オンライン配信によるゲーム内容更新が不定期に行われるため、必ずしも本記事の内容が最新の内容に対応しているとは限りません。アップデートによる評価等の追記は1ヶ月経過してからお願いします。
ドラゴンボール Sparking! ZERO
【どらごんぼーる すぱーきんぐぜろ】
ジャンル
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3D対戦アクション
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対応機種
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PlayStation 5 Xbox Series X/S Windows(Steam)
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発売元
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バンダイナムコエンターテインメント
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開発元
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スパイク・チュンソフト
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発売日
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【PS5/XSX】2024年10月10日 【Win】2024年10月11日
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定価(税込)
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【通常版】8,910円 【デラックスエディション】11,660円 【アルティメットエディション】12,650円 【サウンドアルティメットエディション】14,960円
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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『METEOR』から約17年ぶりの続編 シリーズ最大規模に偽りなしのキャラ数 シリーズの操作性はほぼそのまま オンライン対戦により露呈したバランスの悪さ
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ドラゴンボールシリーズ
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概要
前作『METEOR』から
6216日
(約17年)の月日を経て発売された『Sparking!』シリーズの第4弾。
2023年3月6日開催されたイベント「ドラゴンボールゲームスバトルアワー 2023」において発表された。
先んじて『Sparking!』シリーズの流れを汲む『RAGING BLAST』シリーズが発売されているが、それらの要素はほとんど引き継がれていない。
追加要素
更に増加した参戦キャラクター
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ビルスやジレンといった『超』以降のキャラクターを中心に新キャラクターが大幅増加。
総勢182人
となり前作を更新、シリーズ最大規模となった。
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当初はキャラクター枠が164枠しか発表されていなかったが、後に公開されたPVで
182枠まで限界突破
するというサプライズもあった。
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野沢雅子氏が演じるキャラは
46人
にも及び、さながら
スーパー野沢大戦
と言われる事も。
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更にDLCで『スーパーヒーロー』『DAIMA』のキャラの参戦も内定しており最終的には
総勢200人以上の大所帯
になる事が確定している。
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シリーズの醍醐味であるマニアックなキャラの選出は本作でも健在。力の大会で活躍したベルガモやリブリアン、アニラーザの参戦はファンを驚かせた。
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一からの作り直しにもかかわらずこれだけのキャラを揃える事が出来たのには頭が下がるばかりである。
さらなる戦闘アクションの追加
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「ショートダッシュ」
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通常移動が『METEOR』のダッシュ同等の速度となり、ダッシュボタンで気力を消費して更に素早く移動する「ショートダッシュ」が出せるようになった。
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カウンターアクション「見極め」「超見極め」「リベンジカウンター」
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「見極め」は気力を消費し正面からの打撃を弾ける。スキルストックを消費する「超見極め」はブラスト技も弾き返す事が可能。
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「リベンジカウンター」は攻撃されている最中にワンボタンで喰らい抜けできる。超見極めするとかっこいい演出が発生。
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奇襲攻撃「バニシングアサルト」
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気力を大きく消費し背後に瞬間移動して奇襲を仕掛ける攻撃。『ファイターズ』のバニッシュムーブに近い。
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ド派手なQTE「インパクトアクション」
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従来の撃ち合いと同じ「ブラストインパクト」に加え、「ラッシュインパクト」「パワーインパクト」「スピードインパクト」が追加。ドラゴンボールらしさを弥が上にも盛り上げてくれる。
