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Rewrite」を以下のとおり復元します。
注意:このページでは、『Rewrite』とそのファンディスク『Rewrite Harvest festa!』を扱っています。
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#contents
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*Rewrite
【りらいと】
|ジャンル|>|恋愛アドベンチャーゲーム|CENTER:&amazon(B004GUTDY4)&amazon(B00KLZ0F54)&amazon(B00QA4V9FU)|
|対応機種|>|Windows XP/Vista/7&br()プレイステーション・ポータブル&br()プレイステーション・ヴィータ&br()プレイステーション3|~|
|開発元|Win|Key|~|
|~|PSP/PSV/PS3|プロトタイプ|~|
|発売日|Win|2011年6月24日|~|
|~|PSP|2014年4月17日|~|
|~|PSV|2014年8月28日|~|
|~|PS3|2015年2月11日|~|
|発売日&br()(Rewrite+)|Win|2016年7月29日|~|
|~|PS4|2017年3月23日|~|
|定価|Win|8,800円|~|
|~|PSP/PSV|5,800円|~|
|~|PS3|6,100円(パッケージ版)|~|
|~|~|5,400円(ダウンロード版)|~|
|レーティング|Win|ソフ倫:全年齢対象|~|
|~|PSP/PSV|CERO:C(15才以上対象)|~|
|配信&br()(Rewrite+)|Win|2021年10月15日/7,700円|~|
|判定|>|なし|~|
|ポイント|>|複数のシナリオライター&br()単体で評価するか否か|~|
|>|>|>|CENTER:''[[Key作品]]''|
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**概要
「Key」の第九作目にあたる作品。今作のシナリオは田中ロミオ・竜騎士07・都乃河勇人の三名が担当している。~
なお、麻枝准は今回シナリオに参加しておらず、音楽とクオリティコントロールを担当している。~
2011年4月28日に発売予定だったが諸事情によって6月24日に延期となった。~
今作よりゲームエンジン変更に伴い、グラフィックに「ピクセルシェーダ2.0」を使用しているために対応していないと起動できなくなっている。

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**あらすじ
 緑化都市、風祭。文明と緑の共存という理想を掲げたこの都市に住む天王寺瑚太朗は神戸小鳥、吉野晴彦らの友人たちと平凡な日々を送っていた。
 そんな平和な風祭市に、年一回の騒がしい時期が訪れようとしていた。
 都市を上げての収穫祭。巨大な文化祭のようなその催しに、瑚太朗は記事のネタ集めのバイトを始めることに。
 風祭では未確認生物の情報や、オカルトチックな噂がまことしやかに囁かれていたからだ。
 同時期、瑚太朗の身に不可解な出来事が降りかかり始める。
 瑚太朗はオカルト研究会の部長、千里朱音に助けを請い、知り合いの生徒たちをも巻き込んでの調査を開始するのだった。
 それは瑚太朗にとって、ちょっとした冒険心のつもりだった。
 騒がしく仲間たちと過ごしていけるなら、それで良かった。
 瑚太朗はまだ気付かない。それが誰も知らない『真実』の探求へ繋がっていくことを。
 ―――書き換えることが出来るだろうか。彼女の、その運命を。

公式ホームページから引用

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**キャラクター
#region(close,長いので収納)
-天王寺瑚太朗
--本作の主人公。風祭学院2年生。
--お調子者で軽い性格。シリアスな話は茶化す癖がある。人付き合いが表面的なものになりがちであり、特に嫌われてもいないが親友と言える存在も少ない。本編ではそういった現状に問題意識を持ち、時にお節介とあしらわれながらも懸命に人と関ろうとする。
--青春を精一杯楽しむことに憧れている。物語の前半は彼が周りを巻き込んで賑やかな日々を過ごしていくことで話が展開される。
---後半では本当に大切なもの、守りたかったものを認識し、楽観的な部分がありながらも真剣さを持った人間へと成長していく。
--おちゃらけた態度が気にくわないという人も存在するが、ポジティブな態度・考え方はプレイヤーにはおおむね好評である。

