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 ジャブロー。
 それは南米アマゾン川流域の地下に広がる地球連邦軍の大本営である。
 巨大な鍾乳洞を無数に連結させた巨大な基地には地球連邦軍総司令部が入っており、大本営の名に恥じぬだけの防衛能力を備えている。
 また、上空からの視認ではその入り口を見つけることが出来ないほど巧みにカモフラージュされており、ジオン側はその進入経路の解明に躍起だった。
 さらにジャブローは兵器の開発・生産能力や食料自給能力まで備えており、名実共に地球連邦軍の最大かつ最強の要塞である。

 そのジャブローの潜水艦用ドッグにこの日もまた一隻のU型潜水艦が入港した。
 即座に2人のジャブロー守備隊の兵士がドッグの橋渡し部の前に走りこんでくる。
 片方の兵士が手に持ったトランシーバー様の通信機器でU型潜水艦の所属を確認した。
「ただいま貴艦のドッギングを確認。貴艦はカラカス基地所属のU32514で間違いありませんか」
 兵士の言葉に対し、トランシーバーから応答が帰ってきた。
『U32514で間違ありません』
「了解です。それではどうぞこちらへ」
 兵士がそう言うとジョウコウの上部ハッチが開いた。
 中から出てきたのは5人の人間で、その内3人が子供だった。
 残る2人の大人も一人はいかにも兵士らしい風情だが、もう一人の方は兵士にしては頼りない痩躯で肌も白い。
 それでも肩章を見たところ大尉であるらしかった。
 おそらく、兵士は兵士でも技術士官といったところだろう。
 変わった連中だな、と守備隊の兵士達は思った。
 ジャブロー守備隊の2人には、カラカス基地からやってきた彼らについての情報は殆ど与えてられていなかったのだ。

「やあ、出迎えご苦労。私はカラカス基地司令部所属のショー=ボーン大尉だ。よろしく頼む」
 色白の大尉はそう名乗ると笑顔で右腕を差し出した。
「はっ、こちらはカーバ一等兵であります」
 ジャブロー守備隊の一人はそういって手をとった。
「同じくホーア二等兵であります」
 もう一人の守備隊も同じく手をとる。
 そうして互いに眼を合わせると、ふと兵士の目が少年達へと向けられた。
 守備隊の兵士が少年達について尋ねようかと一瞬だけ戸惑った瞬間、色白の大尉の方から口を開いた。
「君はこの少年達について何か聞かされているかね」
 守備隊の兵士はそう言われ、男に連れられてきた3人の子供を見た。
 東洋人らしき黒髪の男の子と、貴族のような髪型をした金髪の女の子と、明るい茶色をしたショートヘアーの女の子。
 正直、兵士にはただの子供にしか見えなかったし、そもそも子供達がこの潜水艦に乗っている事すら聞かされていなかった。
「いえ、私は皆様が重要な任務に携わる方々という事以外は何も聞いておりません」
 兵士は一瞬言葉に窮したが、正直にそう答えた。
「そうか」
 そういうと大尉は子供達の肩に手を置きニカッと笑った。
「それなら覚えておくといい。この子達はいずれアムロ=レイをも超える救国の戦士になるかもしれないのだからね」
「は、――戦士、ですか?」
 元気良く返事を返したもの、兵士にはいったい何の事だか分からない様子である。
 そんな兵士の察するように大尉はまた笑った。
「ははは、ピンとこんかね。ニュータイプなんだよこの子達は。君もニュータイプという名前くらい聞いたことくらいあるだろう。わが軍ではあのアムロ=レイもニュータイプだ」
「ニュータイプ、ですか」
 兵士は戸惑った様子で相槌をうつ。
 そんな彼らの様子を見かねたように、大尉に付き添ってカラカスからやってきた兵士が大尉を小突いた。
「いいんですか大尉。そんなにベラベラと話してしまって」
 小さな声で耳打ちする。
 なにせNTの少年達に関する情報は軽々しく口にするなとスカルチノフ司令からの直々の御達しなのだ。
 しかしそんな事を大尉は全く気にしていないようだった。
「いいんだよ君、例え今隠したところですぐに世界中がこの子達の才能に気づくことになるのだから」
 そう言ってガハハと大尉は大きく笑った。
「それではそこの君、早く我々を案内してくれたまえ」
 大尉がそう言うと、防衛隊の兵士は「はっ」と返事を返し彼らを基地の内部へと案内した。

 どれほど歩いただろう。
 とにかく、ジャブローというのは巨大な基地である。
 すでに出来杉達は車両を用いて10分ほど移動し、車両から降ろされたと思うとその上さら10分ほど歩かされている。
「さっきまで酷い揺れの潜水艦に乗せられて、今度はウォーキング? もう無理。疲れたわ」
 ツンは心底疲れた様子でそう言った。
「ね、あなた達もそう思うでしょ? エイサイ、アリア」
 ツンはそう言って2人の顔を覗き込む。
「あたしも疲れたよー、ツンちゃん」
 アリアもへばった様子で言った。
「きっともうすぐだよ。もう少しだけがんばろう」
 出来杉はそんな2人に笑顔を見せながらそう励ます。
「もう、エイサイはこんな時まで優等生ぶるんだから」
 ツンはそんな出来杉に不満げの様子だった。
