラフィックはマップ移動時と同じ4頭身デフォルメキャラであり、攻撃動作も敵味方問わず高速で突っ込んで斬りかかりそのまま世界一周して戻ってくるというかなりシュールなもの。単体でのクオリティは低いとはいえ、製品版の戦闘グラフィックが(体験版と比べれば)しっかり改善された物だったことが分かる。

発売前後の評判

  • ファミ通の誌面で開催されていた、遊んでみたいゲームソフトを投票で選ぶ「全日本ソフトウェア選手権」にて、発売前ゆえの期待値の高さもあってか1位を獲得しており、最序盤の奴隷村決起までのストーリー紹介記事も組まれている。(引用ツイート1)
    • なお、投票候補として紹介された時は97年11月27日、紹介記事の掲載時は98年2月末発売予定と表記されており、最低でも2回発売が延期されている。後述する開発元絡みの証言も含め、本作の制作が難航していたことが窺える。
  • 一方で、発売後のクロスレビュー点数は21点と芳しくない。本記事で挙がっている問題点は大体列挙されており、4点と最低点を下したライターからは「ギクシャクした操作感&戦闘、RPGの基本部分がイマイチ、テンポも悪い」と的確に酷評されている。(引用ツイート2)
    • ただし、ムービーに関しては「大健闘してる」「わりと力が入っている」などそれなりに評価されていた様子。上記の辛口ライターも「キレイなCG&せっかくのフルポリゴンも際立たず」と、3DCGを指して明確な低評価は下してはいない。
    • また、採点したライターの1人から「一見して『FFⅦ』と比較されやすい作り」と書かれるなど、やはり発売当時からゲームデザインで『FFⅦ』との既視感を抱くプレイヤーはいた様である。

発売から20年以降の動向

知名度上昇とプレミア化

  • こんな出来だが2021年現在、かなりのプレミアが付いている。前年に動画配信サイトへプレイ配信&レビュー動画が投稿されたことをきっかけに再評価(?)され始め、日の目を見るようになった。特にAmazonのマーケットプレイスや中古通販ショップでは、それまでは1円+送料がザラであったのだが、今ではなんと万単位で取引されているほどである。このゲームにそんな金額を出すくらいなら他の作品に回した方がよっぽど有意義であるが。
    しかし、このようなプレミア価格がついたせいで、クソゲーハンターですら二の足を踏まざるを得ない要因が増えてしまった。
    • 再評価からしばらくして専用のツールでゲーム内のBGMのファイル指定を是正する動画もちらほら登場し、指定を正すとサントラ版のBGMになる事からゲームに落とし込む際の手違いやミス説をより強める事になった。一部の楽曲は曲データそのものがバグっている為是正しようのない状態になっているとの事。

ゲームの完成度に関する考察

  • 上記の体験版戦闘システムとの落差、下記のサントラ版楽曲のクオリティの高さ、サントラの曲名や説明書のキャラ説明に名前が残る未実装の町、本編とドラマCDとの設定の差異などを根拠とし、「容量不足のためゲームを構成する個々の要素を無理に削ろうとした結果、本作の低評価に余計に拍車がかかってしまった」との説も。
    (恐らく)フルスペックで出ている後述のサントラ・ドラマCDのクオリティで登場していたなら、印象としてはまだ評価点の多いRPGだったのではと悔やまれる。

本作の開発元について

  • 発売元は日本システムと明記されている一方で、パッケージやスタッフロールなどに開発を手掛けた企業について明確な表記がなく、開発に携わった複数のスタッフの名前から「風雅システムが開発した」との認識が一般的であった。
    しかし上記のレビュー動画による知名度の上昇、それに伴い当時の制作環境について質問されたことを契機に楓牙氏がTwitter上で回答を示したが、その内容は「風雅システムはあくまでヘルプとして駆り出されただけでメインの制作元ではない」というものであった。以下はツイートの概要である。

複数の場所で風雅システムの開発と言われているが、本作は風雅以外の制作会社の作品である。その制作会社は本作を世に出すため設立された会社でありながら、スタッフにゲーム制作経験者は皆無であった。
当時の風雅システム社長が件の制作元役員も兼任していたので全くの無関係とは言いがたく、風雅の社員は制作後半で急遽参加する事になった。それでも大半は少ししか関与せず、風雅社員で最後まで現場にいたのは自分だけである。
PC98時代の名作と自負する『アマランス』を作った風雅システムが、本作も作ったと思われるのは不本意なので言及させてもらった。