以下、神戸小鳥~此花ルチアの5人が今作のヒロインである。

-神戸小鳥
--瑚太郎の幼馴染。家は隣、クラスも同じ。
--非常に穏やかな性格をしており、争いごとは好まないタイプ。
---小銭とスーパーの特売が大好き。とにかく所帯染みていて欲がない。
--趣味はガーデニングであるが、その技術力は並外れている。休日には瑚太郎の家の庭や植木の手入れに訪れたりもしている。
--瑚太郎と彼女の会話は漫才のようである。ギャグ要素が強い会話の多くはノリ良い彼女がいてこそである。
---瑚太郎の数少ない友人として、日常的に最も交流し、彼の幸せを願う存在である。しかし、その立ち振舞いは微妙に一歩引いている。
--他のヒロイン以上に、後半の彼女自身のルート以外では出番が少なくなる。しかしその分彼女のルートは見せ場として秀逸で、印象に残るものとなっている。
---個別ルートのシナリオはテキストも好評だが、それ以上に担当声優の斎藤千和氏の演技が圧倒的である。今作の声優は皆豪華だが、その中でもプレイ中の没入感に特に貢献したと言えるだろう。

-千里朱音
--『学園の魔女』と噂される人物。1人でパソコンをいじっている。3年生。
--オカルト研究会のリーダー。といってもオカルトに興味があるわけでもなく、引き払われそうな部室を占有したかっただけである。
--学校を含めた様々な組織にネットワークを持ち、多少の不祥事は揉み消せるほどの権力を持つ。さらに歴史・科学等の多方面に豊富な知識をも持っているため、底の知れない謎が多い人物という印象を与える。
---しかし、人を食ったような性格をしているものの悪い人間ではなく、その点を信用して瑚太郎もオカルト研究会で活動する事になる。
--付き合いが長くなるにつれて、庶民的な(残念な)部分が多く見られるようになる。いつもいじっているパソコンはゲーミングノートPC(オンラインゲームばかりやっていた)で、引きこもりすぎて太陽光で大ダメージを受けたり、等々。
---第一印象とは裏腹に、実はとてもありふれた人間性を持っていた彼女は、公式の人気投票でトップに輝くことになった。

-鳳ちはや
--瑚太郎と同じクラスの転校生、すごい力持ちでドジっ子。
--どれくらいドジを踏むかと言うと、転校してきて学院の場所が分からなくて道に迷う、制服の発注をミスして転校前の学校の制服を着なければいけなくなる、等。
---ちなみに以上のドジは本編といえる部分が始まってさえいない段階である。その後も多くの失敗をするため、シリアスなシーン以外では彼女がドジを踏むことを前提で周りの人間が動いている。ぶっちゃけアホの子扱いされている。
--物事をあまり深く考えない反面、たまに本質をついた発言をする。誰とでも友好的に接することが出来るという美点も持っているため、周りも本気で彼女をバカにはしていない。
--大食い。会話中でも「これ、おいしいですねー」等と言いながら何かを食べていたりするのだが、周りも彼女が話をしっかり聞いてくれていなくてもスルーする。
--彼女自身は物語を通して外面的にも内面的にも大きくは変わらない。これは今作では珍しい。

-中津静流
--風紀委員、1年生。
--眼帯をしている。読唇術を使える上に視力・運動神経が超人的。さんまが大好物で、食事中は幸せそうな表情をする。休み時間は日向ぼっこをする。口数は少ないが、感情表現は豊か。純粋で、デタラメな嘘でも真に受ける。
---少々その手のアニメやゲームに慣れ親しんだプレイヤーならすぐに思うことかもしれないが、二次元ヒロイン特有のいかにもな特徴を合わせ持ったようなキャラクターである。しかし、性格的には最も素直、ほぼ全ての人間に好意的であり、プレイヤーから人気も高い。
--下の此花ルチアの数少ない友人。