「いい子ぶるのなんて必要な時だけでいいのよ。こういう時は自分に正直になりなさい」
「ツンちゃんの言うとおりだよ、エイサイもたまには『疲れたー』とか、『だるいー』とか文句言わなくっちゃ」
 そんなツンとは対照的に、アリアは優しい口調で返す。
「はは、なにも優等生ぶってるつもりじゃないよ。我慢が少しだけ得意なだけだよ」
「その口ぶりが優等生だってのよ」
 ツンはやはり不満げだった。
「ところで、ねぇ、カーバ一等兵さんでしたっけ? あとどれくらいで目的地に着くのかしら」
 わざとらしく大人ぶった口調で、ツンは守備隊の兵士にそう尋ねた。
「え、あ。そうですね、あと10分ほどで着くと思いますよ」
「いやあ~! あと十分も歩かなきゃならないなんて」
 やってらんない、と嘆くツン。
「デーレラ、少し静かにしていたまえ」
 そんな彼女を見かねてショー大尉がツンを諌めた。
 それに「チェッ」と拗ねた様子のツン。
 守備隊の兵士には、とてもこの子供たちが救国の戦士などとは信じられなかった。

 ようやく目的の場所に着いたのは軍用港から移動を始めて30分以上が経過していた頃だった。
 ふと、基地施設の狭い通路の行き止まりで兵士は歩くのを止めた。
「こちらです皆さん」
 そう言って彼が案内したのは基地施設の中の小さな扉だった。
 扉の外見を見るに、とても他の基地からきた人間をもてなすような部屋には見えない。
「やれやれ、天下のジャブローだから大理石のオフィスに出迎えくらいはしてくれると思ったのだが」
 などと冗談交じりに大尉が文句を垂れる。
 ここには大理石どころか鉄とコンクリートしか見当たらなかった。
 守備隊の兵士が部屋の扉の通信ボタンを押す。
 すると通信機器のスピーカーから『はい』という言葉が聞こえた。
「Dブロック防衛中隊所属のカーバ一等兵と申します。ただ今カラカス基地からお越しいただいたショー=ボーン大尉とそのお連れ様を案内してまいりました」
『ご苦労。扉のロックを開けるから中にお連れしてくれ』
「はっ」
 そういうと先方は通信の回線を切った。
 それと同時に扉のロックが解除されたようだった。
「どうぞ中へ」
 兵士が扉を開き大尉たちを案内する。
 大尉たちは誘われるままその中へと入っていた。

 部屋の中には背の高い男がいた。
 見たところ30代くらいの、まだまだ若さを感じさせる体躯の良い男だ。
「皆さん始めまして。私がこのジャブローでNT研究の責任者をやっている、グン少佐です」
「ショー=ボーン大尉であります。こちらこそよろしくお願い致します」
 ショーに続いて彼の付き添いの兵士が敬礼をした。
「レーマー軍曹です。よろしくお願いいたします」
「よろしくお願いします」
 そう言ってグン少佐は2人に改めて笑顔を送った。
「それで、この子達が件の」
 グン少佐は今度は出来杉達に目をむけて言った。
「はい、NT適正者の子供たちです」
 ショー大尉がそういうと、出来杉たちも順に挨拶をした。
「流石にNTの素質があるだけあって皆良い目をしているね」
 グンがそういうと、出来杉達はグンに真剣なまなざしを向けた。
「そう緊張しなくてもいいよ、遠慮せずそこへかけたまえ。大尉と軍曹もどうぞ座ってください」
 そう言ってグンは全員をソファーに座らせ、自らもソファーに腰を下ろした。
「せっかく足を運んでもらったのにこんな小汚いところで申し訳ないね」
 グンは苦笑交じりににそういった。
「まったくですよ少尉。なにせカラカスは殆ど難民キャンプみたいになっとりますからね。ジャブローなら高級ホテル並みのもてなしを受けられるんじゃないかと思ってましたが」
 ショーがそう言うとグンは高々と笑った。
「それは失敬した。いやなに、確かにジャブローには高級ホテル並の施設もあるけれどね。しかしそういう処は全て総司令部の幹部達に占有されてしまっているよ。私みたいに幹部から疎まれている人間にはこの程度の施設しか与えられないんだ」
「疎まれてる、とはどういうことです。今回のNT研究はレビル将軍直々の計画だと伺いましたが」
 レビル将軍と言えば、今大戦の実質的総指揮官だ。
 そのレビル将軍直下の士官が左遷的な扱いを受けるのはおかしい、とショーは思った。
「確かにレビル将軍の勅命で私は動いているが。しかしジャブローも一筋縄じゃない。ジャブローに篭っている将校達と第一線で指揮を執り続けているレビル将軍とではだいぶ認識の差があるんだ」
 そう言ってグンは自虐的に笑った。
「認識の違いといいますと」
 ショーが尋ねる。
「要するにジャブローの古株はNTなんて信じていないのさ。レビル将軍のように広い見地を持った将官は稀だよ。MSの量産計画が軌道に乗っただけまだマシだが、まったくレビル将軍のような将官がいなければ我が軍はどうなっていたか」
 グンの表情は険しかった。
 その表情からも、総司令部の内部がショーの想像以上に混乱しているのが見て取れる。
