アットウィキロゴ
  • 678 名前: VIP足軽MS 投稿日: 2006/11/27(月) 04:02:04.73 ID:YM3IEbmf0

「みなさんがその素晴らしい心意気でジオンの為に戦われた。しかし皆さんの級友は戦死なされてしまいました。連邦軍に対して一体どう思いますか?」
 オネイがそう言うと、ここぞとばかりにカメラが訓練生たちの顔をアップにする。
 次々とアップにされる生徒達の顔は全員俯いていた。
「悔しいです」
 フレンが呟いた。
「連邦は卑劣だと思いました」
「許せません」
「俺が奴等に制裁を下して見せます」
 他の訓練生たちも次々と答えていく。
 そして最後にのび太が残った。
 画面いっぱいにノビタをとらえるカメラマン。
「ノビタさんはどう思いますか」
 オネイがそう尋ねる。
「ボクハ……」
 一瞬黙すのび太。
 そして。
「ボクハ。ミンナヲマモリタイデス」
 小さく、しかし強くそう言った。

  • 170 名前: kaba ◆LFo7ovRW0Q 投稿日: 2006/11/29(水) 02:15:07.07 ID:ixpDcUg10

 連邦軍カラカス基地に併設されたNT研究所の一室で、研究員は適性者の観察報告書に目を通していた。
 このNT研究所はあくまで暫定的なものである。
 この研究所の役割は、もっぱら研究と言うよりは単に地上のNT適性者を掻き集め選別するというものに過ぎない。
 NTの能力についての本研究を行う場では無いのだ。
 NTとは宇宙に出た人間のみが覚醒する。
 よって、NTの研究は宇宙で行わなければ意味が無かった。
 しかし宇宙の連邦軍唯一の拠点であるルナツーの研究所には片っ端から適性者を研究するだけの余裕は無い。
 よって玉石混淆の適性者たちの中から玉だけを取り出し、それをルナツーの研究所に送ることがこの研究所の役目なのである。
 研究者は11名の適性者たちのデータを注意深く確認する。
 そしてその中から見込みの強い適性者を3人リストアップした。

 丁度その作業が終わった時、研究室のドアが開いて一人の男が入ってきた。
 その姿を見て研究員は慌てて立ち上がり礼をする。
「司令、良いところにいらっしゃった。たった今、月末にルナツーへ送還する適性者を選別し終えた所です」
 その研究員の言葉を聞くと、研究室に入って来たスカルチノフは「ほお」と眼を丸くした。
「どれ、それではそのリストを見せてもらおうか」

  • 171 名前: kaba ◆LFo7ovRW0Q 投稿日: 2006/11/29(水) 02:15:32.04 ID:ixpDcUg10

「はっ」
 返事をしてまとめたばかりの適性者のファイルを取り出す研究員。
 それを受け取り、少しの間眺めるとスカルチノフは小さく笑みを作った。
「私が目をつけたエイサイ=デキスギがいるな」
「はい。彼は司令が目をおかけになっただけあって、今のところ我が研究所の適性者の中ではNTの最有力です」
「そうか」
 そう言って声を出して笑うスカルチノフ。
 しかし更にリストに目を通しているとその笑いがおさまった。
 少し不満げな表情を作る。
「全部で僅か3名か。これではNT部隊創設には厳しいな」
「既にルナツーでも本研究が始まっていますし、他の研究所でも数人有力な適性者が選別されています。件の構想には十分事足りるかと」
 研究員はスカルチノフにそう注釈を入れた。
 その言葉を聞いて「むう」と唸る。
「とにかく我が基地で出来うる事は全てやった。後はルナツーでの裁量次第と言ったところだな」
 適性者の資料のファイルを閉じると、スカルチノフはそれを研究員に返した。
「ご苦労だった。しかし、彼らを宇宙へ送るまでは抜かりないようにな」
 真面目な表情でそう言う。
「はっ」
 研究員はそれに敬礼で返した。

  • 204 名前: kaba ◆LFo7ovRW0Q 投稿日: 2006/12/03(日) 09:39:33.91 ID:GE8KCjuD0
音信不通で迷惑をかけて本当に申し訳ないです。
続きを書くのがここ数日ちょっと厳しかったので投下できませんでした。
話としても書きたいところまでもうちょっと、という感じなんでこの山を乗り切れば一気にいけると思うんですけど…

