- 925 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 15:31:34.86 ID:kaBaLdHG0
壊滅した都市の瓦礫の上をドラえもんはさ迷っていた。
「なんなんだこの世界は。これは未来でも過去でも無いぞ」
ドラえもんは自分のコンピュータにあるデータと照合し、この世界のが自分達の世界ではない事に気がついていた。
「平行世界としか考えられない。時空乱流に巻き込まれたせいか……」
ドラえもんは辺りの様子を見渡す。
データを照合するとこの辺りはおそらくフランスのはずである。
だが細かい位置を確かめようとすると激しい頭痛がドラえもんを襲った。
ドラえもんはこの世界に来てからずっと調子が悪かった。
その原因が何かの粒子の性である事は分かっていたが、ドラえもんのデータにはそれが何の粒子であるか登録されていない。
さらに最悪な事にこの粒子のせいかなの、時空乱流に飲み込まれた時の衝撃のせいかは分からないが、四次元ポケットの機能が正常に機能しなくなっていた。
不幸中の幸いと言えばタイムマシーンの故障が軽微ですんだ事くらいである。
さて、これからどうしたものかと考えるドラえもん。
当然のび太達を探すのが第一にやらなければならない事だが、この辺りにはのび太どころか人間は誰一人居なかった。
とりあえずここから離れて別の場所に出なければならない。
それにこの世界について詳しく調べる必要がある。
ドラえもんはタイムマシーンを瓦礫の山に隠して目印をつけておくと、その場から立ち去った。
- 946 名前: ◆LFo7ovRW0Q 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 15:50:51.77 ID:kaBaLdHG0
そうして半日ほど歩いただろうか、ドラえもんは人の多い都市にたどり着いていた。
ドラえもんが集めた情報ではアースノイドとジオン公国というスペースノイドが未曾有の規模の戦争をしているということだった。
これはえらいところに来てしまった、と思うドラえもん。
町のテレビは延々とギレンという名のジオンの大将の演説を放映していた。
『連邦の愚民どもは地球の資源を食いつぶし、汚染し、母なる大地をしに追いやるだけの屑である! 我々は断じて――』
「地球を汚染か……」
と、ドラえもんは呟いた。
この世界の科学力は確かに高いのだが、ドラえもんが見た限りそれはほとんど軍用器機に限られているように思えた。
エネルギー効率や環境保全能力で見れば、ほとんど20世紀と大差がなさそうなのである。
現にこの都市も、外観は20世紀と変わらない、いやむしろ後退しているのではないかと思うほどだ。
この世界はドラえもんの住んでいた22世紀とは大きくかけ離れている。
それは明らかにこの世界の地球政府が道を踏み間違えた事を示していた。
しかし、だからと言ってドラえもんにはスペースノイドのやり方が正しいとは思えなかった。
独立や地球の為の選択肢が戦争しかないわけが無い。
「どっちもどっちだよ」
そう言うと、ドラえもんはテレビの前から動いてまたこの世界の捜索を開始した。
- 961 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:07:03.28 ID:kaBaLdHG0
とは言えドラえもんには次の一手が無かった。
今までにも何人もの人にメガネをかけた東洋人や、ゴリラやキツネのような東洋人を見たかと聞いても手掛かりすらつかむことが出来なかったのだ。
それに情報収集と言っても、ただ適当に歩き回るだけではロクな情報は集まらない。
おまけに、ドラえもんはもう2日も何も食べていなかった。
「いくら僕が省エネ指定の優良ロボットとは言え、もう流石に限界だよ」
とりあえず食事を取らなければ何も始まらない。
しかし食事をするにも金が無かった。
これは致命的である、良く分からない世界で秘密道具も頼りに出来ない状況。
そこで更に無一文とくればのび太達を見つけるどころの話ではない。
とりあえず金を稼ぐ事がドラえもんの当面の命題だ。
ドラえもんはあれこれ考えた末に、町の外れにある古ぼけた電気屋の戸を叩いた。
本当はこんなことをしてる場合ではないと思ったが、しかしこうするより他に方法が無かった。
少しすると電気屋の奥から初老の男がやって来た。
「いらっしゃあい」
と言いながらジッとドラえもんを見つめる男。
「あの、僕をここで雇ってくれませんか?」
ドラえもんがそう尋ねると、男は「青狸がしゃべたあああああああああああああああ!!!」とパニック状態に陥った。
- 989 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:23:22.59 ID:kaBaLdHG0
ドラえもんは何とか電気屋の店長、ジョンを説得した。
やがてジョンも何とか冷静さを取り戻したが、しかしドラえもんを雇うことには頷かなかった。
「冗談じゃない。ロボットだか狸だか知らんが、あんた見たいのにうちの仕事を任せたらうちの信用に関わる」
そう言って突っぱねるジョン。
「お願いします! 一度だけ試しに何かの修理をやらせてください!」
と、必死に食い下がるドラえもんにジョンは、はぁ、とため息を付いた。
「じゃあ一度だけだぞ? それが終わったら帰ってくれよな」
そう言うとジョンは面倒くさそうに近くにおいてあるテレビを持ち出した。
「どうです、ちゃんと直ってるでしょ?」
ドラえもんは得意げに言った。
「ほんまじゃ」
ジョンは目を丸くして驚いていた。
簡単な故障を直した程度だったらジョンはこうも驚かなかっただろう。
しかしジョンはどうせドラえもんは何も出来ないと思い、下手に故障を酷くされてはたまらないと、修理できないと投げ出していたスクラップ同然のテレビを渡したのだ。
それをドラえもんはいとも簡単に新品同然に直してしまった。
「分かった。採用じゃ」
ジョンにはそう言うしかなかった。
「やったあ!」
ドラえもんはそれを聞くと嬉しそうに飛び跳ねた。
- 35 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 16:45:46.16 ID:kaBaLdHG0
「よし今日の授業はこれで終わりだ。もう帰っていいぞ」
教師がそう言うとクラスメート達は一斉にガヤガヤと喋りながら教室から立ち去っていく。
ホライも同じように教室を出ようとしたとき、教師が突然ホライに声をかけてきた。
「ゾーン、君は僕について来なさい。少し話したいことがある」
「話ですか?」
ホライはまたか、と思った。どうせ士官学校関連の話に決まっている。
ホライはそのまま教師に相談室まで連れて行かれた。
教師はホライにソファーに座るように言うと、自分もソファーに座った。
「士官学校のことなんだが、ゾーン。士官学校ではなく一般兵の募集に応募してみたらどうだ?」
そう口火を切った教師に、ホライはやっぱりと思った。
「いえ、僕一般兵には志願するつもり無いですから」
いつものようにつっぱねて言うホライ。
「ゾーン、一般兵と言うとイメージが悪いかもしれないがジオンの待遇は良いという話だ。受けてみて悪くは無いと思うぞ」
嘘だ、とホライは思った。
下級兵の待遇が良いなんてあるはずが無い。戦争で犬死するのは常に下級兵である。そんなことくらいホライは百も承知である。
それにこうして教師が必死に何度もホライを説得する理由を彼は知っていた。
多くのジオン志願兵を出した学校には、ジオン政府から特別な奨励金がもらえるのだ。
だからこうして士官学校に受かるはずの無いホライに、説得を繰り返すのである。
最終更新:2006年11月12日 17:24