「ま、そういう訳もあって我々は片隅でほそぼそNT資質者を収集しているわけだ。本部からは正式にNT研究機関を設立するほどの金も権限も回ってこない。実際、現状ではレビル将軍やレビル派の高官の名で出される特務として活動するのが我々の限界だ。無論、いつまでもこのまま黙っているつもりも無いがね」
 そこまで言ってグンはその場に出来杉達が居る事を思い出した。
 苛立ちながら話をしている自分に気づき、グンは熱くなりすぎた自分を恥じた。
「すまないね君達。若干口が過ぎた。確かに現状の連邦ではNT研究に対する体制が整っていないが、しかし必ず時は来る。君達は何も不安になる必要は無い。君達は私が責任を持って必ず送り出す」
 そう言うとグンは書類を取り出した。
「私達は互いに時間が無い。迷っている暇は無いんだ。ジオンに決定打を打たれる前に我々が先手を取らなければ、連邦に未来は無いのだよ」
 グンはショーや出来杉達を真剣な眼差しを向けた。
「本題に入ろう。件のルナツー行きだがね、君達にはここに2日ほど滞在してもらった後ルナツー行きの戦艦に乗ってもらう事になる。君達が搭乗する船については極秘事項の為詳細は控えさせてもらうが、頑丈な船だ。ソラへ行くに当たっての心配はない。ルナツー到着後は向こうの責任者から改めて説明があるだろう。今のところはルナツーに長期滞在する事になると思うが、場合によってはサイド7へ移るかもしれないな。とにかくだ、君達の本格的な訓練がそこから始まるという事だ」
「あの」
 アリアがおもむろに口を開いた。
「何だい」
 グンが優しく返した。
「訓練というのは具体的にどのような事をするんですか」
「ふむ」
 それを聞くとグンは考え込むように腕組をした。
「実はNTについて我々は分からない事だらけだ。はっきりと言えばどのような訓練を施すべきか手探り状態だ。君達は宇宙での生活に慣れることだけ考えればそれでいい。それがひと段落すれば君たちの先輩であるWB隊のデータを参考にシミュレート訓練を行なうだろう。しかし、それはもう少し先の話だ」
 彼の説明を聞いても、アリアも出来杉もツンも不安を払拭できなかった。
 むしろ釈然としない説明に不安が増すばかりである。
「大丈夫だ、我々が全力で君達のバックアップを行なうから。君達は安心して空へ行けばいい」
 しかしグンがそう言ってもアリア達の顔は一向に晴れなかった。

 それから30分ほどグン少佐によりルナツーへの移送手順を詳しく説明され、出来杉達はそれぞれ分厚い報告書を手渡された。
 グンからは各自それらを読んでおくようにと言われると、出来杉達はそれぞれうんざりしたように苦笑いを浮かべた。
 そうしてそろそろグン少佐の施設から出る頃合という時、グンの無線が鳴った。
「こちらグン少佐」
 そういって無線をとると、グンはいくつか無線と言葉を交わし、驚いた表情をした。
「本当に手配が出来たのか。よかった、WBがジャブローに到着していたのは知っていたが、彼らは多忙だからな」
 そう言ってグンは再びいくつか言葉を交わすと無線をきった。
「いい知らせだ」
 グンは出来杉達へ顔を向けると笑顔でそう言った。
「もうすぐここに連邦を代表するNTが来てくれる」
「NTというとまさか」
 ショー大尉は興味深げな顔で言った。
 それにグンは得意げな表情で返した。
「そうだ、アムロ=レイだよ」


 どれほど経っただろうか。
 施設のドアの通信機のブザーが鳴った。
 グンがそのブザーに出ると、施設のドアが開いた。
 施設の中にいる全員がその方向に視線を向ける。
 ドアの前に立っていたのは守備隊と思しき兵士と、彼に連れられて来た青い軍服の少年兵だった。
 栗毛色のパーマがかった髪に、十代らしいあどけなさのある顔をしている。
「WB隊所属のアムロ=レイ曹長です」
 そう言ってアムロは頭を下げた。
「ようこそアムロ軍曹。僕はここの責任者のグン少佐だ。そしてこの子達が……」
 そう言ってグンは出来杉たちを手のひらで指し示した。
 とっさに出来杉達は姿勢を正す。
「この子達が君と同じ素質を秘めた子供達だ。君達、自己紹介をしたまえ」
 グンがそう言うと3人とも「はい」と答えた。
「エイサイ=デキスギと申します。よろしくお願いします」
「アリア=シェイナーです。どうぞよろしくお願いします」
「私はツン=デーレラです。よろしくお願いします」
 3人がそう言うと、アムロは戸惑ったような表情をした。
「よろしくお願いします」
 アムロもまたそう返す。
「今回君達を引き合わせたのは他でもない。NTであるアムロ君と同じ素質を持ったこの子達を合わせることで互い何か感じるものがあればと思ってね」
「はあ。感じるもの、ですか」
 アムロは一応相槌を打ち、少年達を見渡した。
 NTと言われて紹介されたのはまだ10歳前後の子供である。
 アムロはここにいる兵士達に言いようの無い嫌悪感を覚えた。 
 アムロ自身、民間徴用された十代の少年兵である。
 しかし、彼はここに来るまでに数多くの仲間の死を体験してきている。
 多くの敵兵を殺し、リュウやマチルダなど多くの仲間も失った。
 そうして凄惨な戦いを生き抜いてきた彼に与えられた称号は何か?

