イモータルズ フィニクス ライジング
【いもーたるず ふぃにくす らいじんぐ】
ジャンル
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アクションアドベンチャー
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション5 プレイステーション4 Xbox Series X/S Xbox One Windows
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発売元
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ユービーアイソフト
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開発元
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ユービーアイソフト ケベック・スタジオ
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定価
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7,678円
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発売日
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2020年12月3日
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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ギリシャ神話が舞台のオープンワールド 異様なまでに高難度のパズル ギリシャ神話の予備知識必須のストーリー
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概要
ギリシャ神話の世界を舞台にしたオープンワールドアクションアドベンチャー。
『ASSASSIN'S CREED ODYSSEY』のクリエイター陣が手掛けるファンタジー巨編。
2019年のE3で「Gods and Monsters」と言うタイトルで発表されていたが、商標上の問題から現タイトルに変更された。
当初は2020年2月26日に発売予定であったが延期し、2020年12月3日に発売された。
ゲームエンジンはほぼ同時期に発売された『ASSASSIN'S CREED VALHALLA』と同じ「Ubisoft Anvil」エンジンを使用している。
あらすじ
ゼウスに封印されたがいまは自由になって神々を永遠に葬り去ろうと誓った巨大な怪物のテュポン。
テュポンはゼウスに復讐するべく、神々に挑む。ゼウスは加勢を促すため、囚われの身となったプロメテウスに頼む。
しかし、プロメテウスは海で遭難して不思議な島に流れ着いた人間の兵士である、ギリシャの神々と彼らの土地を呪いから救うため、翼を持った主人公フィニクスの物語を語りだす。
フィニクスはテュポンのせいで石化した兄と仲間たちのために冒険を始める。
特徴
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オープンワールド
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ギリシャ神話の神々の住む7つの区域に分かれており、山あり、川あり。そして隠された秘密がある。
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マップ上にはモンスターを始め、敵や動物なども存在し、ヘルメスの課題でそれを倒すと報酬を貰える。
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キャラメイク
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フィニクスは性別・声・肌色・顔・髪型・眉毛・髭・タトゥーを選べる。物語を進めると、神々の広間でまた選びなおすことができる。
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アクション
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基本アクションは剣による弱攻撃、斧による強攻撃、弓による遠距離攻撃、そして回避である。ちなみに弓矢は自動補充される。
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神々の能力
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フィニクスは神々のアイテムを身に付けることによって、神の力を得ることができる。岩投げ、地中から槍を出すなどのこれらを極めることもできる。
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パズル
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迷宮やクエストに至るところに存在しており、戦闘技術やアクションに加え、プレイヤーの頭脳が必要となるものもある。
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神々の広間
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フィニクスのライフやスタミナをアップグレードしたり、武器の強化やアイテムの生成を行うことができる。
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騎乗動物
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フィールドのいる馬を手懐けるといつでも呼び出せる。中にはペガサスに乗れることも。
評価点
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ギリシャ神話を舞台にしたオープンワールド
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ゼウス・アレス・ヘルメスなどの著名な神々が登場する唯一無二のオープンワールドである。
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サイクロプス・ミノタウロス・メデューサといった巨大なモンスターと戦うことができ、ヘラクレスやオデュッセウスなどの英雄たちのような冒険を再現できというオリジナリティは唯一無二である。
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また、マップ上にはギリシャ神話のエピソードをモチーフにした建造物等が多数あり、初めて訪れる時はプロメテウスがそのモチーフになったエピソードについて感想を述べ、続けてゼウスがそれについて皮肉めいた感想を述べて、ギリシャ神話についての豆知識を学ぶことができる。
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このやりとりは同じユービーアイソフトの作品、アサシンクリードシリーズのアニムスデータベースの解説とショーン・ヘイスティングスの皮肉が元ネタだと考えられる。
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バトル
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バトルはイージーな操作で扱いやすいサクサク軽快でストレスフリーな動きが可能。
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他にも打ち上げ・空中コンボ・ステルスから強襲なども行えて、様々なスタイルのバトル—翼からの空中の攻撃は他のゲームにない、高低差のあるバトルを楽しめる。
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特に神の力では物理に頼らない方法でのバトルも可能で、これまた違う楽しみ方ができる。