-此花ルチア
--瑚太郎のクラスの委員長。自分にも他人にも厳しい性格。
--典型的な委員長キャラであり、模範的な態度・規則遵守の徹底に余念がない。
---規則を他人に守らせる際には、鉄拳制裁を行う場合もある。
--話し言葉の語尾は「~だ」、「~か?」といった男性に近いもの。しかし一人称は「私」であり、自炊も上手く、異性に対する認識も人並みと、ごく一般的な少女である。
---個別ルートではそういった点が強く見られる。共通ルートとの差異に驚くプレイヤーも多いだろう。
--常に白い手袋を付けている。予備も大量に持ち歩いている。
--何事にも真面目に向き合う性格だが、地球環境保護関連の話になると特に熱心になる。自分の生きている間のような短いスパンではなく、何千年も先の星の未来を真剣に案じている。

-篝(かがり)
--謎の人物。銀髪の少女。立場上、大半の場所・場面では接触すら困難である。
---彼女というキャラクターは、後述のファンディスクで詳しく描かれることになった。

-吉野晴彦
--瑚太郎の腐れ縁。
--その言動や態度はさながら不良生徒のようである。しかし物語の中では授業をきちんと受ける・横断歩道を渡れない老人を助ける・落とした財布を届けるために校内中を駆け回る等、善行も割と行っている。本人としては自分のやりたいことをやっているつもりである。
--瑚太郎を軽薄な人間だと邪険にする一方で、一目を置く部分があるとして腐れ縁を続けている。一方、瑚太郎は彼に何度も救われることになる。ギャグ色の強い場面でもシリアスな場面でも活躍する重要人物である。

-鳳咲夜
--鳳ちはやの執事(学院内では兄と名乗る)。容姿端麗。学生ではない。
--家事全般や車の運転、さらには謎の人脈を使った人材・物資の調達まで自在に行う。
---ひねくれた物言いで自分のことをあまり話さないという点もあって胡散臭い人物だが、人格は善良であり、性格は常に穏やかである。
--基本的にちはやの言うことに従って動いており、かなり甘やかしている。
--誰に対しても敬語、紳士的な態度で人と接するが、瑚太郎にはやたらと辛辣。
---そんな瑚太郎への態度も、少しずつ軟化していく。特定のルートではまるでちはやの父親であるかのような達観した言動も見られるようになる。
#endregion
**後半の展開
※以下はネタバレが含まれるため、収納
#region(close,平和な日常はやがて終わる…)
-オカルト研究会での日常はある日の事件を境に唐突に終わりを迎える。一見何の異常もない学校だが、オカ研のメンバー(ヒロイン5人)だけがいなくなってしまう。取り残された瑚太郎は失った日常を取り戻すために動くことになる。
--それまでは控えめだったファンタジー要素が本格的に物語に関わり始める。今作の世界観が急に明らかになっていく課程は、良くも悪くも驚きである。世界規模の組織の存在や既存のキャラクターの秘密も判明し、話のスケールは急激に拡大する。
---多くのルートではガイアとガーディアンという組織の対立が物語で描かれる。前者は星の再生を、後者は人類の存続を目標としている。ヒロインもバラバラにそれぞれの組織に関わっているため、瑚太郎も何らかの形で巻き込まれていく。事態が事態だけに、前半とは違うシリアスなムードが続くことになる。
---魔物使い、超人という概念が登場する。
---魔物使いは草木や動物から生命体を作り出し、自分の寿命を糧に魔物として操ることのできる者。
---超人は自身の命の力を使い、何らかの自己強化を行う者。強化の種類は様々で、傷を早く直す者、手持ちの武器に強力な切れ味を付与する者、常人には分からない異常を察知する者など多種多様である。
魔物使いの多くはガイアに、超人の多くはガーディアンに所属するため、常人を遥かに越えた力を持つ両者の争いは異能力バトルもののような展開になる。ルートによって差異はあるが、ちはやルートは特にその傾向が強い。
--篝は星の使者とも言うべき存在で、人類を観察して「救い」をもたらす(星にとっての救い=地上の生命・生態系をリセットする)か否かの判断を行う役割がある。
#endregion

