アットウィキロゴ
  • 104 名前: VIP足軽t 投稿日: 2006/11/19(日) 03:31:51.85 ID:4EfexzKk0


 ジオン側も、ミノフスキー散布量が急激に増えた事から連邦の攻撃を察知していた。
 各基地に警戒及び索敵を命ずるジオン軍本部。
 だがしかし、それによって察知した連邦軍の戦力はジオン側の予想を圧倒的に上回っていた。

「なんだと? 情報は確かなのか?」
 13基地の司令は、慌てて情報伝達の為にやって来た兵士の言葉を聞くと驚いてそう呟いた。
「はい。確かに師団級の連邦の部隊が北米に対して一斉に侵攻を始めたそうです」
 恐怖に声を震わせて言う兵士に、司令もまた顔をしかめる。
「師団級だと? 今の連邦の戦力で、この北米を制圧できるとでも思っているのか?」
 北米はジオンの強力な統治の下にある。
 その戦力は地上においては最大級だ。
 それを打破するだけの力が連邦にあるとは思えなかったが、しかし師団級の戦力となれば相当な脅威である。
「それで、どれくらいでここまで来る?」
「メキシコ国境付近で連邦が戦力を温存させていたようで。おそらく10分程で空軍、そして30分以内に陸軍が攻めてくると思われます」
 それを聞くと、司令は怒りで顔をしかめた。

  • 112 名前: VIP足軽t 投稿日: 2006/11/19(日) 03:54:11.86 ID:4EfexzKk0

「30分だと? そんな距離で気が付かなかったのか? 貴様等は一体何をやっている!」
「すみません!」
 司令の怒号を聞くと、兵士は必死で返す。
「まったくもって反吐が出るわ! この役立たず! それで我が基地の部隊状況はどうなっている」
「戦闘機小隊、戦車小隊は両隊共に既にスタンバイが出来ております。しかしMS小隊のドムは現在訓練生達が使用している為にまだ準備が出来ておりません」
「何だと? 馬鹿者! 早く訓練生を戻らせろ!」
 しかしそう言った瞬間、司令は「いやまて」と自分の言葉を否定する。
 彼は思い出したのだ。
 前回の連邦の攻撃の時にも今と似たような状況であった事を。
 そしてその時、のび太が圧倒的な能力で連邦の戦車部隊を滅ぼした。
 司令は、少しの間無言で思案する。
「訓練生の部隊は今どの辺りの位置に居る」
「基地から南南東へ約2kmの地点ですが」
「その位置なら、丁度連中が攻めて来るのに対応できるな?」
 そう言って笑顔を作る司令。
「はい、確かに位置的にはそうですが。まさか司令」
 ありえない己の予想に言葉を詰まらせる兵士。
「そのまさかだよ、君」
 それに司令はそう返した。
「今からMS小隊を基地に戻らせ、改めて配備し直すのは時間的に考えれば非常に危険だ。それに彼らの能力は折り紙付。違うかね?」

  • 124 名前: VIP足軽utu 投稿日: 2006/11/19(日) 04:10:43.76 ID:4EfexzKk0

 そして仮に彼らが死亡しても、司令には13基地への新たなる兵員を本部に請う必要が無い。
「急いで彼らに通達しろ。これより訓練ではなく、本当の防衛戦を行ってもらうとな」
 司令の言葉を聞くと、兵士は「分かりました」と言って急いで司令室を出た。

「実戦、ですって?」
 兵士からの伝達を聞いた教官は、信じられない思いでそう返した。
「はい。司令の命令であります」
「だが彼らはまだ正式なパイロットでは!」
「ですが、訓練生達は正規兵でなくともあなたはれっきとしたジオン軍人です。速やかに指示に従ってください」
 戸惑う教官に、兵士はそう言い放った。
「……!!」
 納得など到底出来るはずが無い。
 だが、既にここは戦場だった。
 戦場においては例えそれが不条理であろうと、司令の命令は絶対である。
「それでは彼らへの指揮はこれより我々が行います。あなたは下がっていてください」
 そんな兵士の言葉に、教官は張り詰めた思いで従った。

  • 214 名前: VIP村人e 投稿日: 2006/11/19(日) 19:41:53.94 ID:4EfexzKk0

 基地からの命令を聞いて、一斉に恐怖で凍りつく訓練生達の中でライはただ一人喜びの声をあげた。
「願ったり叶ったりだぜ。新型に乗って連邦共を倒せるなんてな!」
 嬉しくて仕方が無い、といった顔のライ。
 そんなライの様子に、フレンは顔をしかめた。
「ライ、勇ましいのはいい。だけどさっきみたいな自分勝手な行動は謹んでくれ」
 これは訓練でも、ましてや遊びでもない。
 失敗は即ち死につながる。
 そして一人の失敗は更なる死の連鎖を生む。
 彼はそれを懸念して言ったのだが、当のライはそんな事などお構い無しだった。
「ビビってんのかフレン? 敵は所詮戦車と爆撃機。どんだけ数が来てもドムの敵じゃねぇよ」
「ライ、そういう問題じゃない」
 確かにドムと連邦の戦車との性能の差は歴然としている。
 しかし、性能の差など所詮戦闘の1要素でしかない。
 敵の部隊数、戦術。そして技量。
 懸念すべき点などいくらでも有る。
 ライは自分の操縦技術とMSの性能を過信しすぎていた
 まったくこの男は、と思うフレンだったがそれ以上の言葉は口にしない。
 どうせこれ以上、何を言ったところで馬耳東風だった。

  • 229 名前: VIP村人f 投稿日: 2006/11/19(日) 20:16:54.47 ID:4EfexzKk0

 そんな事より他の仲間達の事だ、と思うフレン。
 特にのび太の事が心配だった。
 のび太機との通信を繋げ、モニタにのび太のコックピットの様子を表示させる。
 見れば、確かに緊張はしているようだが、思っていたほどのび太は取り乱していない。
 そんな様子にフレンは感心した。
「のび太君、ジャイアントバズの射程は61式戦車よりも長い。君の射撃能力なら、敵の射程内に入るまでに相当の数を減らせる筈だ。肩の力を抜いていこう」
 そう言うと、のび太は「ウン」と頷く。
 のび太は彼自身が驚くほど落ち着いていた。
 それはたぶん、これがのび太にとって2度目の実戦だという事が大きいのだろう。
 1度目の戦闘は余りにあっけなかった。
 ジョルジュの力があったとは言え、最初の実戦で戦車を14台も仕留めたのだ。
 あれからのび太は養成学校でかなりの訓練をつんで、射撃以外の操縦技術も格段に上がっている。
 正直、のび太は戦車が何台来ようが負ける気がしなかった。
 ただ一つ懸念といえば、それは人を殺すと言う事だった。
 しかしその懸念すらも、やらなければやられるという思い、そして本人も気づかぬ内に心のどこかに植えつけられた戦いの大義に塗りつぶされる。
 のび太の操縦桿を握る力が自然と強まる。
 その時訓練生全員の機体に基地から無線が入った。
『第一波の爆撃機が来たが、迎撃にはドップ小隊が出る。君達はそれを突破してきた爆撃機を迎撃しろ』
 全員、それに返事を返す。
 その時、彼らのドムの頭上をドップ小隊が編隊を組んで飛び去っていった。
最終更新:2006年11月21日 00:21