- 103 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/12(日) 23:07:12.37 ID:7GPf7zgt0
こんな子供がニュータイプだと?と、心の中で呟く教官。
そんな筈は無い、と教官は思う。
仮に本当にのび太がNTだとしても、教官にはのび太をフラナガン機関に送るのはあまりに心配だった。
だからこそである。
だからこそ教官はのび太をどんな過酷な状況下でも耐えられる人間に育てなければならなかった。
期間は短い。
教官にはのび太に優しさを見せている暇なんて無かった。
「お前らも休むんじゃないぞ! すぐに次の訓練機に乗れ!!」
教官はのび太から視線を離すと、生徒たちにそう叫んだ。
他の生徒たちもかなり辛そうだが、脱落する生徒は一人もいない。
彼らはまだ10代半ばとは言え、この学校に自力で受かった人間たちである。
この程度で音を上げる人間など、本来ならこの学校に受かるはずが無いのだ。
のび太はそんな辛い気持ちや悔しい気持ちがない混ぜになって、どうしても溢れる涙をとめることが出来なかった。
ドラえもん。
その名前を心の中で何度も連呼する。
「助けてよ、ドラえもん」
そう呟くのび太。
のび太が辛い時にその名前を呼べば、いつもドラえもんが助けに来てくれた。
だけど、今日はいつまで経ってもドラえもんは現れなかった。
- 152 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/12(日) 23:48:58.06 ID:7GPf7zgt0
少しだけ修正 理由は聞かないd
「よし、1時間目の耐G訓練は終わりだ。全員教室に戻っていいぞ!」
教官がそう言うと、生徒たちは安堵の表情を浮かべながら耐G訓練室から出て行く。
しかしのび太だけは疲労のあまり立ち上がる事すら出来ない。
そんなのび太に振り向く生徒は殆ど居なかった。
11歳にして特例措置で入学を果たしたのび太の存在は、エリート意識の高いこの学校の生徒たちにとって疎ましいものでしかない。
特にこのAクラスは学年の優秀な生徒が集められたクラスであり、生徒間の競争心が強かった。
そうして一人耐G訓練室に残されるのび太。
だけど、そんなのび太にただ一人の青年だけが手を差し伸べた。
「大丈夫かいのび太君。君の歳でこの訓練は辛いだろうに、ちゃんと乗り切っただけでも凄い事だよ」
そう言って青年、フレン=ドリーはのび太の手をつかんで起こし、自分の肩に寄りかからせた。
そんなフレンに助けられながら教室に続く廊下を歩くのび太。
言葉こそ通じないが、のび太はそんなフレンの優しさを感じて嬉しく思った。
フレンは学年でライに続く優秀な生徒である。
だけれどフレンはそれを鼻にかけることが無く、こうして常々のび太にも助けの手を差し伸べていた。
クラスの中にはそんなフレンを変わり者と揶揄する人間も居たが、大多数の生徒は彼の性格の良さを認めている。
そうして、フレンは教室に着くまでのび太の体を支えて歩き続けた。
教室に着くと、フレンはのび太の席の前でのび太の腕を肩から離した。
「よし、ちゃんと戻れた。次の訓練までゆっくり休むんだよ。そうしたら、次の訓練は君の得意なMSのシミュレートだ」
フレンはのび太があまり言葉が通じないと分かっているが、そう言いながらジェスチャーで次の授業について説明する。
のび太は次の授業がMSのシミュレートだと理解すると、フレンに笑顔を見せた。
それを見るとフレンも笑顔でのび太に返す。
「次のシミュレート戦闘は負けないからな、のび太君」
笑いながらのび太にそう言うと、フレンは自分の席へと歩いて行った。
- 178 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/13(月) 00:10:10.06 ID:OhDAvG4Z0
2時間目のMSシミュレーターの訓練の時間には、何とかのび太は体力を回復していた。
MSシミュレーターの置いてある訓練室に着くと、生徒達の列に並ぶ。
全員が揃った事を確認すると教官が口を開いた。
「よし、それではこれよりMS操縦訓練を行う。今回のシミュレーターの設定はグフにしてある。全員ザクとの操作の違いは覚えてきたな?」
教官が生徒たちにそう問いかけると、生徒たちは一斉に「はい」と返事をする。
それを聞くと、教官は「よろしい」と答えた。
