神巫女

【かみこ】

ジャンル アクションゲーム
対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Windows(Steam)
Xbox One
発売元 フライハイワークス (DL版)
ビーサイドゲームズ (PKG版)
開発元 スキップモア
エスカドラ
発売日 【Switch DL版】2017年4月13日
【PS4/Win】2019年6月27日
【One】2019年8月28日
【Switch PKG版】2020年6月11日
レーティング CERO:A(全年齢対象)*1
価格(税10%込) DL版: 500円
PKG版ノーマルセット: 4,300円
PKG版スペシャルセット: 5,700円
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント ズバズバ倒す爽快感
ただしボリュームは価格相応


概要

インディーゲームメーカーであるスキップモアにより開発された2Dアクションゲーム。
同社が開発中の別の大型タイトル『ピコンティア』の開発資金を確保するために、そちらからシステムを一部流用することで制作されている。
往年のアーケードゲームのようなドットグラフィック&シンプル操作が特徴。

ストーリー

現世と幽世をつなぐ幽現の門が天魔によって封じられた。
神から神器を与えられた3人の巫女たちは「神巫女」となり、天魔征伐の旅に赴くのであった。

特徴

  • ゲームを一言で例えるならば「かなり簡略化した2D『ゼルダ』」とも言うべきものになっている。
  • ゲーム開始時に3人のキャラクターの中から一人選んで始める。
    • 巫女はそれぞれ剣、弓矢、ブーメランと攻撃方法のみ異なるが、それ以外の基本的な操作は同じ。
    • 操作は非常にシンプルで、移動・ダッシュ・攻撃(兼オブジェクトのチェック)・必殺技の発動のみ。
  • 敵を倒すと通貨兼パワーケージと言える「SP」が溜まる。「SP」を消費することで必殺技を繰り出したりステージの仕掛けを解除できる。
    • SP(とHP)はそれぞれの色合いの四角いアイテムを入手することで上昇させることができる。
    • HPアップはライフが1つ、SPアップは最大値が25ポイント増加する。

評価点

  • ドットグラフィックが美麗で雰囲気が良い。
    • モチーフは日本神道+SF要素で、和風な雰囲気が漂いながらも和風コンテンツでよく舞台にされがちな戦国・江戸時代等とは異なる要素に着目していることからしっかりと独自色のある世界観となっている。
  • 敵を倒す爽快感が気持ちいい。
    • 全体的な難易度も優しめで自機の当たり判定も小さい。このためゴリ押し気味に攻略してもサクサク進める。
    • チャージして発動できる必殺技は3人とも敵をまとめて葬りされる範囲攻撃となっており、雑魚敵を一気に吹き飛ばせるとなかなか快感がある。
    • 3人の巫女も近・中・遠距離タイプにそれぞれ差別化されており、違うキャラで攻略してみる楽しさもある。
  • 心地の良いBGM・SE。
    • 本作の音楽面は『魔女と勇者』シリーズや『腐界に眠る王女のアバドーン』等を担当しているみそか氏が担当。
    • 低価格ゲームながらも場面に合わせ12曲の描き下ろしオリジナル楽曲が収録されている。
    • 楽曲はいずれもPSG・FM音源を使用したレトロゲームリスペクトを感じられるキャッチーなサウンドになっている。
      • 本作のリスペクト元になった見下ろしタイプのゲームで例えるならば『ゼルダ』や『イース』のような勇ましい曲調ではなく、『ハイドライド3』のようなノリのよくどこか優しげな曲調になっており、ユーザーからはかなり好評。
  • お買い得価格。
    • 後述の通りシンプルすぎるきらいもあるが、一本のゲームを500円で買えるというのは本作のセールス点。その結果、ゲーム本編よりもサントラの価格の方が高いというあまり見ることがない事態が起こっていたりする。