 ――ニュータイプ、だ。
 マチルダさんやレビル将軍はNTを認識力の向上した人間、つまり人類の革新と説明した。
 だがアムロは知っている。
 軍人達の殆どが、NTというのをMS戦闘の便利屋程度にしか考えていない事を。
 彼らにとってNTとは戦車やMSのと同じ様に兵器の一種に過ぎないのだ。
 そんな彼に、グンは目の前にいる少年達にもNTの素質があると言った。
 それがどういうことか、わざわざ説明されなくてもアムロには分かる
「みんな、まだ随分若いようですけど」
 毒づきたくなる衝動を抑えながらアムロは言った。
 そうして3人の子供達に視線を向ける。
 その瞬間、アムロは不思議な感覚に襲われた。
 少年達にとっても同じだったのだろう。
 少年達もまたアムロの目を真っ直ぐに見つめた。
 互いに瞳を覗き込む。
 その間、彼らにはまるで時間の流れが止まっているように感じられた。
 懐かしいような、それでいて斬新な不思議な感覚。
 ふと、アムロの脳裏に不思議な情景が浮かんだ。
 花園に佇み花の中に埋もれる甲冑の青年と、その周りを遠巻きに飛び回る一羽の小鳥の姿である。
 しかし、それはまるで霞む蜃気楼のように朧であっという間にそのイメージは消えてしまった。
 アムロにはそれが何を意味するのかは分からなかった。
 ただ、アムロの経験上こういう感覚を感じたときはあまりよくないことが起こる。
 今の情景がそういった予知的なものでは無ければいいのだが、とアムロは思った。
「何だろうこの感じ」
 アリアは小さく呟いて出来杉を見た。
 アリア達もまた、アムロと同じように不思議な感覚に襲われていたのだ。
「分からない。なんだろう、これは――」
 アムロと出来杉達は初対面である。
 しかし出来杉達はアムロに対して、なぜか昔から知っているような親近感を感じていた。
「どうだい、君達は互いに何かを感じるかい」
 アムロ達の様子がおかしくなったのを見て、グンが声を発した。
 しかしグンの問いかけには4人とも答えなかった。
「私としてはぜひ、NTたる君にこの子達の感想を聞きたいのだが」
 グンがアムロに急かすように尋ねた。
「そうですね」
 グンの言葉にアムロはゆっくりと口を開いた。
「NTかどうかはわからないですけど、利発そうな子達だと思います」
 アムロの言葉にグンは笑顔を見せた。
「利発そう、か。君がそう言ってくれるとこの子達を送り出す私としても安心だよ」
「あの」
 アムロが小さく呟いた。
「この子達と4人だけで話をしたいんです。少しの間だけこの子達を連れ出してもいいですか?」
 アムロがそう言うと、グンとショーが視線を合わせた。
「少佐にお任せいたします」
 私は構いませんという風にショーは言った。
 グンもまたそれに頷く。
「もちろんかまわんよ。ぜひこの子達を連れて行ってくれたまえ」
 グンがそう言うと、ショーが出来杉達の背中を押した。
「さあ、エイサイ、アリア、ツン。アムロ曹長に着いて行きたまえ」
「はい」
 ショーの言葉に、3人とも元気よく返事をした。
 3人ともアムロと話せることが楽しみだった。
「護衛に着きます」
 3人を連れ出すアムロに守備隊の兵士が声をかけた。
 しかしアムロは「すぐ戻るのでお構いなく」とそれを拒むと、そのまま施設の外へ出た。

 施設の外にはバギー車が停車していた。
 アムロはバギーの運転席に座ると出来杉達に向かってシートを指差した。
「さあ、乗って。こんな場所で話すのもなんだろう」
 アムロがそう言うと、お礼を言いながらツンが助手席に陣取り、出来杉とアリアもそれに続いて後部座席に座った。
 エンジンをかけると、アムロはバギーを発車させた。
 基地内、といってもジャブローは広大な基地であり、岩場が剥き出しの鍾乳洞の中を道路が網の目の様に走っている。
 スピードを出すと風が出来杉達を吹き抜けた。
「気持ちいいわ」
 ツンはそんな風の流れを楽しんでいる様子だった。
 アリアもまた気持ちよさそうに髪の毛を風になびかせている。
 アムロはそんな彼女達の様子に優しく笑みを浮かべた。
「君達はどこから来たんだい?」
「僕達カラカス基地から来たんです」
 出来杉が答える。
「カラカスって南米の北の端っこにあるんだけど、アムロさん知ってる?」
