「ストリートファイターIV」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
ストリートファイターIV」を以下のとおり復元します。
#contents
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*ストリートファイターIV
【すとりーとふぁいたーふぉー】
|ジャンル|>|格闘ゲーム|CENTER:&amazon(B001P5HXVS)&amazon(B001AG0OHC)|
|対応機種|>|アーケード&br()プレイステーション3&br()Xbox 360&br()Windows Vista|~|
|使用基板|AC|Taito Type X2|~|
|販売元|>|カプコン|~|
|開発元|>|カプコン&br()ディンプス|~|
|稼働開始日|AC|2008年7月18日|~|
|発売日|PS3/360|2009年2月12日|~|
|~|Win|2009年7月2日|~|
|価格|PS3/360|8,390円|~|
|~|Win|7,340円|~|
|判定|>|なし|~|
|ポイント|>|久々のシリーズ新作&br()どちらかと言えば保守的な作り&br()格闘ゲーム界隈の活性化に貢献|~|
|>|>|>|CENTER:''[[ストリートファイターシリーズ]]''|
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**概要
『[[ストリートファイターIII 3rd STRIKE]]』より約10年を経てリリースされた、シリーズナンバリング第4作。~
グラフィックは3Dとなったが、ゲーム性は2Dのまま。言わば『[[ストリートファイターEX]]』と同様の形式である。~
玄人向けに尖鋭化していた『3rd』への反省から『[[ストリートファイターII]]』への原点回帰を掲げた本作は、旧来のプレイヤーを再び集められる対戦ツールを目指して製作され、極めて簡単な操作で駆け引きを楽しむことができるシステムが採用された。~
一方で、当時の格ゲー界における先端的なシステムも組み込まれ、格ゲー初心者には取っ付き易く、熟練者にも遊び甲斐を感じさせる、非常に間口の広い仕上がりとなった。

家庭用発売を機に対戦熱が一気に上昇した。わかり易い駆け引きと奥深さによって対戦人気・プレイ人口は圧倒的で、2010年代の格闘ゲームシーンを牽引した。

その後バージョンアップ版『スーパーストリートファイターIV』が稼働。~
この作品からさらに「ARCADE EDITION」→「AC ver.2012」とバージョンアップされている。~
2014年から『ウルトラストリートファイターIV』に移行し、キャラクターや新要素が追加された。

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**特徴
-「原点回帰」を謳っただけあって、基本的には『ストリートファイターII』がベース。~
しかし、投げのシステムやEX必殺技などは『[[ストリートファイターIII 3rd STRIKE]]』のものを輸入している。

-パワーゲージであるスーパーコンボゲージは4分割されており、1ブロック(25%)消費することで必殺技の強化版であるEX必殺技を、4ブロック(100%)消費することで超必殺技のスーパーコンボを出すことができる。

-目玉となる新システムは''「ウルトラコンボ」「セービングアタック」''の2つ。

''ウルトラコンボ''
-ダメージを受けることで溜まっていくリベンジゲージが一定以上溜まることで、派手な演出を伴う超必殺技が使える。使用すると溜まったリベンジゲージを全て消費し、消費量に比例して威力が上がる。ただし、通常技や必殺技からキャンセルは出来ない。
--スーパーコンボゲージを消費して使う「スーパーコンボ」も併存しており、こちらは通常技や必殺技からキャンセルして出せる。

-当初ウルトラコンボは、リュウの場合、スーパーコンボは「真空波動拳」でウルトラコンボは「滅・波動拳」とどちらも飛び道具と、スーパーコンボの上位版という位置づけだった。~
『スーパー』からウルトラコンボは2種類になり、キャラクター選択後にどちらかを選択することとなる。この関係か『スーパー』以降に登場したキャラクターは上の限りでは無くなっている。

''セービングアタック''
-『ストIII』における「ブロッキング」に相当する、『ストIV』独自の防御システム。
--入力すると「セービング状態」に移行し、ボタンを押し続けている間は一発だけ攻撃を受け止めることが出来る。この時のダメージはリカバリブルダメージとなり、一定時間相手の攻撃に触れない事で回復していく。さらにスパコン・リベンジゲージも普通にガードするより多く溜まる。
--ボタンを離すことで「セービングアタック」を繰り出し、溜めた時間よってはさらに追撃を決めたり、攻めに転じる事が出来る。
--セービング状態、もしくはセービングアタックが相手に触れると前後のダッシュでキャンセルする事が出来る。これによって読みが外れた場合は解放せずにバックステップなどでフォローしたり、ヒットした場合より強力な追撃を仕掛けるためにダッシュしたり、飛び道具を受け止めてゲージを溜めつつ接近するなど、幅広い使い道がある。
--シビアなタイミング合わせがなくハードルが低い反面、成功すればほぼ反撃可能だったブロッキングと違いそこまで強力なシステムではない。
---攻撃の出がそこまで早くなく、受け止めた技によっては確定ヒットしない、一発しか受け止められないため弱攻撃連打やEX必殺技などに弱い、無消費の技にもセービングで防ぐことの出来ない「アーマーブレイク属性」になっている技がある(多くの場合は突進技あたりがこれ)というように、対抗策も多い。この為カウンターに使うのであれば「相手の技」まで読んで繰り出せなければならない。
--スーパーコンボへのキャンセルが可能な通常技・必殺技はセービングアタックでのキャンセルにも対応しており、この際スーパーコンボゲージを2ブロック(50%)消費する(EXセービングアタック)。

***キャラクター
-使用キャラクターは最新作の時点で総勢44人のシリーズ一の大世帯となった。『II』シリーズのキャラクターと『IV』オリジナルの新キャラクター以外にも『ZERO』シリーズや『ストIII』シリーズのキャラクターも多数登場している。
--最初は『ストII』シリーズの12人と『ストIV』からの新キャラクターが4人、隠しキャラクターの豪鬼を含めた計17人。家庭用でCPU専用キャラクターをプレイアブル化した2人+新規追加キャラクター6人、『スーパー』で10人、AEで4人、『ウルトラ』で5人が追加。

#region(登場キャラクター一覧)
本作からの新登場キャラは太字表記。

|初代から参戦|リュウ ケン 春麗 ガイル エドモンド本田 ブランカ ザンギエフ ダルシム マイク・バイソン バルログ サガット ベガ&br()''クリムゾン・ヴァイパー アベル エル・フォルテ ルーファス''|
|ボスキャラ|''セス 剛拳'' 豪鬼(隠し)|
|家庭用追加キャラ|フェイロン ダン さくら キャミィ ローズ 元|
|『スーパー』追加キャラ|''ハン・ジュリ ハカン'' サンダー・ホーク ディージェイ コーディー ガイ まこと ダッドリー いぶき アドン|
|『AE』追加キャラ|ユン ヤン 殺意の波動に目覚めたリュウ ''狂オシキ鬼''|
|『ウルトラ』追加キャラ|''ディカープリ'' ヒューゴー ポイズン ロレント エレナ|
#endregion

