フルネームは
「リー・ウーロン」。だが、この名前はPS移植版『コナミ80'sアーケードギャラリー』での
後付け設定によるもの。
元々、アーケード版では
「ウーロン(Oolong)」という名の白い道着に水色の下穿きの男、
ファミコン版及びMSX版では
「リー(Lee)」という名の上半身裸でピンク(FC版)か紺(MSX版)の下穿きの男、
と主人公の名前や外見、それどころかストーリー(後述)までも違っており、ゲーム内容も、出現する敵や攻撃方法が異なっていた。
恐らく最も有名なのはファミコン版のリーの方だろう。
原作『イー・アル・カンフー』について
主人公を操って、様々な武器や体術を使う格闘家達と戦う。
画面に表示される
体力ゲージの存在や、異種格闘技で1対1で戦う格闘ゲームという点で、現在の対戦格闘のパイオニア的存在
(1984年の『
空手道』は空手であって異種格闘技ではない。
同じ1984年の『グレートソードマン』の敵は「フェンシング→剣道→剣闘士」と変わるが、自キャラも同じスタイルに変わる)。
これが発売されていなかったら『ストリートファイター』も世に出ていなかったかもしれない、偉大なゲームである。
ただし、この頃はまだ対人戦プレイは存在しなかった(アーケード版では2人プレイが可能だが「CPU戦を交互にプレイ」というスタイル)。
なお、
対人戦が初めて実装された格ゲーは『空手道』の続編『対戦空手道 青春美少女編』である(紛らわしいが「美少女青春編」ではない)。
非格ゲーなら『
PONG(テレビテニス)』。
似たタイトルのボカロ曲もあるが関係ない。
初出はアーケード版だが、その移植であるファミコン版がブームに乗って広く有名で、原作AC版の存在が霞んでしまった
(当時のゲーセンは「不良の溜り場」としてPTAから小学生の入店を禁止されていたため、本作に限らずよくある話である。
『スターフォース』とか『ワンダーボーイ』→『
高橋名人の冒険島』とか。別件では
こいつみたいなネタもある)。
アーケード版では11人の敵が登場するが、ファミコン版とMSX版では5人だけとかなりスケールダウンしている。
また、先に述べたとおり主人公の名前がそれぞれ違うのだが、
それだけでなくストーリー自体が違うため戦う敵も別キャラになっている。
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各機種のストーリー |
ウーロンの尊敬する父はカンフーの達人であった。しかし幼い頃、父は遺言を残し世を去った。
「ウーロンよ、私はカンフーの頂点を極めるため王座杯に挑んだが、無惨にも敗れた。
おまえの力でこの無念を晴らしてくれ。」
ウーロンはその言葉を胸にチャー先生の門をたたくのであった。
厳しく長い修行の末、いよいよその日を迎えようとしている。緊張と興奮の中で11人の強敵が待ちうける。
ウーロンよ、16の必殺技を駆使し、父の遺言を果たせ。王座をその手でつかむのだ!
こちらの対戦相手は、大男 アブドーラ・ザ・ブッチャーブチュ、手裏剣少女 スター、ヌンチャク使いヌンチャ、棒術使いポール、
分身使いフィードル、鎖使いチェイン、棍棒使いクラブ、女扇使いファン、中国刀使いソード、トンファー使いトンフン、
そしてウーロンと同じく正統派拳法家の ブルース。
ストーリーでは16の 必殺技と書かれているが、
現代の格闘ゲームで言うと全部「 レバー入れ技」であり、正拳突きや足払いも含まれ、ダメージは全技等しく1ダメージ(8ダメージで勝利)。
ただ、しゃがみもガードも無いゲームなので、当てやすい正拳突き(6+P or N+P)以外にも、
開脚突き(1+P)で敵の上段を回避しつつ攻撃、旋風脚(7+K)で敵の下段を回避しつつ攻撃、等の使い分けが求められる。
特に棍棒使いは盾を持っているため下段以外が無効だったりする。
またジャンプや大ジャンプは出来るが、ジャンプ攻撃が存在しないので 飛び道具の回避や間合いの調整ぐらいにしか使われない。
ところは中国、清朝も末期の時代。
カンフーの達人"李(リー)"は、中国全土で悪行をかさねるチャーハン一族撲滅のため、
彼らの城である「メンマ」の塔へとしのび込んだ。
だが、リーの行く手には次々とチャーハン一族の強豪が立ちはばむ。
棒術使いの"王(ワン)"、火炎術師の"桃(タオ)"、くさり使いの"陳(チン)"、手裏剣使いの女"藍(ラン)"、
そして謎の男"呉(ウー)"。
はたして、リーは得意のカンフーでチャーハン一族を倒し、中国に平和を取り戻すことができるだろうか?!
