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  • 907 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/12(日) 20:01:04.22 ID:7GPf7zgt0
 養成学校の初学年A教室では生徒達がザワザワと雑談に耽っていた。
「なぁ、あの”青い巨星”が連邦の白い奴にやられたって話知ってるか?」
 そんな話を生徒の一人が口にする。
「まじかよ?! 青い巨星って、宇宙攻撃軍のランバ=ラル大尉のことだろ?」
 その言葉に生徒達が一斉に驚きの表情を作る。
「あぁ。今朝、教官達が話してるのをこっそり聞いたんだよ」
「なぁ、嘘だろ? ラル大尉って言えばルウム戦役の大英雄だぜ?」
「嘘じゃねぇって。本当に聞いたんだ」
 一人の生徒がそう言うと、辺りに居る生徒達は絶句した。
「一体、どれだけ連邦のMSは強いんだ」
 と、恐怖の表情を作る生徒。
 そんな騒然としている生徒達の集団から少し離れた場所で、一人の青年が「フン」と鼻を鳴らした。
「青い巨星も大した事ねぇな」
 そう言って笑う青年。
 彼の名前はライ=バール。
 このカリフォルニア第一養成学校の初学年で最も優秀な生徒の一人である。
 勉学、体力、操縦技術。どれに於いてもトップクラスである彼は、そのおかげで若干自信過剰な性格だった。

  • 921 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/12(日) 20:28:09.21 ID:7GPf7zgt0
「お前なら連邦の白い奴に勝てるって言うのかよ、ライ」
 そんなライに、生徒の一人が怒りのこもった目でそう言う。
 そんな生徒にライは笑って返した。
「当たり前だ。俺が連邦のMSなんかに負けるわけがないね」
「へっ、よく言うぜ。ノビタなんてガキにも勝てねぇ癖によ」
 ライを嘲笑するように言う生徒。
 それを聞くとライの表情が突然豹変した。
「おい、お前。もう一度言ってみろ」
 そう言ってライを嘲笑した生徒の襟首を掴む。
「何度でも言ってやるぜ。ノビタにすら勝て無いお前が連邦のMSと戦ったって、あっと言う間におっ死んで終わりだ!」
 そう言って教室の隅の席で俯きながら座っているのび太を指差す生徒。
 それはライには言ってはならない禁句だった。
 ライは確かにあらゆる分野で学年のトップクラスの生徒である。
 特にMS操縦は彼の得意分野であり、ライがシミュレーターで他の生徒と対戦して負けることはまず無かった。
 だがそれはのび太がこの学校に編入されてくるまでの話だ。
 のび太がこの学校に編入してきてからというもの、MSのシミュレート戦闘においてライはのび太に惨敗を喫した。
 特例措置で入ってきた生徒とは言え、のび太は僅か11歳である。
 ライとは6つ以上も歳が離れているのだ。
 そんな子供に得意分野のMS戦で負けた事が、ライのプライドをどれほど傷つけたのかは想像に難しくない。
 ライはこめかみに血管を浮かべながら、生徒を睨みつけた。

  • 953 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/12(日) 20:51:01.40 ID:7GPf7zgt0
「そういうお前はよ、この俺にただの一度でも勝ったことがあんのか?」
「あ? テメェこそ調子のんじゃねぇよ。いつまでも自分がトップだと思って思ってんじゃねぇぞ」
「言ったなっ!!」
 そう言って拳を振り上げるライ。
 しかし丁度その瞬間、教室のドアが開いた。
「お前ら何をやってる!!」
 教室に入るなり、ライ達が喧嘩しているのを見つけると教官はそう叫んだ。
「チッ」
 そんな教官の言葉に渋々手を放すライ。そんなライに生徒が「ヘッ」と鼻で笑う。
 教師は教卓の前に立つと、そんな2人を更に怒鳴りつけた。
「おまえら、そんなに元気があるならグラウンドでも走ってこい!」
 まったくこいつらときたら、とイラつく教官。
 ここ最近、このA教室ではこんな喧嘩が頻発していた。特にライの周辺が酷い。
 のび太が来てからそれはより深刻化していた。のび太の席を見る教官。
 のび太自身は温厚すぎるくらい大人しい生徒である。別の意味でのび太は色々問題のある生徒だったが、決して性格自体は悪くない。
 教官ははぁ、とため息を付いた。
 ライ達の方がよほどのび太よりも子供に思えたが、教官はあえてそのことは口にしない。

  • 969 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/12(日) 21:06:16.97 ID:7GPf7zgt0
「まぁいい。さて、お前等。今日の1時間目の授業は分かっているな?」
 教官が気を取り直しながらそう言うと、教室の中の空気が一気に重苦しくなった。
 生徒たちはみんなくらい顔をしている。
 特にのび太にいたっては今にも泣きそうな表情である。
 それもその筈である。
「1時間目は耐G訓練だ。準備が出来たらすぐに5号煉の訓練教室に向かえ」
 のび太は”耐G訓練”という言葉を聞いただけで震え上がった。
 耐G訓練、それはこの学校の様々な訓練の中でも最も辛い訓練のひとつである。
 空間戦闘も視野に入れた360度全方位にグルグルと回される特殊な機械や、遠心力による加圧でMSの最大出力を仮想した重力を体に与える機械。
 そんな物にただ延々と乗らされるのである。
 のび太は今すぐにでもこの養成学校から逃げ出したい気分だった。

  • 73 名前: ex17落とさないでね 投稿日: 2006/11/12(日) 22:31:01.47 ID:7GPf7zgt0
「はぁはぁ……きょ、教官。もう…もうだめです」
 のび太は耐G訓練機から降りるなり地べたに倒れこんだ。
「何だと? まだ1週目だぞ! 甘ったれるなノビ!」
 養成学校の特別措置で、常駐している日本語の通訳官から話を聞くと教官はそう怒鳴った。
 訓練は耐G訓練機及び空間戦訓練機のメニューをそれぞれ5週づつである。
 のび太はその最初の耐G訓練で早くも音を上げていた。
「立て、立たんか! そんな事でMSのパイロットになれると思っているのか!?」
 そう言いながらのび太の腕を掴み、無理やり立たせる教官。
「む、無理で…うぇ、おええええ!」
 のび太はそんな過酷な訓練のあまり、胃の中にあるものを全て吐き出してしまった。
「ええいっ!」
 その様子を見て教官は仕方なくのび太から手を離す。
「5分だけ休憩をやる。5分だけだ! そうしたらすぐに訓練を再開するぞ!」
 そう言ってのび太を再び怒鳴りつける教官。
 しかしのび太は疲労のあまりそれに返事をすることすら出来ない。
最終更新:2006年11月18日 11:37