#region(本シリーズからの新登場キャラクター)
//この新キャラクター達は、最初に公開されたヴァイパーを筆頭に「見た目がカプコンらしくない」という意見もちらほら見られていた。しかし見た目が浮き気味なだけで中身は濃い方である。

『ストリートファイターIV』から登場
-クリムゾン・ヴァイパー
--蛇のような赤い髮にパンツスーツで決めているCIAの女性エージェント。電撃や火炎を発する暗器を仕込んで戦う。CIAの任務でシャドルーの下部組織に潜入している。一児の母で娘のことを溺愛している。
--ハイジャンプキャンセルやフェイント、低空必殺技といった各種テクニックを駆使することで真価を発揮するテクニカルキャラ。

-アベル
--『ストIII』シリーズのアレックスを彷彿とさせる、ストーリーに深い接点を持つ青年。真面目な性格だが「体がーっ!!」という謎の悲鳴がネタにされる。アレンジコスチュームで何故か必ず乳首を丸出しにしている。
--性能面でもアレックスと同じく、重い打撃と投げ、前進力を併せ持ったパワーキャラ。

-エル・フォルテ
--メキシコのルチャドール。暑苦しすぎるボケ担当キャラクター。シェフ志望で技にも料理の名前を付けているが、料理は非常に下手。
--「アバネロダッシュ」という必殺技で画面を走り回り、そこからの派生技でガード崩しを狙っていくスピードキャラ。波に乗ると畳み掛けられる反面、防御力・体力が脆く気絶値も低い。運と事故で勝敗が決まる荒らしキャラとよく評される。

-ルーファス
--ウエストサイズ250の動けるデブ。弁髪にトラックスーツとカンフーっぽい見た目なのに格闘スタイルは(自称)空手と勘違いキャラクター。何故かケンを異常にライバル視している。勝利メッセージが異常に長い。
---その勝利メッセージでも金髪や道着着用というだけでケンと勘違いするという勘違いぶりを発揮している反面、ベガやガイには割とまともなツッコミを入れている。
--牽制力と気絶値が低いが、急降下技「ファルコーンキック」を駆使した接近力や攻めは強力。デブのため体力・攻撃力も高い。

-セス
--本作のボスキャラクター。シャドルーによって開発された人造人間で、シャドルーの下部組織のボス。青い肌に『ストIII』シリーズのギルやユリアンのような彫刻のような肉体を持つ。
--ソニックブーム、昇龍拳、スクリューパイルドライバーといった『ストII』シリーズのレギュラーキャラクターの必殺技をコピーした技を使って戦うが、プレイヤー使用時は体力が最低クラスのためワンミスで瞬殺されかねない。

-剛拳
--リュウとケンの師匠。同門だった豪鬼に死闘の末殺されたという設定だったが、結局本作で実は生きていたという後付け設定になった。
--同じ道着キャラクターと比べて癖の強い技がかなり多いが、総合的に見ると高水準な性能。3方向に撃ち分けられる波動拳や、特殊なセービング必殺技が特徴的。

『スーパーストリートファイターIV』からの登場キャラクター
-ジュリ
--韓国出身の女性テコンドー使い。この手のキャラクターには珍しく、シャドルーの下部組織所属で悪役要素が強い。~
だが、こうなったのはベガが彼女の片目を潰した上に父親を殺害した事が原因であり、その生い立ちを鑑みると生まれながらの根っからの悪党というわけではない。
--「風破刃」というボタンを放すタイミングで発射タイミングを任意で変えられる飛び道具が特徴。小回りの利く機敏なキャラクター。

-ハカン
--トルコの実在する格闘技・ヤールギュレシのオイルレスラー。ヘルメットにしか見えない髪型、赤い肌に白目と言った外見のインパクトも相まって話題騒然となった。技も油のヌルヌルによって派手。
--オイルをかぶることで技を出す時に「滑る」ようになり、重量級キャラとしては高い機動力を発揮できるようになる。~
反面オイルをかぶってない時の性能は貧弱で、よくも悪くもオイル頼みのキャラクター。

『スーパーストリートファイターIV アーケードエディション』からの登場キャラクター
-殺意の波動に目覚めたリュウ
--従来の作品にもいたリュウの性能違いキャラクターだが、本作ではこれまでのように『殺意の波動に自我と精神を侵食された姿』とは異なり、『リュウが狂オシキ鬼のウルコン「冥恫豪波動」を喰らい、その際に潜在していた殺意の波動が活性化して取り込んだ』という設定がある。その為か姿がこれまでよりも禍々しく、言動も非常に荒々しい。
--本作で追加された「竜爪脚」という必殺技による高火力の目押しコンボが特徴的。その為、従来よりもリュウと豪鬼の両者との差別化が図られ、攻めに関する能力は高いが防御面と体力が低さが顕著になっている。

-狂オシキ鬼
--豪鬼が「殺意の波動」に曝され続けた結果、完全に人外の存在となったもの。従来作でいう所の真・豪鬼にあたるキャラクターだが、さらに怪物的な見た目になっている。
--豪鬼とは似て非なる性能。基本的には胴着キャラの基本に沿った性能だが、二段ジャンプ・空中ダッシュのような挙動が可能な必殺技「斬空波動掌」が特徴的。

『ウルトラストリートファイターIV』からの登場キャラクター
-ディカープリ
--『[[ZERO3>ストリートファイターZERO3]]』の頃から設定のみ存在していたベガ親衛隊の一人。仮面を付けているが正体はキャミィのクローン。キャミィと同じ戦闘スタイルだが、腕に仕込んだダガーでも攻撃する。

