Lost Ruins

【ろすと るーいんず】

ジャンル 2Dサバイバルアクションゲーム
対応機種 PlayStation4
Xbox One
Nintendo Switch
Windows/Mac/Linux (GOG/Steam)
発売元 DANGEN Entertainment
開発元 ALTARI GAMES
発売日 【PS4/One/Switch】2022年6月6日
【PC】2021年5月13日
定価 【PS4/One/Switch】2,200円(税込)
【PC】2,050円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:C(15歳以上相当)
IARC 16+
判定 良作
ポイント 回復もままならない手強いサバイバルADV
ドット絵で表現される可愛らしいキャラクター

概要

韓国のインディデベロッパーであるALTARI GAMES開発の様々な武器やアイテムを駆使し探索を行う、ドット絵風の2Dサバイバルアクション。
異世界より召喚された記憶喪失の少女を操作し、広大な城を探検、記憶の鍵と舞台となる世界の謎を求めて魔王の下僕たちとの戦いに挑んでゆく。


キャラクター

最序盤で登場する主な登場人物に絞って紹介する。

  • 主人公
    • 突然異世界の城に召喚されたセーラー服の少女。一切の記憶を失っており、名前も存在しない。
    • 性格はかなりの天然系であり、敵対的なゴブリンに道を尋ねたり、幽霊に対し「体が透けているけど具合が悪いの?」と聞いたりといった、どこか抜けている言動が目立つ。
  • ベアトリス
    • 城内にキャンプを設営する女性。
    • 魔王の下僕から世界を守る「守り人」として主人公の前に現れ、冒険をサポートする。

システムと特徴

  • アイテムと装備
    • ゲーム中には武器、魔法、装備品、消費アイテム、その他重要品に属する様々なアイテムが登場する。
      • 武器と魔法はそれぞれ2点ずつを一度に装備でき、固有のボタンに割り当てて使用する形となる。
      • 装備品は専用の装備スロットにセットする。こちらはスロットから外さない限り常に効果が発揮される。スロット数はストーリー進行度やゲームモードによって1~4個。
    • 武器には攻撃力や属性値のほか、攻撃速度が5段階で設定されている。
      • 基本的に大剣などの大型武器は力こそ強いが振りが遅い傾向にある。
      • 対してナイフなどの小型武器は攻撃力が低くリーチも短い一方、振りが早く、有用な追加効果を持つことが多い。
      • また、片手武器・両手武器の概念があるが、カテゴリ分けとアニメーションに影響するのみであり、両手武器を装備したからと言ってボタン2個分のスロットを埋めるわけではない。
      • 盾も武器カテゴリに属する。
  • 主人公のパラメータ
    • 主人公にはHPとMPのパラメータがあり、常に画面左上にゲージで描画されている。
    • いずれも一般的なアクションゲームと同様の取り扱いであり、HPはダメージを負うごとに減り0になると死亡(ゲームオーバー)、MPは魔法の発動に必要となる。
    • なお本作にレベルアップの概念はない。アイテムによるバフ効果を得る以外でパラメータの最大値に関与する術はなく、経験値稼ぎによるゴリ押し攻略は不可能となっている。
  • マップ内の各種設備
    • 道中には「パソコン」「石像」「ポータル」「自動販売機」といった設備がある。
    • 「パソコン」はセーブポイント。「石像」は通過時にセーブデータと別枠でオートセーブが行われる。
    • 「ポータル」は他のポータルと自由に行き来できる設備であり、「自動販売機」はいわゆるショップに当たる*1
      • NPCが臨時的にショップの役割を持つ場合もある。
  • 可愛らしいキャラクター中心のデザイン
    • 本作の世界観的な特徴として、出てくるキャラクターの多くが美少女という点がある。
    • 全てのボスが女性型であるほか、雑魚敵もハーピーやマンドラゴラ、擬人化された女性型スライムなどが登場する。
    • ゴブリンや骸骨、コウモリ、植物型モンスターなどはいるが、人間の男性の形をとったキャラクターは非常に少ない。

