- 312 名前: VIP村人h 投稿日: 2006/11/19(日) 22:48:36.32 ID:4EfexzKk0
13基地を揺るがす連邦の爆撃に、司令は怒りの表情を浮かべていた。
「ぐううう、こうも基地への爆撃を許すとは! 迎撃の方はどうなっているんだ!」
近くに立っていた部下に怒りをぶつける司令。
「諸部隊も必死に戦っているのですが、敵の数が余りに多く対応し切れていないようであります」
「ぐぬぬ、ぐううううううう!!」
兵士の返答に更に怒りで顔を歪める。
そんな司令に、さらに連邦の爆撃の衝撃を襲う。
「ひぐぃ!」
爆音についそんな声を漏らす。
「司令、地下のシェルターに避難してください!」
恐怖に怯える司令を心配して兵士は言ったが、それが司令の逆鱗に触れた。
「この私がここを動くだと! 馬鹿も休み休み言え!! 私がここを離れれば基地の指揮系統はどうなる!!! 例え連邦が攻めて来ようとワシは死ぬまでここを動かん!! それがジオン軍人としての使命だ!!」
そんな怒声に必死に頭を下げる兵士。
司令にとって、軍人としてのその立場が彼にとっての全てだった。
人生の全てであるソレを、彼のプライドが必死に庇おうとしたのだ。
彼の死の原因はそのプライド以外の何物でもない。
次の瞬間、司令室のある2号棟に爆弾の雨が降り注いでいた。
- 335 名前: VIP村人i 投稿日: 2006/11/19(日) 23:20:42.66 ID:4EfexzKk0
「おいおいおい。基地からの無線が途切れたぞ。どういうことだ!?」
ライは第ニ波の爆撃部隊に防衛線を突破されて以降、全く次の指示が与えられない事に気付いてそう言った。
「まさか指揮系統が潰されたんじゃないだろうな?」
そう呟くライ。
フレンは基地への連絡を取ろうとしたが、応答が無い。
「だめだ。何かトラブルが起こったとしか考えられない」
そう言って頭を抱えるフレンとは対照的に、ライはまた一人だけ笑みを浮かべた。
「これで俺の好き勝手できるって訳だな。指揮系統が潰れたんなら、独自の判断をしても何の問題も無い筈だ」
「まだそうと決まったわけじゃない。勝手な判断はだめだ」
フレンの言葉にライは「じゃあどうすんだよ」と苛立ちながら返す。
少しの間黙って考え込むと、フレンは口を開いた。
「マグ、ナシー。君達は弾切れを起こしているし、僕達も残弾数が少ない。弾の補充のついでに君たちが基地に戻って情報を確かめていてくれないか?」
そんなフレンの言葉を聞くと、驚いたような顔をするマグとナシー。
「だけど、その間は――」
そう顔を曇らせるマグ達にフレンはキッパリと答えた。
「このままここで、何の情報も無く戦う方が危険だ。僕たちの弾が残っている間でないと手遅れになる」
そんなフレンにライがさらに付け加える。
「お前らなんか居なくても、俺一人で十分なくらいだ。とっとと言って来いよ」
マグとナシーはそんな2人の言葉を聞くと、それに頷くと急いでドムを基地へ向かって走らせた。
- 351 名前: VIP村人i 投稿日: 2006/11/19(日) 23:42:30.39 ID:4EfexzKk0
それを見送るとフレンは口を開いた。
「すまないなライ。そしてのび太君」
フレンは本当にすまないと思っていた。
特にのび太をここに残らせるのは彼自身辛い。
のび太は自分たちよりもずっと幼いし、サイゾーが死んでからのび太の顔色は一気に悪くなっていた。
事前に基地から通達された情報では、そろそろ戦車部隊が到着してもおかしくない。
だからこその苦渋の決断だった。
のび太の射撃能力がどうしても必要なのだ。
しかし、のび太は俯いていた。
「ノビタ君。今は目の前のことだけを考えるんだ。それ以外のことは忘れよう」
フレンがそう投げかけても、のび太は何も返すことが出来なかった。
その頃13基地のMS格納庫の中は混乱状態になっていた。
司令室を初め、指揮系統の施設が先ほどの爆撃で全滅したのだ。
整備兵の任はMSや戦車を送り出してから、任務を終えて帰還してきたそれらの機体を出迎えて点検するまでである。
しかしMSも戦車も未だに出払っている状態でありながら、整備兵たちの中には早く逃げようという声が飛び交っていた。
- 362 名前: VIP足軽roop 投稿日: 2006/11/20(月) 00:03:49.48 ID:mzg7+lbd0
「ダディ大尉。こりゃ本格的に不味いですよ。2号棟は火の海。司令の生死も不明。こりゃもう逃げましょう!」
ダディの軍服を掴みながらそう言う科学者。
しかしダディは頑として動かない。
「アンタは逃げたきゃ逃げろ。軍属って言っても、アンタはツィマッドからこの基地にドムのテストの為にやってきただけだ。その任も完成型が届いた今日で終わりなんだからな」
「それじゃあ大尉はこのままここに居るって言うんですか? 無茶ですよ! 戦車が2個中隊で攻めてきてるんですよ!? 爆撃機もまだ来る可能性がある!?」
「だからアンタは逃げろって言ってんだろ! 俺はこの基地の兵士だ。MSが戻るまでここに居るのが俺の任務なんだよ!」
科学者の言葉にダディは怒鳴りつけた。
「そんな事言ってぇ。こないだは慌てて逃げ出したじゃないですか」
そう言う科学者にダディは真剣な顔を向ける。
「あん時とは違う。俺はMSが出撃したら、死んでもアイツらを出迎えなきゃなんねぇんだよ。それにノビタ君を裏切るわけにはいかん!」
ダディはそう言うと、科学者から目を逸らし慌てふためいている整備兵たちへ振り返り、そして怒鳴った。
「てめえら! いつまでもガタガタ抜かしてるんじゃねぇ! そんなんだからいつまでたっても整備兵は他の連中に舐められんだ!」
そんな言葉に、一瞬静まりダディに目を向ける整備兵達。
整備兵達にダディは更に続ける。
「死ぬのも生きるのも、メェらにはここしかねぇんだ! この機械油と機械屑で汚れた格納庫しかな! ここを墓場に喜んで死にやがれ!」
その言葉を聞くと、整備兵達は一斉に黙り込んだ。
- 379 名前: VIP足軽roop 投稿日: 2006/11/20(月) 00:15:26.19 ID:mzg7+lbd0
そして次々と「分かりました班長!」という声をあげていく。
そんな彼らの姿を見て、科学者は「まいったなぁ」と呟く。
「これじゃあ、僕も逃げるに逃げれないじゃないですか。気分的に」
そんな独り言を言うと、はぁとため息を付いた。
僕は利己的な人間なんだけどなぁ、とそんなことを思いながらも、こんな所が自分の死に場所でもいいかもしれないと彼は思った。
格納庫の外を眺める。
あと少ししたら、あそこから連邦の兵士がゾロゾロ入ってくるのかなぁ。
そんなことを考えた時だった。
科学者は帰還してきた2機のドムを見つけた。
「あれ? 大尉、ドムが戻って来てますよ? 2機ですけど」
「何?」
科学者の声に慌てて外を見るダディ。
そこには確かに2機のドムがいた。
最終更新:2006年11月20日 11:14