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また敵同士に当たり判定があり、リアルティのある戦闘であると評価される。
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またキャラクターがオブジェクトに隠れてもハイライトにされるため、オープンワールドのありがちなカメラアングルに悩まされることはない。
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装備品とは別に好みの見た目に変えたり、『ASSASSIN'S CREED ODYSSEY』でもあった兜の表示ON/OFFを切り替えが備えられており、変なデザインだが有能な能力の鎧がある時に便利
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キャラクターデザイン
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ディズニーのようなディフォルメされた造形であり、洋ゲーにありがちな美意識からかけ離れたものではない。
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「美」が重要なテーマであるギリシャ神話にとってこのデザインは重要である。
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神々の性格も非常に人間くさく、掛け合いなどを楽しめるような作りになっている。
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その他
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近くの採取物を一気に採れるシステムであり、いちいちボタンを押さなくても良い。
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ロード画面のミニゲームでわずかな時間でも素材を集められる。
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ボタンコンフィングが自由度が高い
賛否両論点
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フィニクスの翼
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主人公のフィニクスの翼を所持し、自由に動き回れる。この翼でギリシャ神話の世界を動き回るのは中々痛快。
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一方で、上昇のスタミナがかなり多く取られる。これはジャンプを使用したパズルが多いための処置であるが、オープンワールドのゲーム性が大きく狭まっているため本末転倒としか言えない。
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制限された性的な要素
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ギリシャ神話ということもあり性的な表現もあるのだが、それらはカットされるか、誤魔化されている。
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無論、下ネタを嫌うユーザーもいるため一概に言えないが、性が大らかなギリシャ神話で性的な物を排除するというのも不自然と思うユーザーもいる。
問題点
ゲーム
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スタミナ制
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オープンワールドでは相性の悪いスタミナ制を採用しており非常に苦痛。
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ダッシュ・泳ぐ・登るという動作が制限され、せっかくのオープンワールドであるのに自由に動くことができない。
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おまけにスタミナ強化が他のスタミナ制のオープンワールドと比べると、クエストを数回クリアしてようやく1つ上がるという理不尽な物。
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異様に高難度のパズル
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迷宮攻略のパズルが異様なほど難易度が高く、ゲームプレイの3分の2はパズルに費やす。
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例えば、「矢でかがり火をかすめて中央の蕾を燃やす → 奥の開いた門から進む → 門右にあるレバーで中に入る → 同じ要領で今度は2つの蕾を燃やす → 開いた門から出るとすぐ近くにある台座を踏む → 矢で動くかがり火をかすめて奥の蕾を燃やす」という異様に複雑な仕様となっている。
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さらに、このようなパズルが1つの迷宮のいくつも設置されてある。他にも小さな的を射抜く、高所の難しいジャンプなどのストレスの溜まるパズルが多い。
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おまけにリスタートは体力削減&セーブポイントも少ないこともあって苦痛そのものである。
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無論であるが、ゲームの難易度の調整でこれらのパズルの難易度が下がることはない。
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迷宮
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そもそも本編クエストの大半は迷宮が多い。そのせいで、せっかくのオープンワールドを活かした本編クエストが少ない。
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キャラが少ない
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仲間や兄が石になっているためモブキャラはほとんどおらず、所々に存在する兵士を除いては敵だけである。モブキャラにクエストを頼まれるということもない。
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少ない神々
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神々の数も少ない。10柱いるか、いないか。オリンポス十二神全て揃ってない。
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ギリシャ神話の予備知識前提のシナリオ
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プロテウスやヘルメスなどギリシャ神話の予備知識がないと、何がなんだか分からないことがしばしば。おまけに解説のようなものがなく、自力で調べなくてはならない。
総評
ギリシャ神話を舞台にするオープンワールド。
ギリシャ神話の神々とのシナリオと能力を使うゲームという発想は良かったものの、スタミナ制やパズルでゲーム性は最悪であり、本作の魅力を大きく損なっており、非常にもったいない作品である。
なお、壁をよじ登るスタミナや各地のパズル要素の迷宮は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に酷似しており、それを意識して作ったのではないかと思われる。
余談
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一時期は続編が計画されていたようだが、最終的には開発中止となった模様(参照)。
最終更新:2024年08月08日 00:00