  • なお、楓牙氏は上記ツイートの1ヶ月前にも本作開発中の状況について、「吐きながら仕事したのもいい思い出…かな」と振り返っているが、当時の名義である大田恵伸の名前がグラフィックデザイナー・設定デザイン・映像編集の3種にまたがって表記されている*25事も踏まえれば、当時の氏の仕事の過酷さが窺える。

ソフトウェアカタログ


サントラとドラマCD

今作ではなんと本編発売1ヶ月前にサウンドトラックドラマCDが発売されている。一見ゲーム自体の評価を鑑みれば、誰得なメディアミックスにも見えるが、ゲーム本編と比べれば断然出来の良いものとなっており、単体でも楽しめる完成度となっている。

サウンドトラック

  • 先述の通り、サントラ収録の楽曲はゲーム中に比べてクオリティが大きく向上しているどころか、一部は最早別曲と疑うものもある。
    • 対旋律として「音程を高くしただけの主旋律」を同時に流す、プログレ風の奇抜な曲調で好みが分かれるなど、サントラ版の時点で癖が強い作風の曲もなくはない。だが総合的に見れば十分評価できる内容であり、これについてはゲーム側が風評被害を与えてしまった形だろう。

ドラマCD

  • 所謂本編までの前日譚なのだが、シナリオ構成は細かな矛盾や説明不足な箇所こそあれどゲームでの無法地帯ぶりに比べれば十分整っており、ほぼ説明されていなかったラスボスや一部のキャラクター・出来事についてもある程度だが語られている。
    • 声優の演技面も、上記の評価点で挙げられた声優のみが出演している事、一部キャラはキャリアのある本職声優に差し替えられている事、高音質になっている事もあり、少なくともゲーム本編よりはレベルが高い。
      BGMはゲームと同じ曲ながらサントラ版を使用し、効果音といった演出も凝っているなど、単体の作品としては及第点な完成度で、ゲーム本編の理解を深めたければほぼ必聴の一枚となっている。何故このクオリティでゲーム本編も製作出来なかったのか。
      • なお、前述したカイの出自がOPテロップや説明書であっさり公開されているのは、このドラマCDの存在を前提にしたからと思われる。前日譚(CD)で「王が道を誤り魔王に囚われ、王子も奴隷にされてしまう物語」というバックボーンを知った上で、後日譚(ゲーム本編)となる「奴隷として生きてきた王子が、自分の出自と両親について知る物語」を、プレイヤーが追っていく想定だったのだろう。
        この辺りはストーリー展開と商品発売順をリンクさせる意欲的な試みと言える。だがゲーム本編だけでは知りえない情報の多さも加味すれば、ドラマCDの購入&視聴をスムーズなゲームプレイの必須条件として商品展開したとも取れてしまう。
    • またこのドラマCDによって、本編の危機の元凶・エルフやピクシーと人間の対立はカイの父親ルイスの所業であった事も明かされる。ルイスはハインローグの国王であり、国の発展を憂う心こそあったがどうにも意思脆弱で流されやすく、様々な愚行に手を染めてしまう。たびたび己の行いに対しての葛藤こそ見せるものの、結果的には終始自己保身に走ってばかりで素直に同情しがたい人物である。
+ ドラマCDの展開含む国王ルイスの所業の詳細(折り畳み)

