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ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物」を以下のとおり復元します。
*ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物 
【へらくれすのえいこうふぉー かみがみからのおくりもの】 
|ジャンル|RPG|&amazon(B000068HED)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|16MbitROMカートリッジ|~|
|発売・開発元|データイースト|~|
|発売日|1994年10月21日|~|
|定価|9,900円|~|
|配信|【Wii】バーチャルコンソール&br()2008年4月22日/800Wiiポイント&br()【WiiU】バーチャルコンソール&br()2015年2月10日/823円|~|
|書換|ニンテンドウパワー&br()1997年12月1日/1,000円/F×4・B×4|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ヘラクレスの栄光シリーズ]]''|
#contents(fromhere)
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**概要
ギリシャ神話を題材にしたデコのRPGシリーズの4作目(外伝を含めると5作目)。前作『[[ヘラクレスの栄光III 神々の沈黙]]』が好評を博したため、その期待を背負って発売された作品。

前作は衝撃的で奥深いシナリオが高い評価を受けていたが、システムやゲームバランスはそれほど良いものではなかった。しかし本作はそれを反省してか、グラフィック、音楽、システム、インターフェースなどあらゆる点が高いレベルでまとまっている。
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**ストーリー
>人間の運命を司る神―モイライ。~
運命の糸を、ある時は紡ぎ、またある時は交え、そして…断ち切ることを生業としていた。~
だが、彼女は考えあぐねていた。そう遠くない未来、人間の運命の糸が全て断ち切れてしまうことに気づいてしまったからなのだ…。~
人間の未来がない!?運命を操る対象が亡くなることへの辛さ以上に。人間へのゆるぎない愛情に対し。モイライはある決断を下した。~
「彼ならば、事態を好転させられるかもしれない。」~
彼とはアトランティスの青年であった。彼はとある事件に巻き込まれ、その結果生きてもいない、死んでもいない特殊な状況に置かれていた。~
それは普通の人間ならば決してありえない状況であったがため、その扱いに困ったモイライによって、彼は9000年もの長い間、壺に封印されていたのだ。~
(神が人間に頼みごとをするなんて、前代未聞だよ。)~
モイライはひどく悪態を尽きながらも、人間の運命の糸が断ち切れてしまう原因探求の旅に彼を向かわせようとする。だが、彼には体がなかった。~
このままでは何も行動することができない!~
そのことに気づいたモイライは、旅の途中に出会う人間に、自由に乗り移れる「トランスファー」の能力を彼に与え、下界に向かわせるのであった。~
~
人間の運命と、自らの肉体を求め、彼の冒険は始まる!!~
果たして彼を待ち受けているものは希望、あるいは…?~
(説明書より引用)

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**特徴
-「ギリシャ神話のエピソードや神々、地名、用語などをふんだんに駆使した世界観とシナリオ」、「システム面が基本的にドラクエライク」なのは従来シリーズ通り。ただし、今回は後述するトランスファーなど、FFチックな要素も見受けられる。

-「トランスファー」システム。
--主人公とその相棒であるプラトンが恩恵を受けられるシステム。彼らは旅先で出会う様々なキャラに乗り移り、自分で動かすことができるようになる。ただし誰にでも乗り移れるわけではなく、波長が合ったキャラしか乗り移れない。
---しかしその数なんと100体。数が数だけあって子供、精霊、木こり、奴隷、王様、暗殺者、''犬''と多様なキャラに乗り移れる。説明書に描かれている、乗り移れる人物全員とパーティーキャラクターが集合したイラストは印象的。
---相棒のプラトンは、「動物が嫌い」という設定上動物にはトランスファーできない((シナリオでセリフをしゃべるキャラの一人であるため、動物に乗り移っていると不都合なのだろう))という制約がある。
--街での会話の際は、乗り移ったキャラによって人々の反応が変わる。
---例えば王様に乗り移れば街の人が畏れ敬ってくれたり、犬に乗り移れば他の犬と会話できたり、見張りの兵士に乗り移って通せんぼされていた部屋へ侵入したりと役に立つ場面もある。
--また、戦闘面でもキャラによって得意な武器や所有する特技、ステータスなどが変わる。乗り移ったまま戦闘を繰り返すとそのキャラのFLV(フィットレベル)が上がり、新しい特技を覚えたり乗り移った体が強くなったりする。FLVの上がり方はキャラ毎にマチマチであるため、早期熟成型や大器晩成型、果ては終始役立たずと多様性が増している。

