クロ(ONE PIECE)


「おれの計画は 絶対に狂わないっ!!!」

『週刊少年ジャンプ』連載の尾田栄一郎作の漫画『ONE PIECE』の登場人物。
CV 橋本晃一 氏(後にドレスローザ編でサイも担当)。
「東の海編」の「シロップ村編」(3~5巻)でルフィ達と対決した。
『ダンガンロンパ』の方はこちら

通称「キャプテン・クロ」「百計のクロ」
緻密な計算のもとに略奪を繰り返す頭脳派(IQは第8巻時点ではベン・ベックマンに次ぐ2位。その次がナミ)。
「政府に追われる事なく大金を手にしたい平和主義者」を自称するが、
その実プライドがかなり高く、誰かに媚びへつらう事を嫌う。
知能犯らしく冷徹で目的のためなら部下の命も厭わない一方、計画が滞ると怒号を上げるなど激情家な面も見られるが、
それらを隠して猫を被り、人の信用を勝ち取れる高い演技力も持っている
主な部下は副船長のジャンゴ、ニャーバン兄 弟(ブラザーズ)(シャムとブチ)。

+ 作中での活躍
かつてはクロネコ海賊団を率いていたが、
ルフィが海賊を始める3年前、海軍 賞金稼ぎ に追われ続ける生活に嫌気が差し、ジャンゴに船長の座を譲って船を降りる。
その際、とある海軍の船を一人で全滅させ、部下の濡れ衣イヤヌギレ・ヤイヌをジャンゴの催眠術でクロに仕立て上げ、
それを生き残った海兵にも催眠術をかけて処刑させる事で、世間的にクロを死亡した事にした。
なおこの時の海兵が、後にルフィとゾロが出会った町シェルズタウンで圧政を強いていた海軍大佐(当時は軍曹)・斧手のモーガンである。*1

その後は「クラハドール」として経歴を偽り、
金と平穏を求めて東の海のシロップ村に屋敷を構える富豪の娘カヤに接近。
彼女の執事として親しく接し、3年をかけて村の周囲から信頼を得る
(その信頼の強さはクロの真実を知ったウソップが村人達を必死に説得するも普段ウソをついていた事もあって逆に突き放される程)。
当然カヤへの態度は演技(内心屈辱的だったらしい)で彼女に対する情など一切持たず、現在の立場のままで納まる気は毛頭なく、
クロネコ海賊団の部下を呼び込み、カヤにジャンゴの催眠術をかけて遺書を書かせた上で
海賊団によるシロップ村の襲撃のどさくさに紛れて彼女を暗殺し、財産を乗っ取るという3年間越しの計画を実行に移す
(猫を被っていたのもカヤの死後に自分が遺産相続人として選ばれておかしくない雰囲気を作り上げるためであり、
 また、海賊団の面々もクロの素性を知っているため、口封じとしてまとめて殺される予定だった)。

しかし、ジャンゴとの密会を目撃したウソップやルフィ達の妨害により、計画は頓挫。
ルフィとの直接対決では最初は超人的スピードで優位に立つも見切られ、ゴムゴムの鐘の一撃を受けて昏倒。
エグい角度で首が後ろに曲がっているがよく死ななかったもんだ
気絶後はクロネコ海賊団にルフィが「持って帰れ」と投げ付け、海賊団はジャンゴを残して島を離れた。
その後、シロップ村での一件は「村人を怯えさせない」というウソップの計らいで「最初からそんな事はなかった」という事にされ、
かくしてクロの善人を装った"嘘"による悪しき陰謀はウソップ達の優しい"嘘"によって潰えたのだった。

原作では以降の出番は全く描かれていないが、アニメ版では行き場も無いためか再び船長に収まったらしい事が描写されている。
また、アニメオリジナルの演出として、敗北する直前に海賊時代やクラハドールとして過ごした日々がフラッシュバックするのだが、
その中には自分に向けられるカヤの笑顔もあった
本当は彼自身も気付かぬ内に絆されていた…という事なのかもしれない。

ゲーム『グランドバトル』シリーズには『3』を除いて参戦。
『2』以降は隠しキャラとして、『超グランドバトルX』では配下キャラクター(所謂パッシブスキル。ポケモンでいう特性)として登場する。
『2』でのイベントバトルでは確定でラスボスになるワポルに「クラハドール」を名乗って取り入り、採用試験として戦いを挑んでいる。
『RUSH』ではサー・クロコダイルにバロックワークス社への入社を希望し、やはり採用試験として戦う。
言うまでもなく、将来の乗っ取りを企んでの事であるが…。

