- 30 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 17:27:38.10 ID:4DBGfk6N0
空は雲ひとつない快晴で、真っ青に澄み渡っている。風も気持ち良いそよ風だ。
おまけに今日は休日。こんな日は誰でも気分が良くなるものである。
だというのに、ドラえもんの表情は曇っていた。
「のび太君、こんなに天気が良いんだから昼寝なんてしてないで外に遊びに行ったら」
ドラえもんは、畳の上でねっ転がっているのび太に呆れたように言った。
「余計なお世話だよ。僕はこうしてるのが一番好きなんだ」
のび太はそれに気だるそうに答える。
「ちゃんと体を動かさなきゃ体に悪いよ!」
「うるさいなぁ、僕がスポーツやったってロクな事にならないのは知ってるだろ?」
はぁ、とため息をつくドラえもん。
未来からのび太を更正するためにやってきた彼だが、随分な月日が流れた今でものび太の性根は一向に変わっていなかった。
- 38 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 17:41:58.74 ID:4DBGfk6N0
いやむしろ彼が来てからというもの、のび太はドラえもんの道具に頼りっぱなしになって以前よりも怠惰になったかもしれない。
ドラえもんは頭を抱えていた。
人は誰だっていつかは自立しなければいけない。いつまでも道具なんて頼りにすることは出来ない。
いつも考えることだが、ドラえもんは自分が来てしまった事自体が間違いなのではないかと思いついそのことを悔やんでしまう。
のび太に必要なのは道具なんかじゃないのだ。
ドラえもんは少しの間そんなことを考えると、何も言わずにタケコプターで窓から空へ飛んでいった。
のび太はそれを見送る事もなくただ寝ていた。
だけどのび太自身ドラえもんの言うとおり寝てばかりではいけないことは分かっていた。
ドラえもんが自分のために色々やってくれることはありがたいと思っているし、もっと努力しなくちゃとも思ってる。
いや、努力しようとした事なら何度でもある。
だけどその度に、運動も勉強も何も出来ない自分が不甲斐無くなるだけだった。
そして結局ドラえもんの道具に頼って、自分の無能さをかみ締めるのだ。
「どうせ僕なんか……」
のび太はそう呟くしか出来なかった。
- 39 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 17:51:30.53 ID:4DBGfk6N0
ガヤガヤドタドタと騒がしい音がしてのび太は目を覚ました。
気がついたら寝ていたということは彼にとって常の事だから特に気にせずそのまま体を起こして時計を見る。
時間はドラえもんが部屋を出てから30分ほどしか経っていない。
騒がしい音は誰かがしゃべりながら階段を上ってくる音で、その声には聞き覚えがあった。
勢いよく開かれたドアの向こうに立っていたの予想通りの人物達だった。
「ジャイアンとスネ夫、しずちゃん?」
のび太がそう言うと、3人の影からドラえもんがひょっこり顔を出した。
「何、どうしたの?」
訝しそうに疑問を投げかけるのび太。
「ドラえもんが未来の世界を見学させてくれるって言うから来たんだよ!」
ジャイアンがいつものようにデカい声で答える。
「へ?」
「のび太さんも一緒に行くわよね」
と、にっこり笑うしずちゃん。
- 50 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 18:02:28.55 ID:4DBGfk6N0
「おい、のび太なんかいいから早く行こうぜ!」
と言いながら待ちきれない様子のジャインは、勝手にのび太の机の引き出しを開いてその中へと入っていった。
「まってよ~」
それに続いてスネ夫も引き出しの中へと入っていく。
「さ、行きましょ」
そう言いながらのび太の手を引くしずかに、のび太は訳も分からず連れて行かれた。
ドラえもんはそんな4人の様子を微笑ましく眺めていた。
のび太にはちゃんと友達が居る。
ジャイアンやスネ夫にイジメられたりしたとしても、この友達と付き合うことがのび太にとってやはり一番なのだ。
今回の企画もそう思ってのことである。
「ドラエも~ん! はやく!!」
「今行くよ!」
ジャイアンがそう呼ぶ声を聞くと、ドラえもんもまたタイムマシーンに乗り込んだ。
- 60 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 18:13:37.92 ID:4DBGfk6N0
「絶対未来のリサイタルホールに連れてってくれよなドラえもん! 未来のアーチストがどれくらいのレベルなのかこの目で確かめてやる!」
「僕は是非科学博物館に行きたいな」
「私は未来の町を案内して欲しいわ」