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**一通りのルートを終えた後
※この作品の含蓄の深さを解説するために紹介するが、プレイ予定者には忌避すべきネタバレとなってしまっている。十分に注意してほしい。
#region(close,閲覧注意!)
ヒロイン5人のルートをクリアすることで見られる隠しシナリオ。
#region(close,「Moon」)
-舞台は様々な概念が異なる上位世界で、今までのルートの元の世界は「庭の世界」として明確に区別される。この上位世界にとっては庭の世界は下位の世界で、ボード上で行われるゲームのような存在でしかない。そしてこの世界での瑚太郎は庭の世界で自身に起こり得た出来事の記憶を全て持っている。つまり、各ルートを全て記憶しているプレイヤーと同程度以上の俯瞰的な視点を、瑚太郎が持っていることになる。
--この世界では篝が命の研究を行っている。それは多様に枝分かれする可能性の中で、一つでも未来につながる枝がないかどうかを試行錯誤する模索である。
--- これまでのルートの出来事もそうした篝の研究対象の一部である。ただし、この下位世界そのものが生命のエネルギーによるものでその中の存在も各個たる生命として存在している。篝は庭の世界に細かい干渉は出来ないため、これまでのルートで瑚太郎達が選択した考え・行動・結果などは間違いなく彼ら自身の意思によるものであることには変わりはない。

-瑚太郎の協力によって命の理論は完成する。これを実践するため、篝は「庭の世界」の命のエネルギーを地球に送り込む。
--実は今の世界の正体は「月」である。当然、今までのルートの舞台も月ということになる。地球の資源が枯渇し、命のエネルギーが手付かずの資源が多く残っていた月に流れため、地球とほぼ同等の環境が再現されていた。
---ちなみにそれまでに登場していた篝と月の篝は見た目・超常的な能力の持主・目的などは同一だが、別個の存在である。地球や月の超自然的な存在として自然発生するものらしい(※ただし、極一部の展開(?)やFDなどで月の篝が「庭の世界」に干渉して現れるなどの例外は有る)。
#endregion
#region(close,「Terra」)
-「Moon」終了後に選択可能。舞台は地球。瑚太郎はこれまでどのような選択をしてもたどり着けなかった未来を目指す。月の上位世界の瑚太郎とは記憶がつながっておらず、スケールとしても月の庭の世界の一主体であった頃と同程度の普通の存在である。
--途中までは過去の瑚太郎の行動の再現だったのが、月の篝の導きによって(といっても干渉は微弱。また、選択肢などのシステムもこれをビジュアル的に上手く表現している。)本来とは違った可能性に踏み込んでいくことになる。
---謎が多かった瑚太郎の過去と、篝が目指していた未来が何であったかが明らかになる。
-ひとまず「Rewrite」の物語は以上で完結する。
#endregion
本項目の主旨を逸脱するため、厳密な説明でなくなっている部分があることに注意されたし。
#endregion
**評価点
''個性あるキャラクター''
-Key独特のキャラクターは今回も目立っている。
--キャラクターの評価はトータルで見て非常に高い。脇役や悪役に至るまで十分に活躍する場面が用意されており、かけがえのない存在である。今作は賛否両論ある部分が多いが、キャラクターそのものが槍玉に挙げられることはほとんどない。
---メインキャラクター、ヒロインの背景設定は総じて深い。上のキャラクター紹介では伏せている情報もあるが、それ以外の面においても単なる「キャラ作り」としての特徴付けは少ない。それぞれに理由があったり、伏線になっていたりする。
--原画の樋上いたる氏は今まで絵柄や複数原画体制による賛否両論が目立っていたが、腕が上達し、本作では迫力のある絵も描けていることもあって高評価である。
---ただし、過去作の絵柄が好きだったというファンもいるので、評価とは別に好みの問題はある。