評価点

  • こだわりのドット絵表現とシステム面の十分なカバー
    • ゲーム全編がやや粗目のドット絵風であり、かつ、なめらかなアニメーションを伴って描画されている。
      • 特に主人公は腰を左右にひねるような待機モーション、ローリング時の飛び込み前転など、動かして楽しい可愛らしさが表現されている。
    • 一方で敵についてはこちらに気付くとハッとする動作をするなど、ドット表現によって削減されがちな情報量をカバーするつくりとなっており、画面の粗さによるストレスは少ない。
    • 落ちているアイテムが見づらいといった短所もあるにはあるが、それも主人公が近づけば逐一ミニウインドウがポップアップするため、十分プレイに耐えうるものとなっている。
  • キャラクターの魅力
    • 先述の通り登場キャラクターの殆どが美少女キャラということで、ボスキャラ勢ぞろいのタイトルイラスト含め、この点は明確なセールスポイントとなっている。
      • 特に人外キャラが多く、全身緑のスライム娘、アンデッド少女、鬼っ娘とそれなりにジャンルを押さえているといえる。
    • 主人公は装備によって水着やメイド服に着替えることもできるので、キャラクターにそうした魅力を感じて買った際に、期待を外す可能性は少ないだろう。
  • ロケーションの良さ
    • 背景も作り込まれており、特に最初に探索する洞窟や中盤の地下墓地マップは、明かりと影とのメリハリによってジメジメとした陰鬱な様がよく表現されている。
    • 棚や配管、吊るされた死体などオブジェクトも多く配置され、ただの壁模様のループのような手抜き箇所が少ない。
    • 一方で明るい地上をメインにしたエリアや、屋内と雨の降りしきる渡り廊下とを交互に行き来する城ステージなど、マップ構成全体にも緩急がついており、世界観の造成に一役買っている。
  • ちょうどいいサバイバル感
    • 本作の被ダメージはかなり大きめであり、ノーマル難度でも雑魚敵から4発前後喰らえばすぐゲームオーバーに陥る。
    • また、出血や燃焼といった継続ダメージをもたらすステータス異常があるため、一瞬の油断で死亡に繋がるケースがしばしばある。
      • 慣れないうちはHPを安全圏に保っていたつもりが不意の炎トラップで削られ、慌てているうちに敵の出血攻撃が重なって、という場面に何度か出くわすことになるだろう。
    • 加えてHP回復手段はかなり乏しく、まず魔法というシステムがありながら回復魔法が一切存在しないし、セーブポイントで自動回復もしない*2。そのため、回復はほぼ敵ドロップや拾得アイテムでしのぐことになる。
    • しかし一方でオートセーブ用の石像が短い間隔で配置されてもいるため、リトライは気軽にできるようになっている。
    • また、トラップ発動スイッチは全て目視可能であり、主人公側は遠隔攻撃手段も持ち合わせているため、理不尽な難度という程ではない。
      • つまり「そもそも喰らわない」ことが重要であり、上記から主人公の状況はある程度フェアであるため、モチベーションを削がない程度の心地よいハラハラ感に繋がっているといえる。
  • 幅広い戦略性
    • 道中の探索においては単純な剣と魔法の応酬だけでなく、環境を活かした戦い方ができる場面もある。
    • 例えば油の撒かれた地面は歩行速度を下げるトラップとなっているが、上に吊るされた照明を叩き落とすことで着火し、居合わせた敵を丸焼きにできる。
    • また、同じく歩行を阻害する水場でも、毒瓶を投げ入れることで全域を汚染し、水中の敵に継続ダメージを与えるといった戦法がある。
      • 当然自身もダメージを負うこととなるが、ステータス異常時にバフをかける装備品もあるため、あえて肉を斬らせて骨を断つといった面白味を付加する要素となっている。
    • ちなみに前述の心もとないHP回復手段について、「命のお守り」という装備品があり、時間経過でHPが自動回復するが最大HPが4割減る効果を持っている。
      • 非常に心強い装備だが集中攻撃でより死にやすくなるため、こういった所にも悩ましいトレードオフが仕込まれている。
  • クリア後モードの実装
    • 本編自体は初回でも3~4時間程度でクリア可能だが、エンディング到達後は複数のゲームモードが開放される。
    • 特筆すべきが「ボスモード」であり、本編に登場したボスキャラクターの内3人を操作して同じマップを攻略しなおすというもの。
      • 当然実行できる技はすべて変わるうえ、状況がエンディングの後日談となっているため、実質的に2倍のボリュームとなっている。
    • その他、短剣と投擲武器しか使えず隠密に特化した「暗殺者モード」、物理攻撃不可だが魔法を4つまで装備可能な「魔女モード」も存在。
      • いずれもマップそのものは使いまわしだが、装備の効果は勿論キャラの台詞に至るまで細かく変わる等、作り込みの高さがうかがえる。
      • ちなみに魔女モードでは魔女の帽子を被り、暗殺者モードは黒セーラー+パンストというグラフィックになる。こちらも芸が細かい。