#endregion
#co{
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}

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**格闘ゲームとしての特徴
''当て投げが強い''
-通常投げ、特に『ストII』で禁忌とされてきた「当て投げ」(弱攻撃を当ててから歩いて投げる)が非常に強力な調整。
--そもそも『ストII』では脱出不可能なハメだった((現在と違いガードした後にジャンプや投げ抜けなどで投げを避けられないため。))。その後システムが整備され、現在では殆どの格闘ゲームにおいて常識的な戦法の一つとなっている。
--本作ではガードや起き上がり時の投げ無敵時間が短いため、慣れない相手にはかなり決まりやすい。更にいうと弱攻撃をガードさせてもノックバックが弱く距離が離れないこともあり、非常に狙いやすい。
--「3rd STRIKE」から見つかっていたテクニックである「スライド投げ(移動投げ)((移動しながら攻撃するタイプの特殊技を出し、出掛かりを通常投げ入力でキャンセルすることにより、特殊技の移動距離をある程度付加して投げを出すことができるテクニックのこと。))」も使えるため、投げ間合い外だと思っていても油断できない。特にケンの移動投げは、とても届きそうにない距離からいきなり飛んで来る。
--この為、初心者はまず投げ抜けを覚える事になる。普通に投げ抜けを入力する他「しゃがみグラップ」「複合グラップ」など様々な入力方法が存在する。
--こうした地味な力関係を覚えるのが本作で駆け引きするにあたっての最優先事項であり、乗り越えるまでの時間は長い。~
しかしここを超えれば「乗り越えていない層」を一気に引き離す事ができ、上達を実感する最初のハードルであると言える。
--この当て投げ関係の駆け引きについては慣れていないプレイヤーや、あまりプレイしていない人から批判も多い。稼動初期などは特に「投げゲー」「柔道ゲー」などと揶揄されていた。
--通常投げに対しては受け身を取ることが出来ず((『ギルティギア』『KOF』『メルティブラッド』などの作品ではちゃんと受け身をとれる。過去作である『スパIIX』でも可能なのだが…。))、常に起き上がるタイミングが一定。このため、安定してセットプレイをかけることができ、結果、初心者同士の対戦ではお互いが当て投げループでラウンドを取り合っている事も多い。
--しかし、仕込み入力もあるため基本的には待ち有利なのは『ストII』と同じ。ガード崩しのために当て投げは必須であり、リターンがこの程度でなければ割に合わない、という意見も。
-こういったイメージが先行しているが遅らせしゃがみ技仕込み、リバーサルバックステップ、リバーサル投げ暴れと言ったローリスクな仕切り直しが複数存在するため&bold(){過去のシリーズより投げは弱い。}
--投げの対択となる打撃による暴れ潰しが相手のタイミングに依存するため下段をスカせる選択肢が無いキャラは非常に崩しづらい。
---もしタイミングが合わなかった場合、逆に最速発生のしゃがみ弱技からコンボに移行され、ダウンを奪われることもザラ。
--特に後述の『ウルトラ』ではディレイスタンディングが導入され、起き攻めに移行しにくくなったため威力の高い一部キャラ以外は大したリターンもない。

''起き攻め、めくりが強力''
-「見た目と違って逆方向にガードしなければならないジャンプ攻撃」というストIIからある仕様だが、このめくりが本作では非常に強力。
//近距離対空技で落とそうと思っても理不尽にめくり攻撃を食らうこともある。
//落とせない状況で落とそうとする方が悪いと思いますが。「落とそうと思えばいつでも落とせる」ゲームだったら誰も攻めません。
-ジャンプ攻撃は性質上「ヒットガード問わず相手に触れさせれば非常に有利」であり、ガード崩しと両立するめくりはゲーム的にも非常に強力な行動である。
--大半のめくりはヒットすればコンボやダウンを奪え、ガードされてもさらに択一攻撃を迫る事が出来る。この為対処できなければめくりだけで倒されてしまう事すらある。

//-移動技を使ったり、特定の技を出すタイミングを変える事で仕掛けたりと、めくり以外の表裏択も満載。これらも見えづらいのは言うまでもなく、起き攻めが従来と比べ異常に強い。
//↑もうめくりも関係ないただの愚痴では?自分だけ出来ないわけじゃないでしょうに…。

--先述のとおり通常投げで必ずダウンを奪えるため、めくりを絡めたセットプレイに持って行きやすい。これもめくりの強さに拍車を掛けている。
---豪鬼の「ときど式」と呼ばれる表裏の択を連続で迫る行動は、上級者も舌を巻く強力なセットプレイとして有名である。

''目押し''
-タイミング良く通常技を入力する「目押し」による連続技が本作のコンボのメインとなる。ポピュラーな目押しコンボは3~5Fほどの猶予があり少し練習すれば出来るようになるものが多い。
--難しいものになると猶予は0~1Fとシビアになる。上級者でも安定しない難易度だが、キャラクターによっては出来れば常に狙っていきたい有用な連続技に0F目押しを要求される場合がある。
---いわゆるコンボゲーよりもコンボの難易度が高いともされている。
--当てやすくガードされても有利な弱攻撃から、必殺技や足払いまで繋がるような連続技は実用的であり、習得によるアドバンテージは大きい。そういったコンボが0~1Fしか猶予の無いキャラクターは難しいと言えるが、出来ると出来ないとで大きく強さが変わってくる為、「がんばって習得するか、妥協するか」の選択を迫られる事になる。
--なお、本作では弱攻撃を連打キャンセルすると必殺技キャンセルが出来なくなるという仕様となっている((『ストII』と同じ。『ストII』以降の作品では連打キャンセルからでもキャンセルできた。))。
--現在では「つじ式」と呼ばれる、ボタン優先順位などの仕様を使い、同じボタンを2f連続入力させ、目押し猶予を1f増やすテクニックが発見されている。~
何故か「攻撃ボタン→Back(360)/Select(PS3)」でもこのテクニックが利用可能で、一部のアーケードスティックにボタン入れ替え機能が存在していたのは、このテクニックを使うために、本来の位置以外にBackかSelectを配置したかったためである。~
最初にこの機能を導入したHORIのファイティングエッジ刀開発時、ソニー側がなぜその機能が必要なのかと理解してくれなかったので、製造ライセンス取得に手間取ったというエピソードがある。

''「無敵技」の強化''
-従来、無敵技(昇龍拳系など、出がかりに無敵時間のある技)は、出ると強い代わりにコマンドが難しかったりタメが必要でガードされると隙が大きくリスキーな技という印象が強かった。~
しかし近年の格闘ゲームでは『ロマンキャンセル』に代表される『任意の技をキャンセル』するシステムが搭載され、不利な側の救済システムという側面も生まれて来た。その流れは今作でも踏襲されている。
--システム項に記載した「EXセービングアタック」は昇龍拳などの無敵技からもキャンセル可能な様に設定されており、「昇龍拳→EXセービングアタック→セービング構えをステップでキャンセル」(この流れは「セビキャン」と呼ばれる)とすると、ゲージこそ消費するが昇龍拳をガードされても大幅にフォロー出来てしまう(確定反撃を行うことは可能だが少々難しい)。もし昇龍拳がヒットしていれば、滅・波動拳のようなウルトラコンボなどの大ダメージな追撃ができてしまう(通称「セビ滅」)。
--こういった使い道の出来る技のあるキャラとの対戦は、たとえ試合を有利に進めていても気が抜けないものとなった。~
「連携を昇龍で割り込まれてセビキャン」→ウルトラコンボで追撃→逆転、という流れで辛酸を舐めたプレイヤーも多い。~
このように非常に強力な行動だが、本作はかなりゲージが溜まり易く試合展開によっては何度も繰り出す事が出来る。かなりゲームに慣れているか、読みきっていなければこの昇龍拳セービングに対処する事は難しいためこういった行動の出来ないキャラクターの使い手や昔ながらのプレイヤーは「理不尽な要素」「読み合いを放棄した行動」として嫌っている事もある。
//スカすという対処法がある為、少なくともローリスクではないです。