(元)海賊でありながら誰にも知られたり追われたりする事無く平穏に暮らすという願望を持つ、作中に登場する海賊の中では特異な存在。
そう願いつつも平気で他人に害をなしたりカヤに凶悪な本性を曝け出した挙句に罵倒したりと自分本位であり、
そもそも平穏を得るための手段からして普通に生きられない事を示しているという、
クロ自身の思いとは裏腹にある意味で「海賊らしい海賊」な精神を宿した皮肉なキャラクターである。
大それた夢を持たず現実的な欲望を優先するという考えも後に登場するハイエナのベラミーと共通している。
その点ルフィからは「名を上げるのが怖くて逃げだしただけ」「野望(けいかく)のでかさならおれの方が上」と評され、
ルフィとクロの海賊としての器の大きさが対比される形となっている。
以上に挙げた性格と志向は同誌の別の漫画に通ずると言える。

かけられた懸賞金の最終的な金額は1600万ベリー(クリークの次)と東の海の海賊らしく低額だが、
懸賞金は戦闘力よりも民間や世界政府に対する危険度の度合いを主に指している事(額の低さを利用して陰謀を企てた海賊も存在した)、
東の海は平均懸賞金額が最低ではあるが、稀に新世界にも名を馳せる強豪が出現する時もある事、
ルフィと戦うまでは回想も含め苦戦らしい苦戦の描写が無かった事、
そのルフィ戦も後述するようにコンディションが整っていない状態での戦闘だった事、
等々から、最低でも偉大なる航路(グランドライン)前半に通用する程度には実力があったのではないかと考えられる事もある。
ただ、彼の最強技である「杓死」が能力の欠点から同等の速度で動ける格闘術「剃」に劣るとされており、
そもそも覇気や悪魔の実の能力を持ち合わせていない事から、
航路後半「新世界」での海賊にはまず敵わないとも(性格的にも強化のための特訓などはしなさそうだし)。
また、先にルフィが戦った道化のバギー(懸賞金額ではクロが上回っている)とタイマンで戦った場合、
能力の相性の問題(バラバラの実の能力で斬撃無効)で為す術もないのでは?と言われる事もある。*2

+ 戦闘能力
指先に1本ずつ刀の刃がついた手袋「猫の手」を両手に着用。あの細身で一体どれだけ筋力あるんだ?
眼鏡がずれた際は、手の平で上げる独特の直し方で戻している。
当時の日本全国のメガネ少年はこぞってキャプテン・クロの直し方を真似したという
これは猫の手を着用した時に顔を傷付けないために行っている方法だが、
素手の時でも、そしてクラハドールとして潜伏していた間も直し方は変わっておらず、
ジャンゴは「まだ戦いを忘れていない証拠」としてクロに戦慄していた。
この武器を使い、猫の如き身のこなしと100メートル4秒台*3という常軌を逸した高速移動で戦う。
この速さは後に登場した世界政府の格闘術「六式」の「(ソル)」に匹敵する。
しかも「剃」やそれに匹敵する速さの移動技、相手も気付かない内に攻撃するような技の使い手自体はその後も多数登場しているが、
無差別とは言えその両方を組み合わせた攻撃を仕掛けてくるのは現時点でクロのみである。
その他、ルフィの伸ばした腕の上で直立し、その上を走れるなど平衡感覚の高さも見受けられる。

ただ、本編では身を隠していた間猫の手を振るう機会が無かったのか、クロ自身は今ひとつ体にナマリを感じていたようだ。
殺したつもりだった執事が致命傷にならず生きている事からもその鈍りが窺える。
もし3年前相当だったならルフィは本編以上に苦戦していたか、最悪そこで冒険が終わってしまったのかもしれない。

抜き足
目にも留まらぬ速さでまるで消えたように無音で移動。
ゴムゴムの(ピストル)を優に超える速さであり、ジャンゴ曰く「暗殺者50人を集めても気配を感じる間もなく殺される」という。
杓死
その場で脱力して力を溜めた後、全力の抜き足で辺り一帯を疾走し、
疲れ果てるか強制的に止められるまで触れたものを手当たり次第に斬り捨てる。
無音かつ姿が見えないためどこから斬撃が来るのか分からず、
知らない内に範囲内の人間が切り裂かれて次々と倒れていくという恐ろしい技。
欠点は溜めの動作中に隙が出来る事。
また、速すぎるあまりクロも何を斬っているのか判別が付かず、味方さえも無差別に斬ってしまうのも難点。
…なのだが、前述したようにクロは仲間を殺す事を全く躊躇しないため、彼にとって難点と呼べるか微妙な所。
後に、『KOF』のチョイ・ボンゲが『2002』以降一部の作品で同名・同内容の技を使用している。
早い話SNKのいつもの病気である
猫ふんじゃった
空中から真下か斜め下に急降下して踏み付ける技。出が早く着地後の硬直も短い。
原作では使用していない『グランドバトル』シリーズのオリジナル技だが、
部下のブチが「キャット・ザ・フンジャッタ」という似た名前、内容の技を使用しているため、そちらが元ネタかもしれない。
また、『ランドランド』では似た攻撃を使用している(技名は不明)。
プレイヤーの攻撃を回避し、「楽にしてやる!」という台詞と同時に画面外から頭上に急降下してくる。


