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バイオ戦士DAN インクリーザーとの闘い」を以下のとおり復元します。
*バイオ戦士DAN インクリーザーとの闘い
【ばいおせんしだん いんくりーざーとのたたかい】
|ジャンル|アクション|&image(https://www.suruga-ya.jp/database/pics_light/game/174000467.jpg,height=160)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|発売元|ジャレコ|~|
|開発元|アトラス|~|
|発売日|1987年9月22日|~|
|定価|4,900円(税別)|~|
|配信|プロジェクトEGG:2010年8月24日/500円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|~|BGCOLOR(MistyRose):''バカゲー''|~|
|ポイント|世界観ぶち壊しの各種演出&br()''♂押忍♂''&br()アクションゲームとしての出来は良い|~|
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#contents(fromhere)
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**概要
まだ下請け制作が中心であったアトラスが開発し、ジャレコが販売したアクションゲーム。

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**ストーリー
 西暦1999年。人類は地球外生命体「インクリーザー」による侵略を受けていた。
 人類は決死の抗戦を続けるものの、インクリーザーの恐るべき増殖力の前に徐々に押されていった。
 そして長い時が流れた西暦2081年。絶滅寸前にまで追い詰められた人類は、一縷の望みをかけた最終作戦を実行に移す。
 それは「選ばれた戦士にあらんかぎりの強化を施した後、インクリーザーが来訪した1999年にタイムワープで送り込み、彼らの母体である『ゴッドインクリーザー』を倒して未来を変える」というもの。
 そして選ばれた青年「ダン」は、人類の最後の希望を背負いつつ、インクリーザーが侵略を始めたばかりの過去へ時間の旅に出たのである…。

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**特徴・評価点
***アクション、ゲーム性
左右十字キーで移動、Aボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃というオーソドックスなダンジョン探索型アクションゲーム。~
『[[リンクの冒険]]』の神殿ステージに似た構成のスクロールフロアを探索し、最奥部のボス「マザーインクリーザー」を撃破するとクリア。次のステージに移る。全6ステージ(最終ステージはボス戦のみ)。~
難易度は易しすぎず難しすぎずのバランスに調整されており、アクション初心者でも何度か練習すればクリアできるようになっている。
-攻撃は序盤は通常攻撃のヒートナイフだけと心許ないが、様々な特徴の特殊武器を次第に入手・パワーアップして使用できるようになる。特殊武器を活用すれば攻略難度を抑えることができる。
--ちなみに特殊武器の使用にはEN(通貨も兼ねる)が必要。主にザコ敵を倒して入手する。

-ゲーム途中に開いている穴からはNPC住民等とコンタクトを取ることができ、隠し通路やエリア探索に大切な情報、武器強化や宿屋などステージ探索要素を含んでいる。

-「マザーバイタリティ」システム。画面右上には「M.V(Mother Vitality)の略」という数字が常に表示されていて、時間経過で徐々に増えていく。これはそのステージのボスの体力を表しており、さらにM.Vが上限の999に達するとDANがミスとなってしまう。
--つまり、M.Vはボスの体力と制限時間を兼ねており、ステージ探索やパワーアップを極力無視してボスが弱いうちに速攻撃破するか、ボスが強くなってもいいから探索を優先してキャラ強化に努めるか、状況を見た判断が必要となる。

***BGM
本作のBGMを手がけているのは、後にFC・SFC時代の女神転生シリーズの作曲で有名となる増子司氏。随所にその流れるようなメロディラインの特徴が見られる。
-なお、本作のファンからは特に1面・3面・4面の人気が高い。

***毒々しいグラフィック
インクリーザーに侵され変貌してしまった、毒々しいステージや敵、内臓を思わせるグラフィックはファミコンながら良く描かれており雰囲気が出ている。
-ステージの主要なザコ敵は、出現時から時間の経過によってノプリス期→ゾエア期→マーズ期→メガロ期の順に外見も含めて進化していく。
--また、ボスはザコ敵の完全体としてデザインされており、撃破時には上記とは逆順に退化しながら消滅するという凝った演出となっている。

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**賛否両論点(バカな点など)
***ギャグ調の演出
前述の通り本作のストーリーや世界観はハードSFになっているのだが、それをブチ壊すような演出・ギャグが多すぎるため、せっかくの斬新なアクション性よりもバカゲー要素の方がプレイヤーの記憶に残る結果となってしまった。
-インクリーザーに侵略され絶望的な状況下にあるにも拘らず、全く危機感の無い(逞しい)住民達。
--体力回復方法がホテルでの宿泊なのだが、そこの受付が''キャバレー風のお姉ちゃん''。更に、泊まると''和室で浴衣に着替えて団扇を持って涼むDANのキャラ絵(風鈴のSE付き)''。未発売となった海外版では普通のホテルの部屋に変更されているが、そういう問題ではないと思う。
--家に入るなり、家主(ミュータントっぽい見た目)に''押し相撲''を挑まれる。こいつが何者なのかは一切語られない(インクリーザーではないようだが)。
---背景には''「♂ 押忍 ♂」''の看板。「押す」と「オス」にかけたダジャレなのは言うまでもない。そして後ろで流れる陽気なBGM、増子司氏製作。勝てば大量のENが貰えるのでありがたいのだが…。
--武器屋では、6代目桂文枝似の店主が、威勢よく関西弁で武器を売り込んでくる。店の外は毒々しい修羅場のようなステージが広がっているにも拘らずとにかく明るい。そして後ろで流れる''浪花節のBGM''。
--武器を強化する店では、ゼンジー北京のような似非中国喋りをする男が店主を務め、''中国4000年の秘術で武器を強化する。''
--仙人風の人物に話しかけると「わしは[[ひとりでもせんにん>桃太郎伝説 (FC)]]じゃ」とか言ってくる。
--4面では先に進むために''変身''しなければならないシーンがあるが、変身する(変身を解除する)ための店もキャバレー風のお姉ちゃんの行う''只のメイク''だったり。

