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Mozilla Firefox
▲Firefoxのロゴ
Mozilla Firefox は、Mozilla Foundationおよびその傘下のMozilla Corporationによって開発されている、フリーかつオープンソースの
ウェブブラウザ
である。
単に
Firefox と呼ばれる他、fire, foxをそれぞれ和訳して
火狐 とも呼ばれる。
▲Windows上で動作するFirefox 89.0のスクリーンショット
各種データ
開発者
Mozilla Foundation , Mozilla Corporation , コミュニティ
開発状況
開発中
初版
2002年9月23日(0.1 "Pescadero")
最新版
通常版:119.0 / 2023年10月24日 ESR:115.4.0esr / 2023年10月24日
最新評価版
Beta / Developer Edition:120.0beta / 2023年10月24日 以降 週に3回リリース Nightly:121.0a1 / 2023年10月23日 以降 毎日リリース
リポジトリ
https://hg.mozilla.org/mozilla-central/
プログラミング言語
C++ , C言語 , Rust , JavaScript , HTML , CSS
対応OS
クロスプラットフォーム
使用エンジン
HTMLレンダリング:Gecko(iOS版以外), WebKit(iOS版のみ) JavaScript:SpiderMonkey
対応言語
97言語
ライセンス
Mozilla Public License 2.0
ウェブサイト
https://www.mozilla.org/ja/firefox/
概要
Firefoxでは、アドオン(拡張機能)をインストールすることで機能を追加することができる。
また、テーマをインストールすることで色や背景画像を変えることができる。
Firefox 57(Quantum)以降カスタマイズ性は従来より低下したが、未だに高いカスタマイズ性を維持している。
営利企業であるGoogleやAppleとは異なりMozillaは非営利組織であるため、利益の為ではなくユーザーの為に開発が行われている。
Mozillaはプライバシーを重視しており、Firefoxにはプライベートブラウジング機能の他に強化型トラッキング防止機能などが標準搭載され、ユーザーのプライバシーを強力に保護する。
Firefoxは、HTML、XML、XHTML、SVG 1.1(一部)、CSS、JavaScript、DOM、MathML、DTD、XSLT、XPath, アルファ合成を含むPNGなど、多くのウェブ標準をサポートしている。
Net Applicationsのデータによると、2019年6月〜2020年5月の世界全体でのシェアは7%程度とされる。
Gecko
Gecko(ゲッコー)は、Netscapeシリーズ 6以降およびMozillaソフトウェアの為に開発されたオープンソースのHTMLレンダリングエンジンで、HTMLやCSSの他に、XULなどを解釈する。
英語でGeckoはトッケイヤモリという意味である。
当初、Mozillaは1998年に公開されたNetscape 5.0へ向けて開発中だったソースコードを元に開発されていたが、そのレンダリングエンジンは軽量とは言い難く、軽量化の為に当時買収したDigital Style社のエンジンをベースにして新たなエンジンとしてGeckoが書かれた。
W3Cによる勧告に合致することを目標に作成されており、1.9系列からはWeb Standards ProjectがCSS 2.1のテストとして用意したAcid2に合格している。
FirefoxのJavaScriptエンジンであるSpiderMonkeyはGeckoをホスト環境としている。
また、GeckoはFirefox以外にもThunderbirdなどでも採用されている。
2017年11月にリリースされたFirefox 57以降、Mozilla Researchによって開発されているウェブブラウザ用レイアウトエンジン、Servoの技術が取り込まれている。
Servoでは、多くのコンポーネントが独立したタスクによって処理され、GPUアクセラレーションによって更に速くウェブページをレンダリングすることが出来る。
GeckoはC++とJavaScriptで記述されており、Rustで記述されているServoの技術を取り込み始めてからは、Rustでも記述されている。
リリースサイクル
MozillaはFirefox 4のリリース以降、Googleの開発しているGoogle Chromeのようにラピッドリリースを行うと発表した。
