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  • 56 名前: 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 投稿日: 2006/11/10(金) 23:16:04.57 ID:SB7jm5Mo
「チッ!」
 そう言うとホイもジャイアンを追って店を飛び出す。
 そうして店に一人になるスネ夫。
「え、ちょっと」
 途端に一人で店に残された恐怖と、戦場に出る恐怖が激しく葛藤するスネ夫の脳内。
「ちょ、ちょっとまってよ~!!」
 そう言いながら、結局スネ夫もジャイアンとホイの後を追った。
「こんにゃろおおおおおおおおお!!」
 ジャイアンは叫びながら子供たちに歩み寄るジオン兵に突撃した。
 そのジャイアンの声に、ジオン兵も子供たちも一斉に振り返る。
「なんだ!?」
 ジオン兵の一人がそんなジャイアンを見てそう言った。
「あのガキもゲリラかっ!?!」
 と、一斉にジャイアンに銃口を向けるジオン兵。
 そのまま銃のトリガーを引こうとした瞬間、男の子と女の子がジオン兵に掴みかかり思いっきりジオン兵の太ももを噛んだ。
「痛ってえええええ!!!」
 激痛に思わず銃を落とすジオン兵。
「この糞ガキがっ!!」
 そう言いながら、子供を殴り飛ばそうと腕を振り上げるジオン兵。
 殴られる、と思いとっさに子供たちは目を閉じた。
 その瞬間。
「そいつらに手を出すんじゃねええええ!!」
 ジャイアンがジオン兵に殴りかかっていた。
 だが、いくらジャイアンと言えど所詮は小学生である。歩兵として訓練をつんだジオン兵にはそんなものは大したダメージにはならない。
「テメェ」
 そう言ってジャイアンを睨みつけるジオン兵。
 ジオン兵は怒りに任せてジャイアンを殴り飛ばした。


  • 60 名前:以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします:2006/11/10(金) 23:33:46.03 ID:SB7jm5Mo
 砂埃を上げて地面に倒れるジャイアン。
「ガキが大人をナメんじゃねえぞ!!!」
 そんなジャイアンにジオン兵が吐き捨てる。
 だが。
「てめぇらっ! ウチの皿洗いに何をしやがるっ!!」
 そんなホイの怒号と共に、今度はジオン兵達が吹っ飛ばされていた。
「ホイさんっ!!」
「タケシ、スネオ、アレニノレ!!」
 ホイはそう言いながらジオンのジープを指差した。
 そのジープの運転手はゲリラの奇襲で既に死亡している。さらに同乗していた兵士は今ホイが吹っ飛ばしていた兵士だったので、そのジープは無人の状態だった。
 それを見ると、ジャイアンとスネ夫は急いでそれに乗り込んだ。
 ホイもすぐさま男の子と女の子を担ぎ上げて、そのジープの運転席に座る。
 ジープはエンジンがかかったままで、今すぐに運転できる状態である。
「タケシ、キカンジュウウテ!」
 ホイはそう言いながら、ジープの後部に取り付けられた機関銃に目を向けた。
「お、俺が!?」
 ジャイアンはその言葉を聞くなり動揺する。
「ヤレ!!」
「ちっくしょう、やってやろうじゃん!?」
 ジャイアンがそう言いながら機関銃を構えたのを確認すると、ホイはめいっぱいジープのアクセルを踏んだ。
 だがその進路にジオン兵達が立ちはだかっている。
「タケシッ!!」
 ホイはとっさにそう叫んだ。
「わかってるよ!!」
 ホイの声を聞くとジャイアンは機関銃をめちゃくちゃに連射した。
 その攻撃にジオン兵達がちりじりになる。
 ホイはジオン兵達を突破すると、戦場から脱出するべくそのままアクセルを踏み続けた。

  • 878 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/12(日) 18:50:09.45 ID:7GPf7zgt0
 ジオン軍 キャリフォルニア第1MSパイロット養成学校。
 ここはジオン地球攻撃軍が北米を制圧して以降、最初に創設された地上のMSのパイロット学校である。
 兵員不足故の短い養成期間でありながら、この学校は良質なパイロットを多く排出している事で有名だった。
 当然志願者も多く、倍率も尋常ではない。
 普通の人間なら入りたくても入ることの出来ない学校なのだ。
 そんな学校に、ただ一人の少年だけは望んでも無いのに入学を果たした。

 養成学校の校長室。
 そこには校長と、一人の教官が話をしていた。
「初学年A組の新入生のことなんだがね。彼のデータを本国に送ったらフラナガン機関から連絡が来たよ」
 校長がそう言うと、教官は「は」と口を濁す。
「フラナガン機関、ですか?」
「そうだ」
 そう言うと、校長は教官にフラナガン機関から送られてきた書類を渡した。
「NTについて研究している機関だ。そしてそのフラナガン機関からノビタ=ノビの基本訓練が完了次第、すぐに彼を月へ送るようにとの要請が来た」
 教官は校長の話を聞きながらフラナガン機関から送られてきた書類に目を通す。

  • 886 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/12(日) 19:12:42.78 ID:7GPf7zgt0
「しかし校長。私にはとてもあの生徒がNTとは思えません。彼の体力や学力はあまりに酷い」
 教官がそう言うと、校長は「ふむ」と頷いた。
「私も一通り彼についての書類は読ませてもらったよ。とても人類の革新だとは思えない成績だ。NTは勉学にも秀でると聞く」
 そう言いながら、校長は悩むような顔をする。
「だがしかし、シミュレーターでの彼の結果は初学年としては本校始まって以来のものだ」
「確かにそうですが……」
 そう言うと教官は顔を曇らせた。
「ノビタ=ノビは様々な意味で実戦に対応できる状態ではありません。それを基礎訓練だけで送り出すなど」
 教官は俯く。
「だからこそのフラナガン機関ではないのかね?」
「ですが、フラナガン機関からはあまり良い噂が聞こえてきません」
 不安そうにそう言う教官。
 実際、それが教官にとっての一番の懸念だった。
 フラナガン機関。
 ニュータイプを研究する為に設立されたその機関は、様々な方法で実験体となる人間を集めている。
 特に集められるのは発達段階の子供だ。
 フラナガン機関の主な活動内容は、そんな子供たちに様々な実験を施しNTへの覚醒を促す事である。
 その実験にはとても表社会には発表できないものが数多くあるという。
 そして、挙句の果てには軍事転用。
 人間をモルモットのように扱う人間の巣窟、それがフラナガン機関への教官の印象だった。
 指導者である彼が、自分の教え子をそんなところへ送り出すのを懸念に思わないはずが無い。

  • 893 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/12(日) 19:26:50.27 ID:7GPf7zgt0
「どうにかなりませんか校長」
 その教官の言葉に、校長は首を振った。
「君の言わんとすることも分かるがね。しかしフラナガン機関と言えば我が軍の最重要機関だ。むしろ我々が自発的に協力すると言うのが筋だろう」
 教官は肩を落とす。
 しかし、何とか思い直すと教官は校長を見据えた。
「分かりました。それでは基礎訓練の間で、必ずノビタ=ノビを一人前のパイロットに育てて見せます」
 声を張ってそう言う教官に校長は頷いた。
「頼んだよ」
「それでは失礼します校長」
 そう言って校長室を出ようとする教官の背に、校長は一言「ジークジオン」と投げかけた。
 それを聞くと、教官はすぐに振り返り彼も「ジークジオン」と返した。
最終更新:2006年11月12日 19:29