- 154 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/07(佐賀県警察) 20:12:31.96 ID:LVwK0Oq50
「ジオンのやり方は卑劣だ。勝つ為になら何でもやる。コロニーを落とすにしろ何にしろ、連中は一般市民の命など屁とも思っていない」
出来杉もそれにはスカルチノフと同じ気持ちだった。
出来杉は難民収容所で戦場の悲惨さを何度も耳にしている。
ジオンのやり方は、戦争とは言え確かに度を越していると出来杉は思っていた。
「だから無数の難民が生まれる。この戦争は早く終わらせなければならないと思わないかね」
そう言いながらスカルチノフは出来杉のもとに歩み寄り、ジッと彼の目を見つめた。
「君の助力があれば、この戦争を終わらせられるかもしれない」
その言葉に出来杉の頭の中に難民収容所での思い出が駆け巡った。
出来杉は確かに思ったのだ。
自分はこの人達を救いたいと。
気が付けば、出来杉はスカルチノフの言葉に頷いていた。
- 291 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/07(佐賀県警察) 21:27:25.49 ID:LVwK0Oq50
「マジメニヤルアル!」
中華料理店の店長であるホイ=コーロウは、流しで皿洗いをしているジャイアンとスネ夫に怒鳴った。
「ちゃんと洗ってるじゃんよ!」
ジャイアンがそう言うと、ホイはジャイアン達が洗い終わった皿を一枚手に取った。
「ココ、マダヨゴレテルアル」
ホイがそう言って指差す部分をジャイアンが見てみると、確かにそこは少しだけ汚れていた。
とは言えよく目を凝らしてみなければ分からないものである。
「これくらいいいじゃないか!」
ジャイアンがそう抗議すると、ホイはそんなジャイアンを引っ叩いた。
「リョウリヤ、サラ、イノチアル」
そう言ってジャイアンを睨みつけるホイ。
そんなやたらに筋肉質であるホイ睨まれると、流石のジャイアンでも竦みあがってしまう。
「サラアライ、ツヅケルアル」
ホイにそう言われればジャイアンにはその通りに皿洗いをするしかなかった。
「キショー、アイツに比べれば母ちゃんの方が100倍マシだぜ」
ホイに聞こえないようにそう文句をたれるジャイアンに、スネ夫は不安そうな目を向ける。
「あんまりそういうこと言わない方がいいんじゃない? 聞こえたら何されるかわかんないよ」
「ぐぬぬぬぬ」
歯を食いしばりながら皿洗いを続けるジャイアン。
食い逃げをしてホイに捕まってから今日まで、2人の生活は毎日がこんな感じだった。
- 361 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/07(佐賀県警察) 22:13:58.34 ID:LVwK0Oq50
そうやって何とか2人があらかた皿洗いを終えると、やっとジャイアンとスネ夫は自由時間を与えられた。
「あ~あ、全く地獄だぜ」
ジャイアンは店の外に出ると、大声でそう言った。
「毎日毎日あんだけ働いかされて冗談じゃねーっての」
そう言いながら路上に落ちてる石を片っ端から蹴飛ばす。
ジャイアンとスネ夫は今までに何度もホイの店から脱走しようとしたが、その度に捕まり大目玉を喰らっている。
2人は結局文句を言いながらタダ働きをするしかなかった。
「それにしても、ほんとこの町は何にも無いね」
スネ夫は町並みを眺めながら言う。
スネ夫の言うとおりこの町は閑散としていた。
この町のある中国中部では未だに連邦とジオンの小競り合いが頻繁に起こっていたため、避難の為に別の場所に移り住むものが多いのである。
そうでなくても、この町はもともとあまり活気のある町ではなかった。
他にやることも無くそんな寂れた町並みをさ迷っていると、2人は自分達と同じくらいの子供の集団を見つけた。
ここでは自分達と同じくらいの年頃の子供を見かけるのは珍しかったので2人はその様子を眺める。
見れば、複数の子供が作る円の中心に2人の子供が地べたに座っている。
一人は男の子で、もう一人は女の子である。
2人はどうやらイジメられてるようだった。
- 389 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/07(佐賀県警察) 22:36:37.52 ID:LVwK0Oq50
「オマエラとうちゃん連邦の兵士なんだってな。本当に弱いよな連邦軍。なぁみんな戦争ゴッコしようぜ!俺たちザクでこいつら連邦の戦車な!」
中心的存在の子供がそう言うと、他の子供たちもゲラゲラ笑った。
この町に限った事では無いが、どの戦線でも連邦はジオンのMSに圧倒されている。
特にこの町は現在ジオン占領下にあったので、連邦を馬鹿にする風潮が強かった。
「お前ら戦車なんだからボコボコにされろよ! ザクに敵うわけ無いんだからな」
そう言って少年の服を引っ張る。
そんな彼らの様子を見ると、ジャイアンは子供たちの集団に向かって歩き出した。
ガキ大将としての本能か、それとも苛められてる子供に女の子がいたからか。
中国語で話しているため、彼らが何を言っているのかは分からなかったがジャイアンはとにかく苛めてる子供たちが許せなかった。
「ジャイアン、いいって。僕らには関係ないじゃない」
スネ夫は厄介ごとはごめんだとジャイアンを制止するが、ジャイアンはそれを無視した。
そんなジャイアンを見て、スネ夫は変な時だけ正義感が強いんだから、とため息をつく。
「おい」
ジャイアンはイジメッ子の集団に近づくと、リーダー格の子供の肩を掴んだ。
そんなジャイアンにイジメッ子が振り返る。
「あ? なんだよお前?」
そういってジャイアンを睨みつけるイジメッ子。
そんなイジメッ子に、ジャイアンは更に10倍はあろうかという迫力で睨み返す。
イジメッ子はそんなジャイアンの目をみると、本能的に鳥肌を起こした。
ジャイアンは彼の肩を握る力を強める。
「チッ」
冷や汗をかきながらそう舌打ちをするイジメッ子。
- 417 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/07(佐賀県警察) 22:55:29.99 ID:LVwK0Oq50
「おいみんな、帰るぞ」
そう言うと彼らはどこか別の場所へ歩いて行った。
ジャイアンはそれを見届けると、苛められていた子供達に話しかけた。
「おまえら大丈夫か?」
ジャイアンがそう言うと2人は中国語でお礼の言葉を述べた。
「いいって、いいって。気にすんな」
ジャイアンは中国語は分からないが、そう言って返事をする。
「そんじゃあな。ああいう連中には気をつけろよ」
と言ってジャイアンが離れようとすると、少年はジャイアンを掴んで何かを喋りだした。
「何だ? 何だ?」
と言って必死にそれに耳を傾けるジャイアンだが、生粋の日本人である彼には全く理解する事ができない。
「もしかして、ジャイアンにお礼がしたいんじゃないのかな?」
そんな様子を見ながらスネ夫が呟く。
「お礼?」
ジャイアンはそれを聞くと、ハッと笑った。
「いいよそんなもん。じゃーな」
そう言ってジャイアンはスネ夫を連れて立ち去った。
そんな2人を男の子と女の子は名残惜しそうに見つめていた。
最終更新:2006年11月08日 12:38