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ASSASSIN'S CREED - (2015/07/14 (火) 16:13:39) の編集履歴(バックアップ)


ASSASSIN'S CREED

【あさしん くりーど】

ジャンル アクション

対応機種 Xbox360、プレイステーション3
販売元 ユービーアイソフト
開発元 ユービーアイソフト モントリオール・スタジオ
発売日 【360】2007年11月21日
【PS3】2008年1月31日
定価 7,329円(税込)
レーティング CERO:Z(18歳以上のみ対象)
廉価版 【360】プラチナコレクション:2008年11月6日/2,940円
【PS3】ユービー・アイ・ザ・ベスト:2008年12月4日/2,940円
ポイント オープンワールドアクション「アサクリ」シリーズ第1作
「フリーランニング」で広大な箱庭を自在に駆け巡れ!
千年の時を行き来する独自の世界観
1作目ゆえまだまだシステムは粗かった

ASSASSIN'S CREED: DIRECTOR's CUT EDITION

【あさしん くりーど でぃれくたーずかっとえでぃしょん】

対応機種 Windows XP/Vista
発売日 2008年5月16日
定価 【パッケージ版】6,090円(税込)
【Steam/AmazonDL版】1,980円
備考 新規ミッションが4種類追加

WARNING!!!!!!!
本作はCEROからZ指定を受けている18歳以上のみ対象のゲームです。


概要

アサシン教団(十字軍時代に活躍した暗殺者集団)の一員アルタイルとして任務を遂行することを目的とした、潜入アクションゲーム。
オリジナルタイトルである『ASSASSIN'S CREED』は、日本語に訳すと「暗殺者の信条」となる。
オープンワールド型のマップを縦横無尽に駆け回る高いアクション性を有し、2006年のE3においての「ベストアクションアドベンチャー賞」などの
数多くの賞を受賞するなど大きなインパクトを残したが、第1作ゆえの粗さも垣間見える。

ストーリー

 21世紀のニューヨーク。バーテンダーの「デズモンド・マイルズ」は、静かにつつがない日々を送っていた。
 だが、ある時謎の人物達により拉致され、被験体17号として扱われる。
 アニムスと呼ばれる特殊な装置に入れられた彼は、遺伝子深くに刻み込まれた先祖――アルタイル・イブン・ラ・アハドの記憶を呼び覚まさせられる。

 アサシン……それは、1096年より始まった十字軍遠征の際、抵抗勢力として彼らが遭遇したイスラムの暗殺者教団の事である。
 特別な訓練を施され、特殊な戒律によって統率された彼らは、神の名の元に戦う十字軍兵達を恐怖に陥れた。
 1191年。聖地エルサレムを奪い合う十字軍とイスラム教団の戦いは泥沼と化していた。聖地では混乱が続き、市民達は恐怖におびえる日々が続く。
 若くしてアサシン教団の最高位であるマスター・アサシンにまで上り詰めた「アルタイル・イブン・ラ・アハド」。彼はとある秘宝奪還の命を受けたものの、彼の若さと高い実力ゆえの傲慢な性格が災いし、アサシン教団の戒律を3つ全て破ってしまう上に任務に失敗する。
 処刑されそうになるものの、アサシン教団の長「アル・ムアリム」はアルタイルの才能は使えると判断し、彼を見習いへと降格させ、9人の標的を暗殺する任を命じた。
 アルタイルは標的を着実に暗殺していく中、驕りによって忘れかけていた「暗殺者の信条(ASSASSIN'S CREED)」をとり戻していくが、同時に9人の共通項、そしてその裏側の存在へと気付いていく。

またデズモンドは、なぜ拉致され、このような過去の記憶を辿るよう強制されねばならないのだろうか……?