 それに付け加えるようにツンがはしゃぐ様子で言った。
「僕はあまり地理に詳しくないんだ。どういう所なんだい? カラカスって」
「なーんにも無いとこよ。あたし基地に閉じ込められてたし、その前は違うところに居たから詳しくは知らないけど。エイサイとアリアの方が詳しいわよね?」
 そう言ってツンは後部座席に振り返った。
「ね、2人とも。カラカスって連邦軍の基地と瓦礫以外に何かあるの?」
「うーん。僕達もずっと難民キャンプに居たからね、あまり詳しい事は……」
 出来杉は片手をあごに当てて考えてみた。
 思えばあの日、ドラえもんのタイムマシーンがワープ空間の中で渦巻きに巻き込まれた後、出来杉が意識を取り戻したのがカラカスの郊外だった。
 地理的に北米に近い為か、カラカスは頻繁にジオンからの空爆やミサイル攻撃の対象にされていた。
 その為にカラカス基地の周辺は瓦礫の山だった。
 そうして周りに人をみつける事も出来ず、途方にくれながら瓦礫の山を彷徨った。
 時おり人々の亡骸を目にしても、生きている人は見つけられずにいた。
 そうしてどれほど歩いたか、初めて出合った人間は巡回中の連邦軍の兵士で、そのまま出来杉は有無を言わさず難民キャンプ送りにされたのだ。
 出来杉にとってのカラカスの街での思いではそれしかない。
 だから基地とガラクタ以外にあるものと問われても出来杉もツンとさほど知識は変わらない。
「仮に何かがあったとしても、今はもう残っていないと思いますよ」
 何かが残っているとすれば、それは戦争で命を奪われた人々の怨念くらいだろう。
「そうか」
 アムロは小さく返した。
 まるで出来杉の心に同調するような声だった。
「デキスギくんにアリアちゃん、そしてツンちゃんと言ったね」
 アムロはそういうと、3人が頷く間をとって話を始めた。
「君達とは出会ってばかりだけど、君達が才能ある子供ってことは分かるよ。ニュータイプだなんて言われるのも無理はない。ただね、僕も君達と同じようにニュータイプだなんて言われてるけど、やってることは毎日MSに乗って戦うことばかりさ。僕はそんなのってニュータイプのあるべき姿でもなんでもないと思う」
 今までの優しい口調に打って変わり、真面目な口調でアムロはそう言った。
 そんな彼の言葉に出来杉達も静かに耳を傾けた。
「それを皆分からないんだ。皆NTを殺し合いの道具としか考えていない。このまま軍にいれば君達もそういう扱いをされる」
 アムロの言葉に3人とも黙り込んだ。
 重たい空気がバギーの4人の周りに立ち込める。
 アムロが再び話し始めた。
「だけど君達が望むなら僕は君達をここから逃がしてみせる。君達はこんなところに居るべきじゃない」
 そう言うとアムロはバギーの速度を緩め、道路脇に車を止めた。
 アムロはこの言葉を言う為に出来杉達を連れ出したのだ。
 カツ、レツ、キッカの3人が出来杉達の姿に重なったのもあるし、NTとしての自分の境遇と3人を重ねたのもある。
 とにかく、アムロは出来杉達のような子供が軍に利用されるのは我慢がならなかった。
 純粋にこの子供達を救いたいのだ。
 しかし、出来杉達は相変わらず緊張した面持ちで何もしゃべろうとしなかった。
 そのまま沈黙が流れた。
 そんな彼らの横に一台のバギーが止まった。
 バギーには2人の若い兵士が乗っている。
 一人は小柄の東洋人で、もう一人は紫がかった髪の細身の青年である。
 アムロを見ると、紫がかった髪の青年が口を開いた。
「よお、アムロ。なにこんなところで油売ってんだよ」
「カイさんこそ。どうしたんですこんなとこまで」
「何お気楽言ってんだ。こっちはキッカ達が居なくなっちまって必死で探してるってのによ」
 カイという名の青年は皮肉っぽく毒づいた。
 そしてアムロから出来杉達へと視線を移すと興味有り気な表情をした。
「どうしたんだそのガキどもは。なんか訳ありか?」
「いえ別に。それよりカイさん、キッカ達が居なくなったって」
「ああ、このあたり一周したけど見つからねぇんだ。アムロも探すのを手伝ってくれ」
 アムロは一瞬戸惑った。
 しかしキッカ達を探さないわけにはいかない。
「わかりました。キッカ達がどの方向へ行ったのかは分からないんですか?」
「さっぱりだ。あいつら何かやらかしてなきゃいいんだけどよ」
