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Fedora

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Fedora

Fedoraは、Red Hat社が支援するコミュニティー、Fedora Projectによって開発されている、Red Hat系のLinuxディストリビューションである。
Fedora Core 6まではFedora Coreと呼ばれていた。

▲デスクトップ画面(Fedora 32)
各種データ
開発者 Fedora Project
系統 Red Hat系
開発状況 開発中
初版 2003年11月16日
最新版 34 / 2021年4月27日 *1
アップデート方式 DNF , Yum
パッケージ管理 RPM
カーネル Linux
デスクトップ環境 GNOME
ライセンス 様々
ウェブサイト https://getfedora.org/ja/

概要

Fedoraの前身であるRed Hat Linuxには、サポートのある有料版とサポートのない無料版があったが、Red Hat社がRed Hat Linuxの開発を終了して有料のRed Hat Enterprise Linux(RHEL)のみをリリースすることが決定した為、無料版の提供を引き継ぐ形でFedora Projectが結成された。

Fedoraは最新の技術を積極的に取り込む事で知られており、コミュニティ主導で開発されてはいるが、その成果がRHELに取り込まれるなど、RHELに搭載する前の新機能の検証という役目も担っている。

現在はRawhideと呼ばれるローリングリリース版も用意している。
また開発目的として「rapid progress of Free and Open Source software(フリー/オープンソースソフトウェアの世界を迅速に発展させること)」を謳っており、フリーソフトウェアを厳格に重視した一面も持っている。

パッケージ管理ツールにはDNFとYellowdog Updater Modified(Yum)が採用されている。
Fedora 22よりYumは段階的にDNFへと置き換えられており、将来的には廃止される予定になっている。

Fedora Core 4まではYumに加えて、Red Hat Linux / RHELのパッケージ更新ツール「Up2date」も利用可能であったが、Fedora Core 5で削除されている。

リポジトリ

初めから利用できる公式のリポジトリの他に、RPM FusionやLivna等のコミュニティによって運営されているリポジトリ、AdobeやDropboxなどのサードパーティー製リポジトリもある。

Fedora Extras

Fedora 7以前にはRed Hatの開発者により運営される公式リポジトリ、Fedora Core(ディストリビューション名ではなくリポジトリ名)とは別に、コミュニティで運営されるFedora Extrasというリポジトリが存在した。
中核のパッケージはCoreで提供し、Extrasでは「追加パッケージ」を提供する位置付けであった。

新規パッケージが簡単に追加できたため、従来非公式なリポジトリで提供されていた数多くのパッケージがここに収録された。

当初はCoreしかリポジトリ登録されていなかったが、Fedora Core 3以降ではExtrasも利用可能となった。
Fedora Core 4以降はYumにデフォルトで登録され、インストールすればすぐ利用できるようになっていた。

Fedora 7でCoreと統合され、同時に名称が現在のFedoraに変更された。

RPM Fusion

Core統合後もFedoraの「フリーソフトウェア精神」に反する、あるいはアメリカ国内法に違反する恐れがあるために収録が見送られたコミュニティベースのリポジトリには「Dribble」「Freshrpms」「Livna」があったが、2008年にごく一部のパッケージを残してRPM Fusionとして統合された。
これらはFedora本体とは無関係にメンテナンスされている非公式のリポジトリである。

オープンソースの「free」とそれ以外の「nonfree」に分かれてメンテナンスされており、後者には主にGPUドライバなどのプロプライエタリソフトウェア、またはMP3や動画再生関連のライブラリなどが収録されている。

リリース

Fedoraのサポートは、2つ先のバージョンがリリースされてから1ヶ月後に終了する。
例えば、Fedora 12は2009年11月にリリースされたが、その2つ前のバージョンであるFedora 10はその1ヶ月後の2009年12月にサポートを終えた。