飢饉・疫病・戦争といった国難のなか国を平定させる力を欲するまでは良かったが、ブロアの「太古の石の神殿に行ってみると良い」との助言に従い護衛も無しに赴き、ギゼフィルの有無を言わさぬ物言いに流されるまま「強き王になる力を与える」という契約をするが、後出しで「いずれ汝の一番大切なものをもらい受ける」と宣告されてしまう。
その後、国難そのものは脱したものの増長して過剰な軍事・産業改革を行い国民を疲弊させ、周囲の自然を破壊してエルフやピクシーを追い出し*26自分たちは毎日晩餐会を開くなど暗君ぶりを見せた挙句、ギゼフィルにそそのかされたブロアに反逆され殺されかける。
反逆や直前のマリナの懇願を経てさすがに改心したかに見えたが、ブロアの「お前はギゼフィルの手の中だ、ギゼフィルは必ずお前を迎えに来る」という捨て台詞が頭から離れず、ギゼフィルに奪われる大切なものを知るためか隠者の元を訪れる。そこで「自分の子供に殺される」という予言を聞かされ、苦悩の果てに己の命惜しさに命名式前日にゴブリンと取引して赤子のカイの誘拐・殺害を依頼する始末。
そしてカイの命名式に招待されず式場に押し入ってきたギゼフィルに、「契りを反故にした罰としてこの国を最も不幸な国にする」「汝は己が一番大切なようだから汝自身をもらってゆく」と宣告され連れ去られてしまっている。恐らくこれが「17年前にハインローグを襲ったいわれもなき憎悪」を指す出来事と思われる。

なお劇中では、命名式前日にルイスが赤子であるカイを窓から落とそうとしてファラに止められるシーンまであるが、この描写でファラは赤子のカイと面識がある事になり(カイにも声をかけている)、カイにとって命の恩人であると同時にゲーム本編でファラがカイにぞっこんである伏線ともとれる。
ドラマCDでのファラは上記の出番以外にも、石の神殿へ向かう途中のルイスに行かないよう忠告したりマリナへ森林伐採を止めるよう直談判に来たりと、ハインローグの王族と関わりを持つかなり重要なポジションに位置している。それが何故本編でのあの杜撰な扱いに繋がるのか…。

  • 中には、本編では20歳とされていたサリナが、カイと同い年の17歳とされていたり(カイの誕生と同時に生まれ、同時期に双子の星が空に光るという因縁を感じさせる場面もある)、絶対悪として扱われ「魔王」としか呼ばれていなかったギゼフィルが、カイたちがゲームで尋ねる六柱とは別の「死を司る冥界の神」であるとされていたり(ただしキャスト紹介ではゲーム準拠で「魔王ギゼフィル」呼び。)、主人公の母親マリナがゲームでは青髪なのに対し「金髪」と明言されていることをはじめ、ゲーム本編との矛盾が生じてしまっている。その割にカイとルイスの親子は「主体性の無さ」をなぜか共有している。
  • ドラマCDでの命名式には、慣例として各国の首脳やエルフ・ピクシーの長だけでなく、六柱の神々へも招待状を送るという展開があり、わざわざ大聖者の所まで「神の力」の詳細を尋ねに行ったゲーム本編よりも、明らかに神の存在は近く描写されている。そのため、世界観の時点で相違があるようにも見えてしまう。
    • 原作ゲームとメディアミックスとの設定の食い違いやアレンジはよくある事だが、基本的に原作の後発で描かれる「もうひとつの物語」といった形で制作される事が殆どである。それに対し本作は原作ゲーム発売より前にリリースされている事、構成から明らかに原作ゲームのシナリオに繋げる事を目的に作られているのに、そこから行き着く原作に準拠していないというのは聊か不可解な話である。

参考動画

+ 体験版。画質の粗さと音ズレに注意。
+ YouTubeでの体験版動画。高画質かつ詳細まで記録されているが、実況配信である点に注意。

+ それぞれ街のBGM・戦闘BGMのゲーム版・サントラ版比較動画

参考資料

最終更新:2022年05月20日 15:29
添付ファイル

*1 実際のところ、シナリオは『FF7』よりも『DQ5』に類似点が多い(主人公が親を魔物に殺されて自身も魔物に誘拐された先で奴隷→青年期に反乱を起こし旅立つという流れ、長い時間が経過しても姿の全く変わらない親に子供が再会する(プレイヤーキャラが向こうとこちらで逆で、本作の親は復活しないが)など)と言える。 一方、3Dビューの戦闘画面などは『FF7』を想起させるといえる。

*2 戦闘の流れそのもののが似ているほか、通常攻撃のクリティカルを「会心の一撃」と説明書で表記している。

*3 味方と敵のちょうど中間が画面中心に来るのを維持しつつ、「初期位置」「初期位置より上から見下ろす位置」「味方を右後ろから映す位置(2種)」「敵を左後ろから映す位置(2種)」のアングルへカメラ位置が一瞬で切り替わっていく。

