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  • 657 名前: VIP足軽wktk 投稿日: 2006/11/14(火) 18:52:23.01 ID:6Oe/YvO30

 夜が明けると、早朝から出来杉達は士官によって呼び出されていた。
 軍用の戦闘シミュレーターなど様々な特殊器機が並べられている部屋に整列するNT適性者達。
 全員が揃うと士官が口を開いた。
「それでは適性者諸君、これより君達の機動兵器との適性を測る試験を行う」
 そう言うと、士官はそばにある巨大な機械を叩いた。
「ジオンには遅れをとったが、我々連邦軍もMSの量産計画を着々と進めている。そして現状で量産型の試作であるG型やE型は完成し、実戦に配備されつつあるのだ」
 と、握りこぶしを作りながら言う士官。
「そして君たちには、それらの機体のパフォーマンスをどれだけ引き出せるかの実験を行ってもらう。そしてこれがそのシミュレーターというわけだ」
 士官はもう一度巨大な機械、ジムのシミュレーターを叩く。
「君達がどれほどこの機体の能力を使いこなせるか、そのテスト結果が新型の設計に大きな影響を与える。心してかかりたまえ」
 その言葉を聞くと、適性者たちは全員緊張した面持ちになった。
 その様子を見て士官は少しだけ柔和な表情になる。
「ま、とは言え今回が最初のシミュレートだ。我々もたいした結果は望んでない。今日はとりあえず操作になれることだけを考えろ。それではまずシミュレーターの説明から始める」
 そう言うと士官は適性者達を連れてシミュレーターのハッチを開き、操作系統など様々な説明を始めた。

  • 665 名前: VIP足軽になりたい 投稿日: 2006/11/14(火) 19:19:28.40 ID:6Oe/YvO30

 士官が説明を終えると、適性者たちはすぐさまシミュレートに移る。
 そんなNT適性者達のシミュレートの様子を、スカルチノフは別室でモニター越しに見ていた。
 モニターには格適性者たちのシミュレート状況の様々な数値が表示されている。
 被弾率、撃墜数、エネルギー残容量。
 それ等の数値が次々と変化していく。
「どうですスカルチノフ大佐。彼らはこれで初めてのシミュレートなんですよ?」
 モニターの数値を見つめるスカルチノフに、研究員の一人が彼に話しかける。
 シミュレートの状況は個人によってそれなりの幅があったが、一つだけいえるのは全員がMSの基本操縦を完全に習得ているという事である。
 これが最初のシミュレートだということを考えれば、それは驚くべき事だ。
 スカルチノフはそんなモニターの様子をみながらニヤリと笑った。
「素晴らしい。これで本当にまだNTに覚醒していないと言うのかね?」
「えぇ。彼らはまだNTではありませんよ。彼らの覚醒は、おそらく宇宙での本実験が始まってからになるでしょう」
「まったく恐ろしいよNTと言うものは。見たまえ君。エイサイ=デキスギに関しては、既に正規パイロットと比べても何ら遜色の無いレベルだ」
 スカルチノフは喜びの余り、笑いをとめることが出来ない。
 この時点で並みのパイロットと同等の能力なら、訓練をつめばNTに覚醒しなくても優秀なパイロットになれる。
 それが更にNTに覚醒したらどうなるか?
 彼はそれを考えると楽しくて仕方がなかった。
「ナンバー2の適性者ですか。彼は確かに、適性者の中でもずば抜けたセンスを感じますね」
 実際、出来杉のスコアは適性者の中で最も高い。
「彼は私が目をかけた適性者だからね」
 そう言ってスカルチノフは笑い続けた。

  • 671 名前: VIP足軽になりたい 投稿日: 2006/11/14(火) 19:43:07.93 ID:6Oe/YvO30


 連邦軍の東アジアにおける戦線を維持する主力基地の一つ、コジマ基地。
 コジマ基地では来るべき連邦軍のMS量産の試験も兼ね、既に先行量産型のMSが配備されている。
 そんなコジマ基地に所属する第17MS小隊は、戦線維持を兼ねブータン地域の一角でMSの操縦試験を行っていた。