//***EX必殺技、スーパーコンボ、ウルトラコンボ等の問題
//-一部のEX必殺技が強力すぎる。
//--ザンギエフのバニシングフラット、ヴァイパーのセイスモハンマー、ルーファスの救世主キックなど、EXで付加された無敵時間を使って差し合いを破壊できる技が特に強い。
//---ガードされても隙が無かったり、EX技のヒットからウルトラコンボに繋がるものもあり、さらに強力((ターゲットコンボからつながるルーファスのスペースオペラシンフォニーや上記のリュウのセビ滅が典型例。))。
//↑どれも読んでいれば対処は可能で、地上戦でいきなり使うような使い方もされません。差し合いを破壊するような性能ではありません。

//-一方、スーパーコンボはEX必殺技4回分のゲージを消費して使わなければならない。スーパーコンボにこれに見合ったリターンのあるキャラクターは少なく、1ラウンドに1回は必ず使えるウルトラコンボの存在もあり空気。

//-ウルトラコンボがヒットした際には派手な演出があるが、演出が長すぎる(特に『スパIV』以降で追加されたもの)というPS時代のFF同様の声もある。
//--また、「ボタン3つ同時押し」というコマンドは意外に成功しにくく、EX必殺技・スーパーコンボが暴発することもある。

''簡易コマンド''
-初心者救済として一部のコマンドは判定が緩和されており、例えば昇龍拳コマンドは232でしゃがんだまま出せる。逆にウルトラコンボなどを出そうとした時に暴発しやすく迷惑な時もある。
//--これを利用し、連続ガード中にレバーをガチャガチャ動かして入力を行う、通称「ガチャ昇龍」が可能。結果、「硬直が解けた所に先行入力された昇龍拳が発生」→「そこからセビキャン」とすることにより、ローリスクハイリターンな流れで攻守交代できてしまうのである。
//-そのほかにも一回転コマンドが412367で出せ、ザンギエフがお手軽に扱える一因となっている。

***バランス総評
-総合的に見ると、ゲームバランスは特に穴が無くまとまっている。そのため、対戦ゲームとしての出来は悪くない。
--極めようとすると高難度・取っ付き辛い習得必須科目も多く、初心者が知ってしまうと及び腰になってしまいがちでもある。
--キャラクターバランスを見ると、全体的に高性能な上に笑えるぐらい簡単で減る「ワロスコンボ」を持つサガットや、起き攻めゲーとも呼ばれる本作の中でも特に強力な起き攻め連携を持つ豪鬼、ここまで書いてきた本作のゲーム性に合った性能を持つザンギエフやリュウ、ヴァイパーやルーファスなど強キャラもいる。一方でバルログやガイルはかなり弱い。全くもって勝てない、というほどではないが、格差は確かに存在している。
---ガイルに関しては、お手軽に勝てるキャラにしたくなかったという理由から、意図的に弱くしたと開発スタッフが語っている。
---また、バルログもロケテスト時には最強キャラで、「ロケテスト時の最強キャラは弱体化される」のカプコンのジンクスによってか、キャラクター性と戦法が噛み合ってない悲惨な性能になってしまった。

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**評価点
-対戦するのに複雑なシステムを覚える必要は無く、すぐに対戦の楽しさを味わう事が出来る。
--もちろん初心者が経験者に勝つ為には様々なルールやテクニックを覚える必要があるが、近年の複雑化した格闘ゲームに比べて敷居はとても低い。
--かつてのプレイヤーにとって懐かしいキャラクターばかりで、キャラクターの性能や基本戦法も当時を踏襲している。その為10年以上前の初代『ストII』プレイヤーでも「昔取った杵柄」を発揮できる。

-3Dによるグラフィックは概ね好意的に受け止められている。ハード性能の向上による表現力の上昇もあり、懸念されていたほど2Dならではの味を損なわなかった。

-初心者に配慮したビギナーモードは評価されている。

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**賛否両論点
-上記の「格闘ゲームとしての特徴」に挙げた特徴の多くは、ユーザーの中からは肯定的な意見もあれば否定的な意見もあり、事実上賛否両論である。
-ウルトラコンボの存在によって逆転性を高めたり、ブロッキングの代わりにセービングアタックを搭載するなど、初心者に対して間口を広くするようなシステムを入れている一方で、当て投げやセビキャンや目押しといった、突き放すようなテクニックも存在する。

//-基本はシリーズらしいどっしりした差し合いが中心だが、実は意外とコンボゲーに似たゲームバランス。
//--具体的には「コンボが繋がりやすいが難易度が高い」「セットプレイ重視」「ローリスクハイリターンな無敵技」などがコンボゲーな要素と言える。
//--コンボについては、本作は目押しによる連続技が繋がりやすく作られているが、一方でタイミングは猶予は基本的に0~1F((ただしこのシリーズでは「つじ式」と呼ばれる操作の処理を突いた「猶予を1F伸ばす」操作テクニックが存在する。))と非常にシビア。キャラクターによっては基本的な連続技にすら0F目押しを要求される場合があったり、0F目押しを何回も行わなければならない場合もあったりする。そのため連続技が非常に難しい。
//---当てやすく当て投げ連携の起点にもなる弱攻撃から、必殺技や足払いまで繋がる連続技は実用的であり、習得によるアドバンテージは大きい。大抵のキャラクターで主なダメージソースとなりえる。
//---一方でちょっとでも失敗して隙間が空こうものなら、後述のように昇龍拳などで簡単に割りこまれるため、難しさに拍車をかけている。
//--セットプレイ重視な理由は、本作では「見えない」と言われるほど非常に判断のし辛い表裏にガードを揺さぶる択一攻撃による崩しが多数発見されている((代表的なのは新キャラクター・ヴァイパーの低空バーニングキック。炎のエフェクトがかかっていることがさらに見辛さに拍車をかけている。))ことが要因。
//---仕様上画面端を背負っている相手にもめくりが可能なため、どこへ行っても表裏の択に晒される。近距離対空技で落とそうと思っても理不尽にめくり攻撃を食らうこともある。
//---移動技を使ったり、特定の技を出すタイミングを変える事で仕掛けたりと、めくり以外の表裏択も満載。これらも見えづらいのは言うまでもなく、起き攻めが従来と比べ異常に強い。
//--「ローリスクハイリターンな無敵技」は本作の「EXセービング」というシステムに起因する。システムとして必殺技中にセービングアタックの入力を行うと、ゲージを消費して必殺技をキャンセルしてセービングアタックを出すことができるのをEXセービングと呼ぶのだが、「昇龍拳→EXセービング→セービング構えをステップでキャンセル」(この流れは「セビキャン」と呼ばれる)とすると、ゲージこそ消費するが昇龍拳をガードされても全く隙が無くなる。さらに昇龍拳がヒットしていればウルトラコンボなどの大ダメージな追撃ができるキャラクターも存在する。((『ストIV』当時ではこの昇龍セビキャンを使った「セビ滅」や「ワロスコンボ」などと呼ばれる連続技が猛威を振るっていた。))。
//---昇龍拳のような無敵技は全キャラが持っているものではない。上記のように本作は強力なセットプレイが非常に多いためそれとのバランスを取っているという見方もできなくはないが、かえって無敵技を持っているキャラクターとないキャラクターとの格差を広げる結果になってしまっている(当然、持ってるほうが立ち回りで断然優位)。そしてこの手の技を持っているキャラクターは飛び道具などで能動的にゲージを溜められる上に、ゲージ依存が少ないことが多い。
//負けてる側の視点の意見ばっかりで、賛否両論っていうかただのネガティブキャンペーンなんですが・・・
//そもそも賛否両論なのに、各要素に結論が出てるかのような書き方してるのはどうなの?しかも対処できる事ばかりに。

