Apache OpenOffice
▲Apache OpenOfficeのロゴ
Apache OpenOfficeは、Apacheソフトウェア財団が開発・提供している、オープンソースでフリーソフトウェアのオフィススイートである。
OpenOffice.orgとIBM Lotus Symphonyの後継プロジェクトであり、分派したLibreOffice、NeoOfficeなどとは親戚関係にあたる。
OpenOffice.orgとIBM Lotus Symphonyの後継プロジェクトであり、分派したLibreOffice、NeoOfficeなどとは親戚関係にあたる。

▲Apache OpenOffice 4.0.0 Writer
各種データ
各種データ
開発者 | Apacheソフトウェア財団 |
開発状況 | 開発中 |
初版 | 2012年5月8日(3.4.0) |
最新版 | 4.1.10 / 2021年5月4日 |
リポジトリ | https://gitbox.apache.org/repos/asf?p=openoffice.git |
プログラミング言語 | C++ , Java |
対応OS | クロスプラットフォーム |
対応言語 | 41言語 (*1) |
ライセンス | Apache License 2.0 |
ウェブサイト | https://www.openoffice.org/ja/ |
概要
Apache OpenOfficeは、ワープロ(Writer)、表計算(Calc)、プレゼンテーション(Impress)、ベクタードローツール(Draw)、データベース(Base)、数式エディタ(Math)で構成され、41の言語で利用出来る。
標準ファイル形式には、ISO/IECの国際標準規格であるオープンドキュメント形式(OpenDocument Format、ODF)が利用されている。
Microsoft Officeで作成したファイルや、その他様々なファイル形式の読み込みや書き込みにも対応しているが、LibreOfficeとは異なり、Microsoft Office 2007以降で使用されるOffice Open XMLの書き出しには対応しておらず、読み込みのみが可能である。
Microsoft Officeで作成したファイルや、その他様々なファイル形式の読み込みや書き込みにも対応しているが、LibreOfficeとは異なり、Microsoft Office 2007以降で使用されるOffice Open XMLの書き出しには対応しておらず、読み込みのみが可能である。
Apache OpenOfficeはApache Licenseの元にリリースされ、Windows、Linux、macOS向けに開発されているが、他のOSにも移植されている。
最初のリリースは2012年5月8日にリリースされた3.4.0で、新機能が追加された最新リリースは2014年にリリースされた4.1である。
それ以降は年に1〜2回のペースで、バグ修正と辞書のアップデート、まれに機能改善を含むマイナーアップデートをリリースしている。
それ以降は年に1〜2回のペースで、バグ修正と辞書のアップデート、まれに機能改善を含むマイナーアップデートをリリースしている。
開発状況
2010年にOpenOffice.orgから派生し、事実上の後継の1つとなったLibreOfficeの開発と比較すると、Apache OpenOfficeの活動の活発さは約50分の1となっている。
これは、Apache OpenOfficeプロジェクトの存続に必要な開発者を確保出来ない状況が慢性的に続いている為で、開発の遅延が恒常化、脆弱性の修正にも迅速に対応出来ない状況に陥っている。
2015年1月には、開発者がおらずソースコードの追加、修正も出来ない状況が報告され、2016年9月1日には、プロジェクト終了の提案がなされた。
2015年1月には、開発者がおらずソースコードの追加、修正も出来ない状況が報告され、2016年9月1日には、プロジェクト終了の提案がなされた。
開発者不足の主な原因は、OracleによるSun Microsystems買収をきっかけに、OpenOffice.orgプロジェクトの主要メンバーらが離脱してLibreOfficeの開発に移っており、立ち上げ当初から開発者が不足していた為である。
歴史
2010年1月27日にOpenOffice.orgの開発元で権利者であったSun Microsystemsを買収したOracleは、2011年4月15日にOpenOffice.orgは非営利団体が管理するのが望ましいとする声明を発表し、2011年6月1日にApacheソフトウェア財団にソースコードの提供を提案した。
Apacheソフトウェア財団は投票を行い、2011年6月13日の開票結果を受けてApacheのインキュベータープロジェクトとして承認した。
これにより、Apache OpenOfficeプロジェクトが開始され、Apache財団の規定に沿うようにソースコードの確認や改修が行われた。
これにより、Apache OpenOfficeプロジェクトが開始され、Apache財団の規定に沿うようにソースコードの確認や改修が行われた。
2011年7月14日、IBMはLotus SymphonyのソースコードをApache OpenOfficeプロジェクトへ寄贈することを発表し、2013年の初頭にLotus Symphony使用者に同ソフトへの移行を促す計画が発表されている。
2011年11月17日、正式なブランド名についての投票結果により名称は「Apache OpenOffice」と決定され、2012年5月8日にApache OpenOffice最初の正式版、3.4.0の提供が開始された。
▲StarOfficeとOpenOffice.orgの主な派生品のタイムライン(拡大)。青緑色で示されているのがApache OpenOfficeである。
LibreOfficeとの関係
