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  • 30 名前: VIP村人b 投稿日: 2006/11/15(水) 20:55:34.23 ID:c7mDnuUs0

 じっくりと時間をかけて、決して敵に悟られないようにジオンの小隊の背後に回りこむ17小隊。
 距離にして800m。
 既に敵を目視可能な距離である。
 モニターの画面で敵の小隊を確認すると、渋沢は無線のスイッチを入れた。
「敵さんとの距離が700まで縮んだら突撃をかける。それまでに敵さんに発見されても同じだ」
『了解』
「先手必勝。100mm機関砲を連中の背中にぶち込んでやるぞ」
 そう言ってゆっくりとMSを進め敵との距離をジリジリと詰めていく渋沢達。
 しかし、距離750mの地点で突如ジオンのザクの1機が背後を振り向いた。
「気付かれた!?」
 渋沢がそう叫んだとほぼ同時に、ジオンの小隊がこちらに振り向き戦闘隊形を取ろうとする。
「突撃だ!! 敵に陣形を整わさせるなっ!!」
『了解です!』
『うおおおおお!!』
 一斉に100mm機関砲を連射しながら突撃していく渋沢達のジム。
 ジオンのザク2機の内、反応に遅れた機体がまともにその射撃を喰らった。
 だが、そんなザクをもう一機のザクがとっさに左肩のシールドをジムに向けながら庇う。
 それにより被弾したザクは何とかランドセルの破損だけで被害を抑え、すぐさま反撃に移ってきた。
「チッ、流石に手馴れてやがるなジオンのパイロットっ!」
 奇襲に失敗し、悔しさの余りそう呟く渋沢。
 実際MSでの実戦経験が殆ど無い渋沢よりも、ジオンのパイロット達の方が手馴れていた。
 ザク2機はシールドのある左肩を渋沢達に向けて射撃をしてくる。
 マゼラアタックも渋沢に砲身を向けた。
 完全に敵に陣形を整えられ、怒りで歯をかみ締める渋沢。

  • 32 名前: VIP村人b 投稿日: 2006/11/15(水) 20:57:04.81 ID:c7mDnuUs0

「糞っ! シールドをいくら機関砲で撃っても無駄だ! 格闘戦を仕掛ける!」
『はいっ!』
 そう言って突進していく17小隊のジム達。
 それを必死に迎撃するジオンの攻撃に、渋沢機のマニュピレーターに持たせたシールドが吹っ飛ばされる。
 更に渋沢の部下のジム1機がマゼラアタックの砲撃をまともに喰らった。
 大きくコックピット部分が拉げ、胸部から煙を上げるジム。
「きさまらあああああああああああ!!」
 それを見て渋沢は叫んだ。
 脚部に装備されたビームソードを手に取ると同時に、渋沢はスラスターを最大出力で噴射させた。
 およそ400mの距離が一気に縮まってゆく。
 その渋沢機の突進に、すぐに武装のザクマシンガンを捨てヒートホークを手に取ろうとするザク。
 それを、渋沢機は貫いていた。 
「次っ!!」
 ビームサーベルをザクから引き抜き、すぐさま次のザクを切り付けようとする渋沢。
 だが、もう一機のザクは既にヒートホークを手に取っていた。
 ザクのヒートホークが渋沢機の肩部を破壊する。
 それはビームサーベルを装備していたマニュピレーターだった。
「ぐう、おああ!」
 ザクの攻撃の衝撃を、必死にこらえる渋沢。
 とっさにもう片方のマニュピレーターにビームサーベルを持たせようとするが、ザクの2撃目には間に合わない。
 ここまでか、と思った時、部下のジムが100mm機関砲でザクの頭部を破壊した。