「それでは今日の戦闘訓練の組み合わせを発表する。まずは、マグ=ウィキカンリオツとナー=ナシー。お前達は1番のシミュレーターを使え。次――」
そう言って教官は手に持ってるリストを見ながら次々とシミュレート戦闘を行わせるペアを発表する。
「ノビタ=ノビ、フレン=ドリー。お前たちは5番シミュレーターだ」
そう言うと、他の生徒たちが「おお」と沸いた。
「ノビとフレンのシミュレートだぜ。こいつは面白い組だ」
「なんせ、学年でライに勝ったことがあるのはあの2人だけだからな。な、お前どっちが勝つと思う」
「そりゃノビだろう。しかしフレンならかなりいいところまで行くな」
そんな話でざわめく生徒たち。
のび太とフレンの2人はそんな生徒達の話し声を背に5番シミュレーターへと向かう。
シミュレーターの前に到着するとフレンは笑顔でのび太に手を差し出した。
「お互い全力で戦おう。手加減は無しだ」
のび太はやはり言葉が良く分からなかったが、ニュアンスは何となく分かったので、のび太も笑顔でフレンの手を取り握手をした。
そして2人はシミュレーターに乗り込む。
- 206 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/13(月) 00:37:51.30 ID:OhDAvG4Z0
シミュレーターの画面が映ると、フレンはすぐに機体情報を確認した。
「機種は先行量産のA型か。装備はザクマシンガンとヒートソード、あとはシールドもあるな」
さて、と戦法を練るフレン。
フレンはずば抜けた操縦センスというより、相手に対する戦法を思案して今まで勝ち抜いてきた。
彼はまず相手の短所と長所を考えてから戦う。
個人の癖に合わせて戦う戦法は実戦では無意味だと思いつつも、今ある材料の中で最良の結果を得ることが彼の信条だった。
のび太の長所。
それは言うまでも無く射撃能力である。
その異常なまでに正確な射撃は圧倒的だ。
模擬戦闘開始から僅か数秒で頭部や脚部の間接を破壊されのび太に敗北した生徒が一体何人居る事か。
しかし、それは今までのザクでの話である。
今回使用する機体はグフ。
ザクとは違い装甲が厚く、機動性も上がっている。
更にシールドもザクのように肩に固定されているのではなく、マニュピレーターに装備する仕様だ。
これらのアドバンテージを上手くのび太の弱点に捻り込む。
のび太の弱点、それははっきりと言ってしまえば”射撃以外全て”だ。
決して機体運動や格闘戦闘の操縦が下手という訳では無い。
しかしフレンが知る限り、射撃以外の能力では確実にフレンが勝っていた。
-231 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/13(月) 01:05:03.50 ID:OhDAvG4Z0
つまり、のび太に勝つには射撃能力を封じてしまえばよい。
と、フレンは結局そんな誰もが既に周知している結論に至る。
つまり、その射撃の封じ方が問題なのだ。
並みのパイロットが相手ならいくらでも方法がある。
しかし、のび太の射撃は射撃のかく乱を行おうとする暇すらも与えない。
そうして、有効な対処法が浮かばない間に模擬戦闘開始の10秒前となった。
シミュレーターの画面に仮想の戦場が映し出される。
「市街戦か」
あたりの様子を確認すると、フレンはそう呟いた。
これなら射撃を防御する壁が多い。
よし、とフレンが思ったその瞬間、模擬戦闘開始の合図が画面に表示された。
模擬戦闘開始の合図を確認すると、のび太はすぐさまザクマシンガンを構えた。
敵が何処に居るかは分からない。
索敵用のセンサーを見つめながら、のび太はゆっくりと自分の機体に仮想の町を歩かせる。
のび太とて、今までそれなりの数のMSシミュレートをこなしてきた。
MSは背後を取られれば終わりである。
のび太は巨大なビルを見つけると、それを背にして立ち止まり、射撃の構えをした。
この大きさのビルならば、まずザクマシンガンの威力で倒壊する恐れは無い。
更に他の建物が盾となるように、別のビルに近い位置に微妙に移動する。
こうする事によって背後は巨大なビルに守られ、前方に敵が現れれば即座に射撃が出来る。
のび太には、前方に敵が現れた瞬間に相手を瞬殺する自信があったし、仮に相手に先手を取られても1・2撃なら前方のビルが防いでくれる。
最終更新:2006年11月13日 21:32