- 651 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:24:20.38 ID:1ydZOty90
「俺からも頼む! その子はNTって奴なんだろ? な、その子ならきっとどうにかしてくれるさ!」
科学者に続いてダディもジョルジュにそう嘆願する。
「あんたら、――!」
なんて無責任な連中なんだ!という言葉をジョルジュは途中で飲み込んだ。
確かにジョルジュも今はそれ以外に取るべき道が無いと思ってしまったのだ。
ジョルジュは出来るだけ心を落ち着かせ、そしてゆっくりとのび太と向かい合った。
のび太は怖さのあまり全身が振るえ、今にも泣きそうな顔をしている。
当然だ。むしろこんな状況でのび太は良く耐えている。
だが、ジョルジュはそんなのび太にさらなる恐怖を与えなければならなかった。
それは例え戦時であってもやってはいけない事だとジョルジュは思っている。
しかし、それでも死ぬよりかはいくらかマシな選択だった。
「なぁのび太君、頼みがあるんだ」
ジョルジュはのび太の目を見据えると、できる限りの優しい声で言った。
「今俺達はとっても大変な事態に陥ってる。助かるには君の力がどうしても必要なんだ」
「……僕の力?」
何とか絞り出す声で答えるのび太。
「そうだ。どうか協力して欲しい」
「協力って、一体」
「MSを操縦して欲しい」
「そんなの無理です!」
「大丈夫だ! シミュレーター通りやれば君には必ず出来る!!」
「そんな……僕にはそんなこと」
そう言って俯くのび太の肩を、ジョルジュは力強く握った。
「君は射撃だけすればいい。他の操縦は俺がやる!!」
- 684 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:42:22.49 ID:1ydZOty90
のび太はどうすればいいのか分からず、隣に居るしずかに振り向く。
見ればしずかもまた恐怖のあまり震えていた。
それでも、しずかの眼はのび太を心配していた。MSに何か乗らないで逃げればいいとその眼が訴えている。
その眼がのび太に勇気を与えた。
ここにはドラえもんが居ない。ジャイアンが居ない。出来杉が居ない。スネ夫が居ない。
だから、のび太がしずかを守るしかなかった。
「僕、やります」
「ありがとう!」
そう言うとジョルジュはのび太に抱きついた。
しかし、その瞬間連邦の爆撃が再び基地を揺るがした。
「時間が無い! 早く格納庫に入ろう!!」
そう言うとジョルジュはのび太の手を引いて駆け出した。
それに続いてダディも格納庫に走りこんでいく。
「馬鹿野朗! 俺がいなきゃMSに乗れんだろうが!」
高さ10MほどのMSのコックピットに搭乗するためには、専用の機械で底まで上がらなければならない。
「そうだったな。たのんだぜ大尉!」
そう言うと早速ジョルジュはのび太を連れてリフトに乗り込んだ。
科学者はそんな3人の姿を見送るとしずかの手を握った。
「僕達は早く安全な場所に隠れよう」
そう言って歩こうとするが、しずかは格納庫の前から離れようとしない。
「大丈夫さ、ノビタ君とジョルジュさんならきっと何とかしてくれる!」
言葉は通じないと分かっていたが、科学者はそう言うとしずかを抱きかかえ走り出した。
- 727 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 00:58:33.28 ID:1ydZOty90
ジョルジュが乗り込んだのは試作型のドムだった。
それを見て慌ててダディが叫ぶ。
「おい試作機に乗るのかよアンタ!? これは実戦だぞ! グフにしておけ!!」
だが、そんなダディに向かってジョルジュは不敵に笑った。
「ジオニックのモビルスーツなんか乗れるかよ! 大尉、早くリフトを上げろ!」
「ええええええい! どうなっても知らんぞ!!」
そう言うとダディはリフトのボタンを押した。
ゆっくりと上昇していくリフト。
そのリフトの上でのび太は必死で体が震えるのを抑えていた。
しずちゃんを守るためだといくら自分に言い聞かせても、やはり湧き上がってくる恐怖をとめることは出来ない。
だけど、ジョルジュはのび太にこれは君だけしか出来ないことだと言った。
いつでも誰かを頼りにしていただけののび太にとって、それはとても嬉しいことだ。
のび太はギュッと握りこぶしを作る。
瞬間、ガクンとコクピットの前でリフトが止まった。
「さぁ、乗るぞのび太君!」
そう言ってのび太手を取るジョルジュ。
「はいっ!」
のび太はそれに出来る限りの大きな声で返事をした。
- 755 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 01:15:18.07 ID:1ydZOty90
コックピットのハッチを開くと、ジョルジュはすぐにその中に乗り込みのび太を自分の膝の上に乗せる。
そしてその上から座席と体を固定するベルトをする。
そしてハッチを閉じた。
「いいかい、のび太君。さっきも言ったように君は射撃だけをやってくれればいい。やり方はシミュレーターと全く同じだ」
のび太は緊張して返事も出来ずにいる。
「大丈夫だ、自分の力を信じろ!」
そう言ってのび太の肩を軽く叩くと、ジョルジュはコックピットの操縦系のスタンバイをした。
ダディの顔がメインモニタに映る。
「準備は出来たか2人とも?」
「OKだ大尉」
「ところでジョルジュさんよ。ノビタ君はともかく、アンタの操縦技術は大丈夫なんだろうな?」
「おいおい大尉、俺を誰だと思ってるんだ? 俺はこの機体の操縦系の開発に携わってるんだぜ?」
と、ダディに笑って返すジョルジュ。
「その自信が見せかけじゃ無いことを願ってるぜ。武器はすぐ横のハンガーにあるザクマシンガンを使え!」
ジョルジュがモニター越しにそのハンガーを見るとそこには確かにザクマシンガンがあった。
「相当改良してるから正規品とは大分変わってるが、その分威力は保障するぜ」
ジョルジュはマニュピレーターを操作してザクマシンガンを手に取った。
「それじゃあのび太君、出発だ!」
ジョルジュがそう言うと小さくのび太も小さく頷いた。
「試作型ドム、発進!!!!」
- 803 名前:以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします[] 投稿日:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 01:42:23.86 ID:1ydZOty90
ジョルジュが操縦桿を倒すと、試作型ドムはザクとは比較にならないスピードで格納庫から飛び出した。
「流石、わが社のモビルスーツ!」
と喜ぶジョルジュだが、すぐさまモニターから横槍が入る。
「おい、ソイツの熱核ジェットは相当エネルギーを喰うんだ。あんまりはしゃぐな!」
「分かってるって!」
そう言いながらジョルジュはモニターの表示を切り替え、ソナーの画面を表示させた。
「大尉、敵の情報を頼む」
「とりあえずそのまま南に進んでくれ。すぐに敵の戦車部隊と衝突するはずだ」
「数は?」
「確認したところ18はいる」
「そんなにいるのかっ!?」
ジョルジュの額に汗が滲む。
だがしかし、それでも出来るはずだとジョルジュは確信する。のび太の能力なら、戦車など止まった的も同然なのだ。
ジョルジュに出来る事はとにかくのび太の足を引っ張らない操縦をする事だけである。
遥か上空では連邦軍機とドップが空戦を繰り広げていた。
戦っているのは自分達だけじゃない、そう思うと自然と操縦桿を握る力が強くなる。
そして次の瞬間モニタのソナーに敵影が映った。
「行くぞのび太君!」
「はいっ!」
のび太は射撃用のターゲットをすぐさま61式戦車にあわせ、射撃ボタンを押し込んだ。
そしてその弾は全弾61式戦車に直撃した。
最終更新:2006年11月07日 18:37