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ボーダーダウン - (2016/05/31 (火) 10:25:26) の1つ前との変更点

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*ボーダーダウン 【ぼーだーだうん】 |ジャンル|シューティング|&amazon(B0000AFZI3)| |対応機種|アーケード|~| |発売・開発元|グレフ|~| |稼働開始日|2003年|~| |分類|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~| |ポイント|ハードルが高すぎた|~| **概要 人類の発展はついに宇宙にまで届き、地球から火星に移民する時代になっていた。しかし、元は同じ根であったはずの地球と火星は徐々に対立を深め、戦争にはなっていないものの、大小さまざまないざこざが絶えなくなっていた。~ そんな折、火星に正体不明の敵が出現。「F・A」と名付けられた敵は、火星連合に多大な被害を与えた。これに対して、火星連合の戦闘機“アンタレス”(通称レッドワスプ)が立ち向かう…という設定の横スクロールシューティングゲーム。全6面。~ ストーリー展開上、前半3面はシミュレーターでの演習、後半3面は実戦となる。 **ゲームシステム -8方向レバー+3ボタン(ショット、ブレイクレーザー、スピードアップ)で操作する。 -ショットボタン押しっぱなしで前方にメインショットを、ショットボタン連打で威力は低いが敵を追尾するフルレンジショットを発射。 -スピードは1速から3速までの3段階存在し、ボタンを押す事でいつでも切り替えることができる。 --珍しいギミックとして「障害物にぶつかった場合、速度によってミスまでの時間が違う」という仕様が取り入れられている。3速だとほぼ当たった瞬間にミスになってしまうが、1速だと火花が出ている間はミスとならない。そんなに長く許容してはくれないが、切り返すには充分。 -画面下には、ブレイクレーザーの残使用表示とパワーアップゲージを兼ねているレーザーレベルゲージがあり、このレベルによって自機のショットパワーが5段階に変化する。 --ゲージが多ければ多いほど自機のショットは強力になり、ブレイクレーザーも長時間撃てる。ゲージは時間経過、敵の破壊、アイテム取得で回復する。敵を破壊した時のゲージ増加量は硬い敵ほど多く増える傾向がある。 --ブレイクレーザーは威力が高く敵の弾を破壊でき、さらには発射直後から最大4秒間無敵になる。が、発射すると最低でも1ゲージの半分量ゲージを消費し、さらにレーザーを発射し続けている間はゲージが減り続ける。 ---ゲージが減ると当然パワーダウンとなり、自機のショットの威力も下がり、敵を倒すのが苦しくなる。 --よって気軽に使えるものではなく、敵の出現パターンを覚えて計画的に使う必要がある。 --敵にはブレイクレーザーを撃ってくるものもいるが、こちらもブレイクレーザーで対抗する(押し返す)ことが出来る。その時のエネルギーのぶつかり合いの演出はまるで『ドラゴンボール』の元気玉のようでかなり派手である。 --ブレイクレーザーとパワーアップのトレードオフは『メタルブラック』のショットパワー、ブレイクレーザーでブレイクレーザーを押し返すギミックは『[[Gダライアス]]』のαビーム合戦、敵弾・敵の破壊による得点倍率増加は『[[レイクライシス]]』のラウンドディバイダーと、タイトーの過去作品からのオマージュが数多く詰め込まれている((そもそも開発元のグレフ自体、『Gダライアス』の制作メンバーの一部が独立して立ち上げられたという経歴を持つ会社であるため、意図的なものと見て差し支えない。))。 -本作は残機と難易度選択を組み合わせた独特のゲームシステムを持つ。 --1ステージをプレイする前に、難易度設定を兼ねたボーダーを選ぶことになる。上から順に、グリーン(初心者向け)、イエロー(中級者向け)、レッド(上級者向け)となり、難易度・ステージ進行が異なる。 ---面によってボーダーの差異は様々。かなり似ているのもあれば、ガラリと変わるのもある。 --ミスすると1段下のボーダーに移行、すなわち「ボーダーダウン」(グリーンならイエローに、イエローならレッドに)する。