-魔法を覚えるにはレベルを高めるだけでなく、対応した魔法が覚えられる神殿の泉に入っておかなくてはならない。
--前作にもあったシステムだが、今回は行ったことのある神殿間のテレポートができるようになっているため、神殿巡りの煩わしさは大幅に軽減された。

-地味ながら良くできたオマケ要素
--前作にもあった竪琴を奏でるミニゲームが用意されている。アテネで練習するとある場所で演奏できるようになる。
--各地にある土地に種を植える事ができる。植える種によって収穫できるアイテムが異なる。
--街によっては研磨屋や鍛冶屋などアイテムを作成したり変化させられる店もある。錆びた物を磨いて石や武器防具を入手したり、鍛冶屋でいらない武器を鍛えたり、溶かして材料にする事もできる。
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**評価点
-高評価のシナリオ
--前作に引き続き、野島一成氏が担当。前作ほどの衝撃的などんでん返しこそないものの、丁寧に作られた演出、先が気になる展開、散りばめられた伏線、しっかりした舞台設定など完成度は高い。 
---辺境から始まった小さな冒険が、やがて、冥界や海底、天上までも経由する大冒険になる。9000年前の因果が関わる背景設定など物語の舞台は壮大。
---本作のテーマは「永遠の命」。それぞれのイベントは各キャラクターの心情や神々の思惑が簡明な演出で上手く表現されており、魅力的な物語が繰り広げられている。多くのRPGでお約束の「主人公達は死なない」が、システム・ストーリー双方に重要な役割を果たしている。
---パンドラの箱やアルゴー号、天を支える巨人アトラス、失われたアトランティス、冥府の川レーテーと渡し守カロンなどギリシャ神話の各エピソードを生かすだけでなく独自性のあるアレンジがなされており、それらが絡められたストーリーは世界観を見事に生かしている。
---勿論ヘラクレスは本作でも登場する。本作での彼の役割、使命、そして「栄光」は果たして…

-SFC成熟期に発売されたゲームだけあって、グラフィックや音楽の見栄え、聴きごたえがある。
--BGMは後に[[MOTHER3]]や[[大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ]]で名を馳せる酒井省吾氏が担当。世にも珍しい5拍子の戦闘曲「襲撃」(しかも序盤のイベント専用)や、優しい旋律が心に染みるフィールド曲「地平線の彼方」など名曲が揃っている。
--フィールドのグラフィックは拡大縮小を活用しており、奥に行くほどオブジェクトが小さくなり地平線と空も描かれている。また歩数によって昼夜が変化し、夜になれば空を流れ星が横切るなど描写にも力が入っている。

-滑らかに進むレスポンス・インターフェース
--恐らく前作から最も進化した部分。快適な移動速度にコマンド切り替え、戦闘中のメッセージはボタン押しっぱなしで飛ばすことができる、移動魔法やダンジョン脱出魔法もしっかり用意。と、システム面は非常に快適。
---キャラクター毎に設定できるオートバトルも搭載されているので、稼ぎプレイも楽になっている。
---エンカウント率はやや高めであるが、テンポが良く戦闘がすぐ終わるためあまりストレスを感じない。加えてそのお陰で意識して経験値を稼がなくても自然に適正レベルに上がっていく。
---シリーズ恒例の戦闘時の掛け声だが、今作では自分でエディットできる。燃える台詞を放たせるか下らない台詞を言わせるかはプレイヤー次第。

