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  • 544 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 02:24:17.90 ID:XErY1XXy0

 深夜、ジャイアンとスネ夫が寝静まった頃。
 しかしなぜかホイの料理店の食堂には明かりが点され、ホイを含む数人の男達がテーブルを囲んでいた。
「それで話ってのは何だ? こちとら眠いんだ。手短に頼むぞ」
 ホイは欠伸をしながら目の前の男達に言う。
「何を呑気な事を言ってるんだコーロウ!」
 そんなホイの言葉を聞くと、男の一人が叫んだ。
「わかった! わかったから静かにしてくれ。ジオン兵にでも聞かれたらどうする」
 そう言って慌ててホイが男をなだめると、男は渋々「すまない」と呟いた。
「とにかくだ、今回得た情報はかなり重要だぞ。数日のうちにジオンの輸送部隊がこの町を通る」
 それを聞くと「ほう」とホイは興味を示した。
「具体的にどんな部隊なんだ?」
 ホイがそう尋ねると、男は地図を指差した。
「情報によればラサのジオン基地から河南省の前線へMSを輸送する部隊らしい」
 そう言いながら男は唾を飲んだ。
「これは大変な事だ。この前線をジオンに制されると、東アジアにおける軍事バランスが大きくジオン側に傾く」
「ふむ。話は分かった。それで、俺にどうしろと」
 ホイがそう言うと男はホイの目を見つめた。
「お前に我々の部隊に協力してもらいたい」
「俺にゲリラになれと?」
「そうだ。お前の事は信用している。お前が兵士だった頃からよく知っているからな」
「昔のことだ。今は単なる一般人だよ。連邦に特別肩入れしてるわけじゃない」
 ホイがそう言うと、男はホイを睨みつけた。

  • 557 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 03:05:59.02 ID:XErY1XXy0

「それじゃあ、お前はジオンにこのまま占領されていいと言うのか?」
 と男はホイを非難する口調で言う。
「そう言うわけではないが」
 ホイは男から目線を逸らして口を濁す。
「しかし正規兵でもない俺達に何が出来る。MSの輸送部隊となれば護衛も相当なものだろ」
「作戦は立てている」
 そう言うと男は足元に置いておいたカバンの中から紙の束を取り出した。
「得た情報から敵の予想ルートは既に絞ってある。対戦車地雷も仕入れた」
 そう言いながら紙を机の上に広げる。
「この予想ルートに対戦車地雷を仕掛け、敵が足止めを食らっている間に輸送車のMSに爆弾を設置する。それが済めば我々の作戦は成功だ」
 ホイはその話を聞いて肩をすくめる。
「えらく単純な作戦だな」
「この計画で重要なのは周到さではなく迅速さだ。だからこそ経験のある指揮者が必要なんだ」
 そう言いながら、男はまた地図を指差した。
「予想ルートが一本に絞れるならお前にこんな頼み事はしない。しかし予想されるルートは最低でもこれらの4ルート。我々だけで対応するのは少々厳しい」
 そう言いながら男はホイの手を握った。
「頼む。我々にはお前の経験がどうしても必要なんだ」
 必死の形相で頼む男にホイは少し気圧されてしまった。
「しかし、な。もう少し考えさせてくれ」
 と曖昧に答えるホイ。
「もう時間が無い。また明日ここに来るから、それまでに決めてくれ」
 そう言うと、男達は立ち上がった。
「良い返事を期待してる」
 ホイの店から立ち去って行く男達を見ながら、ホイはどうしたものかと考えていた。

  • 734 名前: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします 投稿日: 佐賀暦2006年,2006/11/08(佐賀県職員) 19:21:08.40 ID:UoNUrTHK0

