ソニック3Dブラスト
【そにっくすりーでぃーぶらすと】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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SEGA GENESIS(北米版メガドライブ)
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発売元
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セガ
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開発元
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Traveller's Tales ソニックチーム(開発協力)
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発売日
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1996年11月7日(北米)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A (全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2007年10月16日/600Wiiポイント
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備考
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MD版は国内未発売
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判定
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なし
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ポイント
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プリレンダ3Dのクォータービューソニック 『フリッキー』のゲーム性と融合 ホーミングアタックの実質的な初登場作
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ソニックシリーズ
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概要
日本国外でメガドライブ末期に登場したソニックシリーズのアクション作品。北米ではMD版と同年同月の21日にセガサターン版も発売されており、MD最後のソニックでありSS最初のソニックとも言える作品だが、MD版は日本国内では未発売。(SS版については後述)
開発を務めたのは当時『トイ・ストーリー』などでプリレンダ3Dグラフィックに定評のあったトラベラーズテイルズで、本作でもプリレンダ3Dグラフィックを採用している。また、日本のセガのソニックチームも一部開発に携わっている。
また、『ソニック1』から救出対象として度々登場している小鳥の「フリッキー」のデビュー作である『フリッキー』のゲーム性も汲んでおり、ステージからフリッキーを救出して脱出することが目的となっている。
なお、『Sonic 3D Blast』は北米でのタイトルであり、欧州では『Sonic 3D: Flickies' Island』(ソニック3D フリッキーアイランド)というタイトルで発売された。
後の国内移植ではMD版が『ソニック3Dブラスト』、SS版が『ソニック3D フリッキーアイランド』として区別されている。
ストーリー
ある日、ソニックとテイルス、そしてナックルズたちは、神秘の力を持つ美しい宝石“カオスエメラルド”が眠っているという孤島“フリッキーアイランド”を訪れました。ソニック達はまずはじめにその宝石の手がかりとなる“フリッキー”という鳥を探すことにしました。
しかし、上空には不気味に浮かぶスパイ衛星が…「ついに見つけたぞ、カオスエメラルドの眠るフリッキーアイランド!」どこかで聞いたこの声…そう、悪の天才科学者Dr.エッグマンです!
はたしてソニックはフリッキーたちを救出し、カオスエメラルドをDr.エッグマンより先に見つけ出せるでしょうか…?
(Wiiバーチャルコンソール版公式サイトより引用)
システム
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クォータービューで表現された立体的なマップでソニックを操作する。
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なお、本作には落下死や圧死、溺死の概念は存在しない。
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ソニックのアクションは従来通りのスピンジャンプとスピンダッシュ。
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スピンダッシュはチャージ中に方向調整が可能。移動中にスピンダッシュボタンを押すと移動しながらスピンができる。
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ザコ敵のエッグマンのロボットにはフリッキーが動力源として閉じ込められており、スピンアタックで倒すことで中のフリッキーを解放できる。解放されたフリッキーに触れることでフリッキーがソニックの後をついてくるようになる。
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隊列のフリッキーにはアイテム取得判定もあり、フリッキーを何羽か連れてないと取れないアイテムもある。
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各ACTは複数のエリアに区切られており、エリアの最後にはビッグリングがある。ソニックがフリッキーを連れた状態でビッグリングに飛び込むことによってフリッキーを逃してあげることができ、エリア内の全てのフリッキーを逃してあげると次のエリアへの進路が開かれる。
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画面右下には残りのエッグマンロボと助けたフリッキーの数がアイコンで表示されている。
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各ZONEのACT3はエッグマンとのボス戦になっており、こちらは従来通りエッグマンの乗り込んだメカにスピンアタックを繰り返して倒せばZONEクリアとなる。ACT3ではフリッキーの救出は不要。
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各ACTの特定の場所にはテイルスとナックルズが待機しており、リングを合計50枚渡すことでスペシャルステージに行ける。
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スペシャルステージは縦スクロールのステージでトゲを避けながらリングを規定数集める内容で、クリアするとカオスエメラルドを手に入れられる。