バージョンアップは概ね半年ごとに行われているため、リリースされてから約13ヶ月後にサポートが終了する傾向にある。



サポート終了済み

+ ...
バージョン リリース日 サポート期限 カーネルバージョン 主な変更点
Fedora Core 1 Yarrow 2003年11月6日 2004年9月20日 2.4.22 Yumによる自動アップデート、ACPIやcpufreqをサポート、
プレリンクによってRed Hat Linux 9よりプログラムの起動時間を短縮、
NPTLに対応したカーネルを採用
Fedora Core 2 Tettnang 2004年5月17日 2005年4月11日 2.6.5 強制アクセス制御であるSELinuxの実装、デフォルトの
インプットメソッドフレームワークにIIIMFを採用
Fedora Core 3 Heidelberg 2004年11月8日 2006年1月16日 2.6.9 ブートローダをLILOからGRUBに変更、ウェブブラウザに Mozilla Firefox を採用、
SELinuxが既定で有効になるように設定を変更
Fedora Core 4 Stentz 2005年6月13日 2006年8月7日 2.6.11 準備期間にLinuxカーネルの不具合が発見された為、大幅にリリースが遅れた
PowerPCに対応
Fedora Core 5 Bordeaux 2006年3月20日 2007年7月2日 2.6.15 GCC 4.1、GNOME 2.14を採用、Fedora Core 4で不十分だったXenのサポートを改善、
デフォルトのインプットメソッドフレームワークをIIIMFからSCIMに変更、
かな漢字変換エンジンにAnthyを採用、オープンソースの.NET処理系であるMonoを収録、
その他無線LANサポート、電源管理、ソフトウェアサスペンド、Beagleの追加など様々な改良
Fedora Core 6 Zod 2006年10月24日 2007年12月7日 2.6.18 GNOME 2.16を採用、ウィンドウマネージャにCompiz(AIGLX上で動作)を採用、
インストーラAnacondaに大幅な改善。Intel Macに対応
Fedora 7 Moonshine 2007年5月31日 2008年6月13日 2.6.21 Fedora CoreがFedora Extrasを吸収してパッケージ分類が一本化、OSの名称はFedoraに変更
ディスクイメージがDVDのみとなり、CDについてはLiveCDのみ配布
GNOME 2.18、 KDE 3.5.6、Xorg 7.2.0を採用
Fedora 8 Werewolf 2007年11月8日 2009年1月7日 2.6.23 オープンソースのJava開発環境「IcedTea」を収録
GNOME 2.20.1、KDE 3.5.8、Xorg 7.3.0を採用
Fedora 9 Sulphur 2008年5月14日 2009年7月10日 2.6.25 ext4ファイルシステムをサポート、インストール時のパーティションサイズ変更機能を追加
GNOME 2.21、KDE 4.0を採用
Fedora 10 Cambridge 2008年11月25日 2009年12月17日 2.6.27 無線LAN接続やモバイルブロードバンド接続を他のユーザーと無線LANで共有出来る機能を
搭載、仮想化の強化、OS起動の高速化
GNOME 2.24.1、OpenOffice.org 3.0、GIMP 2.6を採用
Fedora 11 Leonidas 2009年6月9日 2010年6月25日 2.6.29
Fedora 12 Constantine 2009年11月17日 2010年12月2日 2.6.31
Fedora 13 Goddard 2010年5月25日 2011年6月24日 2.6.33 PowerPC非対応になる
Fedora 14 Laughlin 2010年11月2日 2011年12月9日 2.6.35
Fedora 15 Lovelock 2011年5月24日 2012年6月26日 2.6.38 GNOME 3を採用
Fedora 16 Verne 2011年11月8日 2013年2月12日 3.1 GNOME 3.2を採用
Fedora 17 Beefy Miracle 2012年5月29日 2013年7月30日 3.3.4 GNOME 3.4を採用
Fedora 18 Spherical Cow 2013年1月15日 2014年1月14日 3.6.10 試験的なパッケージ管理システムとしてDNFを導入
GNOME 3.6を採用
Fedora 19 Schrödinger's Cat 2013年7月2日 2015年1月6日 3.9.5 GNOME 3.8を採用
Fedora 20 Heisenbug 2013年12月17日 2015年6月23日 3.11.10 GNOME 3.10を採用
Fedora 21 2014年12月9日 2015年12月1日 3.17 「Fedora.next」構想に基づきデスクトップ / サーバ / クラウド向けにプロジェクトを提供
コードネームを廃止、GNOME 3.14を採用
Fedora 22 2015年5月26日 2016年7月19日 4.0 標準のパッケージ管理システムとして、DNFを採用
GNOME 3.16を採用
Fedora 23 2015年11月3日 2016年12月20日 4.2 新しいウィンドウシステム、Waylandがオプションで利用可能になった
GNOME 3.18を採用
Fedora 24 2016年6月21日 2017年8月8日 4.5.7 1度ビルドしたデスクトップアプリケーションを他のLinuxディストリビューション上でも
インストール / 動作可能な状態にするFlatpak機能を追加
GNOME 3.20を採用、6月30日にLinux 4.6.3へのバージョンアップのパッチを追加
Fedora 25 2016年11月22日 2017年12月12日 4.8 Waylandを正式実装、Docker1.12に対応し、プログラミング言語のRustを正式サポート
GNOME 3.22を採用
Fedora 26 2017年7月11日 2018年5月29日 4.11.8 パッケージマネージャがDNF-2.0となり、コンパイラの標準がGCC 7となった
GNOME 3.24を採用
Fedoraの開発の遅れを緩和する為、Fedora ProjectはFedora 26をもってアルファ版の提供を
取りやめた
Fedora 27 2017年11月14日 2018年11月27日 4.13 「Workstation」エディションと「Atomic」エディションをリリース、
アプリケーションとディストリビューションのライフサイクルを分離する為、モジュラー化
GNOME 3.26を採用、32bitのUEFIに対応
12月11日にサーバー向けの「Server classic」エディションをリリース
「Server classic」はモジュラー化の作業は継続されるものの、現段階ではモジュラー化せず、
基本的には従来のFedora Serverとは別のパッケージリポジトリとして開発する方針
Fedora 28 2018年5月1日 2019年5月29日 4.16 Thuderboltデバイスに安全に接続するためのシステムデーモンboltd、デバイス接続に必要な
GNOME Shellの変更などを行い、Thunderbolt 3に対応
「Server」エディションでは、デフォルトのリポジトリで提供されるソフトウェアとは異なる
バージョンのソフトウェアを提供するModularリポジトリを導入
GNOME 3.28を採用
Fedora 29 2018年10月30日 2019年11月26日 4.18 全エディションでModularリポジトリを導入、GNOME 3.30を採用
Fedora 30 2019年4月29日 2020年5月26日 5.0 GNOME 3.32を採用
Fedora 31 2019年10月29日 2020年11月24日 5.3 GNOME 3.34を採用、32bit非対応になる
Fedora 32 2020年4月28日 2021年5月25日 5.6 GNOME 3.36を採用