 いつもと同じように今日もジャイアンとスネ夫は皿洗いをさせられていた。
 しかし今日は少しホイの様子が違う。
「ホイさん、今日はあんまり怒んないね」
 と横目でホイを見ながら言うスネ夫。
 そんなスネ夫の言葉にジャイアンも振り返る。
 確かに今日のホイはいつもと違って何か悩んでいるような顔をしてた。
 そんなジャイアンとスネ夫に気付くと、ホイは2人を睨む。
「ナニシテルアル? ヨソミスルナ」
 ホイがそう言うと、2人は慌てて皿洗いを続けた。

 実際ホイは悩んでいた。
 この地域はジオン占領地というより、ジオン影響下にあると言った方が正しい町である。
 一般市民の中にはジオンに反抗する人間も少ない。
 中には一般市民としてこの町に移り住み、密かにジオンに対してゲリラ戦を展開する人間たちもいた。
 それが昨晩の男達である。
 ホイにはかつて連邦兵士であった頃から彼らとは知り合いであった。
 それ故にゲリラへの誘いである。
 だが軍と言う組織が嫌で兵士を辞めたホイにそれを頷くつもりはなかった。
 ゲリラ戦というのものの辛さを知っているからと言うのもある。
 さらに彼はいま、ジャイアンとスネ夫という2人の子供を抱えていた。

  • 22 名前: 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/11/10(金) 20:25:15.98 ID:SB7jm5Mo
 もしもホイがゲリラに加われば、2人にも危険が及ぶ可能性がある。
 それを考えると、ホイにはゲリラに加わる気にはとてもなれなかった。
 断ろう、と決心するホイ。
 結局、彼にとって最も大事なものは戦争の勝敗ではなく目先の生活だった。

 皿洗いを終えるとジャイアンとスネ夫は今日も町を散歩していた。
 最初はドラえもん達を探すために行っていたのだが、最近ではすっかりそのことを諦めてしまっていた。
 今の2人は惰性と、店に残っていたらまだ何かを手伝わされるかもしれない、という思いから徘徊しているだけである。
 しかしこうしていてもつまらないだけだった。
「ねぇジャイアン。このまま家に帰れなかったらどうしようか」
 そんな空気に耐えかねて、スネ夫はついそうこぼす。
 しかしジャイアンもそれにいい返す気になれない。
 2人は変に今の状態に慣れ始めていた。
 そうやって2人が道を歩いていると、ジャイアンは突然誰かに服をつかまれた。
 驚いて振り向くジャイアン。
 そこに居たのは昨日の男の子と女の子だった。

  • 26 名前: 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/11/10(金) 20:50:33.53 ID:SB7jm5Mo
「なんだお前たちか、ビックリしたぜ。どうしたんだ? また虐められたのか?」
 ジャイアンがそう尋ねると、2人は中国語で何かを喋りながらジャイアンに小さな袋を差し出した。
 その袋を受け取ってジャイアンが中を覗いてみると、中には小さな飴玉がいくつか詰まっている。
 それは虐められてるところを助けてもらった2人のお礼だった。
 小さな飴玉が数個しか入ってないけど、それは2人の精一杯の感謝の気持ちの表れである。
 ジャイアンはそれに気付くと笑顔を作った。
「ありがとうな。大事に食わせてもらうぜ」
 そう言ってお礼を言うと、男の子達も嬉しそうに笑った。
 そんな2人の前でジャイアンは飴玉を一つ頬張ってみせる。
「美味いぜこれ!」
 実際に感じた美味しさよりもオーバーにリアクションを取るジャイアン。
 そんな彼を見て、男の子と女の子は一層喜んだ。


 そうして少しの間ジャイアンとスネ夫は彼らと遊ぶと、そろそろホイの店に戻った方がいい時間になっていた。
「それじゃあな」
 ジャイアンがそう言って帰ろうとすると、男の子がまたジャイアンの服をつかむ。
「何だ、まだなんかあるのか?」
 そういって男の子をみると、男の子は慌ててズボンのポケットから紙切れを取り出した。
 そしてそれをジャイアンの手に握らせると、男の子と女の子は何処かへ走り去っていった。
最終更新:2006年11月10日 20:55