レッドの時にミスをするとゲームオーバーになる。 --すなわち、最初にグリーンを選べば2ミスまでは、イエローを選ぶと1ミスまでは許されるが、レッドを選ぶと、1ミスするだけでゲームオーバーになる。 --ラストステージである6面のみ「ノルマをいくつまでクリアしたか」「総プレイ時間中、各ボーダーの占める割合がどの程度か」によって4種類に分岐する。当然、ステージ進行も結末も違ってくる。 -ステージ内にはノルマが設定されており、ステージクリア時に獲得した得点が上回っていると、1段階上か下のボーダーを選べる。ボーダーがイエローかレッドの場合は1段階上に上がる事が出来るので、実質上のエクステンドとなる。 --ノルマクリアできなかった場合はボーダーを選択することはできず、ステージクリア時のボーダーのままで次へ進むことになる。 -ランクシステムが搭載されており、グリーンで初めても、ノーミスでプレイし続けると難易度はとんでもなく上がる。ノーミスで一つのボーダーに留まり続けるプレイでは、はっきりいって余程の上級者シューターでない限りクリアは難しい。 --プレイヤーは適当な所でミスをし、ランクを下げる事が求められる。『[[バトルガレッガ]]』のオマージュのように見えるこの仕様だが、ゲームをクリアする上では必須である。 --一方でノルマクリアを狙うのもゲームクリアのためには大切。高得点を得るには、ブレイクレーザーで大量の敵と敵弾を破壊し倍率を上げておいてから高得点の敵を破壊する、ボス戦ではタイマー表示±0付近でボスを破壊する、などの方法がある。 -ストーリーはゲーム中に断片的に語られ、細部はあえてハッキリと示さずにぼかされているのだが、総じて非常に哀しい、報われない物語である。こんなところも、タイトー製ゲームのオマージュと見れなくもない。 --細かい部分の解釈はファンですら意見が分かれているので、ここでは省略する。興味を持たれた方は、是非調べてみて欲しい。 **評価点 -BGMの出来は非常に良い。 --全体的に『[[レイストーム]]』のような雰囲気を受ける。なお、担当は渡部恭久(Yack)氏。 ---ちなみにYack氏の作曲哲学として、「場面に合わせるBGMは誰でも作れるから面白くない。むしろ一聴しただけでは場面に合わなくて、よく聴いてみると合っている…という曲を作ったほうが面白い」と語っていたことがあり、本作でもそれは遺憾なく発揮されている。 --月刊アルカディアの「アルカディア大賞」にて、第4回『ベストVGM部門』を受賞したことを鑑みても、評価の高さは分かるだろう。ちなみに他の年はコナミの「BEMANIシリーズ」が受賞の常連となっており、その牙城を崩したという点でも貴重な例である。 -演出についても印象的な部分が多い。 --ブレイクレーザーの演出、最終面の破滅的な雰囲気は『[[メタルブラック>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/994.html]]』などに通じるものがある。 --3面Redルートのボス戦で「バックの艦隊が全て静止している」演出や、5面の「倒したはずのボスが復活し、1~3面のボスの攻撃方法を取り込んで攻撃してくる」演出は、初めてみると驚きと芸の細かさを感じること受け合いである。しかもストーリー上でも重要な意味を持っており、結末を暗示している事柄の一つとなっている。 **問題点 -ミスをすると1段階下のボーダーへとボーダーダウンされ、復帰ポイントからゲームが再開される。グリーンならイエローに、イエローならレッドに移行するので、ゲームの難易度が上がったかのように思えるが、この時はゲーム内で設定された難易度が大きく低下するため、「ミスをするたびに難易度が上昇する」というわけではない。 --ただ、グリーン→イエロー、イエロー→レッドという移行演出は「かえってピンチになって難易度が上がった」と誤解するプレイヤーも少なくはなかった。 --また、ミスをするとランクこそ下がるが、文字通り「別のステージ」に移るため、展開がガラっと変わってしまう。これが一機も無駄に出来ない緻密なパターン構築を強要することとなった。ゲームに慣れ、そうしたミスを勘案した進行が出来るようになるまでも相当な時間(と投資)がかかる。 ---”文字通り「別のステージ」に移る”顕著な例が3面。イエロー・レッドでは超高速スクロールになるため、普通の横シューな感覚のグリーンとは雰囲気が全然違う。 --例外的にボス戦と最終面(STAGE6)ではその場復活となり、実質的に残機制となる。しかしこれも、見方を変えると「残機を最大でも3機までしか保有できない」ということである。最終面の難易度はたとえランクを調整していても、どの面でも高いため、プレッシャーの中でクリアまでこぎつけるのは並大抵のことではない。 ---当然ながら、連続プレイ(連コ)によるやりこみが歓迎されないアーケード環境でそこまでの投資に耐えられるプレイヤーはそう多くない。 ---ちなみに、家庭用版の取説にはランクシステムなどの説明が余すところ無く記載されている。 -ボーダーは下のものほど難易度と敵機の得点が高く設定されており、初心者なら比較的安全なグリーン、上級者なら敵機の得点が高く、弾も多く出るので「ブレイクレーザー」で稼げるレッドを選べ、という事なのだろうが、グリーンで始めた状態ですら1面の中ボスが多WAY弾をバンバン撃ってくる難易度であり、しょっぱなからブレイクレーザーを使うパターンを構築される事を要求される。 --最初にボーダー赤(残機1・最高難度)選択→即ゲームオーバーの流れで挫折するプレイヤーや、ボーダー緑でスタート後ミス即捨てゲーするプレイヤーが後を絶たなかった。 --また、(人によって感じ方の違いはあるだろうが)ボス戦の難易度は必ずしもボーダー通りにはなっていない。むしろグリーンのほうが難しく、イエローやレッドのほうが簡単なこともある。 -主人公機「レッドワスプ」を始め、メカ群のデザインが割合癖のあるものとなっており、人によって好き嫌いが分かれやすい。 --決して格好よくないというわけではないのだが、ストレートに「シャープな線で格好いい」というデザインが少ないため、感情移入できるかどうかが割れやすい。 **総評 演出的に見るべきものはあるが、強烈に複雑でとっつきにくいシステムや、インストカードの説明不足により、客付きはさほど良くなかったようである。 また、(例えギャラリーに回ったとしても)演出をじっくりと堪能できないシステムが本作の長所をスポイルしてしまっている点も惜しまれる(ザッピング無しで演出を堪能するためにはおそらく無敵チートが必須であろう)。 稼働現役当時、全般的に取っつきにくいSTGの中でも群を抜いた取っつきの悪さのため、本作を最後にSTGコーナーが消滅してしまう店舗も多く、また本作以降横シュー史に大きな空白を生んでしまう結果となった。評価こそ「スルメゲー」だが、稼働店舗にとってはスルメどころか「サルミアッキ味のガム」である。 **移植版 -アーケード版の稼働から約半年後、ドリームキャストに移植された。通常版と限定版の2種類が存在しているが、ドリームキャストの転落期((すでに2001年にはセガがゲーム機事業から撤退しており、ドリームキャスト本体は投げ売り価格にされていた。))に発売されたことに加え、出荷本数がかなり少なかったこともあってプレミア化しており、現在手に入れるのは難しい。 --アーケード版をそのまま移植したアーケードモードに加え、新たなパターンや演出・BGMを追加したアレンジモード、両モードを練習できるプラクティスモードが収録されている。アレンジモードは中型敵を破壊するとアイテムが出現する、全体的に敵の攻撃が激しくなるなど、ブレイクレーザーでの稼ぎが更に熱くなっている。 ---プラクティスモードではステージ開始前にランクの調整が細かく行えるが、アーケード・アレンジモードではランクが数値化されて表示されているわけではないため、想定するランクが割り出しにくくスコアアタックの練習には少々使いづらい。また、最終ステージ(6A~6D)は「ステージ自体がエンディング」という演出意図のため、プラクティスモードで選ぶことができない。ラスボスはどれもとんでもない高難易度なのでそここそ練習が必要なのだが…。 ---アーケード版のステージ1の開幕で、飛び立つ鳥と自機が交差する印象的な演出があるが、移植版のアーケードモードでは鳥が削除されている。これは鳥の演出のないアレンジモードの製作にあたり、アーケードモードから鳥を削除→アレンジモード製作を開始という手順を踏み、そのままアーケードモードの鳥を元に戻すのを忘れたためだという。
