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  • 143 名前: VIP村人d 投稿日: 2006/11/16(木) 21:00:44.23 ID:Mxi4m76h0

「コーローさん、確かに基地に連絡は入っていました。有志だとは知らずに、失礼をお許しください」
「いや、いいんだ。気にしないでくれ」
 頭を下げる兵士にそう言うホイ。
 ホイはあえて”有志”という言葉を否定しなかった。
 彼らはホイを連邦派のゲリラと思ってそう言ったのだろうが、そう思わせておいたほうがホイ達にとって都合が良い。
「んじゃ、もう通っていいのかい?」
「はい。ただし、身分証を持っていないということなので、別室で簡単な身分照会だけはさせていただきます」
「そんなもんでよければいくらでもさせて頂くさ」
 ホイがそう言うと、兵士は「ついて来てください」と言って連邦の施設に向かって歩き出す。
 ホイはジャイアン達を連れてその後を追った。


「コーロウさんの照会は完了しました。これが通行許可証です。今度から町を出入りする際は必ずそれを持ち歩くようにしてください」
 連邦の施設でホイの身分照会を終えると、兵士はそう言ってホイに通行許可証を差し出した。
「了解した。それにしても意外と早く終わるものだな」
 ホイは許可証を受け取りながら、そう言う。
 実際、1時間も経たずに手続きが済むのはホイの予想外だった。
「本来ならもっと時間がかかるんですけどね。コーロウさんの場合、コジマ基地に所属していた頃の資料が残っていたので」
「なるほど。それは運が良かった」
「アーネ=ジャーとオトー=ジャーの2人も、彼らの両親が連邦軍人だったのでもう直ぐ照会が終わります。ただ……」
 兵士は少しだけ表情を曇らす。
「ゴウダ=タケシとスネオ=ホネカワの2人は全く身分照会が出来ません。もう少し彼らについての情報は無いんですか?」

  • 155 名前: VIP村人d 投稿日: 2006/11/16(木) 21:28:16.92 ID:Mxi4m76h0

 それを聞くと、ホイも難しい顔をした。
「申し訳ないが、俺もアイツらが日本人ということ以外は何も分からないんだ」
「そうですか」
 ホイの言葉を聞くと、兵士は腕を組む。
「う~ん。それでは、あの2人に関しては臨時の通行許可証を申請しておきます。正式な通行許可証が発行されるのは時間がかかるでしょうが、当分はそれで支障無いはずです」
「申し訳ない。本当に感謝する」
「いえいえ、良いんですよこれくらい。ホイさんのような有志にはこれくらいの協力は当然です」
 そう言いながら笑顔を作る連邦兵士。
 そんな笑顔を見るとホイは少しばかりばつが悪かった。
「どうですホイさん。せっかくこの町まで来たんですから、コジマ大隊に復帰してみてはいかがです?」
 兵士の言葉に、ホイは首を振って返す。
「折角だが今はただの料理人でね。銃の扱い方は忘れちまったよ」
「そうですか」
 ホイの言葉を聞くと、兵士は少しだけ残念そうに言う。
「ところで今晩の宿の方は平気ですか? もしあれでしたら私が町の宿場に連絡を入れておきますけど」
「悪いけどお願いできるかな。何分、急いでシーエンから逃げてきたもんでね」
「分かりました」
 そう言うと兵士は机の上にある電話を取った。