特徴

  • 12世紀末のエルサレム周辺を舞台にした3Dアクションアドベンチャーゲーム。
  • オープンワールド型マップを自由自在に走ったり壁に張り付き登攀したりと、実在のスポーツ「パルクール」を元にした「フリーランニング」を行いながら移動できるのが魅力。ゲーム展開そのものは選択肢の無い一本道。

システム

  • 左アナログスティックで前後左右に移動。右アナログスティックで視点を移動させる。
  • A・B・X・Y(PS3版は○・×・△・□)はそれぞれ足・手・攻撃・頭に関する動作で分けられている。
  • 左トリガー(L1ボタン)でロックオン。右トリガー(R1ボタン)を押したままにするとアクションモードになり、レバー入力で走ることができる。
    • 走っている最中にBボタン(×ボタン)を押すとスプリントモードに。壁に接触すれば壁をよじ登り、遠く離れた場所に足場があればそこに向かってジャンプする。
    • 高所の特定場所からは、地面の藁山に自由落下しながら飛び込む「イーグルダイブ」という特殊ジャンプが可能。無傷で着地できる上、干し草の中に姿が隠れるのでステルス行動としても有用。
    • 街の塔にはビューポイントが設定されており、ここに登って「シンクロアクション」を行うと周囲のマップ詳細が開放される。
  • アルタイルは任務をこなしていく事で過去の階級を取り戻し、同時に新たな武器を貰う事ができる。*1
    • 武器はそれぞれ一長一短があり、場面に応じて使い分けが必要。
      • 「アサシンブレード」…アルタイル始め作中のアサシン達が左手に装備している、飛び出し式ブレードが付いた仕込み籠手。アサシンの象徴的武器であり、ブレードの飛び出しを阻害しない様に、アサシン達は左手の薬指を切り落としている。その存在は街中で抜刀しても気づかれる事は無く、気付かれていない状態ならば一撃で倒す事ができる、暗殺するにうってつけの装備。反面戦闘では能動的な攻撃ができない、受け流し(ガード)ができない、カウンターが非常にシビアと使いづらい武器となっている。
      • 「剣」…任務中、どうしても追っ手と戦う事がある。その際に使用するのがこれ。(敵の攻撃への)受け流し力が強く威力も高い分、モーションが大きい。ゲームを進めるとグレードアップしていく。
      • 「ショートソード」…いわゆる短剣。刀身が短く、携行するのに便利。剣に比べて威力と受け流し力が弱いが、隙が少なく手数が多い。
      • 「投げナイフ」…離れた相手を暗殺するのに向いている、暗殺者らしい武器。数に限りはあるが街中のごろつきからスリをする事で無尽蔵に入手できる。一度投げるとほぼ確実に相手に自分の居場所がバレるのが難。ゲームを進めると最大所持数が増える。
      • 「拳」…素手。最初から使用可能。威力は低く戦闘には向いていないが、殺さずに痛めつける時はこれを使う。主に尋問ミッションで使用。
  • 画面左上にシンクロ・バーとソーシャル・ステータスが表示されている。
    • シンクロ・バーはライフのようなもの。デズモンドとアルタイルがシンクロしている状態を示す。アルタイルが怪我をしたり、戒律を破ったりする*2とシンクロ・バーは減少する。
    • ソーシャル・ステータスは周囲の環境から自分がどう見えているかを示す。暗殺者である以上、一般人に近い存在で隠密活動しなければならず、壁を登るなどの行動をして注目されたり、敵に発見されるとソーシャル・ステータスは赤く染まり、シンクロ・バーの回復を阻害する。

