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  • 185 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 19:41:35.33 ID:kaBaLdHG0

 のび太は今日もいつものように寝坊していた。
「ふぁ~、学校が無いって最高だなぁ」
 そんな呑気な事を言いながら洋服に着替えて部屋を出るのび太。
 ホライの家に来てもう一週間ほどが過ぎていた。
 のび太達はもう大分この家に慣れてきて、この世界についてもだんだんと分かってきた。
 とは言え、のび太に分かった事と言えばこの世界は恐らく未来であること、そして戦争中であると言うことだけではあるが。
 ドラえもんたちは大丈夫なのだろうか、とのび太は思った。
 ドラえもん達の情報は一向に掴めないままだ。
 もしも戦争に巻き込まれていたら、という考えを必死に振り払いドラえもん達は絶対大丈夫だと思い直すのび太。
 ドラえもんもジャイアンも、スネ夫も出来杉も、馬鹿でノロマな自分なんかよりずっとしっかりしてるんだ、と言い聞かせる。
 自分が大丈夫なんだから、みんなだって大丈夫なはずだ。

 リビングに入ると、しずかがホライの母の家事の手伝いをしていた。
 これもいつものことである。
 しずかは流石秀才といったもので、この1週間で簡単な日常会話なら支障がないほどの語学力を身に着けていた。
 そんなしずかにのび太が羨望の眼差しを向けていると、しずかは少し呆れたような顔をした。
「もう、のび太さんたら。たまには早起きしたらどうなの」
「いやぁ、学校がないとどうしても気が緩んじゃって」
 のび太がそう言って笑った。

  • 206 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 19:54:06.67 ID:kaBaLdHG0

「そんなこと言って。学校があったっていつも遅刻してるくせに」
 のび太としずかがそんな会話をしていると、ホライの母も加わってきた。
「のび太はよく寝るわね。成長期だからしら?」
 とホライの母が言うと、しずかはそれに大体のニュアンスをつかんで何かを言い返す。
 そうやってしずかとホライの母の話が段々と盛り上がってきたが、のび太には一切何を話しているの理解できなかった。

 3人がそんな朝の時間を過ごしているとホライの家のインターホンが鳴った。
「はぁい」
 と言いながらホライの母は玄関まで歩いていく。
 ドアを開くとそこに立っていたのはジョルジュだった。
「あらジョルジュさん」
「どうも、奥さんお久しぶり」
「あらあらどうしたんですか」
 ホライの母がそう言うと、ジョルジュは一瞬目線をそらした。
「いや、ゾーンさんの家で例の子供たちを預かってるって話じゃないですか。せっかくだからそのこ達にこの町を案内してあげようと思いまして」
「あらあら、わざわざどうもすみませんジョルジュさん。是非おあがりください」
「いえいえ、お構いなく」
「そうですか? それじゃあ今シズカとニビタを連れて来ますね」
 そう言うとホライの母はリビングへ戻って行った。

  • 235 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:16:24.51 ID:kaBaLdHG0

「シズカ、ニビタ。ジョルジュさんが今町を案内してくださるそうよ。是非行ってらっしゃい」
 とホライの母が2人に出来るだけわかりやすいように説明する。
「わぁい」
 と喜ぶしずか。のび太は言葉が良く分からなかったので、しずかの雰囲気に合わせて適当に喜んでみせた。
(でも今、僕のことニビタって言わなかった?)
 と思うのび太であったが、自分の聞き間違いかもしれないと思い黙っていた。

 2人が玄関からでると、門の外でジョルジュが待っていた。
「やぁ、元気にしてたかい2人とも」
 ジョルジュがそう言うと2人とも喜んでジョルジュのもとに駆け寄った。
 特にのび太にとっては、しずか以外にはこの人以外日本語で上手く意思疎通できる人が居ないために飛び上がる勢いである。
「ははは、元気だな2人とも」
 そう言って笑顔を作るジョルジュ。
「ねぇねぇ、何処に連れて行ってくれるのジョルジュさん?」
 と目を輝かせながら言うのび太。
「この町の有名な名所に全部連れてってあげるよ」
 ジョルジュの言葉を聞くと二人はまた「わあい」と喜んだ。
「じゃあ、俺の車に乗ってくれ。そこにある車がそうだ」
 そう言いながらジョルジュは車の後部座席のドアを開くと二人をその中へ乗せた。

  • 245 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:31:40.90 ID:kaBaLdHG0

「さてまずはこの町で一番綺麗な公園に連れて行ってやろう」
 そう言うと、ジョルジュは車を発進させた。

 5分ほど車を走らせていると車道の横に大きな建物が見えた。
 グラウンドのようなものがあるので、のび太もしずかもそれがすぐに学校であることが分かった。
「あれがホライの通ってる高校だ」
 ジョルジュはその学校を指差しながら言った。
「それじゃあ学校が終わる頃になったらまたここに来たいなぁ。そうしたらホライに会えるかも」
「丁度帰りにこの道を通るから、本当に会えるかもしれないね」
「ホライの教室はどこかなぁ」
 と、のび太達はいつまでもホライの学校を眺めていた。

 更に10分ほど車を走らせるとジョルジュは車を止めた。
「さぁみんな公園に到着したぞ」
 ジョルジュが車のドアを開くとのび太達は公園に飛び出した。
「わぁ~凄く綺麗な公園!」
 木々や花々に彩られたその公園に見とれるしずか。
「ほんと! 昼寝にうってつけだね!」
 と、のび太も違う理由でその公園にみとれている。

  • 265 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 20:47:08.80 ID:kaBaLdHG0

 本当にただの子供なんだよな、とそんな2人を見てジョルジュは思った。
 そんな子供を本当に軍属になど誘うべきなのか、と頭を悩ます。
 しかし、この機会を失えば永遠にこれほどのテストパイロットは手に入れられないかもしれない。
 背に腹は代えられなかった。
 そんな複雑な気持ちでのび太達を見つめていると、しずかがふと口を開いた。
「ところでここ、何て公園なんですか?」
 そんな何気ない質問に、一瞬ジョルジュは答えることをためらった。
「ここに名前なんて無いさ」
「そうなんですか」
 しずかはその事にそれほど興味が無いのか、それだけ言うと公園の散策を続けた。
 そう、ここに名前なんて無い。
 もとよりここは公園ですら無いのだ。
「本当は墓地だ何て言えねぇよな」
 と、誰にも聞こえないように小さく呟くジョルジュ。
 戦争が起こる前、ここには普通の住宅が立ち並んでいただけだった。
 そして戦争が起こると、この場所に爆弾が落ちた。
 連邦の爆弾かジオンの爆弾かは知らない。しかしこの町で最初の死者が出たのがこの場所だった。
 それからここは墓場になった。花の数だけ人の亡骸が埋められた。
 あえて名前をつけるとしたら、英霊公園。いや、亡霊公園か?と、そんな事をジョルジュは考えていた。
最終更新:2006年11月07日 18:36