  • 52 :kaba ◆LFo7ovRW0Q :2006/12/13(水) 18:34:21.19 ID:L3SQtQIs0
避難所にも書いてきたんですが、音信不通で迷惑をかけて本当に申し訳ないです。
生存確認はこまめにするようにします。
ここのところ文を書くのがどうしても辛かったので、話を進めることが出来ませんでした。
ですが、完結にはもって行くつもりです。
仮に作品を投げる事になれば、もう書かないと伝えます。
出来るだけ頑張ります。

投下スピードは遅くなるかもしれないですけど、まったりと付き合ってもらえれば何よりです。

  • 53 :猪(ギャンブラー) :2006/12/13(水) 18:35:10.20 ID:L3SQtQIs0
とりあえず少しだけだけど書き溜めた分を投下します。

  • 54 :猪(ギャンブラー) :2006/12/13(水) 18:37:13.00 ID:L3SQtQIs0

 NT研究所のラボの一室には出来杉とアリアの2人だけが椅子に座っていた。
 出来杉とアリアは他の適性者たちと区別されて、数日前から彼らとは別のラボでNT適性実験を行っているからである。
 もう一人区別された適性者がいるのだが、その適性者はまだこの部屋にはいない。
 その適性者はいつも遅れて研究室に入ってくる。
 きっと今日も寝坊しているのだろうと出来杉は思った。
「ツンちゃん遅いね」
 アリアも同じことを考えていたのかそんなことを口にする。
 出来杉はそれに「うん」と返した。
「ツンちゃんの部屋が私たちと同じB棟なら起こしに行ってあげられるんだけど」
 そう言って残念そうな顔をする。
「仕方ないよ。A棟はB棟と違って警備が厳しいからね」
 出来杉の言葉を聞いて、アリアはツンの部屋へ遊びに行こうとA棟へ立ち入ろうとした時に警備兵に怒鳴られた事を思い出した。
 そんなイライラからか「ムー」と頬を膨らませながら唸る。
「ツンちゃんもB棟に来ればいいのに」
「そういう訳にも行かないんだよ」
 と言いながらアリアをなだめる出来杉。
 実際適性者の意見で自室を変える事は出来ないのだ。

  • 55 :猪(ギャンブラー) :2006/12/13(水) 18:37:54.78 ID:L3SQtQIs0

 そうして2人が時間を過ごしていると、ラボに研究員が入ってきた。
 そしてラボにいるのがアリアと出来杉だけであることを確認すると研究員は顔をしかめる。
「デーレラはまた遅れているのか」
 と、ため息まじりに言う研究員。
 遅れてくるたびにツンを叱って矯正しようとしても、ツンの朝の遅刻は一向に変わらない。
 こんな事ではいくらNTとして有望な人材とは言え実際の運用は辛いな、と思う。
 遅刻を除けばかなり優秀な人材なだけに研究員には余計に惜しかった。
「まぁいい」
 そう言うと研究員は気を取り直して実験に移ろうとする。
 しかし丁度その時ラボの扉が勢いよく開いた。
「すいません! 寝坊しちゃいました!」
 ラボに入ってくるなりそう言う女の子。
 出来杉とアリアよりも2つ年上で、金髪のロールが印象的な彼女。
 彼女こそがもう一人のNT適性者である、ツン=デーレラだった。
 とことことラボを歩くツン。
 遅れて来た癖に、彼女には反省の色が全く無い。
 そんなツンに研究員は厳しい視線を向ける。

