バトル・ゾーン
【ばとるぞーん】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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ATARI2800
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発売・開発元
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アタリ
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発売日
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1983年
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プレイ人数
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1人
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判定
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なし
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ポイント
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ATARI2800としては良質なグラフィック AC版と比べるとゲーム性は劣る
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概要
元々はアタリ社が1980年にリリースしたアーケードゲーム『Battlezone』が原作。
原作では『ASTEROIDS』と同じく、ベクタースキャンを使用したワイヤーフレームのグラフィックで描かれたゲームである。
最大の特徴は、今で言うところの「ファーストパーソンシューティング(FPS)」に近いシステムとなっており、言わばFPSの源流と呼べるようなゲーム史の歴史に残る一作である。
本作ではその『Battlezone』をATARI2600に移植したもの。
日本国内でもATARI2800向けに『バトル・ゾーン』のタイトルで、発売されたことが確認されている。
特徴
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戦車を操縦して敵を撃破していくシューティングゲーム。
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完全に一人称視点だった原作AC版とは異なり、自機である戦車が画面下部に表示されている。そのため厳密には今で言うTPSに近くなっている。
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操作方法
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ジョイスティックの上下で戦車の前進・後退、左右で戦車の左右の向きを変える、ボタンで弾を発射する。
評価点
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ATARI2800としては良質なグラフィック
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まずドット絵であるものの、ATARI2800で疑似3Dのグラフィックを描画していることに驚くことだろう。
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自機の戦車や背景の山などのグラフィックはかなり描き込まれており、特に自機戦車のキャタピラは滑らかに動く。
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他にも自機が撃破された際も画面全体にノイズが表示される演出を採用しているなど、ATARI2800のゲームの中でも一二を争うレベルのクオリティーの高さを誇っている。
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レーダーが搭載されており、視覚外の敵の位置を確認できる。
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FPSというジャンルが確立される遥か前のゲームではあるが、画面上部にレーダーを搭載することによって、視覚外の敵を確認できる点も評価したいところ。
賛否両論点
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当時のハードウェアの都合上仕方ないことだが、原作AC版とは別物。
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ATARI2800としてはグラフィックをかなり頑張っていることは評価点にて記述した通りだが、それでも原作のワイヤーフレームの方が良かったとの意見もある。
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疑似3Dで表現されているとはいえ、ベクタースキャンを使用していた原作と比べると、やはり立体感が無いとの声は当時からあった。
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また、原作ではデュアルスティックのコントローラーを使用して、実際の戦車の操作性に近くしていたが、ATARI2800のコントローラーにはジョイスティックが一つしかないため、当然操作も簡略化されている。
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更に原作だと潜望鏡のようなモニターをのぞき込んでプレイできる、今で言うVRゲームのような要素も含んでいたのだが、これも再現はされていない(というかATARI2800での再現は無理だろう)。
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上記の賛否両論点に関しては、「当時の技術力や、ATARI2800というハードウェアの都合上仕方ない」と妥協できるか否かも評価に影響している。
問題点
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ゲーム性の劣化
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戦車の操作が簡略化されたせいで、敵の弾を避けるのがかなり難しくなってしまった。
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また原作AC版では山などの地形を盾にすることができたが、本2800版ではオミットされており、戦略性が低くなっている。
総評
ファミコンよりも性能の劣るATARI2800で、ここまで良質なグラフィックを実現できたのは、驚異的と評するに他ない。
一方、障害物のオミットや操作性の違いなどAC版と比べて変化している箇所もあり、それ故に単純なゲーム性においては、AC版と比べると単調化しており劣る箇所も存在している。
その点に関してはATARI2800への移植の都合上仕方のないものとして、割り切れるかどうかで評価が分かれる。
それでも奥行きのあるシューティングゲームをATARI2800で遊べるようにした点に関しては、当時としては意欲的で高く評価したいところである。
余談
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FPSというジャンルの始祖とも呼べる歴史的かつ評価も高い『Battlezone』だが、2025年現在でもAC版はおろか、ATARI2600(2800)版ですらあまり復刻がされておらず、今からプレイするハードルはかなり高い。
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というのも『Battlezone』シリーズの権利は、諸々あって2013年以降は「Rebellion Developments」が保有しており、現在のAtari Corpは保有していないため。
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そのため『Atari 50: The Anniversary Celebration』などの復刻系ソフトには収録されておらず、今からプレイするには現物か、権利の移行が行われる前の2013年以前に発売された「ATARI FLASHBACKシリーズ」を入手するしかない。
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AC版や本作以外にも同じく『Battlezone』のタイトルを冠した同名の続編・リブート作が多数リリースされている。
最終更新:2025年08月02日 05:25