- 186 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[] 投稿日:2009/09/07(月) 01:16:02.48 ID:Evmr0zQ0
最初の敵であるザクⅡを発見したのはツンだった。
ザクよりも早く相手を察知し、すぐさま射撃し、危うげなく撃破したのだ。
そんな彼女を筆頭に出来杉とアリアも次々に敵を発見し撃墜してゆく。
間違いなく、出来杉達の操縦技術は並みのパイロット以上のものだった。
そして本人達はあまり意識してはいなかったが、3人は互いに上手く連携を取り合い、互いが互いをカバーしていた。
ツンが3機の戦闘を行き、そしてそれぞれが互いの死角を補い合いながら着実に敵機を捕捉し撃破する。
彼らが1人1人であればあるいは彼らの能力は並以上で終わっていたかもしれない。
しかし、例えばジオンの黒い3連星がそうであるように、彼らは3人であるからこそ発揮できる能力を持っていた。
そして3人で能力を発揮すれば、その力はエースパイロットと呼ぶにふさわしいものだった。
敵機の迎撃を開始してからそれほど経たない内にすでに出来杉達は合わせて10機のMSを撃破していた。
明らかに他のジム達とは動きが違う。
必然的に出来杉達は敵機の多いエリアへと食い込んでいた。
「私たちが先陣を切れば後続の友軍も動きやすくなる。だからどんどん切り込んでいくわよ!」
そう言うツンに出来杉とアリアがすぐさま無線で返す。
「OK!」
「サポートは私にまかせて!」
そうしてまた敵機を撃墜してゆく。
ツンはもちろんの事、訓練では敵機を撃墜することを躊躇していたアリアまでもが躊躇うことなく戦っていた。
- 187 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[] 投稿日:2009/09/07(月) 01:19:31.84 ID:Evmr0zQ0
ふと、出来杉の心の中で何かが引っかかった。
これでいいんだ。
これでいいはずだ。
だから何も考えるな。
自分にそう言い聞かせる出来杉。
しかし彼は心に浮かぶ思いをぬぐい切れなかった。
『僕は、僕達はただの兵器に成り下がっているのではないか?』
ただ、無性に胸が苦しかった。
もはや選んでしまった道。
引き返せないのだとしたら、後は貫き通すしかない。
「うおおおおお!」
出来杉はビームスプレーガンで一機のグフを撃墜したかと思うと刹那にバーニャを最大出力でジャンプし、今度は別のザクをビームサーベルで真っ二つに両断していた。
爆発し、炎上するグフとザク。
連続で2機のMSを撃墜しておきながら、出来杉には何の感慨も無かった。
ただ、このままずっとジオンを倒し続ければ少しでも戦争の終結に近づくのかもしれないと思うと、少しだけ救われた気がした。。
だが、それ以上のことを考える時間は出来杉には無かった。
間髪置かずに出来杉達の下へ2機のMSが突進してくる。
すぐさまレーダーとソナーの情報を解析する出来杉。
「この反応、先行してるのがグフで、後方がドムか」
格闘戦主体のグフを先陣に後方から長距離射程を誇るジャイアントバズで砲撃する。
定石にして厄介な戦法だ。
ジャイアントバズの砲撃のせいで突撃してくるグフに狙いを定める事が出来なかった。
だが、これ以上グフを接近させるわけにもいかない。
- 188 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[] 投稿日:2009/09/07(月) 01:22:58.54 ID:Evmr0zQ0
「ツン! アリア! 一先ずスプレーガンで先陣のグフを倒そう!」
出来杉がそう言うと2人から『了解』と無線が返ってくる。
3人が一斉にグフに集中砲火を浴びせた
しかし、このグフのパイロットは手強かった。
グフはその攻撃を何とか避け、突撃を続けてくる。
グフの固定武装であるフィンガーランチャーを装備した左腕を破損し、シールドも吹き飛ばされた。
だというのにグフは全く臆することなく、右腕に持ったヒートサーベルで切りかかれる距離まで間合いを詰めてくる。
気がつけばグフはツンのジムに切りかかっていた。
「私に喧嘩売る気? 上等じゃないっ!」