Firefox 4の13週間後の2011年6月21日(米国時間)にFirefox 5がリリースされた。
2011年のFirefox 6以降、基本的に6週間毎に最新版がリリースされていたが、2016年より6〜8週間の間隔での休日に合わせた不規則なリリーススケジュールとなり、2019年後半からは4週間毎のリリースとなっている。
なお、例外的にFirefox 5から6の間は8週間、Firefox 17から18の間は7週間、88から89の間と89から90の間は6週間を要している。
ラピッドリリース移行後、以下の5種類のエディションがリリースされるようになった。
Firefox ESR(延長サポート版)
Firefox(正式版)
Firefox Beta(ベータ版)
Firefox Developer Edition
Firefox Nightly(アルファ版)
下の物ほど不安定で更新頻度が高く、Beta(ベータ版)では正式版の次のバージョン(Developer Editionはベータ版と同じバージョン)、Nightly(アルファ版)ではベータ版の次のバージョンが開発されている。
開発中の新機能の追加は主にアルファ版で行われ、ベータ版では基本的にアルファ版で加えられた変更へ安定性や互換性の修正が行われる。
このラピッドリリースの開始に伴い、一部企業や自治体などでのブラウザサポートに不安が生じたことから、延長サポート版となるESR(Extended Support Release)が用意されることになった。
最初のESRはFirefox 10となり、以降正式版リリース8回程度のペースでESRがリリースされている。
ESRは新バージョンのリリースから約12か月半(13サイクル程度)の期間、そのバージョンのサポートが行われる。
その間、通常リリースと同様の4週間毎に、セキュリティ問題の修正のみのマイナーリリースが行われる。
また、新バージョンの導入前に検証を行えるよう、新バージョンの公開から旧バージョンのサポート終了までに3サイクル程度の重複期間が設けられている。
ESRが用意されるのはWindows版、Mac版、Linux版のみ。
バージョンの変遷
歴史
1998年
当時はNetscapeが9割近くのシェアを持っていたが、MicrosoftのInternet Explorerが無料でかつMicrosoft Windowsにバンドルされていたために、凄まじい勢いでシェアを獲得しつつあった。
1998年1月22日、NetscapeはNetscape Communicator 5.0のソースコードを公開し、オープンソース化することを発表。
1998年2月23日、Netscapeが公開するオープンソースコードを共同開発するためにmozilla.orgが立ち上げられた。
そして1998年3月31日、Netscape Communicator 5.0のソースコードが公開された。
2002-2003年
オープンソースとして開発されたMozilla Application Suiteは、Netscape Communicatorと同様にウェブブラウザ機能やメール・ニュース機能、ウェブページ作成機能など多くの機能を含んでいた為、動作が重くソースコードも複雑だった。
そこで2002年中頃から、Mozilla Application Suiteも開発を継続しながら、ウェブブラウザ部分(現在のMozilla Firefox)とメール・ニュース部分(現在のMozilla Thunderbird)を個別に開発することになった。
この戦略には、Appleが2003年1月にリリースしたウェブブラウザであるSafariのレンダリングエンジンに、Mozilla Organizationの開発しているGeckoではなく、
KDE
プロジェクトが開発しているレンダリングエンジンである
KHTML をベースとしたWebKitを採用したことも絡んでいるとされる。
アプリケーションスイートとして開発されていたMozillaには「軽量・高速性」は満たせなかった。
こうして誕生した軽量なブラウザはPhoenixと名付けられ、2002年9月にリリースされた最初のバージョン0.1から0.5まで用いられた。
しかし、この名称はPhoenix Technologies社の商標権を侵害することが判明したため、変更しなくてはならなくなった。
ユーザからどのような名称がよいかなどを投票で集め、かつ商標権に抵触しない名称を考慮した結果、Firebirdという名称が採用されることとなった。
プロダクト名としてのPhoenixは放棄されるも、開発ロードマップ上は、継続的にPhoenixという名称が使用された。