賛否両論点

  • ややフェティッシュなアイテムの存在
    • 各ボスを倒した際、装備スロットの増加など永続効果のあるアイテムを入手できるが、こちらが妙にアレなものとなっている。
    • まずアイテムからして「縞々パンツ」「縞々ブラ」「ガーターベルト」などであり、ご丁寧にもドット絵でのグラフィック付き。
    • 更に縞々パンツの説明文は「 黄色いシミがついています。 」と、少々趣味が悪いもの。
      • いや、これを趣味が悪いと捉えること自体が悪趣味とも言えるのだが、なまじキャラがキャラなため、そういうフェチを想像してしまってもおかしくはない。
    • ただ、人によっては世界観の一助として受け取ったり、笑えるおバカ説明文と考えることもできるだろう。
    • ちなみにこれを入手したからとて、主人公のグラフィックに影響はない。
  • オートセーブを回避できない
    • オートセーブ用の石像は上空にも判定があり、ジャンプしようがローリングしようが通過すると必ずオートセーブを上書きする挙動となっている。
    • オートセーブが1枠しかなく他データの進行を潰す可能性がある、というのも欠点だが、それより一度オートセーブすると同じ石像が一定時間使えなくなる仕様が辛い。
    • 本作はおおまかには一本道だが、その中で多少の枝分かれや周回を要するようなルート構成となっているため、時折「さっき石像を通っちゃったからセーブできない」といった場面が発生する。
    • あくまでチェックポイントなのでそういう仕様と言われればそうなのだが、なまじ多めに設置されていることから実質普段使いのセーブとして遜色ないため、逆に不便さを感じやすくなってしまっている。
    • 勿論「オートセーブ漏れがない」というメリットは大きいので、一長一短である。