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システム周り
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「ブラスト1」が「スキル」、「ブラスト2」が「ブラスト」に変更。「ブラストストック」も「スキルストック」に変更された。
エピソードバトル
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悟空・ベジータ・悟飯・ピッコロ・未来トランクス・フリーザ・ゴクウブラック・ジレンの8人の視点から原作を追体験するモード。全員に展開が大きく変わるIFルートが用意されている。
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一部ムービーは一人称視点に変更可能。迫力のあるムービーが味わえる。
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家庭用ゲームにおいて『超』のストーリーが本格的に取り上げられるのは本作が初となる。
対戦モード
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今作では本格的にオンライン対戦に対応しており、複数のルールで対戦できる。
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ランクマッチは勿論、前作にも存在した天下一武道会などに加え、原作通り舞空術が封じられる「力の大会」が新たに追加された。
カスタムバトル
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ルールやイベントを細かく設定して自分だけのドラゴンボールバトルが作れる
スーパードラゴンボールメーカー
。スタッフが用意した高難易度バトル「エクストラバトル」も用意されている。
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対戦相手の設定だけでなく、対戦中に発生するイベントを作成することも可能。イベント限定で非プレイアブルキャラを出すこともできる。
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作成したカスタムバトルはオンラインで公開できる。
全王様のお願い・ウイスのスタンプ帳
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全王様とウイスから依頼されるミッションを達成するとゼニーや称号が取得可能。
プレイヤーレベル
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バトルを繰り返すごとにレベルが上がり、レベルに応じてショップに新たなアイテムが並ぶようになる。神龍に頼めば一気に上昇させる事も可能。
超神龍
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エピソードバトルとアルティメットエディション特典でしか手に入らない超ドラゴンボールから現れる神龍。もらえるゼニーの金額なども他神龍とは桁違いで、コイツ限定の称号も存在する。
コントローラー操作
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従来の「クラシック操作」に加え、初心者でも操作しやすくした「スタンダード操作」と自動的にガードやカウンターを使用してくれる「操作アシスト」が追加。
評価点
シリーズ最高峰のグラフィック・演出
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今作は現在でも現役のPS4やXbox Oneといった前世代機への対応をあえて切ることでグラフィックを大幅進化させており、他ドラゴンボールゲーと比較しても最高峰のグラフィックを実現している。
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演出面も強化され、原作を忠実に再現した変身シーンや前作では評判の悪かった一部技の演出も強化された。スーパージャネンバの移動が原作通りブロック状にバラバラになりながら移動するなど、細かい部分まで表現度が増した。
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対戦時に行われる会話の組み合わせやチームバトルで特定のキャラ達(ギニュー特戦隊など)を選択すると専用会話が発生するなど、作り込みも申し分なし。
さらに洗練されたド迫力のドラゴンボールバトル
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60fps・4K対応になった事もありスピーディーなバトル展開は他のDBゲーの追随を許さない完成度。
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戦闘の自由度も据え置きでさながらキャラになりきっているかのような感覚を味わえる。
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戦闘時の演出もブラッシュアップされている。
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悟空やフリーザの変身シーンも再現度が高く、悟空(中期・Z)の変身は
アニメ版『Z』の初変身を再現し声が低く加工されている
という拘りよう。
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ブロリーは
岩盤叩きつけや悟空へのアッパーといった映画での挙動
を細かく再現しており、映画のファンは爆笑間違いなし。
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特定のキャラ同士でブラストや投げを使用すると原作を再現した特殊な演出が発生する事がある。
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戦闘前後の掛け合いももちろん健在。
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栽培マンをバイオマンと勘違いするDr.ウィロー
など意外な組み合わせも。
エピソードバトルの良質なIF
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『NEO』のIFストーリーはラディッツ編をはじめ名作揃いだったが、本作のIFもそれに匹敵する完成度の高さを誇っている。
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ネタバレ注意