LibreOfficeはApache OpenOfficeの成果物の多くを取り込んでいるが、LibreOfficeからApache OpenOfficeへのソースコードの移植はほぼ不可能である。
これは、LibreOfficeは主にMPL v2.0である一方、Apache OpenOfficeはApache License 2.0であり、ライセンスの互換性がない為である。
これは、LibreOfficeは主にMPL v2.0である一方、Apache OpenOfficeはApache License 2.0であり、ライセンスの互換性がない為である。
2020年10月12日、The Document FoundationはApache OpenOfficeへの公開書簡を発表し、Apache OpenOfficeより必要とされる多くの機能を備え、最新で専門的なサポートを提供している後継、LibreOfficeの存在をユーザーへ認識させることを求めた。(*2)
TDFは現状、Apache OpenOfficeは開発の遅延が恒常化し、2014年以来1度もメジャーリリースが無いにもかかわらず、OpenOffice.orgから受け継いだ知名度の高い「OpenOffice」ブランドを所有・使用していることで、「OpenOffice」は知っていてもLibreOfficeを知らないユーザーが、強力で最新かつよく維持されたLibreOfficeよりApache OpenOfficeを利用し続けているとし、これは新しいユーザーを支援する為の提案であるとしている。
2020年12月9日には、Apple Silicon搭載のmasOS Big Sur端末においてApache OpenOfficeでdocx形式のファイルを開くとアプリケーションがクラッシュするという不具合をLibreOfficeの開発チームが指摘し、ユーザーにLibreOfficeに乗り換えるよう呼びかけた。(*3)
この不具合について、Apacheソフトウェア財団は翌年1月6日にようやく近日中にアップデートを提供すると発表した(*4)が、この不具合の修正が含まれる「Apache OpenOffice 4.1.9」のリリースは発表より更に1ヶ月後の2月9日となった。(*5)
機能
OpenOffice Basic
Apache OpenOfficeには、Microsoft Visual Basic for Applications(VBA)と同様のプログラミング言語であるOpenOffice Basicが含まれており、Microsoft VBAマクロをサポートしている。
OpenOffice Basicは、Writer、Calc、Draw、Impress、Baseで利用出来る。
OpenOffice Basicは、Writer、Calc、Draw、Impress、Baseで利用出来る。
Javaの使用
Apache OpenOfficeは、OpenOffice.orgのようにJava仮想マシンをインストーラーにバンドルしていないが、全ての機能を利用するにはJavaが必要となっている。
リリース
Apache OpenOfficeは、一定のリリースサイクルを持たず、リリースの準備が完了した時点でリリースされる。
主なバージョン | リリース日 | 主な変更点 |
3.4.0 | 2012年5月8日 | ソースコードの改修、パフォーマンスの改善、ODF1.2の暗号化のサポートと強化、CSVエクスポートの改善、他 |
3.4.1 | 2012年8月23日 | 追加言語のサポート、バグ修正、パフォーマンスの向上、Windows 8の互換性の強化 |
4.0.0 | 2013年7月23日 | サイドバーの追加、IBM Lotus Symphonyのマージ、他 |
4.0.1 | 2013年9月29日 | 追加言語の翻訳、バグ修正、パフォーマンスの向上、Windows 8の互換性の強化など |
4.1.0 | 2014年4月29日 | 新機能の追加、追加言語のサポート、バグ修正 |
4.1.1 | 2014年8月21日 | バグ修正、カタルーニャ語をサポート |
4.1.2 | 2015年10月28日 | バグ修正、WebDAVサポートの強化、ファイルロックのサポート、PDFエクスポートダイアログのデザイン見直し |
4.1.3 | 2016年10月16日 | 2015年10月20日に報告された脆弱性の修正 |
4.1.4 | 2017年10月19日 | 不具合やセキュリティ問題の修正など |
4.1.5 | 2017年12月30日 | バグ修正、英語辞書のアップデート |
4.1.6 | 2018年11月18日 | バグ修正、ライブラリのアップデート |
4.1.7 | 2019年09月21日 | AdoptOpenJDKのサポート、セキュリティ更新 |
4.1.8 | 2020年11月10日 | バグ修正 |
4.1.9 | 2021年2月7日 | 不具合とセキュリティ問題の修正 |
4.1.10 | 2021年5月4日 | 不具合とセキュリティ問題の修正 |
外部リンク
脚注に記載されているウェブサイトへのリンク
- Open Letter to Apache OpenOffice - The Document Foundation Blog
- 「OpenOffice」はApple Siliconデバイスで動かない ~「LibreOffice」が乗り換えをアピール - やじうまの杜 - 窓の杜
- 「LibreOffice」への移行は待った! ~「OpenOffice」がmacOS Big Surでクラッシュする問題は近日中に解決 - 窓の杜
- 「Apache OpenOffice 4.1.9」が公開 ~macOS Big Sur環境でDOCXファイルなどが開けない問題をようやく解決 - 窓の杜
関連項目
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