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全部で7つのカオスエメラルドを集めれば、真のラストステージに突入できるようになる。
評価点
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擬似3Dで表現されたソニックの世界
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前述の『トイ・ストーリー』などにおいて美しいプリレンダ3Dグラフィックで定評を得ていたトラベラーズテイルズの技術力は遺憾無く発揮されており、メガドライブとしては美しい立体感のあるグラフィックを実現している。
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各ZONEには共通して、過去作の「グリーンヒルゾーン」などでお馴染みの市松模様が地面に取り入れられており、ソニックらしさの演出とクォータービューにおける位置把握のしやすさを両立している。
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驚くべきことに、拡張ユニットなしのMDながらフル3DCGのオープニングムービーも収録されている。
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ハードスペック上画質はかなり圧縮されて色数も減っている上に『ソニックCD』のOPアニメ以上に枚数も少なくガタガタだが、それでもこのクオリティのプリレンダムービーをMDで実現したことは驚愕に値する。
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スピード感は健在
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過去のクォータービューを採用したソニックタイトルである『セガソニック・ザ・ヘッジホッグ』『ソニックラビリンス』ではハードやシステムの制約上スピード感が制限されていたが、本作では本編同様のスピーディなアクションで立体空間を飛び回れる。
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ステージ構成はなかなかに広いが、ソニックの足がご存知の通り速いので移動の面ではストレスを感じにくい。
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もちろん、ループ地形などのお馴染みのスピードを出せるギミックも健在。
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実質的なホーミングアタックの初導入
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当時のクォータービューを採用したアクションゲームでは往々にしてキャラクターの位置把握が困難になる問題が発生しがちだが、本作では立体空間上での敵への攻撃を補助するアクションとして「ソニックブラストアタック」が初登場した。
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ゴールドバリアを装備中、ジャンプ中にもう一度ジャンプボタンを押すとブラストアタックが発動し、近くにいる敵に向かって体当たりができる。これによりスピンジャンプアタックの位置合わせの手間が緩和される。
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勘のいいソニックファンならお分かりかと思うが、本作のブラストアタックの挙動は『ソニックアドベンチャー』で導入された「ホーミングアタック」そのものであり、プロトタイプになったと見ていいだろう。
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以降のモダンソニックシリーズでもホーミングアタックはジャンプ中の制御を補助するアクションとして定番となっており、そういった点ではシリーズにおいて無視できない功績を持つ作品と言えるだろう。
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一方、ゴールドバリアがないとブラストアタックが使えないのは難点と言える。
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ゴキゲンなBGMの数々
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MD版のBGMの作曲はソニックチームが担当しており、そのうち半分は後のシリーズで多くの名曲を生み出す瀬上純氏が担当している。
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今までのクラシックソニックシリーズの路線を引き継いだ、ノリのよくバラエティに溢れたキャッチーな曲が多く、後のシリーズでも本作のBGMがアレンジされるなどBGM面では高い評価を得ている。
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効果音もクラシックソニックシリーズでおなじみのものが流用されており、外注作品ながら違和感は少ない。
問題点
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ソニックとフリッキーのシステムの食い合わせが悪い
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ソニックシリーズのお約束として「1枚でもリングを持っていればダメージを受けてもリングをばら撒くだけでミスにならない」仕様が挙げられるが、本作では『フリッキー』同様ダメージを受けるとリングと同時に隊列のフリッキーも散らばってしまう。
また、フリッキー自体にも当たり判定があり、1羽でもフリッキーが被弾するとやはり隊列が散らばってしまう。
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MD版においてはどこに散らばったフリッキーがいるのかを示すマップ機能もなく、フリッキーと遠くに離れてしまったらマップをしらみつぶしに探す必要がある。
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一応、バリアを装備していれば被弾してもバリアが剥がれるだけでフリッキーも散らばらないが、クリアに必要不可欠なフリッキーの再回収はストレスが溜まる。この仕様のせいでリング1枚では全く安心できない。
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スーパーソニックの存在が定着した以降の作品にもかかわらず、カオスエメラルドを7つ集めてもスーパーソニックには変身できないのも惜しい点。スーパーソニックの無敵でフリッキーが散らばるリスクを無視できればストレスが軽減されるのだが…。
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ソニックが滑りやすい
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ソニックシリーズの特徴としてスピードが乗りやすい、慣性が強くかかる操作性が挙げられるが、それを差し引いても本作はソニックが滑りやすい。雪国の「DIAMOND DUST ZONE」の氷の床ではさらに滑りやすくなる。