何故かアーケードでは最初の敵だった飛行術使い(腰の高さしか浮けないが)がこちらでは最後の敵である
(なおアーケード最弱は分身術使い。まぁ分身術と言っても 後年のつかみ男軍団より弱く、ぶっちゃけ ボーナスステージ)。
また容量の問題からか敵の数のみならず、主人公の技数も減っている。
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二人の主人公の関係は不明だが、PS版で「リー・ウーロン」とまとめられたのでやはり同一人物なのかもしれない
(まあ、方や格闘大会、方や悪者退治なので、設定上お互いに矛盾は特に無いと思われる)。
後に
MSXでのみ発売された続編『イー・アル・カンフーII イーガー皇帝の逆襲』では、
彼の息子・李英(リー・ヤング/Lee Young)が主人公として活躍し、対人戦プレイが可能になっている。
ただし使えるキャラは、1P側はヤング固定、2P側は序盤の敵3人のうちどれかから選択、と決められている。
この作品では父親のリーは既に亡くなっているが、カートリッジスロットが2つあるMSXの第2スロットに前作を挿す事で、
息子がピンチの際にリーの亡霊が現れ、体力回復用の烏龍茶を落としてくれるという裏ワザが存在した
(
当時のコナミ製MSXゲームに良く見られる裏ワザで、ヒット作『
パロディウス』シリーズも、
『グラディウス』と同時に別のコナミゲーを挿すと
自機のグラフィックが変わるという裏ワザが元ネタだとされている)。
余談だが『イーガーコーテー』の元ネタは、スタッフが行きつけだった「餃子の王将」の符丁で「餃子一人前」という意味の中国語だそうな
(ただし
日本人発音なので
本物の中国人には通じないらしく、「イーガーグオティエ」の方が近いとか)。
「
中国語で
餃子はチャオズでは?」と疑問に思う人が居るかもしれないが、
これは日本で言う「ぎょうざ=焼き餃子」を「鍋貼餃子(コーテル・チャウス)」と訳していたから
(中国で単に餃子と言ったら日本で言う「水餃子(茹で餃子)」を指し、王将でも調理前の生餃子は「チャウス」と呼んでいる)。
『イーアルカンフー』の方は中国語の「一二三四」である「イー、アル、サン、スー」から。
ニコニコ的にはヒャダイン氏の『イー・アル・カンフーで、ラップ』のネタにされている事で有名だろう。
ゲームボーイアドバンスで発売された『コナミアーケードゲームコレクション』にもアーケードの移植が収録されたが、
こちらは内容がアレンジされており(タイトルも何故か『イーアールカンフー』になっている)、まさかの新キャラ追加。
隠しコマンドでブルースの後に女短剣使いビショウと大刀使いクレイマンが登場する(が、あまり強くない)。
さらに、通信プレイで好きなキャラを選んで対戦可能と、かなり対戦格ゲーらしく進化している。
ちなみに携帯アプリ版では更に侍の新キャラ・カタナが増えてたりする。
1993年に登場した『
マーシャルチャンピオン』は元々は『イー・アル・カンフー2』として制作されていたらしく、
メイン主人公である
陣は
日本人だがリー(ファミコン版)を思わせる格好をしている。
しかし最終的には一切関係の無い作品となった。
MUGENにおけるリー・ウーロン
MUGENでは、ファミコン版リーとアーケード版ウーロンの両方が存在している。
リー
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NRF氏製作 |
ライユーや ダルシムズ、 コンバット越前などの製作者であるNRF氏によるリー。
元のゲームの仕様をそのまま持ってきており、それを 強制的に相手にも押し付けるため現在の格ゲーとは全く違う戦い方となっている。
- ステージBGMが鳴らずに原作のBGMが鳴る
- 攻撃を9回当てると倒せる。相手も自分も
- 攻撃が当たると互いに一瞬無敵になる。
ウッドマンやヒートマンなどの『ロックマン』のボス(死門氏製)や夫氏のマスクドデデデあたりを想像すると分かりやすいかもしれない
- 全技の発生が1F
- でも攻撃判定がものすっごく小さく、手や足の先にしかない。薄い相手に密着しながら足払いを出すとスカるぐらい小さい