余談だが、『るろうに剣心』の前日譚『炎を統べる』では、十本刀の一人である沢下条張が収集した武器の中にクロの猫の手が混じっている
(作者の和月伸宏氏と尾田氏が師弟関係である縁からの小ネタ)。
また、あくまで推測の域を出ないが、その外見と振る舞いからクロは漫画家の小林よしのり氏(の自画像)がモデルではないか?という説が存在する。
ちなみによく見ると服にウ〇コのようなマークが付いているが、尾田氏も読者の指摘を受けて初めて気付いたとの事なので偶然と思われる。

他にも、クロのとある台詞を下の有名MAD動画で(元ネタを知らずに)聞いた事がある古参のネットユーザーも少なくないだろう。
1:44から件の台詞

「侮辱されたもんだ…!!!
 本物の海賊がそんなに知りたかったんなら 教えてやるとも
 その怖さをだ……!!!!」


「幾度と無く死線を越えた 海賊の恐ろしさを……!!」



MUGENにおけるクロ(ONE PIECE)

Mikel8888氏により『JUS』風ドットで製作された新MUGEN専用のちびキャラが公開中。
地上・空中を問わず共に一瞬で距離を詰めるダッシュで縦横無尽に駆け回る、ウルヴァリンライクな近距離キャラ。
逆にチョイから禿鷲蹴りをパクった急降下キックや1ゲージ消費の当て身技なども所持。
超必殺技に位置付けられている3ゲージ技「杓死」は残念ながら(?)タッグ戦で味方を巻き込む事はない。
AIもデフォルトで搭載されている。
紹介動画
製作者による紹介動画
(動画キャプション及び本人のサイトにてコマンドが掲載)
別人による紹介動画



「おれの計画は


 絶対に狂わないっ!!!」
大事な事なので二回言いました。

出場大会

  • 「[大会] [クロ(ONE PIECE)]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
作者が単行本の質問コーナーで語った所によると「モーガンはこの功績で少佐に昇進し、さらに実力で大佐にまで上り詰めた」
「あの時モーガンの瞳の奥に宿る野心を、クロは見抜いていたのだろう」との事。
公式の解説本ではモーガンが野心に目覚めた理由としてこの催眠術の影響ではないかという考察があり、
後に扉絵連載にて催眠をかけた張本人・ジャンゴとモーガンが海上で互いに知らぬまますれ違うというものが描かれた。
モーガンの人生を狂わせたという面ではクロとジャンゴの罪は重いが、
一方でモーガンの圧政がルフィとゾロを引き合わせるきっかけになったり、
当初は親の七光りだったモーガンの息子ヘルメッポがモーガン逮捕後に自立し、人間的に大きく成長した事など、
裏では作中の人間関係に大きな影響を与えている。

*2
バギーの人格面の特徴を簡単に挙げると「豪放な性格で酒と宴と宝が好き」と、典型的な海賊の船長の帽子と併せ「海賊」のテンプレを地で行く人間である。
小物臭さの否めない人物像ながらその性格故か部下からの信頼は非常に篤く、クロとは全く対照的な人間と言えよう。
しかしそのバギー、実は「海賊王の船員」「現在の世界最高峰の海賊の一人と同僚かつ悪友」というとんでもない経歴の持ち主で、
それを隠して東の海に活動を絞ることで懸賞金を抑える(脅威度を低く見せて海軍の追っ手を弱める)という立ち回りをしていた。
この点はある意味クロに通じているが、なんとバギーはその後、ある事件を機に上記の経歴が世界政府に知れ渡ると、
逆にその名を最大限活用するというクロとは真逆の道を歩み、
後に制度が廃止されるため特権を失うものの、政府公認海賊「王下七武海」に就任したことで免罪という形で、
クロが嫌っていた「海軍や賞金稼ぎに追われる」事から免れるという、あらゆる意味で対照的な存在となっている。

公式にもこの人物像の対照性が意識されているのか、意外にもゲームでは絡みもある。
ゲーム『ONE PIECE 夢のルフィ海賊団誕生!』ではそのバギーとの合体攻撃が用意されている。
作中で全く接点の無い組み合わせによる合体攻撃は、他にパンダマン&パールがあるのみ。
他に『グラバト!RUSH』においては、掛け合いでバギーがクロの計画と願いを「ノラネコに相応しいささやかな計画」と嗤うものがある。

*3
100m4秒台と言ってもピンと来ない人もいるかもしれないが、人間の脚力では到底到達できない速度である。
100mを4秒99~4秒ピッタリで走れるなら、時速換算すると72km/h~90km/h。
つまりキャプテン・クロは高速道路を走る車並の速度で走れる人間という事になる。

現実ではキャプテン・クロに匹敵する人間は当然いない(世界記録保持者のウサイン・ボルト氏ですら100m9秒台)。
ウマ(88km/h)、ガゼル(97km/h)、チーター(80~130km/h)等のアフリカの野生生物が出てきてようやく勝負になるレベル。
しかもこの速度で走るのにも拘らず、無音で敵味方関係なく切り裂いていくのだからタチが悪い。
…つくづく当時のルフィはよく勝てたものである。


最終更新:2024年12月04日 03:53