*ボーダーダウン 【ぼーだーだうん】 |ジャンル|シューティング|&amazon(B0000AFZI3)| |対応機種|アーケード|~| |発売・開発元|グレフ|~| |稼働開始日|2003年|~| |分類|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~| |ポイント|ハードルが高すぎた|~| **概要 人類の発展はついに宇宙にまで届き、地球から火星に移民する時代になっていた。しかし、元は同じ根であったはずの地球と火星は徐々に対立を深め、戦争にはなっていないものの、大小さまざまないざこざが絶えなくなっていた。~ そんな折、火星に正体不明の敵が出現。「F・A」と名付けられた敵は、火星連合に多大な被害を与えた。これに対して、火星連合の戦闘機“アンタレス”(通称レッドワスプ)が立ち向かう…という設定の横スクロールシューティングゲーム。全6面。~ ストーリー展開上、前半3面はシミュレーターでの演習、後半3面は実戦となる。 **ゲームシステム -8方向レバー+3ボタン(ショット、ブレイクレーザー、スピードアップ)で操作する。 -ショットボタン押しっぱなしで前方にメインショットを、ショットボタン連打で威力は低いが敵を追尾するフルレンジショットを発射。 --メインショットは敵に近づけば近づくほどダメージ効率が高い。また、フルレンジはメインショットと比べるとかなり威力が低いため、使い分けが非常に重要。 -スピードは1速から3速までの3段階存在し、ボタンを押す事でいつでも切り替えることができる。 --珍しいギミックとして「障害物にぶつかった場合、速度によってミスまでの時間が違う」という仕様が取り入れられている。3速だとほぼ当たった瞬間にミスになってしまうが、1速だと火花が出ている間はミスとならない。そんなに長く許容してはくれないが、切り返すには充分。 -画面下には、ブレイクレーザーの残使用表示とパワーアップゲージを兼ねているレーザーレベルゲージがあり、このレベルによって自機のショットパワーが5段階に変化する。 --ゲージが多ければ多いほど自機のショットは強力になり、ブレイクレーザーも長時間撃てる。ゲージは時間経過、敵の破壊、アイテム取得で回復する。敵を破壊した時のゲージ増加量は硬い敵ほど多く増える傾向がある。 --ブレイクレーザーは威力が高く敵の弾を破壊でき、さらには発射直後から最大4秒間無敵になる。が、発射すると最低でも1ゲージの半分量ゲージを消費し、さらにレーザーを発射し続けている間はゲージが減り続ける。 ---ゲージが減ると当然パワーダウンとなり、自機のショットの威力も下がり、敵を倒すのが苦しくなる。 --よって気軽に使えるものではなく、敵の出現パターンを覚えて計画的に使う必要がある。 --敵にはブレイクレーザーを撃ってくるものもいるが、こちらもブレイクレーザーで対抗する(押し返す)ことが出来る。その時のエネルギーのぶつかり合いの演出はまるで『ドラゴンボール』の元気玉のようでかなり派手である。 --ブレイクレーザーとパワーアップのトレードオフは『メタルブラック』のショットパワー、ブレイクレーザーでブレイクレーザーを押し返すギミックは『[[Gダライアス]]』のαビーム合戦、敵弾・敵の破壊による得点倍率増加は『[[レイクライシス]]』のラウンドディバイダーと、タイトーの過去作品からのオマージュが数多く詰め込まれている((そもそも開発元のグレフ自体、『Gダライアス』の制作メンバーの一部が独立して立ち上げられたという経歴を持つ会社であるため、意図的なものと見て差し支えない。))。 -本作は残機と難易度選択を組み合わせた独特のゲームシステムを持つ。 --1ステージをプレイする前に、難易度設定を兼ねたボーダーを選ぶことになる。上から順に、グリーン(初心者向け)、イエロー(中級者向け)、レッド(上級者向け)となり、難易度・ステージ進行が異なる。 ---面によってボーダーの差異は様々。かなり似ているのもあれば、ガラリと変わるのもある。 --ミスすると1段下のボーダーに移行、すなわち「ボーダーダウン」(グリーンならイエローに、イエローならレッドに)する。レッドの時にミスをするとゲームオーバーになる。 --すなわち、最初にグリーンを選べば2ミスまでは、イエローを選ぶと1ミスまでは許されるが、レッドを選ぶと、1ミスするだけでゲームオーバーになる。 --ラストステージである6面のみ「ノルマをいくつまでクリアしたか」「総プレイ時間中、各ボーダーの占める割合がどの程度か」によって4種類に分岐する。当然、ステージ進行も結末も違ってくる。 -ステージ内にはノルマが設定されており、ステージクリア時に獲得した得点が上回っていると、1段階上か下のボーダーを選べる。ボーダーがイエローかレッドの場合は1段階上に上がる事が出来るので、実質上のエクステンドとなる。 --ノルマクリアできなかった場合はボーダーを選択することはできず、ステージクリア時のボーダーのままで次へ進むことになる。 -ランクシステムが搭載されており、グリーンで初めても、ノーミスでプレイし続けると難易度はとんでもなく上がる。ノーミスで一つのボーダーに留まり続けるプレイでは、はっきりいって余程の上級者シューターでない限りクリアは難しい。 --プレイヤーは適当な所でミスをし、ランクを下げる事が求められる。『[[バトルガレッガ]]』のオマージュのように見えるこの仕様だが、ゲームをクリアする上では必須である。 --一方でノルマクリアを狙うのもゲームクリアのためには大切。高得点を得るには、ブレイクレーザーで大量の敵と敵弾を破壊し倍率を上げておいてから高得点の敵を破壊する、ボス戦ではタイマー表示±0付近でボスを破壊する((本作のボス戦は全共通で「タイマーマイナス30秒まで」と決まっている。))、などの方法がある。 -ストーリーはゲーム中に断片的に語られ、細部はあえてハッキリと示さずにぼかされているのだが、総じて非常に哀しい、報われない物語である。こんなところも、タイトー製ゲームのオマージュと見れなくもない。 --細かい部分の解釈はファンですら意見が分かれているので、ここでは省略する。興味を持たれた方は、是非調べてみて欲しい。 **評価点 -BGMの出来は非常に良い。 --全体的に『[[レイストーム]]』のような雰囲気を受ける。なお、担当は渡部恭久(Yack)氏。 ---ちなみにYack氏の作曲哲学として、「場面に合わせるBGMは誰でも作れるから面白くない。むしろ一聴しただけでは場面に合わなくて、よく聴いてみると合っている…という曲を作ったほうが面白い」と語っていたことがあり、本作でもそれは遺憾なく発揮されている。 --月刊アルカディアの「アルカディア大賞」にて、第4回『ベストVGM部門』を受賞したことを鑑みても、評価の高さは分かるだろう。ちなみに他の年はコナミの「BEMANIシリーズ」が受賞の常連となっており、その牙城を崩したという点でも貴重な例である。 -演出についても印象的な部分が多い。 --ブレイクレーザーの演出、最終面の破滅的な雰囲気は『[[メタルブラック>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/994.html]]』などに通じるものがある。 --3面Redルートのボス戦で「バックの艦隊が全て静止している」演出や、5面の「倒したはずのボスが復活し、1~3面のボスの攻撃方法を取り込んで攻撃してくる」演出は、初めてみると驚きと芸の細かさを感じること受け合いである。しかもストーリー上でも重要な意味を持っており、結末を暗示している事柄の一つとなっている。 --ラストステージである6面の演出はどれも素晴らしい。特に6C・6Dは背景・ボス登場の演出・ボス戦全てが高水準の演出になっており、プレイヤーに強い印象を残している。 **問題点 -ミスをすると1段階下のボーダーへとボーダーダウンされ、復帰ポイントからゲームが再開される。グリーンならイエローに、イエローならレッドに移行するので、ゲームの難易度が上がったかのように思えるが、この時はゲーム内で設定された難易度が大きく低下するため、「ミスをするたびに難易度が上昇する」というわけではない。 --ただ、グリーン→イエロー、イエロー→レッドという移行演出は「かえってピンチになって難易度が上がった」と誤解するプレイヤーも少なくはなかった。 --また、ミスをするとランクこそ下がるが、文字通り「別のステージ」に移るため、展開がガラっと変わってしまう。これが一機も無駄に出来ない緻密なパターン構築を強要することとなった。ゲームに慣れ、そうしたミスを勘案した進行が出来るようになるまでも相当な時間(と投資)がかかる。 ---”文字通り「別のステージ」に移る”顕著な例が3面。イエロー・レッドでは超高速スクロールになるため、普通の横シューな感覚のグリーンとは雰囲気が全然違う。 --例外的にボス戦と最終面(STAGE6)ではその場復活となり、実質的に残機制となる。しかしこれも、見方を変えると「残機を最大でも3機までしか保有できない」ということである。最終面の難易度はたとえランクを調整していても、どの面でも高いため、プレッシャーの中でクリアまでこぎつけるのは並大抵のことではない。 ---当然ながら、連続プレイ(連コ)によるやりこみが歓迎されないアーケード環境でそこまでの投資に耐えられるプレイヤーはそう多くない。 ---ちなみに、家庭用版の取説にはランクシステムなどの説明が余すところ無く記載されている。 -ボーダーは下のものほど難易度と敵機の得点が高く設定されており、初心者なら比較的安全なグリーン、上級者なら敵機の得点が高く、弾も多く出るので「ブレイクレーザー」で稼げるレッドを選べ、という事なのだろうが、グリーンで始めた状態ですら1面の中ボスが多WAY弾をバンバン撃ってくる難易度であり、しょっぱなからブレイクレーザーを使うパターンを構築される事を要求される。 --最初にボーダー赤(残機1・最高難度)選択→即ゲームオーバーの流れで挫折するプレイヤーや、ボーダー緑でスタート後ミス即捨てゲーするプレイヤーが後を絶たなかった。 --また、(人によって感じ方の違いはあるだろうが)ボス戦の難易度は必ずしもボーダー通りにはなっていない。むしろグリーンのほうが難しく、イエローやレッドのほうが簡単なこともある。 -主人公機「レッドワスプ」を始め、メカ群のデザインが割合癖のあるものとなっており、人によって好き嫌いが分かれやすい。 --決して格好よくないというわけではないのだが、ストレートに「シャープな線で格好いい」というデザインが少ないため、感情移入できるかどうかが割れやすい。 **総評 演出的に見るべきものはあるが、強烈に複雑でとっつきにくいシステムや、インストカードの説明不足により、客付きはさほど良くなかったようである。 また、(例えギャラリーに回ったとしても)演出をじっくりと堪能できないシステムが本作の長所をスポイルしてしまっている点も惜しまれる(ザッピング無しで演出を堪能するためにはおそらく無敵チートが必須であろう)。 稼働現役当時、全般的に取っつきにくいSTGの中でも群を抜いた取っつきの悪さのため、本作を最後にSTGコーナーが消滅してしまう店舗も多く、また本作以降横シュー史に大きな空白を生んでしまう結果となった。評価こそ「スルメゲー」だが、稼働店舗にとってはスルメどころか「サルミアッキ味のガム」である。 **移植版 -アーケード版の稼働から約半年後、ドリームキャストに移植された。通常版と限定版の2種類が存在しているが、ドリームキャストの転落期((すでに2001年にはセガがゲーム機事業から撤退しており、ドリームキャスト本体は投げ売り価格にされていた。))に発売されたことに加え、出荷本数がかなり少なかったこともあってプレミア化しており、現在手に入れるのは難しい。 --アーケード版をそのまま移植したアーケードモードに加え、新たなパターンや演出・BGMを追加したアレンジモード、両モードを練習できるプラクティスモードが収録されている。アレンジモードは中型敵を破壊するとアイテムが出現する、全体的に敵の攻撃が激しくなるなど、ブレイクレーザーでの稼ぎが更に熱くなっている。 ---プラクティスモードではステージ開始前にランクの調整が細かく行えるが、アーケード・アレンジモードではランクが数値化されて表示されているわけではないため、想定するランクが割り出しにくくスコアアタックの練習には少々使いづらい。また、最終ステージ(6A~6D)は「ステージ自体がエンディング」という演出意図のため、プラクティスモードで選ぶことができない。ラスボスはどれもとんでもない高難易度なのでそここそ練習が必要なのだが…。 ---アーケード版のステージ1の開幕で、飛び立つ鳥と自機が交差する印象的な演出があるが、移植版のアーケードモードでは鳥が削除されている。これは鳥の演出のないアレンジモードの製作にあたり、アーケードモードから鳥を削除→アレンジモード製作を開始という手順を踏み、そのままアーケードモードの鳥を元に戻すのを忘れたためだという。

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