すかさずビームサーベルをバックパックから引き抜き応戦するツン。
ツンのジムとグフは剣道の鍔迫り合いの様に、互いの剣を交えたまま拮抗している。
「やるわね……、でもMSの出力はこっちの方が上なのよっ!」
そう言った瞬間、ツンは機体とビームサーベルの出力を瞬発的に最大値まで引き上げた。
グフのヒートサーベルがビームサーベルの磁力に弾かれる。
ツンはその隙を逃すまいと間髪置かずにグフに切りかかった。
しかしグフのパイロットも非凡な操縦技術を持っているのだろう。
本来ならば直撃するはずのツンの一閃を、ギリギリのタイミングでヒートサーベルで受け止める。
「くっ!!」
敵を仕留め損なった怒りで顔をゆがめるツン。
しかし、相手のグフは今の攻撃を防いだ事で再び大きくよろめいていた。
今度こそいける。
そう確信した。
だが、ビームサーベルで切りかかろうとしたその時、ツンの目にグフのバーニャに火が灯るのが映った。
ツンの次の動きをグフのパイロットも読んでいたのだ。
グフはバックスッテップでツンの攻撃をを避けようとしていた。
私のビームサーベルじゃ間に合わない、ツンはそう悟った瞬間に叫んでいた。
- 189 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[] 投稿日:2009/09/07(月) 01:25:47.52 ID:Evmr0zQ0
「出来杉っっ!!」
「わかってる!」
ツンの言葉に応じて、出来杉はビームスプレーガンの照準をグフにセットする。
「当たれええええ!」
出来杉がそう言ってトリガーを引こうとした矢先だった。
「ダメッ!! 避けて、エイサイ!!」
アリアの声が聞こえた瞬間、出来杉はその言葉を理解するより先にジムにサイドステップを取らせていた。
次の瞬間、出来杉のジムのコックピット内に爆音が響いた。
その音の激しさに直撃を覚悟した出来杉だったが、機体の揺れからして被弾していないのは確かだった。
モニターを見れば、先ほどまで出来杉のジムが立っていた場所にもくもくと黒煙が立ち込めていた。
出来杉は咄嗟にそれがドムの砲撃によるものである事を理解すると、ドムを索敵しセンターに見据えた。
ドムはジャイアントバズの一撃目から二撃目へ移行する間の僅かな隙を見せているところだった。
その隙を逃すわけにはいかない。
ビームスプレーガンでドムを射撃する。
が、その攻撃を予知していたようにドムはそれを避けた。
「大丈夫エイサイ!?」
アリアが出来杉を心配して通信を入れた。
「うん、大丈夫だよ。だけどあのドム、シャア程じゃないにしても相当な力量だ」
そう出来杉は返した。
だが、そうして2人がドムに気を取られた隙にグフは体勢を立て直し再びツンのジムへ切りかかってきていた。
「しつこいわねっ!!」
グフの一撃を避けるツンのジム。
と、同時にビームサーベルで反撃を試みた彼女だったが、まるで流れるような動きを見せるグフはそれを避け、切りかかってきた。
- 190 名前:以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします[] 投稿日:2009/09/07(月) 01:27:28.10 ID:Evmr0zQ0
「なっ」
グフの見せた動きは見事としか言いようのない物である。
ツンとて驚嘆の声を漏らさずに入られなかった。
だが、それ以上に敵が憎い。
ツンはバーニャの推力を使い何とかその斬撃を交わそうとした。
だが、ほんの一瞬間に合わなかった。
ビームサーベルを手にしていない方の左腕がグフの餌食になる。
モニターに損傷率が映し出される。
損傷率は軽微。
こんなのは屁でもない、と彼女は思う。
そもそも、例えそれが致命傷だったとしても、このまま引き下がるツンではなかった。
ツンはカウンターとばかりにもう一撃グフに斬撃を見遣った。
並みのパイロットでは繰り出せない、気合の一撃。
その攻撃は確かにグフに届いた。
ツンの一閃はグフの右肩に直撃していた。
しかし、その攻撃も甘かった。
幸運だったのは、それはヒートサーベルを手にしている右の肩であることだ。
それによりグフは、ヒートサーベルを使用する事が出来なくなっていた。
最終更新:2009年09月28日 11:02