-また、この時代に主人公の秘密が隠されているPCが存在し、調べることでDANに秘められた能力が明らかになる。前述したが、DANは2081年の未来からやって来た戦士である。

-ステージクリア後のデモで様々な生物(例:''芋虫'')に変化するDAN。
--本来はステージ間の箸休め的なギャグ演出にすぎないのだが、上記のバカ要素が現実に存在している為、まさか本当に次ステージではその姿で始まるのでは、と少し不安になったりする。実際には元の姿になって始まるが。
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**問題点
-DANの操作性はそんなに良くない
--ジャンプ移動して攻撃するアクションは、魔界村式の「ジャンプと移動がセット、ジャンプ中に移動・方向変更不可」。垂直ジャンプして落下中に目の前の台に乗るなんて事は出来ないし、ジャンプ移動距離も固定なので1マス等の短い足場では移動距離と落下地点のマス目を計算しつつ飛ぶ必要がある。攻撃も一度に1回しか出せず、連射はできない。
--攻撃は上方向への攻撃手段がスマートボムしか無く、縦方向の敵を倒しにくい。
--周囲を回転するローリングショットは、複数の弾ではなく1つの弾が回る仕様なので、意外とスキが生じやすい。パワーアップすると回転の円形が拡大するため、さらに危険。
--また、攻撃を受けた時のノックバックがかなり大きく、反動で足場から落とされたりすることが多い。
-一部の厄介な敵の対処
--これも魔界村のカラスに似た、サインカーブを描きつつ画面端から突っ込んでくる敵が無限に出現し、この位置がかなり嫌らしい。ゲーム中最初から最後まで一番ストレス溜まるのは実はこいつだったり。
-回復手段が乏し過ぎる
--ライフの回復は宿屋かごく一部に隠されている回復アイテムのみ。しかし、前者は1ヶ所につき1回しか利用できず、アイテムは絶対数が少ないうえに回復量はたったの4メモリ。しかも1度しか出現しない。全く足りない。
-ボリューム
--全6ステージで1ステージも大して長くないため、クリアしてみると割と短かったなという感想になる。エンディングの終わり方もかなりあっさり。
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**総評
独特な魅力のあるゲームシステム・適度な歯ごたえのあるアクションや良質なBGMといった点でゲームとしての完成度は高い。~
しかし世界観ぶち壊しのバカ要素が目立ちすぎた為にそこばかり取り上げられ、結果として本作を未プレイのゲーマーからクソゲー扱いされることが多い不遇の作品である。

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**余談
-書籍『美食倶楽部バカゲー専科』では、名前が似ていてバカゲー同士だからといって「[[冒険男爵ドン>冒険男爵ドン サン=ハート編]]の知り合いか?」とからかったり、パッケージイラストを描いた「爬沼庵」((読みは「はぬまあん」。元ジャレコ社員で後に漫画家に転向。『妖怪倶楽部』のパッケージイラストも担当。その後も精力的に活動を続けるも、2011年3月下旬に46歳の若さで病没。))を「あんなデタラメなゲームにカッコイイ絵を描いてくれた」と嫌味な形で労ったりしていた。&br()ちなみに本文では肝心のDANのゲーム性についての説明が皆無で、用語集という形でちょこっと取り上げられただけだった。

-後にスピードワゴンと杏野はるなが出演している『超クソゲー』というDVDにおいてもクソゲーとして取り上げられているが、批判点は的を射ておらず、やはりクソゲーと呼ぶには無理がある作品である。そもそもこのDVD自体あまり評判が良くないのだが…。

-CSで放送された『新・伝説のクソゲー大決戦』でも取り上げられた。主にバカゲー要素にツッコミを入れており、上記バカな点に書かれていることはだいたい取り上げられていた。グラフィックはいいとほめられていた。なお、この番組も評価はイマイチである。

-テレビ番組『ゲームセンターCX』内のコーナー「有野の挑戦」でも、何度となく候補に挙げられては消えていくを繰り返した末テーマに抜擢された。その際のキャッチコピーは''【二軍の四番】''。

-概要にもある通り本作はアトラス開発・ジャレコ販売のゲームであるが、2017年にシティコネクション((現在ジャレコ作品の全IPを保有している企業))の吉川延宏社長が本作発売30週年を記念して行われたニコニコ生放送で語った所によると、「本作と[[女神転生>デジタル・デビル物語 女神転生 (FC)]]の2本を持ち込み企画としてアトラスから提案されたが、当時のジャレコは''女神転生には目もくれずにバイオ戦士DANだけを採用した''」((当時横スクロールアクションはビッグセールスが見込める花形ジャンルであり、RPGは初代ファイナルファンタジーやドラゴンクエスト3発売前の黎明期だったこと、女神転生は小説を原作とするいわゆる「キャラゲー」だったことなども理由ではある))とのこと。ジャレコに相手にされなかった女神転生はその後ナムコから発売されることとなり、後にアトラスの自社販売となる。その後の両作品の明暗については言うまでもない。

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