  • 56 :猪(ギャンブラー) :2006/12/13(水) 18:39:33.67 ID:L3SQtQIs0

「デーレラ。君は一体何度遅れてくれば気が済むんだ?」
「次からは気をつけます」
「その言葉は聞き飽きたぞ」
 強い口調でそう言うがツンはやはり全く堪えていない。
 研究員はそんなツンに心底呆れ果てた。
「もういい。席に座りなさい」
「は~い」
 ツンは笑顔でそう言うと出来杉の隣の席に付いた。
「おはよ、エイサイ。アリア」
「おはよう」
 出来杉とアリアが同時に返す。
 そんな3人の様子を見ると研究員は改めて呆れたように口を開いた。
「まったく、あれほど今日は大事な話があると言っておいたのに」
 そう口を吐くと、研究員は気を取り直した。
「まぁいい。さて、それでは早速本題に入るぞ。既に説明している通り、君達は我々が発掘したNT適性者の中でも特に優れている人材だ。君達にはより効率よくNT覚醒を促すために他の適性者達とは別のメニューをこなして貰う必要がある。彼らよりも先に進んだ内容をな」
 研究者の言葉にツンは得意げに笑みを作った。
 自分が特別な存在であることが誇らしいのだ。

  • 57 :猪(ギャンブラー) :2006/12/13(水) 18:46:11.34 ID:L3SQtQIs0

「この研究所の施設、そもそも地上という条件そのものがNT覚醒への大きな枷だ。よって君達には宇宙の研究施設へ行って貰わねばならない。つまり宇宙における我が軍唯一の拠点、ルナツーだ。
先日も話したが、5日後にジャブローからルナツーへ物資輸送用のシャトルの打ち上げがある。そのシャトルに若干の余裕があるそうだから、そこに乗り込んでもらう。急ではあるが我慢して欲しい」
 出来杉達の表情が若干強張る。
 3人ともいずれはルナツーへ送られることを知ってはいた。
 しかし、それで改めて言い渡されると困惑せずにはいられない。
 だが、研究者はそんな3人の反応を無視して話を進める。
「明日8時よりジャブローに向かって出発する。その後2日ほどジャブローに待機し、そしてシャトルに搭乗してもらう」
 そう言いながら研究員は資料の束を取り出した。
「これがシャトル搭乗の際の留意事項だ。更にこっちはルナツーの施設についての説明が書かれている。一通りのことは今から話すが、部屋に戻ったら必ずそれらに目を通して置くように」
 研究員がそう言うと、出来杉達はそれぞれ「はい」と返事をする。
 それを聞くと、研究員はこれからの予定についての詳しい説明を話し始めた。

 研究員の説明はかなり長引き、NTの実験が始まったのはいつもよりも3時間も遅い時間だった。
 MSシミュレーターの設置されている部屋へ移動すると、出来杉達はいつものように脳波を測る装置を頭に装着する。
 全員が装着した事を確認すると、研究員は3人にシュミレーターに乗るように促した。
 3人はそれに従い、それぞれシミュレーターに搭乗していく。
 そして少し間を開けて研究員がシミュレート開始の信号を送ると、一斉にMSシミュレートが始まった。

  • 58 :猪(ギャンブラー) :2006/12/13(水) 18:46:53.32 ID:L3SQtQIs0

 一度のシミュレート時間は40分。
 本来なら一日にそれを3度行い、その後感応実験へと移る。
 しかし、時間が遅れていたために今日は一度だけでシミュレートで訓練は終わりとなった。
「MSシミュレートはこれで終わりだ。感応実験までの間休憩しなさい」
 研究員はそう言いながらシミュレート結果がプリントアウトされた紙を出来杉達に手渡す。
 出来杉とツンは普通にそれを受け取ったが、研究員はアリアに紙を手渡す時に口を開いた。
「アリア、君のシミュレート結果は2人に比べてあまり芳しくないな。特に射撃の命中精度が低い。もう少し努力したまえ」
 研究員にそう言われると、アリアは俯きながら紙を受け取った。
 アリアは決してMS操縦能力に劣っているわけではない。
 普通のパイロット候補生と比べれば段違いにアリアの方が優れている。
 ただ、あまりに出来杉とツンは優れていた。
 そんな2人よりも操縦技術が劣っているのは仕方のない事ではある。
 実際それだけなら研究員もさほど気にしないだろう。
 が、アリアには敵機を撃つ事に躊躇う節があった。
 回避に関しては、アリアの操縦技術は決して出来杉とツンに引けを取らないのだ。
 だから研究員にはそれが気がかりだった。

  • 59 :猪(ギャンブラー) :2006/12/13(水) 18:48:14.52 ID:L3SQtQIs0
書き溜めた分はこれで終わりです。
最終更新:2006年12月15日 13:56