サポート期間中

バージョン リリース日 サポート期限 カーネルバージョン 主な変更点
Fedora 33 2020年10月27日 - 5.8 GNOME 3.38を採用
Fedora 34 2021年4月27日 - 5.11 GNOME 40を採用

非難

2007年2月、OSIの創設者であるエリック・レイモンドはFedoraの開発メーリングリストに「Goodbye, Fedora」と題するメールを投稿した。
ガバナンスがうまくいっていない、RPM開発を停滞させておりYumを遅くバグの多いままにしている、プロプライエタリなフォーマット非対応の問題が処理できていない等の非難があり、近年台頭してきたUbuntuへの支持が表明された。

これは大きな議論を引き起こした。
Red Hatのグレッグ・デ・コーニグズバーグはFedoraとUbuntuの方向性の違いを指摘し、Ubuntuがプロプライエタリなコードをサポートしていることで多くの犠牲を払っていると反論している。

関連プロジェクト

活動中

Fedora EPEL
Fedora EPEL(正式名称:Extra Packages for Enterprise Linux)は、Red Hat Enterprise LinuxでFedoraと同等環境を実現する、信頼性の高いパッケージを提供するRHEL用レポジトリ。
目標のFedoraと同等環境にはほど遠いものの、多数の有用なパッケージが収録されている。

活動停止

Fedora Core / Extras
Fedora Extras」を参照

Fedora Legacy
既に公式サポートが終了したRed Hat Linuxと、版ごとに順次公式サポートを終了するFedora Coreに向けて、セキュリティ問題を解決する更新パッケージを提供していた。
更新ツールにはUp2dateではなくYumを用いていた為、Red Hat Linuxを自動更新したい場合はYumパッケージをインストールして設定する必要があった。

プロジェクトは慢性的な人手不足に悩まされ、メンテナンス期間中のFedora Coreに比べてアップデートの提供スピードや頻度は低かった。

2006年12月30日にプロジェクトの終了が発表され、2007年2月9日にプロジェクトは解散した。

派生ディストリビューション

FascodeNetwork(日本)がFedoraをベースとしたディストリビューション、SereneLinuxを開発している。

また、北朝鮮が開発するRed Star OSはFedoraをベースとしているとされる。

外部リンク


脚注に記載されているウェブサイトへのリンク


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  • コメントログ作成 - 名無しさん (2020-05-26 12:40:51)

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注釈

*1 出典:Fedora Magazine - Guides, information, and news about the Fedora operating system for users, developers, system administrators, and community members.