しかし、Firebirdという名称は、Mozillaと同じくオープンソースで開発されている関係データベースプロジェクトの名称であることが判明し、同データベースプロジェクトからMozilla Organizationに攻撃的な強い苦情があった。
これを受けて、Mozilla OrganizationはMozilla Brandingというブランディング戦略を発表した。
Mozillaプロジェクトはメインで開発しているMozillaを1.4まで開発する。 その後はFirebirdおよび同じくMozilla派生のスタンドアロンメーラ、Thunderbirdをメインに開発していく。
開発体制がシフトしたあとは、Firebird/ThunderbirdはそれぞれMozilla Browser/Mozilla Mailと名称を変えて開発していく。
それまでの措置としてFirebird/ThunderbirdをMozilla Firebird/Mozilla Thunderbirdと呼ぶ。
このブランディング戦略によりデータベースのFirebirdプロジェクトとの名称問題は沈静化し、2003年5月にはFirebirdとして初のリリースとなる0.6が登場した。
しかし、Firebirdという名前は一時的なものとなったはずだったが、Mozilla 1.4がリリースされた後もMozilla Browserに
名称変更 が行われる気配がなかった。
これはFirebirdの完成度がメインプロダクトとして機能するほど充分な状態になかったことが原因であった。
2003年5月末に起こったAOLとMicrosoftの和解により、AOL傘下のNetscapeとMicrosoft間で起こっていた反トラスト法訴訟などがすべて取り下げられた。
また、同時にInternet Explorerを数年に渡りロイヤリティフリーで使うという契約を結んだことにより、ブラウザを提供するNetscapeとそのコードベースになっているMozillaの存在価値が危うくなった。
そこで、Mozillaの開発を支援する為、2003年7月にMozilla OrganizationはAOLから資金提供を受けてMozilla Foundationが設立された。
Mozilla FoundationはそれまでNetscape社がリリースしたもののサポートを含め、Mozillaをその後もリリースしていかなくてはならなくなった。
これにより4月に発表されたブランド戦略における「Mozilla Firebird/Thunderbirdへの開発体制移行」が閉ざされてしまい、一時的とされていたFirebirdという名称を使い続けることに対する懸念が生まれた。
その為、同年11月頃から開発チームによって新たな名称への変更をする為の動きが水面下で行われた。
商標に関するトラブルはもちろん、他のプロジェクトで使われている名称との衝突を避けるため、念入りにリサーチが行われた結果、Mozilla Firefoxという名称がこのブラウザの正式名称となることが決定した。
名称の由来はレッサーパンダ (Red Panda) の別名からきている。
2004年
Firefox 1.0がリリースされ、それから9か月間で6000万回ダウンロードされるという成功をおさめ、初めてInternet Explorer 6の牙城を崩したブラウザとなった。
また、Firefox 1.0に合わせ、Google社とデフォルトサーチ契約に合意した。
Firefoxのデフォルトの検索エンジンはGoogleになり、Mozilla FoundationはGoogleから資金を獲得する。
2006年時点で、Mozilla Foundationは全体収益の85%をこの契約に依存していた。
2011年
Googleの開発しているGoogle Chromeのようにラピッドリリースを行うと発表し、Firefox 5以降はラピッドリリースが行われるようになった。
Google社とのデフォルトサーチ契約が、2011年11月に更新されないまま期限切れした為、Firefoxの開発に対する不安が囁かれたが、同年12月には再契約に合意した。
2014年
米国版のデフォルト検索をGoogleからYahoo!に変更することで米Yahoo!と合意、5年間の戦略的提携を結んだ。
これにより、Google社とのデフォルトサーチ契約は更新されずに期限切れした。
また、Firefox OSへの注力やWindows 8 (Metro-style) 版の開発中止、共同創設者Brendan Eichの政治献金問題などで混乱した。
2017年
Firefox Quantumというブランドネームが付けられた大型アップデート、Firefox 57がリリースされた。
Mozillaは、Firefox Quantumは「約1年前に登場したFirefox 52よりも、約2倍高速なブラウザに仕上がっている」「Chromeより30%軽量である」としている。