''世界観''
-世界観設定はかなり作り込まれている。繰り返しの記述になるが、シナリオの進行に従って徐々に明らかになっていくことが特徴的である。プレイヤーを引き込むだけのポテンシャルは十分だろう。
--しかし、深すぎる世界観設定を生かし、理解させるのには限度があるという理由で、シナリオとの折り合いに関して批判をするプレイヤーは少なくない。

''BGM''
-同社他作品の例に漏れず、BGMのクオリティは非常に高い。特にボーカル曲に関してはメッセージ性も強く、演出面で大きな役割を果たしている。
--どの楽曲も総じてハイレベルなので逆に例示するのが難しいが、OPテーマ2曲は特に好評なようだ。
---2ndOP「Rewrite」は数々のアニメや戦隊モノに熱いテーマソングを提供してきた''サイキックラバー''が担当。ギャルゲーとしては異例の起用である。
---他に、なぜか専用ムービーまで用意されている『YO-SHI-NO』は異彩を放っている。ある意味必見。

''シナリオ・演出''
-共通パートは田中ロミオ氏、個別ルートに入ると各ライターの担当部分となる。共通パートはありふれた日常の中にプレイヤーに分かるように(時には分からないように)伏線を張り、続きを読ませる・考えさせる話が展開される。
--個別ルートではキャラクターの掘り下げが行われつつ、事態が大きく変遷することになる。共通部分とは違った意味でプレイヤーを飽きさせない。各ライターの個性が出ているので、ゲーム全体で見てのマンネリ化も抑制されている(デメリットも生じている。後述)。
-演出は様々な工夫がされている。テキストの描写も丁寧だが、BGM、視点変更、画面上のインターフェース等が一体となって臨場感を生み出す。戦闘描写もエフェクトによって迫力がある。
--今作のインターフェースは利便性という点だけではなく、「プレイヤーにしか見えない部分がシナリオに干渉される」という形で演出に一役買っている。

''システム''
-本作からVAのゲームエンジンが最新OSとハードウェアに対応した''SiglusEngine''に変わっている。
--UIは概ね''REALLIVE''と同じなので使い勝手は相変わらず良好。
---ゲームエンジンの機能として他社に先駆けてバックログの慣性が乗るフリック移動を実装していて使い勝手が良い。
--音声の高速再生も綺麗に実装されており、倍率の細かい設定が可能な上にあまり違和感を受けずに聴ける((基本オプションではないらしく、同じエンジンでも別のゲームだと未実装の場合が多い))。
--クイックセーブ複数保持やオートセーブも実装されている。

''実績要素''
-「Friend」「Monster」「Quest」という3つの項目に分かれており、それぞれに解説がある。1度解放された項目でもシナリオの進展具合によって更新され、結果的にその情報はその時々のプレイヤーに適した範囲のものになる。適当に読んでいるだけでも面白い。また、混乱しがちな世界観設定等の情報整理にも有用である。
--これを埋めることも楽しみの一つだろう。コンプリートは目指すとゲームをやり尽くすことになるので相当大変だが、ちょっとした特典もある。

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**賛否両論点
''話が難しい''
-わざと説明をぼかしたり、伏線を多重に張る都合上、話そのものが複雑になっている。展開も急な部分があり、置いてきぼりになるプレイヤーもいた。簡単に理解出来ないことを考える余地があるとして楽しめる人もいるため、最終的には好みの問題になる。
#region(close,ネタバレ回避のため、収納)
--「Moon」及び「Terra」は特に難しく、初見ですんなり理解できた人は少ないだろう。ただし、考えさせることを目的としての意図的な説明の省略もある。実績のとある項目の解説でも、プレイヤー自身での脳内補完を推奨している部分がある(説明文はきちんと書かれているため、解釈を丸投げする意図ではない)。
#endregion
--文章そのものは丁寧かつ簡潔で分かりにくいものではない。