長所

  • ゲームではかなり珍しい時代設定を舞台にしており、多様な宗教・歴史問題が絡む中世エルサレムを上手く描いている。*3
    • アルタイル編は「デズモンドの遺伝子に刻み込まれた記憶をアニムスという機械が呼び出してバーチャルとして出力している」という設定のため、体力バー(本作ではシンクロ・バーと呼ばれる)や画面右下のレーダーといったゲームのお約束や、まだ行けない場所等の行動制限にさほど無理の無い説明をしている。*4
    • 珍しい時代設定は、本作特有の世界観を描き出している。リチャード1世等の登場といった史実をベースに、エデンの果実やアサシンとテンプル騎士団の戦いという独自のifを組み込むというシリーズの骨格は既に完成している。
    • 現代編といえるデズモンドの物語もそこらかしこに伏線が張られ、シリーズを重ねても破綻を起こしていないことから分かるように相当に作りこまれている。*5
  • ユニークなゲーム性とアクションシステム
    • 荒廃しつつも秩序を保とうとするその広大な町並みを自由自在に飛び回り、標的を見つけ暗殺するステルスアクションは銃器や最新兵器が登場しない事もあって、いかに気づかれずに近づくかが非常に重要な稀有なゲーム性を生み出している。
    • イーグルダイブによって高所から藁山へ落下するときの浮遊感やアサシンブレードによる暗殺が上手く決まった時の爽快感は高い。
    • どうやって適切な足場を見つけて、それに伝って高い建物に登るか、という攻略性もパズル的な楽しさを増している。

賛否両論

  • ゲームシステム上、高い塔に登ったり屋根の上を伝って移動したりすることが多くなるので、高所恐怖症の人にはつらいかもしれない。
  • 後述のお邪魔NPCの存在。ある程度のゲーム難易度を維持するために加えて、大都市の雑踏の混乱を演出しているとも見えなくはない。ただ、不用だと感じるファンが多かったのか、このシステムは続編からかなり削減された。