問題点

  • ボスの完封がしやすい
    • 評価点として「サバイバル感」を挙げたが、それが最も発揮されるべきボス戦では完封(ハメ)がしやすくなってしまっている。
    • 特に「盾」と「透明化」が高性能すぎる。
    • 「盾」は近接・遠隔問わずほとんどの攻撃をペナルティなしで無効化できてしまううえ、壊れることもないという超高性能装備。
      • 特に弓を扱うボス「ジュン」の第1形態では、「盾で跳ね返した矢にも攻撃判定がある」「ジュン自身がその矢でダメージを受ける」ことから、盾に対応するボタンを押しっぱなしにしているだけで画面を見なくても倒せてしまう。
      • 加えて盾は最序盤、それこそ体験版ですら探索可能な範囲で拾得可能。
    • 「透明化」は敵のロックオンと索敵を強制的に打ち切る上に、こちらからの初回ダメージが必ずクリティカル、かつクリティカルダメージ+100%になるという、これまた有用すぎる魔法。
      • 必ずしもすべての場面で有効ではないが、武器や装備品も工夫すれば、透明状態でボスの背後に回って殴るだけで一気に瀕死まで持ち込めてしまう。
    • プレイスキルではなくストラテジーを軸にした攻略、とフォローすることは可能だが、全般的に「一触即発のスリリングな戦い」というより「戦法がハマるかどうかの勝負」になりやすい。
  • 物理演算がおかしいのか、敵やオブジェクト等から出現するアイテムが、明後日の方向に飛んでいくことが稀によくある。
    • ドロップ時に妙に変な慣性が掛かってすっ飛んでいくことがあり、アイテムが画面外まで飛んでいくと入手できなくなってしまう。
    • 消耗品程度なら大した問題ではないが、ごく低確率ではあるが、クエストや宝箱からの貴重品でこの現象が発生することがある。
      画面切り替えをしたら特定の位置に置き直される、といった処置もないため、仮に発生したら二度と入手できなくなってしまう。
      幸いにもオートセーブポイントが非常に多いのでやり直し自体は容易に行えるが、気付かずに進んでしまうと悲しいことに…。
  • 序盤にMP回復手段が無さすぎる
    • 序盤から様々な魔法が登場するものの、2~3発でMPが枯渇してしまうため活躍の場が少ない。
    • MPの回復方法は例によってドロップ、拾得物、自動販売機での購入に頼るほかなく、そうなると試し打ちもおいそれとはできないので、新しい魔法を入手しても効果のわからないまま持て余しがちになる。
    • 中盤以降はMP回復効果を持つ装備品が登場するため、魔法を絡めた攻略に乗り出せるのはそこから。
      MP自動回復効果を持つ装備を複数入手でき、防御時にMPを回復する盾も存在するため、積極的に使用できるようになる。
  • 金策がキツい
    • 本作には同ジャンルの他作品で見られるようなお金稼ぎポイント、いわゆる「金策」が少ない。
    • まずアイテムの販売額が高めであり、多くの装備品や魔法が100~200ゴールドとなっている。
    • 対して道中では敵やオブジェクトからたまに1~5ゴールドが出る程度であり、しかも一度倒した敵は一定時間が経過するまで復活しない。
    • つまり最も効率の良い稼ぎ手段は「拾ったアイテムを1~数十ゴールドで売ること」となるのだが、当然ゲームに慣れていないうちは、いつ必要になるか分からないものを手放すのは難しい。
    • それが分かってきたところで、結局ドロップ可能な敵のリスポーン待ちになるので正直金策に走るよりプレイテクニックを磨いて先に進んだ方が早い。
    • 上記から、店売りのアイテムが気軽に買えず、こうしたジャンル特有の試行錯誤の楽しみを得るのが難しくなっている。
  • 最新のセーブスロット位置が記憶されない
    • ロード時・セーブ時ともに、カーソル初期位置が最終セーブスロットの位置ではなく1番目のスロット固定となっている。
    • 特にセーブ時は上書き事故に繋がりやすい。
  • 金型を用いた謎解きが煩わしい
    • パズル要素として、重い置物を台座まで運ぶとゲートが開く、というよくあるタイプの謎解きがある。
    • 本作におけるこの置物は金型と呼ばれる物体であり、攻撃を当てることで少しずつ移動していくのだが、この移動幅がやけに短い。
      • 1回武器を振り当てて主人公の1歩分程度しか動かないため、大抵の場面で何度も何度も金型を叩き続けることになる。
    • 後半では「2回叩くと起動するレーザー砲」を約10回程度当てる必要のあるパズルも登場し、非常に退屈感を催す仕掛けとなっている。
      • 一応魔法を当てると幾分効率的なのだが、魔法については前述の問題点によりまず試そうとも思わないのが惜しいところ。

総評

手強い難度ながらリトライのしやすさや探索の楽しさで遊ばせてくれる作品。
1周あたりのボリュームは小ぶりだが別モードでの周回プレイもできるので、2Dアクション好きは勿論、キャラクターに興味を持った人にもおすすめできる。


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ACT インディー
最終更新:2024年01月12日 09:47

*1 自動販売機なのに手持ちアイテムの売却も可能。

*2 最低難度のみ回復可