Firefox Quantumでは、パフォーマンス、安定性、セキュリティを向上させる為に、XULを廃止してWebExtensionsに移行した。
これにより、Firefoxの特徴であった拡張性が制限され、旧来のアドオンが使用不可となり、リリース前からユーザーからの大きな反発を招いた。
その一方で、これまでと比較して大きく高速化を果たしたFirefox Quantumは、リリース後は予想以上の高速性によって好意的に捉えられることも多くなった。
窓の杜の記事では、旧式のアドオンが使えなくなるなどの問題はあるが、Firefox Quantumが成し遂げたパフォーマンスの向上はその欠点を補って余りあるとしている。
Webdesigner Depotの記事では、Firefox QuantumはChromeよりも高速であり、Mozillaの「前年比2倍」の表現さえ控えめなものだとしている。
また、Diggによる2015年製のMacBook Airを用いたテストでは、Firefox QuantumはChromeより消費メモリが40%少なかったとしている。
2021年
Firefox 89よりProton UIが標準で適用され、デザインが大幅に変更された。
タブが大きくなりツールバーの上に浮かぶようなデザインになった他、アイコンとフォントの変更、利用実態に合わせたツールバーとメニューの整理、通知とアラートの簡潔化などが施されている。
Firefox 78.11.0 ESR(以前のデザイン)
Firefox 89(Proton UI)
マーケティング
Mozilla Japanは狐をモチーフとした公認のマスコット「フォクすけ」をプロモーションに使用しており、Firefox 3公開時には日本では「今度のキツネは爆速だぜ」というコピーを含んだ広告を山手線、中央線内で流した。
派生ブラウザ
ソフトフォーク
Floorp
日本の学生コミュニティである
Ablaze
によって開発・メンテナンスされている、Mozilla FirefoxのESR(Extended Support Release、延長サポート版)をベースとする多機能なオープンソースのウェブブラウザ。Windows / macOS / Linuxに対応する。 XPCOM / XULに基づくレガシーアドオンにも部分的に対応しているが、基本的にはブラウザ自体がフレキシブルであることによってカスタマイズ性を維持すべきという姿勢。
Floorp 11のスクリーンショット
Waterfox Firefox ESRをベースとする派生ブラウザ。かつては64bit環境に最適化したFirefoxのビルドを提供していた。 XPCOM / XULに基づくレガシーアドオンに部分的に対応している。
公式サイト
Pulse Browser スパイウェアのブロックとカスタマイズ性を特徴とする。生産性の向上を目指した実験的なフォークであるとしている。
公式サイト
Mercury Browser コンパイラの最適化を徹底し、Firefoxよりも8~20%程度パフォーマンスを向上させた派生ブラウザ。
公式サイト
ハードフォーク
Pale Moon Firefox 29でAustralisが採用されたのをきっかけにFirefoxからハードフォークされ、現在はGoannaレンダリングエンジンを採用するブラウザ。XULを独自にメンテナンスするなど古い機能を多くサポートしているが、開発のリソースが不足しておりセキュリティ面は脆弱である。
公式サイト
Basilisk Firefox 57(Quantum)で廃止されたXULアドオンなど多くの機能をサポートする、レンダリングエンジンにGoannaを採用したブラウザ。WebRTCやCSS3、HTML5などのモダンな技術のサポートを進めているが、Pale Moonから独立して以降もセキュリティ面は依然として脆弱である。
公式サイト
Waterfox Classic 古いシステムやXPCOM / XULアドオンを必要とするシステム用の、古いGeckoレンダリングエンジンに基づいたブラウザ。Firefox 57(Quantum)で廃止された多くの機能をサポートしているが、Firefoxとの差異が拡大しておりパッチの多くを適用できず、セキュリティ面は脆弱である。
公式サイト
ギャラリー
Firefox 89(Proton UI・Darkテーマ)
Firefox 89(Proton UI・Alpenglowテーマ)
サードパーティ製テーマの例
Blue Dark Themes(Firefox 89・Proton UI)
外部リンク
関連項目
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