 ブータンの荒野に佇む第17小隊の先行量産型ジム3機とホバートラック。
 そんな3機の先行量産型ジムの一つに、渋沢少尉は乗っていた。
「MSの乗り心地ってのも悪くないな。ま、戦車の方が俺の性には合ってるが」
 小隊長の渋沢はそう呟くと操縦系の動作を確かめる。
「操縦系、及び計器の数値はすこぶる好調、と」
 機体に異常が無いことを確認すると、渋沢は無線のスイッチを入れた。
「各機、準備はいいか?」
 渋沢がそう言うと、「はい」と他のパイロットから返事が返ってくる。
「よし、それではこれより先行量産型のテストと同時並行で、この地域のジオン軍を掃討する。覚悟はいいな?」
『はい』『了解です』
 部下たちの返事を確認すると、渋沢は操縦桿を握りそれをゆっくりと倒す。

  • 680 名前: VIP村人a 投稿日: 2006/11/14(火) 20:08:57.65 ID:6Oe/YvO30
「それでは俺の後について来い。敵の規模は小規模だろうが、油断はするな」
 渋沢の言葉に他のジムとホバートラックも動き始めた。
 この地域では3日ほど前にジオン軍との衝突が起こった場所である。
 ジオン軍側はザク3機とマゼラアタック4機の戦力だったが、その内ザク1機とマゼラアタック3機は連邦の攻撃で大破している。
 ザク2機とマゼラアタック1台はそのまま退避したが、連邦がジオンの補給者も押さえた事からそう遠くへ逃げたとは考えられなかった。
 所々に61式戦車やザクの残骸が落ちている荒野の中を進んでいく渋沢達。
 渋沢はそんな戦場の光景に、ゴミ捨て場を連想する。
 実際俺らのような末端の兵士なんざ使い捨てのゴミみたいなものだ、とそんなことを思いながら渋沢は苦笑をした。
 そもそも予想される敵の戦力はザク2機とマゼラアタック。ないしそれ以上。
 こちらの戦力が先行量産型のジム3機と考えれば、決して渋沢の小隊が相手に対して優位と言うわけではない。
 戦闘になれば渋沢達も相当な被害が出るのは確実だった。
 そしてそれこそが上層部の望みなんだろうな、と思う渋沢。
 現在連邦軍にあるMS対MS戦闘のデータは、実質WB部隊からのデータ以外には存在しない。
 そしてWB隊のMSは量産型ではないのだ。
 連邦軍にはこれから主力となるジムの性能が、実戦レベルでジオンのMSと比較してどの程度なのかを知る必要があった。
 それには極力同数に近い戦力を衝突させる必要がある。
 そこまで考えると、渋沢はヘッと鼻で笑った。
「分を過ぎた考えだ」
 小さくそう呟く渋沢。
 そう、所詮渋沢は末端の1兵士に過ぎない。
 軍隊という巨大な機械の内の小さな歯車でしかない彼に、上層部の思惑を詮索する意味も必要も無かった。

  • 694 名前: VIP村人a 投稿日: 2006/11/14(火) 20:28:19.37 ID:6Oe/YvO30

 そうして渋沢率いる第17小隊が付近の地域を捜索していると、渋沢機にホバートラックから通信が入った。
『隊長、北東の方向から反応です』
「何?」
 小隊が敵軍捜索を開始してからまだ大した時間が経っていない。
 余りに早過ぎると思い、渋沢はついそう漏らした。
『数は一つです。反応からすると軍用ジープだと思われますが』
「ジープ? MSじゃないのか」
『はい』
 その言葉を聞いて首をかしげる渋沢。
 事前に得た情報には敵の戦力にジープの情報などは無かった。
 しかし、ジープ程度のものならいくらでも隠しておけるし、渋沢達の追っている部隊以外のジオン兵のものかもしれない。
 連邦の車両ではないかとも考えてみたが、この辺りに友軍が駐留していると言う情報は無かった。
「よし、それではそのジープを先回りして捕らえる。だが、まだ敵さんと決まったわけではない。早まった行動はするなよ」
 そう言うと、渋沢はホバートラックから送られてきた情報を元にジープの進行方向に向かってMSを走らせた。
最終更新:2006年11月14日 20:34