''ルチアルート''
#region(close,ネタバレ回避のため、収納)
-本作で最も賛否両論が多いルート。他のルートに比べ、独自要素が強いことがよく指摘される。賛否ある部分は以下のような点になる。
--ホラー・ミステリー要素が入る。
---竜騎士07氏の担当部分に入ったということが簡単に分かる。氏のこうしたジャンルのシナリオの質は高く、この事自体は問題ではない。しかし、その導入が唐突で不自然。実際にプレイした際の違和感はかなり大きい。
---ミステリー展開の中で特殊な手法が用いられた。このルートは視点変更が多く、瑚太郎以外の視点からストーリーが演出される場面もあった。しかし、ある人物が視点の主体となっている時、状況描写・心理描写が虚偽のものになっていたのである。記述を曖昧にするのではなく、明確に嘘を書いていたため、プレイヤーが真相を予想・断定するのは困難。
--オカルト研究会のメンバーが学校からいなくなるきっかけとなる共通イベントを通過しない。ルチアルートのみの特徴。何が問題かというと、ルートの主役以外のヒロインの出番が減る理由付けが出来なくなってしまっていることである。何の説明もなく慣れ親しんだヒロインが蒸発する状況は、別の意味でホラーになってしまっている。
---共通イベントを抜かして個別ルートに入ること自体は他のルートを経験したプレイヤーに対して新鮮さ、意外性を感じさせるという理由で肯定的に捉える人もいる。が、説明不足であることには変わりないので賛否両論である。
--SF要素が強い。他ヒロインのルートと世界観の焦点に大きな違いがあり、共有出来る概念はかなり限られる。良くも悪くも異色の展開。とはいえ、ルチアのキャラクター自体の独自要素が大きいのも影響しているため、やむを得ない部分がある。ちなみに、このルート単体の出来が特別に悪いわけではなく、外伝的なものと割りきって普通に楽しんでいるプレイヤーもそれなりにいる。
#endregion

''ちはやルート''
#region(close,ネタバレ回避のため、収納)
-前にも軽く触れたが、バトルを主軸とした展開が中心となる。このルートでは主人公側の苦悩がかなり少なく、話の内容も単純である。ご都合主義が多いため、これを好まない層からの評判はあまり良くなかった。一方、王道を踏襲したストーリーを純粋に高く評価する声もある。
//演出は安っぽい・テンポが悪いとよく言われるが
#endregion
''マッピー''
-作中の携帯電話のアプリケーションの名前。シナリオの特定のタイミングで地図が表示され、マップ上のアイコンをクリックして話を進めていく。シナリオの進行だけを目標にするならばすぐに終わるが(スキップも可能)、必須イベントでないアイコンはマウスポインタがその上を通過しないと表示されない。コンプリートのためにはアイコンがPOPするまで画面の隅々まで調べることになる。一つのマップを制覇すれば「complete!」と画面端に表示されるが、アイコンの出現フラグがその地図上にない場合もあるので、「しらみ潰しにした挙げ句に後回しにせざるを得なくなる」という事態も人によっては発生する。
--細かいギャグがはさんであるので初見では楽しめるが、周回してコンプリートを目指し始めると作業になりがち。

''クエスト''
-「クエスト」とは主人公が所属するオカルト研究会が収集した怪奇現象等の情報の実態調査にあたる部分である。他の賛否両論点に比べると些細なことだが、一部の情報のネタの調査が朱音ルート限定イベントになっている。部活動に関するイベントはほぼ共通パートに属していたため、やや残念に思うかもしれない。

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**問題点

''シナリオ間の統一性の欠如''