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操作性自体は悪くないものの、慣れるまでは制御が難しく被弾しがち。
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スペシャルステージの仕様
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スペシャルステージ突入時にどれだけリングを持っていようが、ACTに戻った後にはリングを0枚にされてしまう。また、装備していたバリアも剥がされてしまう。
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同時にリングやバリア入りのモニターも再配置されるのでリカバリー自体は可能だが、いちいちバリアの場所まで戻る手間も生じる。先述のバリアを持っていないと安心できない仕様との相性も悪い。
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一応各ACTにテイルスとナックルズがいるためスペシャルステージに突入できるチャンスが多く、スペシャルステージ自体も過去作と比べて易しめなのは救いか。
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セーブ機能はない。ボリューム的にそこまで問題ではないが『ソニック3』でバッテリーバックアップが搭載された後の作品であることを考えると不満点。
総評
MD末期に登場したソニックの意欲作。美しい3Dグラフィックは本作ならではの特長である。
シリーズおなじみのスピード感や高品質なBGMも健在だが、その一方で『フリッキー』由来のシステムとの相性が悪く、決して手放しには褒められない作品でもある。
アクションとしては破綻しているわけでもなく、シリーズ作としての魅力も健在であるため、MD時代のクラシックソニック本編を遊び尽くしたファンなら手に取る価値はあるだろう。
SS移植版『ソニック3D フリッキーアイランド』
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以下、主なMD版との相違点。
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ゲーム本編はプリレンダ3Dなのは変わらないが、スプライトが高画質なものに差し替えられており、画質が向上した。
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OPムービーも原盤の3Dアニメが収録されており、収録時間も増えている。
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BGMの総入れ替え。後に『ソニックR』のBGMを手がけることになるRichard Jacques氏が全曲を担当している。
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主にノリのいいBGMのMD版に対してSS版は爽やかなボサノヴァ調に統一されており、方向性が大きく異なるので単純比較はできないが曲自体は高品質でありこちらも評価は高い。
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ポーズ画面が改善されており、ステージ構造と被弾して散らばったフリッキーがどこにいるかを示すマップが表示されるようになった。
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スペシャルステージの変更。『ソニック2』のようなハーフパイプでリングを集める内容だが、『ソニック ジャム』のSONIC WORLDのモデルを再利用して完全3Dポリゴン化している。また、ステージ突入時には「ソニックがテイルス/ナックルズに掴まりステージに連れて行ってもらう」という演出が明確になされている。
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一方で、容量に余裕のあるSSになったのにもかかわらず、MD版同様セーブ機能は搭載されていない。パッケージにもわざわざその旨の断り書きがある。
その他の国内移植
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MD時代のソニックのオムニバスソフト『ソニック メガコレクション』(GC、2002年12月19日)にて、MD版の国内初移植が実現した。
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同作には隠しタイトル扱いで国内未発売に終わったMD版『フリッキー』も収録されており、フリッキーシリーズの系譜を体験できる1本でもある。
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アッパー版である『ソニック メガコレクション プラス』(PS2/Xb/Win、2004年12月9日)にも引き続きMD版『フリッキー』ともども収録されている。
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2007年10月19日にはWiiのバーチャルコンソールで、2014年11月27日にはSteamでMD版の単品のダウンロード販売が開始された(Wii版はネットワークサービス終了に伴い現在入手不可)。
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復刻ミニゲーム機の「メガドライブミニ2」の北米版である「SEGA Genesis Mini 2」にMD版が収録されており、日本でも限定販売された。
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一方SS版は一度も移植されていない(海外のPC版はSS版ベースだが、スペシャルステージがさらに変更されている)ため、今となってはSS版の方が却ってレアになってしまっている。
余談
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本作では従来の青色以外にも、赤、ピンク、緑の4色のフリッキーが登場しており、それぞれデザインやソニックについていっていない時の挙動が異なっている。
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このうち赤以外のフリッキーは今作のデザインでアニメ『ソニックX』にも登場している。
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開発中のベータ版にはいくつかボツになったBGMが収録されており、そのうちエッグマンボス戦のボツ曲は『ソニック・ザ・ヘッジホッグ4』のエッグマンボス戦BGMとしてアレンジされて日の目を見ている。
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また、スペシャルステージのボツ曲にはどういうわけかロート製薬の一社提供番組で使用されてたオープニングキャッチそっくりのものが含まれている。
最終更新:2025年09月16日 19:20