「大丈夫ですよ。キッカ達はしっかりしてますから」
 そう言うとアムロは出来杉達に振り向いた。
「ごめん。子供が3人ほど行方不明になってしまったんだ。悪いけど、君達にもこのまま探すのを手伝って貰ってもいいかな」
「僕達でよければ」
 出来杉は快くそれに頷いた。
 アリアとツンもアムロに頷いて返す。
「ありがとう、恩に着るよ。さっきの話は後でまた話そう」
 そう言うと、アムロは隣のジープの2人に声をかけた。
「どうだいアムロ、どっちを探せばいいと思う」
 運転席に座っている小柄の青年がアムロにそう尋ねた。
「たぶんあっちの方角だと思う」
 アムロはそう言って指差した。
「よお、アムロ。そりゃニュータイプの勘てやつかい?」
 カイは微笑を浮かべながらそう行った。
「からかわないで下さいよ」
 アムロがそう言うとカイは「うひゃひゃ」と大きな声で笑った。

 アムロの指差した方向を進むと、程なくして前方に巨大な倉庫のような建物が見えてきた。
 しかしその建物以外には何も無い。
 カイはそれを見て、探す場所を間違えたのだろうかと思った。
 しかしアムロはその建物を見つめると、小さく「あっ」と呟いた。
 瞬間、倉庫の入り口のをぶち壊して一台の軍用車両が飛び出してきた。
「うおお、なんだありゃあ!」
 その車両の勢いにおどろいたカイがそう漏らした。
「あれに乗ってるのはキッカ達じゃないか」
 運転席の小柄な青年が言った。
「よし、ハヤトあの車の横っちょにつけろ」
「おっけーカイさん」
 ハヤトと呼ばれた小柄の青年は、そう言うと思い切ってバギーのハンドルを切った。
 アムロもそれに続いてバギーのハンドルを切る。
「おーい、お前ら! 車のブレーキを踏め!」
 カイが大きな声で飛び出してきた車両にのっている子供に叫んだ。
「だめだよー! この車止まんない! それより大変なんだ。僕達さっきのとこでジオンの爆弾見つけたんだ!」
「ジオンの爆弾だあ!?」
 そう言ってカイは子供達の乗っている車両の後部座席を見た。
 すると10個はあろうという時限式の爆弾らしきものが確かにあった。
「げぇっ! マジじゃねえか。よーし、まってろよ! 今から俺がそっちに行くからな! ハヤト、もっと車寄せろ。飛び移るぞ」
「はいっ」
 そう言うと早とはギリギリまで車間距離をつめた。
「いいぜハヤト。それとアムロ! 危ないから、おまえはいったんここから離れろ! 誰だかしらねえけど、その子供達にケガさせるわけにはいかねぇだろ!」
 ハヤトが大きな声でそういうと、アムロは頷いて返した。
「分かりましたカイさん。すぐにまた戻りますから」
「ああ、こっちのことは俺達にまかせとけ!」
「はい!」
 アムロはそう言うとバギーの進路を変更し、来た道を戻っていった。
 そして少しすると、基地施設の通路近くでバギーをとめた。
「この通路をずっと行けば、君達がさっきいた施設へ戻れる。君達は施設へいったん戻るんだ。いいね?」
 アムロがそう言うと、ツンが不満げに言い返した。
「アムロさん、私達も手伝うわ!」
「だめだ」
「でも!」
 食い下がるツンの言葉にアムロは耳を貸さなかった。
「また後で君達のところに行くよ。それまでは施設に居るんだ」
 そういってアムロはバギーを発進させた。
 そんなアムロのバギーを見送ると、ツンは怒鳴った。
「なによあの人! 私達を何にも出来ない子どもみたいな扱いしてた! あんな人ほかの大人と変わらないわ!」
「ツン、アムロさんは僕達のことを気遣ってくれてるんだよ」
 出来杉は優しくそう行ったが、ツンにかえって逆効果だった。
「そんなこと分かってるわよ! でもね、私は誰かに守られる為にここに居るんじゃないの。誰かの言いなりになる為にここに居るんでもないのよ!」
 ツンは泣きそうな顔で言った。
「ツン――」
 そんなツンになんて声をかければいいか、出来杉にもアリアにも分からなかった。
 そうして戸惑っているとき、基地内に大きな爆発音が響いた。
「何かしら?」
 アリアがそう呟いた。
「アムロさん達が行った方向みたいだけど」
 爆発音のした方向を心配そうに眺めるアリア。
「心配ないよ。きっと爆弾の処理に成功したんだ」
 そんな彼女の心配を和らげるように出来杉が声をかけた。
「そうだよね」