- 壁に向かってジャンプすると跳ね返る
- 接触判定が無いため互いに相手をすり抜ける事が可能
- 攻撃で相手の飛び道具をかき消せる
- 原作のスプライトをそのまま使っているのでムチャクチャ小さい。ただ、こちらはdefファイルをいじる事によって大きさの変更が可能。
1~3倍まで変更する事ができ、3倍で大体カンフーマンと同程度の大きさになる。
またNRF氏のお遊び要素として 一部カラーでまたやらかしている他、 ゲージ本数が ウルトラマグナスと同じになっている。
具体的には 2,147,483本。要はカンストである。
リーはゲージ技がなく、ゲージを貯める事も出来ない上に、前述の仕様があるのでマグナスよりはましかも知れないが…。
元の仕様がシンプルなため分かりにくいが AIもきちんと搭載されており、小ささと仕様を駆使した戦法は中々強力。
人操作で同キャラで挑むと 原作のゲームをやっているような感覚に…って 原作でやれ!!
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crisk氏製作 アレンジ仕様 |
氏のサイトは消滅しているが、MediaFireのデータは健在であり現在も入手可能。
格ゲー風にアレンジされており、操作はカプコン風6ボタン。原作には無かった 通常投げも持っている。
パンチを連打したり、ドラを蹴って音波で広範囲を攻撃したり、中々楽しいアレンジを多数搭載。
攻撃判定もそれなりに広く、きっちり尖端を当てないと空振りするという事は無い。
技の各モーションが速く鋭く、 前進しながら弱パンチをタイミング良く出していくと永久コンボになってしまう。
AIは搭載されていない。
crisk氏のサイトでは大量のイーアルカンフーキャラが製作されており、アーケード版の敵や、ファミコン版の敵、
MSX版の息子リー・ヤングやイーガー皇帝の敵キャラ達なども存在する。
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ウーロン
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=TOCH=氏製作 |
こちらはアーケード版を再現したもの。
アーケード版の操作そのままサイズを拡大しており、さらにダッシュとガードを追加。
また、 飛び道具を持った敵相手に戦うため 原作の敵から武器を奪って手裏剣・扇子・鎖を使用する。
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Brucewayne74氏(TheGianni74氏)製作 |
- Brucewayne74氏(TheGianni74氏)製作
ISAmu.氏製作のフリーゲーム『レトロファイターズ』のスプライトを使用している
(原作はパロディゲームなので名前もぼかして 「ウーリョン」となっているが……)。
操作方法は『 MVC』風の6ボタン方式で、必殺技や超必殺技などが新しく作られており、ほぼMUGENオリジナル性能。
登場イントロで 様々な敵を倒して現れるのだが、何故かそこで流れるBGMが原作のステージ開始ではなくゲームオーバーの曲なのが違和感がある。
なお、同梱されているreadmeを見るに、2010年に製作された(ArcTheLad)氏製のウーロンを改変したものらしい。
ストライカーとして同じくレトロファイターズの リーL●●や ブチュ王・ウーの他、原作スプライトの敵キャラ達を呼び出す。
これらのストライカー達は数発の攻撃を受けると倒れてしまうため、遠くから飛び道具を撃ち続けてくれるビショウの使い勝手が良い。
チェーンコンボやエリアルレイヴも可能だが、空中強攻撃が横方向へ吹き飛ばす仕様かつダウンを奪えないので、状況によっては 反確という事も……。
AIは搭載されていない。
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出場大会
【リー】
凍結
【ウーロン】
最終更新:2025年03月02日 03:13