  • 162 名前: VIP村人e 投稿日: 2006/11/16(木) 22:00:38.98 ID:Mxi4m76h0


 カラカス基地の司令室で、スカルチノフは定期的に行われる連邦軍総司令部との通信をしていた。
「とうとう後3日ですな」
 緊張しつつも、少し笑みがこもった表情でそう言うスカルチノフに総司令部の士官は『ええ』と返した。
『オデッサ作戦を円滑に進める為にも、明日の北米侵攻は重要です。大佐のカラカス基地には期待しています』
「それは誓って。しかし、ジムの配備はいつ頃になるものでしょうか」
『試作型は既にアジア戦線に実験的に配備されています。完成型のジムも既にジャブローでの生産が開始されました。もう暫くの辛抱です』
「もう暫く、ですか」
 だがその言葉にスカルチノフは落胆の色を隠せなかった。
 現状の戦力では戦線を維持するだけでも厳しいと言うのに、更にオデッサ作戦の為の陽動。
 それがどれだけ大変な事か、と思うスカルチノフ。
 スカルチノフと総司令部の士官は、2人とも同派閥の同士である。
 そんな2人でさえ、前線基地の人間とジャブローという総司令部の中に居る人間とでは意識に差があった。
 実際、ジムの配備に関しても総司令部は北米戦線に対してジムを出し渋っている感があった。
 それが来るべきジオン宇宙要塞の為に温存すべきと言う総司令部の考えであることはスカルチノフも承知はしている。
 しかし、スカルチノフにとっては目の前の戦線こそが全てだった。
 そんな事では再び足元をすくわれる、と思うスカルチノフ。
 まずは地上で足場を確固たるものにしてから制宙権の奪還をすべきだ、というスカルチノフの主張は戦争の早期終結を望む首脳部の中では少数派だった。
「わかりました。今ある戦力の中で、出来る限り暴れて見せましょう」
 心の中の不満を飲み込み、スカルチノフはそう言った。
『お願いします。健闘を祈っております』
「任せてください。それでは」
 そう言うとスカルチノフは通信の接続を切る。
 そして、「はぁ」と一度だけため息を付いた。

  • 165 名前: VIP村人e 投稿日: 2006/11/16(木) 22:24:55.63 ID:Mxi4m76h0

 オデッサ作戦をジオンに悟らせない為に、ジオンの意識を北米に釘付けにする。
 それがスカルチノフに与えられた任務だった。



『何をやっているんだノビ!! 早く第1会議室に集まれと言ったはずだ!!』
 のび太が目を覚ましたのは、自室に備え付けられた無線から発せられた教官の怒鳴り声だった。
 その余りの剣幕に、流石ののび太も飛び起きる。
 そして慌てて無線に返事をした。
「スミマセン! イマイキマス!」
 軍服に着替えながら、片言の言葉でそう言うのび太。
 のび太がこの養成学校に編入してから既に1週間以上が過ぎた。
 その間でのび太は必死に最低限の日常会話程度の言葉を覚えた。
 と言うより覚えさせられた。
 いくら学校では特例措置で翻訳官が常駐しており、意思疎通に不自由はしないと言っても、戦場にそんなものは居ない。
 戦場で生き残りたければ死ぬ気で言葉を覚えろ。それが教官ののび太に対する口癖だった。
 実際、それは真実だ。
 軍隊の用語やMSの操縦に関する言葉を知らなければそもそもパイロットとして使い物にならない。
 そして意思疎通も出来ない兵士など、実戦の部隊の中では足手まとい以外の何者でもない。
 例えそれが、どんなに優秀な操縦技術を持っていてもだ。

  • 177 名前: VIP村人f 投稿日: 2006/11/16(木) 23:00:16.50 ID:Mxi4m76h0

 そんな教官の言葉を思い出しながら、今日の訓練の時間割を確かめるのび太。
「あれ?」
 それを見てのび太はそう呟いた。
「今日は休みじゃないか」
 そう、確かに今日は週に一度の休日である。
 なら、なぜ自分は起こされたのだろうと思案するのび太。
 そしてその内、昨日のび太を含む数人のパイロットだけが教官に呼び出されていたのを思い出した。
「そうだ、今日は僕らだけ特殊訓練があるんだった」
 急いで仕度をするのび太の耳に、『まだか!!!』という教官の怒鳴り声が響く。
 のび太はそれに「イェッサー!」と答えると、自分の部屋から飛び出した。


 のび太がグラウンドに到着すると、すでにそこにはライやフレンなど5人の生徒が集められていた。
「貴様は一体何度遅刻すれば気がすむんだ!! 罰として腕立て50回!!」
 そう言って激怒する教官に、鼻水をたらしながらすぐさま腕立てをするのび太。

 30分以上かかってのび太が腕立て伏せをしたのを確認すると、教官はやっと点呼を取った。
最終更新:2006年11月16日 23:31