- 391 名前: VIP足軽roop 投稿日: 2006/11/20(月) 00:40:06.70 ID:mzg7+lbd0
「戦車共、とうとう来やがったな」
ライはソナーに映った敵影を見ながら言った。
しかしライの笑みは消え、完全に真剣な顔つきである。
それもその筈である。
「20…22…25。おもしれぇ、どんどん増えやがる」
ライの確認した敵の戦力は、すでに1個中隊の戦力を超えている。
流石のライもそれを笑い飛ばすことは出来なかった。
フレンもまたその数に表情を凍らせる。
「MS1個小隊で、中隊以上の戦力を迎撃、か」
既に連邦の戦車部隊は、先行していたマゼラアタック小隊とぶつかろうとしていた。
「それじゃあ、ライ、ノビタ君。これより敵戦車部隊の迎撃に移る。いいね?」
「いちいち指図すんじゃねぇよ!」
ライはフレンの返事を待つこともなく機体を発進させた。
「ノビタ君、僕たちも行こう」
その様子を確認すると、すぐさまフレンはのび太に通信を入れる。
しかしのび太は何の返事も無い。
「のび太君?」
のび太はただ震えていた。
フレンは不味いと思い、すぐさまのび太をフォローする。
「大丈夫だノビタ君! いくら数が多くても君なら絶対に出来る!」
必死にそう励ますが、のび太は俯いたままだ。
「チガウ……チガウンダ」
「え?」
「ボクハコロシタクナイ」
のび太は搾り出すようにそう言った。
- 558 名前: VIP村人i 投稿日: 2006/11/20(月) 22:48:32.15 ID:mzg7+lbd0
のび太自身にも自分の気持ちが分からない。
仲間を殺された怒りもある。
この戦いに勝たなければとも思う。
恐怖とは違う。
だけど、自分がトリガーを引くたびに、相手の戦車や爆撃機の中ではサイゾーの時と同じ事が起きているのだ。
そう思うと、のび太の戦う気持ちが消えてしまった。
そんなのび太の様子を、フレンは悲しい気持ちで見つめていた。
「殺したくない、か。でも相手にそんな道理は通用しない。少なくとも戦場ではね。それでも君は無理だと言うのかい?」
フレンがそう言ってものび太は俯いているだけだった。
モニターに映る映像には、既にライ機が戦闘に移った姿が映されている。
のび太を説得している余裕は無かった。
「分かったよ、のび太君。でも君の命は君が守るんだ。いいね?」
そう言うとフレンは連邦の戦車部隊へとドムを発進させる。
のび太はただそれを見送るだけだった。
- 577 名前: VIP村人j 投稿日: 2006/11/20(月) 23:20:57.41 ID:mzg7+lbd0
ライの搭乗しているドムは、61式戦車の射程外からジャイアントバズで攻撃をしていた。
大破していく61式戦車達。
しかし、そんな彼のモニターには撃墜されていくマゼラアタックの姿もまた映っている。
「もうちょっと気張れよな、戦車兵共」
呆れた顔でそう言うライ。
「あんなのが正規兵だなんて冗談じゃ無いぜ。ジオンの面汚しだ」
そんなライ機の後ろにフレン機が到着する。
「ライ、その言い方はないだろう」
と、フレンはライのセリフに横槍を入れた。
「ケッ、本当の事だろうが。んな事より何でお前だけなんだ? ノビタはどうした」
その言葉を聞くと、フレンは少しの間沈黙する。
「……彼は人を殺したくは無いそうだ。それが例え敵兵であろうと」
「あああああああ!?」
心底驚いたという顔でそう言うライ。
「なんだそりゃ? ギャグか?」
「のび太君は純粋なだけだ。察してやれ」
「純粋? 笑わせんな。そんなガキが養成学校入って、おまけに戦場でMS乗って。一体何のつもりだよ」
怒りと呆れがない交ぜになった表情でそう吐き捨てる。
「彼が望んで養成学校に入ったとは限らない」
「どちらにしろ頭のネジがぶっ飛んでるぜ、あのガキはよ」
そう言うと、ライは気を取り直してジャイアントバズを射撃した。
フレンもそれ以上は何も言わずに攻撃に移る。
のび太の事が心配だったが、一人の少年の葛藤を解決する事と、一つの基地の命運を左右する戦局とでは次元が違う。
冷酷かもしれないがそれが現実だった。
- 588 名前: VIP村人j 投稿日: 2006/11/20(月) 23:46:06.67 ID:mzg7+lbd0
戦闘自体は非常に単純なものだった。
フレンもライも戦車の射撃範囲内に入らないように回り込み、そしてジャイアントバズで大破させる。
ドムの機動力は61式戦車を上回っており、戦況はフレン達にとってかなり有利に働いていた。
しかし、それも最初の間だけである。
「チッ、弾切れか」
そう言うとライはジャイアントバズを捨て、ヒートサーベルをマニュピレーターに持たせる。
そんなライの隣で戦うフレン機もまた、ジャイアントバズの残弾数が僅か3発だけだった。
しかし、残る敵の数はまだ18。
いや、更に援軍の部隊が向かってきたためにその数は更に増えている。
モニター越しにライ達に距離を詰めようとしてくる61式戦車を睨みつけながら、ライが口を開いた。
「フレン。お前のバズーカ、あと何発残ってる」
「……3発だ」
フレンの返答を聞くと、チッと舌を鳴らす。
「俺がこれから連中に突っ込む。3発ってのは心もとないが、お前の弾を全部俺の援護に回せ」
「突撃だって!?」
敵の数を分かっているのか、と言おうとしてすんでで止める。
もしもそれを言って「他に方法があるのか?」と問い返されれば、何も言えないと思ったからだ。
「――分かった、援護は任せてくれ」
フレンがそう言うと同時に、ライは連邦の戦車部隊に向かって機体を急発進させた。
それを邪魔する戦車達に向かってジャイアントバズを射撃するフレン。
と言っても僅か3発。
戦車の寄り集まってる場所、更に爆発による煙がライにとって出来るだけ有利に働く位置にフレンは射撃をした。
- 614 名前: kaba ◆LFo7ovRW0Q 投稿日: 2006/11/21(火) 00:11:56.16 ID:mx/LVJry0
フレンの射撃は戦車部隊を抑えるのにかなり効果的に作用していた。
それによって、ライ機は無傷で連邦の戦車部隊に取り付く。
「うおおおおお!」
叫びながら、ライはヒートサーベルで61式戦車を薙ぎ払った。
ゼロ距離での戦闘では、戦車には反撃のしようがない。
ライの独壇場である。
「次いいいい!!」
そう言ってすぐさま近くの戦車を薙ぎ払う。
そして次々と、ライは4台の戦車を大破させた。
ライが取り付いた戦車部隊は2小隊。
残った6台の戦車は一斉に後退を開始する。
「逃がすかよっ!!」
すぐにそれを追うライ。
しかしフレンはそんなライ機をみてとっさに声を上げた。
「待つんだライ!! その方向は不味い!」
「指図をするなって言ってんだろうが!!」
フレンの言葉を無視して、ライは更に敵の部隊へと突進していく。
「深追いするな!」
しかしそう言うフレンもまたヒートサーベルを手に取り、ライの援護に向かう。
フレンには嫌な予感がしていた。
戦車部隊の後退した方向が、余りライ機から逃げるのに有効的ではないのだ。
戦車部隊を追って1台、2台と61式戦車を破壊していくライ機。
気がつけば、ライ機はかなり先行していた。
最終更新:2006年11月21日 09:00