- 分類:短編小説
- 初出:「週刊小説」1981年10月9日号
- 雑誌時挿絵:中沢潮
- 収録短編集:『夜よ鼠たちのために』
あらすじ
岩さん――
あれから、もう一年が経ちます。岩さんはその後も署の方で、頑張っておられるでしょうね。こちらの新聞にもよく東京の事件が載ります。この間もM町で起こった銀行強盗事件が、かなり大きく載りました。もちろん岩さんの名も――課長の名も、吉さんの名も、シゲさんの名も活字にはなっていませんでした。しかし活字にはならない裏で、皆が力を合わせ、意見をぶつけあい、寝不足の真っ赤な目をこすりながら、事件解決に躍起になっていたのだと思うと、その姿がまざまざと思いうかんで、しばらくは新聞を手から離せずにいました。
航空会社副社長の息子が誘拐され、身代金500万円が要求された。若い刑事のミスで犯人を取り逃がしたが、結果的に子供は無事戻り、犯人は事故死体となって発見された。そんな、ありふれた幼児誘拐事件の裏に隠されていた真実とは……。
登場人物
- 僕(村川)
- 語り手。事件後に警察を辞めた元刑事。幼い頃に誘拐された経験を持つ。
- 岩本道夫
- 山藤武彦
- 山藤桂子
- 山藤一彦
- 岩本真一
- 岡田啓介
解題
(スタブ)
掲載号「筆者の近況」より
月一本多くて二本の短編小説を書くのが精いっぱいという連城さん、原稿の注文もなるべく減らして、自分の納得のいく作品を書きたいと願っている。
「僕にとっては月一本でも大変な量ですよと」連城さん、好きな映画も、最近はほとんどみることも出来ず遅筆を嘆いている。
各種ランキング順位
収録アンソロジー
- 綾辻行人編『贈る物語 Mystery』(2002年、光文社)
- 綾辻行人編『贈る物語 Mystery 九つの謎宮』(2006年、光文社文庫)
- 『七つの危険な真実』(2004年、新潮文庫)
関連作品
最終更新:2017年08月10日 13:43