短所

  • 単調なゲームの流れ
    • 基本的に「アサシン教団本部から暗殺任務を受ける」→「暗殺対象のいる町へ移動する」→「その町のアサシン教団支部に行きお話をする」→「ビューポイントに登って町のマップを埋め、暗殺対象の身辺を調査する」→「アサシン教団支部から暗殺の許可をもらう」→「対象を暗殺」→「街中に鐘が鳴り響くアラート状態の中、支部に戻りお話」→場面を挟んで「本部に戻って報告」の繰り返しで進行していくお使いゲームで、段々と単調に感じるようになってしまう。*6
    • 身辺調査は「スリ」、「アサシン仲間の依頼による複数人のタイムリミット暗殺」、「盗み聞き」、「尋問」の4種類で毎回やることは同じ。そしてサブミッションは、敵にからまれてる市民を救出するために敵を”戦闘”で倒すもののみである。
      • ビューポイントでのシンクロやサブミッションを15個成功に付きシンクロバーが一つ増えるシステムも、この作業感をより増させている。
  • やりこみ要素として旗集めやテンプル騎士団員探しが用意されているが、やたらと数は多いものの報酬は一切ないので自己満足で終わってしまう。
    • Xbox360版では実績を獲得できるため集める意味はあるが、PS3版はトロフィーそのものがないので完全に自己満足である。
  • 単調な戦闘
    • いざ戦闘となると実質的にショートソード以外の選択肢が無く、カウンター成功時の無敵時間の長さもあって自分から攻める旨味が少なく、相手が攻撃するのを待つ冗長な立ち回りを要求される。アサシンブレードでもできない事は無いが難易度は高い。
      • 終盤含め敵に囲まれる場面は多いので、この冗長な立ち回りがゲーム中の大半の時間を占める事になる。
  • ステルス要素の薄さ
    • ステルスアクションと銘打っているが、アクション要素のほうが強く、ステルス要素は薄い。背後から忍び寄り一人一人と倒していき周囲を無力化するというステルスゲームでお約束のプレイは難しい。街の群集の中でありアサシンがいる「かもしれない」ことが前提となっており、敵の視界に入っても明確な敵対・戦闘行動を起こさない限りは向かってこない。*7また、アラート状態になっても周囲の敵を掃討するか一気に逃げて、干し草や屋上庭園など多数ある隠れポイントに逃げ込むことが流れとなっている。
      また、暗殺対象のところに行きイベントが終わるとすぐにアラート状態になり、多くの場合、敵が近くいるので即戦闘状態となっており暗殺で倒していけるステージは非常に少ない。戦闘で敵を一掃するか敵を無視してダッシュで暗殺対象を殺すというプレイになる。また、ラスボス付近に強制戦闘ラッシュがある。
      • 主人公は真っ白なローブ状の服を着ており画面上は目立つ。これには神学者と似た服装で、その集団に紛れられるという理由付けはされているが、そうでない時の時間の方が多く、見かけを優先した結果と言える。関連して、主人公がベンチに座るだけで敵の目を欺けるという極めてフィクション的な要素もある。
    • 以上のようにプレイはステルスよりも戦闘をしている場面の方が多い。
  • 各シークエンスのスタート時など長い話を聞かされる場面が多いが飛ばせない。リプレイを推しているにも関わらずテンポが悪い。
  • お邪魔NPCの存在
    • 町の市民の中にはこちらの邪魔をしてくるものもいる。薬物中毒者、酔っぱらい、物乞いの女性である。一般市民扱いであるため殺害するとペナルティとなるが、彼らの存在がゲームを面白くしているとは決して言えない。
    • 薬物中毒者と酔っぱらいはこちらが近づくと突き飛ばしたり、つかんで投げてくる。敵から逃げているときや「スリ」の時に邪魔になる。
    • 物乞いの女性は、「家族が病気なんだ、助けておくれよ」と主人公に追いすがってくる。付きまとわれていると敵がこちらに気づくため「スリ」の時など厄介である。逃げるかタックルでもしない限り延々追いかけてくる。『II』以降は小銭をばらまいて処理できるよう改善された。どの物乞いも同じセリフのため、ウソをついており本当に困っているとは思えない雰囲気であることもイラつかせる。また、主人公が壁をよじ登ると「町から出ていけ!」と石を投げてくる。
    • クリア済みシークエンスのリプレイ時には一般市民殺害のペナルティがなくなるので好き放題に彼らを始末することも可能だが程々に。
  • 音声関連
    • なぜか上記のお邪魔NPCの声がクローズアップされるため、無駄にうるさい。薬物中毒者は「ママぁ」と言ってちゅぱちゅぱ音を立てたり、低音の奇妙な鼻歌を歌ったりとかなり不快であり雰囲気を崩している。また、アサシンブレードによる暗殺時のSEがとても大きく、設定で小さくすることが出来ない。
      • 『II』以降は暗殺時のSEも小さくなった。
    • ゲーム中は壁をよじ登るアクションを頻繁にする事になるが、すべてのNPCには「上を見る能力」が備わっているため、はしごを使わないと「何をやっているんだ」や「けがをしても知らんぞ」と毎回通行人から小言を言われる。
  • その他
    • 壁をよじ登る時の速度はそこまではやくなくサクサクと登るというほどではないので若干爽快感にかける。頻繁に行うアクションであるため些末なことであるが、すこし気になる。また、群集の中では、駆け回るということは難しい。強ダッシュでもスタミナ制を採用していない代わりにそこまでは速くない。また、操作性に関してはX,Y軸感度の設定を最大にしてももたつきを感じることは多い。
  • こういったゲームとしての浅さの多くは『II』以降改善されつづけている。

総評

同社の『スプリンターセル』シリーズで培ったステルスゲームのノウハウとステルス盗賊ゲーム『Thief』シリーズや暗殺ゲーム『Hitman』シリーズなどをミックスし、現代風にアレンジ、ソーシャルステルスアクションとして昇華させた一作。スピーディーかつスタイリッシュに、混沌とした血なまぐさい12世紀エルサレムを駆け抜けるアサシンの姿は、恐ろしくも美しく、一つの絵として完成されている。
しかし、自由度の高そうに見える絵面とは裏腹に、ストーリーは一本道で攻略のための行動パターンも少なく、ゲーム時間の大半が冗長な戦闘に割かれるため、インパクトこそ強いものの名作とは言いがたい。*8
後に続編『ASSASSIN'S CREED II』が登場。本作の欠点を補い、更に完成度を高めた作品で、ユーザーからの評判は非常によい。本作以降、毎年新作が発表されるなどシリーズは定番名作アクションゲームとしての地位を確立する。本作はその雛形を築き上げた功労者と言えるだろう。

余談

+ OPとプレイ動画