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**問題点
-CPUが弱すぎる。キャラクターごとに特色ある動きもほとんど無く、基本的に連続技練習用の木偶の坊。終盤に出てくる昇龍拳持ちがやや手強い程度。
--特に延々と中距離からフライングパワーボムばかり狙うザンギエフは冷静に対処すれば簡単に完封出来てしまう。
--その一方でラストボスであるセスは例外でとんでもなく強い…が、一定条件でセスを倒すと出てくる隠しボス・豪鬼は打って変わって非常に弱い。おそらく格ゲー最弱の隠しボス。

-同カプコン製作の『ガンダムVS.』シリーズと同様、基板を数台繋げて稼動する仕様となっている。
--4台稼動して1ライン設定にしている場合、CPU戦で練習したくても強制的に対戦させられたり、隣に座っている人同士で1対1の対戦となるなど、気まずい場面があった。
--従来のように1台で対戦台とする設定は不可能らしい。基板自体の値段も高く、オペレーターに厳しい((Type X2の筐体VEWLIXは1セット200万円はかかる。NAOMIの新作はおおよそ26万円かかることからいかに高いかわかるだろう。))。

-0~1Fの入力精度を争うシビアな目押しコンボは、若干のラグが発生するオンライン対戦との相性が悪い。
--ボタンを押すリズムさえ一定なら多少の遅延があっても理論上安定可能だが、それでも入力のタイミングと画面や音のタイミングとのズレがある分、リズムを乱されやすくなる。
//もし本当にゲーム自体とネット対戦が相性悪いならオンラインで大会開かれたりしないわ。誰がそんな事言ってるの?自分が出来ないだけで書いてない?
//↑目押しコンボの重要度や難易度と遅延の程度によるが、現状のバランスならラグで多少目押しが安定しにくくなっても、別にオンラインで大会が開かれたりしないなんて極端なことにはならないだろう。ただその大会でもラグによって目押しのタイミングが狂う場面が無いとも言えないし、いずれにせよシビアな目押しコンボとネット対戦(ラグ)の相性は、良いか悪いかで言えば確実に悪い。

//-若干の操作遅延がある。
//--これは家庭用のネット対戦を見越して、あえてオフラインでもラグを組み込んでる、とのこと。
//↑開発側から明示された記事を見た事が無いのでソースを提示してください。

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**家庭用版
-2009年2月12日にPS3版/360版が発売された。

-新キャラクターとして過去のシリーズ作品『ストII』シリーズからキャミィとフェイロン、『ZERO』シリーズからさくら、ローズ、元、ダンが追加。アーケード版のボスキャラクター2人も使える。

-光回線の浸透により環境が整備されたこともあり、家庭用でのオンライン対戦は好評。
--複数プレイヤーと動画を見られる、充実したリプレイダウンロード機能など、昨今の家庭用格闘ゲームのオンライン機能としては最高峰。
//チャレンジモードの記事、ただのグチですよね。後半の難易度に対してはまだわかりますが、開発に対する甘えみたいな文章が多すぎます。
-2009年7月に発売されたPC版では、キャラクターに奇抜なコスチュームをさせるなどのMODがユーザー間で製作され話題に。

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*スーパーストリートファイターIV
【すーぱーすとりーとふぁいたーふぉー】
|ジャンル|格闘ゲーム|&amazon(B00361FPPA)|&amazon(B00361FPNW)|
|対応機種|プレイステーション3&br()Xbox 360|~|~|
|発売元|カプコン|~|~|
|開発元|カプコン&br()ディンプス|~|~|
|発売日|2010年4月28日|~|~|
|価格|4,990円|~|~|
|判定|なし|~|~|
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**概要・特徴(スパIV)
-当初は家庭用としてのみ発売されたバージョンアップ版。2種類から選択できるウルトラコンボや、オンライン対戦のバラエティの充実などが追加要素。
-目玉は10人ものキャラクターの追加。
--『ファイナルファイト』のコーディー(『ZERO3』から引き続き囚人服姿)とガイ、『II』シリーズからはサンダー・ホークとディージェイ、『ZERO』シリーズからはアドン、『III』シリーズのダッドリー、いぶき、まことが追加されている。
---ロレントもアドンと最終選考を争ったが、落選となったと[[電撃オンラインのプロデューサーインタビュー>https://dengekionline.com/elem/000/000/257/257389/]]で語られている。新ステージのメトロシティ超高層ビル工事現場ステージには『ファイナルファイト』のキャラクターが多数おり、“ロレントっぽいステージ”になっているのはこの影響。
---中でも新キャラクターのハカンはその特徴的な戦闘スタイル、オイルを全身に塗りたくって行う「ヤール・ギュレシュ」から一時話題騒然となった。ヘルメットにしか見えない髪型、赤い肌に白目と言った外見のインパクトに加えて、技も油のヌルヌルによって派手。出身国トルコ国内での評判は非常に良く、ヤール・ギュレシュの公式サイトで紹介されるほど。
---一方、同じく新キャラクターのジュリは韓国人の女性テコンドー使いであるのだが、当の韓国では悪役要素や衣装などがかなり不評となっている。とは言え、誰がどう見てもひどいと言う訳ではないのだが。

-なお、上記の基本的なゲームバランスや操作性は一切変わっていない。あくまでキャラクター個々の技性能のみを調整している。
--前作で非常に強かったサガットなどが丸く調整され、キャラクター相性が顕著に出やすいが前作を遥かに越えるキャラクターバランスの均等化に成功している。
--キャラクターバランスは、当初ガイルや本田、ブランカなどの溜めキャラが強いと見られていたが、最上級のプレイヤーはキャミィやフェイロンなど、出し得な技がある一方、難しい目押しコンボが必要で強さを引き出しにくいキャラクターを使用していた。