 アリアがそういって笑ったとき、今度は基地内に緊急事態を知らせる警報が鳴った。
「今度は何?」
 アリアが心配そうな口調でそういった。
 警報が鳴ると、とたんに基地中が騒がしくなり、どこからともなく「敵襲だ!」という怒号が飛んできた。
「敵襲?」
 ありえない、と出来杉は思った。
 他の基地ならいざ知らず、ここは難攻不落のジャブローである。
 間違いなく地上に存在する軍事基地の中で最強の防衛力を誇る。
 そのジャブローにこのような奇襲をかけて来る敵など考え難かった。
「なにかの間違いじゃないのか」
 そう呟く出来杉をあざ笑うかのように、再び基地の中に大きな爆発音が鳴り響いた。
 しかも爆発は一度ではなく、まるで敵のMSと交戦しているかのような連続した爆発音である。
 まずい、と思った。
 そう思っている間に、今度はさっきよりも近くで爆発音がした。
「ここにいるとまずい。アムロさんの言うようにさっきのところに戻ろう!」
 出来杉が沿う言った時、ツンが「あっ!」と叫んだ。
「どうした、ツン?」
 出来杉の言葉にツンは爆発のした方角を指差して言った。
「見てエイサイ。今の爆発、さっき子供達が飛び出してきた格納庫みたい。ねえ、あの格納庫の中から連邦軍のMSが見えるよ」
 ツンの指先を見る。
 確かにそこにはツンの言うように連邦軍の量産型MS『ジム』があった。
 そのMSはシミュレーターで何度も使ったことがあるので、すでに出来杉達は見慣れていた。
「ねえ、エイサイ、あのMSに乗って戦おう。私このまま逃げるなんてイヤ!」
 ツンが叫んだ。
 しかし出来杉はそれに頷くわけにはいかなかった。
「だめだ、危険すぎる」
 そんなツンを止める為に、出来杉もまた声を張り上げた。
 しかし、ツンは聞かなかった。
「嫌よ! 私はう人形に戻りたくないの! 私は私でいたいの! 私は戦うわ!」
 ツンの様子は明らかに普通の彼女ではなかった。
「ツン落ち着いて。僕達と一緒にいこう、ね?」
「嫌よっ!」
 そう言うとツンは走り出した。
「ツン、待って!」
 すぐさまそんな彼女をアリアと出来杉が追いかける。
 しかしツンの走るスピードが早く、なかなか彼女に追いつけない。
 結局2人がツンに追いついたのはツンが格納庫に到着し、ジムの前に立っている時だった。
 ツンはジムの前に立ってはいたが、彼女の目線は足元に伏せている連邦の兵士に向いていた。
 パイロットスーツを着ているところから、その兵士がジムのパイロットであることが見て取れる。
「この人さっきの爆撃に巻き込まれちゃったみたい」
 ツンはそう言うと、その兵士の体を探った。
「死んでるわ」
 そう言って彼女が兵士から手を離したとき、彼女の手には兵士の亡骸から奪ったキーらしき物が握られていた。
「ツン、止めろ!」
 出来杉の言葉にツンは首を振った。
「ここで逃げたくないの。私が私である為に、私の力でジオンを倒すわ」
 そう言うツンの目には決意の色があった。
 こうなるとツンはテコでも動かないことを出来杉は良く知っている。
 はあ、とため息をつくと出来杉は降参した。
「分かったよツン。君がジムに乗る事には反対しない。その代わり、僕も一緒にジムに乗る」
 そう言う出来杉にアリアも続いた。
「アタシも乗るわ」
 決意の篭った瞳でツンを見つめるアリア。
「エイサイ。アリア……」
 そんな2人を前にして、ツンの胸にこみ上げるものがあった。
 泣きそうなのを堪え、出来杉とアリアにツンは笑って返した。
「冗談じゃないわ。あの狭いコックピットに3人で乗る気? 一人の方がマシよ」
 フン、と顔を背けると、ツンはジムのコックピットへ乗る為に歩き出した。
「シミュレーターと実機は違う。一人で行かせるわけには行かない」
「そうよ。私達仲間じゃない」
 そう言ってアリアと出来杉はツンの傍に駆け寄る。
「――仕方ないわね。せいぜい足手まといにならないでよね!」
 そう言うツンの声はどこか嬉しそうだった。

 そうしてジムのコックピットに3人で押し入った。
「シミュレーターと大分仕様が違うじゃない」
 入るなりツンが呟いた。
 確かにジムのコックピット内はシミュレーターのものとは大分異なっていた。
 慌てるツンに出来杉が微笑んで返す。