各組織の内情や登場人物の性格・行動原理等に齟齬が生じている。本作の批判点は、ほぼこの点に集約される。
-具体例を出すと目立つのはルチアルート。特に主人公である瑚太郎に関して、相当に漫然とプレイしていても違和感を感じるほど口調が変わる。別人のように見えるため、人によっては感情移入に支障をきたす可能性もある。また、同ルートの終盤では一貫していた目的意識が特にきっかけもなく曖昧になるシーンがある。瑚太郎はプレイヤーからの評判は悪くない主人公だが、この場面に限っては批判が多い。
--同ルートではちはやの性格についてもしばしば指摘される。妙に理屈っぽく、協調性がない。活躍の場面は多いが、他のルートで見られたキャラクターとしての魅力の一部を損ねてしまっていることは否めない。
-メインライターである田中ロミオ氏の担当部分においては、こういった問題点は見られない。また、静流ルートも(メインライターの担当部分ではないが)齟齬が少ない。
-本作のシナリオライターは実力に比例して相応の個性も持っているため、このメンバーで完全な統一性を実現するのはそもそも不可能だと予想するファンもいたが、残念なことに現実のものとなってしまった。というより、各個人の個性を生かすために意図的にシナリオの修正を控えていたようである。
--また、深刻的な立場の違いやとある設定から、ある程度違いが出るのは仕方ないシナリオになっており、整合性をもたせることを完全に放棄しているわけでもない。

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**総評
本作は著名なシナリオライターを初めとする豪華な開発スタッフによって、同社他作品のファンを初めとする多くの人々から多大な期待を集めながら発売された。その分、作品内の整合性等の粗が明らかになった際には相応の批判を浴びることとなった。

しかし、3人のシナリオライターの描いたストーリーは総じて質の高いものであり、キャラクターや演出等の要素も含めた本作のトータルのポテンシャルも間違いなく高いと言える。
また、「ルート(ライター)による主人公の違いを楽しませたい」といった内容のことを事前に言っていたこともあり、複数ライター制のADVで批判を受けやすい部分をあえて果敢に攻めた意欲作でもある。
ネット上では本作単体でのクオリティからやや逸脱した賛否両論も目立っているため手を出しにくいだろうが、食わず嫌いをするにはもったいないレベルの作品である。興味があれば是非プレイしてみてほしい。

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**余談
-竜騎士07は2021年発売のKeyのキネティックノベル『LOOPERS』でシナリオライターを務めている。
--[[記念インタビュー>https://fes2020.product.co.jp/visualstyle/interview01.html]]が掲載された。
--本作にライターとして参加する経緯や、ルチアはプロットに存在しなかったなどのプロット・シナリオの事情に触れられている。

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**その後の展開
後述しているが、ファンディスク『Rewrite Hervest festa!』が発売された。~
その後、2014年4月14日にPSP版が、同年8月28日にPSVが発売された。~
変更点はモブキャラにボイス追加、井上(重要なサブキャラ)の立ち絵追加等であり、シナリオに変更はない。

スタッフの都乃河勇人・樋上いたるは2016年にKeyから離職。樋上いたるは本作の立案者で、田中ロミオの起用も彼女の進言による。都乃河勇人は田中ロミオの色を濃く残すように尽力したとされ、QCとして改筆を求めたあの麻枝准の要望さえ跳ね除けたという。二人の離職はのちのメディア展開に影を落としたかもしれない。

2016年7月29日には本編とファンディスクが同梱された『Rewrite+』が発売された。~
『Rewrite+』は本編の改筆がなされたが、特にエンディング付近の改筆は主に無印既プレイ者中心に賛否が分かれる。~
2021年10月15日にダウンロード販売された。

2015年にテレビアニメ化が決定し、2シーズン(計24話)を2016年秋と2017年冬に分けて放送された。~
しかし、作画の悪さと重要なイベントが再現されないことが災して、ファンからの評価は悪い。