-CPUのAIは改善され、デフォルトだと簡単でも無ければすごく難しいわけでもない無難な難易度になっている。

-ニンテンドー3DSのロンチタイトルとして『[[スーパーストリートファイターIV 3D EDITION]]』が発売された。詳細は作品ページを参照。

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*スーパーストリートファイターIV アーケードエディション
【すーぱーすとりーとふぁいたーふぉー あーけーどえでぃしょん】
|ジャンル|格闘ゲーム|CENTER:&amazon(B004WMHB3G)|
|対応機種|アーケード(Taito Type X2)&br()プレイステーション3&br()Xbox 360|~|
|発売元|カプコン|~|
|開発元|カプコン&br()ディンプス|~|
|稼動開始日|2010年12月16日|~|
|発売日|2011年6月30日|~|
|価格|3,990円|~|
|廉価版|PlayStation3 the Best&br()Xbox 360 プラチナコレクション&br()2012年2月9日/2,990円|~|
|備考|海外のみWin版あり|~|
|判定|なし|~|

**概要・特徴(AE)
-ファンの期待に応えるようにして出された「スーパー」のアーケード版。さらなる新キャラクターとして『III』シリーズに登場したユンとヤン、さらにタイムリリースとして狂オシキ鬼と殺意の波動に目覚めたリュウが追加され、またキャラクターの性能の調整も行われている。

-DLCとして発売された他、パッケージ版でもPS3/360で移植版が発売された。

-海外でのみだがWin版も発売されている。
--マルチリンガル対応でインストールの段階から日本語にも標準で対応し、日本語OSにも問題無くインストール出来るので、輸入ソフトを取り扱っているお店等で入手出来ればWindowsPC上でも楽しむことも出来る。
---パッケージにこだわりがないのなら、Steamからのダウンロード販売で国内でも普通に入手可能。
---日本語でインストールするとちゃんと海外版で名前が入れ替えられているサガット以外の四天王、豪鬼なども日本版の名前になる((海外版ではそれぞれバイソン→バルログ、バルログ→ベガ、ベガ→バイソン、豪鬼→悪魔(アクマ)と差替えられている。))。
---Win版でも最新バージョンである「Ver.2012」へのアップデートが行われた。アップデートを行うとラウンドコールなどの画面下部に出て来るタイトルロゴに「ver.2012」が追記される。

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**問題点(AE)
-稼動前のインタビューで言っていた「対戦を盛り上げるヒールとなる強キャラ」として追加されたユンとヤンだが、はっきり言って強すぎる。
--ユンは途切れない攻めが強く、ヤンは多彩な攻めが強いと、対処法も違うものを要求されるのがまた厄介。「対策はユン&ヤンと対戦しないこと」などと冗談めかして言われるほどに強い。
---元々強キャラながら目立った弱体化のなかったフェイロンも強く、全員が中国人だからスーパーストリートファイター(SSF)ならぬスーパーチャイニーズファイター(SCF)と揶揄されることも((EVOでは優勝者がフェイロンを使用、闘劇ではユン&ヤンのペアが結局優勝し余計にその蔑称を使う人も増えた。))。
--無印時代から強く、使用人口の多かったリュウやサガットは大幅な弱体化。中足払いが短くなりキャンセル飛び道具を撃ちにくく、威力まで下がってしまい戦い方を変更せざるを得なくなった。後の再調整まで待てず、ここで他のキャラに乗り換える人も多くいたと思われる。
---ちなみに同じく追加キャラクターである殺意リュウと狂オシキ鬼は、一長一短ある普通の性能だった。
--強キャラに乗り換えろと言わんばかりの対戦バランスの悪化は多くのプレイヤーから批判されたが、それに応えてゲームバランスを大幅に再調整した「Ver.2012」へのバージョンアップが行われた。リュウやサガットも完全復活とまではいかないが、スパ4以前のような戦い方はできるようになった。
--余談だが、インディーズゲームとして国内でも配信されている格闘?ゲーム『DIVEKICK』は、当初はこのユン・ヤンの性能の高さと対戦環境の支配を揶揄する目的で作られた作品である。

-CPUが再調整され、アーケード版ではアーケードモードのCPUが超反応で非常に強くなった((小技を出した瞬間反撃される、ジャンプした瞬間対空技を出して落としてくる、など。特にザンギエフやホークといった投げキャラが凶悪で、壁際に追い込まれたら延々と投げ技を連発され一方的に負けることもざら。))。3人目あたりから容赦なく殺しにかかってくるため、初心者には辛い。&b(){BP1万の相手より3人目のCPUが強いと言われている。}

-高額基板を複数売りつけるという売り方は前作から変わっておらず、相変わらずのオペレーター殺し。それゆえ利益を見出せず導入を見送るゲーセンもある。

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*ウルトラストリートファイターIV
【うるとらすとりーとふぁいたーふぉー】
|ジャンル|格闘ゲーム|
|対応機種|アーケード&br()プレイステーション3&br()Xbox 360&br()Windows Vista/7/8&br()プレイステーション4|
|発売元|カプコン|
|開発元|カプコン&br()QLOC|
|稼働開始日|2014年4月17日|
|発売日|【PS3/360】2014年8月7日&br()【Win】2014年8月8日&br()【PS4】2015年9月4日|
|価格|【PS3/360】パッケージ:4,309円&br()【PS3】DL:3,989円&br()【Win】2,990円&br()【PS4】DL:2,990円|
|廉価版|PlayStation3 the Best:2015年4月2日&br()パッケージ:3,229円 / DL:2,990円|
|判定|なし|
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**概要・特徴(ウルIV)
-『ストリートファイター X 鉄拳』に客演登場したロレント、エレナ、ヒューゴー、ポイズンなどの新キャラクターも参戦し、「ウルトラコンボダブル」「レッドセービングアタック」「ディレイスタンディング」という新システムも追加。過去作品に比べると短期間でキャラクター性能を変更したバージョンアップが何度も行われている。(現在はVer1.05)
-本作の開発はディンプスではなく、『スパIVAE』や『ストリートファイター X 鉄拳』のPC版を開発したポーランドのデベロッパーQLOCが担当している。
-ネットワークにNESiCAを使用しており、データを記録するカードにNESiCAのカードを利用できるようになったが、基板はNESiCAxLiVEではなく専用基板(導入には数百万かかる)となっている。
--しかし、後にNESiCAxLive用タイトルとしても配信が開始。プレイヤーにとっては遊べる場所が増えたが、専用基板を買ったゲーセンへの負担を考慮しない商売として批判の声が多く出た。