みんなが嬉しそうに口々にリクエストすると、どらえもんは笑顔で「わかったわかった」と返事した。
ただのび太だけは黙っていた。
「のび太さんは何処に行きたいの?」
そんな様子を見かねたのか、しずかがそう問いかける。
「僕は……」
そこまで言ってのび太口を閉ざした。
行きたい所を考えてみても、のび太にはそれが思いつかなかった。
22世紀には今までにも何回かドラえもんに連れて行ってもらったことがあるけど、詳しいわけじゃない。
「僕はどこでもいいよ」
のび太はそっけなく答えた。
- 62 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 18:28:25.15 ID:4DBGfk6N0
「そう」
しずかはそういうとそれ以上何も言わなかった。
「じゃあそろそろ出発するよ」
ドラえもんがそう言うと、タイムマシーンは静かに動き出した。
最初に異常に気が付いたのはドラえもんだった。
到達点の時間や操縦系などの様々な情報を映し出すモニターを見ながらドラえもんは「ん?」と声を発した。
時空流の様子を表すモニタに小さな乱れが現れたのだ。
時空乱流である。
時間の狭間であるこの特殊な空間には、時折突発的な歪みが現れる事がある。
この歪みが大きくなると空間に渦巻きのようなものが出来て、予測できない空間に飲み込まれてしまう。
不味いなと思い急いで計器を調べる。
時空乱流の規模は小さい。
ドラえもんはほっと、肩を撫で下ろした。
この程度なら問題ないだろうと判断したドラえもんは、そのままタイムマシーンの操縦を続けた。
- 64 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 18:38:08.35 ID:4DBGfk6N0
結局、ドラえもん一向は無事に22世紀の世界に到着した。
タイムマシーンの出口の穴が開き、一人一人タイムマシーンから降りてくる。
全員が降りた事を確認すると、ドラえもんはタイムマシーンの出口を閉じた。
「未来も意外と大した事ないねぇ」
辺りの景観を眺めながらそう呟くスネ夫。
「まぁまぁ、そう言わないでよスネ夫君。これから色々面白い場所に連れて行ってあげるから」
「おい! まずはくリサイタルホールに連れて行けよな!!!」
「わかってるってば」
そうして雑談をしていると、突然しずかが「あっ!」と声を張り上げた。
「どうしたの?」
と、問いかけるどらえもん。
「出来杉さんを呼んでくるの忘れちゃったわ」
と言って顔を曇らせるしずか。
「いいじゃない、出来杉なんて」
そんなしずかの様子を見て、不満そうにのび太が言う。
- 67 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 18:48:30.04 ID:4DBGfk6N0
「そんな事言うなんてひどいわ!」
怒った顔で言うしずかにたじろぐのび太。
「でもさ、そんな事言ってもしょうがないじゃない。もう着いちゃったんだしさ。ジャイアン達もそう思うでしょ?」
よっぽど未来のコンサートが見たいのか、ジャイアンは大きく頷く。
「出来杉さんは未来の世界が見てみたいって言ってたの知ってるでしょ? ねぇ、みんなお願い」
しずかがそう懇願すると、ドラえもんは「よし」と言った。
「じゃあ僕が出来杉君を連れてくる間、みんなの案内はドラミにやってもらおう」
そう言うとドラえもんはドラミに連絡を取った。
「~~って事だから、よろしく頼んだよドラミ。うん、わかってるって。今度ドラ焼き持っていくからさ、それじゃあまた後で」
そう言って電話を切るドラえもん。
「ありがとう、どらちゃん」
満面の笑顔で言うしずかをみてドラえもんは照れる顔をした。
「それじゃあドラミが来るまでみんなはここで待っててね。すぐ来ると思うから」
ドラえもんはそう言うとタイムマシーンの入り口を開きその中へ消えていった。
- 69 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/04(佐賀県と談合) 18:59:35.16 ID:4DBGfk6N0
5分経ったところでのび太達の前に一台の車が止まり、その車の中からドラミが出てきた。
「みんな、22世紀にようこそ」
笑顔で挨拶するドラミにのび太達も挨拶で返す。
「まずはコンサートだったわね。みんな今日はラッキーよ。今日は丁度、有名アーティストの内藤武運のコンサートがあるんだから!」
ドラミは少し興奮しながらそう言った。その様子からして、相当の有名人だと分かる。
「あの、チケットとか大丈夫なんですか?」
心配そうにしずかが言う。
「大丈夫、ちゃんとお兄ちゃんがチケットを取っておいてくれたから。じゃあ、みんな早く車に乗って。 もうすぐコンサートが始まるわ」
そういうとドラミはみんなを車に乗せ、車を急発進させた。
最終更新:2006年11月12日 17:24