*4 確認できたのは、イタリアのローマにあるホテル「アンシャント ロマンス」、1999年発売のピアノ演奏CD「京 アンシャント・シティ」、1985年生まれの競走馬「アンシャント リニージ」など。同じイニシャルで始まる「アンシェント」も含めれば、『ダライアス外伝』のボスキャラ「アンシェントドーザー」や長野県のホテル「アンシェントホテル浅間軽井沢」も該当する。

*5 『MOTHER2』の地底大陸のようなフィールド表示、と言ったら分かりやすいか。しかしあちらは広大なフィールドと巨大な敵シンボルを表現する為の演出である。

*6 催促したもの以外の商品を買った場合は何も言わない。

*7 作中での性能は、物理攻撃力の高い女性専用武器。

*8 バークの場合、レベル35から36に上がる際の必要経験値が数百程度になってしまっている。それ以降は特に問題ないペースでレベルアップするので、本来全く無関係な経験値量にレベルアップの判定を入れてしまったと思われる。

*9 HP300回復か、戦闘不能者をHP300で復帰。戦闘不能者にも効く全体回復魔法とも言える。

*10 一応、復興が進んだルーンマルナの町を訪れると、自らの意思で牢に入ったブー=レイと再会するサブイベントが発生する。

*11 自分は母親に捨てられたと思い込んで憎んでいたそうだが、そもそも魔物に誘拐されたと知っているのならば母親を恨むのは不自然である。「母の差し金で魔物に誘拐された」「捨てられている所を魔物に拾われた」という解釈なら通じるが、それなら自分の生い立ちを語る場面でそう話していたはずである。

*12 ダムの様に川の水を溜め込んでいる状態なので、わざわざ堰を破壊などしなくても呼吸の問題をクリアすれば突破は可能と思われる。

*13 「大量の水が押し寄せてくるから、この木の実を食べろ」で済ませており、「自分達が堰を壊すこと」「そうしなければならない理由」については言及なし。

*14 1000年前理不尽にも吹き飛んだ文明。普通は「遺跡」と言うべきだが。

*15 ドラゴンソードが手に入るサナトリの村を訪れた際、屋外の女剣士に話しかけると「この村にはすごい武器がある」という情報が聞けるくらい。

*16 上記のセーラー服やブルマを売る店(というより個人)の名前が「あぶないおやじ」だったり、イベントで訪れる薬屋の店主が昼間から泥酔していて本来有料の薬を無料で押し付けたり。

*17 例えば「精神の塔」なる建物はピラミッドを正面から見て左上に、正八面体がめり込んでいるという不可思議な外観。崩れないのが不思議なうえにそもそもどうやってそこまで行けるのか想像できない。

*18 ファラはバロア加入前に離脱するため、ラストバトルに駆け付けた時がバロアとの初対面である。しかも、離脱前はカイにべた惚れだった

*19 演奏に用いる音調、大雑把に言えば「パート全体の音程」というべきもの。

*20 正確には音源自体は同じだが、ムービー中のそれは挙動に合わせて「シュバ」と一度だけ鳴らしている。

*21 後に『遥かなる時空の中で』など数々の作品に出演。『デジモンアドベンチャー02』においてはレギュラー役を獲得し、可愛らしい声とイケメン男性声と全く異なる2つの声質を使い分けた巧みな演技を披露している。また、声優業以前から俳優としても活動しており、更にシンガーソングライターとして作詞作曲も手掛けるなど幅広く活躍している。

*22 後に『東京ミュウミュウ』『LORD of VERMILION』などに主演、ユニット活動や多くのイベント、番組ナレーションでも活躍する人気声優に大成した。

*23 『電車でGO!』の鉄ちゃんなど。後に『ゆめりあ』『グリーングリーン』などにも出演。

*24 特に女性陣が顕著で、80年代~90年代前半のファンタジー物の流行デザインをそのまま踏襲し続けている部分が見受けられる。

*25 他のスタッフは多くても2つの役割の兼任であり、確認できる限りで3種の仕事を割り振られているのは氏だけである。

*26 ただし、同ドラマCDのファラや大臣の台詞から、人間に追い出されたというより人間の横暴に見限って自ら移動した形だと考えられる。