-家庭用版は『スーパーストリートファイターIV』を持っていればグレードアップして遊ぶことができる。こちらは発売後のアップデートにより、キャラクター性能を過去のバージョンのものにできる「エディションセレクト」などの追加要素が加わっている。
--エディションセレクト内に追加されている「オメガエディション」は、キャラクター性能を大胆に変化させた実験的要素だが、''元で立弱Kを連打しているだけで永久コンボになる''などの稚拙な調整がされており問題になった。
---なお、上記を含む永久コンボは後のアップデート修正で除去されている。

-CPUの強さはまたも調整された。攻めよりも守り重視になりガードが固くなったが、ガード不可のLV3セービングやコマンド投げに弱くなり、その繰り返しで簡単に勝ててしまう。とはいえ超反応がなくなったわけではないので、目の前で隙を晒すとやられる。
--ラスボスのセスは超反応が厄介だが、無駄に隙の多いセービングや百烈を使ってくるので、しっかりガードを固めて要所で反撃を入れていくスタイルに徹すれば楽勝。

'''ウルトラコンボダブル'''
-ウルトラコンボ選択画面で選べる、第三のウルトラコンボ選択肢。
--これを選ぶと文字通りにウルトラコンボが二つとも使用可能になるが、威力や効果には相当な下方補正がかかる。
---大抵のキャラクターは威力75%補正だが、高威力の「アルティメットアトミックバスター」と対空の「シベリアンブリザード」など用途が分かれるウルトラコンボを持つザンギエフの様なキャラクターだと威力60%補正と更にダウンする。
--選択した場合、相手に与えるプレッシャーは更に上昇するが、単純にこれを選択するとウルトラコンボの威力での逆転が難しくなったり、補正の上にコンボ補正がかかって更に弱体化し易いという、より玄人向けの要素になる。

'''レッドセービングアタック'''
-弱P中P中K同時押しでパワーゲージを50%消費し発動する、身体が赤く光る強化版セービングアタック。
--「アーマーブレイク属性がない限り連続技も受け止める」「リベンジゲージの充填率が2倍」「ダメージが通常セービングアタックの1.5倍」。
-他技をキャンセルして使うと、パワーゲージを75%消費するEXレッドセービングになる。これはさらに「LV1から膝崩れダウンが発生する」強力な補助効果がつく。
--消耗は激しいが、当てさえすればほとんどのウルトラコンボに繋げられる。

'''ディレイスタンディング'''
-クイックスタンディングの逆で、こちらは遅く起き上れる方法。''強制ダウンする技に対してのみ使える''。
--これの登場により起き攻めが弱体化した。

**問題点(ウルIV)
-&bold(){新鮮味に欠ける。}
--追加キャラクターのロレント、エレナ、ヒューゴー、ポイズンは『ストリートファイター X 鉄拳』からのモデリング流用なのは明らかであり、目新しいとは言い難い。
---エレナの参戦で『ストIV』シリーズにも『ストIII』シリーズのプレイヤブル女性キャラクターが勢ぞろいし、ロレントとヒューゴーはコアな人気を持つキャラクターだし、ポイズンも本作で初めて『ストリートファイター』シリーズでプレイヤブルキャラクターとして登場する。だが全員既に『ストリートファイター X 鉄拳』で顔を見せている以上、目新しさという意味では微妙と言うほかない。
--加えて、6つの追加ステージまでも『ストリートファイター X 鉄拳』からのモデリング流用。『鉄拳』キャラクターや『鉄拳』関連の看板が削除されるなどの調整は加えられているが、その程度しか手を入れられていない。
---特に背景に恐竜が登場するジュラ紀の研究施設ステージやメカザンギエフ((ちなみにザンギエフのエクストラコスチュームで「メカザンギエフ」を選ぶと登場しなくなる。))が登場する宇宙エレベーターステージなどはお祭り的な他社クロスオーバー作品特有の要素が強いステージである。『ストリートファイター』の世界観を大事にしていないと捉えられても仕方ない((もっとも『スパIV』で追加された傍で溶岩が流れまくる火山ステージも『ウルIV』で追加された駐車場ステージや溶鉱炉ステージどころか宇宙エレベーターステージ並に存在が浮いている。))。
---せめてユンとヤンが背景に登場するハーフパイプステージとマッドギアの面々とハガーが登場するマッドギアの隠れ家ステージの2つだけにして、代わりに『スパIVAE』以降に追加されたキャラクターのライバル戦の前の会話を追加してくれたほうが良かっただろう。
--''これらの追加キャラクターとステージはともに流用であり、『ストリートファイター X 鉄拳』を購入したプレイヤーにとっては全く新鮮味がない。''
---ただしプレイステーション4以外の家庭用ハードでは追加キャラクターのエクストラコスチュームの一部を使うために『ストリートファイター X 鉄拳』のデータを必要とする。印象としては余計にマイナスである。
--新システムの「ウルトラコンボダブル」「レッドセービングアタック」「ディレイスタンディング」のいずれも既存システムの発展形に留まり新モーションでも無いため、こちらもビジュアル的に目新しくはない。
--『ストリートファイター X 鉄拳』に客演登場していない追加キャラクターとしてはベガ親衛隊のディカープリが追加されたが、キャミイのクローン設定であるため仮面を被っている以外は瓜二つ、担当声優もキャミイと同じ沢城みゆき氏。加えて両手のサイコダガーを使う要素があるとはいうものの、技もキャミイと同じものがある。またしても新鮮味が薄い。
---公式が「誰もが予想できないキャラクター」「『ストリートファイター』の世界に完璧に馴染む」など期待を煽っていた割に新鮮味が薄いディカープリであり、参戦PVにおいてもレインボー・ミカ((ただし『V』でデフォルトキャラクターとして再登板している。))や烈(+期待していたプレイヤー)を嘲笑するような表現があったため批判の声が多く出た。
---『ウルIV』で使用キャラクターになるまで公式に「素性が不明」だったディカープリは本作で参戦した事で素性が明かされたことは喜ばしいことだが、プレイヤー的には盛り上がりに欠ける結果に終わってしまった。
-『ウルIV』から始めるプレイヤーやプレイステーション4しか所持していないユーザーにとってはこれらの問題は気にならないとはいうものの、以前からプレイしていた者にとってはタイトルが変わったにも関わらず既存作と比べて新鮮味に欠けるゲームになってしまった。

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*総評
ストリートファイターシリーズの復活を見事に飾った新作。~
3Dグラフィック、新キャラクターなど、シリーズの新作としては多大なインパクト・話題性があったが、システムはさして斬新な要素がなく、過去作品からの正当進化というよりは再編成と少々の新要素、悪く言えば焼き直し感も感じられる。~

