- 313 名前: VIP足軽x 投稿日: 2006/11/26(日) 00:23:23.53 ID:B7/L/UHi0
ホライを見送ると、ホライの両親はお互い一瞬だけ眼を合わせる。
しかし2人ともすぐに目線を逸らし、そして自分たちの仕事に取り掛かった。
お互い、何を言えば良いのか分からなかった。
ホライが町を歩くと、改めて町の惨状に眼がついた。
流れ弾でも当たったのだろう。
町には6日前の戦闘で、完全に崩壊している家屋が数多くある。
道路の舗装も惨憺たる状態だ。
それに、被害は建物や道路だけではない。
逃げ遅れた人々も数多く犠牲になった。
とにかく町のいたるところに戦闘の爪あとが残されているのだ。
ホライはそれが悲しかった。
そして怒りも感じた。
国家や軍人への怒りではない。
これだけ町の人々が苦しんでいるのに、何も出来ない自分が憎かった。
試験会場まではバスで行かなければならない。
なので当然向かうべきはバス停なのだが、ホライが歩いているのはなぜか違う方向だった。
- 324 名前: VIP足軽x 投稿日: 2006/11/26(日) 00:43:55.98 ID:B7/L/UHi0
結構な距離を歩くとホライは足を止めた。
ホライが立っているのは墓地の前だ。
墓標が無く、その代わりに花で埋め尽くされたこの墓地は、知らない人なら公園と見間違えるだろう。
しかし、そこは確かに墓地だった。
未曾有の早さで廻るこの戦争で、余りに多くの人々が死んでいった。
戦況下で、そんな人々を丁重に葬る暇など生き残った人々には無かったのだ。
だからこの町で死んだ人々は皆この場に集められ、そして墓標代わりに花を植えた。
今となってはそれが逆に町の人々に愛され、今でも戦災で亡くなった人々はこの墓地に埋め、そして墓標代わりの花を植えるのが風習となっている。
6日前の戦闘で死んだホライの友人も、この墓地に埋められた。
墓地に入るホライ。
そして一つの花の前に立ち止まり、その花に語りかけた。
「よう、元気してたかレイ?」
それはホライの幼馴染であるレイの墓標の花だった。
「とうとう今日が士官学校の受験日なんだ。レイには色々と嫌味を言われたけど、絶対に受かってお前を見返してやるからな」
- 345 名前: VIP足軽x 投稿日: 2006/11/26(日) 00:58:14.27 ID:B7/L/UHi0
そういって笑顔を見せる。
「だから、心して待ってろよ」
確かにホライの顔は笑顔だ。
なのに、ホライの眼は今にも泣き出しそうである。
そのまま、ホライは何も喋れなくなってしまった。
レイとの思い出で頭が一杯になる。
小さい時からいつも一緒にいて、中学も高校もずっと一緒で、これから先も腐れ縁が続くんだなと思ってた。
そんなレイのことを煙たく思ったりもした。
だけど、今は分かる。
本当に――
本当に俺は――
「俺はお前が好きだ、レイ」
そう呟くと、ホライは「じゃあな」と言ってその場を後にした。
- 611 名前: VIP足軽wwwww 投稿日: 2006/11/27(月) 02:10:10.42 ID:YM3IEbmf0
午前8時。
今日もまたキャリフォルニア第1養成学校の朝が始まる。
生徒達は起床するとすぐに授業の準備に取り掛かり、寮から出て次々と教室へ集まってきた。
そして教官が来るまでの間、生徒達は雑談にふける。
そんな中ライやフレン、そしてのび太が入ってくるとその度に教室内が沸く。
養成学校ではのび太達は英雄扱いだった。
軍からはのび太達に感謝状と、軍に大きな貢献を果たした軍属に送られる勲章も与えられた。
実際に彼らは英雄なのである。
優秀な生徒である彼らはもともと一目置かれていたものの、今回の件で別格扱いとなった。
それは生徒間だけの話ではなく、教師の間でもだ。
彼らはシミュレーターの結果だけでなく、実戦でも十分以上に通用するレベルである事が今回の件で実証されたのだ。
軍からは彼らに優先的な養成を行い、一日でも早く軍へまわせとの通達が来ている。
こと、のび太に関しては明日にでもよこせと言わんばかりの剣幕だ。
更に彼らに飛びついたのは軍だけではなかった
- 620 名前: VIP足軽wwwww 投稿日: 2006/11/27(月) 02:37:29.85 ID:YM3IEbmf0
いつものようにガヤガヤと騒がしい朝の教室。
だが、教室の戸を開けて教官が入ってくると、教室が一気に静まり返る。
教官は生徒達の点呼を取ると、今日の授業についての説明を簡単におこなった。
「さて」
一通りの説明を終えると、教官はそう言って話を切り替える。
「バール、ドリー、ノビ、ナシー、ウィキカンリオツ。お前達は授業の前に私についてきなさい。他の者達はすぐに次の授業に取り掛かれ」
そう言って礼をする教官。
教官が教室に出ると、のび太達も言われたとおりにその後を追って教室を出た。
そしてそのまま職員室まで歩いてゆく。
教官は自分の机のに座り、のび太達に話を始めた。
「お前たちの噂――13基地防衛戦の話だが。それは軍の方でも随分と広まっているそうだ」
教官の話を聞くと、それぞれ嬉しそうな顔をしたり得意げな顔をしたりする。
「ジオン国内でも注目を浴びている。お前たちにジオン国営放送からの取材依頼が来た」
その言葉を聞くと、のび太達は一斉に「えっ?」と声を上げた。
「TVの取材……ですか?」
驚いたようにナシーが聞き返す。
「そうだ。今日の午後に国営放送の記者の方達が来る。4時間目の訓練が終わったらすぐに第2会議室へ来い。分かったな?」
「はい!」
「それでは授業にもどれ」
のび太達は一礼をすると、全員そのまま職員室を出た。
最終更新:2006年11月27日 10:06