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特にザマスが悟飯の体に寄生した「ゴハンブラック」は人気が高く、操作キャラやコスチュームとして使いたいという声も多い。
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カスタムバトルの自由度の高さ
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イベントで配置できるセリフは5000以上にもなり、文中のワードを変更する事も可能。熱く燃える原作再現イベントから、ハチャメチャが押し寄せてくるギャグ全振りイベントまでなんでもござれ。
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キャラ名はザンギャやパラガスなど本作に登場しないキャラの分も豊富。
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残念ながらボイスはないが、労力を考慮するとこれは仕方ないだろう。
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モード限定のカスタマイズアイテムで敵の動きや強さを細かく設定することも出来、「大幅にパワーアップした敵キャラから逃げ回る」「弱キャラがパワーアップしてボスキャラに下剋上」といったものも作れる。
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エクストラバトルはクリアするとコピーが可能になるので、参考にするといいだろう。
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作成したカスタムバトルは一度クリアすればオンラインで共有が可能。難易度や登場キャラで絞り込んで検索もできる。
ドラゴンボールらしさ溢れるインターフェイス
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メニュー画面は悟空がシームレスに亀ハウス(ショップ)や武道寺(対戦モード)といった世界各地を飛び回る。
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自動車雑誌に見せかけエロ本を読む亀仙人など、眺めるだけでも楽しい。
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キャラクター選択画面で特定のキャラを編成した場合も掛け合いが発生するようになった。
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こちらも意外な組み合わせに会話が用意されている事がある。
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キャラクター図鑑のチチのコメントも健在…どころかなんと
ブルマとビーデルも加わり「女子たちの集い」としてパワーアップ
。
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知らないキャラに適当なコメントを述べたり、超サイヤ人を不良と一蹴するのも相変わらずだが、ブルマやビーデルがフォローに入ることで前作の超サイヤ人系に対する辛辣なコメントが緩和されている。
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ただし少なからず否寄りの意見も存在する(後述)。
オープニングムービー
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シリーズ恒例のハイクオリティなOPは本作でも健在。名曲「限界突破×サバイバー」をバックに、ゴクウブラック・フリーザ・ベビーとシリーズを代表するボスがZ戦士達とバトルを繰り広げる熱い内容になっている。
その他改善点
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『METEOR』では時間帯によって参加できる大会が決まっていたが、本作は時間帯を問わず全ての大会に出場可能。
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天下一武道会ならアナウンサー、力の大会なら全王様という風にキャラが試合を実況してくれるようになった。
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キャラクターはエピソードバトルや大会で解放するのみならず、バトルをこなしたり神龍にお願いする事で手に入るゼニーでも購入できる。購入後他モードで解放するとその分のゼニーが返金される安心設計。
賛否両論点
DPバトルについて
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本作は『METEOR』からパワーインフレが進んだこともありDP(レシオ)については大幅な見直しが行われた。
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その中で『Z』のブロリー(伝説の超サイヤ人)が他の『Z』キャラを差し置いてDP9についている事に違和感を覚えるという人が多い。『超』のブロリー(暴走)に合わせての調整と思われる。
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劇場版において3度に渡り敵として立ちはだかった風格を考えれば合点がいくという擁護もある。
キャラクター選択画面
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『METEOR』のようなリール状の画面から『RAGING BLAST』のような表形式で選択する形となり違和感がある人も。
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当初は『METEOR』のようにキャラの変身先をまとめて表示できず、その点でも批判が多かった。
女子たちの集い
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ブロリーを除く『Z』の劇場版キャラは面識がある設定になっている一方で、『GT』キャラと『Z』のブロリーは初対面の反応をされる。
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ただし、女子たちの集いに登場する三人は『超』設定となっているため、『超』劇場版で新たに設定が起こされたブロリーと『Z』ブロリーはパラレル設定となり、彼女らが知っているのは『超』ブロリーだけと納得のいく部分でもある。『GT』も『超』の時間軸より後の話(またはパラレル)なので説得力はある。
カスタムバトル
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キャラの口調を変える事は不可能。悟空やベジータはともかく、亀仙人やビーデルともなるとしっくり来る口調を選ぶのは難しい。