しかし対戦ゲームとしては十分機能する作品として評価する声も高い。マーケティング、プロモーションの成功、とっかかり部分の複雑さの排除が功を成して多くのプレイヤーに支えられ、現在の格闘ゲーム市場になくてはならない一本となっている。~
それは、本作の登場によってもたらされた、昨今の格ゲー界隈の盛り上がりが証明していると言える。

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*余談
-かつて様々な名勝負を生んだ伝説のプレイヤー「ウメハラ」こと梅原大吾氏は本作で再始動し、BP全国一位として君臨するなど復活を遂げた。後に同氏をはじめ、本作を専門とした「プロゲーマー」が多数誕生することになった。
--家庭用版の発売以降は、動画共有サイト・配信サイトの普及もあって、彼ら有名プレイヤーを後押しするような形でプレイヤー側から「GODSGARDEN」などの試合イベントが催された。
--『スパIV』の時には、試合が配信された際に1万人を越えるほどの視聴者を呼び込んでおり、ゲームだけでなく上級者による対戦動画が一つのコンテンツとして成り立っている。

-本作の製作はディンプスによる外注。
--ディンプスは、かつて格闘ゲームでカプコンと双璧を成していたSNKに所属していたスタッフが集まって結成された会社である。&br()そしてディンプス社長は、カプコンで『[[ストリートファイター]]』を製作した後にSNKに移籍したという経歴を持つ。
--逆にカプコン側のスタッフにおいて、過去にストリートファイターに携わっていたメンバーがほとんどいない。あきまんこと安田朗氏や船水紀孝氏も関わっていない。

-本作の開発にはカプコン内部からも「時代遅れ」「『ストリートファイター』でできることは『ストIII 3rd』で全てやった」などの反発の声が非常に大きかったらしく、開発決定までには多くのハードルがあったという。
--カプコンにはドット絵から3Dポリゴンへの変換期に一部の人間が格闘ゲームスタッフを冷遇していた過去がある((『カプコン VS SNK2 アナザープレイガイド』に2D格闘を作るのをやめる理由は「社内でも、一部の人たちからはすごくバカにされるんですよ、古い技術だって」としている船水紀孝氏の発言が載っている。))

//-ライバルデモの出来はかなり差がある。
//--リュウに対するサガットやケンにさくらなど、キャラ間の繋がりの強いキャラクターなどの出来は良い。
//--自分の格闘技に絶対的な誇りとプライドを賭けるエドモンド本田VSハカン、片やボクサー同士、片やレスラー同士で対抗意識を燃やすダッドリーVSマイク・バイソンやエル・フォルテVSザンギエフは十分ライバルと言える出来になっている。
//--新キャラクターでも、片や敵討ちに燃える一方で、嫌味ながらもあながち的外れでも無い反論をするキャミィVSジュリ、死んだはずの某キャラクターを仄めかすガイルVSアベルも決して悪くない展開である。
//--一方で空から降りて来るセスにキレるハカン、アベルにいきなり絡んで「せっかくだから俺が投げてやろう(意訳)」と一方的に襲いかかるザンギエフ、いきなりアベルから「戦ってくれ」と言われ返事2つで受けるフェイロン、「背が低い」「かっとなりやすい」「貴方は期待はずれ」と一方的にハカンを侮辱するだけのクリムゾン・ヴァイパー、「顔を隠すのは悪い奴」とブランカに絡まれるエル・フォルテなどは適当感が強い。特にザンギエフとクリムゾン・ヴァイパーがやっていることは、最早ライバルと言うよりはチンピラや通り魔の類である。
//---特に酷い…と言うかヘンなのがディージェイVSルーファス。両者とも全く他人の話を聞かないキャラクターなので、対面しても何を言っているのかわからないままノリと勢いだけでストリートファイトが始まる。
//--キャラクターの追加により、前述の荒くれボクサーのバイソンに対する紳士ボクサーのダッドリー、普通の女子学生に憧れるいぶきに対する(見た目は)普通の女子高生のさくら、完全なゾンビと成った殺意リュウに対する師・剛拳など、シリーズ・媒体を越えての共演が行われたりもしている。
//判定変更の際修正すべきとの指摘があったためCO。ここでダメな例にされている物はおそらくギャグとして作られた物であり、そこまで悪く言う必要はないのでは。
//ギャグとして成り立ってるのはディージェイとザンギエフ(片や他人の話を聞かないキャラクター、片や天然気味のキャラクターの会話)くらいかと。「ライバル」とは言い難いがブランカは主義主張に一理あり。セスやヴァイパーに対するハカンはギャグとして扱っていいんだろうか?
//見知らぬ相手を一方的に罵ることはギャグで片付けられない。

-『ストIV』のキャラクター設定は、過去の初代・『ストII』『ストIII』『ZERO』シリーズの設定や、過去の没設定などをうまく混ぜ合わせた上で、さらに本作独自の新設定を加えたものとなっている。
--その結果としてシリーズの全作品の過去の設定とそれぞれに矛盾が起こっているが、これは過去の作品でも発生していたことであり、これまでのシリーズからすると最新作の設定が正式なものと捉えることもできる。
---例えばそれまでは既に死亡していたと扱われていた剛拳が実は長期間気絶していて生きていたことになったり((剛拳については過去にもサガットに殺されたりベガに殺されたりしていた設定もあったが、本作で最終的に「豪鬼と戦って消息不明になり、リュウ達にも長らく死んだものと勘違いされていたが辛うじて生きていた」となった。))、過去作の設定からすれば既に学校を卒業しているはずのさくらが未だセーラー服で戦っていたりなどがあるが、これらの詳しい理由についてはボカされている。
--後に開発スタッフが、本作はお祭り的性格もあるため、物語の整合性は無視しているという旨の発言をしている。 

-公式サイトには開発者によるブログが掲載されており、記事に承認制でコメントを付けることが出来るのだが、対戦でのシステム面について意見すると全く承認されなかった。

-カプコンのACリズムゲーム『[[crossbeats REV.]]』に本作アレンジ版のリュウのテーマが収録された。
--さらにコラボイベントにて『ウルIV』のメインテーマ曲や、春麗のテーマも登場。

-本作発売から2年後の2016年に家庭用機で『ストリートファイターV』が発売される。
--既に戦いの場のメインはオンラインの時代となっており、アーケード版の稼働は3年遅れの2019年となった。

-後の『ストV』が手放しで受け入れられなかったこともあり、稼働から6年後の2020年になっても『ストV』と並ぶ規模の『ウルIV』公式大会が開かれるなど、その人気ぶりは健在。
--特に2020年初頭は新型コロナウイルスの影響で自宅待機者が増え、陰り気味だったオンライン対戦人口も少し盛り返した。
--有名プレイヤーによる実況対戦動画も人気を博し、最新作である『ストV』を大きく超える同時視聴者15000人以上という記録を残した。

復元してよろしいですか?