2017年2月6日にはスマートフォン向けに『Rewrite IgnisMemoria』が配信された。しかし2017年12月31日にサービス終了した。

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*Rewrite Harvest festa!
【りらいと はーヴぇすと ふぇすた!】
|ジャンル|>|恋愛アドベンチャーゲーム|CENTER:&amazon(B008O2F0O2)&amazon(B01N6UH87L)|
|対応機種|>|Windows XP/Vista/7&br()プレイステーション・ヴィータ|~|
|開発元|>|Key|~|
|発売日|Win|2012年7月27日|~|
|~|PSV|2017年5月18日|~|
|~|PSV|2017年5月17日|~|
|定価|>|5,800円|~|
|レーティング|Win|ソフ倫:15歳以上推奨|~|
|~|PSV|CERO:C(15才以上対象)|~|
|配信(Rewrite+)|Win|2021年10月15日/7,700円|~|
|判定|>|なし|~|
|ポイント|>|『Rewrite』クリア前提ファンディスク|~|
|>|>|>|CENTER:''[[Key作品]]''|
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**概要(FD)
「Key」初のファンディスク((過去作の『智代アフター』、『クドわふたー』はスピンオフ作品で、派生元の作品を未プレイでも大きな支障は無い様に作られている。))で、『Rewrite』をクリアしていない場合は説明不足な作品である。~
シナリオライターは全員続投しており、FDにもかかわらず豪華な面子のままである。~
内容は各ヒロイン毎に1つのスピンオフストーリーを集めた作品で、キャラのさらなる活躍やシナリオの補完・補足がされている。~
また、おまけでRPGがあり、少しゆるいノリだったりはするが、原作設定を生かしたシナリオ・設定になっている。

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**評価点(FD)
-原作が大作だったこともあってボリュームの少なさを感じやすいものの、イチャラブ要素を入れつつ起承転結もしっかりしている読みごたえのあるものになっている。
--原作の消化不良だった部分の補足だけでなく、中にはかなり意外性のあるシナリオ・展開もあって、『Rewrite』特有の設定を遺憾なく生かしていると言える。
---各シナリオの毛色はそれぞれ異なるが、特に静流ルートは好き嫌いは別として、FDでなければ実現出来なかったシナリオと言える。

-他のメイン・サブキャラでもそうだが、メインキャラの中では原作で描写の少なかった篝については特に掘り下げられている(設定が設定なので出番は少なめだが)。
--主人公の瑚太朗もフルボイスになっている。特に原作で声のついていた部分は共通ルートとは諸事情から性格が大きく違う上に、大半がシリアスな場面だったので良い意味でギャグ部分の印象がかなり変わる。

-おまけRPGは話や設定がしっかり作られているだけでなく、システムや難易度も調整されている。
--仲間の数も多く、メインキャラだけではなくサブキャラも数人戦闘メンバーに入っている。
--目玉と言うべき何かがないのと若干大味な調整ではあるが、悪い出来ではない。また、設定が色々な要素(スキル・アイテム・敵など)に反映されている。
---こちらのMemoryも充実していて、それを読む楽しみもある。

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**賛否両論点(FD)

-設定が複雑な上にネタなどが混じりつつも篝の出番が増えた結果、より奇抜で面白いことになっている代わりに、より分かり辛い存在にもなっている。
--一応分かり辛いだけで、設定的にはおかしくないようになっている。

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**問題点(FD)

-原作クリア前提の作品な上に、あくまでもFDといった内容・量なのは否めない。

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**総評(FD)
作品単独で見ると質は良いものの、規模・作品のテーマ・作り込みなどからそれ以上のものにはならず、凄い作品とは言えない。~
ただ、原作では難しかったことも遠慮なくやっていたりと、FDとしては無難に良い作品である。~
『Rewrite』を楽しんだ上で、更にFDをやってみたいと思う人なら忌憚なくお勧めできる。

復元してよろしいですか?