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  • 338 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 21:25:38.65 ID:1ydZOty90

 ジョルジュの心は恐怖のどん底に落とされた。
 そんなジョルジュの様子を確認してから司令は更に話を続ける。
「しかしノビタ君が我がジオン軍のパイロットとなれば話は別だ」
 司令がそう言うとジョルジュはやはりか、と思った。
「ノビタ君のシミュレーターの結果は見せてもらった。彼の能力をこのまま眠らせておくのはあまりに惜しい」
 そう言いながら司令は机の上の紙を手に取る。
「準備はもうしてある。これがノビタ君のパイロット学校への推薦状だ」
 ジョルジュはその紙に目を通す。
 それは確かに正規の推薦状だった。
「多くの名パイロットを輩出している学校だ。非常に名誉な事だぞ。さぁジョルジュ君、呆っと突っ立っていないでノビタ君に説明したまえ」
 ジョルジュは非常に困っていた。
 一人の人間、そしてツィマッドの社員としてこんな話を簡単に飲むわけにはいかない。
 しかし結局ジョルジュは司令の言葉に抗う事が出来なかった。

 ジョルジュが全てを説明し終えると、のび太は恐怖のあまり凍りついた。
 その姿にジョルジュの良心が痛む。
 しかし一介の科学者でしかない彼には、これは抗えない事だった。
「ぼぼぼぼ、僕が軍隊のパイロット!? そ、そんなの無理です! ジョルジュさん断って!!」
 のび太は泣きながらそう言う。
「ジョルジュさん、私からもお願い! のび太さんを連れて行かないで!」
 しずかも必死にそう嘆願する。

  • 377 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 21:53:42.21 ID:1ydZOty90

「すまない、今はこうするしか……」
 ジョルジュはそう言うと俯いた。
「そんなの酷いわ! のび太さんはみんなの為に頑張ったのに、それなのに――!」
 泣き出すしずか。
 ジョルジュはそんな2人に顔向けが出来なかった。
 しかしこの状況下で取るべき道をジョルジュは考え出すことが出来なかった。
 そんな様子をみて司令はニヤリと口元を歪めた。
「どうだい、ジョルジュ君。話は付いたかね?」
「……はい」
 ジョルジュは俯きながら答えた。
「ふふふ、そうか。助かったよジョルジュ君。君は確かツィマッドの社員だったね? オタクのドムとか言う新型が完成したら是非我が基地に配備させてもらうよ」
 そう言うと司令はジョルジュに歩み寄り笑いながらジョルジュの背中を叩いた。
「話も決まった事だ、君達はもう家に帰りなさい。パイロット養成学校に送還するのは1週間後だから早く準備をしておくように」
「一週間後ですって!?」
「何か問題でもあるかね?」
「――いえ」
 ジョルジュはそう言いながら握りこぶしを作る。
「フフフ、期待しているよノビタ君?」
 3人はそんな司令の言葉を背にして司令室を後にした。

  • 405 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:16:48.12 ID:1ydZOty90

「ノビタ君がパイロットだと。ふざけているのか貴様!」
 ジョルジュの説明を聞いたホライの父はそう叫びながらジョルジュに襟元を掴んだ。
「……すまない」
「馬鹿野朗!」
 そう言ってホライの父はジョルジュを殴り倒した。
 その様子をホライの母が心配そうに見つめている。
「俺に謝ってどうする! 謝るならノビタ君に謝れ!!」
 ジョルジュは殴られた頬をさすりながら、当然の事だと思った。
 あんな小さな子供を軍隊に売った人間なんて許されるはずが無い。
「お前を信用した俺が馬鹿だった。学生時代からの仲もこれで終わりだな。俺の家から出て行け!」
 そう吐き捨てるホライの父の言葉を聞くと、ジョルジュは立ち上がってヨロヨロとホライの家から出て行った。
 そのジョルジュの姿を見届けると、ホライの母が不安そうに口を開いた。
「どうするのあなた?」
「軍の命令なんだ。どうしようもない」
 そう言うとホライの父は頭を抱えた。
「あんな子供が兵隊だなんて」
 悲しそうに呟くホライの母。
「寒い時代だ……」
 ホライの父も小さくそう呟いた。

  • 455 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:45:39.24 ID:1ydZOty90

 次の日、ホライ一家はささやかだけど精一杯のび太を慰めようとパーティーを開いた。
 みんな出来るだけ明るく振舞って、のび太達を称えた。
 ホライの母は腕を振るって豪華な料理を並べたし、ホライの父も仕事を休んでそのパーティーに出席した。
 だけど結局、パーティーが終わるまでのび太は一度も笑顔を見せなかった。

 ホライはそんなのび太を外に連れ出した。
 そしてホライが知ってる限り、この町で一番景色のいい丘に連れて行くとのび太と一緒にそこに寝そべった。
「なぁノビタ」
 ホライは言葉は通じないと分かっていたがのび太に語りかけた。
「俺は絶対に士官学校に入ってみせる。そんて必ずのび太みたいな子供が戦争に行かないですむように軍を変えてみせる」
 ホライが何を言ってるのかはのび太には分からないが、のび太は真剣にホライの言葉を聞いている。
「だから心配するなノビタ。これは約束だ!」
 そう言って笑うとホライはのび太に手を差し出した。
 そしてのび太も笑顔で手を差し出し、二人はかたい握手をした。

  • 468 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:54:04.74 ID:1ydZOty90

 そしてとうとうのび太が出発する日となった。
 しずかは自分も行くと泣いて喚いたが、ホライの父はそれで必死で制した。
 軍から推薦を受けたのはのび太だけだし、しずかまで軍人にするわけにはいかない。
 ホライの父には二人を別れさせるしかなかった。

 そうして間もなくするとホライの家の前に一台の軍用車両が止まった。
 ホライの家のインターホンが鳴る。
 のび太はホライ一家としずかに別れの挨拶をすると、兵士にいざなわれるまま軍用車両に乗り込んだ。
最終更新:2006年11月06日 22:55