- 分類:短編小説
- 初出:「週刊小説」1982年1月29日号
- 雑誌時挿絵:福野佳宥
- 収録短編集:『夜よ鼠たちのために』
あらすじ
蝶が飛んでいる――
少女は、そうつぶやこうとした。しかし声が出ない。紺と黄色の縞ネクタイが少女の細い小さな首に喰いこみ、喉を締めあげている。少女に覆いかぶさっている顔は、電燈を逆光に浴び、暗い影になっている。影の顔は苦痛に歪み、涙のせいか、目だけが光って見えた。少女はなぜ、影になった顔が泣いているのか、恐ろしい表情を浮かべているのか、わからなかった。唇からは喘ぐような烈しい域が少女の頬に吹きかけられてくる。その唇は、まださっき、「怖くはない。とても気持ちいいことだから……なにも心配はいらない」少女の耳に優しくそう囁きかけたばかりだった。
交通事故で下半身麻痺になり車椅子生活の少女が、アパートの部屋で何者かに首を絞められた。部屋のドアの錠前は取り替えられたばかり。密室の殺人未遂事件の犯人は?
登場人物
- 白井千鶴
- 白井準太郎
- 次子
- 千鶴の母親。千鶴の事故の原因を作ったことが理由で離婚。
- 藤代サワ
- 藤代昌也
- 宮田一郎
解題
(スタブ)
掲載号「筆者の近況」より
今年は推理小説の長編書き下ろしを一本手がける予定だそうで、その構想を練っているところ。ほかには月一本平均で短編を書いていくとのこと。味のあるミステリー風短編も書きはじめた。〝推理だけでなく恋愛小説や風俗小説も積極的に書いていきたい〟と連城さん、今年は大いに活躍しそう。
各種ランキング順位
関連作品
最終更新:2017年08月10日 14:41