  • 33 名前: VIP村人b 投稿日: 2006/11/15(水) 20:57:28.99 ID:c7mDnuUs0

『大丈夫ですか隊長』
「すまん、助かった」
 そう言いながら、渋沢は機体の体勢を整える。
 最後に残ったマゼラアタックは後退をしながら、渋沢達に砲撃していた。
「残るはアイツだけだ。回避運動を取りつつ、取り付くぞ!」
『了解!』
 渋沢と部下のジム2機はそれぞれ左右に散開し、マゼラアタックに向かって走ってゆく。
 マゼラアタックに狙われたのは渋沢の部下だった。
 ジムに向かって砲撃を繰り返すマゼラアタック。
 その攻撃を脚部に喰らい、あっさりと倒れるジム。
 そんなマゼラアタックの戦いぶりに、渋沢は敵でありながら感心した。
「やるじゃねぇか、戦車の分際で!」
 マゼラアタックはすぐに次の照準を渋沢機に変えてくる。
 だがその前に、渋沢のジムがビームザーベルでマゼラトップを垂直に串刺しにしていた

  • 35 名前: VIP村人b 投稿日: 2006/11/15(水) 20:57:46.80 ID:c7mDnuUs0



 戦闘が終わると、渋沢達は急いでコックピットに直撃を受けたジムのもとへ向かった。
 コックピットをこじ開け、中からパイロットを引きずり出す渋沢の部下。
「だめです。もう息がありません……」
 パイロットの様子を見てそう言う部下に、渋沢は「そうか」とだけ答えた。
 パイロットの亡骸の下へ歩み寄り、その手を取る渋沢。
「ありがとう。お前のおかげで俺たちは勝利できた。だから――安らかに逝ってくれ」
 もう何も喋る事の無い部下にそう語りかけると、渋沢は立ち上がった。
「英霊に黙祷を捧げる」
 そう言って胸に手を置く。
 そんな渋沢に続いて、小隊の兵士達も黙祷を捧げた。
 これは戦争だ。
 戦死する人間なんて珍しくは無い。
 今までだって、渋沢は何度も戦友を失ってきた。
 だけど、何度だろうと渋沢は胸に押し寄せるこの強い悲しみを抑えきれない。
 だが彼は小隊長として、部下の死を毅然と背負わなければならないのだ。
 それが小隊長としての彼の責務だった。
 強く拳を握る渋沢。
 仲間達の死を無駄にしないためにも、渋沢は立ち続けるしかない。
 味方の、敵の、多くの人々の死を背負いながら、それでも立ち続け、戦い続ける。
 それが渋沢達兵士がいる戦争だった。

  • 128 名前: kaba ◆LFo7ovRW0Q 投稿日: 2006/11/16(木) 20:30:46.58 ID:Mxi4m76h0

 3晩の後、ホイとジャイアン達は無事コジマ大隊占領下のタイ国境までやって来た。
 そこまで来るとホイ達はジープを乗り捨て町へ続く道を歩く。
 しかし、町へ入る道を連邦の兵士が封鎖していた。
「兵士さん達よ。この道を通らせてもらいたいんだが」
「通行許可証を提示してください」
 ホイの言葉に、兵士はそう返した。
「通行許可証?」
「はい、現在基地周辺はテロ警戒中の為に、許可証の無い民間人はお通しすることは出来ません」
 兵士がそう言うと、ホイは渋沢達の言葉を思い出した。
 彼は確かに町には許可証が無いと入れないと言っていた。
 しかし、渋沢はホイ達のことをコジマ基地に連絡をしてくれているはずである。
「すまん、許可証も身分証明書も無い」
「それでは申し訳ないですがお引き取りください」
「ホイ=コーローの名前でそちらの基地に問い合わせてもらえないか? 連絡がいっている筈なんだが」
「基地、にですか?」
 兵士は不思議そうな顔でそう尋ね返す。
 ホイがもう一度頼み込むと、彼は仕方なく無線で本部に連絡を取った。
「こちらチェンライ検問所です。確認をお願いしたいのですが、ホイ=コーローという人物の通行許可は下りていますか」
 無線に向かってそう言う兵士。
 10分ほど無言の時間が過ぎた後、兵士は何度か「はい」と無線に返事をして無線を切った。
最終更新:2006年11月16日 20:43