大沼郡冑組大岩村

陸奥国 大沼郡 冑組 大岩(おほいは)村
大日本地誌大系第33巻 47コマ目

この村の南に岩山あり。村名これに因るという。

府城の西南に当り行程4里。
家数8軒、東西3町・南北1町、山中に住す。

東5町冑村の界に至る。その村まで15町。
西1里20町余滝谷組沢中村に界ひ魚留川を限りとす。その村まで2里13町。
南1町冑村の山に界ふ。
北6町菅沼村の山界に至る。その村まで18町。

村西1里18町に九々明村とて家数2軒あり。
滝谷組に属す。

山川

明神嶽(みやうしんがたけ)

村より戌亥（北西）の方にあり（本郡の条下を併せ見るべし）。

岩山(いはやま)

村南30間余にあり。
頂まで5町計。南は冑村の山に連なる。
北の半腹に巨岩あり。高10丈余・幅9丈計。石壁峭立(しょうりつ)し攀べからず。
巓に松樹あり。形貌(けいぼう)秀麗にして頗(すこぶ)る奇観なり。
村名の起る所とす。

狭間峠(はさまとうげ)

村西にあり。
登ること18町、金山郷に通る道なり。

魚留川(うおとめかわ)

村西1里20町余にあり。
海老山村の境内より来り、冑村の地を過ぎ北に流るること15町計、滝谷組鳥屋村の界に入る。広3間。

神社

熊野宮

祭神	熊野宮？
鎮座	不明

村南巨岩の下にあり。
仁王村高橋相模が司なり。

寺院

観音堂

※国立公文書館『新編会津風土記79』より

熊野宮の北にあり。
何の頃の草創にか知らず。
会津三十三所順禮の一なり。
旧側の岩にかけし桟閣なりしに、寛永13年（1636年）巓より積雪落ちて破壊せり。因て寛文6年（1666年）新たに今の地に造営す。
鰐口1口あり。
径9寸5分『奉鑄錫杖山観音御宝前鍔口（鰐口なるべし）永享十年戊午六月一日大勧進聖賢重大檀那比丘尼大工』と彫付けあり（永享10年：1438年）。
仁王村仁王寺司なり。

古蹟

寺跡

村南にあり
錫杖山法輪寺とて天台宗なりしという。
創建及び廃する年月詳ならず。

---

• Google Map
  • 大岩地区
  • 九々明村 - おおよその場所。現在は廃村
  • 明神ヶ岳
  • 狭間峠
  • 熊野宮 ? - 大岩観音境内にあり
  • 大岩観音
  • 古蹟 ?

狭間峠

狭間峠は、西本から山を登り大岩観音を過ぎ、明神ヶ岳の南を経て四ツ谷に抜ける旧道のようです。さらに古い地図を見ると、旧道沿い明神ヶ岳の南東辺りに九々明という地名が見えます。九九明は大沼郡滝谷組に属す村名で、今は廃村となっています。

狭間峠を甦らせる会というものがあり、街道の整備と歴史を保存する活動を行っているようです。

• 狭間峠を甦らせる会 再開通の記録

余談。
明神ヶ岳の北の道は過去大沼郡永井野組蛇食村方面と繋がっていたと思いますが今はもうなくなっているでしょう。