賛否両論点

  • 500円故仕方ないところはあるが、全体的にあっさりめ。
    • 完全初見でも1周1時間程度でクリアできる。慣れれば30分程度でクリアもできる。
    • キャラごとに性能は変わるが、仕掛けが変わるモードや分岐要素はない。それ自体はタイムアタックを考えたら妥当かもしれないが、初見でもゲームオーバーになりにくい難易度なのでできればハードモード等も欲しかったところ。
    • 3人の巫女はいずれもセリフなどは一切ない。
      • 3人ともキャラデザ・選択画面での立ち絵はなかなか可愛らしいので多少の性格付けやドットのアニメーションでも欲しかったのだが。
  • 敵キャラは漫然と突っ込んで来たりフラフラしている物が多く、敵ごとの攻略法を考える余地が少ない。
    • ただ上記の通りあまり雑魚が固すぎると本作の爽快感が失われていたと思われるので一概に悪いとは言えないところ。
    • いわゆる「無双ゲー」的な調整と言える。
  • カギ・青い珠を運んで特定の位置まで運ぶというギミックがあるのだが、運んでる最中は攻撃ができず敵と接触すると運んでいる物を落としてしまう。
    • ゲームにメリハリをつける要素とはいえるが、何も考えずズバズバ切りたいという人からは少々不評。
  • スイッチを押すと一定時間橋を架ける仕掛けがあるのだが、この時間制限がかなり短めで操作ミスがほぼ許されないものになっている。
    • ある程度トライすれば成功できるとは思われるが、全体的に優しめの本作にしては数少ないシビアなポイントとなっている。特にタイムアタックをする場合最大の難所となる。

問題点

  • 各ステージのクリア時間が表示されるなどタイムアタックを想定した作りのわりに一部の雑魚の細かい出現位置はランダムになっており、タイムアタックを極めようとすると運に左右される。それこそ往年のACT/STGなどでは固定なのだが。

総評

これぞまさにインディーゲームと言える一作。
制作陣のいかにコンパクトにまとめられるかという試みが上手く成功しており、サクッと遊べてクリア後の後腐れのなさは、低価格タイトルに求められる要素にしっかりと応えられている。
500円という価格故にあまり多くを求めすぎると物足りなく感じる部分があるのは事実だが、BGMだけでも十分元は取れたという感想もある。
ボリュームのある大作ソフト嗜好の人には向いておらず、総じて「引き算の美学」によって成立している一作と言える。

余談

  • 対抗馬になるソフトの少ないSwitch初期にリリースした完全新規のオリジナル作品ということもあり、本体の好調なセールスも受け発売1年で販売本数は20万本を突破した。
    • この本数は具体的にどの程度かというと、ほぼ同時期の2018年3月5日に発表されたNintendo of AmericaによるSwitchで発売されているインディーゲームの販売本数ランキングでは3位に入る程の数字である。
      • 先に発売されていた『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のエキスパンションパスの価格が2500円であり、3000円のニンテンドープリペイドカードを使ってそちらを購入するとちょうど500円余るため、本作を併せて買ったという人も多かったようだ。
    • こういったこともあって安くて面白いソフトの代表格として早い段階から定着していたこともあってか、そのさらに1年半後には追加で5万本以上売り上げており、この価格帯のインディーゲームとしては大成功を収めたと言える。
  • 赤い髪の巫女「ヒノメ」が同社の『フェアルーン』の主人公である希望の少女に似ている。
    • スタッフインタビューでは元々『フェアルーン』とのコラボを想定していたことが述べられているので、これは没になってしまったが故の名残と思われる。
      • 2018年5月17日配信の『フェアルーンコレクション』に収録されているSTG「フェアルーンブラスト」では赤い髪のキャラが「異世界の少女」で、他2名は神巫女ヤマト及び神巫女ウズメとなっている。
      • コラボがようやく実現したというべきか、それともキャラ(の色)かぶりでヒノメだけハブられたというべきか……*2
  • 2020年6月11日にビーサイドゲームズストアにてパッケージ版が販売された。

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インディー ACT
最終更新:2022年12月25日 16:16

*1 One版のレーティングのみIARC:3+となっている。

*2 ただし、剣で戦うという点ではヤマトの方が希望の少女に近い。