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口調の概念がない海外の方が作ったイベントは気にしていない場合がほとんど。
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シリアスなイベントだと雰囲気が壊れてしまう可能性がある一方で、世紀末シアターやMADのようなシュールな味が出るという肯定的な意見も。
試合開始の合図が廃止
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ゲームらしさを損ねており残念だと言われる一方で、本来ドラゴンボールのバトルは大会でもない限りこのような合図はないため好意的に捉える人も存在する。
問題点
対戦バランスの悪さ
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バランス自体は『METEOR』から調整はあまりされていないが、Wiiのみという事もあってかあまり問題にはならなかった。昨今のゲームがオンライン対戦メインだったりSNSの発展により顕著に露呈した形と言えるだろう。
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特に顕著だったのがヤジロベー。仙豆で全回復できるという仕様はオンライン対戦とすこぶる相性が悪く、彼の攻略法も確立された。
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あまりの惨状に
ヤジロベーが一人だけ名指しでナーフを食らう
という事態も発生。(参考 AUTOMATON)
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オンライン向けとは言えぬバランスにもかかわらず世界大会を開催したことにも批判が上がっている。
一人用モードの少なさ
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前作ではシムドラゴンやミッション100といった一人用のモードが充実していたが本作ではエピソードバトルとカスタムバトル、対戦モードぐらいしかない。
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強いて言えばカスタムバトルが自由度の高さやオンライン要素もあって無限に遊べるようになっているが、それでも物足りない人もいるだろう。
キャラクターの人選
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無印キャラ全員をはじめ界王神やアプールといったキャラクターがリストラ。特に超17号がGT三大ボスで不参戦となった事はX(旧Twitter)でトレンド入りするほどとなった。
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新登場のキャラクターは『超』からしかおらず、プイプイやヤコンなど原作キャラが新たに欲しかったという意見も。
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また、ベジータ超サイヤ人ゴッド超サイヤ人・進化(キラキラベジータ)がスキル扱いになっているのも不満が多く、一応効果は永久という形ではあるが別枠にして欲しかったという声も多い。
エピソードバトル関連
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シリーズで共通している部分だがバトルに制限時間があり非常に難しい。
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救済措置として難易度を下げることができるがIFルートが見られなくなってしまう。これも、『NEO』から引き継いでしまっている。
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ベジータ伝はなぜか『超』のエピソードが存在しない。
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キャラクター単位でバトルを追体験する形になったため、その他のキャラのバトルは端折られてしまった。
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このためヤムチャはサイヤ人編で死ぬ場面だけが唐突に再現されたり、クリリンもフリーザに殺される場面だけ再現されるなどエピソードが用意されていないキャラの扱いが悪い。
キャラクターのコスチューム関連
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バーダックのデフォルトが『超』の衣装だったり少年悟空がなぜか原作では着ていなかった青インナーを着用している事に批判が多い。
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劇場版第2作の傷のあるブロリー(Z)やボージャック戦での悟飯の衣装など、『METEOR』から削除されたコスチュームもある。
その他の問題点
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シリーズ恒例であったローディング中のミニゲームが削除されてしまった。
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ドラゴンボールはオフラインプレイでしか手に入らない。
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ショップとカスタマイズの往復ができず、わざわざ選択画面まで戻る必要がある。
総評
令和に満を持して復活した『Sparking!』シリーズ。一からの作り直しにもかかわらず、当時ほぼそのままのゲーム性とシリーズ最大規模に偽りなしのキャラクター数を両立できた事は称賛に値する。
しかし現代の視点から見ると厳しい意見も少なくなく、評価が高い作品が復活したからといって、必ずしも現代のプレイヤーに受け入れられるわけではないという難しさを物語っている。
とはいえ現在はオンラインを利用したアップデートがあるので、これからどんどんサイヤ人のように進化するポテンシャルを秘めているとも言える。
「ドラゴンボールのキャラになりきれるゲーム」としての完成度は他の追随を許さず、作り込みの細部からは原作への愛情が感じられる。ドラゴンボールが好きな人にはぜひ一度プレイしてほしい作品だ。
余談
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本作発売前には古谷徹氏が諸事情によりヤムチャ役を降板しており、本作が古谷氏演じるヤムチャが登場する最後の作品となった。
最終更新:2025年01月23日 16:24