「大丈夫、基本的な操作は同じはずだ。ツン、ロック解除用のキーを貸してくれ」
「うん!」
 そう言うとツンは出来杉にキーを手渡した。
「ありがとう」
 出来杉はそれを受け取ると、シートに座りGMの起動準備にとりかかった。
「ここが各種エネルギーの調節で、こっちがメインシステム起動用の装置だな。それならここをこうして……と」
 そう言いながら出来杉がコックピットを弄ると、正面のメインモニタにヴンと光が入った。
 メインモニタをみると、『システム正常起動』と表示されている。
 どうやらジムの起動に成功したようだった。
「さっすがエイサイ!」
「ふんっ、ありがと」
 アリアとツンは二人して笑顔で言った。
「喜ぶのは早いよ二人とも」
 出来杉が言った瞬間、モニタのレーダー部分に敵機の反応が映った。
 レーダーを見るに敵機はこちらに向かって来ている。
「この距離、やるしかないみたいだな」
 出来杉は覚悟を決めると、機体の基本操作用の調整を始めた。
「僕は機体の基本操作をするからアリアとツンは武器の照準と攻撃をやってくれ!」
「わかった」
 そう言ってアリアはすぐさま左の操縦桿を取った。
「右は私に任せて」
 そう言ってツンは右の操縦桿を取る。
「よし、それじゃあ行くよ!」
 3人の駆るジムは急速に敵方向へ旋回し、敵を正面に捕らえた。
「あの機体、シミュレーターでは見たことがないな」
 メインモニタに映る敵機を目にした出来杉がそう呟いた。
「ほんとだ。なんだか丸っこくて可愛いね」
 アリアはクマのぬいぐるみでも見るようにそう漏らした。
「何が可愛いよ。言ってる傍から攻撃してきたわよ!」
 アリアが怒鳴った。
 敵のMSはこちらに腕を向けると、その腕に内蔵されているミサイルを発射してきた。
 出来杉は咄嗟にバーニャの推進を使って回避を行なう。
「かわいい顔して怖いね!」
 アリアが面白そうにそう言った。
「緊張感ないわね」
「だってかわいいんだもん」
 出来杉は苦笑しつつもこんな状況で余裕を失わない2人が頼もしくもあった。
 と同時に抜かりなく相手のMSをデータ照合させる。
「水陸両用のMS、アッガイか」
 データを見ながら出来杉が呟いた。
「水陸両用? どうりで変な形なわけだわ」
「えー、変じゃないよ。かわいいじゃない。ツンちゃんはアッガイ嫌いなの?」
「あんたねぇ、相手は敵なのよ、敵! かわいいとかかわいくないとそんなのはどうでもいいのよ!!」
 そんな2人のやり取りにわって入るように出来杉が口を開いた。
「2人とも、次にあのアッガイの攻撃を避けたら相手に突撃しようと思う。2人はそれと同時にビームサーベルで切りつけて欲しい。いいね」
 出来杉がそう言うと2人とも頷いた。
「大丈夫、私達ならやれるわ」
「うん、ツンちゃんと私に任せてエイサイ」
「頼もしいな」
 出来杉が2人の言葉に返した瞬間、アッガイがまたもやミサイルを発射してきた。
 瞬時にミサイルを回避する運動を取らせる出来杉。
 そしてそれと間髪入れずにバーニャの推進をフルに活用しアッガイへと突撃する。
 アリアとツンはその動きにあわせて操縦桿を使い、GMの両手にビームサーベルを持たせた。
「アリア!」
 ツンがそう叫んだ。
「うんっ!」
 アリアもまたそれに大きな声で応えた。
『せぇ~のっ!』
 2人の声が重なる。
『いっけええ!』
 瞬間、ジムは両手を振り下ろし、×の字にアッガイを切り付けた。
 アッガイはなす術なく両断され、爆発した。
「やったねツンちゃん!」
 へへん、と得意げにアリアが言った。
「ま、このくらい当然ね」
 たいした事じゃないわね、と言いたげな表情でアリアが返す。
「ね、ね、今のに何か名前つけよう!」
「何バカなこと言ってるのよアリア」
「えー」
 なんて言って2人はぶーぶー言い合っている。
 出来杉はそんな2人に笑顔になった。
 だが、気の緩みは厳禁である。
「2人とも。まだ敵はいるんだ、気を抜いちゃいけない」
「わかってるわよ。あ、エイサイ見て」
 そう言ってツンはレーダーを指差した。
「あっちでMSの戦闘があるみたい。私達も援護に行きましょう」
「わかった」
 出来杉が応える。
「必ずジオンを滅ぼしてみせる。私の力で」
 ツンは得意げに言った。
最終更新:2009年09月08日 23:56