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スタートレーダー - (2015/10/10 (土) 22:05:15) の編集履歴(バックアップ)


STAR TRADER

【すたー とれーだー】

ジャンル STG+ADV
対応機種 PC-8801mkIISR以降、PC-9801VM/UV以降、
X68000(ソフトベンダーTAKERU専売)
発売・開発元【PC88/98】 日本ファルコム
発売元【X68k】 ブラザー工業
開発元【X68k】 MNMソフトウェア
発売日 【PC88/98】1989年3月
【X68k】1992年2月20日
定価 【PC88/98】8,700円
【X68k】4,800円

概要

  • シューティング革命を起こす、との意気込みでファルコムが投入した横STG。が、革命には遠く及ばなかった。
  • STGとADVを併せ持ったゲーム。ただゲームとしてはSTG寄り。
  • PC88のSTGとしては出来はいい方。

ストーリー

かつて軍において「エースストライカー」の異名を持ったカイン。現在はトレーダーと呼ばれる非合法の運び屋を、愛機フェンリルとAIアダリーと共に、営んでいた。そんなある日、レフィと名乗る少女が彼の元を訪れる。出会いがしらに言い出した依頼とは、彼女の祖父を探し出す事だった。彼女の祖父は、惑星オグマで発見された超古代文明の当時の調査責任者だった。その彼が突然行方不明になった。この依頼を切欠に、ただのトレーダーだったカインは、銀河に関わる謎に巻き込まれていく。

特徴

  • 横STGパートとADVパートを組み合わせたゲーム。ただしSTG部分が主でADV部分は従のポジション。全宇宙マップがあり、STGパートは惑星やステーションからの移動中の部分にあたる。ADVパートは惑星やステーションでの行動の部分となっている。また資金の概念があり、仕事をこなす事で収入を得る。資金は武装強化に必要。
  • 典型的な横STG
    • 自機はショットとミサイルの二種類の武装を持っている。移動は画面中自在に動ける。スピードも3段階に調整が可能。またダメージ制で、POWERゲージが0になるとゲームオーバー。
      • 終盤からは、シールド装置が搭載される。POWERゲージを3メモリ程度消費することで、全方向タイプのシールドを張る。発動中は、SHIELDゲージが0になるまで小型の敵や敵弾と接触してもダメージを受けなくなる。但し、ゲージがいくらか消耗してしまい、0になると消える。さらに、シールドは時間制で、何もしなくてもゲージが自動で減っていく。
    • 武装は惑星やステーションで購入する事で強化される。販売品は惑星やステーションで違うため、資金がどれほどあっても最強装備をいきなり揃える事はできない。
    • 難易度は武装によって極端に変わる。収入は限られ全ては買えず、ハズレ武装もあるので、選択を間違えると最初からやり直すハメに。ただしクリアするのに1時間半程度もあれば出来るゲームなので、最初からのやりなおしも大して苦でもない。
      • むしろ何度もやりなおすように仕組まれている面がある。実はADV部分で、善良に振舞えば振舞うほど収入が少なく、クリアが難しくなっている。
      • 自機の判定も大きめなため、障害物のある航路では敵や弾をかわすのが少々やっかい。ある程度、敵配置を覚えておく必要がある。
    • 中盤当たりから、一般のSTGのように大型のボスキャラが現れるようになる。各種砲台を持った戦艦タイプが多い。
  • ADVはコマンド選択式。
    • ADV部分も当時、一般的だったコマンド選択式。選択枝は少なく、総当りも簡単。ただし、選択によってストーリー展開が大きく変わる。これは収入にも影響する。その最大と最小はかなりの差。
    • 惑星やステーションからの移動は、物語の展開による。このため、自由に好きな惑星やステーションに行ける訳ではない。むしろほとんど移動先が決まってしまっている場合が多い。行った場所は自由行き来できるようになる。
    • ストーリー自体はそれほど深い出来ではない。ADVとしてのボリュームも少ない。もっともボリュームがありすぎてはSTGとしてのテンポが悪くなるため、本作のコンセプトからすると適度なサイズ。

評価点

  • PC88シリーズとしてはかなりいい出来の横STG。
    • パワーアップや様々なザコ敵機、そしてボス。STGとしてはしっかり作られている。バランスも悪くない。
      • ボスは大型戦闘艦や艦載機を搭載した空母など、大型キャラを動かしにくい機種にしては多彩。
    • 各航路はそれぞれ特徴があり、アステロイドベルト、惑星周辺、恒星近傍、要塞内など単調にならないようになっている。
    • もっともPC88で、STGは数えるほどしか出ていないので、比較できるゲーム自体が少ないのだが。
  • マニュアルにある自機、フェンリルの分解図やスペック解説は中々手が込んでいる。

難点

  • 対象マシンのスペック不足。
    • PC88としては出来がいいが、そもそもPC88自体がアクションゲームを作るにはスペック不足。特にスプライト機能がないのが痛い。このグラフィック部分の貧弱さのため、ややカクカクした印象を受ける。また速い弾は、飛び石状に向かってくるように見えてしまう。
    • この影響で、自機や敵機の動きの単位が大きく、さらに当たり判定もゲーム性からすると大きい。微調整ができず、障害物が多い航路ではミスの元に。
    • この点はPC98版でも大して変わらない。
  • STGとしては配慮の足らない面がある。
    • アステロイドベルトの航路は、岩石がオレンジ色で、敵の弾もオレンジ系のため見分けが付かない…というような気の回らない部分がある。
  • ボスキャラのいる航路が多いが、ADVとして考えた場合、一部の航路での大型艦が何故トレーダー風情に襲い掛かってくるのか不明。もちろん説明のあるものもあるが。

総評

さすがにPCゲームの大御所ファルコムが作っただけの事はあり、PC88のゲームとしては出来は平均以上。ただし、あくまでPC88での話。アーケードではSTG全盛であり、コンシューマーではPCエンジンが発売されて1年以上経っている。そんな中での低スペックマシンの真っ当な横STGでは、やはり見劣りしてしまう。それらにはないADVという要素があるが、あくまでSTG部分を前面に出した構成となっている。それでいて本道のSTG部分が見劣りしては、面白みに限度があるのは仕方ないところ。
対象機種のスペックの低さから、中途半端な出来となってしまったゲームである。

余談

アニメ『みんな集まれ!ファルコム学園』では、本作のオープニングテーマがアレンジされ、主題歌(?)になっている。 ファルコムファンの間では「ゴーファイ!」がある種の合言葉になり、本作にもコアなファンの注目が集まった。


X68000版

  • X68000にも移植されたが、全く別ものに変化した。まずADV部分はオミットされている。もっともストーリーそのものはステージ間のインターバルに組み込まれた。ただし一部のストーリーは変更されている。グラフィックは敵味方のデザインを新規に描き直し、デモシーンも描き直されている。またダメージ制から通常の残機制へ、パワーアップもアイテム制になり効果も違う、とシステムもかなり手を入れられている。ステージ構成もやりなおし。またスプライト機能があるため、PC88/98版と違い滑らかに動く。結果、まるで印象の違うゲームに生まれ変わり、普通の横STGとなった。ゲームそのものは、やや忙しいが平均的な出来。