- 分類:ラジオドラマ
- 放送局:NHK-FM
- 放送日時:1980年9月1日~5日、8日~12日(全10回) 23:05~23:15「ふたりの部屋」枠
- 出演:草野大悟、田島浩美
登場人物
- 男:草野大悟
- 誘拐犯。工場を潰し妻に逃げられた気弱な男。一人娘のカコと暮らしている。
- 少女:田島浩美
- 誘拐された少女。本名は「高橋ひろみ(漢字不明)」。
- 少女の母:松原道子
- 謎の男:若杉浩平
本作の台本を探しています!
概要
デビュー間も無い1980年9月、連城三紀彦がNHK-FMのラジオドラマ番組「
ふたりの部屋」へ書き下ろしたラジオドラマ。
会話の面白さを楽しんでもらう、コメディータッチのアクション・ドラマ。作・連城三紀彦。男(草野大悟)は菓子をやることを口実に車に乗せた少女(田島浩美)の奇妙な励ましと同情を受け、その少女を誘かいすることにするが……
(「読売新聞」1980年9月1日夕刊より)
草野大悟の演ずる気の弱い誘拐犯と、田島浩美の演ずる利発な少女の会話劇で、ナレーションは一切なくストーリーの大半が2人の会話のみで進む。
誘拐ものとしてのアイデアは『
夜よ鼠たちのために』収録の短編
「過去からの声」と全く同一のもので、登場人物や設定は完全に異なるものの、同じアイデアを犯人側から語った形になっている。
「
過去からの声」の初出は「週刊小説」1981年10月9日号であるため、本ラジオドラマはその1年前に放送されていたことになり、おそらく本作を原型に、警察側から見たミステリとして再構築したのが「
過去からの声」ということだろう。
登場人物や設定が全く異なるので、同じアイデアを使っていながら全く違う印象の作品に仕上がっている。
デビュー間も無い連城がNHKでラジオドラマを書くことになったのは、第2回幻影城新人賞評論部門受賞者で、本業はNHKのプロデューサーであった麻田実の紹介によるものだったようだ。
当時、連城くんは名古屋で予備校の講師をしていたが、私は大映にいたという経歴から、放送のホンは書けると踏んだ。名古屋局がラジオドラマの作家がいなくて困っているというので、地元在住の連城くんを紹介した。結果はうまくいったのだが、打ち合わせで連城くんが殆どしゃべらないので座がもたなくて、と上京した名古屋局のプロデューサーがこぼしていった。
やがて、連城くんも直木賞をとって、こちらも、紅白の審査員にとの話になったが、彼はあっさり引き受けた。その頃には無口な彼もマスコミ対応がすっかりうまくなっていた。
(『幻影城の時代 完全版』収録 麻田実「「影の会」始末」より)
本ラジオドラマに関しては、非常に情報が少なく、上記の麻田実の証言以外に、本作について触れた文献は見当たらない。小説ではなくラジオドラマの脚本であるから致し方ない面はあろうが、これまでの連城三紀彦の経歴・書誌情報において、完全に抜け落ちていた情報である。
まさに文字通り「幻の初期作品」であると言えよう。
- 誘拐犯の男の娘も誘拐されておりその身代金捻出のため誘拐する話です。 -- あんなに面白かったのに誰も記憶していないなんて (2016-05-20 21:04:49)
- カセットに録音しました。デジタル化して残してあります。ドラマ本編からは出演者の名前しかわかりません。 -- コシムラカズヤ (2019-02-16 20:52:27)
- >コシムラカズヤさん おおおお!情報提供フォームからご連絡をいただけるとありがたいです。よろしくお願いします! -- 浅木原忍(管理人) (2019-02-16 21:41:39)
最終更新:2019年03月20日 00:03