-快適なゲームバランス
--大味なバランスだった前作と比べると難易度がかなり低くなったが、「たたかう」連打では厳しい丁度いいゲームバランス。魔法や特技を使わずともクリアできなくはないが、使った方が確実に便利で楽しいという具合。
--トランスファーシステムも特に使わずともクリアできる。しかし、使った方がNPCの細かな反応の違いを楽しめたり、便利な特技を覚えて敵を翻弄したりと様々な遊び方ができる。
---戦闘中でも各ターン開始時に乗り換えできるため、「攻撃力を上昇させるキャラでドーピング」→「攻撃力の高いキャラに乗り換えて攻撃」→「魔力の高いキャラに乗り換えて全体回復魔法」など、状況に応じて、実に柔軟に使い分けることができる。
--ダンジョンのギミックが豊富で、やって楽しいもの、頭を使わせるものが揃っている。
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**問題点
-圧倒的なボリューム不足
--今作の唯一にして最大の欠点。これさえ解消されていたら、前作を超え「シリーズ最高傑作」と評されていただろう。
---寄り道をしてもだいたい15時間程度で全クリアが可能。クリア後の要素も40体のボスを延々と倒すだけなど物足りなさは拭えない。
--発売当時はSFCソフトの値段が暴騰しており、今作も1万円近い価格で販売されていたため「遊べる時間に対して値段が見合わない」という欠点は致命的であった。
--もっともこの問題点の原因の一つは、評価点にもあるレスポンスの良さにもあるため全てが問題点というわけでもない。

-一部のアイテム、キャラクターの特技のバランスブレイカーぶり
--ヒッカリの「はつめいひん」で使える「ツヨクナール」の効果はなんと「味方1人の攻撃力を4倍にする」というもの。ヒッカリ自身が魔法を使えない、FLVアップに必要な経験値が多い、HPが大幅に減る副作用があるというネックはあるが、それでも攻撃力増加効果が馬鹿馬鹿しいほど大きいためにほとんどのボス戦が楽になってしまう。
---似たような強力な特技を持つラウーン(デメリットなしで自分の任意の能力を4倍)、ティントーン(味方1人の任意の能力を8倍にするが他の能力がゼロになる)も存在するが、これらのキャラクターに乗り移れるのは終盤である。ヒッカリは序盤から乗り移りが可能であり、ゲームバランスを壊すことができてしまう。
--さらにウーウールの自分以外を眠らせる特技「メェー!!」はラスボスすら眠らせてしまうため、この技と他の仲間の技・アイテムをうまく使えばラスボスや隠しボスといえども何もさせないまま倒してしまうことが可能。これらは敢えて封印するのも手ではあるが、ここまで便利だとついつい手を出してしまうことだろう。
--中盤までに手に入る銀系の武器や黒檀の杖の効果が強力。前者は一人のHP回復、後者は一人の気絶以外の状態回復の効果が無限に使用可能で、気絶回復以外の回復アイテムを持つ必要が無くなるほど便利。仲間のAIが優秀なのと相まって、主人公が状態異常になると杖で即回復してくれたりする。

-戦闘中以外に魔法を使用する際、魔法の消費MPが表示されない。

-街や村の中では移動手段のノアルーンや旅の翼が使えず、一旦フィールドに出る必要がある。

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**総評
前作から(ボリューム面を除いて)全てにおいて進歩しており、まさに「ヘラクレスの栄光シリーズの集大成」と言っても過言ではない作品。~
前作よりも手軽に遊べることもあり人によってはこちらのほうが好きというプレイヤーもいる。~
最大の欠点であるボリューム不足も、現在ならばバーチャルコンソールなどで安価でプレイできること、他のシリーズ作品と物語が独立していることもあって、「手軽にヘラクレスの栄光シリーズに触れられる」というプラス面にも転じうるだろう。

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**余談
-乗り移り可能なNPCの火吹き男「ガルノー」とその付き人の「ザブル」、シナリオが後半になると登場する伝説の道化師「ラウーン」は、それぞれ同社の『[[カルノフ]]』のカルノフと『[[探偵 神宮寺三郎シリーズ]]』の神宮寺三郎、『ファイターズヒストリー』のクラウンがモチーフになっている。

-中盤以降になると一部の店売り装備を溶かして鉱石にして売る、とあるアイテムの転売などの方法で資金の増殖が可能になる。
--これらは裏技として紹介されることもあったが、戦闘のテンポが良い本作では普通に戦った方が圧倒的に早く稼げるため、低レベルクリアなどの制限プレイでない限り実用性はない。

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